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【発明の名称】 揚げ物製造装置
【発明者】 【氏名】小 林 和 章

【要約】 【課題】揚げ物の製造に際し、油の酸化を抑制し、油のもちを向上させ油の廃棄回数(量)を減少させ、さらにジューシー感やクリスピー感のある高品質の揚げ物となる揚げ物製造装置を提供する。

【解決手段】油を貯溜する油槽と、この油槽内の油を加熱する加熱手段と、前記油槽内に上下2段互に対向させて配設した搬送コンベアを備えた揚げ物製造装置において、前記各搬送コンベアは、無端状のコンベアで構成し、この各無端状のコンベアの内側に位置して上段の無端状コンベアのものと下段の無端状コンベアのものとで対となる電極を互に対向させてなる放電装置を設け、この放電装置は、一極がトランスの二次高電圧側に完全封鎖絶縁して設けられ、他極に高圧抵抗が設けられ、さらに、装置本体と油槽、油槽と放電装置を各々絶縁し、放電装置により1〜100mAの微弱電流で100〜15000Vの高電圧を発生させ印加することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 油を貯溜する油槽と、この油槽内の油を加熱する加熱手段と、前記油槽内に上下2段互に対向させて配設した搬送コンベアを備えた揚げ物製造装置において、前記各搬送コンベアは、無端状のコンベアで構成し、この各無端状のコンベアの内側に位置して上段の無端状コンベアのものと下段の無端状コンベアのものとで対となる電極を互に対向させてなる放電装置を設け、この放電装置は、一極がトランスの二次高電圧側に完全封鎖絶縁して設けられ、他極に高圧抵抗が設けられ、さらに、装置本体と油槽、油槽と放電装置を各々絶縁し、放電装置により1〜100mAの微弱電流で100〜15000Vの高電圧を発生させ印加することを特徴とする揚げ物製造装置。
【請求項2】 前記油槽にアースを電気的に接続してなることを特徴とする請求項1記載の揚げ物製造装置。
【請求項3】 前記電極の絶縁体として碍子を用いたことを特徴とする請求項1又は2記載の揚げ物製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油槽内の油を加熱してフライや天ぷら等の揚げ物を製造する揚げ物製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、揚げ物を揚げる場合、油槽に油を入れて加熱し、170〜200℃程度に加熱された油の中に、衣を付けた食材を入れて揚げるという手順で行われる。
【0003】揚げ物を揚げるのに使用される油は、1回の調理毎に新しい油に取り替えるということなく、同一の油を数回繰り返して使用するのが一般的である。また、業務用のフライ装置では、長大な油槽の油(170〜200℃程度の温度)で多量の食材を連続的にあげていく方法が採用され、油が古くなると新しい油に取り換えるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一般に、食用の油は、油脂中の不飽和脂肪酸が空気中の酸素と反応して種々の生成物を生成する。これは、通常油の酸化と称せられるものであって、酸化によって生じる生成物の中には、刺激性の臭気を発し、油の風味劣化の原因となる種々の化合物が含まれている。油の酸化は、温度が高いほど進行が速くなるので、揚げ物用の油は数回繰り返して使用したらそれを廃棄し、新しい油と取り替えるのが普通である。
【0005】業務用のフライ装置では、多量の食材を繰り返して連続的に揚げていく場合は、油の酸化による風味悪化も早く、比較的頻繁に新しい油に取り換えなければならないという課題を有している。
【0006】本発明は、上記課題に着目してなされたもので、揚げ物の製造に際し、油の酸化を抑制し、油のもちを向上させ、油の廃棄回数(量)を減少させ、さらにジューシー感やクリスピー性のある高品質の揚げ物となる揚げ物製造装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、油を貯溜する油槽と、この油槽内の油を加熱する加熱手段と、前記油槽内に上下2段互に対向させて配設した搬送コンベアを備えた揚げ物製造装置において、前記各搬送コンベアは、無端状のコンベアで構成し、この各無端状のコンベアの内側に位置して上段の無端状コンベアのものと下段の無端状コンベアのもので対となる電極を互に対向させてなる放電装置を設け、この放電装置は、一極がトランスの二次高電圧側に完全封鎖絶縁して設けられ、他極に高圧抵抗が設けられ、さらに、装置本体と油槽、油槽と放電装置を各々絶縁し、放電装置により1〜100mAの微弱電流で100〜15000Vの高電圧を発生させ印加することを特徴とする。
【0008】また、請求項2に記載の発明は、前記油槽にアースを電気的に接続してなることを特徴とする。
【0009】さらに、請求項3に記載の発明は、前記電極の絶縁体として碍子を用いたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1〜図5は、本発明の実施の形態を示す図である。この実施の形態は、多量の食材を繰り返して連続的に揚げていく業務用のフライ装置などの揚げ物製造装置1に適用したものである。この揚げ物製造装置1は油を貯溜する長大な油槽2と、加熱手段としてのバーナーを収納して油槽2内の油を加熱する加熱室3とが隣接し、ケーシング4内の耐火レンガなどの断熱材5で覆われている。
【0011】前記油槽2内には、搬送コンベア6、7が上下2段互に対向(平行)して配設されている。この搬送コンベア6、7は、コンベアガイド20に支持された駆動ローラ8と従動ローラ9との間にネット上に形成した無端状のコンベア10、11が掛け渡され、モータによって無端状のコンベア10、11を互に逆方向に同期回転させることにより、製造中の揚げ物を浮上しないように押し付けながら連続的に油の中を輸送させる構造となっている。なお、符号12は方向変換ローラ(従動ローラ)である。
【0012】本実施の形態の要旨は、前記各無端状のコンベア10、11の内側に電極13、14を位置させて設け、互に対向させた点にある。詳しくは、それぞれの電極13、14は、ステンレス製のロッド13a、14aを縦横方向に組み合わせて格子状に形成されていて、無端状のコンベア10、11の内側に複数枚搬送方向に沿って等間隔に配設されている。電極13、14の絶縁および支持手段については、絶縁体としてフランジ付き筒状の碍子15を用い、コンベアガイド20、20に取り付けられた碍子15、15に搬送方向と直角方向に延びるロッド13a、14aの端部が嵌め込まれている。
【0013】前記コンベアガイド20には、外周面を碍子で覆ったターミナル16、17がフランジ付き筒状の碍子31を介して取り付けられ、碍子15の開口端部より突出したロッド13a、14aの端部にターミナル16、17の下端が電気的に接続され、上端がリード線を介してトランス等の電圧発生装置に電気的に接続されている。電圧発生装置は、交流又は直流のいずれの方式でもよく、100〜15000ボルトの電圧を発生させて電極13、14に印加する機能を有する。なお、符号18はスイッチボックス、符号19は排気ダクトである。
【0014】次に、前記実施の形態の作用を説明する。揚げ物の製造に際し、油の種類および温度に対応した最適な印加電圧を設定し、電極13、14に印加すると、電極13と14の間に電場が発生し、この電場域の油においては、電場の作用により加熱による酸化が抑制される。これにより、油のもちを向上させ、油の廃棄回数(量)を減少させることができる。また、それぞれの無端状のコンベア10、11の内側に電極13、14を位置させて設け、互に対向させた構成としたので、無端状のコンベア10、11内の電極13、14に調理人が触れようとしても、ネット状に形成した無端状のコンベア10、11に妨げられる。このため、感電のおそれをなくし、安全性を向上させることができる。
【0015】しかも、被揚げ物は対向する電極間を無端状のコンベア10、11で油中に押し付けられて移動するので、被揚げ物は電場域を通過することとなり、ジューシー感や衣にクリスピー性(サクサク感)のある経時変化の少ない揚げ物となる。
【0016】また、水分を多量に含んだ食材を揚げる場合、油の貯留面に浮きあがってくる気泡が電場の作用により微細となるので、油の飛散をなくすことができる。また、電極13、14の絶縁体としてフランジ付き筒状の碍子15を用いた構成としたので、絶縁状態で電極13、14を容易に支持することができる。
【0017】なお、本発明は、前記実施の形態に限定されるのもでなく、種々の改変が可能であることは勿論である。例えば、電極として、導電性を有するセラミック製のものを使用し、セラミックの浄化作用により油の質の低下を抑制することもできる。実施の形態では、揚げ物の製造中のみ、電圧を印加する場合で説明したが、これに限らず、製造休止後、油の温度が降下して設定温度に達するまで電圧の印加を行い、これにより油の酸化抑制の効果をより一層高めることもできる。また、実施の形態において、無端状のコンベアとして目の粗いものを使用した場合、離散した揚げ物の一部を下段の搬送コンベアにより投入側に搬送させて回収することもできる。
【0018】以上のような装置において、油槽内に微弱電流高電圧(電場)(1mA〜100mA、100V〜15000V)を印加すると、水、油の中の分子集合体であるクラスターが電場の印加により細分化され熱伝導が著しく良くなり水分の蒸発速度が著しく早められるのではないかと考察される。その結果、揚げ物のジューシー感や衣にクリスピー性(サクサク感)のある経時変化の少ない揚げ物の提供が可能となる。特に、この装置は、被揚げ物が対向する電極間を無端状のコンベアで油中に押し付けられて移動するようになっているので、油中の電場域を通過することとなり、効果は一層向上するものである。
【0019】また、本発明で揚げ物を冷凍保存し電子レンジで解凍しても揚げたてのジューシー感やクリスピー感をほとんど変化なく保持できた。
【0020】また、従来、一般的に揚げ物の温度帯は170℃〜200℃とされてきたが、本発明では150℃という低温域での揚げ物がクラスター現象により可能となり、結果油煙の低減、油の汚染・酸化の抑制、廃油量の削減、加熱重合物(ダイマー)の低減、などに多大の効果がある。なお、ダイマーには毒性があり、人体に悪影響を及ぼす物質とされている。
【0021】また、通常温度帯では不可能とされてきたかき揚げ天ぷらでも、クラスター現象により揚げ物内部の水分蒸発が著しく早められ揚げ時間が短縮され、その結果通常温度帯にもかかわらず周りも焦げることなく中までカラッと揚がり、ジューシー感、クリスピー感のあるかき揚げ天ぷらができ上がった。
【0022】さらに、電場を印加することにより生じるクラスター現象により前記の通り揚げ物の油槽(油)内滞留時間の著しい短縮がはかれる。その結果、揚げ物に対する油の浸透、含有量の減少により油脂摂取量の大幅な削減がはかれ、油によるカロリー過多も防止できると考察される。
【0023】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明によれば、油槽内に電極を一対互に対向させて設けた構成としたので、揚げ物の製造に際し、微弱電流高電圧を印加しながら揚げることができるので、ジューシー感やクリスピー感のある高品質の揚げ物を提供できるし、また、油の酸化を抑制し油のもちを向上させ、油の廃棄回数(量)を減少させることができる。
【0024】特に、本発明は、被揚げ物が対向する電極間を無端状のコンベアで油中に押さえ付けられて移動するようになっており、必ず油中の電場域を通過することとなり、上記効果は一層向上するものである。
【0025】また、本発明は、装置本体と油槽、油槽と放電装置が絶縁されているし、また、油槽内に互に対向させて配設上下2段の搬送コンベアを無端状のコンベアで構成し、それぞれの無他状のコンベア内に電極を位置させて設け、互に対向させた構成としたので、前記発明の効果に加えて、感電のおそれをなくし、安全性を向上させることができる。
【0026】また、本発明によれば、油槽内に電極を設けるとともに、アースに油槽を電気的に接続した構成としたので、電極や絶縁体などの部品の点数を半減させることができる。
【0027】さらに、本発明によれば、電極の絶縁体として碍子を用いた構成としたので、絶縁状態で電極を容易に支持することができる。
【出願人】 【識別番号】599116410
【氏名又は名称】小林 克成
【出願日】 平成10年10月1日(1998.10.1)
【代理人】 【識別番号】100112416
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 定信
【公開番号】 特開2001−286403(P2001−286403A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2001−78677(P2001−78677)