トップ :: A 生活必需品 :: A43 履物




【発明の名称】 靴中敷き及びその製造方法、並びに靴中の乾燥機構
【発明者】 【氏名】市原 敏生

【氏名】市原 節子

【氏名】市原 孝三

【氏名】市原 順子

【氏名】市原 誠三

【要約】 【課題】靴自体に水分、脂分、汗などが吸収されるのを出来る限り防止し、また、歩くことで強制的に靴の中の空気を循環ないし流動させることで、靴の内部を乾燥させ、足が蒸れるのを防止すること。

【解決手段】靴中敷き21の下に敷く空気送り具22は、足のかかとの位置に対応した空気溜め部23と、先端に開口部25を設けた空気送りパイプ24とで構成される。この空気送り具22を弾力性と復元性を備えた合成樹脂製の材料で形成する。靴中敷き21を介して空気溜め部23が押圧されることで、空気溜め部23内の空気が空気送りパイプ24を介して開口部25から外気に空気が吹き出される。また、空気溜め部23への押圧力が解除されると、押されていた空気溜め部23が復帰し、開口部25から空気送りパイプ24を介して空気を吸い込み、空気溜め部23が元に状態に復帰することになる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】紙材からなるベースシート(11)と、透湿性、通気性、保温性、耐水性を備え、繊維状に形成した長繊維不織布の吸水シート(12)とからなり、上記ベースシート(11)の上面に吸水シート(12)をエンボス加工により熱圧着して中敷き本体(10)を形成していることを特徴とする靴中敷き。
【請求項2】ベースシート(11)の材料をチップボールの紙材とし、坪量を600g/m2 〜1000g/m2 とし、厚さを0.6mm〜1.0mmとしていることを特徴とする請求項1記載の靴中敷き。
【請求項3】上記吸水シート(12)の坪量を、30g/m2 〜70g/m2 とし、厚さを0.09mm〜0.15mmとしていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の靴中敷き。
【請求項4】材料をチップボールの紙材とし、坪量を600g/m2 〜1000g/m2 とし、厚さを0.6mm〜1.0mmとしたベースシート材(11a)と、透湿性、通気性、保温性、耐水性を備え、繊維状に形成した長繊維不織布であって、坪量を30g/m2 〜70g/m2 とし、厚さを0.09mm〜0.15mmとした吸水シート材(12a)とをエンボス加工装置(16)へ供給し、このエンボス加工装置(16)によりベースシート材(11a)と吸水シート材(12a)とを所定の温度、圧力、速度で熱圧着していき、これらの温度、圧力、速度を、温度:120℃〜150℃圧力:12トン〜18トン速度:毎分4メートル〜6メートルの条件で設定しておき、ベースシート材(11a)と吸水シート材(12a)とをエンボス加工により熱圧着して中敷き本体材(10a)を製造するようにしていることを特徴とする靴中敷きの製造方法。
【請求項5】靴中敷き(21)の下面側に位置し弾力性を備えた空気溜め部(23)と、この空気溜め部(23)と一端側が連通し、他端側には開口部(25)を備えた空気送りパイプ(24)とで空気送り具(22)を形成していることを特徴とする靴中の乾燥機構。
【請求項6】空気溜め部(23)と連通した開口部(25)を複数設けていることを特徴とする請求項5記載の靴中の乾燥機構。
【請求項7】空気溜め部(23)内にスプリング(30)を設けていることを特徴とする請求項5または請求項6記載の靴中の乾燥機構。
【請求項8】靴底(34)の内部に設けられ、上部は弾力性を備えた空気溜め部(23)と、この空気溜め部(23)と一端側が連通し、他端側には開口部(25)を備えた空気通路(36)とで空気送り装置(40)を形成していることを特徴とする靴中の乾燥機構。
【請求項9】空気溜め部(23)と連通した開口部(25)を複数設けていることを特徴とする請求項8記載の靴中の乾燥機構。
【請求項10】空気溜め部(23)内にスプリング(30)を設けていることを特徴とする請求項8または請求項9記載の靴中の乾燥機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、靴の中に入れて履く靴中敷き及びその製造方法に関し、また、靴中敷きを乾燥させたり、靴の内部を乾燥させる靴中の乾燥機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】足や足指から滲み出る水分、脂分、汗などは、ジワジワと微量に、且つ間断なく出てくるものであるが、通気性がほとんどない靴の中では、それらは蒸れて蓄積され、想像を超えた多量の水分となり、靴はもちろん、靴中敷きや靴下までもベトベトにしてしまう。特に、今までの靴中敷きは、足の水分や汗を吸収するためのものとしてよりは、足より靴が大きい場合に靴の中に中敷きを入れて、履きやすくするという調整用として使われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】また、最近の靴中敷きにおいては、足の水分、脂分や汗を吸収させるものも提供されてきているが、水分等を吸収した靴中敷きを積極的に乾燥させるようにしたものはなく、単に靴中敷きを自然乾燥させているにすぎない。
【0004】また、靴自体においても、もともと通気性がほとんどないので、足から発生した水分、脂分、汗は、靴の内部の面に吸収されていき、やはり、靴下や足の裏、足指の間はベトベトになってしまうという問題がある。さらに、足からの水分、汗等は靴自体に吸収されるので、靴を履いている間はほとんど乾燥することがなく、嫌な臭いを発散したり、足の脂分により汚れ方がひどく、靴の寿命も早いという問題があった。
【0005】本発明は上述の点に鑑みて提供したものであって、靴自体に水分、脂分、汗などが吸収されるのを出来る限り防止し、また、歩くことで強制的に靴の中の空気を循環ないし流動させることで、靴の内部を乾燥させ、足が蒸れるのを防止するようにした靴中敷き及びその製造方法、並びに靴中の乾燥機構を提供することを目的としているものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明の請求項1記載の靴中敷きでは、紙材からなるベースシート11と、透湿性、通気性、保温性、耐水性を備え、繊維状に形成した長繊維不織布の吸水シート12とからなり、上記ベースシート11の上面に吸水シート12をエンボス加工により熱圧着して中敷き本体10を形成していることを特徴としている。
【0007】かかる構成とすることで、足の汗や水分、脂分は、吸水シート12の繊維部分による毛細管現象により、徐々に吸収されていき、汗や水分等は吸水シート12の広い範囲にわたって吸収されていく。同時にこれと平行して吸水シート12が乾燥していく。これにより、靴自体に汗や水分が吸収されるのを防止し、且つ足が蒸れるのを防止することができる。特に、靴を脱いでしばらく置いておくと、中敷き本体10が早く乾燥するので、次回に履く時は、靴の内部が乾燥しているために履き心地が良い。また、ベースシート11と吸水シート12とをエンボス加工にて熱圧着しているので、ベースシート11と吸水シート12との接着強度が大となって、吸水シート12がベースシート11から剥がれにくくなり、また、エンボス加工により靴下と吸水シート12との摩擦強度が大きくなり、歩き易くなる。
【0008】請求項2記載の靴中敷きでは、ベースシート11の材料をチップボールの紙材とし、坪量を600g/m2 〜1000g/m2 とし、厚さを0.6mm〜1.0mmとしていることを特徴としている。かかるチップボールでベースシート11を構成することにより、ベースシート11を低価格化できて、しかも、ベースシート11に適度の柔らかさを与え、また、吸水性と速乾性を付与することができる。
【0009】請求項3記載の靴中敷きでは、上記吸水シート12の坪量を、30g/m2 〜70g/m2 とし、厚さを0.09mm〜0.15mmとしていることを特徴としている。かかる吸水シート12を用いることで、薄くて軽い吸水シート12を構成でき、また、ジワジワと微量に、間断なく出てくる汗や水分を吸収すると同時平行的に乾燥させることができる。
【0010】請求項4記載の靴中敷きの製造方法では、材料をチップボールの紙材とし、坪量を600g/m2 〜1000g/m2 とし、厚さを0.6mm〜1.0mmとしたベースシート材11aと、透湿性、通気性、保温性、耐水性を備え、繊維状に形成した長繊維不織布であって、坪量を30g/m2 〜70g/m2 とし、厚さを0.09mm〜0.15mmとした吸水シート材12aとをエンボス加工装置16へ供給し、このエンボス加工装置16によりベースシート材11aと吸水シート材12aとを所定の温度、圧力、速度で熱圧着していき、これらの温度、圧力、速度を、温度:120℃〜150℃圧力:12トン〜18トン速度:毎分4メートル〜6メートルの条件で設定しておき、ベースシート材11aと吸水シート材12aとをエンボス加工により熱圧着して中敷き本体材10aを製造するようにしていることを特徴としている。
【0011】かかる製造方法により、ベースシート11と吸水シート12との接着強度が大となって、吸水シート12がベースシート11から剥がれにくくなり、また、エンボス加工により靴下と吸水シート12との摩擦強度が大きくなり、歩き易い中敷き本体10を提供することができる。
【0012】請求項5記載の靴中の乾燥機構では、靴中敷き21の下面側に位置し弾力性を備えた空気溜め部23と、この空気溜め部23と一端側が連通し、他端側には開口部25を備えた空気送りパイプ24とで空気送り具22を形成していることを特徴としている。
【0013】これにより一足ずつ歩く毎に空気溜め部23内の空気が開口部25から吹き出したり、吸い込んだりすることで、靴の中の空気が流動することになり、靴の中を早く乾燥させることができる。
【0014】請求項6記載の靴中の乾燥機構では、空気溜め部23と連通した開口部25を複数設けていることを特徴としている。これにより、靴の中を早く乾燥させることができる。
【0015】請求項7記載の靴中の乾燥機構では、空気溜め部23内にスプリング30を設けていることを特徴としている。スプリング30の復帰力により空気溜め部23を確実に復帰させることができ、開口部25を介して靴の中の空気を流動させて、靴内の乾燥を早く行なわせることができる。また、スプリング30によりクッション性を向上させて、歩いた時には靴の履き心地も良いものとすることができる。
【0016】請求項8記載の靴中の乾燥機構では、靴底34の内部に設けられ、上部は弾力性を備えた空気溜め部23と、この空気溜め部23と一端側が連通し、他端側には開口部25を備えた空気通路36とで空気送り装置40を形成していることを特徴としている。
【0017】かかる構成により、別途空気送り具22のような器具を設ける必要がなく、靴をそのまま履くだけで、一足ずつ歩く毎に空気溜め部23内の空気が開口部25から吹き出したり、吸い込んだりすることで、靴の中の空気が流動することになり、靴の中を早く乾燥させることができる。
【0018】請求項9記載の靴中の乾燥機構では、空気溜め部23と連通した開口部25を複数設けていることを特徴としている。これにより、靴の中を早く乾燥させることができる。
【0019】請求項10記載の靴中の乾燥機構では、空気溜め部23内にスプリング30を設けていることを特徴としている。スプリング30の復帰力により空気溜め部23を確実に復帰させることができ、開口部25を介して靴の中の空気を流動させて、靴内の乾燥を早く行なわせることができる。また、スプリング30によりクッション性を向上させて、歩いた時には靴の履き心地も良いものとすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は靴の内部に入れて履く中敷き本体10の平面図を示し、図2はこの中敷き本体10の要部拡大断面図を示すものである。この中敷き本体10は、紙製のベースシート11と、このベースシート11の上面に熱加圧により貼着した不織布からなる吸水シート12とで構成されている。
【0021】ここで、ベースシート11の材料として、チップボールと呼ばれる紙、あるいはその他のボール紙を用いており、坪量(目付)は、600g/m2 〜1000g/m2 であり、例えば、加賀製紙株式会社製である。また、厚みは、0.6mm〜1.0mmのものを使用している。なお、このベースシート11の原紙は、低価格であり、適度の柔らかさを有し、また、吸水性と速乾性を予め備えているものである。
【0022】ここで、中敷き本体10を紙製のベースシート11のみで構成した場合、それの持つ吸水可能量を超えると、ほとんどその機能(吸水機能)が薄れてしまうことになる。また、短時間の使用においては、ベースシート11のみで構成した中敷き本体10はその効果を発揮するものの、長時間使用する場合には、やはり、ベースシート11の吸水可能量が飽和して、その効果は半減する。ジワジワと間断なく出てくる汗や水分を吸収すると同時平行的にベースシート11を乾燥させなければ、解決は困難であるということになる。
【0023】そこで、本出願の発明者は、種々の材料を検討、実験し、素材そのものが透湿性、通気性、保温性があり、しかも、耐水性の性質を持ち合わせることにより、表面や裏面がベトベトしないシートの開発を試みたのである。吸水と同時平行的に乾燥させるために、上記素材を出来る限り極細繊維にし、ランダムに絡み合わせて積層構造として、毛細管現象を起こさせることで、吸水時間を保持するようにした。かかるシートをベースシート11の表面に配設することで、吸水していくと同時平行的に乾燥させることができるようになった。
【0024】この吸水シート12は、例えば、帝人株式会社製のメルフィット(登録商標)と呼ばれる長繊維不織布である。この吸水シート12は、積層延展法と呼ばれる製法により作られたもので、表が特殊ポリエステル、裏が特殊ポリプロピレンの多層構造となっている。この吸水シート12は、長繊維不織布なので強度に優れ、タテ、ヨコの両方の強度バランスがとれている。この帝人株式会社製のメルフィット(登録商標)と呼ばれるシートのカタログでは、「シリカゲル系乾燥剤」、「防錆剤」、「防虫剤」、「脱臭剤」、「漢方薬」、「食品」、「その他の袋用」等一定の粒状固形物の袋材に適している、との記載があるものの、本発明のように靴中敷きとして適用可能とは一切記載されていない。
【0025】本出願の発明者は、紙材のみの靴中敷きでは、吸水と乾燥とを同時平行的に行なわせることは限界があると感じ、そのため、あらゆる素材を実際に使用して試行錯誤を経て、上記シートが本発明の吸水シート12として最も適合できると実験的に得たものであり、これは単なる材料の選択ではない。このメルフィット(登録商標)の中で、本発明の靴中敷きに適用できる銘柄としては、BT−30EA〜BT−70EA(坪量は30g/m2 〜70g/m2、厚さは、0.09mm〜0.15mm)であり、特に、好適な銘柄は、BT−30EA、あるいはBT−40EAである。
【0026】BT−30EAの坪量(目付)は、30g/m2 であり、厚さは、0.09mmである。また、BT−40EAの坪量(目付)は、40g/m2 であり、厚さは、0.12mmである。
【0027】図3は上記中敷き本体10の製造方法を示す図であり、一方のローラー14には、ベースシート11の素材であるベースシート材11aが巻装され、他方のローラー15には、吸水シート12の素材である吸水シート材12aが巻装されている。このベースシート材11aと吸水シート材12aとが重ね合わされながらエンボス加工装置16に供給されるようになっている。このエンボス加工装置16は、表面にエンボス加工を施した加圧ローラー17と、同様に表面にエンボス加工を施した受けローラー18とで構成されている。加圧ローラー17及び受けローラー18は共に回動自在に軸支され、適宜なモータ及びモータ制御部(ともに図示せず)により、所定の速度で回転制御されている。また、加圧ローラー17側には加熱手段(図示せず)が設けられている。さらに、加圧ローラー17は受けローラー18側に対して所定の圧力にて加圧するようになっている。
【0028】ここで、エンボス加工装置16における温度、圧力、速度の加工条件は以下のようにしている。
温度:120℃〜150℃圧力:12トン〜18トン速度:毎分4メートル〜6メートルまた、エンボス加工装置16のエンボス加工の模様としては、繊維状にしているが(図1参照)、きめ細かな模様であれば特に限定されるものではない。なお、上記受けローラー18の表面にはエンボス加工を施さない平滑面としたものを使用しても良い。
【0029】ベースシート材11aと吸水シート材12aとがエンボス加工装置16に移送され、エンボス加工装置16でエンボス加工され、吸水シート材12aがベースシート材11aに熱圧着されて、中敷き本体10となる中敷き本体材10aとして形成されることになる。エンボス加工装置16で形成された中敷き本体材10aは、巻き取りローラー19により連続して巻き取られていく。そして、巻き取りローラー19で巻き取った中敷き本体材10aを周知な手段により図1に示すような中敷き本体10の形に打ち抜き加工を行なう。
【0030】なお、図3の例では、中敷き本体材10aを一旦巻き取りローラー19で巻き取った後に打ち抜き加工を行なっていたが、エンボス加工装置16から送り出された後に、直接中敷き本体10の形に打ち抜き加工を行なうようにしても良いものである。
【0031】このように構成することにより、ベースシート11の上面に吸水シート12をエンボス加工して一体に熱圧着して形成した中敷き本体10を靴の中に入れて履いた場合には、足の汗、脂分、水分等は吸水シート12の繊維部分による毛細管現象により、徐々に吸収されていき、汗、脂分、水分等は吸水シート12の広い範囲にわたって徐々に広がっていく。上面の吸水シート12では、脂分や汗や水分が徐々に時間をかけて浸透していくと同時に、これと平行して吸水シート12から乾燥していく。また、吸水シート12からベースシート11への汗や水分も浸透していくが、吸水シート12でかなりの量が吸収され、また同時に乾燥していく。
【0032】実際に使用した実験の結果では、脂分、汗、水分などは足にも靴にもしみ出ることがなくなった。そのため、従来のように靴の中が水分で蒸れることがほとんど無くなり、靴が臭うのをかなり防止することができた。また、靴下も同様に蒸れることがほとんど無くなり、足が臭いということもなくなった。さらには、このように靴下や靴が蒸れるのを防止できるので、足自体も蒸れることがないので、水虫になりにくいという健康面にも役立つものである。また、材料も低コストなものを用いているので、全体として低コストな靴中敷きを提供することができる。
【0033】なお、ベースシート11と吸水シート12とを単に熱圧着などで貼着している場合においては、足の裏との摩擦により吸水シート12が剥がれたり、平坦になって足の裏との摩擦効果があまりなく、歩きにくいという問題が生じる。しかし、ベースシート11と吸水シート12とをエンボス加工にて熱圧着して貼着していることで、図2に示すように貼着面が互いに強固に貼着されることになる。そのため、ベースシート11と吸水シート12との接着強度が大となり、吸水シート12が剥がれにくくなり、また、エンボス加工により足の裏との摩擦効果が上がり、歩き易くなるという相乗効果を発揮することができた。
【0034】なお、この実施形態において、吸水シート12の材料を帝人株式会社製の商品を使用していたが、この会社の物に限られないことはいうまでもない。吸水シート12の材質として、水分等を吸収すると同時平行的に乾燥が可能な長繊維不織布であれば良い。ただし、発明者が実験した中で、材料をコットンとした場合には、良好な結果は得られなかった。また、不織布で構成した吸水シート12の製法も湿式でも、乾式でもどちらでも良い。
【0035】さらに、上記吸水シート12を帝人株式会社製の「メルフィット(登録商標)」としていたが、他の製品として、例えば、同じ帝人株式会社製の「アクライナー(商品名)」あるいは、「ユニセル(商品名)」などを用いても良い。このアクライナー(商品名)は、不織布で構成されており、特に摩擦に強いものである。なお、上記アクライナー(商品名)は、テトロン100%からなり、厚さは適宜のものを使用するようにしている。したがって、常に足に踏みつけられる中敷き本体10に吸水シート12として上記アクライナー(商品名)やユニセル(商品名)などを用いることで、非常に長持ちさせることができるものである。
【0036】(第2の実施の形態)図4は第2の実施の形態を示し、靴中敷き21の下面に空気送り具22を設けるようにしたものである。なお、空気送り具22を設ける場合の靴中敷き21は現在市販されている一般的な靴中敷きでも良く、上記実施形態の中敷き本体10のいずれでも良い。
【0037】上記空気送り具22は、足のかかとの位置に対応した空気溜め部23と、この空気溜め部23と一端側が連通した空気送りパイプ24とで構成されており、空気送りパイプ24の先端は大気側に開口した開口部25となっている。この空気送り具22は弾力性と復元性を備えた合成樹脂製の材料で形成されており、靴中敷き21を介して空気溜め部23が押圧されることで、空気溜め部23内の空気が空気送りパイプ24を介して開口部25から外気に空気が吹き出されることになる。また、空気溜め部23への押圧力が解除されると、押されていた空気溜め部23が復帰することで、開口部25から空気送りパイプ24を介して空気を吸い込み、空気溜め部23が元に状態に復帰することになる。
【0038】図4の例では、空気送り具22の空気溜め部23と一体化した空気送りパイプ24を1本とし、この空気送りパイプ24の先端の開口部25を靴中敷き21の先端側に開口させて、靴の内部の先端側に空気を送ってその周辺を乾燥させるようにしている。靴の中に空気送り具22と靴中敷き21とを入れて歩く際に、足を着地した時にかかとが空気溜め部23を押して、空気溜め部23の空気を開口部25から吹き出させ、また、足を上げた際にはかかとの力が空気溜め部23から解除され、空気溜め部23が元の形に復帰すると同時に、開口部25から空気が吸い込まれる。
【0039】靴の中は、ほとんど無風状態であり、空気送り具22により空気溜め部23により空気を開口部25から靴の内部の先端側に送ったり、吸い込んだりすることで、靴の中で空気が流動し、これにより靴の中を乾燥し易くすることができる。特に、靴の中の先端は少なくとも0.5cm〜1cmの空間があり、この空間の空気が流動することで、靴の中を乾燥させることができる。このように、靴の中で強制的に空気の流れを形成することで、靴下、足、足指の間、靴中敷き21を乾燥させ、足が蒸れるのを防止することができ、また、同時に靴自体も乾燥させることができるので、靴を長持ちさせることもできる。
【0040】特に、第1の実施形態で説明した中敷き本体10と空気送り具22を併用することで、より相乗効果を高めることができる。また、空気送り具22がクッションとしての機能を発揮するので、歩き易く、また、疲れにくいという効果も発揮することになる。
【0041】図5は、空気送りパイプ24の途中から複数の枝管26(この例では、4本)を設け、各枝管26の先端面に開口部25を開口させ、各枝管26の開口部25から空気溜め部23により空気を吹き出したり、吸い込んだりして空気の流れを生じさせて、靴の内部を強制的に乾燥させるようにしている。この実施形態では、複数の開口部25を設けているので、足や靴の周りを早く乾燥させることができる。
【0042】なお、上記の実施形態では、空気溜め部23を靴中敷き21のかかとの下面に対応した位置に設けていたが、他の箇所、例えば、爪先や土踏まずなどの位置に対応した箇所に設けても良く、空気溜め部23の位置は特に限定されるものではない。また、空気溜め部23の数も1つとして説明したが、複数の空気溜め部23を形成しても良く、かかる場合、複数の空気送りパイプ24を形成し、それぞれの先端に開口部25を形成するようにしても良い。
【0043】(第3の実施の形態)図4及び図5では、空気送り具22の空気溜め部23の復帰をその材質自体に任せていたが、材質やその厚みにより、あるいは経年変化などで空気溜め部23が復帰しない恐れがある。そこで、この実施形態では、図6に示すように、空気送り具22の空気溜め部23内にコイル状のスプリング30を設けたものである。図6(a)ではスプリング30を1個、図6(b)ではスプリング30を2個設けたのを示しているが、3個、あるいは4個設けるようにしても良い。また、金属製のスプリング30の代わりに、柱状のゴムを用いるようにしても良い。
【0044】また、図6(b)に示すように、スプリング30の上下に平板31を配設して、スプリング30を空気溜め部23の納装した場合の違和感を無くすと同時に、空気溜め部23の上面全体を復帰させ易くしている。さらには、空気送り具22は弾力性と復元性を有する合成樹脂で形成しているので、スプリング30の先端による破れの防止をも図っている。また、スプリング30により歩いた時のクッション性をより向上させることができる。
【0045】(第4の実施の形態)この実施の形態では、図7及び図8に示すように、空気送り具22と同様な構成の空気送り装置40を靴33の靴底34に一体に形成したものである。靴底34のかかと35に空気溜め部23を形成し、この空気溜め部23と靴底34の先端の上面に開口した開口部25との間をパイプ状の空気通路36で連通せしめている。
【0046】空気溜め部23の上方の靴底34の部分は弾性と復元性を備えた材料(例えば、ゴム製)で構成され、先の実施形態と同様に空気溜め部23が押されることで、空気溜め部23が押圧されて開口部25から空気溜め部23内の空気を吹き出すことになる。また、空気溜め部23への押圧力が解除されると、空気溜め部23が元の形に復帰して、開口部25から靴33内の空気が空気溜め部23内に吸い込まれる。靴33を着地した時に、足のかかとにより空気溜め部23が押圧され、足を上げた時に空気溜め部23への押圧が解除されて、開口部25から空気が吹き出されたり、吸い込まれたりすることで、靴33の中で空気が流動し、これにより足を乾燥させて、足が蒸れるのを防止することができる。また、靴下への脂分、汗、水分などが吸収されにくくなり、また靴自体への脂分などの吸収がされにくく、脂分等が吸収されても早く乾燥させることができ、靴の寿命を従来より延ばすことができる。
【0047】空気送り装置40の開口部25の位置は、図7の場合では、先端側にしたが、側部や真ん中に設けるようにしても良い。つまり、開口部25はどこに開口させるようにしても良い。また、靴底34にパイプを埋設して、このパイプの両端に空気溜め部23と開口部25とをそれぞれ連通させる構造でも良い。
【0048】図9は図5に対応した実施形態を示し、空気通路36の途中から任意の本数だけ枝分かれさせて、任意の箇所に複数の開口部25を開口させたものである。このように、開口部25の数を増加させることで、靴33の内部における空気の流動を盛んにさせて、靴33の中を乾燥し易くさせ、足が蒸れるを防止することができる。なお、開口部25の数や位置は、図7〜図9に示すものに限られるものではなく、任意の数、任意の位置に設けるようにしても良い。また、開口部25は空気通路36の途中から枝分かれとした構造としたが、空気溜め部23からそれぞれ独立した空気通路36を設けて、空気通路36の先端のそれぞれ開口部25を開口させるようにしても良い。
【0049】また、図7〜図9においては、空気送り装置40の空気溜め部23の内部は空洞としていたが、図6に示すのと同様に1個あるいは複数のスプリングを配設するようにしても良い。なお、スプリングを設けた場合の構成は、図6の場合と同じなので、図は省略する。
【0050】なお、上記の実施形態では、空気溜め部23を靴底34のかかと35の内部に設けていたが、他の箇所、例えば、爪先や土踏まずなどの箇所に設けても良く、空気溜め部23の位置は特に限定されるものではない。特に、最近では靴底34の厚い靴が市販されているので、空気溜め部23を任意の箇所に形成することは可能である。もちろん、靴底34が薄くてもその厚さに応じた厚みの空気溜め部23を形成することは可能である。また、空気溜め部23の数も1つとして説明したが、複数の空気溜め部23を形成しても良く、かかる場合、複数の空気通路36を形成し、それぞれの先端に開口部25を形成するようにしても良い。
【0051】
【発明の効果】本発明の靴中敷きによれば、ジワジワと間断なく足や足指から出てくる汗や水分を、吸水シートの繊維状の毛細管現象により吸水時間を保持しながら吸収すると同時平行的に乾燥させることができるので、靴自体に汗や水分が吸収されるのを防止でき、且つ足が蒸れるのを防止することができる。したがって、常に靴の内部を乾燥した状態で履けるので、使用者に清潔感とさわやか感を与えることができる。また、ベースシートと吸水シートとをエンボス加工にて熱圧着しているので、ベースシートと吸水シートとの接着強度が大となって、吸水シートがベースシートから剥がれにくくなり、また、エンボス加工により靴下と吸水シートとの摩擦強度が大きくなり、歩き易くなる。
【0052】また、本発明の靴中の乾燥機構によれば、歩く毎に開口部を介して空気が吹き出したり、吸い込んだりすることで、靴の内部で空気の流れが生じ、靴の中を早く乾燥させることができる。さらに、空気溜め部がクッションの機能を発揮することで、履き心地をさらに向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】595004115
【氏名又は名称】株式会社 彩響舎
【識別番号】398016980
【氏名又は名称】株式会社いちはら
【出願日】 平成11年8月19日(1999.8.19)
【代理人】 【識別番号】100100088
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 和雄
【公開番号】 特開2001−54405(P2001−54405A)
【公開日】 平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願番号】 特願平11−232731