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【発明の名称】 フライヤ装置
【発明者】 【氏名】小柴 和弘

【氏名】阿部 材

【氏名】内堀 守夫

【要約】 【課題】油の酸化を極力抑え、高品質の製品を容易に製造できるフライヤ装置1を提供する。

【解決手段】フライヤ装置1は、その内部に油を貯留させるオイル槽2と、このオイル槽2内の油を加熱するための電気ヒータ30と、を備える。オイル槽2内に、このオイル槽2内の油を循環させるための油循環手段14Aを着脱自在に設ける。油循環手段14Aは、電動機15と、この電動機15の出力軸15aに固設された回転翼16と、を備える。この回転翼16の回転により、オイル槽2内の油を上下方向に亙って循環させる。必要に応じて、オイル槽2内の油が減少した場合に自動的に補給する油供給装置を付設する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に油を貯留させるオイル槽と、このオイル槽内の油を加熱するための加熱手段と、を備え、上記オイル槽内に貯留され、上記加熱手段によって加熱された油中に、下準備を終えた食材を投入することにより、これら食材を油で揚げて調理するフライヤ装置において、上記オイル槽内に、このオイル槽内の油を循環させるための油循環手段を着脱自在に設けたことを特徴とするフライヤ装置。
【請求項2】 前記油循環手段が、電動機と、この電動機の出力軸に固設された回転翼と、を備えたものであることを特徴とする、請求項1に記載のフライヤ装置。
【請求項3】 前記油循環手段は、その内部に前記回転翼を配置して成る、両端が開口する筒部材を有しており、この筒部材を、その両端開口が前記オイル槽の上下方向に位置するよう配設することにより、上記オイル槽内の油を上下方向に亙って循環させるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載のフライヤ装置。
【請求項4】 前記筒部材の両端開口部分のうちの少なくとも一方に、前記油中に浮遊する不要物の循環を防止するためのフィルタを設けたこと特徴とする、請求項3に記載のフライヤ装置。
【請求項5】 前記オイル槽の近傍に、このオイル槽内の油が減少した場合に油を自動供給するための油供給装置を設けたことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のフライヤ装置。
【請求項6】 前記油供給装置は、その内部に前記油を貯留し、前記オイル槽の近傍に着脱自在な油容器と、この油容器の底部に形成され、該油容器とオイル槽内部とを連通させる連通管と、この連通管の内部に設けられたニードル弁と、を備え、このニードル弁は、油容器に近付くほど小径となるようテーパさせた弁座と、その先端部を上記弁座に密に当接自在とした弁体と、この弁体に形成され、該弁体の先端部が上記弁座から離れた場合に、上記油容器内の油を上記オイル槽内に流通させる流通孔と、を備えたものであることを特徴とする、請求項5に記載のフライヤ装置。
【請求項7】 前記油供給装置は、上方が開口した油容器と、その一端を上記油容器の底部から延出するとともに、その他端を、前記オイル槽の側壁で、このオイル槽内に所定量の油を貯留させた場合における油位部分に接続して成るものであることを特徴とする、請求項5に記載のフライヤ装置。
【請求項8】 前記油供給装置は、油容器と、この油容器から延出し、前記オイル槽に連通する連通管と、この連通管の途中部分に設けられた開閉弁と、を備えたものであることを特徴とする、請求項5に記載のフライヤ装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば小麦粉等によって衣を付けた肉類や魚介類或いは野菜等を油で揚げて調理するためのフライヤ装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種のフライヤ装置は、大別して「電気式」のものと、「都市ガス式」のもとが知られている。これら各フライヤ装置のうち、コンビニエンスストアやスーパーマーケット或いはデパート等、不特定多数の人が集まる場所では、火災防止等の意味合いから一般に電気式フライヤ装置が使用されている。
【0003】上記電気式フライヤ装置は、基本的な構造として、その内部に油を貯留させるオイル槽と、このオイル槽内の油を加熱するための電気ヒータと、を備えている。上記電気ヒータは、一般にオイル槽底部に配設している。このような電気式のフライヤ装置により、例えば小麦粉等によって衣を付けた肉類や魚介類或いは野菜等(以下、下準備を終えた食材と称する)を油で揚げて調理する場合には、以下のように行なう。先ず、上記オイル槽内に所望量の油を送り込む。次いで、この油を所定温度に加熱すべく、上記電気ヒータに通電する。上記油の温度が調理すべき食材に適した温度となったならば、この油中に上記食材を投入する。所定時間経過後、揚げられた食材を上記オイル槽内から取り出し、製品(フライ)として完成する。
【0004】尚、都市ガス式のフライヤ装置においは、上記加熱手段が都市ガスを利用する以外、上述した電気式のフライヤ装置とほぼ同様の構成及び作用を有する。但し、この都市ガス式のフライヤ装置は、上述したように、比較的大きな規模の火災や爆発等の虞が、電気式のフライヤ装置に比較して高い(勿論、通常の使用、保守点検を行なっている限り、事故が生じることはないと考えられる)ため、コンビニエンスストア等の多数の人が集まる場所にはあまり設置されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したような従来から知られたフライヤ装置の場合、以下のような解決すべき課題が知られている。先ず、オイル槽の容積を大きくしないと槽内の油の温度管理が難しいものであった。すなわち、上記下準備をした食材を上記オイル槽内に投入すると、上記油の温度が急激に低下してしまう。このため、できあがった食品(フライ)の品質が一定しないことがままある。言い換えれば、フライヤ装置を用いた調理には熟練を要する。上記油の温度が急激に低下することを防止するには、食材を少しずつオイル槽に投入することが効果があるが、これでは、大量の食材を客を待たせることなく迅速に調理することができず、商店側にとっても客側にとっても好ましくない。
【0006】また、上述のようなフライヤ装置におけるオイル槽は、広口のものが一般に使用されている。従って、従来のフライヤ装置を用いた場合には、オイル槽内の油は空気と接触する面積が大きく、油の酸化が急速に進んでしまうものであった。油の酸化は、調理品の品質を著しく低下させてしまう。また、法律の定めにより、油の酸度が3となった場合には、これを交換しなければならない。従って、大量の油を交換しなければならず、環境保護の観点からも対策が求められていた。
【0007】尚、オイル槽内の油温のばらつきを抑えるためには、加熱手段を構成する電気ヒータの容量を大きくすることが考えられる。しかしながら、大容量の電気ヒータを採用した場合、エナーシャ(熱慣性)の作用により、温度管理が一槽困難になってしまう。又、従来用いられていた電気ヒータにせよ、上述した大容量の電気ヒータにせよ、ヒータ表面は高温になるため、ヒータ表面に油滓が付着しやすい。このため、頻繁に清掃を行なう必要が生じ、多大な労力を要していた。上記油滓の除去を怠ると当該電気ヒータに熱がこもり、ヒータを破損させてしまう原因となってしまう。また、上記油滓がヒータ表面で炭化してしまい、油の酸化を助長する、所謂酸化の熱触媒となる。油の酸化に伴う不都合は、上述した通りである。
【0008】この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、省エネ、省手間、省資源を図れ、操作性が良く、誰にでも簡単に高品質のフライを製造できる電気式のフライヤ装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明は、内部に油を貯留させるオイル槽と、このオイル槽内の油を加熱するための加熱手段と、を備え、上記オイル槽内に貯留され、上記加熱手段によって加熱された油中に、下準備を終えた食材を投入することにより、これら食材を油で揚げて調理するフライヤ装置において、上記オイル槽内に、このオイル槽内の油を循環させるための油循環手段を着脱自在に設けたことを特徴とするものである。
【0010】上記油循環手段としては、電動機と、この電動機の出力軸に固設された回転翼と、を備えたものを採用することができる。
【0011】更に、上記油循環手段は、その内部に前記回転翼を配置して成る、両端が開口する筒部材を有しており、この筒部材を、その両端開口が前記オイル槽の上下方向に位置するよう配設することにより、上記オイル槽内の油を上下方向に亙って循環させるようにした構成を採用することができる。
【0012】更に、上記筒部材の両端開口部分のうちの少なくとも一方に、上記油中に浮遊する不要物の循環を防止するためのフィルタを設けても良い。
【0013】更に、この発明においては、上記オイル槽の近傍に、このオイル槽内の油が減少した場合に油を自動供給するための油供給装置を設けることもできる。
【0014】上記油供給装置としては、例えば、その内部に上記油を貯留し、上記オイル槽の近傍に着脱自在な油容器と、この油容器の底部に形成され、該油容器とオイル槽内部とを連通させる連通管と、この連通管の内部に設けられたニードル弁と、を備え、このニードル弁は、油容器に近付くほど小径となるようテーパさせた弁座と、その先端部を上記弁座に密に当接自在とした弁体と、この弁体に形成され、該弁体の先端部が上記弁座から離れた場合に、上記油容器内の油を上記オイル槽内に流通させる流通孔と、を備えた構成を採用できる。
【0015】また、上記油供給装置としては、上方が開口した油容器と、その一端を上記油容器の底部から延出するとともに、その他端を、前記オイル槽の側壁で、このオイル槽内に所定量の油を貯留させた場合における油位部分に接続して成る構成を採用できる。
【0016】或いは、上記油供給装置として、油容器と、この油容器から延出し、前記オイル槽に連通する連通管と、この連通管の途中部分に設けられた開閉弁と、を備えた構成を採用しても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の一形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0018】図1に示すように、この形態例に係る電気式のフライヤ装置1は、長矩形のオイル槽2と、このオイル槽2の一端部(図1、図2のそれぞれ左上端部)から上方に延出する、やはり長矩形の駆動部3とを備えている。本例の場合、上記オイル槽2は、一の大きな凹部とし、この凹部内に複数(図示の例の場合、2個)のフライ籠4、4を浸漬できるようにしている。尚、図1に示した例においては、一の凹部の中間部に橋部材5を掛け渡し、上記凹部の互いに対向する二辺2a、2a周縁部と上記橋部材5の周縁部とで、それぞれのフライ籠4、4を支持するようにしている。オイル槽2を2つの凹部から構成しても良いことは勿論である。また、図2において、符号30は加熱手段をなす電気ヒータである。
【0019】上記フライ籠4は、図1に示すように、金属製の線状部材により、下準備を終えた食材6、6を収納する収納部7と、この収納部7から延出する把持部8と、収納部7の上方開口を覆う蓋9と、から構成されている。このような蓋9を設けることにより、放熱が大幅に減少する。すなわち、アルミ箔の応用で放熱を大幅にカットできる。また、油の飛散量がきわめて少なくなるため、什器や什器回りが油で汚れず、清潔な作業環境を容易に作り出すことができる。この結果、掃除が従来の場合に比較して1/3以下の時間で完了する。また、飛散する油の無駄も省ける。
【0020】更に、本形態例の場合、図示しないタイマにより、予めセットした時間に達すると、フライ籠4が自動的に上昇し、調理を終了するようにしている。すなわち、図2に示すように、上記駆動部3を構成するケーシングの内部には、このケーシングに固定の部材3aにその一端部(図2の上端部)を係止するとともに、上記フライ籠4の一端部(把持部8と反対側の端部)を係止自在な係止片10にその他端部(図2の下端部)を固定したコイルばね11、11を設けている。上記フライ籠4の一端部を上記係止片10に係合させることにより、このフライ籠4は係止片10に支持された状態となる。この状態で、上記コイルばね11に連結したレバー12を押し下げれば、このフライ籠4を上記コイルばね11の弾性力に抗して下降させ、オイル槽2内の油中にフライ籠4を浸漬することができる。
【0021】フライ籠4を最下位置まで下降させると、後述する鉤片13(図13参照)の、相手部材(係止受部)36との係合により、当該位置に保持される。また、上記タイマが計測する時間が終了すると、電気的或いは機械的に上記係止受部36と鉤片13との係合が外れ、上記コイルばね11の弾性力によってフライ籠4が上昇し、その調理を終えるようにしている。
【0022】更に、本形態例においては、この発明の特徴部分である油循環手段14aを設けている。本形態例に係る油循環手段14Aは、図3に示すように、上記フライ籠4をオイル槽2内にセットした場合に、これらフライ籠4と干渉しない位置に、着脱自在に設けられている。すなわち、本形態例に係る油循環手段14Aは、所謂投げ込み式のものを採用する。
【0023】具体的には、この油循環手段14Aは、電動機15と、この電動機15の出力軸15aに固設された回転翼16aと、を備えている。この回転翼16aは、両端開口がオイル槽2の上下方向(図3の上下方向)を向くように配設された筒部材17の内側に位置させている。このため、上記電動機15に通電し、回転翼16aを回転させれば、上記筒部材17の上端側開口から下端側開口(若しくは下端開口から上端開口)に向かう油の流れが惹起され、オイル槽2内で油が循環するようになる。上記油の流れの方向は、電動機15の回転方向や回転翼16aの形状による。
【0024】尚、回転翼の形状としては、図3に示すようなものでも、或いは図4に示す別例のようなものでも、いずれであっても良い。要は、オイル槽2内の油が上下方向に亙って循環するような流れが惹起されれば良い。また、図3、図4にそれぞれ示す油循環手段14A、14Bにおいては、回転翼16a、16bを直接電動機15の出力軸15aに固設した例を示しているが、これとは別に、図5に示すように、回転プーリ18a、18bと伝導ベルト19とを利用した構成を採用しても良い。或いは、図示は省略したが一対の傘歯車を利用した構成を採用することもできる。
【0025】尚、上記筒部材17の上端部内側若しくは下端部内側等に、油こし紙製等のフィルタ(図示せず)を張設し、油の循環に伴って油滓をこのフィルタ上に集め、これら油滓がオイル槽2内に循環しないように構成することもできる。
【0026】上述したような油循環手段を設けることにより、以下のうような効果が得られる。先ず、オイル槽2内の油温を全体に亙ってほぼ均一にできるため、オイル槽2の容積を小さくすることができる。このため、電気ヒータの容量を小さくでき、温度管理が容易になる。また、オイル槽2の容積を小さくできることに伴い、油の温度を短時間で所定温度に達せられるようになる。また、油表面と空気との接触面積が減少するため、油の酸化防止に寄与する。次に、オイル槽2内の油温を全体に亙ってほぼ均一にできることに起因して、素人でも高品質のフライを製造できるようになる。また、オイル槽2内に設ける温度センサの設置位置の自由度が高まるとともに、温度センサの検出値の誤差が小さくなるため、温度管理が容易になる。更には、電気ヒータの温度を必要以上に高めることがなくなるため、ヒータ表面に油滓が付着しなくなり、清掃の手間が軽減するとともに製品の品質向上に寄与する。油の交換も必要なくなり、省資源化に貢献できる。油循環装置にフィルタを設けた場合には、油滓による酸化触媒作用を低減でき、油の酸化を防止できるため、より一槽、清掃の手間が軽減するとともに製品の品質が向上する。また、上記油循環装置14A、14B、14Cは、上述したように簡易な投げ込み式の構成であるため、安価でしかも保守作業が容易である。
【0027】更に、本形態例においては、上記オイル槽2の近傍に、このオイル槽2内の油が減少した場合に新たな油を自動供給するための油供給装置20Aを設けている。この油供給装置20Aは、図6に示すように、その内部に油を貯留し、上記オイル槽2の近傍に着脱自在な油容器21と、この油容器21の底部21aとオイル槽2内部とを連通させる連通管22と、上記油容器21の次述する流出口21b部分に設けられたニードル弁23と、を備えている。
【0028】本形態例の場合、上記オイル槽2から直接連通管22を突出させるとともに、この連通管22先端部に、上記油容器21を収容するための収容部24を設けている。また、本形態例に係る油容器21は、所謂牛乳パックのごとき材質(例えば、紙製若しくはポリエチレンテレフタレート)及び形状を有しており、その底部21aに設けられているキャップ(栓)を開放することにより上記流出口21bが形成されるようになっている。この流出口21b部分に設けられる上記ニードル弁23は、油容器21に近付くほど小径となるよう、その先端部分をテーパさせた弁座23aと、その先端部を上記弁座23aに密に当接自在とした弁体23bと、この弁体23bに形成され、該弁体23bの先端部が上記弁座23aから離れた場合に、上記油容器21内の油を上記オイル槽2へ流通させる流通孔23cと、を備えている。
【0029】このような油供給装置20は、オイル槽2内に十分量の油が貯留している場合は、このオイル槽2内の油が連通管22に入り込み、上記弁体23bを弁座23aに向けて押圧するため、弁体23bの先端部と弁座23aとが密に当接する。このため、油容器21内の油がオイル槽2内に流入することはない。オイル槽2内の油が減少すると、オイル槽2内の油による弁体23bの押圧が解け、この弁体23bが弁座23aから離れる。この結果、上記油容器21内の油が、弁座23aと弁体23b先端部との間に生じた隙間部分と弁体23bに形成した流通孔23cとを介して、上記オイル槽2内に流入する。新たな油がオイル槽2内に流入すると油が徐々に連通管22内を満たし、この油が弁体23bを押圧する。オイル槽2内に所定量の油が貯留された状態においては、再び弁体23bと弁座23aとが密に当接して新たな油の流入を中止する。
【0030】尚、油供給装置としては、図6に示した構造の他に、図7に示す変形例を採用できる。この例の構造においては、オイル槽2内に十分量の油が貯留している場合は、このオイル槽2内の油が連通管22に入り込み、上記弁体23bを弁座23aに設けた開口部23dに嵌合させることにより、油容器21内の油がオイル槽2内に流入しないようにしたものである。その他の構成は図6に示した例と同様である。
【0031】また、油供給装置の別例としては、図8に示すように、上方が開口した油容器21Bと、その一端(図8の左端)を上記油容器21Bの底部に接続するとともに、その他端(図8の右端)を、前記オイル槽2の側壁で、このオイル槽2内に所定量の油を貯留させた場合における油位部分に接続した連通管22Bとを備えて成る油供給装置20Cを採用しても良い。
【0032】この図8に示す例の場合、オイル槽2内に十分量の油が貯留している場合は、このオイル槽2内の油が連通管22Bに入り込み、油容器21B内の油の圧力とオイル槽2内の油の圧力とがつりあう。このため、油容器21B内の油がオイル槽2内に流入することはない。オイル槽2内の油が減少すると、オイル槽2内の油によるつりあいが解け、上記油容器21B内の油がオイル槽2内に流入する。オイル槽2内に所定量の油が貯留された状態においては、再び油容器21B内の油の圧力とオイル槽2内の油の圧力とがつりあい、新たな油の流入を中止する。
【0033】また、図9に示した例は、上記図6に示した構造のそれぞれ変形例である。すなわち、図9(a)に示す例は、油容器21の一端部中央に突出部21eを設けており、この突出部21eに、上記図6に示したようなニードル弁23をその内部に設けた連通管22の端部を着脱自在に取り付けるようにしている。その他の構成並びに作用は、上記図6に示した構造と同様である。また、図9(b)に示した構造は、上記図6に示す油容器22に、上記図9(a)に示すようなニードル弁23を設けたキャップ24を取り付け自在としたものである。その他の構成並びに作用は、図9(a)に示した構造と同様である。
【0034】更に、油供給装置としては、図10に示した構造を採用できる。すなわち、この図10に示す油供給装置は、油容器21と、この油容器21から延出し、上記オイル槽2に連通する連通管22と、この連通管22の途中部分に設けられた開閉弁(コック)25と、を備えている。この例における油供給装置においては、オイル槽2内に十分量の油が貯留している場合は、上記コック25を閉じておく。オイル槽2内の油が減少すると、上記コック25を開き、必要量の油をオイル槽2内に流入させる。必要量の油がオイル槽2内に流入したならば、上記コック25を閉じる。
【0035】上述したような各油供給装置を設けた場合、以下のような効果を得られる。すなわち、オイル槽2内の油量の管理が楽になる。更に、上記油容器として、図6に示す牛乳パックのごとき容器を採用すれば、この油容器21のフライヤ装置1への着脱が容易になる。また、従来においては、油はいわゆる一斗缶で購入し保管していたが、上記例のごとき油容器21においては、取り扱いが容易で管理が楽になる。尚、これら油容器21は、駆動部3を構成するケーシング内に、それぞれ図示のような姿勢で収納する。
【0036】更に、本形態例の場合、上記オイル槽2の内側面及び底面には、図11、図12にそれぞれ示すような投入式のフィルタ装置26、27を装着している。これらフィルタ装置26、27は、紙等製のフィルタ部材28と、このフィルタ部材28を固定させるための本体29と、この本体29に連続し、オイル槽2を構成する凹部の周縁部に係止自在な取り付け部31とを備えている。上記フィルタ部材28は、紙製等の面部材を山折と谷折とを交互に繰り返すことにより、図示のような断面鋸歯状の形状に形成する。上記本体29は、上述したようなフィルタ部材28を張設自在な枠状としたり、或いは薄板状のものとする。尚、図示は省略したが、フィルタ装置を金属若しくは合成樹脂等により、上記鋸歯状の形状と、各構成要29、31と、を有する一体成形物としても良い。上記取り付け部部31は、上記本体29に連続して設けられる。この係止部31は、ヒンジ装置32を設ける等により、適宜回動自在として、上記フィルタ部材28を固定した本体29を、上記オイル槽2に容易に係止させられるようにしている。尚、このフィルタ装置26、27は、オイル槽2内で容易に揺れ動くことのないように、適宜錘等を設ける。
【0037】このようなフィルタ部材28を、オイル槽2の側面並びに底面に設けることにより、油中を浮遊している油滓(揚滓)が、上記鋸歯状部分の谷部に入り込み、この位置に停止する状態となる。これにより、油中を浮遊する油滓の量を低減させられる。上述したように油滓は、酸化触媒として作用して油の酸化を助長させるものであるが、本形態例にように油滓をフィルタ部材28に吸着させた状態とすることにより、酸化触媒としての機能を低減させられる。この結果、オイル槽2内の油の酸化を有効に防止でき、廃棄油の量の低減や調理済製品の品質向上を図れる。
【0038】尚、上記フライ籠4をオイル槽2内に浸漬した状態で保持し、タイマが計測する時間に達した場合に、このフライ籠4を跳ね上げて、オイル槽2の油中から出すための構造としては、係止片10に係合したフライ籠4を最下位置まで下降させた場合に、上記駆動部3を構成するケーシングに固定の部材に固設された係止受け部或いは係止突部と、フライ籠4を下降させるためのレバー12に連続する部分に設けられた係止突部或いは係止受部と、上記タイマからの所定時間経過した旨の信号に基づいて作動し、上記係止受け部と係止突部との係合を外すソレノイド等から構成できる。上記フライ籠4を跳ね上がらせるための技術は、従来知られた種々の構成のものを採用できる。
【0039】例えば、図11に示した構造は、駆動部3を構成するケーシング内に、一対の昇降用ロッド33、33を立設するとともに、これら両ロッド33、33に一の昇降片34を、上記ロッド33、33に沿う昇降自在に設けたものである。一対のロッド33、33の間部分には、コイルばね11を設けており、このコイルばね11の弾性力に基づいて、最下位置のフライ籠4が跳ね上がるようにしている。上記昇降片34の一端側(図11の右端側)には、若干の回動を自在としたレバー35と、このレバー35に連動して回動する鉤片13とを設けている。また、ケーシングの下端部で、上記係合10片に支持されたフライ籠4がオイル槽2内の油中に十分浸漬させた場合における鉤片13に対応する位置には、この鉤片13を係止する係止受部36を固定している。また、図示は省略したが、この係合を解除するためのソレノイド等の解除部材も、上記駆動部3内に設けている。
【0040】従って、上記レバー35を押し下げれば、上記係止片10に係合したフライ籠4を油中に浸漬した位置で鉤片13が係止受部36に係合するため、当該浸漬された状態で保持できる。また、上記フライ籠4内の食材6、6が揚げ上がるのに要する時間が経過したことを上記タイマが報知した場合、この報知とともに上記ソレノイド等が作動して上記鉤片13と係止受部36との係合を外す。これにより、上記フライ籠4は、上記コイルばね11の弾性力に基づいて上昇する。この際、フライ籠4や完成したフライ等に付着していた油が切られ、実際の食感も見た目も、高品質のフライとなる。
【0041】尚、図14乃至図16は、係止片設置部分の変形例を示している。図14に示した構造は、昇降部材34を略コ字形とし、この昇降部材34に図示のような係止片10を固定したものである。図15に示した構造も、基本的には上記図14に示した構造と同様である。更に、図16に示した構造も、コイルばね11を1本のロッド33の下端部周囲に設けた以外、図15に示した構造とほぼ同様である。尚、上記レバー36の先端には、図17に示すように、使用者の手指を守るよう、ゴム或いはプラスチック等のカバー37を設ける。
【0042】更に、本形態例におけるフライヤ装置1においては、図2及び図18乃至図20に示すように、オイル槽2内に設ける電気ヒータ30を起倒自在としている。すなわち、上記電気ヒータ30は、その両端部を鉛直方向に亙る直線状とし、その中間部を蛇行させて成る形状としている。そして、上記両端部は、オイル槽2の基端部両側に設けた回動板39に連結させている。この回動板39には、それぞれレバー40を設けており、このレバー40を図19の矢印方向に回動させることにより、上記電気ヒータ30の中間部を回動させてオイル槽2の底面から引き上げられるようにしている。これにより、オイル槽2内の清掃と、電気ヒータ30自体の清掃とを行ないやすくしている。
【0043】上述した構成を有する本形態例係るフライヤ装置1の場合、オイル槽2内の油が有効に循環するため、オイル槽2内の油の温度が常にほぼ均一な状態となる。本形態例の場合、この油の温度を摂氏180度以下となるようにしている。このような温度管理と上記循環とにより、ヒータ30の表面温度を下げることができ、しかもこのヒータ30表面に揚滓が付着しにくくなる。更に、油中に浮遊する油滓を、有効に除去でき、この油滓による触媒作用を防止して、油の有効利用と、調理後の製品の品質向上とを図れる。しかも、油循環手段14A等は、投げ込み式としているため、いつでもオイル槽2内から取り出せる。この結果、オイル槽2内の清掃も容易に行なえるようになる。
【0044】しかも、オイル槽2内の油が循環することにより、ヒータ30の温度を下げることができる。この結果、ヒータ30の表面温度が低く抑えられるので、ヒータ30の表面に油滓がこびりつかず、掃除が簡単であり、ヒータ30の熱交換効率もよいのでヒータ30の熱ショックが発生せず、ヒータ30の寿命も長くなる。
【0045】更に、オイル槽2内の油が減少した場合、油供給装置20A等により減った油を補給することができるため、オイル槽2内の油の酸度は3を上回らない。また、オイル槽2内で油面は一定に保持される。更に、本形態例に係る油供給装置20A等においては、油容器21(例えば、1リットルの油ペットパック)をセットするのみで良いため、装着が容易である。更に、棄てる油がなくなり、しかも、廃油処理代金もなくなる。油缶(18リットル:いわゆる一斗缶)が不要となるので、場所を取らず、油缶の処理も不要となる。
【0046】更に、本形態例の場合、食材の調理が終了した場合、フライ籠4を上昇させる機構を有するため、調理する者が非熟練者であっても一定以上の品質の製品を製造できる。なんとなれば、上記フライ籠4に下準備を終えた食材6、6を収納し、このフライ籠4を係止片10に係合させた状態で、レバー12の操作により、フライ籠4を押し下げ、更にタイマをセットすれば、自動的にフライが揚がる。そして、フライができあがると、上記フライ籠4が自動的に上昇して油切りするからである。揚げすぎや生揚げができず商品品質を均一化することができる。
【0047】上述したように、この発明に係るフライヤ装置は、油の酸化を極力抑えられるため、高品質の製品を容易に製造できる。しかも、廃棄する油を減少させることができたり、ヒータの劣化を抑えることができるため、ランニングコストを安くできる。また、清掃作業も容易になって、メンテナンスの手間が減る。このように、この発明に係るフライヤ装置は、各種コストの低減を図れる一方で、高品質の製品を容易に製造できるため、その効果はきわめて大きなものである。
【0048】
【発明の効果】この発明に係るフライヤー置は、以上説明したように構成されているため、油の酸化防止に優れ、廃棄する油を減らすことができ、この廃棄する油のコストと廃棄処分に要するコストを低減できる。また、資源の無駄な消費を抑制でき、環境保護の観点からも有効である。また、装置全体としての劣化の促進を抑えられる。これらの結果、製造した製品のコストダウンも図れる等、大きな効果を有する。
【出願人】 【識別番号】591231269
【氏名又は名称】日本ヒーター機器株式会社
【出願日】 平成12年4月3日(2000.4.3)
【代理人】 【識別番号】100092602
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 哲夫
【公開番号】 特開2001−275850(P2001−275850A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−101450(P2000−101450)