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【発明の名称】 収納物の保管装置と保管方法
【発明者】 【氏名】牛田 唯一

【氏名】湯浅 孝雄

【氏名】安田 孝夫

【要約】 【課題】自動的にキャビネット内を収容物にとって好ましい湿度雰囲気で維持しうる保管装置と方法の提供。

【解決手段】キャビネット内を所要の一定の定湿度状態に維持しうる保管装置であって、少なくとも除湿ユニットと加湿ユニットとを併設し、前記各ユニットに配設した乾燥剤を加熱処理させる発熱体により変態される形状記憶合金コイルを乾燥室の上・下又は前後、左右の(以下同様)シャッターに連係させ、発熱体が不作動の際に前記除湿ユニットの乾燥室をキャビネット内に連通させると共に、加湿ユニットの乾燥室をキャビネット外に開放させ、発熱体が発熱される際には前記除湿ユニットの乾燥室をキャビネット外に開放させると共に、加湿ユニットの乾燥室をキャビネット内に連通させるよう各上・下シャッターを動作させうるように構成した収納物の保管装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 キャビネット内を所要の一定の定湿度状態に維持しうる保管装置であって、少なくとも除湿ユニットと加湿ユニットとを併設し、前記各ユニットに配設した乾燥剤を加熱処理させる発熱体により変態される形状記憶合金コイルを乾燥室の上・下又は前後、左右の(以下同様)シャッターに連係させ、発熱体が不作動の際に前記除湿ユニットの乾燥室をキャビネット内に連通させると共に、加湿ユニットの乾燥室をキャビネット外に開放させ、発熱体が発熱される際には前記除湿ユニットの乾燥室をキャビネット外に開放させると共に、加湿ユニットの乾燥室をキャビネット内に連通させるよう各上・下シャッターを動作させうるように構成した収納物の保管装置。
【請求項2】 前記除湿ユニットの発熱体と、前記加湿ユニットの発熱体とに通電する時期を相違するように設定し、湿度コントローラーによって検出した前記キャビネット内の湿度変化に応じて各発熱体への通電が自動的にON、OFF制御されるように構成した請求項1記載の収納物の保管装置。
【請求項3】 除湿ユニットに対し、シャッターを作動させる形状記憶合金バネとバイアスバネを入れ替え、電源OFF時は庫内シャッター開、庫外シャッター閉とし、乾燥剤に吸着した水分を蒸発させて庫内への加湿作用をさせるようにして加湿ユニットとし、これにより除湿ユニット、加湿ユニットは外観上同じになり、取り付けも同一方向から出来るようになる為、作業性を格段に向上させるよう構成した収納物の保管装置。
【請求項4】 キャビネット内を所要の湿度状態に維持しうる保管方法であって、除湿ユニットと加湿ユニットとの乾燥剤を加熱しうる各発熱体への通電時期に以下の(1) 、(2) のような時差を設けた収納物の保管方法。
(1) キャビネット内の湿度をキャビネット外の湿度よりも低い状態に変更させる際には、初期的に除湿ユニットの発熱体のみに通電させ、以後はキャビネット内の湿度変化に応じて加湿ユニットと除湿ユニットの各発熱体に通電させる。
(2) キャビネット内の湿度をキャビネット外の湿度よりも高い状態に変更させる際には、初期的に加湿ユニットの発熱体のみに通電させ、以後はキャビネット内の湿度変化に応じて除湿ユニットと加湿ユニットの各発熱体に通電させる。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、楽器類や電子部品もしくは化学品等のように所要の一定湿度条件で保存させることが望ましい収容物を格納する技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の装置としては、特開平9−206543号公報(公知例)の発明が挙げられる。
【0003】この公知例の発明については、乾燥剤を加熱再生させる加熱手段により形状記憶合金線を収縮させ、その動力でシャッターを開閉動作させて乾燥剤を再生処理しつつ密閉型キャビネット内を所要の湿度に維持しうるとするものが開示されている。
【0004】この公知例の発明によっても密閉型キャビネット内を長期間にわたって所要の低湿度状態に維持出来るものであって、その性能は優れたものであるが、収容物の種類によって、例えば楽器類にあっては、比較的に高いレベルの湿度(約50%〜60%)が好ましいものであるため、そのニーズに応えるためには尚改善の余地があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、この発明が解決しようとする課題は以下の如くである。
【0006】この発明の第1の課題点は、自動的に収納物に好ましい一定の定湿度状態で保管しうるものを提供することである。
【0007】この発明の第2の課題点は、キャビネット内を除湿し過ぎにならないよう自動調整しうるものを提供することである。
【0008】この発明の第3の課題点は、形状記憶合金コイルと反発コイルバネの取付位置を置換させるだけで除湿ユニットと加湿ユニットとを構成出来、大巾なコストダウンが期待出来るものを提供することである。
【0009】この発明の第4の課題点は、自動的にキャビネット内の湿度を調節しうるため操作性が良好なものを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の課題点を達成するためのこの発明の構成上の特徴は、次の通りである。
【0011】(1) キャビネット内を所要の一定の定湿度状態に維持しうる保管装置であって、少なくとも除湿ユニットと加湿ユニットとを併設し、前記各ユニットに配設した乾燥剤を加熱処理させる発熱体により変態される形状記憶合金コイルを乾燥室の上・下又は前後、左右の(以下同様)シャッターに連係させ、発熱体が不作動の際に前記除湿ユニットの乾燥室をキャビネット内に連通させると共に、加湿ユニットの乾燥室をキャビネット外に開放させ、発熱体が発熱される際には前記除湿ユニットの乾燥室をキャビネット外に開放させると共に、加湿ユニットの乾燥室をキャビネット内に連通させるよう各上・下シャッターを動作させうるように構成した収納物の保管装置。
【0012】(2) 前記除湿ユニットの発熱体と、前記加湿ユニットの発熱体とに通電する時期を相違するように設定し、湿度コントローラーによって検出した前記キャビネット内の湿度変化に応じて各発熱体への通電が自動的にON、OFF制御されるように構成した前記(1) 記載の収納物の保管装置。
【0013】(3) 除湿ユニットに対し、シャッターを作動させる形状記憶合金バネとバイアスバネを入れ替え、電源OFF時は庫内シャッター開、庫外シャッター閉とし、乾燥剤に吸着した水分を蒸発させて庫内への加湿作用をさせるようにして加湿ユニットとし、これにより除湿ユニット、加湿ユニットは外観上同じになり、取り付けも同一方向から出来るようになる為、作業性を格段に向上させるよう構成した収納物の保管装置。
【0014】従って、除湿ユニットと加湿ユニットの取り付けが容易となる。
【0015】(4) キャビネット内を所要の湿度状態に維持しうる保管方法であって、除湿ユニットと加湿ユニットとの乾燥剤を加熱しうる各発熱体への通電時期に以下の■、■のような時差を設けた収納物の保管方法。
■ キャビネット内の湿度をキャビネット外の湿度よりも低い状態に変更させる際には、初期的に除湿ユニットの発熱体のみに通電させ、以後はキャビネット内の湿度変化に応じて加湿ユニットと除湿ユニットの各発熱体に通電させる。
■ キャビネット内の湿度をキャビネット外の湿度よりも高い状態に変更させる際には、初期的に加湿ユニットの発熱体のみに通電させ、以後はキャビネット内の湿度変化に応じて除湿ユニットと加湿ユニットの各発熱体に通電させる。
【0016】キャビネット外の湿度に対応してキャビネット内の湿度を有効に制御出来る。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、図面に基づいてこの発明の実施の形態について説明する。
【0018】1.構成(1) 全体構成図1及び図2に示すように、保管装置(装置)1000は、前面がドア11によって開閉自在の密閉型のキャビネット1の背板12上に除湿ユニット100並びに加湿ユニット200を併設し、除湿ユニット100と加湿ユニット200とをタイミング良くON、OFFさせてキャビネット1内を所定の湿度に維持させ、キャビネット1内の棚13上に載置した楽器や電子部品、医薬品もしくは食品等の収納物Gを長期間にわたって品質不良にならないように安全に保管しうるように構成されたものである。
【0019】尚、装置1000の各部の構成については、順次後述する。
【0020】(2) 各部の構成■ 除湿ユニット100図3に示すように、キャビネット1の背板12に開設した取付孔H1に部分的に突入するように嵌着させてキャビネット1に装備させたものであって、その内部構成は、ケーシング101内に上・下隔壁102、103によって区画された上・下通気制御室104、105並びに、その間に乾燥室106を設け、上・下通気制御室104、105は、ケーシング101の前・後壁107、108に、それぞれ開設された上・下開口109〜112により、キャビネット1内外側に向かって開放させると共に、上・下隔壁102、103に開設した上・下通気孔113、114をケーシング101に延設した支持壁115上に上・下枢軸116a、116bにより揺動可能に配設した上・下シャッター117、118により選択的に開閉させて乾燥室106を上・下通気制御室104、105に連通可能に構成している。
【0021】図1に示すように、ケーシング101の右側(キャビネット1の正面から見て右側)には、湿度コントローラー300を内装しうる収容部120を一体的に突設している。
【0022】乾燥室106内には、透湿性材料で構成された乾燥剤容器126を配設し、この乾燥剤容器126内には、乾燥剤127と、乾燥剤127を加熱再生処理しうる発熱体130を装着し、別途乾燥剤容器126の貫通筒128内には、形状記憶合金コイル129を乾燥剤容器126に対して非接触状に透通させ、その両端を連結線131を介して、上・下シャッター117、118の各一端部に張設状に連結させ、他方でシャッター117、118の他端部の間には反発コイルバネ(バイアスバネ)132を張設して、両シャッター117、118を連動状に可動としたもので、発熱体130に通電して発熱させることによって乾燥剤127を加熱再生処理する期間以外は、形状記憶合金コイル129は、伸長した状態であって、上・下シャッター117、118が図3における実線位置に配置されるように構成され、発熱体130が発熱され、形状記憶合金コイル129が加熱された際には、変態して縮小し、反発コイルバネ132の張力に抗して、上・下シャッター117、118が仮想線位置に変位されるように構成されている。
【0023】■ 加湿ユニット200図4に示す加湿ユニット200は、取付孔H2に配設されるもので前記の除湿ユニット100における形状記憶合金コイル129と反発コイルバネ132の関係配置を置換した構成に相当するものであって、その他の点では除湿ユニット100と共通しているので、符号を200として表示することにより重ねての説明は省略する。
【0024】■ その他の構成前記以外の構成についても2.使用手順においてその機能と共に説明する。
【0025】2.使用手順(1) 手順の概要この装置1000の利用者は、ドア11を開放させて楽器等の収容物Gを棚13上に載置し、湿度コントローラー300を操作してキャビネット1内の湿度を予め調節し、湿度設定を完了する。
【0026】この状態でドア11を閉じるとキャビネット1が密閉状となる。
【0027】この後、除湿ユニット100、もしくは加湿ユニット200の発熱体230に通電してキャビネット1内を除湿、もしくは加湿処理するものである。
【0028】ところで、キャビネット1内の湿度はドア11の開閉や収納物Gの種類や数量によって変化されるが、この変化に応じて自動的に除湿、もしくは加湿しうるものであるから、収容物Gは所期の湿度雰囲気で安全に保存しうるものである。
【0029】尚、除湿ユニット100並びに加湿ユニット200の関連的な動作については図6のタイムチャートをも参照して個別的に後述する。
【0030】(2) 除湿ユニット100の動作除湿ユニット100は、キャビネット1内の空気中の水分を乾燥剤127で吸湿し、水分を吸湿して乾燥能力が低下した乾燥剤127を発熱体130で加熱して水分を放出させて再生させた後、再びキャビネット1内を除湿処理する役割を担っている。
【0031】その動作は、以下の通りである。
【0032】図6に示すように、例えば室内湿度が60%程度の状態で除湿ユニット100の設定湿度を33%にし、加湿ユニット200の設定湿度を27%として起動させると、当初は約30分間、電源Pから発熱体130に通電して乾燥剤127を加熱してその吸着水分を放出させ再生処理させるものであるが、この行程において、形状記憶合金コイル129も加熱されて変態して縮小され、反発コイルバネ132に抗して上シャッター117は、枢軸116aを支点として反時計方向へ、又、下シャッター118は、枢軸116bを支点として時計方向へそれぞれ旋回され、仮想線で示す位置に変位し、乾燥室106内で乾燥剤127からの放出湿気を含んで高湿状となった空気はその上昇気流を利用して上・下通気孔113、114を経由し、上開口111からキャビネット1外に放出し、下開口112からキャビネット1外よりの空気を乾燥室106内に取り込み、乾燥剤127の再生処理を実行するものである(図5(ロ)矢印Y)。
【0033】再生処理が終わると、上・下シャッター117、118は図3の実線位置に戻り、乾燥室106内においては、乾燥剤127によりその周辺内の空気が順次除湿され、軽量化されて、上昇気流となって上昇され、上通気孔113、上開口109を経由してキャビネット1内に流入され、キャビネット1内の空気が対流状に下開口110、下通気孔114を経由して乾燥室106内に流入され(図5(イ)矢印X)、順次乾燥剤127により除湿処理され、キャビネット1内は予め設定した湿度約33%になる(図6A点)。
【0034】この状態で、更に約1時間経過すると、キャビネット1内の湿度は約27%に低下する(図6B点)。
【0035】(3) 加湿ユニット200の動作他方、加湿ユニット200については、発熱体230がOFFの状態では形状記憶合金コイル229は常温で伸長されたままであるため、上・下シャッター217、218は、図4で実線で示すように、位置して上・下開口211、212がキャビネット1外に開放され、乾燥剤227は外気の流通により(図5(ハ)矢印x)水分を吸湿した状態であるが、設定湿度の約27%に至ると発熱体230がONされ、形状記憶合金コイル229が収縮して上・下シャッター217、218は、図4の仮想線の位置に変位し、上・下通気孔213、214のみを開放させる。
【0036】この結果、乾燥室206は、キャビネット1内に開放され、加熱される乾燥剤227から放出された水分を含んだ高湿の空気がキャビネット1内に供給され、キャビネット1内の空気は乾燥室206内に供給される(図5(ニ)矢印y)。
【0037】この行程が約1時間継続されると、キャビネット1内の湿度の低下率は次第に低くなり、遂には湿度の上昇傾向がみられるようになる(図6C点)。
【0038】(4) 除湿ユニット100と加湿ユニット200の復帰動作とそれ以後の動作この状態でキャビネット1内の湿度が設定湿度(約33%)を超えると湿度コントローラー300により発熱体230がOFFとされ、上・下シャッター217、218は図4の実線位置に復帰し、キャビネット1内へは除湿ユニット100により再び除湿処理が開始され、加湿ユニット200の乾燥剤227は、大気連通状態とされることとなる(図6D点)。
【0039】この状態で、キャビネット1内の湿度が再び上昇すると前記の如くに除湿ユニット100と加湿ユニット200とが順次同様に作動され、結果としてキャビネット1内は予め設定した約33%〜約27%の間の湿度範囲でその後も維持するように保持されるものである。
【0040】尚、発熱体130、230のON、OFFによって形状記憶合金コイル129、229を即時に変態させうるものでないことは言うまでもないことであり、上・下シャッター117、118、217、218の動作との間には幾分のタイムラグがあることは構造上の特徴であって、そのことが却って緩やかにキャビネット1内の湿度変化させることとなり、急激な湿度変化により収容物Gに対してショックを与えることが回避され、安全に保管出来るものであることは検証済みである。
【0041】更に、キャビネット1内の湿度を変更調整する際には、湿度コントローラー300を適宜操作すればよいことであって、例えば収納物Gが木製の楽器類等では演奏環境に対応させるため保存雰囲気の湿度を比較的に高いレベルに設定する場合もあるので、図7に示すように、除湿ユニット100の設定湿度を約83%、加湿ユニット200の設定湿度を約77%にそれぞれ設定しておいて、室内湿度60%よりキャビネット1内の湿度を高くするため、初期的に加湿ユニット200の発熱体230を付勢させて乾燥剤227の水分をキャビネット1内に放出させ、設定湿度約83%を超えると除湿ユニット100を起動させてキャビネット1内を除湿するようにすれば、キャビネット1内は平均的に湿度約80%を中心とする高湿状態に維持しうるものである。
【0042】図8は、湿度を約45%、もしくは65%前後に設定して検証したキャビネット1内の湿度変化を示すものであって、除湿ユニット100と加湿ユニット200とを併設することによって安定的にキャビネット1内の湿度がコントロール出来たことが確認されている。
【0043】(4) その他の構成についてなお図示してはいないが、タイマー手段をマニュアル操作して、例えばこの装置1000を6時間をサイクルとする行程で除湿ユニット100並びに加湿ユニット200の発熱体130、230への通電をシーケンシャルにON、OFFさせるようにして自動的にキャビネット1内の湿度を調節することも出来るが、この場合、キャビネット1内の湿度を定期的に監視し、湿度調節を実施するために、例えばブザーや液晶表示部の点滅等により湿度の変化を報知させるよう構成することが望ましい。
【0044】
【発明の効果】以上説明したこの発明によってもたらされる顕著な効果は次の通りである。
【0045】■ 収納物の種類に適応した湿度状態で安全に保管出来る。
【0046】■ 自動的に所要定湿度に維持出来る。
【0047】■ キャビネット外の湿度に対応して有効に湿度調整が出来る。
【0048】■ キャビネットに除湿ユニットと加湿ユニットとを容易に装着出来、しかも外観的にも優れたものである。
【出願人】 【識別番号】000222509
【氏名又は名称】東洋リビング株式会社
【出願日】 平成12年1月27日(2000.1.27)
【代理人】 【識別番号】100092118
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和喜
【公開番号】 特開2001−204560(P2001−204560A)
【公開日】 平成13年7月31日(2001.7.31)
【出願番号】 特願2000−18859(P2000−18859)