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【発明の名称】 引出し装置
【発明者】 【氏名】西澤 崇爾

【要約】 【課題】前板の構造を簡略化して部品点数、組立て工程数を共に減らし、コスト低減化を図るとともに、引出しを机本体等の格納部に押し込んだ際に、該引出しの横振れを防止することができ、また強度も高めることができる引出し装置を提供する。

【解決手段】物品の収容部を有するスチール製の胴部4の前端に、両側部に机本体等の格納部の両側框に当接する張出部5を有する前板1を固定してなる引出し装置であって、前記前板1を構成する合成樹脂製の化粧板2の背面に、机本体等の前記格納部の側框内方に侵入する吸込部9を一体的に突設した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 物品の収容部を有するスチール製の胴部の前端に、両側部に机本体等の格納部の両側框に当接する張出部を有する前板を固定してなる引出し装置であって、前記前板を構成する合成樹脂製の化粧板の背面に、机本体等の前記格納部の側框内方に侵入する吸込部を一体的に突設したことを特徴とする引出し装置。
【請求項2】 前記吸込部は、化粧板の中心方向内側方に型抜き形成し、断面コ字形としてなる請求項1記載の引出し装置。
【請求項3】 前記吸込部は、化粧板の表面を形成する表面板の背面に沿って薄肉部を形成するとともに、先端部外側に丸みを形成したものである請求項1又は2記載の引出し装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、引出し装置に係わり、更に詳しくは物品の収容部を有するスチール製の胴部の前端に、両側部に机本体等の格納部の両側框に当接する張出部を有する前板を固定してなる引出し装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の引出し装置は、実開平3−11844号公報にて開示される如く、物品の収容部を有する胴部をスチール製で形成し、該胴部の前端にスチール製の裏カバーを固着し、合成樹脂製で成形した断面略コ字形で背面を開放した化粧板の背面に、前記裏カバーを嵌合して取付けるとともに、化粧板の両側部背面に合成樹脂製の側カバー板を嵌合し且つ瞬間接着剤で固定して前板を形成した構造が提供されている。
【0003】ここで、前記化粧板の両側部であって側カバー板を嵌着した部分は、胴部よりも側方に突出し、机本体等の格納部の両側框に当接するための張出部を構成している。そして、化粧板とは別体で成形した側カバー板に前記格納部の側框内方に侵入する吸込部を一体成形したものも既に提供され、この場合、前記吸込部は前後方向に型抜き形成している。
【0004】しかし、従来の前板構造は、合成樹脂製の化粧板と側カバー板及びスチール製の裏カバーの3部材構成であり、部品点数が多く、組立て工程数が多いため、コスト低減化を図る上で支障があった。また、吸込部を一体成形した側カバー板を化粧板に嵌合し、接着したものは、側カバー板の取付強度が高くなく、また取付精度が高くないことから、吸込部が格納部の側框に当接して引出しの横振れを防止するといった機能を充分に発揮できない恐れもある。更に、前板の両側部の張出部が合成樹脂のみで構成されているので、引出しを強く格納部に押し込んだ場合に、張出部が側框に衝突して損傷する恐れもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、前板の構造を簡略化して部品点数、組立て工程数を共に減らし、コスト低減化を図るとともに、引出しを机本体等の格納部に押し込んだ際に、該引出しの横振れを防止することができ、また強度も高めることができる引出し装置を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述の課題解決のために、物品の収容部を有するスチール製の胴部の前端に、両側部に机本体等の格納部の両側框に当接する張出部を有する前板を固定してなる引出し装置であって、前記前板を構成する合成樹脂製の化粧板の背面に、前記格納部の側框内方に侵入する吸込部を一体的に突設してなる引出し装置を構成した。
【0007】ここで、前記吸込部は、化粧板の中心方向内側方に型抜き形成し、断面コ字形としてなること、更に前記吸込部は、化粧板の表面を形成する表面板の背面に沿って薄肉部を形成するとともに、先端部外側に丸みを形成したものであることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】次に添付図面に示した実施形態に基づき更に本発明の詳細を説明する。図1は本発明の引出し装置の要部の分解斜視図、図2は分解断面図、図3及び図4は組立てた状態の断面図を示し、図中1は前板、2は化粧板、3は裏カバー、4は胴部をそれぞれ示している。
【0009】前記前板1は、合成樹脂製で成形した化粧板2と、該化粧板2の背面に固定するスチール製の裏カバー3とからなる。そして、前記裏カバー3は、物品の収容部を有する胴部4の前端に固着されて、引出しを構成している。また、前記前板1の横幅は、胴部4の横幅よりも広く、該胴部4よりも側方に突出した前板1の両側部の張出部5,5が、図示しない机本体等の格納部の両側框に当接するのである。
【0010】前記化粧板2は、背面側へ開放した断面略コ字形の概略形状を有し、周囲の縁板6より内方であって、両側部と下部に連続した内壁7を一体形成するとともに、上部の縁板6の後縁から下方へ係合片8を形成し、更に前記張出部5,5に対応する両側上部に、前記縁板6よりも背面側へ突出した吸込部9,9を一体形成している。更に、当該化粧板2には、上部に設けた引手10に連動機構11を介して内外に揺動するラッチ12を一側の張出部5に後方へ突出するように設けるとともに、他側の張出部5に突設した吸込部9の内外に貫通形成した案内孔13に、施錠具14の施錠板15を出没可能に挿通している。
【0011】更に詳しくは、図1、図2及び図4に示すように、前記吸込部9は、化粧板2の表面を形成する表面板2Aの背面に突設し、該化粧板2の中心方向内側方に型抜き形成し、断面コ字形となるように成形している。また、図2及び図4に示すように、前記吸込部9は、化粧板2の表面板2Aの背面に沿って薄肉部9Aを形成するとともに、先端部外側に丸み9Bを形成している。ここで、前記薄肉部9Aを設ける意味は、合成樹脂成形技術において一般的に知られているように、厚みの厚い部分の表面に合成樹脂の収縮によって凹み(「ヒケ」と称している。)が発生することを防止するためである。また、前記吸込部9の先端部外側に丸み9Bを形成したことにより、該吸込部9が机本体等の格納部の側框内方に侵入する動作がスムーズになるのである。
【0012】前記裏カバー3は、スチール製の板材をプレス、折曲加工して形成したものであり、中央部に前記内壁7に外嵌する前方を開放した箱状部16を形成し、該箱状部16の上部前縁から上方へ延びた取付板17を形成するとともに、該箱状部16の側部前縁から側方へ延びた側カバー板18,18を形成し、該側カバー板18,18には、前記吸込部9,9を受入れる開口19,19を形成するとともに、前記ラッチ12を挿通する貫通孔20を形成している。
【0013】また、前記胴部4は、スチール製の板材を折曲して、底板21と両側板22,22を形成するとともに、後端に図示しない後板を折曲形成するか又は別体で形成した後板を溶着して設けたものであり、当該胴部4の前端を前記裏カバー3の箱状部16の下面と両側面に重合した状態で、溶着して一体化するのである。
【0014】そして、前記胴部4の前端に固定した裏カバー3を、前記化粧板2の背面に固定してその全面を被覆し、前板1を構成するのである。この場合、前記裏カバー3の側カバー板18,18に形成した開口19,19内に前記化粧板2に一体形成した吸込部9,9を受入れて、化粧板2と裏カバー3の位置決めを行うとともに、前記ラッチ12を貫通孔20に挿通した状態で適宜な手段にて両部材を固定するのである。このように組立てた状態で、前記化粧板2の両張出部5,5に対応する両側部背面は、前記裏カバー3の両側カバー板18,18で被覆される。従って、前記張出部5は、合成樹脂製の化粧板2の側部とスチール製の側カバー板18とで構成されるので、強度は極めて高くなる。
【0015】また、本実施例では、前記施錠板15に対応する前記裏カバー3の箱状部16の側面の一部に、該施錠板15を受入れる切欠部23を前記開口19と連通するように形成しているので、化粧板2に施錠具14を取付け、施錠板15を吸込部9の案内孔13に挿入した状態で、該化粧板2に裏カバー3を固定することが可能となる。更に、前記側カバー板18,18には、図1及び図3に示すように、背面側へ一部を突出させて当接部18aを形成し、該当接部18aを図示しない机本体等の格納部の両側框の前面に当接できるようにしている。
【0016】最後に、前記化粧板2と裏カバー3との固定構造を説明するが、本発明はこの固定構造には何ら限定されるものではなく、その一例を示すものである。先ず、ず5に示すように、前記裏カバー3の上縁に設けた取付板17を化粧板2の上縁に形成した係合片8の内側に重合するように係合する。そして、図2に示すように、裏カバー3の両側カバー板18,18の側縁に前方へ折曲形成した折曲片24,24を、化粧板2の縁板6と横設したリブ25,…の端部に設けた切欠26,…に嵌挿するとともに、箱状部16を内壁7に外嵌するとともに、両側の内壁7,7に突設した爪27,27を箱状部16の両側面に形成した孔28,28に抜止め係合する。
【0017】また、下部の固定構造は、図6及び図7に示すように、化粧板2の下部の内壁7に係合孔29と通孔30とを並設するとともに、それと重合する裏カバー3の箱状部16の下板31に略H字形に打抜い形成した一対の打抜片32,32と取付孔33とを並設し、該打抜片32,32を前記係合孔29に対応させた状態で、該係合孔29内に折り曲げて抜止めするとともに、裏カバー3の取付孔33から挿入したタッピングネジ34を前記通孔30内に螺合して固定するのである。実際には、前記胴部4の底板21は、裏カバー3の下板31に重合した状態で溶着されているので、該底板21には前記打抜片32,32に対応する位置に開口を形成し、前記取付孔33に対応する位置に取付孔を形成し、タッピングネジ34を両取付孔に同時に挿通して螺合するのである。
【0018】このように本実施形態の引出し装置は、合成樹脂製の化粧板2の背面に、両側に側カバー板18,18を一体形成したスチール製の裏カバー3を固定することにより、化粧板2の背面の全面を裏カバー3で被覆して前板1を形成することができ、また机本体等の格納部の両側框に当接する前板1両側部の張出部5,5を、従来のように別体で成形した側カバー板を嵌着する必要がなく、そのため引出しの構造が簡単になり、部品点数、組立て工程数を共に減らすことができ、もってコスト低減化を図ることができるのであり、更に張出部5が合成樹脂製の化粧板2と、裏カバー3に一体形成した側カバー板18,18とで構成されるので、該張出部5,5の強度が高くなって、引出しを強く格納部に押し込んだ場合に、張出部5が側框に衝突しても損傷する恐れがない。
【0019】また、前記張出部5に対応する前記化粧板2の背面に、前記格納部の側框内方に侵入する吸込部9を一体的に突設するとともに、前記裏カバー3の側カバー板18,18に該吸込部9,9を受入れる開口19,19を形成してなるので、化粧板2の背面に裏カバー3を固定する際に、吸込部9を開口19に挿入して位置決めするので、組立作業が簡単になる上に、吸込部9は化粧板2と一体成形したものであるので、吸込部9がガタついたり、横方向に変位することがなく、更に吸込部9の取付位置の精度が高くなり、そのため机本体等の格納部の側框内方に侵入して引出しの横振れを確実に規制することができるのである。
【0020】
【発明の効果】以上にしてなる本発明の引出し装置は、物品の収容部を有するスチール製の胴部の前端に、両側部に机本体等の格納部の両側框に当接する張出部を有する前板を固定してなる引出し装置であって、前記前板を構成する合成樹脂製の化粧板の背面に、机本体等の前記格納部の側框内方に侵入する吸込部を一体的に突設してなるので、前板の構造を簡略化して部品点数、組立て工程数を共に減らし、コスト低減化を図ることができるとともに、引出しを机本体等の格納部に押し込んだ際に、吸込部が机本体等の格納部の側框内方に侵入するので、該引出しの横振れを防止することができ、また吸込部を化粧板の背面に突設したので吸込部がガタついたり、横方向に変位することがなく、更に吸込部の取付位置の精度が高くなり、該吸込部の強度も高めることができる。
【0021】請求項2によれば、強度の高い吸込部を簡単に成形できるのである。
【0022】請求項3によれば、化粧板の表面を形成する表面板の背面に沿って薄肉部を形成してので、吸込部を突設した化粧板の表面板に成形の際に合成樹脂が収縮することによって発生するヒケを生じさせないので、外観性の低下がなく、また先端部外側に丸みを形成したので、吸込部が机本体等の格納部の側框内方に侵入する動作がスムーズになる。
【出願人】 【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキクレビオ
【出願日】 平成6年12月8日(1994.12.8)
【代理人】 【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
【公開番号】 特開2001−145532(P2001−145532A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願2000−360030(P2000−360030)