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【発明の名称】 割り箸の製法
【発明者】 【氏名】淵側 吉胤

【要約】 【課題】油成分やバクテリアの分解産物等の悪臭の元となる不純物を抽出し、又は、中和して、悪臭の発生を防止することができる割り箸の製法を提供することを目的とする。

【解決手段】アルカリイオン水8に素材を浸漬する浸漬工程を有するものである。この浸漬工程によって、不純物が抽出され、又は、内部の酸化物が中和される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルカリイオン水8に素材を浸漬する浸漬工程を有することを特徴とする割り箸の製法。
【請求項2】 アルカリイオン水8の濃度をpH9.5 乃至pH10.5とする請求項1記載の割り箸の製法。
【請求項3】 素材をアルカリイオン水8に浸漬する時間を3時間乃至10時間とする請求項1又は2記載の割り箸の製法。
【請求項4】 印加された電圧により生成されるアルカリイオン水8を使用する請求項1,2又は3記載の割り箸の製法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、割り箸の製法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、アスペン,白樺等の木材で割り箸が製作されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの割り箸の在庫時に、割り箸に残留していた油成分が、所定の気温・経過時間(例えば、30度前後・3ヶ月〜6ヶ月)で酸化し、酸化臭を発生することがある。また、木材の露天貯木時の自然腐敗で、バクテリアの分解産物が発生し、その一部が割り箸に混入し、分解産物臭を発生することがある。そして、この油成分の酸化臭とバクテリアの分解産物臭は悪臭となる。
【0004】そして、油成分やバクテリアの分解産物等の悪臭の元は、従来の製法では取り除くことができず、割り箸を、暖かいご飯や、汁ものに漬けた時に、割り箸に残留していた悪臭の元が蒸気とともにでてきて、使用者に不快感を与えていた。
【0005】そこで、本発明は、この油成分やバクテリアの分解産物等の悪臭の元となる不純物を抽出し、及び/又は、中和させて、悪臭の発生を防止することができる割り箸の製法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するために、本発明に係る割り箸の製法は、アルカリイオン水に素材を浸漬する浸漬工程を有するものである。
【0007】また、アルカリイオン水の濃度をpH9.5 乃至pH10.5とし、素材をアルカリイオン水に浸漬する時間を3時間乃至10時間としてもよく、さらに、印加された電圧により生成されるアルカリイオン水を使用するも好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基いて詳説する。
【0009】図1〜図4は、本発明に係る割り箸の製法の実施の一形態を示したものである。まず、直径20cm〜50cmの木材を所定長さ寸法Lにて切断して、図1に示すような丸太材1を形成する。その後、この丸太材1を約5時間煮沸して、樹脂分等の不純物を抽出し、かつ、柔らかくする。なお、上記木材としては、アスペン,白樺等が好ましい。また、上記所定長さ寸法Lは、箸に適する長さ寸法であって、18cm〜25cmに設定されるのが好ましい。
【0010】次に、図2に示すように、この丸太材1を軸心K廻りに回転可能となるよう配設し、刃物2にて、丸太材1をかつら剥状に剥ぎ、板状にし、長尺帯板材3を形成していく。なお、この長尺帯板材3の厚さ寸法Tは、箸に適する厚さ寸法であって、3mm〜7mmに設定されるのが好ましい。
【0011】そして、長尺帯板材3を長手方向Aに沿って間欠的に送りつつ、上下に(矢印B方向に)駆動される切断部4を長尺帯板材3に押しつけて、割り箸の素材となる割り箸状片5…を形成する。
【0012】具体的に述べると、切断部4は、複数本の切断刃6…を備えており、この切断刃6…は、図3に示すように、3本の外形成形用切断刃6a…と、2本の割れ目成形用切断刃6b…から成り、外形成形用切断刃6aと割れ目成形用切断刃6bが交互となるように、切断部4に垂設されている。しかして、この切断部4を長尺帯板材3に1回押しつけると、2組の割り箸状片5,5が1度に形成されるように構成されている。
【0013】そして、図2に示すように、形成された割り箸状片5…は、ベルトコンベア7によって、矢印C方向に間欠的に運ばれ、次の、不純物抽出及び/又は中和作用をなす浸漬工程に進む。即ち、この浸漬工程は、図4に示すように、浸漬用容器(水槽)9内に入っているアルカリイオン水8に、割り箸状片5…を浸漬させる工程である。この浸漬工程に於て、割り箸状片5…に含有する油成分やバクテリアの分解産物やアク等の悪臭の元となる不純物を抽出し、及び/又は、上記油成分が酸化した脂肪酸等を割り箸状片5…内に浸透したアルカリイオン水8によって中和して、悪臭の発生を防止することができる。
【0014】なお、アルカリイオン水8は、(市販されている)電気分解水生成装置等を用いて、水に印加された電圧等のエネルギーを加えることで、アルカリ性とした電解アルカリ性水である。従って、薬品により生成された場合の残留薬等がなく、人体に安全なものとなる。さらに、この方法は、一般に市販されている家電品と同じ原理を用いて行われているため、簡単な構造で、容易に作業が行われる。
【0015】さらに、アルカリイオン水8の濃度をpH9.5 乃至pH10.5とするのが好ましく、pH9.5 未満では悪臭の元となる不純物を確実に抽出できず(又は中和作用が不十分であり)、pH10.5を越えると本来の木の香りを損なう虞れがある。また、アルカリイオン水8に浸漬する時間を3時間乃至10時間とするのが好ましく、3時間未満では悪臭の元となる不純物を確実に抽出できず(又は中和作用が不十分であり)、10時間を越えると本来の木の香りを損なう虞れがある。従って、本来の木の香りを抽出することなく、悪臭の元となる不純物を確実に抽出することができる。
【0016】そして、図示省略するが、浸漬工程を終えた湿った状態の割り箸状片5…を乾燥させた後、研剤砥石や鉋等で研磨することにより、図5に示すように、割り箸本体10…が形成される。
【0017】なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、例えば、浸漬工程において、浸漬用容器9の容量や、アルカリイオン水8の量を変えて、小ロット用に適用しやすいようにしてもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【0018】
【実施例】次に、下記の条件に基いて、実施例として本発明の割り箸の製法によりアルカリイオン水による浸漬工程を行った場合と、比較例1、比較例2としてアルカリイオン水による浸漬工程を行わない場合と、を6名の臭覚により比較した。
【0019】(実施例の作製条件)
■ 割り箸の材質は、アスペンと白樺を使用した。
■ 湿気ある割り箸をアルカリイオン水に約5時間浸漬し、不純物抽出(又は中和)を確認後、普通水で洗い流す。
■ 機械乾燥後、油成分酸化期間の6ヶ月以上、普通放置した。
【0020】なお、比較例1としては、アルカリイオン水による浸漬工程を行わず、湿気ある割り箸をそのまま機械乾燥して放置した。また、比較例2としては、(実施例の)アルカリイオン水の代わりに普通水に浸漬させ、アルカリイオン水による浸漬工程を行わなかった。
【0021】この結果、臭覚による知覚試験で、実施例では6名全員が悪臭を感じず、比較例1では6名全員が強い悪臭を感じ、比較例2では4名が強い悪臭を感じ2名が悪臭が少し弱くなったと感じた。従って、アルカリイオン水により、悪臭の元となる不純物が抽出され、又は、内部の脂肪酸等の酸化成分の中和が行われて、悪臭の発生を防止することができる。
【0022】
【発明の効果】本発明は、以下に記載するような著大な効果を奏する。
【0023】(請求項1によれば)素材に残留していた不純物である油成分をアルカリイオン水8により抽出でき、又は、内部の酸化成分の中和が行われるため、長期間の放置にて、油成分の酸化臭が発生せず、長期間にわたって、快適に使用できるものとなる。また、素材に混入していた不純物であるバクテリアの分解産物も抽出又は中和できるため、分解産物臭が発生せず、快適に使用できるものとなる。
【0024】(請求項2、3によれば)本来の木の香りを抽出することなく、悪臭の元となる不純物を確実に抽出又は中和することができ、一層快適に使用できるものとなる。
【0025】(請求項4によれば)アルカリイオン水8は印加された電圧により生成されているため、薬品により生成された場合の残留薬等がなく、人体に安全なものとなり、一層快適に使用できるものとなる。さらに、所定の濃度をもつアルカリイオン水8を容易に、かつ、迅速に生成することができる。
【出願人】 【識別番号】592085780
【氏名又は名称】やなぎプロダクツ株式会社
【出願日】 平成11年5月31日(1999.5.31)
【代理人】 【識別番号】100080746
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 武嗣
【公開番号】 特開2001−29200(P2001−29200A)
【公開日】 平成13年2月6日(2001.2.6)
【出願番号】 特願平11−152077