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【発明の名称】 調理機装置
【発明者】 【氏名】梶原 徳二

【要約】 【課題】焦げ防止、焦げ管理をしながら、高温高速加熱調理を確実に可能とする。

【解決手段】食材を投入して調理するための調理容器1、調理容器1の少なくとも底部13を加熱するための加熱手段3と、少なくとも調理容器1を支持し調理容器1側の全重量を検出する重量検出手段9と、調理容器1に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化を予め基準値として記憶する重量変化記憶手段11と、重量検出手段9で検出された全重量の変化と基準値とに基づいて加熱手段3を駆動制御する駆動制御手段11とを備えたことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 食材を投入して調理するための調理容器と、該調理容器の少なくとも底部を加熱するための加熱手段と、少なくとも前記調理容器を支持し該調理容器側の全重量を検出する重量検出手段と、前記調理容器に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化を予め基準値として記憶する重量変化記憶手段と、前記重量検出手段で検出された全重量の変化と前記基準値とに基づいて前記加熱手段を駆動制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする調理機装置。
【請求項2】 請求項1記載の調理機装置であって、前記加熱手段は、前記調理容器の底部を加熱するガス加熱装置又は電磁誘導加熱装置の何れかを備えたことを特徴とする調理機装置。
【請求項3】 請求項2記載の調理機装置であって、前記加熱手段は、調理容器の底部よりも外周側の壁面に閉断面で設けられ、該閉断面内部に流動性熱媒体を供給して前記壁面に対し熱交換可能にするための熱交換ジャケットと、該熱交換ジャケットに、前記流動性熱媒体を外部から給排するための媒体給排手段とを備えたことを特徴とする調理機装置。
【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の調理機装置であって、前記調理容器に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化は、前記調理容器の壁面温度変化と前記食材の温度変化とが乖離する温度に対応する重量を基準に決定することを特徴とする調理機装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、焦げを抑制しつつ高温高速加熱調理を可能にした調理機装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりこの種の調理機装置としては、例えば、食材を投入して調理するための調理容器としての調理釜と、該調理釜の底部に配置され、底部を加熱するためのガス加熱装置とを備えたものがある。かかる調理機装置において、例えば野菜類の炒め調理を行うと、調理釜に投入された大量の野菜類は次のような過程を経ることになる。
【0003】即ち、大型の調理釜に対し、大量の野菜類が、当初調理釜の上端にまで一杯に投入され、ガス加熱装置によって調理釜の底部が高温で加熱される。炒め調理の進行と共に、当初調理釜の上端部にまで一杯に入っていた野菜類が調理釜の底部側へ容積を収縮させ、最終的に底部でのガス加熱装置による高温加熱によって炒め調理を完成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のように底部のガス加熱装置による高温加熱で炒め調理する場合には、大量の野菜が調理釜底部に収縮するまでに相当の時間を要し、加熱調理時間が著しく長くなるという問題があった。この時間を短縮するために加熱の温度を高めると、野菜類が調理釜の内面に焦げ付きやすくなるという問題がある。
【0005】この問題を解決するためには、焦げを起こさないようにしつつ野菜類等食材の温度を高めればよいのであるが、焦げを起こす温度ポイントが判然とせず、作業者の勘に頼らざるを得ないものとなっていた。このため、調理速度が作業者の能力に制限され、調理時間の短縮に限界を招いていた。
【0006】本発明は、焦げを抑制しながら、高温高速加熱調理を可能とする調理機装置の提供を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、食材を投入して調理するための調理容器と、該調理容器の少なくとも底部を加熱するための加熱手段と、少なくとも前記調理容器を支持し該調理容器側の全重量を検出する重量検出手段と、前記調理容器に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化を予め基準値として記憶する重量変化記憶手段と、前記重量検出手段で検出された全重量の変化と前記基準値とに基づいて前記加熱手段を駆動制御する駆動制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】請求項2の発明は、請求項1記載の調理機装置であって、前記加熱手段は、前記調理容器の底部を加熱するガス加熱装置又は電磁誘導加熱装置の何れかを備えたことを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、請求項2記載の調理機装置であって、前記調理容器の底部よりも外周側の壁面に閉断面で設けられ、該閉断面内部に流動性熱媒体を供給して前記壁面に対し熱交換可能にするための熱交換ジャケットと、該熱交換ジャケットに、前記流動性熱媒体を外部から給排するための媒体給排手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の調理機装置であって、前記調理容器に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化は、前記調理容器の壁面温度変化と前記食材の温度変化とが乖離する温度に対応する重量を基準に決定することを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】請求項1の発明では、調理容器に食材を投入し、加熱手段によって調理容器の少なくとも底部を加熱することができる。このとき、調理容器側の全重量を重量検出手段によって検出することができ、重量変化記憶手段によって調理容器に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化を予め基準値として記憶することができる。従って、前記検出手段で検出された全重量の変化と基準値とに基づいて、前記駆動制御手段により加熱手段を駆動制御することができる。このため焦げを抑制することができ、加熱調理の速度も規制されず、調理時間を短縮することができる。
【0012】請求項2の発明では、請求項1の発明の効果に加え、ガス加熱装置又は電磁誘導加熱装置の何れかにより調理容器の底部を加熱することができる。従って、ガス加熱装置又は電磁誘導加熱装置により加熱制御を的確に行うことができる。
【0013】請求項3の発明では、請求項2の発明の効果に加え、熱交換ジャケットの閉断面内部に媒体給排手段によって流動性熱媒体を供給し、壁面に対し熱交換可能にすることができる。従って、前記食材を調理容器の底部と底部よりも外周側の壁面との双方で効率良く加熱することができる。しかもガス加熱装置又は電磁誘導加熱装置による加熱は、熱伝導により調理容器の底部よりも外周側の壁面に伝わることになる。このとき調理容器の底部よりも外周側の壁面には熱交換ジャケットが存在し、しかも流動性熱媒体との熱交換によって加熱することができるため、底部側から熱伝導で伝わった熱が、外部へ熱放射されるのが抑制され、調理容器内へ効率良く熱を伝えることができる。従って全体として、大量の食材を投入して加熱調理する場合に、その加熱調理時間を著しく早めることができる。
【0014】特に上記のように、加熱調理時間が著しく早くなる場合には、作業者が逐一注意を払って焦げを確認しながら温度制御するのは相当の熟練を要するが、上記駆動制御によって正確な制御を極めて容易に行うことができる。このため、作業者の作業能力によって加熱調理の速度が制限されることが無くなり、全体として調理時間を大幅に短縮することができる。
【0015】請求項4の発明では、請求項1〜3の何れかの発明の効果に加え、調理容器に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化は、前記調理容器の壁面温度変化と前記食材の温度変化とが乖離する温度に対応する重量を基準に決定するので、焦げを抑制した加熱調理をより正確に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は本発明の第1実施形態に係る調理器装置の全体概略図である。この図1のように、本発明の第1実施形態に係る調理機装置は、調理容器1と、加熱手段としてのガス加熱装置3と、加熱手段としての熱交換ジャケット5及び媒体給排手段7と、重量検出手段9と、制御盤11とからなっている。
【0017】前記調理容器1は、食材、例えば野菜などを投入して炒め調理し、あるいは練りあん、ソース、スープ、その他食品を煮詰め調理する大型の調理釜で構成されている。調理容器1は、球面状に形成された底部13と、該底部13の外周側に立ち上がった胴部15とからなっている。調理容器1は、鉄、ステンレス、あるいは鉄とステンレスを多層にしたもの、さらには銅のいずれか、あるいはこれらの組み合わせによって形成されている。
【0018】前記調理容器1の底部13には、外周側に壁面温度検出手段として温度センサ16が取り付けられている。この温度センサ16は底部13の壁面温度を検出するもので、その出力は前記制御盤11に入力されるようになっている。壁面温度検出手段は、底部13の他、胴部15にも設け、双方で壁面温度を検出する構成にすることもできる。
【0019】前記ガス加熱装置3は、前記調理容器1の底部13下面に配置され、該底部13を加熱するためのものある。前記ガス加熱装置3は、複数のガスバーナ17,19,21を備えている。ガスバーナ17,19,21は、平面から見て円環状にそれぞれ複数配置されているもので、ガスバーナ17、19が内輪側、ガスバーナ21が外輪側の配置となって、内外輪各別に制御できる。
【0020】前記ガスバーナ17,19,21は、ガス配管23によって燃料ガス26の供給源に接続されている。ガス配管23には、ソレノイドバルブ25,27,29,31が備えられ、後述する制御盤11によって駆動制御可能となっている。ソレノイドバルブ27は、内輪側のガスバーナ17、19を開閉制御し、ソレノイドバルブ25は、外輪側のガスバーナ21を開閉制御するようになっている。
【0021】前記熱交換ジャケット5は、前記調理容器1の底部13よりも外周側の壁面に閉断面で設けられ、該閉断面内部に流動性熱媒体を供給して前記壁面に対し熱交換可能にするためのものである。すなわち、熱交換ジャケット5は、本実施形態において底部13外周側のコーナー部から胴部15にかけてその外面に閉断面で形成されている。この熱交換ジャケット5は、調理容器1の全周に連続して形成されている。但し、熱交換ジャケット5を調理容器1の全周方向で所定長さごとに区画して設けることもできる。この場合、各区画された熱交換ジャケットのそれぞれに各別の制御によって流動性熱媒体を給排することもできる。
【0022】本実施形態においては、前記媒体給排手段7により、流動性熱媒体として蒸気と水と空気とを選択して給排するようになっている。尚、熱交換ジャケット5によって加熱のみを目的とする場合には、媒体給排手段7により流動性熱媒体として蒸気のみを給排する構成にすることもできる。
【0023】前記媒体給排手段7は、上部配管33と、下部配管35とを備え、上部配管33は熱交換ジャケット5の一側においてその上部側に接続され、下部配管35は同他方側において下部側に接続されている。上部配管33は、3つの配管37,39,41に分岐され、それぞれソレノイドバルブ43,45,47が備えられている。これら各ソレノイドバルブ43,45,47は前記制御盤11によって開閉制御されるようになっている。そして、前記配管37は蒸気49の供給源に接続されている。配管37には、圧力センサ38が設けられ、その検出値は制御盤11に入力されるようになっている。また、配管39は冷却水51の排出部に接続され、配管41は冷却空気53の排出部に接続されている。
【0024】前記下部配管35は、3つの配管55,57,59に分岐され、それぞれソレノイドバルブ61,63,65が備えられている。各ソレノイドバルブ61,63,65は、前記制御盤11によって開閉制御されるようになっている。前記配管55は蒸気49の排出側に接続され、配管57は冷却空気53の供給源に接続され、配管59は冷却水51の供給源に接続されている。
【0025】前記熱交換ジャケット5の下部には、平坦面67が全周にわたって形成されている。平坦面67は、その下側の断熱壁部69上の平坦な上面71に対向している。断熱壁部69は、前記底部加熱手段3の外周側を囲む構成であり、支持台73上に支持されている。この断熱壁部69は、前記熱交換ジャケット5とガス加熱装置3とを熱的に区画している。
【0026】前記支持台73には、載置用の複数の足部75が設けられている。各足部75には、前記重量検出手段9として、例えばロードセルが取り付けられている。各足部75のロードセルの検出信号は、前記制御盤11に入力されるようになっている。これら各足部75に取り付けられたロードセルの検出荷重を平均化することによって、調理容器1及び熱交換ジャケット5側の全重量を正確に検出することができる。特に調理中に調理容器1内において食材が片寄ったり、攪拌によって動いたりしても、その時々の荷重を各足部75に取り付けたロードセルによって検出し、その平均を算出することによって逐次正確な重量検出を行うことができる。尚、本実施形態においては、前記断熱壁部69側を含めて調理容器1及び熱交換ジャケット5側の全重量を検出するようになっている。
【0027】前記制御盤11は、重量変化記憶手段として前記調理容器1に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化を予め基準値として記憶している。調理容器1に投入された食材の焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化は、前記調理容器1の壁面温度変化と前記食材の温度変化とが乖離する温度に対応する重量を基準に決定するもので、本出願人が確認した。かかる温度については後述する。
【0028】また、制御盤11は、駆動制御手段として重量検出手段9で検出された重量変化と前記基準値とに基づき少なくとも前記ガス加熱装置3を駆動制御する。このガス加熱装置3の制御は、例えば、ソレノイドバルブ25,27を開閉することにより行われる。すなわち、内輪側のガスバーナ17,19への燃料ガス26の供給を段階的に減じ或いは停止し、外輪側のガスバーナ21への燃料ガス26の供給を段階的に減じ或いは停止し、これら内外輪のガスバーナ17,19、21の制御タイミングをずらすなどの制御を行う。また、制御盤11は、媒体給排手段7を駆動制御する。この場合の駆動制御の対象は、ソレノイドバルブ43,45,47,61,63,65等である。
【0029】前記調理容器1には、上部から攪拌手段77の攪拌羽根79,81,83が挿入されて、加熱撹拌可能となっている。攪拌手段77は、本実施形態において、調理容器1とは別に支持されたものである。但し、攪拌手段77を調理容器1と共に支持台73上に支持することも可能である。この場合、重量検出手段9は、攪拌手段77を含めて全重量を検出する構成となる。
【0030】前記攪拌羽根79,81は、偏心自転軸84に支持された枝軸85に取り付けられている。偏心自転軸84の下側には、補助軸87が設けられ、該補助軸87の下端に食材温度検出手段としての温度センサ89が支持されている。温度センサ89は調理容器1内の食材の加熱調理中の温度を検出するものであり、その出力は前記制御盤11に入力されるようになっている。但し、攪拌羽根79,81,83を取り付けないときは、別の支持手段により温度センサ89を取り付けることになる。前記攪拌羽根83は、主軸91側に支持された枝軸93に取り付けられている。
【0031】次に、作用を説明する。まず、調理容器1内に野菜等の食材、必要に応じて水、さらには調味材等が投入される。水、調味材等の投入時期は調理目的に応じて加熱開始からずれることもあり、また投入量は調理目的に応じて変更されるものである。これらの投入量は、調理目的に応じて予め実験により決められており、これにより調理目的に応じた食材の投入量、水、調味料等の投入量を極めて容易に把握することができ、作業性が著しく向上する。
【0032】そして、制御盤11の駆動制御によって、ガス加熱装置3のソレノイドバルブ25,27が開閉制御され、燃料ガス26が供給源から配管23を通って各ガスバーナ17,19,21から噴き出され、制御盤11のコントロールによる自動着火によって点火が行われる。これによって、調理容器1の底部がガス加熱により高温で加熱される。同時に制御盤11の駆動制御によって、ソレノイドバルブ43,61が開閉制御され、蒸気49の供給源から配管37を通して熱交換ジャケット5内に蒸気が供給される。この供給される蒸気は、加熱目的に応じて飽和蒸気、過熱蒸気など種々選択されるものである。この熱交換ジャケット5内に供給された蒸気が調理容器1の底部13よりも外周側の壁面に対して熱交換を行ない、該部分において調理容器1が加熱されることになる。
【0033】従って、調理容器1の上部にまで大量に投入された野菜等であっても、ガス加熱装置3による加熱と、熱交換ジャケット5での熱交換による加熱とにより、高速加熱を行うことができる。又、底部13の熱は、熱伝導によって胴部15側に伝わるが、熱交換ジャケット5において蒸気が存在するので、熱伝導で伝わった熱が外部へ逃げることがなく、調理容器1内へ効率良く伝達することができる。従って、かかる点からも調理容器1内全体を高速加熱することができる。
【0034】そして、調理容器1内に投入された食材が、例えば野菜であり、これを炒め調理する場合に、調理容器1の上部にまで一杯に投入された野菜は、底部13側へ短時間で集束し、底部13側におけるガス加熱によって高温調理を行うことができる。
【0035】ここで、上記従来のように底部13のガス加熱のみで高温調理を行なう場合、当初加熱釜1の上部にまで一杯に投入された野菜をいち早く底部13側へ集束させようとしてガスによる高温加熱を強烈に行うと、投入された野菜が容易に焦げてしまうものとなる。また、このような焦げを避けようとして、ガス加熱の度合いを弱めると、投入された野菜が底部13側へ集束するのに時間がかかりすぎてしまうものとなる。
【0036】これに対し、上記のようなガスによる底部13の加熱と、蒸気による胴部15側での熱交換による加熱とにより、大量に投入された野菜等を底部13側へいち早く短時間で集束させ、ガス加熱による高温加熱をいち早く行わせることができる。すなわち、本実施形態のようないわゆるハイブリッド加熱によって、短時間高温調理を行うことができる。
【0037】かかる調理において、攪拌手段77では、主軸91の回転と共に、偏心自転軸84が主軸91の回りに公転し、且つ枝軸85が偏心自転軸84の回りに自転する。従って、攪拌羽根79,81は偏心自転軸84の回りに自転しながら主軸91の回りに公転し、攪拌羽根83は主軸91の回りに自転することになる。これら攪拌羽根79,81,83によって、調理容器1内の食材を攪拌調理することができ、全体として高温高速攪拌調理を行うことができる。
【0038】食材が野菜であり、野菜の炒め調理を行う場合などにおいて、食材が底部13側へいち早く集束し、或いはその途中にあるとき、制御盤11によってソレノイドバルブ43,61が制御され、熱交換ジャケット5から蒸気が抜かれ、あるいは供給が停止され、熱交換の度合いが弱められ又は停止される。従って、調理容器1の胴部15側での蒸気による熱交換は抑制され、あるいは停止されることになるので、野菜の炒め調理中に底部13側へ集束する途中工程において、胴部15側で蒸気により加熱されすぎて焦げが生じるなどの問題を抑制することができる。
【0039】さらに制御盤11によるソレノイドバルブ45,47,63,65の開閉制御によって、熱交換ジャケット5内に冷却水あるいは冷却空気を投入することができる。従って、調理容器1の底部13よりも外周側の壁面において積極的な冷却を行うことができ、該部分での焦げつきを確実に規制することができる。この場合、食材は底部13側に収縮しており、ガス加熱による高温調理に影響することはない。又、食材によっては加熱調理後、ガス加熱装置3のガス加熱を停止し、熱交換ジャケット5に冷却水51あるいは冷却空気53を積極的に投入して、冷却しながら調理容器1内に寝かせておくこともできる。
【0040】そして、かかる調理過程において、加熱調理の速度を維持しながら食材の焦げ抑制を管理することは極めて重要である。
【0041】図2(b)は、食材を「玉葱」として焦げの発生を実験により確認したときの壁面温度変化A2、食材温度変化B2、食材の重量変化C2、食材の攪拌状況D2を示したものである。図2の縦軸は、温度、重量、回転数を表し、横軸は時間を表している。同図において、壁面温度変化A2と食材温度変化B2とが乖離する点EP1から焦げの発生が始まり、乖離状態が続いているときに焦げが進行していることが確認できた。そこで、調理容器1に投入された食材が焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化を、前記調理容器1の壁面温度変化A2と前記食材温度変化B2とが乖離する温度に対応する重量を基準に決定し、予め基準値として前記制御盤11に記憶させている。
【0042】すなわち、予め実験により、前記温度センサ16で検出される調理容器1の壁面温度と、前記温度センサ89で検出される食材の温度とが乖離を起こさない範囲で調理目的に応じて、図2(a)で示すような重量変化の基準線K1を基準値として求める。乖離の状態は、食材としての「玉葱」の投入量、水、調味料等の投入量により異なるので、予め目的の調理を行うための投入量を決め、これに基づいて実験を重ね、基準線K1を決定する。また、基準線K1は、その日の湿度、温度などによっても変わる可能性があり、これらのデータも合わせて制御盤11に記憶させておくことにより、更に正確な基準線K1を設定することができる。なお、食材の攪拌は、焦げ付きを抑制するものであるが、攪拌がある限りその状況変化は乖離にあまり影響するものではない。
【0043】そして、加熱調理中に、各足部75に取り付けた重量検出手段9の各ロードセルによって全重量を検出し、全重量に基づき制御盤11によって調理容器1内の食材の重量変化を逐次演算する。かかる演算結果は、基準値である基準線K1と比較され、これと一致するようにガス加熱装置37が制御されることになる。なお、基準値を加熱調理中の調理容器1等を含む全重量変化とし、かかる基準値と検出した全重量とを直接比較して制御する構成にすることもできる。
【0044】前記制御は例えばガス加熱装置3側においては、図2(a)の、E1,F1のように行っている。すなわち、ソレノイドバルブ25,27の開閉制御によって外輪側F1のガスバーナ21、内輪側E1のガスバーナ17,19を選択的に停止させることなどによって行なっている。
【0045】同時に、媒体給排手段7側の制御も行わせることができる。例えば、ソレノイドバルブ43、45,47,61,63が開閉制御されて、熱交換ジャケット5に対して蒸気、冷却水、冷却空気を選択的に給排し、温度制御が行われる。
【0046】また、食材によっては、積極的に焦げを発生させて、色あるいは風味を付けることもある。かかる場合において、焦げを必要としても、必要以上に焦げを付けると製品として成立しなくなるため、厳しい管理が必要である。かかる場合において、予め実験により調理目的に合った焦げを得るための基準線K1を決定しこれを基準値として記憶させておくことにより、所望の焦げを的確に得ることができる。
【0047】そして、特に上記のようなハイブリッド加熱においては、従来の倍以上の高温高速加熱調理を行うことができるため、作業者の勘などに頼る焦げ防止、焦げ管理では、作業が間に合わなかったり、オーバーランによって焦げが発生し易くなるが、上記制御によって極めて容易に且つ正確に焦げ防止、焦げ管理を行いながら、目的の調理を確実に行うことができる。従って、高温加熱調理の速度が作業者の作業能力に規制されることが無くなり、高温高速加熱調理を確実に行うことができる。
【0048】図3(b)は、食材を「あん」として焦げの発生を実験により確認したときの壁面温度変化A4、食材温度変化B4、食材の重量変化C4、食材の攪拌状況D4を示したものである。図3の縦軸は、温度、重量、回転数を表し、横軸は時間を表している。同図において、加熱調理後に余熱により壁面温度変化A4と食材温度変化B4とが乖離する点EP2から焦げの発生が始まり、乖離状態が続いているときに焦げが進行していることが確認できた。そこで、調理容器1に投入された余熱により食材が焦げを起こさずに調理目的を達成するための重量変化を、前記温度の乖離を基準にして決定し、予め基準値として前記制御盤11に記憶させている。
【0049】すなわち、図3(a)においては、予め実験により、上記とほぼ同様にして実験を重ね、余熱により焦げを起こさずに目的の調理を行う基準線K2を決定する。また、基準線K2は、その日の湿度、温度などによっても変わる可能性があり、これらのデータも合わせて制御盤11に記憶させておくことにより、更に正確な基準線を設定することができる。
【0050】そして、前期同様にして加熱調理中に、基準線K2を用いて重量制御行うことができる。この制御は、例えばガス加熱装置3側においては、図3(a)の、E2,F2のように行っている。すなわち、ソレノイドバルブ25,27の開閉制御によって外輪側F2のガスバーナ21、内輪側E2のガスバーナ17,19を選択的に停止させることなどによって行なっている。
【0051】従って、余熱による焦げの発生を、重量制御により的確に抑制することができる。
【0052】尚、上記加熱調理中に、温度センサ16,89による壁面温度、食材温度を液晶モニタなどに表示させ、これを確認できる構成にすることもできる。この場合、前記重量制御による焦げ抑制、焦げ管理が適正に行われているか否かを目視で確認することができ、より的確な制御を行わせることができる。また、前記壁面温度、食材温度の検知により乖離が生じた場合には、重量制御の異常と判断し、ブザー等により警報し、修理等を促す構成にすることもできる。食材としては、上記の他に、ホワイトルー、カスタードクリーム、卵等が考えられるが、これに限られるものではない。(第2実施形態)図4は、本発明の第2実施形態に係る調理器装置の全体的な構成図であり、図1に対応している。尚、第1実施形態と対応する構成部分には同符号を付して説明する。
【0053】本実施形態においては、底部13の加熱手段として、電磁誘導加熱装置を用いたもので、調理容器1の底部13の下部に電磁誘導発熱体105を配置している。この電磁誘導発熱体105の電気的な制御は、制御盤11で行うようになっている。制御盤11による電磁誘導発熱体105の制御は、例えば前記ガスによる加熱と同様に、外周側部と内周側部とで発熱状態を駆動停止するなど、その制御を行うことができるようになっている。
【0054】従って、本実施形態においても第1実施形態と略同様な作用効果を奏することができる。又、本実施形態においては、電磁誘導発熱体105を用いるため、制御盤11による制御はより容易になると共に、ガスの場合のように配管、排気構造等を不要とし、コンパクトに構成することも可能である。
【0055】尚、上記実施形態では、底部加熱手段としてガス加熱装置又は電磁誘導加熱装置を示したが、各種の発熱コイルを用いた電磁誘導以外の電気的な加熱手段、あるいは底部13に熱交換ジャケットを別に設け、底部13も蒸気による熱交換によって加熱する構成にすることもできる。この場合、底部13側のジャケットには、胴部15側の熱交換ジャケット5で使用した蒸気を再加熱して過熱蒸気として供給することもできる。又、胴部15側の熱交換ジャケット5とは別系統とし単独で過熱蒸気を供給することも可能である。さらに、調理容器1の熱交換ジャケット5側を各種発熱コイルあるいは電磁誘導発熱体で構成し、電気的に加熱する構成も均等の範囲である。
【出願人】 【識別番号】000125587
【氏名又は名称】梶原工業株式会社
【出願日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【代理人】 【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
【公開番号】 特開2001−286396(P2001−286396A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2000−102789(P2000−102789)