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【発明の名称】 炊飯器
【発明者】 【氏名】西田 隆

【氏名】大橋 秀行

【要約】 【課題】ご飯の劣化を抑え、新鮮なご飯を長期間提供する。

【解決手段】炊飯器の蓋体11あるいは本体の内部にオゾン及び負イオン発生装置を備え、さらに、発生したオゾン及び負イオンを鍋内のご飯に送り込む機構を備えることにより、保温中の雑菌やカビ類の繁殖を防止し、新鮮なご飯を長期間維持するとともに、予約炊飯の炊飯待機中に鍋内に投入されている水及び米について、雑菌やカビ類の繁殖を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 蓋体あるいは本体の内部にオゾン及び負イオン発生装置を備え、発生したオゾン及び負イオンを鍋内のご飯に送り込む機構を備えた炊飯器。
【請求項2】 発生するオゾン及び負イオンの量及び比率を自由に変えることができる制御機構を備えた請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】 保温工程中、蓋が開けられ、再度蓋が閉じられたことを検知したときに自動的にオゾン及び負イオン発生装置が作動する仕組みを備えた請求項1または2記載の炊飯器。
【請求項4】 保温サイクルの一時期において、ご飯の温度を50〜60℃に維持するサイクルを備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】 予約炊飯において、炊飯が開始されるまでの待機時間に蓋体あるいは本体の内部に備えられたオゾン及び負イオン発生装置が作動する仕組みを備えた請求項1記載の炊飯器。
【請求項6】 蓋体あるいは本体の内部にオゾン及び負イオン発生装置が間欠作動する仕組みとした請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】 蓋が開放されたことを検知し、自動的にオゾン及び負イオン発生装置がオフされる請求項1〜6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般家庭及び業務用に使用される炊飯器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、広く世間一般に市販されている炊飯器には炊飯機能の他、保温機能が備わっているものが多い。所定の米と水を鍋に投入し炊飯を行った後に保温工程に移行するが、この保温工程は、ご飯を適温に保ち、いつでも温かいご飯を食することができるように設けられたものである。それとともに、保温工程では、雑菌の繁殖を防止するために通常70℃前後に維持されることによりご飯の劣化を防止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、保温工程においてご飯を70℃前後に維持すると、大部分の雑菌やカビの繁殖は防止可能であるが、一方、ご飯の酸化による劣化や酸化臭の発生が生じてくるため、保温は最長でも24時間、理想的には12時間以内とするのが無難とされてきた。このため、近年、この保温工程を70℃前後に一定に保つのではなく、数時間周期で50℃と70℃を繰り返すし、雑菌の繁殖とご飯の酸化を同時に防止するような新たな保温温度制御も考案されている。
【0004】しかし、この方法によっても、50℃前後の低温域では雑菌繁殖が盛んになること、また、70℃付近でも死滅しない高熱耐性菌が存在すること、さらには、九州や沖縄、南西諸島付近一帯等の高温多湿の地方では雑菌の繁殖が多いことなどを考慮するとこれまでの方法では十分とは言えず、ご飯に付着する雑菌やカビの繁殖を積極的に抑制し、なおかつご飯の鮮度を長時間維持できる安全な方法が望まれていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、炊飯器の蓋体あるいは本体の内部にオゾン及び負イオン発生装置を備え、発生したオゾン及び負イオンを鍋内のご飯に送り込む機構を備えることにより、保温中に生じる雑菌やカビ類の繁殖を防止し、新鮮なご飯を長時間維持するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】請求項1記載の発明は、炊飯器の蓋体あるいは本体の内部にオゾン及び負イオン発生装置を備え、発生したオゾン及び負イオンを鍋内のご飯に送り込む機構を備えたものである。なお、オゾン殺菌法は従来代表的な殺菌技術として多方面で利用されてきたが、オゾンはその強い殺菌力故に食品を変質させてしまう恐れも有り、特に、ご飯を高濃度のオゾンに暴露すると酸化が進行し黄変現象を生じるため、鮮度保持が要求される保温工程等に使用する場合には注意が必要であった。
【0007】そこで、本発明では、雑菌の増殖を防止する静菌効果を有する負イオンと低濃度オゾンの混合気体を発生させるコロナ放電装置を炊飯器に組み込み、保温時に適度な濃度の負イオンとオゾンの混合気体をファン等による送風手段により鍋内のご飯に任意の濃度で送り込み、抗菌効果を発揮する結果、雑菌やカビの繁殖が抑えられるものである。さらに、この機構を備えることにより、保温温度を50〜60℃程度の比較的低温に保っても、ご飯の腐敗が少なく、腐敗臭の発生を抑えることが可能である他、70℃で保温する場合と比較してご飯の酸化が抑えられる結果として、新鮮なご飯を長時間維持するものである。
【0008】請求項2記載の発明は、発生するオゾン及び負イオンの量及び比率を自由に変えることができる制御機構を備えた請求項1記載の炊飯器であり、炊飯器の置かれる環境や季節、地域等により自由に設定を変えることができることを特徴とする。
【0009】請求項3記載の発明は、保温工程中、蓋を開閉したときに自動的にオゾン及び負イオン発生装置が作動するような仕組みを設けた請求項1〜2記載の炊飯器であり、保温工程中の炊飯器使用者による蓋開閉を検知し、蓋開閉により空気中の雑菌やカビが混入してくるタイミングで装置が作動し、侵入した雑菌やカビの増殖を素早く抑えることが可能である。
【0010】請求項4記載の発明は保温工程の一時期において、ご飯の温度を50〜60℃の比較的低温に維持するサイクルを有する請求項1〜3記載の炊飯器であり、発生するオゾン及び負イオンにより雑菌及びカビの増殖が抑制されると共に、ご飯を50〜60℃の比較的低温に保つことで、ご飯の酸化を遅らせ、新鮮なご飯を長時間に渡り提供することが可能となる。
【0011】請求項5記載の発明は予約炊飯において、炊飯が開始されるまでの待機時間に蓋体あるいは本体の内部に備えられたオゾン及び負イオン発生装置が作動する仕組みを備えた請求項1記載の炊飯器であり、予約完了から実際に炊飯が開始されるまでの間に、鍋内にオゾン及び負イオンが送り込まれ、これにより鍋内に投入された水と米に雑菌及びカビが繁殖することを防止し、鮮度を保つことが可能となる。
【0012】請求項6記載の発明は、蓋体あるいは本体の内部にオゾン及び負イオン発生装置が間欠作動する仕組みとした請求項1〜5記載の炊飯器であり、動作のオン/オフを行うことにより、鍋内のオゾン及び負イオン濃度を適度に保つと共に、省エネルギーにもなり、また、必要以上に鍋内のエアーを攪拌することにより生じるご飯の乾燥を防止する効果がある。
【0013】請求項7記載の発明は蓋が開放されたことを検知し、自動的にオゾン及び負イオン発生装置がオフされる請求項1〜6記載の炊飯器であり、この機構を備えることにより、無駄にオゾン及び負イオンを放出することを防止し、また、感電などの危険を避けることができる【0014】
【実施例】負イオンとオゾンの混合気体を発生するコロナ放電装置の概要は図1及び図2に示すように、直流パルス電源17と高電圧印加電極15及び空間を隔てた対電極16から成り、高電圧印加電極15に負極性の高電圧を印加することによりコロナ放電を生じる。この際、電極より供給される電子は空気中の酸素や水分子と衝突し、これらが負イオン化する。これら負イオンは電極間を移動するが、この際、ファン14等により電極間に送風が成されると、一部の負イオンは電極間を飛び出すことができ、本発明はこれらの負イオンを利用したものであり、この負イオン発生量はファンの風力等に依存する。また、コロナ放電の際には電極にオゾンが発生するが、オゾンの発生量は印加電圧やパルス周波数に依存する。
【0015】本発明では、これら負イオンとオゾンの濃度を適度に組み合わせた混合気体を炊飯器鍋内部にファンを用いて送り込み、雑菌やカビの増殖を防止し、保温中のご飯の鮮度を長時間維持するものである。
【0016】なお、印加電極にかけられる電圧やパルス周波数は装置の規模や電極の形状、炊飯器内での配置、オゾン及び負イオンの送風機構等により異なるが、鍋内のご飯を新鮮に保つには、鍋内オゾン濃度が0.01ppm〜0.1ppm、負イオン濃度が5×103個/cm3以上となるように設定することが望ましい。オゾンは高濃度になれば抗菌力は増加するが、高濃度では食品の劣化が返って激しくなる他、有害性も出てくるため、上述の濃度内にすることが望ましい。
【0017】(実施例1)具体的には、図1は電磁誘導加熱により鍋9を加熱し炊飯する方式の1.8L炊飯用の炊飯器であり、電磁誘導加熱コイル1、フェライト2、鍋底温度検知センサー3、加熱制御基板4、基板冷却ファン5、操作部6、加熱板7、蒸気キャップ8、及び鍋9を主な構成部品とし、鍋内に米及び水を適量加えられた後、炊飯及び保温工程が実行されるが、この工程はマイクロコンピュータによる制御により実行される。
【0018】本実施例においては、直流パルス電源17、線径0.1mmのタングステン製高電圧印加電極15、ステンレス製網目状電極16及びファン14が蓋体内部に備えられ、エアー吸引用の通気口12が蓋体上部にあり、さらに、蓋体内部から鍋内に送風するための通気口13をも備えており、ファンから鍋内に送られたエアーは鍋内に充満するとともに、鍋内のエアーは蒸気キャップを通って再び外気へ放出される仕組みとなっている。また、操作部6では印加電圧を調整し、オゾン及び負イオン量を調節できる仕組みとなっており、炊飯器の置かれる環境や季節、地域等により自由に設定を変え、細菌やカビの増殖を防止することができる。
【0019】本実施例では、タングステン製高電圧印加電極15への印加電圧を−2kV、パルス周波数を5kHz、ファンによる送風量を0.3m3/分に設定したところ、鍋内のオゾン濃度が約0.02ppm、負イオン濃度が約4*106個/cm3となった。
【0020】この炊飯器の鍋に水と米を適量投入し、炊飯工程を行った後に自動的に保温工程に入り、鍋内のご飯の温度は、炊飯量によっても多少異なるが、1時間程度で70℃前後に降下する。通常、一般の炊飯器ではこの温度に常時保たれるが、本実施例の炊飯器は、約6時間周期で保温温度50℃と70℃が交互に繰り返されるプログラムとなっている。すなわち、炊飯終了後ご飯の温度が一旦50℃に低下すると、以降50℃維持4時間、50℃から70℃への昇温0.5時間、70℃維持0.5時間のサイクルを行い、再び保温温度が50℃に低下すると同様のサイクルを繰り返す工程となっている。このサイクルを保温工程に取り入れることにより、70℃連続保温時に見られる保温ご飯の酸化、黄変現象を極力防止できるという利点がある。しかしながら、保温温度としては比較的低温な50℃の工程が長時間存在することにより、雑菌やカビの繁殖が生じやすくなる。したがって、本実施例では、この保温サイクルにおいて、ご飯が50℃に保たれる時に本発明の機構が30秒オン、30秒オフのサイクルで作動し、ファンの送風により鍋内にオゾン及び負イオンが送り込まれる仕組みとしている。また、人が保温中にご飯をよそう等の理由で炊飯器の蓋を開けた時にはご飯の温度に寄らず自動的に1分間オンとなる仕組みとなっている。
【0021】(比較例1)オゾン及び負イオン発生機構及びその循環機構を備えていない他は実施例1と同様な機構及び制御プログラムを備えた炊飯器を比較例1とする。
【0022】ここで、実施例1及び比較例1の炊飯器を用いて、それぞれ5合の米を炊飯し、その後保温工程に自動的に移行し、炊飯終了3時間後、5分間炊飯器の蓋を開放し、さらに12時間まで保温を行った場合の、ご飯の黄変及び細菌数を比較したものが(表1)である。ご飯の黄変度は、JISZ8729に準じて測定されたL*a*b*値の内、黄変を示す尺度であるb*値で表しており、値が大きいほど黄変が多いことを示す。また、細菌数は、ご飯の表面に一般的に見られる耐熱性細菌(細菌種:Bacillus Stearothermophilus)のご飯1g中の個体数を測定したものであり、1*105/ご飯1g程度に細菌が増殖すると人間は腐敗臭を感じると言われている。表1に示すように、実施例1では黄変、細菌数ともに比較例1よりも少なく、保温12時間後でもご飯が新鮮に保持されている。
【0023】
【表1】

【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明の炊飯器は蓋体あるいは本体の内部にオゾン及び負イオン発生装置を備え、発生したオゾン及び負イオンを鍋内のご飯に送り込む機構を備えることにより、炊飯器に備えられる鍋内での雑菌やカビ類の繁殖を防止し、新鮮なご飯を長期間維持できる。
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成11年9月7日(1999.9.7)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄 (外2名)
【公開番号】 特開2001−70149(P2001−70149A)
【公開日】 平成13年3月21日(2001.3.21)
【出願番号】 特願平11−252400