| 【発明の名称】 |
シート用クッションパッド |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 洋明
【氏名】茂木 学
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| 【要約】 |
【課題】大腿部が載置される部分の硬度を低くして、良好な疲労軽減機能と軽快な操作性との両立を図るシート用クッションパッドを、廉価で生産性に優れる状態で実現させる。
【解決手段】シート用クッションパッドAにおいて、着座部1における大腿部を受止め支持する脚座部分3の左右両側に、大腿部長手方向に沿い、かつ、所定深さを有したスリット4,6を形成し、これら両スリット4,6の後端部どうしを、左右向きの横スリット7で連結する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 着座部における大腿部を受止め支持する脚座部分の左右両側に、大腿部長手方向に沿い、かつ、所定深さを有したスリットを形成してあるシート用クッションパッド。 【請求項2】 一対の前記スリットの後端部どうしを、左右向きの横スリットで連結してある請求項1に記載のシート用クッションパッド。 【請求項3】 前記横スリットは、前記着座部における臀部を受止め支持する尻座部分と、前記脚座部分との境目又はその付近に形成されている請求項2に記載のシート用クッションパッド。 【請求項4】 臀部を受止め支持する尻座部分と、大腿部を受止め支持する脚座部分とを有した着座部の左右横外側夫々に、着座者の横方向移動を規制可能に受止め支持する横框部を備えてあるシート用クッションパッドであって、各前記横框部の上面における前後方向で前記脚座部分に対応した箇所に、大腿部長手方向に沿うスリットを形成してあるシート用クッションパッド。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の車両に搭載されるシート用のクッションパッドに係り、詳しくは、乗り心地や足による操作性の改善を図る技術に関する。 【0002】 【従来の技術】車両用のシートに要求される機能としては、(1)運転者や乗客の疲労を最小限度に止めること、(2)人体を支えるに安全で、かつ、触感の良いもの、(3)車体構成部品のうちで、原価に占める割合の大きなものであり、経済的な構造にであること、(4)車室空間の大きな部分を占めるので、意匠的に満足なものであること、(5)企画された着座定員が満足に着座できる形状、寸法を有すること等、種々のものがある。 【0003】そこで、シートの原形を決めるクッションパッドには、とりわけ、前記(1)〜(5)に関する機能として、(i)着座人体に対する良好な着座姿勢と圧力分布を与えること、(ii)経済的に設計、製作されていることが要求される。又、特に運転者用としては、(iii)着座人体の諸動作がし易いこと、(iv)諸動作の反力を受ける構造物として十分な強度と剛性を持つものであること等も要求される。 【0004】例えば、シート用クッションパッドの工夫により、長時間乗車時に大腿部圧迫によるしびれが生じ難いようにするとか、或いは、クラッチワーク等の操作の妨げにならないようにするには、大腿部を受止め支持る部分であるクッションパッドの前縁部を、それ以外の部分に比べて柔らかくするのが有効であることが知られている。そのための手段としては、a)部分的に比較的低硬度の材料を用いる異硬度化手段(ソフト配合)や、b)部分的に比較的低硬度のスラブ材を接着又は一体発泡する手段があった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】前記a)の手段は、図10に示すように、高硬度と低硬度の複数種の原液を各別にパッド用金型(図示せず)の所定位置に注入することで、柔らかい脚座部分3と硬い尻座部分2という、部分的に硬度の異なるクッションパッドAを一体的に成形させるもの(ソフト配合手段)である。 【0006】また前記b)の手段は、例えば、図11に示すように、それぞれ別個に成形した高硬度の主パッド14に、低硬度の部分パッド15を接着して成る着座部1を有したクッションパッドAを構成するもの(ソフトスラブ手段)である。 【0007】しかしながら、a)の手段では、金型注入時に2種以上の原液配合が必要であって、原料貯蔵タンク、注入ヘッド、制御装置の追加による設備投資が余計に必要になり、一方、b)の手段では、後加工が必要で工程数が増えたり、スラブのセットに人件費が発生したりするため、コストアップを招くとか生産性を低下させる傾向にあり、いずれの手段でも改善の余地が残されているものであった。 【0008】本発明の目的は、大腿部が載置される部分の硬度を低くして、良好な疲労軽減機能と軽快な操作性との両立を図るシート用クッションパッドを、廉価になるとか生産性制が向上する等の利点を伴なって実現できるようにする点にある。 【0009】 【課題を解決するための手段】〔構成〕請求項1の構成は、図1に例示する如く、シート用クッションパッドAにおいて、着座部1における大腿部を受止め支持する脚座部分3の左右両側に、大腿部長手方向に沿い、かつ、所定深さを有したスリット4,6を形成したことを特徴とする。 【0010】図1において、シートクッションは尻座部分2と脚座部分3とを備え、通常は、尻座部分2を車両後方側に、又脚座部分3を車両前方側に位置するように装着される。 【0011】請求項2の構成は、図1に例示する如く、請求項1の構成において、一対のスリット4,6の後端部(車両装着時の後方側端部)どうしを、左右向きの横スリット7で連結してあることを特徴とするものである。 【0012】請求項3の構成は、図1に例示する如く、請求項2の構成において、横スリット7、着座部1おける臀部を受止め支持する尻座部分2と、脚座部分3との境目又はその付近に形成されていることを特徴とするものである。 【0013】請求項4の構成は、図4に例示する如く、臀部を受止め支持する尻座部分2と、大腿部を受止め支持する脚座部分3とを有した着座部1の左右横外側夫々に、着座者の横方向移動を規制可能に受止め支持する横框部5を備えてあるシート用クッションパッドにおいて、各横框部5,5の上面5aにおける前後方向で脚座部分3に対応した箇所に、大腿部長手方向に沿うスリット8を形成したことを特徴とするものである。 【0014】尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。 【0015】〔作用〕請求項1の構成によれば、着座部の前端部に位置することになる脚座部分の左右両側に、大腿部長手方向に沿う所定深さのスリットを形成したので、少なくとも左右端縁及び前端縁が自由端に近い状態となる脚座部分は、あたかも着座部から浮いた島に近いような状態になり、着座部分と連続した面状態である場合に比べて、クッションパッドとしての左右及び上下方向のばね定数が減少するようになる。つまり、(イ)脚座部分がそれ以外の部分に比べて柔らかくなったことに相当し、臀部に比べて軽く支持するのが良い大腿部に適したクッション状態が得られるとともに、大腿部を左右に動かし易いようになり、脚を動かしてくつろぎ易いとか、クラッチやブレーキペダル等の脚操作が行ない易いようにもなる。 【0016】そして、スリットは型成形時に形成できるものであるから、比較的高硬度の尻座部分を形成するパッド材料のみを金型に注入して製作することができ、従来のように、金型に2種のポリウレタン発泡原液を位置合わせをして注入するとか、別途用意した低硬度のパッド材を高硬度のパッド材に接着するといった手間が不要になり、製造工程が簡略化される。 【0017】請求項2の構成によれば、着座部の前端部に位置している脚座部分の左右両側、及び後側に連続するスリットが形成されているので、左右端縁及び前後端縁の四方共に自由端に近い状態となる脚座部分は、あたかも着座部から浮く島に一層近い状態になり、着座部分と連続した面状態である場合に比べて、クッションパッドとしての左右及び上下方向のばね定数が明確に減少するようになるから、前記(イ)の作用が強化されるようになる。 【0018】請求項3の構成によれば、横スリットを、着座時には殆ど位置移動することのない臀部を受止め支持する尻座部分と、左右に揺さぶるとか上げ下げする等、着座時に比較的位置移動されることの多い大腿部を受止める脚座部分との境目又はその付近に形成してあるので、例えば、脚を動かしたときには脚座部分のみが対応して横揺れしたり撓んだりして、尻座部分は連れ動かないという具合に、固定状態が望ましい尻座部分と可動状態が望ましい脚座部分とを、夫々に必要とされる機能を備えながら、互いに影響を及ぼし難い状態を現出できるようになる。 【0019】請求項4の構成によれば、次のような作用がある。シート用クッションパッドには、着座姿勢のホールド性向上や安定感を向上させるべくその左右夫々に、着座者の横方向移動を規制可能に受止め支持する横框部を設けた構造のものが多くなってきている。そこで、その横框部の上面における前後方向で脚座部分に対応した箇所に、大腿部長手方向に沿うスリットを形成して、左右方向のバネ定数を低めるようにしたので、大腿部の横框部に対する接触感がソフトになり、前述したホールド性や安定感を維持しながらも左右に脚を動かし易いとか、横框部に脚を長時間載せても疲れ難い等の作用を得ることができる。しかも、そのための手段であるスリットは、型成形時に一体形成できるから、スリット専用の部品の準備や別工程となる加工等の追加的作業が一切生じない。 【0020】〔効果〕請求項1〜3のいずれに記載のシート用クッションパッドでも、脚座部分の左右夫々にスリットを設ける工夫により、単一種のパッド材を用いて型成形が簡便に行なえるものとしながら、臀部の支持に適した比較的硬い尻座部分と、大腿部の支持に適した比較的柔らかい脚座部分とを実現でき、(ロ)生産性良く経済的で合理的に、良好な疲労軽減機能と軽快な操作性との両立が図れた。 【0021】請求項2に記載のシート用クッションパッドでは、脚座部分に横スリットを追加する程度の簡単な改造によって、尻座部分との硬度差をより大きくすることができ、脚座部分のソフト感が増して前記効果(ロ)を強化できる利点がある。 【0022】請求項3に記載のシート用クッションパッドでは、横スリットを尻座部分と脚座部分と境目又はその付近に形成したので、尻座部分と脚座部分とに要求される機能を互いの干渉無く十分に発揮でき、トータル性能を向上することができた。請求項4に記載のシート用クッションパッドでは、横框部にスリットを設ける工夫により、単一種のパッド材を用いて型成形が簡便に行なえるものとしながら、臀部の支持に適した比較的硬い尻座部分と、大腿部との接触に適した比較的柔らかい横框部とを実現でき、横框部を備えたものにおいて前記効果(ロ)を得ることができた。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。 【0024】自動車の前席シートは、図示しないが、概略として、着座者(搭乗者)が着席するシート部と、背凭れ(バックシート)と、ヘッドレストとを備えた構造のものが多い。シート部は、ウレタンフォームやフェルト等によるクッションパッドを、本革、ビニールレザー、クロス等による表皮材で覆うことで構成されている。次に、クションパッドAについて説明する。 【0025】図1に示すように、クションパッドAは、着座部1と、その左右横外側夫々に、前後に延びる谷脈部4を介して形成された横框部5,5とから構成されており、着座部1は、臀部を受止め支持する尻座部分2と、大腿部を受止め支持する脚座部分3とを有して構成されている。尻座部分2の上面2aを基準とすると、脚座部分3の上面3aは前上がり傾斜した面に設定され、横框部5の上面5aは、全体的に高く、かつ、横外側ほどさらに高くなる傾斜面に設定されており、横框部5は、着座者の横方向移動を規制可能に受止め支持する機能を有している。 【0026】図1〜3に示すように、着座部1の前部に相当する脚座部分3の左右中央に、前後方向(大腿部長手方向の一例)に沿い、かつ、所定深さを有した縦スリット6を形成するとともに、左右夫々の谷脈部4,4の前後中間部分と縦スリット6の後端部とを連結する左右向きの横スリット7を形成してある。この横スリット7は、尻座部分2と脚座部分3との境目となる位置に設定されており、標準的な搭乗者が着座した状態において、丁度前後方向で大腿部の付け根に相当する位置に合致するようにしてある。 【0027】横スリット7は、尻座部分2におけるヒップポイントHPからLmm前方の位置に配置されており、L≧30であるのが望ましい。尚、着座部1の上面である着座面2a,3aは、座る人の座骨結節をしっかりと受けるようにすべきであり、着座面2a,3aの前角は、大腿部をほんの少しだけ支えるようにするのが望ましい。 【0028】クッションパッドAとしての左右中央に位置する縦スリット6の溝深さdは、d≧5mmであり、かつ、その幅tは、t=0.5〜20mmであるのが望ましい。又、前述の谷脈部4は、要するに縦スリットの一種であると見ることができ、その前後長さは、図1に示すように着座部1の全長に亘るものでも、着座部1の前縁から横スリット7部位までのものでも良く、種々のものが考えられる。 【0029】参考に記すが、一般的な尻下厚み130mmのクッションパッドAの前縁に、種々の深さを有した縦スリット6を設けたモデルにおいて、有限要素法による面圧荷重分布をシュミレーションした結果、脚座部分3における横スリット近くの第1計測点と、前後中央からやや前よりの第2計測点での面圧は、スリット深さが深い方が低くなること、すなわち、パッド硬度が実質的に柔らかくなってホールド性(大腿部との密着性)が改善されることが確認された。 【0030】すなわち、縦スリット6の深さが10mmの第1試片、20mmの第2試片、及び35mmの第3試片の3種類でテストしたところ、コントロールモデルである第1試片を基準とした場合、第1計測点の面圧は、第2試片で5.6%、第3試片で6.4%低くなり、第2計測点での面圧は、第2試片で11.5%、第3試片で12.6%低くなることが得られた。 【0031】〔別実施形態〕縦スリット6による脚座部分3の左右分割による引っ張り応力の緩和は、特に脚座部分3の前縁部において有効であるが、図4に示すように、左右の横框部5,5の夫々に、その上面5aにおける前後方向で脚座部分3に対応した箇所に、前後方向(大腿部長手方向の一例)に沿うサイドスリット8を形成して、脚の左右の動きに対する柔軟化にも適用したクッションパッドAでも良い。サイドスリット8は、その前後端が開放されない切れ込み状に形成してある。 【0032】そして、尻座部分2の後部に、左右方向に延びる後部スリット9を形成して、パッド表面硬度を実質的に更にソフト化して、着座感を向上可能としても良い。後部スリット9も、その左右端が開放されない切れ込み状に形成してある。 【0033】図5に示すように、脚座部分3に、左大腿部用の左右一対の縦スリット4,6と、右大腿部用の左右一対の縦スリット6,4との計4本の縦スリットが形成されたクッションパッドAでも良い。又、図6に示すように、脚座部分3に複数の横スリット7を設けるとか、左右の両横框部5,5に複数のサイドスリット8や、単数又は複数の左右向きの補助スリット13を設けても良い。 【0034】脚座部分3の縦スリットを、図7に示すように、その深さdがシート前縁側ほど深くなる形状の異深形縦スリット10に、又は、図8に示すように、その幅がシート前縁側ほど広くなる異幅形縦スリット11に、或いは、図9に示すように、その左右方向での存在数がシート前縁側ほど多くなる異数形縦スリット12に形成することにより、脚座部分3におけるパッド材のバネ定数が前側ほど実質的に低くなるように設定しても良い。 【0035】つまり、着座姿勢における大腿部の左右方向の動きは、その付け根(臀部)を中心にして揺動移動されるような状態となるから、前述の各手段を採ることにより、移動量が大きくなる揺動移動の外径側ほどパッド材がソフトになっていくように構成されて、大腿部の動かし易さが向上するのである。このように、人間工学的見地から脚の操作性やくつろぎ易さをより快適にすれば好都合である。 【0036】前述した各種スリット4,6〜9は、その溝深さ方向が斜め下方に向いているとか、平面視で波打っている(ジグザグ状)とかでも良く、又、溝幅や溝深さ等が長さ方向に順次変更されるようにしても良い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003148 【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月24日(2000.3.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092266 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−269241(P2001−269241A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月2日(2001.10.2) |
| 【出願番号】 |
特願2000−83510(P2000−83510) |
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