| 【発明の名称】 |
保温可能な電気ポット |
| 【発明者】 |
【氏名】伊東 有道
【氏名】佐藤 公治
【氏名】中村 瑠奈
【氏名】須藤 健一郎
【氏名】永田 良平
【氏名】鈴浦 泰樹
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| 【要約】 |
【課題】電気ポットへの断熱性付与を、厚みの増加を極力抑えて実現しようとするものである。
【解決手段】中空粒子もしくは気泡を内包する樹脂組成物からなる薄いシートを断熱性シート10として使用し、筒状容器本体3とタンク4との間、または/および筒状容器本体3の外側面に積層することにより、上記課題を解決した。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体を溜めるタンク、およびタンクの底部に接して配置された加熱手段とが収納された筒状容器本体上に、蓋部が開閉可能に取り付けられており、前記タンクと前記筒状容器本体との間、または/および前記筒状容器本体の外側面に、中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シートが積層してある事を特徴とする保温可能な電気ポット。 【請求項2】 前記断熱性シートは、中空粒子または/および気泡を内包する前記脂組成物が含浸性基材の少なくとも一部に含浸したものであることを特徴とする請求項1記載の保温可能な電気ポット。 【請求項3】 断熱性シートとして、防水性シートで被覆、もしくは密封したものを用いることを特徴とする請求項1または2記載の保温可能な電気ポット。 【請求項4】 前記筒状容器本体の外側面に断熱性シートが積層してあり、前記筒状容器本体の外側面に積層された断熱性シートとして、化粧を施したものを用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の保温可能な電気ポット。 【請求項5】 前記断熱性シートとして、抗菌剤が適用されたものを用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の保温可能な電気ポット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、電気ポットの保温性の向上を、比較的厚みの薄い断熱性シートを用いて実現した保温可能な電気ポットに関するものである。 【0002】 【従来の技術】緑茶やコーヒー等を飲もうとするとき、あるいは湯を注いでもどすカップ麺等を食べようとするのに備えて、電気ポットで湯を沸かしたり、あるいは、魔法瓶内に予め湯を準備することが行なわれていた。最近では、外見は魔法瓶の形でありながら、内部に電気ヒーターを装着した電熱式で、かつ保温可能な電気ポットがよく使用されており、一旦加熱されて得られた熱湯は、保温容器内で保温され、一定の温度以下になると、再び電気ヒーターに通電させて、加温することにより、高温が保たれるものである。 【0003】この電気ポットにおいては、魔法瓶におけるのと同様に、蓋等に設備されたポンプにより湯を注ぐタイプのものが多く、また、多量の給水を考慮して、液体を溜めるタンクは、その径とほぼ等しい径の開口部を上部に有しているので、蓋部からの熱の逃げが避けれないものである。また、電気ポットにおいては、加熱手段を備えなければならないため、概ね、タンクの底部には断熱性を付与することが難しい。 【0004】従って、電気ポットの場合は、タンクの側面への断熱性の付与の効率を上げる必要があるが、タンクの容量も増加する傾向にあるので、出来るだけ厚みの薄い手段で断熱性を付与する必要があり、また、ごく狭い部分に適用可能な物である必要があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従って、本発明においては、このような加熱装置を備えた電気ポットの一層の断熱性能の向上を、厚みの増加を極力抑えて実現しようとするものである。 【0006】 【課題を解決する手段】本発明においては、中空粒子もしくは気泡を内包する樹脂組成物からなる薄いシートを断熱材として使用することにより、従来の電気ポットが持つ上記の課題を解消することができた。 【0007】第1の発明は、液体を溜めるタンク、およびタンクの底部に接して配置された加熱手段とが収納された筒状容器本体上に、蓋部が開閉可能に取り付けられており、前記タンクと前記筒状容器本体との間、または/および前記筒状容器本体の外側面に、中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シートが積層してある事を特徴とする保温可能な電気ポットに関するものである。第2の発明は、第1の発明において、前記断熱性シートは、中空粒子または/および気泡を内包する前記脂組成物が含浸性基材の少なくとも一部に含浸したものであることを特徴とする請求項1記載の保温可能な電気ポットに関するものである。第3の発明は、第1または第2の発明において、断熱性シートとして、防水性シートで被覆、もしくは密封したものを用いることを特徴とする請求項1または2記載の保温可能な電気ポットに関するものである。第4の発明は、第1〜第3いずれかの発明において、前記筒状容器本体の外側面に断熱性シートが積層してあり、前記筒状容器本体の外側面に積層された断熱性シートとして、化粧を施したものを用いることを特徴とする保温可能な電気ポットに関するものである。第5の発明は、第1〜第4いずれかの前記断熱性シートとして、抗菌剤が適用されたものを用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の保温可能な電気ポットに関するものである。 【0008】 【発明の実施の形態】図1は、本発明の電気ポット1のほぼ断面を模式的に描いたもので、電気ポット1は、筒状容器本体3と、その上に開閉可能に取り付けられた蓋部2とからなっており、筒状容器本体3内部には、液体を溜めるための、上部が開口したタンク4が、筒状容器本体3との隙間を保って嵌め込まれており、タンク4の底部の中央部分は、上側、即ち、タンク4の内側に向かって凸部が形成されていて、凸部の下側と筒状容器本体3の底部との間に形成された空間に加熱手段5が収納されている。加熱手段はスイッチ等のコントロール部を介して、コンセントにつながれている。 【0009】タンク4と筒状容器本体3内部との隙間には、中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シート10が、タンクの外側面を一周して巡らされ、タンク4に積層されていて、この事により、タンク4に断熱性が付与されている。なお、図2に示すように、タンク4と筒状容器本体3内部との間に断熱性シート10aを積層する以外に、筒状容器本体3の外側面にも断熱性シート10bを積層可能(図2)であるが、効率から言えば、タンク4と筒状容器本体3内部との間に積層することが好ましい。筒状容器本体3の外側面に積層するときには、その箇所のみに積層するよりも、タンク4と筒状容器本体3内部との間の両方に積層することがより好ましい。勿論、従来からある、電気ポットの外側に貼って、断熱性を向上させることもできる。 【0010】断熱性シート10の固定は、接着剤、粘着テープ、もしくは両面粘着テープを用いる接着のほか、ビスで止める、フックにひっかっける、強く挟んで固定する等のいずれの方式によってもよい。 【0011】断熱性シート10は、タンク内の液体と接触しない位置に積層することが可能ではあるが、電気ポットの性格上、液体とは隣り合わせであり、万一、もれて断熱性シート10に浸透する事があると、著しく断熱性を損なうため、防水性のあるフィルムで被覆するか、より好ましくは密封して使用することが好ましい。 【0012】また、断熱性シート10は、一枚使用しても、あるいは二枚以上を重ねて使用してもよい。ただし、本発明において使用する断熱性シートは、過度な重ね合せをすることなく、断熱性付与が可能であるので、二枚ないし三枚程度に止めておくことが好ましい。 【0013】蓋部2の中央には、筒状容器本体3内のタンク4の開口部に嵌合する径を有した筒型容器状の栓2bが固定されており、栓2bは下側に通気孔2cを有している。栓2bの上部には、ピストン2dが昇降可能に、かつ、下げたときに手を離すと自動的に上昇して元の位置に復帰するよう設置されている。ピストン2dと栓2bとの間が、ピストンの上下動のための僅かな隙間を有している点を除けば、蓋部2を閉めた状態では、筒状容器本体3は気密に保たれる。蓋部2のピストン2dを手で押し下げると、栓2b内の空気、および通気孔2cを介して、タンク上部の空気が加圧されることにより、タンク内の液体が加圧され、タンク内の液体は、タンク下部に設けられた孔4zから排出され、管6内を上昇して、排出口3aより注ぎ出される。 【0014】以上の説明における電気ポットは一例に過ぎず、本発明における電気ポットは、このような方式に限定されるものではなく、加熱手段を備えているものであれば、いずれでもよい。なお、電気ポットは、通常、加熱により湯を沸かし、保温するものであるが、ペルチェ素子等の設置により、水温を下げた冷水をつくり、保温(保冷とも言う)しておくことも可能であり、本発明の範囲に含めるものとする。 【0015】断熱性シート10としては、中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなるものが好ましく、この樹脂組成物からなるシートは、樹脂樹脂組成物からなるシートの単独、基材の上に樹脂組成物からなるシートが積層したもの、もしくは含浸性基材に樹脂組成物が含浸したもののいずれかであり、さらに、断熱性シート10は、化粧を伴なったものであってもよい。中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シート10は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等の合成樹脂の発泡シートであってもよい。断熱性シートの厚みとしては、厚い方が断熱性能が優れているが、電気ポットの体積をあまり増加させないよう、0.5mm〜5mm程度が好ましく、より好ましくは3mm以下である。 【0016】図3は、断熱性シート10の例を示す断面図で、断熱性シート10は、図3(a)に示すように、高分子マトリックス14中に中空粒子12(白抜きの丸で示す。)を内包した樹脂組成物が含浸性基材11に含浸したもの、図3(b)に示すように、樹脂組成物が高分子マトリックス14中に気泡13(黒丸で示す。)を内包したもの、もしくは、図3(c)に示すように、樹脂組成物が高分子マトリックス14中に中空粒子12および気泡13の両方を内包したものである。 【0017】図3の例では、いずれにおいても、断熱性シート10は、樹脂組成物が、含浸性基材11に含浸したものであって、このようにすることにより、断熱性シート10の強度を高くすることができるが、剥離性フィルム上や金属ベルト上に塗布してから剥離する等して、含浸性基材11を省略したものでもよい。 【0018】中空粒子12としては、アクリル、アクリルニトリル等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂等の合成樹脂を素材とする有機質のものや、シリカ、アルミナ等を主成分とする無機質のものがあり、天然品としては、火山性のシラスバルーンのようなものも利用できる。また、後述する親水性や疎水性の中空粒子も使用可能である。 【0019】また、気泡13を発生させるための発泡剤の一種であるマイクロカプセル型のものであって、予め発泡させたものも使用することもでき、このようなマイクロカプセル型発泡剤の発泡済のものも、中空粒子12として扱える。マイクロカプセル型発泡剤の発泡済のものの例として、松本油脂製薬(株)製の中空粒子(品番で、F−80ED、もしくはF−80E)は、密度が0.02g/cm3と小さいので、熱伝導性の抑制に効果的であり、使用することが好ましい。一般的に入手が可能で、利用できる中空粒子の粒径は、0.3〜300μmの範囲であり、これらの中から選択して1種類、または2種類以上を使用する。 【0020】中空粒子12自体は比較的丈夫なため、圧縮等の外力にも耐えるが、中空粒子を合成樹脂塗料組成物、特に合成樹脂エマルジョン系塗料組成物中に分散させるときは、拡販操作により、塗料組成物中に気泡が入り込みやすい。気泡は、断熱性を向上させる意味で役立つので、意図的に気泡を発生させたり、もしくは、マイクロカプセル型や分解型等の化学発泡剤等を使用して発泡させ、気泡を発生させるとよい。中空粒子12を伴わず、気泡のみでも、断熱性を与えることができる。 【0021】しかし、中空粒子12または気泡13のいずれかを利用して断熱性シートを作製して使用したり、中空粒子12および気泡13を合成樹脂塗料組成物中に分散させたものを使用して断熱性シート10を作製して使用すると、中空粒子12および/または気泡13のつぶれにより、断熱性が経時的に低下する傾向が見られるので、断熱性シート10の耐圧縮性を向上させるため、中空粒子12の選択を次のような3通りの方式で行なうことが好ましい。 (1)粒径の異なる中空粒子のブレンド(2)親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンド(3)粒径の異なる親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンド【0022】(1)の粒径の異なる中空粒子のブレンドで大きい中空粒子の間を小さい中空粒子が埋めるためには、大きい方の中空粒子の直径a、小さい方の中空粒子の直径bの関係は、b≧a(2−31/2 )/31/2 であり、これを計算すると、b≧0.155aである。また、最も疎な充填である体心立方の場合には、b=a(2−21/2 )/21/2 であり、これを計算すると、b=0.414aである。従って、0.155a≦b≦0.414aとなり、粒径aの中空粒子にブレンドするための中空粒子の直径bが規定される。 【0023】因みに、最も密な六方細密充填の場合に、直径aの中空粒子の空隙に直径bの中空粒子が隙間無く、ちょうど入り込むためには、b=2a(11/3)1/2 /3であり、これを計算すると、b=0.277aである。先に述べたように、入手し得る中空粒子の粒径は、0.3〜300μmの範囲であるので、この中から、上記の関係を満たす中空粒子の大小の組み合わせを選択して使用する。 【0024】上記において、直径aの中空粒子の単位あたりの粒子の数N(a)と、直径bの中空粒子が入れる空隙の数N(b)との関係は、六方細密の場合で、N(b)/N(a)=8:6であり、体心立方の場合、N(b)/N(a)=4:2である。これを整理すると、1/2≦N(a)/N(b)≦3/4であり、それぞれの直径の中空粒子をブレンドする際の重量比は、充填の疎密の度合いを決めた後、中空粒子の数の比、各中空粒子の比重・粒径から計算で求める。この(1)の粒径の異なる中空粒子のブレンドを、上記したような条件下で行ない、高分子マトリックス14中に分散させて作製した断熱性シート10は、気泡13のある部分では、直径の小さい方の中空粒子が直径の大きい方の中空粒子の間に充填されて補強されるため、耐圧縮性が強化され、つぶれにくい構造となる。 【0025】(2)の親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンドでは、疎水性の中空粒子が空気との親和性の方がより高いために、分散の際に塗料組成物中に取り込まれた気泡を疎水性の中空粒子が取り囲み、外側が疎水性の二次的な粒子を作り、親水性の中空粒子および親水性の樹脂の間に分散した形の断熱性シート10となる。 【0026】ここで、親水性の中空粒子とは、材質が、ガラス、シリカ、シリカ・アルミナ、セラミック、シラス、中空プラスチック、または中空繊維等からなるものであり、また、疎水性の中空粒子としては、これらの親水性の粒子に疎水化処理を行なったものがある。親水性中空粒子と疎水性中空粒子の混合比は、形成したい気泡の大きさ、各中空粒子の粒径および比重から計算で求める。 【0027】(3)の粒径の異なる親水性中空粒子と疎水性中空粒子とのブレンドは、上記の(1)および(2)の方式の手段を合わせたもので、粒径の小さい疎水性粒子と粒径の大きい中空粒子とが混合された中空粒子の間に気泡13を有した構造の断熱性シート10が得られる。この方式では、粒径の大きい中空粒子の間に粒径の小さい疎水性粒子が充填されるので、中空粒子の間に形成される気泡の壁が強化され、つぶれにくい構造の断熱性シート10が得られる。 【0028】高分子マトリックス14としては、次に挙げるような樹脂が使用できる。例えば、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酪酢酸セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化ゴム、環化ゴム、ポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン、もしくはアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂の有機溶剤溶液、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリベンツイミダゾール、ポリベンゾチアゾールもしくはポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂であり、これらの樹脂は、水または有機溶剤に溶解した樹脂溶液とすることができる。 【0029】あるいは、スチレンマレイン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル系樹脂、もしくはウレタン系のエマルジョン、または、天然ゴム、再生ゴム、スフチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、ポリスルフィドゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ステレオゴム(合成天然ゴム)、エチレンプロピレンゴム、もしくはブロックコポリマーゴム(SBS,SIS,SEBS等)も使用することができ、これらの樹脂は、有機溶剤溶液ないしラテックス等として利用することができる。 【0030】気泡13を生じさせるには、機械的に気体、特に不活性ガス、好ましくは低熱伝導性のガスの泡を塗料組成物中に取り込んで、含浸性基材に含浸させ、加熱発泡させる場合と、以下に述べるような有機化合物からなる化学発泡剤を塗料組成物中に配合して含浸させ、加熱発泡させる場合とがある。 【0031】発泡剤と言うと、一般には、分解型等の化学発泡剤を指すことが多いが、ここでは、機械的な方法における泡も含めて、発泡剤と称することとし、いずれも利用し得る。化学発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、バリウムアゾジカルボキシラート、もしくはp−トルエンスルホニルセミカルバジド等のアゾ系発泡剤、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、もしくは4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等のスルホニルヒドラジド系、ジニトロソペンタメチレンテトラミン等のニトロソ系、重炭酸ナトリウム、もしくは重炭酸アンモニウムがある。 【0032】発泡剤の作用から見ると機械的なガスの泡に近いものとして、アクリロニトリル樹脂等を素材とする外壁にイソブタン、ネオペンタン等の低沸点炭化水素を内包させたマイクロカプセル型発泡剤があり、比較的低温での発泡に適している。なお、化学発泡剤を使用するときは、必要に応じ、発泡温度を低下させて発泡しやすくするための発泡助剤を使用してもよい。このようなマイクロカプセル型発泡剤としては、例えば、松本油脂製薬(株)製の発泡剤(品番で、F−46、F−50、F−55、F−80、もしくはF−85が使用でき、これらは、発泡倍率も20倍以上あり、好ましい。 【0033】これらの発泡剤を用いた塗料組成物を、含浸性基材11に塗布ないし含浸させ、加熱発泡させる場合には、乾燥させた後の膜厚の0.1〜100倍とすることが好ましく、0.1倍未満では、発泡による断熱性向上効果が乏しく、100倍を越えると、断熱性はあるものの、圧縮強度が低下するため、つぶれやすくなるためである。 【0034】含浸性基材11としては、天然繊維、合成繊維、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維を原料として製造されたフェルト、不織布、布、もしくはこれらの前記繊維を原料として抄造された紙(特に低密度紙)、またはセラミックスシート等のシートであって、これらのいずれかの単層のシート、同じものどうしの2枚以上を積層した、同種のシートの複合シート、もしくは、これらのシートから選ばれた任意の異なるシートを2枚以上積層した、異種のシートの複合シートが使用できる。片面に含浸性がないか、もしくは乏しいシートでもよく、例えば、低透湿性シート等が積層されていてもよい。 【0035】フェルトは、元来は、獣毛を集めて、加湿・加熱しつつ加圧して絡ませ、シート化したものであるが、現在では、原料として天然繊維以外に合成繊維、ロックウール、炭素繊維等も使用されている。不織布は、繊維(天然繊維も扱うが、通常は合成繊維)を紡糸せずに直接、機械的、熱的、または化学的な手段により交絡させてシート化したものである。また、紙は、植物繊維その他の繊維を絡み合わせ、膠着させて製造したもの(JISの定義による)である。 【0036】これらの定義から見ても明らかなように、フェルト、不織布、および紙は、思い浮かべる代表的な製品どうしは相違して見えるものの、本質的には互いに区別のつきにくいものであり、ただ、一般的な紙が、そのほかのものにくらべ、密度が高い点で相違する。 【0037】紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、樹脂含浸紙、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、和紙等も使用できる。より好ましい超低密度紙は、密度が0.1g/cm3 〜0.5g/cm3 が一般的で、一例として0.2g/cm3 程度のものである。フェルト、不織布、および布を含めた場合も、密度が0.01g/cm3 〜1g/cm3 、好ましくは、0.02g/cm3 〜0.5g/cm3 、より好ましくは、0.02g/cm3 〜0.25g/cm3 である。下限未満であると強度が低くなり、取扱い時に損傷の恐れが増加し、上限を越えると、断熱性が不十分になる。布については、繊維としては中空繊維等の断熱性繊維を使用したものが好ましいが、必ずしも、中空繊維等の断熱性繊維でない、通常の繊維を使用したものでも、目付量の少ない、粗い布であれば、使用可能である。 【0038】セラミックスは耐熱性の必要な高温領域の断熱材として主に用いられている。通常、ここで用いられるセラミックスは珪酸カルシウムなど熱伝導率の低い焼結成型体である。セラミックスシートはこのようなセラミックスを繊維状に加工し、シート状にしたもので、各種厚みの製品も市販されている。セラミックスシートの密度としては0.8〜2.3g/cm3 、厚みとしては0.2mm〜5.0mm程度が好ましい。 【0039】なお、上記において繊維としては、木綿、麻、もしくは羊毛等の天然繊維の単独、もしくは異なる2種以上、または、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、もしくはアクリル等の合成繊維の単独、もしくは異なる2種以上、ロックウール、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、もしくはシリカ繊維等が使用できる。紙の場合には、主に植物繊維のパルプが使用される。また、セラミックスシートを構成する素材としては、狭義のセラミックスであるケイ酸塩に限らず、アルミナ、シリカ、もしくはジルコニアの単独、もしくは異なる2種以上が使用できる。 【0040】以上のような素材を用いて、断熱性シート10を製造するには、高分子マトリックスを構成する樹脂、好ましくはその樹脂の水溶液、もしくは有機溶剤溶液、またはエマルジョンと、中空粒子または/および発泡剤、さらには必要に応じ配合しうる各種の添加剤を混合し、塗料組成物を調製してシート化する。なお、マイクロカプセル型発泡剤が発泡した発泡済のものを中空粒子として使用するときは、塗料中で浮かびやすいため、増粘剤を使用して、浮上を防止するとよい。シート化の方法としては、剥離性基体に塗布し、乾燥後に剥がすキャスティング法、基体に塗布して基体が付着したままで製品とする方法、含浸性基材11に含浸して乾燥させる方法等を利用する。 【0041】含浸を行なうには、含浸用塗料組成物を満たした槽の中に、含浸性基材11を浸す方法(いわゆるディッピング)によるか、公知の塗布手段により、含浸性基材11の片側もしくは両側から塗布を行なう。含浸用塗料が十分浸透してから、余分の含浸用塗料を適宜なかき取り装置または除去装置、例えば、サクションドクター、ドクターロール、もしくは丸棒にワイヤーを巻き付けたワイヤーバー等により、かき取るか、または除去し、所定の量の含浸用塗料を含浸性基材に含浸させる。その後、乾燥させることによって、断熱性シート10が得られる。なお、含浸用塗料組成物の粘度、塗付から乾燥までの時間を調節すると、一方の側から浸透して含浸性基材11の厚みの途中にとどまる含浸や、殆ど含浸性基材11の表面に止まり、ごく僅かが含浸性基材の表面の近くに含浸するようなことを行なうこともでき、こうすると他方の側の未含浸の部分を利用して、接着剤を浸透させ、貼る対象のものとの接着性を高める等ができる。含浸用塗料組成物を構成する素材、特に高分子マトリックスの素材によっては、一旦、比較的低温で乾燥させた後、比較的高温度で乾燥させたり、乾燥の一部、もしくは全部を紫外線照射や電子線照射によって行なってもよい。 【0042】断熱性シート10は、既に述べたように、長期間使用したり、あるいは、タンク内の液体等と不用意に接触すると、性能を損なう恐れもある。このため、断熱性シート10を適当な被覆層で被覆することが好ましく、具体的には、図4(a)に示すように、防水性シート15で被覆することが好ましく、さらには、図4(b)に示すように、両側から防水性シート15、15’で密封することが好ましい。密封は、この他、チューブ状の防水シートの中に断熱性シート10を挿入し、両端を溶断シールする等の方法によって行なってもよい。 【0043】防水性シート15の素材としては、殆どのプラスチックフィルムを使用することができる。例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等のフィルムである。 【0044】防水性シート15には、ガスバリアー性のあるポリ塩化ビニリデン樹脂等の樹脂バインダーを用いて調整された別の塗料を塗布するか、金属ないし金属酸化物の薄膜を形成して気体透過を抑制しておくとなおよい。これら金属薄膜においては、一酸化ケイ素と二酸化ケイ素のように酸化数の異なる金属酸化物どうしの混合物であったり、ケイ素化合物とアルミニウム酸化物との混合物であってもよいし、無機酸化物を主体とした有機基と結合したものであってもよい。 【0045】薄膜の形成方法としては、例えば、イオンビーム法、電子ビーム法等の真空蒸着法、またはスパッタリング法等の物理気相成長法、もしくは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、または光化学気相成長法等の化学気相成長法が利用できる。薄膜の厚みは、好ましくは、50〜3000Åであり、より好ましくは100〜1000Åである。50Å未満では気体透過を抑制する効果がほとんど無く、3000Åを越えると薄膜にクラックが生じて気体透過性が低下する恐れがある上、材料費も割高となる。 【0046】断熱性シート10を電気ポット1の筒状容器本体3の外側に積層するときは、防水性を備えていることが好ましいが、さらに何らかの化粧(装飾と言ってもよい)を施した化粧断熱性シートであることが好ましい。化粧の施し方としては種々のものがあるが、着色、印刷、エンボス、またはワイピング塗装が代表的であり、これらのうちから任意に選択して、1種または2種以上を組み合わせて施すことが普通である。 【0047】図5は化粧の様子を示すもので、図5(a)は断熱性シート10に着色(ハッチで示す。)を施した化粧断熱性シートを示す。なお、断熱性シート10は、防水性シートを伴わないもの、もしくは防水性シートを伴うもののいずれでもあり得る。着色は、図5(a)にハッチの手段によりイメージ的に示すように、断熱性シート10の厚み方向全体に施されていても、観察側になる片側の表面のみに施されていてもよい。また、着色しただけでもよいが、さらに、保護層16が積層してあってもよい。保護層16の積層は任意であって、以降の図5(b)〜図5(d)の説明においても、その都度の説明は省くが、積層する場合も、あるいは、積層しない場合もあり得る。 【0048】続く、図5(b)は、断熱性シート10に印刷して模様を施した状態の化粧断熱性シートを示すもので、模様17は、着色層17a、および絵柄17bが順に重なった2つの層からなっているが、このうち、着色層17aは省くこともあり得る。さらに、図5(c)は、エンボス加工を施して凹部18を形成した状態の化粧断熱性シートを示す。図5(c)の例では、凹部18にワイピング塗装により着色剤19を充填した化粧断熱性シートを示している。 【0049】化粧を施す部位は、断熱性シート10の表裏のいずれの面でもよいが、化粧を施した側の面を外向きにするか、あるいは、そうでない場合には、素材を通して化粧が透視できるように施すとよい。化粧を施した上を保護層16で覆う場合には、保護層16は、下層の化粧が透視できることを確保する目的で、無色透明または有色透明であることが望ましい。 【0050】保護層16は、合成樹脂塗料の塗膜で構成するか、場合によっては、合成樹脂フィルムの積層によって構成してもよい。合成樹脂塗料の塗膜としては、熱可塑性樹脂を用いたものでもよいが、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化した塗膜が耐久性の点で優れており、さらに電離放射線硬化性のポリマーまたはプレポリマー、およびモノマー等を用いて調製した電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布、および電離放射線の照射により架橋硬化させて得られる塗膜で構成すると、より一層、下層の保護効果が向上する。 【0051】以上の例で示した着色、印刷、エンボス、またはワイピング塗装等の化粧は、これらのうち、選択した1種を施すか、もしくは任意の2種以上を組み合わせて行ない、断熱性シート10に、素材の持つ感じに加えて、外観の意匠を与えることができる。なお、上記したように、断熱性シート10に直接、化粧を施すのに代えて、図5(d)に示すように、断熱性シート10に、別に準備した化粧シート20を接着剤等により、積層して化粧断熱性シートとしてもよい。化粧シート20は、例えば、適宜な基材に着色、印刷、エンボス、またはワイピング塗装を適宜に組合わせて施したり、あるいはさらに保護層を積層したもの等である。 【0052】断熱性シート10を電気ポット1の外側に貼る場合には、耐熱性、耐湿熱性が良いものや、汚染されにくいものが好ましく、例えば、最表面の保護層がアクリル樹脂フィルムである化粧シートは耐候性が良く、最表面の保護層がフッ素系樹脂フィルムである化粧シートは耐汚染性が高く、適している。なお、化粧シート20の基材として、先に説明した防水性シートを利用することもできる。 【0053】断熱性シート10は、基本的には以上の要素を有していればよいが、殆どの電気ポットが加温を行なうものであり、また、冷却するタイプであったとしても、水分が内部や周囲に存在するので、菌や黴が増殖しやすく、不衛生な状態に陥りやすい危険を有している。そこで、断熱性シート10に抗菌剤を適用しておくことが好ましい。抗菌剤としては銀、銅、亜鉛、錫、鉛、ビスマス、カドミウム、クロム、または水銀等の抗菌性金属材料を、ゼオライト、活性炭、シリカ、活性白土、酸性白土、アルミナ、活性ボーキサイト、骨炭、モレキュラーシーブ、またはガラスビーズ等の担体に担持させたものが望ましいが、これらの抗菌性材料、担体の種類およびそれらの使用量等は、特に限定されるものではない。抗菌剤の適用は、表面への塗付、もしくは断熱性シート10を構成する樹脂組成物への配合によって行なうとよい。 【0054】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、中空粒子または/および気泡を内包する樹脂組成物からなる断熱性シートを使用したので、断熱に要する厚みをごく薄くでき、従って、厚みの増加を抑制しての保温性の向上が実現した電気ポットを提供できる。請求項2の発明によれば、第1の発明の効果に加え、樹脂組成物が含浸性基材の少なくとも一部に含浸したものであるので、断熱性シートが補強されている上、含浸性基材の未含浸の側を利用しての接着性が向上した電気ポットを提供できる。請求項3の発明によれば、第1または第2の発明の効果に加え、断熱性シートが防水シートで被覆、もしくは密封されているので、水や湯等の接触による断熱性シートの断熱性の低下が防止された電気ポットを提供できる。請求項4の発明によれば、第1〜第3いずれかの発明の効果に加え、使用している断熱性シートに化粧が施されたものであるので、外側に貼ったことにより意匠効果が向上した電気ポットを提供できる。請求項5の発明によれば、断熱性シートに抗菌剤が適用されているので、湿気や高温等の環境に置かれても、菌や黴の増殖を抑制できる電気ポットを提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002897 【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月21日(2000.4.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100111659 【弁理士】 【氏名又は名称】金山 聡
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| 【公開番号】 |
特開2001−299599(P2001−299599A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月30日(2001.10.30) |
| 【出願番号】 |
特願2000−120348(P2000−120348) |
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