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【発明の名称】 椅子の肘掛け取付装置
【発明者】 【氏名】益永 浩

【氏名】角道 将人

【要約】 【課題】椅子の肘掛けを、楽な姿勢で、容易かつ強固に取り付けることができるようにする。

【解決手段】椅子の座2の下方において外側方に延出する腕杆8の先端面と、肘掛け5を支持する肘掛支柱11の下端部より内方を向く内向き部11aの先端面とのいずれか一方を山形の凸面10とし、同じく他方を、凸面10とほぼ補形をなすV溝状の凹面12とし、凸面10と凹面12とを互いに密接させて、それらの接合面を貫通する連結ボルト14により、腕杆8と肘掛支柱11とを締めつける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 椅子の座の下方において外側方に延出する腕杆の先端面と、肘掛けを支持する肘掛支柱の下端部より内方を向く内向き部の先端面とのいずれか一方を山形の凸面とし、かつ他方を、前記凸面とほぼ補形をなすV溝状の凹面とし、前記凸面と凹面とを互いに密接させて、それらの接合面を貫通する連結ボルトをもって、前記腕杆と肘掛支柱とを螺締したことを特徴とする椅子の肘掛け取付装置。
【請求項2】 山形の凸面の稜線の向き、及びV溝状の凹面の溝の向きを、それぞれ椅子の前後方向とした請求項1記載の椅子の肘掛け取付装置。
【請求項3】 山形の凸面の稜線の向き、及びV溝状の凹面の溝の向きを、それぞれ椅子の上下方向とした請求項1記載の椅子の肘掛け取付装置。
【請求項4】 腕杆内に、連結ボルトにおける軸部の少なくとも先端部に形成した雄ねじ部と螺合しうるねじ孔を設け、肘掛支柱に、連結ボルトの軸部より大径で、かつ前記軸部の基端に設けた拡径頭部より小径とした通孔と、連結ボルトの拡径頭部が挿通しうる挿入孔とを同一軸線上に穿設し、連結ボルトの軸部を前記通孔に挿通し、かつ前記拡径頭部が大径の挿入孔に嵌合するようにして、連結ボルトの雄ねじ部をねじ孔に螺合した請求項1〜3のいずれかに記載の椅子の肘掛け取付装置。
【請求項5】 筒状とした肘掛支柱の下端部内側面に内向き部を連設し、該内向き部と整合する肘掛支柱の下端部内側壁と外側壁とに、小径の通孔と大径の挿入孔とを穿設し、肘掛支柱の下端開口部に嵌合した閉塞蓋に上向きの閉塞片を設け、該閉塞片により、前記肘掛支柱の外側壁に設けた挿入孔を内外いずれかから閉塞するようにした請求項4記載の椅子の肘掛け取付装置。
【請求項6】 閉塞片に、挿入孔に係合することにより、閉塞蓋を肘掛支柱から抜け止めする係合突部を設けた請求項5記載の椅子の肘掛け取付装置。
【請求項7】 肘掛支柱の外側面に開口する挿入孔に、その開口部分を閉塞する閉塞部材を着脱自在に設けた請求項4記載の椅子の肘掛け取付装置。
【請求項8】 山形の凸面の稜線部分に、連結ボルトが挿通しうる円筒状の突部を設け、かつそれに対応するV溝状の凹面の谷の部分に、前記突部が嵌合しうる凹部を設けた請求項1〜7のいずれかに記載の椅子の肘掛け取付装置。
【請求項9】 肘掛支柱の内向き部の先端部における凹面または凸面から離れた部分に、椅子の座の下方に設けられた支基の側面に形成された外上方に傾斜する傾斜面と当接または近接する傾斜面を設けた請求項1〜8のいずれかに記載の椅子の肘掛け取付装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、椅子に肘掛けを、容易かつ強固に取り付ける装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図11は、従来の一般的な肘掛け付きの椅子を示し、(1)は脚、(2)は座、(3)は、脚(1)の上端に設けられ、座(2)を支持する支基、(4)は背もたれ、(5)は肘掛け、(6)は、上部がほぼ垂直で、下部が内側方に湾曲する肘掛支柱である。肘掛け(5)は、その下面中央部に上端が固着された肘掛支柱(6)の下端内向き部(6a)を、支基(3)の下面、または座(2)の下面に、下方より取付ボルト(7)により螺締することによって、支基(3)または座(2)に取り付けられている。
【0003】また、特開平10−127410号公報や特開平10−117883号公報等にも、同様の肘掛け取付装置が記載されているが、いずれも、肘掛支柱の内向き部分を、支基や座の下方からボルト締めすることが基本構造となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来の椅子においては、肘掛支柱(6)を支基(3)または座(2)に取り付ける際、座(2)の下方の狭い空間内で、上向きの取付ボルト(7)の位置合せや締めつけ作業を行なわなれければならず、無理な姿勢を余儀なくされ、組み付け時の作業性が悪い。また、肘掛けに、着座者が凭れ掛かったりして、大きな荷重が掛ったとき、その荷重がそのまま、またはてこの原理で加増されて、取付ボルト(7)に対して抜け落ちる方向に作用するので、強力な取付ボルト(7)を用いなければ、ボルトの抜け落ちや折損等を招くおそれがある。
【0005】本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、肘掛けの取付け作業を、楽な作業姿勢で簡単に行なうことができるとともに、肘掛けに掛る大きな下向きの荷重が、直接取付ボルトに掛ることがなく、腕杆と肘掛支柱との接合部分を介して、軸線方向の引張り応力としてだけ取付ボルトに作用し、もって肘掛けを強固に取付けることができるようにした、椅子の肘掛け取付装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)椅子の座の下方において外側方に延出する腕杆の先端面と、肘掛けを支持する肘掛支柱の下端部より内方を向く内向き部の先端面とのいずれか一方を山形の凸面とし、かつ他方を、前記凸面とほぼ補形をなすV溝状の凹面とし、前記凸面と凹面とを互いに密接させて、それらの接合面を貫通する連結ボルトをもって、前記腕杆と肘掛支柱とを螺締する。
【0007】(2)上記(1)項において、山形の凸面の稜線の向き、及びV溝状の凹面の溝の向きを、それぞれ椅子の前後方向とする。
【0008】(3)上記(1)項において、山形の凸面の稜線の向き、及びV溝状の凹面の溝の向きを、それぞれ椅子の上下方向とする。
【0009】(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、腕杆内に、連結ボルトにおける軸部の少なくとも先端部に形成した雄ねじ部と螺合しうるねじ孔を設け、肘掛支柱に、連結ボルトの軸部より大径で、かつ前記軸部の基端に設けた拡径頭部より小径とした通孔と、連結ボルトの拡径頭部が挿通しうる挿入孔とを同一軸線上に穿設し、連結ボルトの軸部を前記通孔に挿通し、かつ前記拡径頭部が大径の挿入孔に嵌合するようにして、連結ボルトの雄ねじ部をねじ孔に螺合する。
【0010】(5)上記(4)項において、筒状とした肘掛支柱の下端部内側面に内向き部を連設し、該内向き部と整合する肘掛支柱の下端部内側壁と外側壁とに、小径の通孔と大径の挿入孔とを穿設し、肘掛支柱の下端開口部に嵌合した閉塞蓋に上向きの閉塞片を設け、該閉塞片により、前記肘掛支柱の外側壁に設けた挿入孔を内外いずれかから閉塞するようにする。
【0011】(6)上記(5)項において、閉塞片に、挿入孔に係合することにより、閉塞蓋を肘掛支柱から抜け止めする係合突部を設ける。
【0012】(7)上記(4)項において、肘掛支柱の外側面に開口する挿入孔に、その開口部分を閉塞する閉塞部材を着脱自在に設ける。
【0013】(8)上記(1)〜(7)項のいずれかにおいて山形の凸面の稜線部分に、連結ボルトが挿通しうる円筒状の突部を設け、かつそれに対応するV溝状の凹面の谷の部分に、前記突部が嵌合しうる凹部を設ける。
【0014】(9)上記(1)〜(8)のいずれかにおいて、肘掛支柱の内向き部の先端部における凹面または凸面から離れた部分に、椅子の座の下方に設けられた支基の側面に形成された外上方に傾斜する傾斜面と当接または近接する傾斜面を設ける。
【0015】
【発明の実施の形態】図1〜図6は、本発明の第1の実施形態を備える椅子を示すもので、図10におけるのと同一の各部材には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0016】座(2)の直下における支基(3)の両側面より外側方に向かって延出する腕杆(8)の先端部は、中空角筒状をなし、その基端部内の中心軸線上にはねじ孔(9)が穿設され、かつ腕杆(8)の先端面は、前後方向を向く中央部の稜線が外側方に突出する正面視横向き山形の凸面(10)としている。
【0017】座(2)の両側における肘掛け(5)の下面中央部は、上下方向を向く直管状の肘掛支柱(11)の上端により支持され、各肘掛支柱(11)の対向面下部には、内方を向く管状の内向き部(11a)が連設され、その内端には、上記凸面(10)とほぼ補形をなす前後方向を向くV溝状の凹面(12)を形成するようにく字形に屈曲させた係合板(13)が固着されている。
【0018】係合板(13)と肘掛支柱(11)の内側壁における内向き部(12)の軸線上には、後記する連結ボルト(14)の軸部(14a)よりも大径で、軸部(14a)の基端に連設された拡径頭部(14b)よりも小径の通孔(15)が穿設されている。
【0019】支柱(11)の外側壁には、通孔(15)と同軸をなし、かつ拡径頭部(14b)よりも大径の挿入孔(16)が穿設されている。
【0020】上述の装置において、腕杆(8)の凸面(10)に、係合板(13)の凹面(12)を嵌合し、ついで連結ボルト(14)を挿入孔(16)より通孔(15)に挿入して、軸部(14a)の先端部に形成した雄ねじ部(14c)をねじ孔(9)に螺合した後、挿入孔(16)より工具(図示省略)を差し込んで強く螺締すれば、連結ボルト(14)の拡径頭部(14b)が、肘掛支柱(11)の内面を押圧して、係合板(13)が腕杆(8)の先端の凸面(10)に圧接するので、肘掛支柱(11)は、腕杆(8)に強固に固定される。肘掛支柱(11)の下端の開口部と挿入孔(16)は、閉塞部材(17)により体裁よく閉塞される。
【0021】図5および図6は、前記閉塞部材(17)を示すもので、肘掛支柱(11)の下端面と同一の外形とした合成樹脂製の倒立腕状の閉塞蓋(18)の上面に、肘掛支柱(11)の下端の開口部内に嵌合しうる内向きに弾性変形可能な複数の嵌合片(19)を突設するとともに、閉塞蓋(18)の周縁要所に、弾性変形可能な上向きの閉塞片(20)を一体的に突設し、かつその上端部内面に、上記挿入孔(16)内に嵌合可能なやや厚肉円形の係合突部(21)を設けてある。
【0022】閉塞部材(17)の嵌合片(19)を、肘掛支柱(11)の下端の開口部内に下方より挿入すると、閉塞片(20)の係合突部(21)が挿入孔(16)に弾性係合して、閉塞部材(17)は肘掛支柱(11)から抜け止めされるとともに、挿入孔(16)は体裁よく隠蔽される。
【0023】上記実施形態の閉塞部材(17)における閉塞片(20)は、支柱(11)の外側面と当接し、挿入孔(16)を係止突部(21)により外側より閉塞するようにしているが、閉塞片(20)を、支柱(11)の外側壁の内面と当接するように、閉塞蓋(18)より突設し、その外側面に、上記挿入孔(16)に内方より嵌合可能な係合突部(21)を設けてもよい。
【0024】また、閉塞片(20)に設けた円形の係合突部(21)の代わりに、挿入孔(16)の下端縁に単に係止可能な突起とすることもある。
【0025】図7〜図9は、本発明の第2の実施形態を備える椅子を示している。なお、第1の実施形態におけるのと同一の部材については、同一の符号を付すに止め、詳細な説明は省略する。
【0026】第2の実施形態においては、支基(3)の両側面より外側方に向かって延出する腕杆(30)(左方のものは図示略)の先端には、上下方向を向く中央部の稜線が外側方に突出する平面視山形の凸面(31)が形成されており、凸面(31)の稜線の中央部には、内部にねじ孔(32)が穿設された円筒状の突部(33)が形成されている。支基(3)の両側面には、外上方に傾斜する傾斜面(3a)が形成されている。
【0027】肘掛け(5)を支持する肘掛支柱(34)は、硬質の合成樹脂材料により、肘掛け(5)と一体的に形成されており、かつ下端部に、内方に向かってなだらかに湾曲する内向き部(34a)を有している。
【0028】内向き部(34a)の先端面は、肘掛支柱(34)の装着状態において、支柱(3)の傾斜面(3a)と密接するか、または微小間隙を隔てて互いに平行をなして対向するようにした傾斜面(35)としてある。
【0029】内向き部(34a)の先端部中央には、腕杆(30)が嵌合しうるとともに、奥端に、腕杆(30)の凸面(31)とほぼ補形をなす上下方向を向くV溝状の凹面(36)が形成された凹部(37)が設けられている。
【0030】凹面(36)の中央には、腕杆(30)の先端における突部(33)が嵌合しうる拡大孔(38)と、それより小径の通孔(39)と、通孔(39)より大径で、かつ肘掛支柱(34)の屈曲部において外側方に向かって開口する挿入口(40)とが、ほぼ水平の一直線上に連続して穿設されている。
【0031】肘掛支柱(34)を椅子に装着するには、まず、肘掛支柱(34)の拡大孔(38)に腕杆(30)の突部(33)が嵌合し、かつ凹面(36)が凸面(31)に密接するようにして、凹部(37)を腕杆(30)に外嵌し、次いで、連結ボルト(14)の軸部(14a)を挿入孔(40)から通孔(39)に通して、雄ねじ部(14c)をねじ孔(32)に螺合し、締めつける。
【0032】その後、挿入孔(40)に、着脱自在な閉塞部材(41)を装着し、連結ボルト(14)の拡径頭部(14b)を隠蔽する。
【0033】連結ボルト(14)を締めつけると、凸面(31)と凹面(36)とが確実に位置決めされて密接し、肘掛支柱(34)は腕杆(30)に強固に固定される。
【0034】肘掛け(5)に下向きの大きな荷重が掛ったとき、その荷重は、まず凸面(31)と凹面(36)との接合面に作用し、連結ボルト(14)には、軸線方向の引張り応力のみが作用するので、連結ボルト(14)が折れ曲がったり、抜け外れたりするおそれは小さい。
【0035】また、肘掛支柱(34)の傾斜面(35)が支基(3)の傾斜面(3a)と当接することにより、肘掛支柱(34)が外下方へ回動しようとするのが強力に阻止される。なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、幾多の変化変形が可能である。例えば、凸面(10)(31)を肘掛支柱(34)側に設け、かつ凹面(12)(36)を腕杆(8)(30)側に設けて、それらを互いに嵌合させるとともに、連結ボルトにより螺締してもよい。また、凸面(10)(31)の稜線と凹面の溝とを、前上方または後上方等に、斜めに向けてもよい。
【0036】
【発明の効果】請求項1記載の発明によると、腕杆に肘掛けを取り付ける際、山形の凸面とV溝状の凹面とを突き合わせることにより、肘掛支柱の一方向の位置決めが簡単になされるとともに、椅子の側方の広い空間を利用して、ボルト締め作業を行なうことができるので、楽な姿勢で簡単に作業することができる。
【0037】また、肘掛けに着座者が強く凭れ掛かっても、そのときの荷重は山形の凸面とV溝状の凹面との接合部分に掛り、水平をなす連結ボルトには、軸線方向に引張り応力が作用するだけであるので、連結ボルトが折れ曲がったり,抜け外れたりするおそれは小さく、肘掛支柱を強固に取付けることができる。
【0038】請求項2記載の発明によると、山形の凸面とV溝状の凹面とを互いに嵌合させることにより、肘掛支柱及びそれに支持された肘掛けの荷重の大部分が支承され、肘掛支柱と腕杆との位置決め時に、肘掛支柱等の荷重を気にすることなく、肘掛支柱を前後方向に移動させるだけで、簡単に位置決めすることができる。
【0039】請求項3記載の発明によると、凸面と凹面とを嵌合させた状態で、肘掛支柱を上下方向に移動させるだけで、肘掛支柱を簡単に位置決めすることができる。
【0040】請求項4記載の発明によると、連結ボルトの拡径頭部は挿入孔内に嵌入し、外部に突出しないので、体裁がよい。
【0041】請求項5記載の発明によると、筒状の肘掛支柱の下端開口部を閉塞する閉塞蓋を装着すると同時に、その閉塞片により、挿入孔も閉塞されるので好都合である。
【0042】請求項6記載の発明によると、さらに、閉塞片に設けた係合突部が挿入孔に係合することにより、閉塞蓋が肘掛支柱から抜け止めされるので、抜け止め手段と挿入孔の閉塞手段との共用化、部品点数の削減、構造の簡素化を図ることができる。
【0043】請求項7記載の発明によると、連結ボルトの拡径頭部を完全に隠蔽して、外観の向上を図ることができる。
【0044】請求項8記載の発明によると、円筒状の突部の先端部を、V溝状の凹面を形成する両傾斜面に沿わせて移動させることにより、肘掛支柱の位置決めを簡単に行なうことができる。
【0045】請求項9記載の発明によると、肘掛けに大きな下向きの荷重が掛ったとき、肘掛支柱側の傾斜面が、フレーム側の傾斜面に当接することにより、さらに、耐荷重性能が高まり、過大な荷重にも耐えることができるようになる。
【出願人】 【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社岡村製作所
【出願日】 平成12年5月9日(2000.5.9)
【代理人】 【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一 (外2名)
【公開番号】 特開2001−197957(P2001−197957A)
【公開日】 平成13年7月24日(2001.7.24)
【出願番号】 特願2000−135967(P2000−135967)