| 【発明の名称】 |
炊飯器等のハンドル取り付け構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】河野 公博
|
| 【要約】 |
【課題】炊飯ジャー等の取り付け孔にハンドルのヒンジ軸を容易に嵌入することができ、使用状態では十分な係合量が得られ、かつハンドルが初期姿勢になったときでも外れないようにすることである。
【解決手段】ジャー本体1の取り付け穴の一部に楕円形の抜止め穴6を設け、ハンドル3のヒンジ軸に楕円形の外形を有する抜止め部10を設け、その抜止め部10に半割り溝11を設けて弾性を付与し、上記の各楕円形状において短径b,dが等しく、長径a,cに差があり、ハンドル3を組み込むときは上記楕円の向きを合わせ、抜け止め部10を縮径させて軽く嵌入させ、使用状態では、抜止め部の長径cと抜止め穴6の短径bとの差分(c−b)の大きな係合量で係合させるようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炊飯器等の器具の両側部に設けた取り付け穴に、ハンドル両端部のヒンジ軸を回転自在に嵌入してなる炊飯器等のハンドル取り付け構造において、上記取り付け穴を軸受け穴と抜止め穴の2段構造により形成し、上記抜止め穴を相互に直交する長径と短径を有する非円形穴により形成し、上記ヒンジ軸を、上記軸受け穴で支持される回転軸部と、これと同軸で上記抜止め穴を貫通する中間軸部と、同じく同軸で上記抜止め穴の内側に係合される抜止め部とにより形成し、上記抜止め部に縮径方向の弾性を付与し、上記抜止め部の外周形状を相互に直交する長径と短径を有する非円形に形成し、上記抜止め部の短径を上記抜止め穴の短径と同一か又はそれより小さく形成すると共に、上記抜止め部の長径を上記抜止め穴の長径より該抜止め部の弾性変形の範囲内で大きく形成し、ハンドル装着時の初期姿勢において該抜止め部の長径方向を上記抜止め穴の長径方向に一致させると共に弾性変形により縮径して上記抜止め穴に挿通させるようにした炊飯器等のハンドル取り付け構造。 【請求項2】 上記抜止め部から中間軸部にわたり割り溝を設けて、該抜止め部に径方向の弾性を付与したことを特徴とする請求項1に記載の炊飯器等のハンドル取り付け構造。 【請求項3】 上記ハンドルの回転範囲内の所定角度において、上記ヒンジ軸と取り付け穴が部分的に軽く係合するクリック部を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の炊飯器等のハンドル取り付け構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、炊飯器等のハンドル取り付け構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】炊飯器、炊飯ジャー、ポット、ジャグ等の器具においては、携行に便利なように逆U字形のハンドルが取り付けられる。この場合のハンドルの取り付け構造としては、次のようなものが知られている。 【0003】その第1は、ハンドルのヒンジ軸に径方向に突き出した係合突起を設け、器具側の取り付け穴の一部にその係合突起を通過させる凹部を設けた構造である。この場合は、ハンドルのヒンジ軸を取り付け穴に通す際に、該ハンドルの姿勢を一定の初期姿勢に定めることにより上記の係合突起を凹部に嵌合させ、これを通過させた後にハンドルを所要角度回転させることにより該係合突起を取り付け穴の内面側に係合させるようになっている(例えば、特開平8−150073号公報参照)。 【0004】その第2は、ヒンジ軸の先端部にこれより大径の拡がり部を有する円錐台形の係合部を設け、軸方向の割り溝を設けて径方向の弾性を付与するようにしたものである。この場合は円錐台形の係合部を強制的に縮径させて取り付け穴に通し、その係合部を取り付け穴の内面側に係合させるようになっている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記の第1の取り付け構造によると、ハンドルを組み付ける作業は容易であるが、通常の使用時においてハンドルが何らかの事情で初期姿勢になると、該ハンドルが簡単に外れてしまうことがある。 【0006】また、上記の第2の取り付け構造によると、通常の使用時においてハンドルが外れる恐れはないが、製造工程においては、ハンドルのヒンジ軸を強い力で縮径させて強制嵌合する必要があり、組み付け上の作業性に問題がある。 【0007】そこで、この発明は、ハンドルの組み付け作業が容易にでき、しかも使用時において外れるおそれのない取り付け構造を提供することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明においては、炊飯器等の器具の両側部に設けた取り付け穴に、ハンドル両端部のヒンジ軸を回転自在に嵌入してなる炊飯器等のハンドル取り付け構造において、上記取り付け穴を軸受け穴と抜止め穴の2段構造により形成し、上記抜止め穴を相互に直交する長径aと短径bを有する非円形穴により形成し、上記ヒンジ軸を、上記軸受け穴で支持される回転軸部と、これと同軸で上記抜止め穴を貫通する中間軸部と、同じく同軸で上記抜止め穴の内側に係合される抜止め部とにより形成し、上記抜止め部に縮径方向の弾性を付与し、上記抜止め部の外周形状を相互に直交する長径cと短径dを有する非円形に形成し、上記抜止め部の短径dを上記抜止め穴の短径bと同一か又はそれより小さく形成すると共に、上記抜止め部の長径cを上記抜止め穴の長径aより該抜止め部の弾性変形の範囲内で大きく形成し、ハンドル装着時の初期姿勢において該抜止め部の長径cの方向を上記抜止め穴の長径aの方向に一致させると共に弾性変形により縮径して上記抜止め穴に挿通させるようにした。 【0009】上記の構成によると、使用状態においては抜止め部の長径cと抜止め穴の短径bの差分(c−b)の大きな係合量で係合する。また、ハンドルの初期姿勢においては、抜止め部の長径cと抜止め穴の長径aの差分(c−a)の小さな係合量で係合する。後者の差分(c−a)の存在により、ハンドルが初期姿勢になっても外れることがない。また、後者の差分(c−a)が前者の差分(c−b)より小さいので、抜止め部を縮径する力は小さくてよく、容易に強制嵌合することができる。 【0010】上記抜止め部から中間軸部にわたり割り溝を設けて、該抜止め部に径方向の弾性を付与した構成をとることができる。 【0011】また、上記ハンドルの回転範囲内の所定角度において、上記ヒンジ軸と取り付け穴が部分的に軽く係合するクリック部を設けた構成をとることもできる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、実施形態の炊飯ジャーは、ジャー本体1と、これに開閉自在に取り付けられた蓋2を有し、そのジャー本体1の両側面に逆U字形のハンドル3が前後方向に回動自在に取り付けられる。 【0013】上記のジャー本体1の側面に設けられる取り付け穴4は、図2(a)(b)に示すように、外側に軸受け穴5、内側に抜止め穴6が同軸上に2段に設けられる。軸受け穴5は円形であり、抜止め穴6はこれより小径の楕円形である。楕円の長径aは水平方向に形成され、短径bは上下方向に形成される。 【0014】一方、ハンドル3の両端部内面に設けられるヒンジ軸7は、図3に示すように、3段に形成され、ハンドル3の内面側から回転軸部8、中間軸部9及び先端の抜止め部10からなる。回転軸部8は前記の軸受穴5に隙間なく嵌合され、回転の中心を決めるとともに負荷を支持する。中間軸部9は回転軸部8より小径であり、その中間軸部9は前記の抜止め穴6より小径に形成される。また、抜止め部10は中間軸部9側が大径、先端側が小径のほぼ円錐台形に形成される。その抜止め部10から中間軸部9にわたり、ハンドル3の幅方向の半割り溝11が設けられ、抜止め部10はその半割り溝11を縮小する方向、即ち抜止め部10自体を縮径する方向に弾性変形させることができる。 【0015】抜止め部10の側面形状(図3(b)参照)において、その大径部分の形状は全体として楕円形をなし、長径cがハンドル3の長さ方向、短径dが幅方向に形成される。この長径cは、前記の抜止め穴6の長径aより若干大きく形成される(c>a)が、その差は抜止め部10の縮径方向の弾性変形の範囲に含まれる程度である。また、その短径dは、抜止め穴6の短径bと同一かこれより小さい(d≦b)。 【0016】上記のハンドル3をジャー本体1に取り付ける際は、図4に示すように、ハンドル3を水平方向に倒した初期姿勢に設定し、そのヒンジ軸7を取り付け穴4に挿入する。ハンドル3を上記の初期姿勢に設定することにより、抜止め部10の楕円の長径cが水平向きとなり、抜止め穴6の楕円の向きと一致する。 【0017】抜止め部10の短径dは、前述のように抜止め穴6の短径bと同一かこれより小さいので、短径方向には干渉を生じないが、抜止め部10の長径cは抜止め穴6の長径aより大であるので長径方向に干渉を生じ(図4(b)参照)、そのままでは抜止め部10を抜止め穴6内に挿入することができない。 【0018】そこで、ヒンジ軸7に押し込み方向の力を加えると、テーパー面12の作用により抜止め部10が縮径方向に弾性変形し、その長径cがa以下に縮小するので抜止め部10が抜止め穴6を通過する。通過し終わると抜止め部10が元の状態に戻り、図5に示すように、抜止め部10の長径cと抜止め穴6の長径aの差分(c−a)だけの小さい係合量で抜止め穴6の内面側に係合される。 【0019】上記の長径cとaの差分は、抜止め部10の弾性変形の範囲内で、かつ後述のように初期姿勢でハンドル3が外れない最小の大きさに設定される。このため、ハンドル3の組み付け時の強制嵌合に必要な力はわずかでよいことになる。 【0020】次に、図6に示すように、ハンドル3を垂直に立てると、抜止め穴6の長径aと抜止め部10の短径dが対応し、また抜止め穴6の短径bと抜止め部10の長径cが対応する。抜止め部10の長径cは抜止め穴6の短径bに比べ十分大きい(c>b)ので、抜止め部10は抜止め穴6の内面側にその差分(c−b)の十分大きい係合量で係合される。 【0021】なお、抜止め部10の短径dは抜止め穴6の長径aより小さいので、両者の間には隙間が生じるが、係合は前記の長径cと短径bの差により行われるので問題ない。 【0022】一方、ハンドル3が初期姿勢に倒れた場合、前記のように抜止め部10は抜止め穴6に対して長径aとcの差分(c−a)の係合量が存在する(図5(d)参照)ので、簡単に外れることはない。この差分は、ハンドル3の組み付け時の作業性を考慮して、必要最小限度に設定される。 【0023】図7は、上記のハンドル取り付け構造において、ハンドル3の回転範囲における一定角度においてクリック感を与え、その姿勢で安定させるようにした構造を示す。即ち、軸受け穴5の内端面にその穴に沿って半周の溝13を設け、その溝13の両端部と中間部に一対の突起により形成されたクリック凹所14を設ける。また、ハンドル3の回転軸8の端面に上記の溝13に自由に嵌合する一つのクリック突起15を設ける。 【0024】前述のようにしてヒンジ軸7を取り付け穴4内に嵌入したとき、上記のクリック突起15が溝13に嵌入される。ハンドル3を回転させると、クリック突起15が各クリック凹所14に嵌合し(図7(e)参照)、ハンドル3を持った手にクリック感を与えると共に、ハンドル3をその姿勢に安定させる。 【0025】以上の実施形態においては、抜止め穴6と抜止め部10の係合形状を楕円形に形成しているが、この形状は図8に示すように、長方形であってもよい。図において、抜止め穴6の長辺をa、短辺をbで示し、抜止め部10の長辺をc、短辺をdで示している。 【0026】これらの大きさの関係は、前述の楕円の場合と同様に、a<c、b≦d、c>bの関係にあるので、ハンドル3の初期姿勢において抜止め部10を縮小させて抜止め穴6に挿入することが容易に行える。次にハンドル3を垂直に立てると、図8(b)に示すように、抜止め部10の長辺cが抜止め穴6の短辺bの内面側に両者の差分(c−b)の大きな係合量をもって係合される。また、ハンドル3が初期姿勢になったときは、抜止め部10の長辺cと抜止め穴6の長辺aの差分(c−a)の小さい係合量で係合され、抜け出しが防止される。この差分は前述の場合と同様に必要最小限に設定され、ハンドル3の組み込み時の作業性に支障を来さないようにしている。 【0027】 【発明の効果】以上のように、この発明によれば、炊飯器等に取り付られたハンドルの使用状態においては、抜止め穴と抜止め部が大きな係合量をもって係合されるので外れるおそれはない。また、ハンドルが初期姿勢になったとしても、抜止め穴と抜止め部の係合状態が維持されるので、外れることがない。またハンドルを取り付ける場合は、抜止め部を縮径させる方向に若干の力を加えるだけで、容易に組み付けることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000002473 【氏名又は名称】象印マホービン株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年6月7日(2000.6.7) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074206 【弁理士】 【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−346682(P2001−346682A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月18日(2001.12.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−170788(P2000−170788) |
|