トップ :: A 生活必需品 :: A43 履物




【発明の名称】 長 靴
【発明者】 【氏名】長谷川 幸雄

【要約】 【課題】プルストラップを有する長靴に関し、プルストラップの輪の中に指を入れるのが容易であると共に、その輪が変形して歩行中に内側のプルストラップ同士が接触したりする不具合を防止する。

【解決手段】長靴本体Aの履き口a3部近傍における胴部a2外周の内側と外側とに、縦長状の通孔11aを形成する吊り帯11を設け、該吊り帯11の下部を長靴本体aの胴部a2に止着し、吊り帯11の通孔11aに環状の指掛け環15を挿通して同吊り帯11に取付し、この指掛け環15を上記吊り帯11の通孔内11aに沿って上下移動可能に構成することにより、プルストラップの変形や歩行中の接触を防止する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 長靴本体の履き口近傍における胴部外周の内側と外側とに、各々通孔を形成する吊り帯を設け、該吊り帯の下部を長靴本体の胴部に各々止着し、且つ、上記吊り帯の通孔に金属等から成る環状の指掛け環を挿通して同吊り帯に取付し、この指掛け環を上記吊り帯の通孔内に沿って上下移動可能に構成して成る長靴。
【請求項2】 上記吊り帯の通孔内における下端部に、指掛け環の挿通部を着脱可能に嵌入せしめる嵌合部を形成し、該嵌合部に上記指掛け環の挿通部を嵌合した際に、その挿通部の外周面を上記嵌合部により弾性的に締め付けるように構成した請求項1記載の長靴。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、長靴に関し、さらに詳しくは、履き口の内外両側にプルストラップを付設した長靴に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ゴム若しくは合成樹脂製の長靴や、皮製のウエスタンブーツ等には、履き口の左右両側に指を掛けるためのプルストラップを設けたものがある。上記したプルストラップは、胴部分が長い靴を履く際に指を掛けて手前に引くことにより、履き口内に入れた足を長い胴部分を通して甲部内に入れる動作の補助をするものである。また、上記した如きストラップは、運動靴等の踵に設け、靴の履き口に足を入れる際の補助を行なうものとして用いられる場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図8にて示す長靴100は、ゴム若しくは塩化ビニル等の合成樹脂を用いて長靴本体100’を形成してある。上記した長靴本体100’は、略くるぶし部分から下の甲部101と、該甲部101から上に延びる胴部102とからなり、上記胴部102の上端部にて開口する履き口103の左右両側部には、プルストラップ104を各々付設してある。
【0004】図8上記したプルストラップ104は、ゴム引き布やゴムシート等を重ね合わせて略帯状に形成し、その両端部同士を重ね合わせて履き口103の内側と外側の胴部102に接着して付設してある。尚、従来のプルストラップ付きの長靴の中には、上記したプルストラップとして強度のある布帯を使用したものもある。上記両プルストラップ104は、図8(a)にて示すように、下端部の表面に例えばゴム引き布やゴムシートからなる化粧布106を被着して接着の強化と上記プルストラップ104の下部が露呈しないようにカバーしている。さらに、上記プルストラップ104の下部には、ピン105を外側から差し込んで上記したプルストラップ104の下部と、長靴本体100’の胴部102及び裏布107を貫通し、履き口103の内部側でかしめてプルスとラップ104を長靴本体100の履き口103近傍に対して強固に取付固定してある。
【0005】上記した如く構成したプルストラップ付きの長靴100を履く際には、履き口103に足の爪先を入れると同時に、内外の両プルストラップ104に両手の指を差し入れて引き上げる。そして、上記プルストラップ104引き上げ力を利用して上記した如く履き口103内に入れた足を長靴100の胴部102から甲部101の内部まで差し込むものである。よって、上記した如くプルストラップ104を設けた長靴100にあっては、長い胴部の長靴でもスムースに履くことができる。
【0006】ところで、上記した如く構成した従来のプルストラップ104付きの長靴100は、プルストラップ104により形成した輪の中に指を入れて引き込むため、上記プルストラップ104は縦長にして内部に形成される通孔を大きくした方が使用勝手が良い。しかし、上記プルストラップ104をあまり長くすると、指の差し込みは楽になるが、自重によりプルストラップ104が外側に傾斜するように変形したり、プルストラップ104の輪が外側へ広がるように変形する。このようにプルストラップ104が変形すると、外観が悪くなると共に、長靴100を履いて歩いている最中に、一対となる長靴100の内側のプルストラップ104同士が接触するようになって歩きづらくなる。また、上記したように内側のプルストラップ104同士が接触しないまでも、各プルストップ104が歩行の際にぶらぶらと揺動し、歩く際に不快であった。
【0007】本発明の技術的課題は、上記した如くプルストラップを有する長靴に関し、プルストラップの輪の中に手の指を入れるのが容易であると共に、上記した従来の長靴のように、プルストラップが変形して歩いている最中に内側のプルストラップ同士が接触したり、揺動するような不具合を防止することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の長靴は、長靴本体の履き口近傍における胴部外周の内側と外側とに、各々通孔を形成する吊り帯を設け、該吊り帯の下部を長靴本体の胴部に各々止着し、且つ、上記吊り帯の通孔に金属等から成る環状の指掛け環を挿通して同吊り帯に取付し、この指掛け環を上記吊り帯の通孔内に沿って上下移動可能に構成して成るものである。
【0009】上記した手段によれば、長靴本体の履き口近傍における胴部の内側と外側との部分には、吊り帯が設けられる。この吊り帯は、例えば二枚折りにする等の構造を取ることにより、その内側に通孔を形成する。そして、上記通孔に金属等を用いて形成した環状の指掛け環を挿通して上記吊り帯と取付してある。即ち、上記した如く吊り帯と取付した指掛け環は、吊り帯により形成される通孔内を上下に移動するように取付支持してある。上記したように構成した長靴を履く際には、長靴の履き口に足を入れた状態から、内外両指掛け環に指を掛けて引き込上げることにより、同指掛け環は吊り帯の通孔内を上端まで移動し、これら指掛け環及び吊り帯を介して胴部における履き口を引き上げる。そして、上記した指掛け環の引き上げ力により、履き口に入れた足を長靴の胴部を通過せしめて甲部内までスムースに入れることができる。また、上記した指掛け環は、金属等から構成してあるので、自重によってにより変形することもない。また、指掛け環は歩行中において自重によって吊り帯の通孔内における最下部に当接して吊持される状態を維持するので、歩いている最中に内側の指掛け環同士がぶつかり合うこともない。
【0010】請求項2記載の長靴においては、上記吊り帯の通孔内における下端部に、指掛け環の挿通部を着脱可能に嵌入せしめる嵌合部を形成し、該嵌合部に上記指掛け環の挿通部を嵌合した際に、その挿通部の外周面を上記嵌合部により弾性的に締め付けるように構成したものである。
【0011】上記した場合、長靴を履いた後、各指掛け環の挿通部を吊り帯の通孔内の下端部に設けた嵌合部内に嵌合しておく。この状態においては、指掛け環の挿通部の外周面に対して、上記嵌合部が弾性的な圧接することにより、指掛け環の挿通部の外周面が適度に締め付けられる。これにより、指掛け環を任意の回動位置にて保持することが可能となり、歩行の際には指掛け環を真下に向けて長靴本体の外周面に沿う状態にて確実に支持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明を実施した長靴Aを示している。長靴Aは、ゴムの貼り合わせにより成形した長靴本体aを具備しており、その内部には裏布bを全面的に貼着してある(図1,図3−a)。尚、上記した長靴本体aは、略くるぶしより下側の甲部a1と該甲部a1より上に立ち上がる胴部a2とにより構成してある。
【0013】上記した如く構成した長靴本体aは、履き口a3近傍における胴部a2外周の内側と外側とに、各々プルストラップ1を付設してある。上記したプルストラップ1は、使用者が上記長靴Aを履こうとする際に、両手の指を掛けて引き込むものであり、この引き込み力により、履き口a3内に入れた足を胴部a2を通過して甲部a1の内部へ円滑に入れる(履く)ことができる。
【0014】上記した各プルストラップ1は、履き口a3近傍の胴部a2外周に取付固定する吊り帯11と、該吊り帯11に取付する指掛け環15とを具備する。上記吊り帯11は、ゴム引き布を二枚折りにして合い面同士を接着することにより帯状に構成し、該吊り帯11を略中央部から略逆U字形に折り返すことにより、図2−(a)にて示すように形成する。また、上記吊り帯11の両端の内面同士を付け合わせることにより、その内側に略縦長状の通孔11aを形成してある。この通孔11aに、上記指掛け環15を通して上下方向に移動可能に取り付けるものである。
【0015】上記吊り帯11の内面には、断面略半円弧状の凹溝を形成し、この凹溝同士を付き合わせることにより、通孔11aの下端部に断面略円弧形の嵌合部12を形成する。ちなみに、吊り帯11における嵌合部12よりも下側の合い面を接着してある。また、上記した嵌合部12の内径は、後述する指掛け環15の直径よりも幾分小さくなるように設定してある。尚、この接着を行なう前に、後述する指掛け環15を上記通孔11a内に挿通せしめておく。
【0016】一方、上記した吊り帯11の通孔11aに挿通して取付する指掛け環15は、金属製の棒材等を用いて形成した略D形の環状体であり、その直線部分、即ち挿通部15aを上記吊り帯11の通孔11a内に挿通して上記吊り帯11に取り付けてある。即ち、上記指掛け環15が、吊り帯11の通孔11a内を上下に移動するように取付してある。尚、指掛け環15は、金属製の棒材以外にも強度と剛性を有する合成樹脂等を用いて構成しても良い。
【0017】上記した如く構成したブルストラップ1の吊り帯11は、嵌合部12よりも下側の部分を履き口a3近傍における胴部a2外周の内側と外側とに各々接着して取付る。また、上記した吊り帯11の下部には、ゴムシート等からなる化粧布17を被着して上記吊り帯11の下部を被覆する。さらに、上記した吊り帯11の下部には、ピン14を外側から水平に差し込むと共に、長靴本体aの内側に貫通した同ピン14の先端部をかしめて潰し、このピン14にて上記した長靴本体aの裏布bと胴部a2,及び二枚に重ねた吊り帯11の下部と化粧布17とを確りと挟持する。これにより、指掛け環15を取付した各吊り帯11は、履き口a3近傍の胴部a2に対して強固に取付固定され、同吊り帯11は、通孔11aを構成する嵌合部12よりも上の部分が上方へ向けて突出し、その先端部が履き口a3の口縁部よりも若干上に突出するように構成してある(図1,図2)。尚、上記した吊り帯11の先端部の位置は、任意に変更してもよく、履き口a3の口縁部と略同じレベルであってもよいし、また、同口縁部よりも突出させてもよい。
【0018】上記した如く構成した長靴Aを履く最には、長靴Aの履き口a3に爪先から足を入れ、この状態から、内外両プルストップ1の指掛け環15に両手の指を入れて手前に引き込む(図4)。これにより、両指掛け環15は縦長状の通孔11a内の上端まで移動し(図3−a)、各々吊り帯11を介して胴部a2における履き口a3の内側と外側とを引き上げて、上記した如く履き口に入れた足が長靴の内部にスムースに入り込むようになる。
【0019】また、上記した如く長靴Aを履いたならば、各プルストップ1の指掛け環15は、自重により挿通部15aが通孔11aの下部まで移動し、先端の円弧側が垂れ下がった状態となる(図3−b)。上記した如き状態から指掛け環15を下に押し下げると、同指掛け環15の挿通部15aが吊り帯11の通孔11aの下端部に設けた嵌合部12内に嵌合する(図3−c)。この状態においては、嵌合部12内に嵌合した指掛け環15の挿通部15aが周囲(嵌合部)からの圧接力を受けて保持力が生じ、同指掛け環15を任意の回動位置にて保持することが可能となる。したがって、図3−cにて示すように、指掛け環15を真下を向けて長靴Aの胴部a2の外周面に沿う形で保持することにより、歩行中に各指掛け環15が無闇に振れるようなことを防止できる。
【0020】また、上記した長靴Aは、プルストラップ1に指掛け環15を嵌合して保持する嵌合部12を設けたが、本発明の主旨によれば、指掛け環を嵌合する嵌合部は、必ずしも設けなくともよい。例えば、図7にて示す長靴A2は、吊り帯11に指掛け環15を取付して、同指掛け環15が吊り帯11の通孔11aの内部に沿って上下に移動するように構成したものである。上記した如く構成したプルストラップ1’は、前記したものと同様に、吊り帯11を介して胴部a2における履き口a3を引き上げ、履き口a3内に入れた足を長靴A2の内部に向けてスムースに入れることが可能である。また、金属製の指掛け環15は、自重により変形することがないので、外側に突出することがない。さらに、歩行中においては自重によって吊り帯11の通孔11a内の最下部に吊持される状態を維持するので、歩行中に内側の指掛け環同士がぶつかり合うこともない。また、上記した通孔11aの最下端部は断面略V状に形成されるため、上記した様に指掛け環15が自重により通孔11aの最下端部に移動した際に、同指掛け環15の挿通部15aが断面V形の通孔11aの下端部内にはまり込んで内外両側面から圧接されるので、上記した長靴Aの嵌合部12程ではないが、歩行中に上記指掛け環15が無闇に振れるのを防止することができる。
【0021】上記した長靴A,A2に装着した各プルストラップ1の指掛け環15は、略D状の形状に形成したが、上記した指掛け環の形状は、長靴を履く最に支障なく指を入れて引っ掛けることができればどのような形状に形成してもよい。例えば図5にて示すプルストラップ1’のように、円形の指掛け環15’を用いてもよいし、さらには、図6にて示すプルストラップ1’’ように、縦長の矩形状に形成した指掛け環15’’を用いてもよい。また、指掛け環の形状を上記した指掛け環15’のように円形にした場合には、同指掛け環15’が嵌合する嵌合部も上記指掛け環15’の円弧に合わせて形成する必要がある。さらに、上記指掛け環を取付する吊り帯の幅や長さの寸法等も、支障なく機能する範囲で適宜に変更してもよい。さらに、上記した指掛け環は、ゴム引き布の他に合成樹脂や布テープ等を用いて構成してもよい。
【0022】尚、上記した長靴Aは、長靴本体aをゴムの貼り合わせにより成形したが、本願の長靴本体は射出成形やスラッシュ成形により成形してもよい。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上説明したように、履き口部近傍における胴部外周の内側と外側とに、縦長状の通孔を構成する吊り帯を設け、上記吊り帯の通孔に金属等から成る環状の指掛け環を挿通して取付し、この指掛け環を上記吊り帯の通孔内に沿って上下移動可能に構成したものである。
【0024】上記した手段によれば、吊り帯と取付する指掛け環は、縦長状に形成した吊り帯の通孔内を上下に移動するように取付支持してあるので、長靴を履く際には、長靴の履き口に足を入れた状態から、内外両指掛け環に指を掛けて引き上げることにより、同指掛け環は縦長状の通孔内を上端まで移動し、同吊り帯を介して胴部における履き口部近傍の内側及び外側を引き上げ、上記した如く履き口に入れた足を長靴の内部に向けてスムースに入れることが可能である。よって、胴部の長い長靴であっても、容易に履くことが可能となる。上記した指掛け環は、金属等から構成してあるので、自重により変形することがない。また、指掛け環は歩行中において自重によって吊り帯の通孔内の最下部に吊持される状態を維持するので、歩いている最中に内側の指掛け環同士がぶつかり合うこともない。
【0025】請求項2記載の長靴は、上記した請求項1記載の長靴において、吊り帯の通孔内における下端部に、指掛け環の挿通部を着脱可能に嵌入せしめる嵌合部を形成し、この嵌合部に上記指掛け環の挿通部を嵌合した際に、その挿通部の外周面を上記嵌合部により弾性的に締め付けるように構成したものである。
【0026】上記した手段によれば、長靴を履いた後に、各指掛け環の挿通部を吊り帯の通孔内の下端部に設けた嵌合部内に嵌合しておくことにより、指掛け環の挿通部の外周面に対して、上記嵌合部が弾性的な圧接して、指掛け環の挿通部の外周面が適度に締め付けることができる。これにより、指掛け環を任意の回動位置にて保持することが可能となり、歩行の際には指掛け環を真下に向けて長靴本体の外周面に沿う状態にて確実に支持して、歩行中に指掛け環が振れるようなことを防止し得る。よって、プルストラップを具備しても通常の長靴と同様な感覚にて歩行することができる。
【出願人】 【識別番号】000000550
【氏名又は名称】オカモト株式会社
【出願日】 平成11年8月19日(1999.8.19)
【代理人】 【識別番号】100068607
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 政名 (外3名)
【公開番号】 特開2001−54401(P2001−54401A)
【公開日】 平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願番号】 特願平11−232851