| 【発明の名称】 |
脱臭抗菌シート |
| 【発明者】 |
【氏名】船江 晴芳
【氏名】吉田 光男
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| 【要約】 |
【課題】良好なウエットバック性と脱臭機能を有し、抗菌により排泄物の分解を抑え、分解によるガスの発生を防止する脱臭抗菌シートを提供することにある。
【解決手段】水中へ溶出する成分により臭いの発生を防止する抗菌防黴剤と吸着剤を含有させた不織布の間に吸水性ポリマーを加熱エンボス加工して一体化したシートを液体透過性のシートと液体不透過性シートの間に封入したものである。抗菌防黴剤が有機化合物の金属塩であり、特定の含窒素複素環か硫黄原子を含む有機化合物の金属塩を含有した繊維状物質を含む湿式不織布の脱臭抗菌シートが好ましい。又、特定の含窒素複素環か硫黄原子を含む有機化合物の金属塩である抗菌防黴剤と水不溶性高分子化合物からなる抗菌防黴剤の組成物を含む不織布よりなる脱臭抗菌シートが好ましい。又、金属塩が、銀塩、銅塩、亜鉛塩の少なくとも1種以上を含有したものが好ましい。好ましい用途は人の介護用シート、動物用シートとして使用される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 抗菌防黴剤と吸着剤を含有する少なくとも2枚の不織布の間に吸水性ポリマーを熱エンボス加工により封入したシートを液体透過性のシートと液体不透過性のシートとの間に入れ、少なくとも両端部の全面ヒートシール加工により一体化したものであり、水中へ溶出する成分により抗菌防黴性が発現することを特徴とする脱臭抗菌シート。 【請求項2】 抗菌防黴剤が有機化合物の金属塩であることを特徴とする請求項1記載の脱臭抗菌シート。 【請求項3】 有機化合物が、ベンズイミダゾール化合物、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物、イソチアゾリン化合物、ベンゾチアゾール化合物もしくはベンゾチアゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項2記載の脱臭抗菌シート。 【請求項4】 金属塩が銀塩、銅塩、亜鉛塩の少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項2記載の脱臭抗菌シート。 【請求項5】 吸着剤がゼオライト系化合物であることを特徴とする請求項1記載の脱臭抗菌シート。 【請求項6】 不織布が、有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を含むことを特徴とする請求項1記載の脱臭抗菌シート。 【請求項7】 不織布が湿式不織布であることを特徴とする請求項6記載の脱臭抗菌シート。 【請求項8】 脱臭抗菌シートが、人の介護用シートとして使用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱臭抗菌シート。 【請求項9】 脱臭抗菌シートが、動物用シートとして使用されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の脱臭抗菌シート。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、人や動物に使用されるベッド用シーツ等の日用品に関するものである。さらに詳しくは、脱臭抗菌に効果が有るシートに関するものである。 【0002】 【従来の技術】人あるいは動物が尿等を排泄した場合には、不快な臭気の発生原因となるばかりかベッド、床等を汚染し、菌類の繁殖を促す源となっている。特に犬、猫等の排泄物の臭気は大であり、床等に飛散しやすい。従来の動物用シートや介護用シートは、粉末状の吸水性ポリマー等を不織布、紙、フィルム等の支持基体上に、層状に散布したもの、バインダーで支持基体に固定化したもの、支持基体間に封入したもの等が知られている。 【0003】従来のシートの問題点としては、単に粉末状の吸水性ポリマーを基材に散布したものは運搬中や取り扱い時に吸水性ポリマーが偏在化しやすい。バインダーで固定したものは排泄物の吸収能が低下する場合が有る。 【0004】又、従来のシートは脱臭機能が不十分なものが多く、排泄物の菌類による分解で発生するガスによる臭気が経時で周囲に充満する事が多々ある。例えば、特開平6−253966号公報には水分移動上部布層、水分分散中間部層、漏れ防止布層の下部布層を接合して一体化したものが開示されているが、脱臭性、抗菌性は考慮されていない。特開平9−187482号公報には、吸水加工された、抗菌性を有する熱可塑性繊維層と防水層が積層された複合シートが開示されている。しかしながら、抗菌性を有する熱可塑性繊維のみで吸着剤を使用していないので初期の脱臭性に劣る。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、充分な脱臭機能を有し、抗菌により排泄物の分解を抑え、分解によるガスの発生を防止する、シート全面で均一で多量の液体吸収性、脱臭抗菌特性を有する脱臭抗菌シートの提供を可能ならしめたものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問題解決につき鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達したものである。即ち、本発明は、抗菌防黴剤と吸着剤を含有する少なくとも2枚の不織布の間に吸水性ポリマーを熱エンボス加工で封入したシートを液体透過性のシートと液体不透過性のシートとの間に入れ、少なくとも両端部の全面ヒートシール加工により一体化したものであり、水中へ溶出する成分により抗菌防黴性が発現する脱臭抗菌シートである。 【0007】本発明は、抗菌防黴剤が有機化合物の金属塩である脱臭抗菌シートである。 【0008】本発明は、有機化合物が、ベンズイミダゾール化合物、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物、イソチアゾリン化合物、ベンゾチアゾール化合物もしくはベンゾチアゾリン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物である脱臭抗菌シートである。 【0009】本発明は、金属塩が銀塩、銅塩、亜鉛塩の少なくとも1種を含有する脱臭抗菌シートである。 【0010】本発明は、吸着剤がゼオライト系化合物である脱臭抗菌シートである。 【0011】本発明は、不織布が、有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を含む脱臭抗菌シートである。 【0012】本発明は、不織布が湿式不織布である脱臭抗菌シートである。 【0013】本発明は、人の介護用シートとして使用される脱臭抗菌シートである。 【0014】本発明は、動物用シートとして使用される脱臭抗菌シートである。 【0015】 【発明の実施の形態】本発明における脱臭抗菌シートは、抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布の間に吸水性ポリマーを熱エンボス加工で封入したシートと抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布が、液体透過性のシートと液体不透過性のシートの間に入っており、少なくとも両端部が全面にヒートシール加工で一体化されており、特に抗菌防黴剤が有機化合物の金属塩よりなり、ペット用トイレに敷いたり、ペット用の寝床に敷いたり、人の介護用シートとして寝具上に敷いて使用する。 【0016】液体透過性のシートの役割は、液体をその表面から吸収し、内部の不織布に渡す役割と、流動性の排泄物を保持する役割を持っており、織物、編物、不織布等が使用される。価格、液体透過性等で選択されるが、スパンボンド法、サーマルボンド法、カード法、エアーレイ法、湿式法等の不織布が挙げられる。液体透過性の改良のためにシート表面に界面活性剤等で親水化処理を行ったり、使用時の肌触りや柔らかさを出すために高圧水流で処理したスパンレース加工不織布が好ましく用いられる。シートを構成する繊維径はあまり小さいのは液体透過性に劣るので、1〜8デニール程度が好ましい。厚さは、液体透過性から薄いものがよいが、強度と復元力等の使用感により選択される。通常は、目付は10〜50g/m2、厚さは10〜100μm程度のものが使用される。好ましくはヒートシール性が良好なものが加工性が簡便であるので好ましく選択される。 【0017】特に人の介護用として使用する場合には、液体透過性のシートの表面を疎水性の繊維等とするほうが患者との接触面の水分を出来るだけ少なくして不快感を防止するのに効果的である。動物の場合でも同様に疎水性にすることで足や体の表面に尿等が付着して周囲を汚染するのを防止する効果が有る。 【0018】疎水性の繊維としてはポリエステルやポリプロピレン等が挙げられる。親水性の繊維としては、パルプ、レーヨン、綿、親水性ナイロン等が挙げられる。好ましくは疎水性不織布と親水性不織布をスパンレース等で積層したシートが使用出来る。 【0019】液体不透過性のシートとしては、液体を遮断する効果の有るものであれば何でもよいが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル等のフィルム、織布、不織布、紙等にラミネートしたラミネートシートが挙げられる。通常は、目付は10〜50g/m2、厚さは10〜100μm程度のものが使用される。好ましくはヒートシール性の良好なものが加工性が簡便であるので好ましく選択される。 【0020】本発明で使用する吸着剤は、粘土系、ゼオライト系、酸性白土系、活性白土系、ベントナイト系、活性炭系等の無機化合物系や酸性基や塩基性基を有する高分子化合物等が利用出来る。好ましいのは、アンモニア、トリメチルアミン、硫化水素、エチルメルカプタン等の吸着に有効である粘土系のアルミノケイ酸亜鉛系である。具体的には水沢化学工業社製のミズカナイトAP、ミズカナイトAG、ミズカナイトHP、ミズカナイトHG、ミズカナイトMPが挙げられる。 【0021】本発明で使用する吸水性ポリマーには、架橋ポリアクリル酸ソーダ、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸メチル共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、デンプン−アクリルニトリルグラフト共重合体、ポリエチレンオキサイド架橋物等が有る。 【0022】吸水性ポリマーの使用量は、特に限定されないが、一般的には脱臭抗菌シートに対して3〜100g/m2、好ましくは5〜50g/m2になるような高吸水性のポリマーが選択される。吸水性ポリマーの使用により尿の戻りを防止する機能、ウエットバック性が向上するほか、吸収量が増えるので臭いの発生する菌類の増殖防止に効果が大きい。 【0023】抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布は、不織布同士の貼り合わせで不織布の間に抗菌防黴剤と吸着剤をポリエチレンやポリ酢酸ビニル等のバインダー粒子と併用して熱圧処理で封入したり、抗菌防黴剤と高分子化合物を含有するする抗菌防黴剤の組成物を塗布、含浸等で含有させた不織布と他の不織布の間に吸着剤とバインダー粒子を封入したものが使用出来る。吸着剤の量は、その種類により異なるが、臭気物質の吸着効果からは不織布の重量比で5%以上の使用が好ましく、より好ましくは10%以上である。不織布の使用方法は、封入シート単独か、好ましくは重ねて使用される。 【0024】不織布が湿式不織布の場合は、抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を抄造時に他の繊維と一緒に使用し、吸着剤は内填することで不織布に含有させる事が出来るので簡単であり好ましい。また、内填することで吸着剤の有効面積の減少が少ないので脱臭効果の点でも好ましい。吸着剤の量はその種類により異なるが、臭気物質の吸着効果からは不織布の重量比で3%以上の含有量が好ましく、より好ましくは10%以上である。不織布の使用方法は、重ねて複数枚で使用したり、クレープ加工で不織布にしわを付けた方が表面積が増え、吸水量が増える他にウエットバック性も向上するので好ましい。 【0025】吸水性ポリマーを封入する時の熱エンボス加工は、例えば表面に凹凸を設けた金属ロールとエンボスロールや鏡面ロール、樹脂ロール間に不織布を通す事で不織布表面に凹凸を付けたり不織布同士を一体化する加工法である。エンボスロール表面の温度は、不織布やシートに使用する繊維や樹脂で異なるが、70〜200℃程度が一般的である。 【0026】抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布の間に吸水性ポリマーを熱エンボス加工により封入し、一体化することで吸水性ポリマーの極近隣に抗菌防黴剤が存在しやすくなり、尿等を介して両者が接触することで抗菌剤が溶出して吸水性ポリマーが吸収している尿等の中での菌類の繁殖が抑えられることになる。加えてエンボス加工の方が全面熱加工よりも不織布表面の液体吸収速度の低下が少ないという効果も有る。 【0027】抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布の間に吸水性ポリマーを熱エンボス加工により封入して一体化したシートを液体透過性のシートと液体不透過性のシートの間に入れて一体化する時のヒートシール加工は、鏡面金属ロール同士や鏡面金属ロールとエンボスロールとの間を通す事で複数のシートや不織布を一体化する加工法である。ロール表面の温度は、不織布やシートに使用する繊維や樹脂で異なるが、一般的には80〜200℃程度である。 【0028】本発明の抗菌防黴剤として金属塩で用いられる有機化合物は、好ましくは基本的に防黴性を有し、特に以下の含窒素複素環、硫黄原子の少なくともいずれかを含む化合物から選択される。 【0029】本発明で使用する抗菌防黴剤としては、現在市販されているビグアナイド系、アルコール系、フェノール系、アニリド系、ヨウ素系、イミダゾール系、チアゾール系、イソチアゾロン系、トリアジン系、ニトリル系、フッ素系、トロポリン系、有機金属系、無機金属系のものはいずれも使用可能である。 【0030】例えば、ピロール系、ピリジン系、ピリミジン系、ピラゾール系、イミダゾール系、ベンズイミダゾール系、1,3,5−トリアジン系、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン系、トリアゾール系、イソオキサゾール系、チアゾール系、ベンゾチアゾール系、チアゾロン系、ベンゾチアゾロン系、イソチアゾロン系、ベンゾイソチアゾロン系、テトラヒドロチアジアジンチオン系などを基本骨格とするものが挙げられ、さらに、それらのアルキルアリル誘導体、メルカプト誘導体などが挙げられるが、なかでも、ベンズイミダゾール化合物、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物、イソチアゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾチアゾロン化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物が特に好ましい。これらの具体例としては、例えば、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、2−(カルボメトキシアミノ)−ベンズイミダゾール、2−メルカルトピリジン−N−オキシド、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾチアゾロン、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどを挙げることができる。 【0031】特に、ベンズイミダゾール化合物、メルカプトピリジン−N−オキシド化合物、イソチアゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物もしくはベンゾチアゾロン化合物のうちの少なくとも1種類が効果の点で好ましい。 【0032】また、本発明の脱臭抗菌シートで使用される抗菌防黴剤の金属塩の例としては銀、銅、亜鉛、錫、マンガン、コバルト、鉄塩等が挙げられる。効果の点で好ましくは銀、銅、亜鉛塩から選択され、特に銀、銅、亜鉛塩の3種が複合されたものがより好ましい。 【0033】本発明では、含窒素複素環、硫黄原子の少なくともいずれかを含む有機化合物の金属塩である抗菌防黴剤を繊維構造内もしくは表面に強固かつ密に形成させ、有効に機能させる為には、繊維が適度な膨潤性、イオン浸透性、イオン捕獲性を有することが必要である。 【0034】このような繊維として、いわゆるイオン交換繊維が用いられ、例えばポリスチレン、ポリアクリル、ポリアミド、ポリエチレン、セルロース等のベースポリマーにスルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基等を適度に導入する事によって得られる。 【0035】また通常パルプと称せられる天然のセルロース系繊維を部分的に化学変性することにより好ましく利用出来る。化学変性処理としては、硫酸化、リン酸化、硝酸化、カルボキシメチル化、カルボキシエチル化、カルボキシプロピル化処理が挙げられる。中でも、カルボキシメチル化処理はプロセスが容易で、経済性、安全性も良く、かつ膨潤性、イオン浸透性等に優れており本発明の実施に極めて好適であり、特に該セルロース系繊維の部変性物の置換度が0.5以下のものが好ましい。 【0036】本発明で好ましく使用されるカルボキシメチル変性繊維状物質の素材となるパルプとしては、適度にカルボキシメチル化された木材パルプ(針葉樹パルプ、広葉樹パルプなど)は、本発明の実施に好適であるが、この他、レーヨンなどの再生セルロースも同様に使用可能である。さらには、前記主旨に沿って適度に変性されたイオン交換能を有する合成繊維、アルギン酸繊維や可溶性ポリマーの湿式紡糸繊維であっても良い。また、本発明における抗菌・防黴能を有する有機金属複合塩を含有するポリマー液から製造された湿式紡糸繊維であっても良い。 【0037】本発明における繊維状物質の好ましい一具体例としては、天然セルロース系繊維のカルボキシメチル化加工によって達成される。 【0038】本発明で用いられる各種のカルボキシメチル基置換度を持つ繊維状物質は、置換度が大きくなるにつれて、金属イオン捕獲能は高まり、したがって、本発明における抗菌・防黴能を有する有機金属複合塩の充填密度は高くなるが、高置換度では膨潤が過度に進み、繊維強度の低下および、ひいては可溶化に至る。一般的に、置換度はおよそ0.6で可溶性となる。強度低下はあるが置換度はおよそ0.5が繊維形状が維持できる上限レベルである。 【0039】このようにして作られた極度に高濃度化された抗菌防黴剤を含有する繊維状物質と吸着剤を用いた本発明における不織布を封入した袋を適用した場合は、抗菌防黴剤が適度に水溶解性が有り、優れた抗菌防黴機能による腐敗防止効果や吸着剤の脱臭効果により悪臭が軽減される。特に吸水性ポリマー近隣に存在する抗菌防黴剤が効果的に尿中に溶解して菌類の繁殖を抑える。 【0040】本発明において、最も効果的に抗菌防黴機能を発揮する有機化合物の複合塩の作製方法について述べる。 【0041】基本的には、カルボキシメチルセルロースに対して添加する金属塩組成を、計算量配合することによって達成できるし、また、銀電極もしくは白金電極を用いた電位計測により、各イオンとの反応をモニターできる。 【0042】一例として、2−メルカプトピリジン−N−オキシドの複合塩の作製方法を例示すれば、銀、銅、亜鉛の複合系に2−メルカプトピリジン−N−オキシドを添加することにより得られる。銀25モル%、銅25モル%、亜鉛50モル%と2−メルカプトピリジン−N−オキシドの複合塩を形成させるための具体例を挙げれば、 Na型カルボキシメチルセルロース(DS=0.4)固形分 100g 水 5000g 硝酸銀 10mmol 硫酸銅 15mmol 硝酸亜鉛 30mmol 水 1000g 2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム0.1m/l溶液1000gとなる。また、本発明の好ましい1実施態様として、硝酸銀添加後、以下、2−メルカプトピリジン−N−オキシド化合物添加→硫酸銅添加→2−メルカプトピリジン−N−オキシド化合物添加→硝酸亜鉛添加→2−メルカプトピリジン−N−オキシド化合物添加など、各種の添加方法により行うことができる。 【0043】含窒素有機複素環化合物およびチオール化合物、チオン化合物などの含硫黄化合物の多くは、同様の思想で形成できる。 【0044】イソチアゾリン−3−オン系化合物も同様に可能であり、また、イミダゾール誘導体にも、それ自身(抗菌)防黴作用があるものが多い。この場合、水への溶解度は低く、水溶液の形で添加することはできないが、水混和性の有機溶剤、例えば、アルコール類、グリコール類などの溶剤には可溶であり、それらの溶液として添加することにより、金属塩を繊維状物質内に形成できる。 【0045】本発明における抗菌防黴剤を含有する繊維状物質は、そのもの自体や他の有機繊維や無機繊維と混合して粒状物として適用することもできるが、繊維状物質単独や、他の各種繊維と混抄して不織布にして使用することが、より実用的である。さらに、前述したとおり、本発明における繊維状物質中に、抗菌防黴剤を高濃度に吸着させて、いわゆるマスターバッチ的に本発明における繊維状物質を適用することは、より効果的であり、且つ、操業上でも大きな利点がある。 【0046】本発明における抗菌防黴剤を含有する繊維状物質と併用される有機繊維や無機繊維は、有機繊維としては、植物繊維、動物繊維、再生繊維、半合成繊維および合成繊維から選ばれる繊維を単独あるいは混合したものが使用され、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維およびウイスカーから選ばれる繊維を単独あるいは混合したものが使用される。 【0047】植物繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプなどの木材パルプや藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類、綿、麻(亜麻、ラミー)等を含み、吸水性からは好ましい。さらに、古紙、損紙などから得られるパルプ繊維も含まれる。動物繊維としては、絹、羊毛などの繊維が挙げられる。 【0048】再生繊維としては、レーヨン、キュプラが、半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックスが、合成繊維としては、ナイロン、アクリル、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ベンゾエート、ポリクラール、フェノール系などの繊維が挙げられる。 【0049】本発明における抗菌防黴剤を含有する繊維状物質の比率は、含有する抗菌防黴剤の種類や比率によるが、粒状物や不織布を構成する全繊維状物質中で、0.1〜100重量部、好ましくは0.5〜70重量部である。0.1重量部未満であると、十分な抗菌防黴機能が発揮されず、長期にわたる効果が得にくい。また、70重量部を超えるとコスト面から望ましくない。 【0050】本発明における抗菌防黴剤を含有する繊維状物質と併用される繊維の少なくとも30%は針葉樹パルプや広葉樹パルプ、レーヨン等の吸水性繊維が好ましい。 【0051】本発明における抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を他の併用される各種繊維と混抄して使用する場合、必要に応じて、各種の繊維状バインダーを用いることができる。 【0052】本発明に用いられる繊維状バインダーは、芯鞘タイプ(コアシェルタイプ)、並列タイプ(サイドバイサイドタイプ)などの複合繊維が挙げられる。例えば、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ(商品名:ダイワボウNBF−H:大和紡績社製)、ポリプロピレン(芯)とエチレンビニルアルコール(鞘)の組み合わせ(商品名:ダイワボウNBF−E:大和紡績社製)、ポリプロピレン(芯)とポリエチレン(鞘)の組み合わせ(商品名:チッソESC:チッソ社製)、高融点ポリエステル(芯)と低融点ポリエステル(鞘)の組み合わせ(商品名:メルテイ4080:ユニチカ社製)などが挙げられる。また、ビニロンバインダー繊維(VPB107×1:クラレ社製)などの熱水溶融タイプなども使用できる。 【0053】繊維状のバインダーの繊維径は特に限定されないが、0.3〜5デニールであることが好ましく、より好ましくは1〜2デニールである。 【0054】良好な引張り強度、折り適性を抄造段階で付与させるために繊維状のバインダーを配合することにより、不織布の内部強度を強くでき、抄造後の接着剤の付与工程、スリット工程でテンションが加わった際に起こり易い断紙や、スリット工程、プリーツ加工工程でこすられた時に起こり易い面剥けを抑える役割を果たす。 【0055】本発明における抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を使用した湿式不織布を湿式抄紙法で製造する際、地合を良好にするためには、各種繊維をパルパーなどの分散タンク内で分散水に均一に分散する必要があり、そのために界面活性剤を用いることが望ましい。 【0056】界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、両性に分類される。アニオン系界面活性剤としては、例えば、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩などが挙げられる。カチオン系界面活性剤としては、アミン塩、アンモニウム塩などが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、エーテル型、エステル型、アミノエーテル型などが挙げられる。両性界面活性剤としては、ベタイン型などが挙げられる。 【0057】均一に混合分散した繊維の分散安定性を向上させるために、アニオン性のポリアクリルアミド系粘剤を繊維分散液、または抄紙ヘッドに添加することにより、湿式抄造後のシートの地合はさらに向上する。 【0058】本発明の抗菌防黴剤と吸着剤を含有する湿式不織布は、一般紙や湿式不織布を製造するための湿式抄紙機、例えば、長網抄紙機、円網抄紙機、傾斜ワイヤー式抄紙機を単独で1層であっても、同機種同士、異機種を組み合わせた2層以上の多層であっても良い。又、抄紙機のワイヤーに水不透過部分を設けて抄くことにより、孔を開けて水はけ性をコントロールすることもできる。特に不織布を積層で使用する場合には速やかに下層の不織布まで液体が浸透するので好ましい。 【0059】乾燥には、シリンダードライヤー、エアードライヤー、赤外線ドライヤーなどの乾燥機を用いることが可能である。また、水はけ性を改良させるために、孔あけ加工を施しても良い。 【0060】シリンダードライヤーでの乾燥時に不織布を弛ませたクレープ状にすると見かけの表面積が増えるので保持出来る液体や臭気の吸収性が増大し、好ましい。 【0061】本発明の抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布は、取り扱いのし易さなどの用途により、さらに強度、腰を向上させるために、液体の吸収性を損なわない範囲で各種バインダーを付与することが可能である。 【0062】バインダーとしては、例えば、アクリル系ラテックス、酢ビ系ラテックス、ウレタン系ラテックス、エポキシ系ラテックス、ポリエステル系ラテックス、SBR系ラテックス、NBR系ラテックス、エポキシ系バインダー、フェノール系バーンダー、PVA、デンプン、一般的に製紙工程で使用される紙力剤などが挙げられ、これらを単独、もしくは架橋剤と併用して使用できる。 【0063】本発明の抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布の目付は特に限定しないが、加工のしやすさ、使いやすさからは15〜500g/m2が一般的であり、好ましくは20〜300g/m2である。使用に際して適当に不織布を重ねての使用が吸水性の点で好ましい。 【0064】また、本発明の有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤と接着剤としての高分子化合物と混合した組成物を不織布に塗布か含浸することも可能である。接着剤は市販の各種水溶性高分子化合物や水不溶性高分子化合物が使用される。 【0065】水不溶性高分子化合物としては、ウレタン系高分子化合物、スチレン−ブタジェン系高分子化合物、アクリル系高分子化合物、アクリロニトリル−ブタジェン系高分子化合物、エステル系高分子化合物、スチレン系高分子化合物、アミド系高分子化合物、塩化ビニル系化合物、酢酸ビニル系化合物、フッソ系化合物、シリコン系化合物、エチレン系高分子化合物やプロピレン系高分子化合物等のオレフィン系高分子化合物等が挙げられる。 【0066】水溶性高分子化合物としてはポリビニルアルコール系、デンプン系、ポリ酢酸ビニル系、ポリエチレンオキサイド、変性セルロース等が挙げられる。 【0067】水不溶性高分子化合物に自己乳化性を付与したり、乳化剤で水に分散させたものを乾燥した場合には膜の不連続部分が発生しやすく、抗菌防黴剤のような異種のものを加えた場合には特に顕著であり、その不連続部分より抗菌防黴剤の成分が移動しやすくなり、良好な抗菌防黴性が発現すると予想される。 【0068】特に、好ましい自己乳化型の水不溶性高分子化合物としては、ウレタン系高分子化合物、スチレン−ブタジェン系高分子化合物、アクリル系高分子化合物である。 【0069】抗菌防黴剤に付与する接着剤量は、抗菌防黴剤固形分に対して80重量%未満が好ましい。80重量%を超えると、接着性は強くなるものの抗菌防黴性が低下する。 【0070】本発明における抗菌防黴剤の組成物には必要に応じて各種の顔料、染料等を混合することが出来る。 【0071】本発明における抗菌防黴剤の組成物の作成例として銀、銅、亜鉛の複合系の抗菌防黴剤およびポリウレタン系高分子化合物について述べる。一例として、自己乳化型ポリウレタン系高分子化合物を使った例を用いて説明する。 1)水100gを用意する。 2)硝酸銀0.1mol相当量を添加する。 3)硫酸銅0.05mol相当量を添加する。 4)硝酸亜鉛0.1mol相当量を添加する。 5)室温下で十分に撹拌する。 6)2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム塩の0.4mol/l液1000gを撹拌しながら少しずつ添加する。銀電極もしくは白金電極を用いて、電位計測すると、反応終了点を検知することができる。 7)添加終了後、30分間撹拌し、十分に反応させる。 8)自己乳化型ポリウレタン系高分子化合物の40重量%水分散液を200g添加する。 【0072】上記の手順により、本発明における抗菌防黴剤組成物Dであるメルカプトピリジン−N−オキシドの銀塩、銅塩および亜鉛塩と水不溶性高分子化合物よりなる分散液が得られる。そのままの液状でも抗菌防黴剤組成物の塗料として不織布に含浸、塗布等が可能である。 【0073】本発明における抗菌防黴剤の不織布単位面積当たりの含有量は、抗菌防黴剤の組成によるが、一般的には0.05g/m2以上であり、0.1g/m2以上が好ましい。 【0074】抗菌防黴剤が0.05g/m2より少ないと使用の初期から充分な抗菌性、防黴性が得られにくい。抗菌防黴性の必要持続期間により適宜含有量を選択出来るが、数日以上の使用では0.1g/m2以上が必要である。 【0075】本発明における抗菌防黴剤の組成物は、作成したものをそのまま不織布に塗布又は含浸しても良いが、抗菌防黴剤の組成物の安定性向上や接着性を高めるために、塗布する前に各種接着剤を付与することや着色のための少量の顔料や染料の付与も可能である。 【0076】本発明における抗菌防黴剤の組成物を含浸又は塗布する不織布は、カード法等による乾式不織布、スパンボンド、メルトブローン等による不織布、湿式不織布、及びそれらのスパンレース加工不織布が使用される。 【0077】使用される不織布の目付は特に制限は無いが、20〜500g/m2が一般的であり、好ましくは20〜300g/m2である。 【0078】本発明の脱臭抗菌シートの作成方法の一例を挙げると、抗菌防黴剤と吸着剤を含有する、伸縮率10〜20%でクレープ加工された、50〜100g/m2の2枚の不織布の間に吸水性ポリマーを加熱エンボス加工により封入したシートと抗菌防黴剤と吸着剤を含有する、伸縮率10〜20%でクレープ加工された、30〜60g/m2の1〜4枚の不織布を重ね合わせ、上下に液体透過性のシートと液体不透過性のシートを重ねて両端部の全面に加熱エンボス加工で一体化した後、適当な長さでヒートシール、切断して脱臭抗菌シートを作成する。吸水性ポリマー封入シートを液体透過性のシート側にする方が瞬間吸水性から好ましい。 【0079】吸水性ポリマー封入する時や液体透過性のシートと液体不透過性のシートの間に不織布を入れて一体化する時の加熱エンボス加工での温度は、不織布やシートに使用する繊維や樹脂で異なるが、80〜200℃程度が一般的である。 【0080】本発明の脱臭抗菌シートに適当な間隔で超音波加熱器等で部分的に溶着することによりしわや不織布の偏りを防止出来るので好ましい。 【0081】本発明では、吸水性ポリマーの近隣に抗菌防黴剤が存在するので吸水性ポリマーが吸収した尿と接触している抗菌防黴剤の水可溶成分が尿中へ溶出して菌類の繁殖を抑えるために臭いの発生が少なくなるが、更に近辺に存在する吸着剤が一部で発生した臭いを吸着するので脱臭効果が大きくなると予想される。 【0082】本発明の脱臭抗菌シートの用途として好ましくは人の介護用シートとして使用される場合であり、臭気を抑え、患者の不快感を軽減するものである。 【0083】本発明の脱臭抗菌シートの用途として好ましくは動物用シートとして使用される場合であり、臭気や黴を抑え、動物に付着した液体が飛散するのを軽減するものである。 【0084】 【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を示す。 【0085】製造例A前記の発明の実施の形態の記載に準じて、カルボキシメチル基置換度0.22(DS=0.22)の変性NBKPに、銀/2−メルカプトピリジン−N−オキシドよりなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を作製した(以下、CP22AgMPと略記する)。即ち、上記の変性NBKP分散液(固形分1000g)に硝酸銀0.5molを加え、pHを5.5に調節してから、30分間撹拌する。0.1M/lの2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム液を、変性NBKP分散液に加えられた硝酸銀と等モル相当量を添加した。30分間撹拌してから、硫酸でpHを4まで下げた後、脱水した。脱水パルプに、再び500mlの水を加え、撹拌水洗して脱水した。これを、銀/2−メルカプトピリジン−N−オキシドよりなる抗菌防黴剤を含有するカルボキシメチル基置換度0.22(DS=0.22)の変性NBKPとした。 【0086】比較例1で使用する不織布2m3 の分散タンクにアクリル酸ソーダ系アニオン性界面活性剤(日本アクリル化学社製、プライマル850)を全繊維に対して1%になるように添加し、NBKP(カナダ標準濾水度480ml)、高叩解NBKP(カナダ標準濾水度200ml)、ポリエステル繊維(2デニール×5mm:帝人社製)、水中溶解温度が70℃のビニロンバインダー繊維(VPB107;1デニール×3mm:クラレ社製)を各々60:5:30:5の比率で配合し、合成アルミノ珪酸亜鉛(水沢化学工業社製、ミズカナイトA)を全繊維に対して20%になるように添加し、分散濃度0.2%で30分間分散した後、乾燥重量で60g/m2 になるように円網抄紙機で抄紙後、表面温度130℃のシリンダードライヤーで乾燥、クレープ加工(伸縮率10%)して比較例1で使用する湿式不織布を作製した。同様にして乾燥重量が30g/m2の湿式不織布を作製した。 【0087】実施例1〜5で使用する不織布比較例1のNBKPの一部を、上記製造例Aで得られた本発明における繊維状物質であるCP22AgMPに、表1記載の配合量で置き換えた外は、比較例1で使用する不織布と同様にして、実施例1〜5で抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布として使用する、乾燥重量が60g/m2と30g/m2の湿式不織布を作製した。 【0088】製造例B製造例Aと同様であるが、前記の発明の実施の形態の記載に準じて、CP22AgMPの代わりに、カルボキシメチル基置換度0・40(DS=0・40)の変性NBKPに(銀、銅、亜鉛)/2−メルカプトピリジン−N−オキシドよりなる抗菌防黴剤を含有する繊維状物質を作製した(以下、CP40Ag25Cu25Zn50MPと略記する。なお、金属原子の次の数字は、モル%比を表わす)。即ち、上記の変性NBKP分散液(固形分1000g)に硝酸銀0.25mol、硫酸銅0.25mol、硝酸亜鉛0.5molを加え、pHを5.5に調節してから、30分間撹拌する。0.1M/lの2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム液を、1.75mol相当量を添加した。30分間撹拌してから、硫酸でpHを4まで下げた後、脱水した。脱水パルプに、再び500mlの水を加え、撹拌水洗して脱水し、CP40Ag25Cu25Zn50MPを得た。 【0089】実施例6〜10で使用する不織布比較例1のNBKPの一部を、上記製造例Bで得られた本発明における繊維状物質であるCP40Ag25Cu25Zn50MPに、表1記載の配合量で置き換えた外は、比較例1と同様にして、実施例6〜10で抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布として使用する、乾燥重量が60g/m2と30g/m2の湿式不織布を作製した。 【0090】製造例C前記の発明の実施の形態の記載に準じて、銀/2−メルカプトピリジン−N−オキシドを含有させた、有機化合物の金属塩よりなる抗菌防黴剤とウレタン系高分子化合物とアクリル系高分子化合物を含む抗菌防黴剤の組成物を作製した(以下、AgMP−UA0.3と略記する)。即ち、水に硝酸銀0.1molを加え、攪拌する。0.1mol/lの2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム液を、加えられた硝酸銀と等モル相当量を添加し、30分間撹拌する。これに自己乳化型ウレタン系高分子化合物(大日本インキ化学工業社製、ハイドランHW−350)の水分散液を加え、5分間攪拌した後、同重量の自己架橋型アクリル系高分子化合物(大日本インキ化学工業社製、ボンコート3256)の水分散液を加え、銀/2−メルカプトピリジン−N−オキシドの抗菌防黴剤のウレタン系高分子化合物に対する重量比を0.3とした。尚、括弧内金属原子の次の数字は、モル%比を表わし、最後尾の数字は水不溶性高分子化合物に対する抗菌防黴剤の重量比を表わす。 【0091】製造例D製造例Cと同様であるが、前記の発明の実施の形態の記載に準じて、AgMP−UA0.3の代わりに、(銀、銅、亜鉛)/2−メルカプトピリジン−N−オキシドの抗菌防黴剤を含有した自己乳化型ウレタン系高分子化合物(ハイドランHW−350)と自己架橋型アクリル系高分子化合物(ボンコート3256)の水分散液を作製した。即ち、硝酸銀0.25mol、硫酸銅0.25mol、硝酸亜鉛0.5mol及びそれらの総モル相当量である1.75molの2−メルカプトピリジン−N−オキシドナトリウム水溶液を添加、攪拌し、自己乳化型ウレタン系高分子化合物水分散液を添加、攪拌後、同重量の自己架橋型アクリル系化合物水分散液を添加、攪拌して、(銀、銅、亜鉛)/2−メルカプトピリジン−N−オキシドの抗菌防黴剤と自己乳化型ウレタン系高分子化合物と自己架橋型アクリル系高分子化合物との重量比を0.3とした(以下、Ag25Cu25Zn50MP−UA0.3と略記する)。尚、括弧内金属原子の次の数字は、モル%比を表わし、最後尾の数字は水不溶性高分子化合物に対する抗菌防黴剤の重量比を表す。 【0092】実施例11、12で使用する不織布5デニールのポリアクリル繊維50重量%と6デニールのポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維50重量%からなる混合ウエブを熱処理した乾式不織布(目付60g/m2、厚さ300μm)に上記製造例C、Dで得られた本発明の抗菌防黴剤の組成物を抗菌防黴剤が5g/m2の乾燥塗布量になるようにサイズプレス装置で含浸し、110℃で乾燥して実施例11、12で使用する抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布を得た。尚、塗布適性を向上させるために抗菌防黴剤の組成物にセルロースエーテル(信越化学工業社製、メトローズSH30000)水溶液を適量添加して含浸した。以下の実施例、比較例でも同様にしてセルロースエーテルを必要に応じて適量添加して含浸した。 【0093】実施例13で使用する不織布実施例12で使用する不織布の製造で、Ag25Cu25Zn50MP−UA0.3の代わりに、塩化ベンザルコニウム含有アクリル系高分子化合物(ボンコート3256)を使用して塩化ベンザルコニウムの含浸量が5g/m2になるように含浸、乾燥して実施例13で使用する抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布を得た。なお、塩化ベンザルコニウム含有アクリル系高分子化合物は、製造例Cで用いた自己乳化型ウレタン系高分子化合物と自己架橋型アクリル系高分子化合物を固形で10gに対して、0.1mol/lの塩化ベンザルコニウム液120mlを加え、pH5.5に調整後、撹拌して作製した。 【0094】比較例2で使用する不織布実施例11で用いた乾式不織布(目付60g/m2、厚さ300μm)を何も含浸しないでそのままで比較例2の不織布とした。 【0095】比較例3で使用する不織布実施例11で得られた抗菌防黴剤を含浸した不織布上にポリエチレン−酢酸ビニル系バインダー粒子(平均粒子経20μm)を30g/m2散布、赤外線ヒーターで120℃に加熱後比較例1で使用する不織布を載せて加圧して比較例3で使用する不織布を作製した。 【0096】実施例11〜13で使用する不織布と比較例2で使用する不織布上に吸着剤(ミズカナイトM)とポリエチレン−酢酸ビニル系バインダー粒子(平均粒子径20μm)の重量比10:20の混合物を30g/m2散布、赤外線ヒーターで120℃に加熱後各々に実施例11〜13で使用する不織布と比較例2で使用する不織布を載せて加圧して実施例11〜13、比較例2で使用する抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布を作製した。 【0097】実施例1〜13、及び比較例1〜4ポリプロピレン製乾式不織布(目付15g/m2)、とポリエチレン製フルム(目付15g/m2)の縦42cm×横62cmの長方形シートを重ねて、その3辺をヒートシールして内寸が41cm×61cmの袋(以下袋Aと記す)を作製した。実施例1〜10、比較例1で使用する目付60g/2の不織布2枚の間に吸水性ポリマー(アクリル系、平均粒子径100μm)を30g/m2全面に散布した後110℃エンボス加工により一体化してシートにした。袋Aの中に前記の吸水性ポリマーを封入して一体化した40cm×60cmのシート1枚と実施例1〜10で使用する目付30g/m2の不織布40cm×60cmを4枚入れて4辺の端部(幅1.5cm)を120℃ヒートシール加工して実施例1〜10の脱臭抗菌シートを得た。実施例11〜13で使用する抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布、比較例2で使用する吸着剤を含有する不織布および比較例3で使用する抗菌防黴剤を含有する不織布各々2枚の間に吸水性ポリマー(架橋ポリアクリル酸ソーダ系、平均粒子径10μm)を30g/m2全面に散布した後エンボス加工により一体化してシートにした。袋Aの中に前記の吸水性ポリマーを封入して一体化した40cm×60cmのシート1枚と実施例11〜13で使用する抗菌防黴剤と吸着剤を含有した不織布40cm×60cmを2枚を入れて4辺の端部(幅1.5cm)を120℃ヒートシール加工して実施例11〜13の脱臭抗菌シートを得た。同様にして比較例1で使用する、目付60g/m2の不織布の間に吸水性ポリマーを封入して一体化した40cm×60cmのシート1枚と比較例1で使用する目付30g/m2の不織布40cm×60cmを4枚を袋Aに入れて4辺の端部(幅1.5cm)を120℃ヒートシール加工して比較例1の脱臭抗菌シートを得た。同様にして比較例2で使用する不織布の間に吸水性ポリマーを封入して一体化した40cm×60cmのシート1枚と比較例2で使用する不織布40cm×60cmを2枚袋Aに入れて4辺の端部(幅1.5cm)を120℃ヒートシール加工して比較例2の脱臭抗菌シートを得た。同様にして比較例3で使用する吸水性ポリマーを封入して一体化した40cm×60cmのシート1枚と比較例3で使用する不織布40cm×60cmを2枚袋Aに入れて4辺の端部(幅1.5cm)を全面に120℃ヒートシール加工して比較例3の脱臭抗菌シートを得た。比較例4は実施例11で使用する抗菌防黴剤と吸着剤を含有した目付60g/m2の不織布2枚の間に吸水性ポリマー30g/m2を散布しただけでエンボス加工せずに使用し、抗菌防黴剤と吸着剤を含有した目付30g/m2の不織布を4枚と共に袋Aに入れて4辺の端部(幅1.5cm)を120℃ヒートシール加工して比較例4の脱臭抗菌シートを得た。 【0098】前記の実施例1〜10で使用する抗菌防黴剤と吸着剤を含有する不織布、実施例11〜13で使用する抗菌防黴剤を含有する不織布、および比較例1〜4で使用する不織布について、抗菌性を測定した。得られた結果を表1および表2に示す。 【0099】実施例1〜13、及び比較例1〜4で得られた脱臭抗菌シートの脱臭性を犬の尿で評価した。得られた結果を表1および表2に示す。 【0100】実施例1〜13、及び比較例1〜4で得られた脱臭抗菌シートのウエットバック性を純水で評価した。得られた結果を表1および表2に示す。 【0101】<抗菌性>大腸菌(E−coli IF03301)を液体培地(ペプトン・イースト)で24時間前培養し、希釈して2×108セル/mlの試験液を調整した。上記実施例および比較例で使用する不織布の試験片2cm×2cmを用意し、水道水で流水水洗後、それぞれをペトリ皿上に配置し、上記試験液を5滴(約0.1ml)滴下し、乾燥しないようにカバーをして38℃で24時間経時した。経時後、試験片のそれぞれをNutrient Broth寒天培地上に押し当て、試験片上の菌を転写させて剥離し、38℃で24時間培養し、観察した。評価は、次のとおりとした。 評価グレード−− ほぼ完全に殺菌し、菌の成育がない。 − 2cm×2cm転写面に5コロニー以下の成育はあるが、殆ど完全に殺菌。 + 2cm×2cm転写面に100コロニー以下で良好な抗・殺菌作用。 ++ 2cm×2cm転写面に効果は認められるが、弱いか、少ない。 +++ 2cm×2cm転写面に実質的効果なし。 【0102】<犬尿での脱臭性>実施例1〜13、比較例1〜3で得られた脱臭抗菌シートについて、各々40cm×30cmに切断して2枚の試験シートを作成した。一方の試験シートの中心部に犬の尿を各20mlしみ込ませ、ポリエチレン製ビニール袋に入れて38℃、24時間静置した。他方の試験シートも同様にポリエチレン製ビニール袋に入れて同様に38℃、24時間静置した。各試験シートについて20名が下記の評価グレードで脱臭性を評価し、その平均を最終評価とした。未処理シートは全て○であった。 評価グレード○ 臭い無し○〜△ 殆ど臭い無し△ やや臭い有り× 臭い多い【0103】<ウエットバック性>実施例1〜13、比較例1〜4の脱臭抗菌シートの液体透過性不織布側を上にして置き、半径5cmの円内に純水5gを吸収させる。10秒後に重量を測定した濾紙(5C;東洋濾紙社製、11cm径)を載せ、ポリ塩化ビニル板を介して10kgの重りを載せて1分後に重りとポリ塩化ビニル板を取り除いて濾紙の重量を測定する。試験前後の濾紙の重量から吸水量を算出する。少ない方が良。 【0104】 【表1】
【0105】 【表2】
【0106】表1および表2の結果から、次のことが解る。 【0107】製造例Aに記載した抗菌防黴剤(CP22AgMP)を含む本発明における繊維状物質を、不織布の構成繊維の一つであるNBKPの一部に置き換えて使用した実施例1〜5の場合、抗菌防黴剤を含まない比較例1に比べて、抗菌性および犬尿での脱臭性とも優れていた。。その配合量は、5部置き換えで効果が認められ、置き換え量が増えるに従って効果は大きくなる。効果は20部以上の置き換えで完全な抗菌性が得られる結果である。 【0108】製造例Bに記載した抗菌防黴剤(CP40Ag25Cu25Zn50MP)を含む本発明における繊維状物質を、不織布の構成繊維の一つであるNBKPの一部に置き換えて使用した実施例6〜10の場合、抗菌防黴剤を含まない比較例1に比べて、抗菌性および犬尿での脱臭性に効果が有ることが解った。その配合量は、5部置き換えでも充分に効果が認められ、10部以上で完全な抗菌性が得られる結果であり、製造例Aの抗菌防黴剤(CP22AgMP)よりも少量でも効果の有る結果であった。 【0109】製造例C,Dで得られた抗菌防黴剤と水不溶性高分子化合物からなる抗菌防黴剤組成物を不織布に含浸した実施例11、12は、抗菌防黴剤の乾燥重量は5.0g/m2である。水不溶性高分子化合物に対する抗菌防黴剤の重量比が同じ0.3の銀系の抗菌防黴剤使用の実施例11は、銀、銅、亜鉛系抗菌防黴剤使用の実施例12と比較して明らかに抗菌性、犬尿での脱臭性は劣っている結果であった。実施例13は抗菌防黴剤として塩化ベンザルコニウムを使用しており、実施例11よりも更に抗菌性、犬尿での脱臭性が劣っており、実使用で効果の得られる下限であった。抗菌防黴剤を使用していない比較例2は抗菌性、犬尿での脱臭性は無い結果であった。 【0110】比較例3は実施例11で吸着剤を使用しない場合であるが、犬尿での脱臭性は、吸着剤が無いために液体中での菌の繁殖は殆ど抑えられるが、尿中の一部の繁殖や固体状の排出物内部の菌の繁殖は抑えられず、脱臭性は実施例11より比較例3の方が劣る結果になったと予想される。 【0111】実施例1〜10、比較例1はウエットバック性はすべて良好であり、実施例11〜13、比較例2、3では、乾式不織布を使用していることと、不織布の積層に用いたバインダー粒子の影響でウエットバック性は低下した。 【0112】比較例4は実施例11で吸水性ポリマーをエンボス加工しないで散布しただけの場合であるが、使用する不織布の抗菌性は実施例11と同等であるが、犬尿での脱臭性は吸水性ポリマーと抗菌防黴剤との間隔が広がった事や吸水性ポリマーが動きやすく偏在しやすい事により悪くなっている。ウエットバック性も吸水性ポリマーが偏在しやすいので劣った。 【0113】 【発明の効果】本発明に使用される抗菌防黴剤と吸着剤を含有した不織布間に吸水性ポリマーを加熱エンボス加工で一体化したシートと抗菌防黴剤を含有した不織布とを封入した袋は抗菌性、脱臭性、ウエットバック性が良好である。エンボス加工により吸水性ポリマーを覆っている不織布に含有されている抗菌防黴剤と吸水性ポリマーが近接しているので吸水性ポリマーが吸収した尿中へ抗菌防黴剤の一部が溶出して菌類の繁殖をおさえやすくなっているためと予想される。又、吸着剤は、初期の臭いを吸着するほかに一部の抗菌防黴剤と接触していない尿中で菌類の繁殖により臭いの有るガスが発生した場合に吸着する効果が有ると予想される。特に犬等のペットに使用した場合には脱臭性に対する効果は良好である。特に含窒素複素環か硫黄原子を含有する有機化合物の金属塩である抗菌防黴剤を含有した繊維状物質を使用した場合や抗菌防黴剤と水不溶性高分子化合物との組成物を含有した不織布を使用した場合は抗菌性、脱臭性に効果が大きい。また、本発明において、抗菌防黴剤を含有して最も効果的に機能を発揮する繊維状物質は、セルロース系繊維の部分変性物がカルボキシメチル変性されたものである。このような繊維状物質よりなるパルプを用いると、パルプを構成するセルロース繊維中に高密度で充填できるので、極めて抗菌防黴剤含有量の高いパルプが得られ、優れた効果を発揮する。金属塩として銀、銅、亜鉛塩を組み合わせて使用すると、連続して長期に抗菌性や防黴性効果等を発揮する。その理由は、各金属塩は水溶解度が異なるのでそれらの組み合わせで連続して効果を発揮できる為と予想される。抗菌防黴剤と水不溶性高分子化合物よりなる抗菌防黴剤組成物の場合は耐久性をそれらの重量比や種類により好ましく設計することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005980 【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年8月23日(1999.8.23) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−57931(P2001−57931A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月6日(2001.3.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−234830 |
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