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【発明の名称】 防塵フード及び防塵服
【発明者】 【氏名】沢田 順次

【要約】 【課題】

【解決手段】防塵フード1の目開部17は、帽子部11の長縁21、顔側覆部12の傾斜縁22、マスク部14上部の円弧状の短縁23から構成される。長縁21は、着用者の眉下を通って左右の眼窩横の近傍をつなぐ。両傾斜縁22,22は、左右の眼窩横の近傍から左右の頬骨近傍のマスク部14上部に至る。略円錐状のマスク部14の上部の短縁23は、着用者の鼻背を通って両傾斜縁22,22の下方両端25,25をつなぐ。マスク部14の下方には、マスク部14から垂れ下がってスカート部15に連なる顎下覆部16が設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 着用者の口を覆う略円錐状のマスク部と、該マスク部の上方に開けられた目開部とを有する、着用者の頭部を覆う防塵フードであって、該目開部が、着用者の眉下を通って左右の眼窩横の近傍をつなぐ長縁と、該長縁の両端から着用者の左右頬骨近傍の該マスク部上部に至る傾斜縁と、着用者の鼻背を通って該傾斜縁の下方両端をつなぐ、該マスク部上部の短縁とからなる防塵フード。
【請求項2】 該マスク部の下方に、マスク部から垂れ下がってスカート部に連なる顎下覆部を有する請求項1記載の防塵フード。
【請求項3】 着用者の頭部を覆う防塵フード体を有する防塵服であって、該防塵フード体が、着用者の口を覆う略円錐状のマスク部と、該マスク部の上方に開けられた目開部とを有し、該目開部が、着用者の眉下を通って左右の眼窩横の近傍をつなぐ長縁と、該長縁の両端から着用者の左右頬骨近傍の該マスク部上部に至る傾斜縁と、着用者の鼻背を通って該傾斜縁の下方両端をつなぐ、該マスク部上部の短縁とからなる防塵服。
【請求項4】 該マスク部の下方に、マスク部から垂れ下がって襟に連なる顎下覆部を有する請求項3記載の防塵服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クリーンルームなどの清浄な空間内で作業する際に着用され、人体及びインナーウエアなどから生じる塵埃が作業対象物を損傷、汚染することを防止するための防塵フード及び防塵服に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、クリーンルームなどの清浄な空間内では、作業者の体表面及びインナーウエアなどからの塵埃が作業対象物を損傷、汚染することを防止するために、通気性の低い防塵フード及び防塵服が利用されている。防塵フードには、視界を確保するために目の部分を開口した目開部が形成され、この目開部の下方には、鼻及び口を覆うためのマスク部が形成されている。
【0003】しかし、従来の防塵フードでは、鼻及び口からの呼気が塵埃と共に目開部から漏洩するのを抑えるために、目開部は可及的に狭く、マスク部は可及的に大きく設定され、さらに目開部を顔に密着させるために、目開部の縁に弾性部材を設けるなどの工夫がなされているので、着用者の視界が妨げられる。具体的には、目開部の幅が狭いので、眼瞼の間近に位置する目開部の縁に、弾性部材が設けられると、厚みの増した目開部の縁によって横の視界が狭くなる。大きなマスク部が両眼の前方にあるので、前の視界が狭くなるだけでなく、両眼の視界の重複部分が少なくなり、立体的に認識可能な視界が狭くなる。また、眼瞼の間近に位置する目開部の縁又は大きなマスク部によって、着用者の下方の視界が妨げられ、足元が見え難い。このように着用者の視界が妨げられると、着用者の動きが遅くなり、作業効率の低下を招くおそれがある。
【0004】さらに、塵埃の漏洩を抑えるために、目開部は必要最小限の大きさに開けられているので、着用者が眼鏡をかける場合、眼鏡のつるを生地と顔の間に通して、眼鏡の耳あてを耳にかけるのが困難であった。
【0005】上記の防塵フードの課題は、防塵フード体を有する防塵服についても同様に存在する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、防塵フード及び防塵フード体を有する防塵服において、視界を良好なものとしつつ、目開部からの塵埃の漏洩を可及的に防止することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するために、本発明に係る防塵フード及び防塵服においては、目開部及びマスク部に特徴がある。より具体的には、本発明においては以下の防塵フード及び防塵服を提供する。
【0008】(1) 着用者の口を覆う略円錐状のマスク部と、該マスク部の上方に開けられた目開部とを有する、着用者の頭部を覆う防塵フードであって、該目開部が、着用者の眉下を通って左右の眼窩横の近傍をつなぐ長縁と、該長縁の両端から着用者の左右頬骨近傍の該マスク部上部に至る傾斜縁と、着用者の鼻背を通って該傾斜縁の下方両端をつなぐ、該マスク部上部の短縁とからなる防塵フード。
【0009】(2) 該マスク部の下方に、マスク部から垂れ下がってスカート部に連なる顎下覆部を有する上記(1)記載の防塵フード。
【0010】(3) 着用者の頭部を覆う防塵フード体を有する防塵服であって、該防塵フード体が、着用者の口を覆う略円錐状のマスク部と、該マスク部の上方に開けられた目開部とを有し、該目開部が、着用者の眉下を通って左右の眼窩横の近傍をつなぐ長縁と、該長縁の両端から着用者の左右頬骨近傍の該マスク部上部に至る傾斜縁と、着用者の鼻背を通って該傾斜縁の下方両端をつなぐ、該マスク部上部の短縁とからなる防塵服。
【0011】(4) 該マスク部の下方に、マスク部から垂れ下がって襟に連なる顎下覆部を有する上記(3)記載の防塵服。
【0012】
【作用】本発明の防塵フード及び防塵服によれば、目開部の長縁が着用者の眼瞼の上を通り、目開部の傾斜縁が着用者の眼窩横の近傍から頬骨近傍を通り、目開部の短縁が着用者の鼻背を通って左右の頬骨近傍をつないでいるので、長縁を形成する生地の上部をベルト等により締めつけることによって、長縁、傾斜縁及び短縁が頬及び鼻に密着する。従って、目開部を形成する生地の縁に弾性部材を設けなくても、目開部及びマスク部と鼻及び頬とのフィット性が向上して横の視界が拡がる。
【0013】また、マスク部が略円錐状であり、マスク部の上部の短縁が着用者の鼻背を通って着用者の左右の頬骨近傍のマスク部上部に至るので、マスク部の上部の短縁が頭部に向かって凸状を形成する円弧状となり、頬及び鼻の露出を最小限とすることができる。マスク部が略円錐状であり、マスク部の上部の短縁が着用者の鼻背を通っており、マスク部の頂が眼瞼よりも下方に位置するので、前の視界が拡がるだけでなく、両眼の視界の重複部分が増え、立体的に認識可能な視界が拡がる。
【0014】目開部の高さが、頬骨近傍に位置する傾斜縁の下方端において最大となるので、眼瞼の下方に位置する目開部の縁が、眼瞼から可及的に離れた箇所に位置することになり、下方の視界の妨げとならない。また、マスク部が略円錐状であるので、下方の視界が良好となる。従って、眼瞼の間近に位置する目開部の縁又は大きなマスク部によって、着用者の下方の視界が妨げられ、足元が見え難くなるという従来の防塵フードの問題を解決し、足元が見え易くなるので、作業効率を向上させることができる。
【0015】さらに、目開部の長縁の両端が眼窩横の近傍にまで延びているので、眼鏡のつるが生地と顔の間を通り易く、眼鏡をかけ易い。
【0016】本発明の防塵フード及び防塵服において、マスク部の下方に、マスク部から垂れ下がってスカート部又は襟に連なる顎下覆部を有する形態では、着用者の呼気が顎下覆部の内側に沿って下方に流れるので、着用者の呼吸が容易となり、呼気が内部の塵埃と共に目開部から漏洩する可能性が低い。
【0017】
【発明を実施するための形態】図1は、本発明に係る防塵フードの実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1の防塵フード1の非着用時における左側半分の平面図である。本実施形態の防塵フード1は、着用者の前頭、頭頂及び後頭上部を覆う帽子部11、着用者の顔、特に頬を中心にコメカミ、横顎を覆う顔側覆部12、着用者の後頭下部及び頸のウナジを覆う後頭覆部13、着用者の鼻及び口を覆うマスク部14、着用者の肩、胸上部及び背中上部を覆って、頸からの発塵を防ぐためのスカート部15を有し、マスク部14の下方には、マスク部14から垂れ下がってスカート部15に連なる顎下覆部16が設けられている。また、防塵フード1には、着用者の視界を確保するための目開部17が設けられ、着用者の耳を覆い、聴覚を充分に確保するために編み目を大きくしたメッシュ部18が設けられ、さらに帽子部11を締め付けるためのベルト19が設けられている。
【0018】図3は、図1の防塵フード1のマスク部14及び目開部17付近を模式的に示した正面図である。目開部17は、帽子部11の長縁21、顔側覆部12の傾斜縁22、マスク部14上部の円弧状の短縁23から構成される。帽子部11の長縁21は、着用者の眉下を通って左右の眼窩横の近傍をつなぐ。顔側覆部12の両傾斜縁22,22は、帽子部11の長縁21の両端24,24、すなわち左右の眼窩横の近傍から左右の頬骨近傍のマスク部14上部に至る。マスク部14の上部の短縁23は、着用者の鼻背を通って両傾斜縁22,22の下方両端25,25をつなぐ。
【0019】目開部17の大きさは、着用者の頭部の大きさ等の条件によって適宜設定することができる。具体的には、図2の長縁21の端24における角度α、すなわち非着用時における左側半分の平面図において帽子部11の長縁21と顔側覆部12の傾斜縁22とがなす角度αは、55°〜65°、好ましくは58°〜62°である。また、図2の短縁23の端25における角度β、すなわち非着用時における左側半分の平面図において顔側覆部12の傾斜縁22とマスク部14の短縁23とがなす角度βは、65°〜75°、好ましくは68°〜72°である。さらに、長縁21の長さは、180mm〜220mm、好ましくは200mm〜210mm、傾斜縁22の長さは、375mm〜600mm、好ましくは475mm〜575mm、短縁23の長さは、65mm〜75mm、好ましくは68mm〜72mmである。但し、本発明の防塵フード及び防塵服においては、これらの角度、長さに限定されるものではない。
【0020】マスク部14は略円錐状であり、円錐の上下の斜面の長さよりも左右の斜面の長さが僅かに長くなるように設定されている。マスク部14の大きさは、目開部17と同様に、着用者の頭部の大きさ等の条件によって適宜設定することができる。具体的には、図2におけるマスク部14の頂の角度γ、すなわちマスク部14の非着用時における左側半分の平面図においてマスク部14の目開部17方向の正面側端縁31と顎下覆部16方向の正面側端縁32とがなす角度γは、140°〜160°、好ましくは145°〜155°である。また、図2におけるマスク部14の短縁23から頂までの正面側端縁31の長さは、75mm〜85mm、好ましくは78mm〜82mmであるが、本発明の防塵フード及び防塵服においては、これらの角度、長さに限定されるものではない。
【0021】本実施形態の防塵フード1によれば、目開部17の長縁21が着用者の眼瞼の上を通り、目開部17の傾斜縁22が着用者の眼窩横の近傍から頬骨近傍を通り、目開部17の短縁23が着用者の鼻背を通って左右の頬骨近傍をつないでいるので、長縁21を形成する帽子部11の上部をベルト19等により締めつけることによって、長縁21、傾斜縁22及び短縁23が頬及び鼻に密着する。従って、目開部17の各縁21,22,23に弾性部材を設けなくても、目開部17及びマスク部14と鼻及び頬とのフィット性が向上して横の視界が拡がる。
【0022】また、マスク部14が略円錐状であり、マスク部14の上部の短縁23が着用者の鼻背を通って着用者の左右の頬骨近傍のマスク部14上部に至るので、マスク部14の上部の短縁23が頭部に向かって凸状を形成する円弧状となり、頬及び鼻の露出を最小限とすることができる。マスク部14が略円錐状であり、マスク部14の上部の短縁23が着用者の鼻背を通っており、マスク部14の頂が眼瞼よりも下方に位置するので、前の視界が拡がるだけでなく、両眼の視界の重複部分が増え、立体的に認識可能な視界が拡がる。
【0023】目開部17の上下間長さLが、頬骨近傍に位置する傾斜縁22の下方端25において最大となるので、眼瞼の下方に位置する目開部17の縁が、眼瞼から可及的に離れた箇所に位置することになり、下方の視界の妨げとならない。また、マスク部14が略円錐状であるので、下方の視界が良好となる。従って、眼瞼の間近に位置する目開部の縁又は大きなマスク部によって、着用者の下方の視界が妨げられ、足元が見え難くなるという従来の防塵フードの問題を解決し、足元が見え易くなるので、作業効率を向上させることができる。
【0024】さらに、目開部17の長縁21の両端24が眼窩横の近傍にまで延びているので、眼鏡のつるが生地と顔の間を通り易く、眼鏡をかけ易い。
【0025】本発明においては、防塵フードに顎下覆部が設けられていてもよい。本実施形態における防塵フード1には、マスク部14の下方に、マスク部14から垂れ下がってスカート部15に連なる顎下覆部16が設けられている。顎下覆部16は、着用者の顎から下の頸の前に空間を確保し、この空間とマスク部14の内側の空間とをつなぐ作用を有するものである。従って、着用者の呼気はマスク部14の内側の空間から顎から下の頸の前に空間に流れるので、着用者の呼気が防塵フード1内側の塵埃と共に目開部17から漏洩する可能性が低い。
【0026】図2の非着用時における左側半分の平面図に示すように、マスク部14の顎下覆部16方向の正面側端縁32と、顎下覆部16の正面側端縁33と、スカート部15の正面側端縁34とは略直線的に繋がっていることが好ましく、特に防塵フード1を着用して直立した際に顔面に沿って略直線的に繋がっていることが好ましい。かくして、着用者の呼気は顎から下方へより一層流れやすくなり、着用者の呼気が塵埃と共に目開部17から漏洩する可能性をさらに低減させることができる。
【0027】顎下覆部16の大きさ、形状等は、上記の作用を奏する限りにおいて特に限定されない。本実施形態では顎下覆部16の高さ、すなわち図2に示すように、非着用時における左側半分の平面図においてマスク部14の正面側端縁32及びスカート部15の正面側端縁34と連なる顎下覆部16の正面側端縁33の長さは、85mm〜95mm、好ましくは88mm〜92mmであるが、本発明の防塵フード及び防塵服においては、これらの長さに限定されるものではない。
【0028】図4は、本発明の防塵服の実施形態を示したものであり、図4(a)は正面図、図4(b)は背面図を示したものである。図4に示す防塵服2は、着用者の腰から上部を覆う上衣20Aと腰から下部を覆う下衣20Bとが一体となったつなぎ型の防塵服であり、上衣20Aの前身頃には襟元から左腰部にかけてスライドファスナー202が設けられ、図1〜3に示す防塵フード1と同様の構成を有する防塵フード体10を有している。この防塵フード体10が図1〜3に示す防塵フード1と大きく異なる点は、スカート部がないので、上衣20Aの襟201に防塵フード体10が付けられている点と、着用口を開閉するためのスライドファスナー101を有する点である。
【0029】この防塵服2を着用する場合について説明する。図示しない雄雌ホックを外して襟201を開き、防塵フード体10のスライドファスナー101のスライダーを上げて防塵フード体10の着用口を開けて、さらに上衣20Aのスライドファスナー202のスライダーを下ろして防塵服2の前を開放させる。開いたところから、下衣20Bのズボンに足を入れるとともに、上衣20Aの内部に上半身を包み、防塵フード体10に頭を入れる。ベルト19を締めると、帽子部11の長縁21、顔側覆部12の傾斜縁22、及びマスク部14上部の短縁23が頬及び鼻に密着する。上衣20Aのスライドファスナー202のスライダーを喉付近まで上げ、防塵フード体10のスライドファスナー101のスライダーを下げて、図示しない雄雌ホックを合わせて襟201を閉じる。
【0030】本発明の防塵フード及び防塵服における生地としては、通気性の低く、発塵し難いポリエステル系繊維織物が好ましい。また、静電気の発生を抑えるために導電性の繊維を用いた生地が好ましい。好ましい生地の具体例として、カーボン複合ポリエステル系繊維織物を挙げることができる。
【0031】本発明の防塵フード及び防塵服は、常套手段によって、帽子部11、顔側覆部部12、後頭覆部13、マスク部14、スカート部15、顎下覆部16、上衣20A、下衣20となる生地を裁断し、互いに縫い付けることにより作成することができる。
【0032】
【発明の効果】本発明の防塵フード及び防塵服によれば、視界が良好なものとなり、目開部及びマスク部と鼻及び頬とのフィット性が向上して、目開部からの塵埃の漏洩を可及的に防止することができる。特に、横の視界、下方の視界が良好となり、足元が見え易くなるので、作業効率を向上させることができる。また、眼鏡をかけ易いので、眼鏡を使用する作業者の着用時の負担が少ない。
【0033】本発明の防塵フード及び防塵服において、マスク部の下方に、マスク部から垂れ下がってスカート部又は襟に連なる顎下覆部を有する形態では、着用者の呼気が顎下覆部の内側に沿って下方に流れるので、着用者の呼吸が容易となり、呼気が内部の塵埃と共に目開部から漏洩する可能性が低い。
【出願人】 【識別番号】591145483
【氏名又は名称】原田産業株式会社
【出願日】 平成12年3月31日(2000.3.31)
【代理人】 【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
【公開番号】 特開2001−288610(P2001−288610A)
【公開日】 平成13年10月19日(2001.10.19)
【出願番号】 特願2000−99923(P2000−99923)