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【発明の名称】 天板付き家具
【発明者】 【氏名】岸本 保

【氏名】大坪 栄三

【氏名】吉田 正勝

【氏名】古川 紀輝

【要約】 【課題】部材相互の合せ面領域を開閉可能として芳香剤を収容することができ、放香量を適宜調整可能として、香りの放散をできるだけ長期に亘って継続させることができる机等の天板付き家具を提供すること。

【解決手段】左右一対の側板11の後部に背板12を配置するとともに、これら側板11及び背板12の上部に天板13が配置されている。背板12は、上下方向に位置調整可能に設けられている。背板12の上端面17には凹部19が設けられており、この凹部19内に芳香剤を含浸させてなる含浸部材20が収容されている。背板12は、凹部19が天板13の裏面13Aで閉塞される上昇位置に設定されたときに凹部19からの芳香が規制される一方、背板12が下降位置に設定されたときに、凹部19が開放して当該凹部19から芳香成分が放出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一対の側板と、これら側板の後部に配置された背板と、前記側板及び背板の上部に配置された天板とを備えた天板付き家具において、前記背板は、その上端面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられるとともに、前記凹部が天板裏面で閉塞される位置と、当該天板裏面から離れて開放する位置に調整可能に設けられ、前記凹部が天板裏面から離れた位置に設定されたときに、当該凹部より芳香成分が放出可能に設けられていることを特徴とする天板付き家具。
【請求項2】 一対の側板と、これら側板の後部に配置された背板と、前記側板及び背板の上部に配置された天板と、前記背板の前面側に配置された棚板とを備えた天板付き家具において、前記棚板は、その後端面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられるとともに、前記凹部が前記背板の前面で閉塞される位置と、背板の前面から離れて開放する位置に調整可能に設けられ、前記凹部が背板の前面から離れた位置に設定されたときに、当該凹部より芳香成分が放出可能に設けられていることを特徴とする天板付き家具。
【請求項3】 一対の側板と、これら側板の上部に高さ位置調整可能に配置された天板とを備えた天板付き家具に置いて、前記側板は、その上端面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられ、前記天板が下降限に設定されたときに、前記凹部が閉塞される一方、天板が側板に対して上昇位置に設定されたときに、前記凹部を開放して芳香成分が放出可能に設けられていることを特徴とする天板付き家具。
【請求項4】 引き出し収納体の上面に対して天板が昇降可能に設けられた天板付き家具において、前記引き出し収納体の上面または天板の下面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられ、前記天板が下降限に設定されたときに前記凹部が閉塞される一方、前記天板が上昇位置に設定されたときに、前記凹部を開放して芳香成分が放出可能に設けられていることを特徴とする天板付き家具。
【請求項5】 前記芳香剤は、森林樹木が放散する匂いの主体となるテルペンであることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の天板付き家具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は天板付き家具に係り、更に詳しくは、所定の芳香効果を発揮することのできる天板付き家具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、室内の空間内に配置することのできる各種の芳香剤が市販されている。この芳香剤は、所定の容器体に充填されており、含浸性を備えた部材の表出量を変化させること等によって芳香量が適宜調整可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の芳香剤は、専用の容器に充填されていることから、室内空間に存在する家具等に乗せて利用するより他はなく、これがため、家具類との質感や、色彩等の調度を図ることは必ずしも容易ではない。特に、市販の芳香剤に用いられている容器は、樹脂製が殆どであり、高級感を与えるには至っていないため、高級感を具備した家具に乗せた場合には、両者の装飾的バランスが不釣り合いとなり、却って外観上の体裁を損なう要因ともなる。
【0004】ところで、香料の種類には様々なものが存在するが、最近では、自然界に存在する香りを居室空間内に漂わせるという試みがなされるようになっている。例えば、森林でほのかに漂う香りは、多くの人に対して、ストレスを解消させて安らぎを与える作用が見られることから、人には心地よいものに感じられるものと了解されている。ここに、森林樹木が放散する匂いの主成分は、テルペン若しくはフィトンチッドと称される物質とされ、人に対して疲労感を和らげ、また、血行をよくするなどの作用をもっているとされている。
【0005】そこで、このようなテルペンを接着剤に含有させて当該接着剤で室内の壁紙を貼る施工例が提案されている。
【0006】しかしながら、壁紙の接着に際してテルペン含有の接着剤を用いた場合には、空気中にさらされる面積が大きいため、香りの放散速度が早くなる傾向があり、長期に亘って森林の香りを継続させることには必ずしも適していないという不都合がある。これは、壁紙自体が閉塞性を有しないことに起因しているものと考えられる。特に、室内換気を定期的に行う場合には、このような不都合が一層顕著となる。
【0007】
【発明の目的】そこで、本発明の目的は、特別な専用容器を用いることなく芳香剤を収容することができるとともに、放香量を適宜調整可能として、香りの放散をできるだけ長期に亘って継続させることができる天板付き家具を提供することにある。
【0008】また、本発明の他の目的は、芳香剤としてテルペンを用い、当該テルペンの放散が人にもたらす前述の環境下で利用することのできる天板付き家具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため、本発明は、一対の側板と、これら側板の後部に配置された背板と、前記側板及び背板の上部に配置された天板とを備えた天板付き家具において、前記背板は、その上端面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられるとともに、前記凹部が天板裏面で閉塞される位置と、当該天板裏面から離れて開放する位置に調整可能に設けられ、前記凹部が天板裏面から離れた位置に設定されたときに、当該凹部より芳香成分が放出可能に設けられる、という構成を採っている。
【0010】また、本発明は、一対の側板と、これら側板の後部に配置された背板と、前記側板及び背板の上部に配置された天板と、前記背板の前面側に配置された棚板とを備えた天板付き家具において、前記棚板は、その後端面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられるとともに、前記凹部が前記背板の前面で閉塞される位置と、背板の前面から離れて開放する位置に調整可能に設けられ、前記凹部が背板の前面から離れた位置に設定されたときに、当該凹部より芳香成分が放出可能に設けられる、という構成も採用される。
【0011】更に、本発明は、一対の側板と、これら側板の上部に高さ位置調整可能に配置された天板とを備えた天板付き家具に置いて、前記側板は、その上端面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられ、前記天板が下降限に設定されたときに、前記凹部が閉塞される一方、天板が側板に対して上昇位置に設定されたときに、前記凹部を開放して芳香成分が放出可能に設けられる、という構成も採用することができる。
【0012】また、本発明は、引き出し収納体の上面に対して天板が昇降可能に設けられた天板付き家具において、前記引き出し収納体の上面または天板の下面に所定の芳香剤を収容可能な凹部が設けられ、前記天板が下降限に設定されたときに前記凹部が閉塞される一方、前記天板が上昇位置に設定されたときに、前記凹部を開放して芳香成分が放出可能に設けられる、という構成も採用される。
【0013】本発明の前記構成によれば、外部より見えない位置に芳香剤を収容することができるため、専用の容器を利用する必要がなくなり、当該容器入り芳香剤を用いた際の前述した不都合を解消することができる。また、凹部は、必要に応じて閉塞可能であるため、その閉塞性を利用することで、香りの継続性を長期に亘って確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明における芳香剤としては、森林樹木が放散する匂いの主体となるテルペンを用いることが好ましい。これにより、テルペンがもたらす人への精神的作用を机を利用する者に与えることができるようになり、例え、個人差があるとしても、学習効果に少なからず寄与することが期待できる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0016】[第1実施例]図1には、本発明の天板付き家具が机に適用された第1実施例に係る概略斜視図が示されている。この図において、天板付き家具としての机10は、左右一対の側板11,11と、これら側板11,11の後部に配置された背板12と、前記側板11,11及び背板12の上部に配置された天板13と、当該天板13の下面側で出し入れ可能に設けられた引き出し15とを備えて構成されている。
【0017】前記机10は、特に限定されるものではないが、本実施例では、複数の木製板材を用いて構成されているとともに、これらを組み合わせて結合することによって形成されている。
【0018】前記背板12は、その左右両端面に図示しない固定用穴が形成されており、側板11,11の外面側から挿入される軸状の支持具16によって高さ位置調整可能に支持されている。この背板12は、図2に示されるように、その上端面17が天板13の裏面13Aに接する位置に設定されたときに、下端面18が床面から離れた隙間Sを形成する上下寸法に設定され、これにより、背板12は、図3に示されるように、前記上端面17が天板13の裏面から離れた位置に設定できるようになっている。
【0019】また、背板12は、その上端面17に凹部19が形成されており、この凹部19内に芳香剤を含浸させた含浸部材20が収容されている。ここで、凹部19は、図2中紙面直交方向に複数箇所設けて各凹部19内に含浸部材20を収容したり、或いは、図2中紙面直交方向に沿って延びる一条の溝として形成し、これに、細長い含浸部材20を収容することができる。
【0020】なお、本実施例における芳香剤は、樹木が放散する匂い成分であるテルペンをデンプン糊及び希釈用水に含有したものによって構成されている。この芳香剤は、テルペンの微粒子表面に当該テルペンの発散量を抑制する作用をなす表皮樹脂層でコーティングした二重構造の微粒子を、前記希釈用水に分散させたエマルジョンによって構成するとよく、これにより、匂いの放散期間を長期に亘って確保することができる。
【0021】以上の構成において、背板12は、図2に示されるように、上端面17が天板13の裏面13Aに接する位置に設定されたときに、前記凹部19を閉塞して芳香成分の芳香を規制する一方、図3に示されるように、天板13の裏面13Aから離れた下降位置に設定されたときに、凹部19を開放して芳香成分の芳香を許容することとなる。
【0022】従って、このような第1の実施例によれば、専用の容器を用いることなく机10の周辺にテルペンの香りを漂わせることができるという効果を得る。この一方、凹部19を天板13の裏面13Aで閉塞することで放香を規制できるため、凹部19の適宜な開閉を通じて無用な放香を抑制し、長期に亘る放香を達成することが可能となる。
【0023】次に、本発明の前記以外の実施例について説明する。なお、以下の説明において、前記第1の実施例と同一若しくは同等の構成部分については、必要に応じて同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0024】[第2実施例]この第2の実施例は、図4ないし図6に示されるように、棚板24を備えたタイプの天板付き机としての机10とし、この棚板24を利用して芳香剤の放香を可能としたところに特徴を有する。
【0025】すなわち、側板11,11の後部間において、背板12の前面12Aに接する位置に上部棚板25及び下部棚板26が配置されている。上部棚板25及び下部棚板26は、中間に仕切板27を介して左右にそれぞれ設けられている。上部棚板25は、図5に示されるように、後端面30に凹部31が形成されており、この凹部31内に第1の実施例と同様の含浸部材20が収容されている。ここで、上部棚板25は、だぼ33を介して一方の側板11と仕切板27との間に支持される構成が採用され、上部棚板25の前後位置を反転させることにより、図6に示されるように、凹部31が前方に位置して当該凹部31からの放香が許容されるようになっている。
【0026】従って、このような第2の実施例によっても、前記第1の実施例と同様の効果が得られる他、凹部31の開閉を第1の実施例よりも簡易且つ迅速に行えるという効果を付加することができる。
【0027】[第3実施例]この第3の実施例は、図7に示されるように、天板13が高さ位置調整可能に設けられたタイプの天板付き家具である机10を対象として放香を行えるようにしたところに特徴を有する。
【0028】すなわち、天板13は、左右一対の側板11,11の内面側に位置する支柱40を備えており、この支柱40が、軸状の固定具41を介して側板11,11の上部内面側における上下二箇所位置で選択的に固定できるように設けられている。この一方、側板11,11の上端面43には、前記第1及び第2の実施例と同様の凹部45が形成されており、この凹部45に含浸部材20が収容される構成となっている。
【0029】以上の構成により、天板13が図7に示される下降限に設定されているときは凹部45が閉塞されて放香が規制される一方、天板13が図8に示される上昇限に設定されたときに、凹部45を開放して放香が許容されることとなる。
【0030】従って、このような実施例によっても前記各実施例と同様の効果が得られる他、天板昇降型の机に容易に適用できるという効果を得ることができる。
【0031】[第4実施例]図9ないし図11には、本発明の天板付き家具がワゴン若しくは袖机に適用された第4の実施例が示されている。この実施例におけるワゴン50は、上下方向に複数段の引き出し51を出し入れ可能に設けた引き出し収納体52と、この引き出し収納体52の上面52Aに対して昇降可能に設けられた天板53とを備えて構成されている。天板53は、その左右両側の下面に、前記引き出し収納体52内に延びる昇降用バー55を備えており、この昇降用バー55の上端回りを囲むように、下端開放型に反転した凹部57が設けられている。そして、この凹部57の底部(図10中頂部)に芳香剤を含浸させた含浸部材20が収容されている。
【0032】この第4の実施例は、図10に示されるように、天板53が下降限に位置するときに、前記凹部57の開放側が引き出し収納体52の上面52Aによって閉塞され、図11に示されるように、天板53を上昇させたときに、凹部57を開放させて前記芳香成分が放出可能となっている。
【0033】従って、このような第4の実施例によっても、前述した各実施例と同様の効果を奏することができる。
【0034】なお、前記各実施例において、凹部19,31,45,57を閉塞するときの合せ面内、すなわち、凹部19,31,45,57を囲む端面領域に、適宜な弾性を有するパッキン等を介在させることによって凹部19,31,45,57を閉塞した際の密閉性を向上させることができる。これにより、机10やワゴン50が最終消費者に届けられるまでの間、例えば、在庫時や販売店での陳列時において、芳香成分の無用な放香を効果的に規制することができる。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、机やワゴンなどの天板付き家具を構成する部材の合せ面領域に芳香剤を収容することができるため、専用の容器を利用する必要がなくなり、当該容器入り芳香剤を用いた際の従来の不都合を解消することができる。また、凹部は、必要に応じて閉塞可能であるため、その閉塞性を利用することで、香りの継続性を長期に亘って確保することができる。
【0036】また、芳香剤にテルペンを用いた構成では、テルペンがもたらす人への精神的作用を机を利用する者に与えることができるようになり、個人差に依存する場合があっても、多くの利用者に対し、学習効果の向上に少なからず寄与することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
【出願日】 平成11年12月27日(1999.12.27)
【代理人】 【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
【公開番号】 特開2001−178549(P2001−178549A)
【公開日】 平成13年7月3日(2001.7.3)
【出願番号】 特願平11−369947