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【発明の名称】 布製品製造方法
【発明者】 【氏名】藤原 敏雄

【要約】 【課題】本発明は衣類の外形線に沿って接結した多重組織の布帛を形成し、布帛を衣類の外形線に沿って裁断することによりを無縫製で衣類を製造する方法に関し、デザインから衣類までの一貫的製造体制を構築することを目的としている。

【解決手段】衣類の基準的な外形パターンを記憶しておき、コンピュータ画面上にこの基準外形パターンを表示させると共に、サイズなどの必要な修正を基準外形パターンに付し、この修正された外形パターン50より布帛上の接結部52を決定し、接結部における組織、接結部の外側における地の部分における組織及び接結部の内側における身頃の部分における組織を設定し、設定した組織が布帛のそれぞれの部分において得られるようにジャカードを制御するためのデータを作成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を実質的に無縫製で得る方法において、布製品の基準的な外形パターンを記憶しておき、コンピュータ画面上にこの基準外形パターンを表示させると共に、サイズなどの必要な修正を基準外形パターンに付し、この修正された外形パターンより布帛上の接結部を決定し、接結部における組織、接結部の外側における地の部分における組織及び接結部の内側における布製品の側面の部分における組織を設定し、設定した組織が布帛のそれぞれの部分において得られるように柄出し機構を制御するためのデータを作成することを特徴とする方法。
【請求項2】 布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を得る方法において、布製品の基準的な外形パターンを記憶しておき、コンピュータ画面上にこの基準外形パターンを表示させると共に、サイズなどの必要な修正を基準外形パターンに付し、この修正された外形パターンより布帛上の接結部を決定し、接結部における組織、接結部の外側における地の部分における組織及び接結部の内側における布製品の側面の部分における組織を設定し、設定した組織が布帛のそれぞれの部分において得られるように柄出し機構を制御するための第1のデータを作成すると共に外形線に沿って布帛を裁断するための第2のデータを作成することを特徴とする布製品製造方法。
【請求項3】 布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を得る方法において、布製品の輪郭も含むデザインをコンピュータ画面上にベクトルデータとして表示し、前記ベクトルデータを、前記デザインの布帛を形成するべく柄出し機構を操作するための2値データへ変換することを特徴とする布製品製造方法。
【請求項4】 布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を得る方法であって、布製品の輪郭も含むデザインをコンピュータ画面上にベクトルデータとして表示し、前記ベクトルデータを、前記デザインの布帛を形成するべく柄出し機構を操作するための2値データへ変換すると共に前記外形線に沿って裁断が行なわれるように裁断機を制御するための2値データに変換することを特徴とする布製品製造方法。
【請求項5】 請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、柄出し機構又は裁断機を制御するための前記データの伝送は通信回線を経由して行われることを特徴とする布製品製造方法。
【請求項6】 請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、布製品は衣類であり、前記側面の一方が衣類の前身頃であり、他方が衣類の後身頃であることを特徴とする布製品製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は衣類やバッグなどの布製品の外形線に沿って接結した袋織又は袋編などの多重組織の織物又は編物を形成し、織物又は編物を布製品の外形線に沿って接結部を残して裁断することによりを実質的に無縫製で布製品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】紳士服や婦人服などの衣類の製造は、これまでは、所謂川上から川下までの役割分担が明確に分かれたいわば水平分業によって行われていた。即ち、川上にある原糸メーカー(紡績糸メーカーや合繊メーカー)は原糸のみの製造を行い、中間にある織布メーカーや編布メーカーは織製や編製のみを行い、下流に位置する縫製メーカーは縫製のみを行う。このような専業メーカーによる水平分業は大量生産には適しており、安価な衣料を大量にかつ安定に低価格で供給するという面では大きな貢献があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】水平分業による生産体制は同質な製品を量産しコストを下げることにおいては有利である。しかしながら、最近の消費者の指向はデザインその他において差別化した製品に向けられており、しかもコスト面でも妥協はしない。また、消費者の好みの移り変わりも激しいから商品の納期の要求も厳しくなっている。したがって、従来の川上から川下に糸メーカー、織、編メーカー、縫製メーカーが水平分業した生産体制では消費者の要求を充足しえないようになってきている。
【0004】この発明は以上の問題点に鑑みてなされたものであり、衣類などの布製品の製造において川上から川下までの生産体制をより統合化し、デザインから布製品までの一貫的製造体制を構築することを目的としている。
【0005】この発明はこの目的を達成するため多重組織の布帛(織布又は編布)において布製品の外形パターンに沿って接結部を構成し、形成後に接結部が少なくとも一部は残るように織布又は編布を裁断し、布製品の外形線に沿って両側面間で接結が行われた布製品を得る技術をベースとしている。このような技術はこの出願の出願人による特願平11−282915号、特願平11−28300号、特願平11−282878号などに開示されている。この発明はこれらの技術をベースとしデザインから布製品の製造までを統合的に行うという前記目的を達成するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれば、布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を実質的に無縫製で得る方法において、布製品の基準的な外形パターンを記憶しておき、コンピュータ画面上にこの基準外形パターンを表示させると共に、サイズなどの必要な修正を基準外形パターンに付し、この修正された外形パターンより布帛上の接結部を決定し、接結部における組織、接結部の外側における地の部分における組織及び接結部の内側における布製品の側面の部分における組織を設定し、設定した組織が布帛のそれぞれの部分において得られるように柄出し機構を制御するためのデータを作成することを特徴とする方法が提供される。
【0007】請求項1の発明の作用・効果を説明すると、衣類などの布製品の輪郭となる外形パターンをコンピュータ上に表示し、コンピュータ画面上で輪郭線の縮小・拡大や修正が行われる。即ち、衣類などの輪郭となる基本のパターンはデザイナにより作成されコンピュータに格納されている。コンピュータ上で外形パターンの拡大・縮小を行い、また必要な修正を行う。即ち、衣類などの輪郭となる基準パターンは1個がコンピュータ上に格納され、これが表示されるが、大中小のスリーサイズなどのサイズに応じた修正、又は織り縮みなどによる必要な拡大・縮小が行われまたパターンの細部の必要な修正(例えば襟や袖やポケットなどの付加)が行われる。そして、この修正後の衣類の外径線より接結部が決定される。接結部は2重組織又は多重組織の表裏を連結し、2重組織又は多重組織の表裏層により構成される布製品の両側面間(衣類の場合は身頃間)の分離を防止する機能を果たす。接結部は織布又は編布の全幅にわたる1種の柄であるから接結部の織製又は編製のためにはジャカード(柄出し機構)を有した織機又は編機が必要である。接結部はその機能(両側面間の分離防止)を達成するための幅を有する必要があり、コンピュータ画面上ではこの必要な幅まで含んだ接結部の組織(1重組織)の設定がされる。そして、接結部における組織、接結部の外側における地の部分における組織及び接結部の内側における布製品の側面の部分(衣類の場合は身頃の部分)における組織の設定が行われる。接結部は布製品の両側面(衣類の場合は前身頃及び後身頃)となる布帛の表裏の層間を接続し、織布ではベッドフォードのような1重組織となり、丸編機による編布の場合はダイヤル及びシリンダの双方の編針を使用した組織となり、経編機による編布の場合はジャカード筬を使用し表裏の組織を編綴じる組織となる。接結部の外側の地の組織については地のままでもよいが布製品とともに使用する付属品(衣類などの場合は例えばベルトやフードなど、バッグ類の場合はストラップなど)を織製又は編製するような組織とすることもできる。また、接結部の内側の布製品の側面部分(衣類の場合は身頃の部分)についてはその布製品の用途に応じた各種の組織が設定される。衣類の場合を例にあげると、身頃の組織としてはプレーンな組織である場合もあろうし、大柄を有した組織である場合もあろうし衣類の用途としてさまざまである。そして、このようにして接結部における組織、接結部の外側における地の部分における組織及び接結部の内側における布製品の側面の部分における組織の設定が行われた後、設定した組織が布帛のそれぞれの部分において得られるように柄出し機構を制御するためのデータの作成が行われる。即ち、これらの変換されたデータは布帛上に形成すべき布製品の輪郭の部位においては布製品側面となる上下の組織を接結するように経糸又は編針の運動を制御するべきデータとなっており、輪郭より内側の部位では布製品側面に付すべき柄を構成するように経糸又は編針の運動を制御するべきデータとなっている。その結果、布帛の織製又は編製の完了後に布製品の外形線に沿って上下の層が接結され、布製品の側面の部位では上下の層が分離しかつ所期の組織を有した布帛が形成される。そして、形成の完了後に布製品外形線に沿って接結部を残して布帛の裁断を行うことにより即座に布製品を完成することができる。このように請求項1の発明では、一つの外形パターンを利用し、それをコンピュータ上に表示させ、輪郭線を適宜修正した上、そのデータを織布又は編布形成用のデータに変換している。そのため、一つの外形パターン=フレームからの多種多様の衣類などの布製品の製造を一貫的に行うことができ、多品種・小ロットの生産を迅速にかつ殆どコスト増を伴うことなく実施することができる効果を奏することができる。
【0008】請求項2の発明によれば、布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を得る方法において、布製品の基準的な外形パターンを記憶しておき、コンピュータ画面上にこの基準外形パターンを表示させると共に、サイズなどの必要な修正を基準外形パターンに付し、この修正された外形パターンより布帛上の接結部を決定し、接結部における組織、接結部の外側における地の部分における組織及び接結部の内側における布製品の側面の部分における組織を設定し、設定した組織が布帛のそれぞれの部分において得られるように柄出し機構を制御するための第1のデータを作成すると共に外形線に沿って布帛を裁断するための第2のデータを作成することを特徴とする布製品製造方法が提供される。
【0009】請求項2の発明の作用・効果を説明すると、画面表示されたフレームとしての布製品輪郭パターンに必要な修正を行い、修正したパターンより接結部を決定し、かつ接結部の外側の地の部分における組織、接結部の組織、接結部の内側の布製品側面の組織を決定し、この決定されたされた組織が得られるように柄出し機構の操作用の第1のデータを形成し、この第1のデータより柄出し機構を操作し、布製品を含んだ布帛を製造することができ、この作用は請求項1の発明と同様である。そして、第2発明ではこの作用に加え、外形パターンより布帛より布製品を裁断するときの裁断機の操作用の第2のデータを形成し、この第2のデータより裁断機を操作し、布帛より裁断を行うことで布製品を得ることができる。即ち、第2の発明では布製品を含んだ布帛のフレームからの一貫的な製造に加え、フレームデザインを使用して布製品の裁断に至るまで一貫的に行うことができ、生産効率をより高め、多品種小ロット生産の効率化の実をより高めることができる。
【0010】請求項3の発明によれば、布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を得る方法において、布製品の輪郭も含むデザインをコンピュータ画面上にベクトルデータとして表示し、前記ベクトルデータを、前記デザインの布帛を形成するべく柄出し機構を操作するための2値データへ変換することを特徴とする布製品製造方法が提供される。
【0011】請求項3の発明の作用・効果を説明すると、布製品外形線も含め衣類のデザインはCADなどの作図ソフトウエアを使用することによりコンピュータ画面上に表示される。周知のようにCADでは画面上に描かれる画像はベクトルデータである。そのため、画面上での加工(輪郭の修正や身頃の部分への柄の付与)が極めて容易でありまた任意の倍率に拡大、縮小しても画像は全然崩れることがない。そして、画面上でベクトルデータで表示されたデータはその布製品を備えた布帛が形成されるように(即ち、輪郭線に沿って接結が行われ、その内側の布製品側面部分(衣類の場合は身頃の部分)では所期の柄の布帛が形成されるように)柄出し機構(ジャカード)を制御する2値データに変換される。したがって、この2値データを柄出し機構に送ることによって輪郭の内側に所期の柄を有した布帛を即座に得ることができる。織機のジャカード機構では経糸は開口させるか否か編機のジャカード機構では編針を選針可能とするかか否かの2値制御であり、一方ベクトルデータから2値データ(例えばビットマップ)への変換を行うものとしては色々なソフトウエアが入手可能であり、必要あればこれらの既存のソフトウエアを使用することにより画面デザインからそのデザインの布帛を得るための工程の簡略化及び効率化を実現することができる。
【0012】請求項4の発明によれば、布製品のそれぞれの側面となる複数の層が布製品の輪郭線に沿って接結された布帛を形成し、前記接結部を少なくとも一部は残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより両側面が輪郭線に沿って接結された布製品を得る方法であって、布製品の輪郭も含むデザインをコンピュータ画面上にベクトルデータとして表示し、前記ベクトルデータを、前記デザインの布帛を形成するべく柄出し機構を操作するための2値データへ変換すると共に前記外形線に沿って裁断が行なわれるように裁断機を制御するための2値データに変換することを特徴とする布製品製造方法が提供される。
【0013】第4の発明の作用効果を述べると、画面上の布製品のデザインについてのベクトルデータを形成のための2値データに変換することにより請求項3の発明と同等な作用効果を奏すると共に、布製品の外形線についてのベクトルデータより布帛の裁断のための2値データを得ている。即ち、この発明の布製品の製造においては布製品のそれぞれの側面となる上下2層を有した布帛を布製品の輪郭線に沿って接結し、その後、接結部を残して輪郭線に沿って布帛を裁断することにより布製品を得ているが、輪郭線はベクトルデータとして格納されており、ベクトルデータの特質上その形態は縮小・拡大によって崩れることはない。したがって、適当なベクトルデータの任意の縮小又は拡大によって布帛から布製品を切り出すための最適な裁断線を決定することができる。
【0014】請求項5の発明によれば、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明において、柄出し機構又は裁断機を制御するための前記データの伝送は通信回線を経由して行われることを特徴とする布製品製造方法が提供される。この方法によれば、デザイナがコンピュータ上で作成したデータをインターネット等の電話回線を使用して織布メーカー又は裁断メーカーに即座に送ることができ、デザインから織製工程又は編製工程を経由して衣類までの迅速型の一貫生産というこの発明の理想の実現にはより好ましい。
【0015】請求項6の発明によれば、請求項1から請求項5のいずれかに記載の発明において、布製品は衣類であり、前記側面の一方が衣類の前身頃であり、他方が衣類の後身頃であることを特徴とする布製品製造方法が提供される。請求項6の発明の作用効果としては布帛上に衣類を形成し、それを衣類外形線に沿って裁断することによりデザインから衣類までの迅速一貫生産が可能となり、多種多様なデザインの衣類のより迅速かつ安価な提供が可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施形態を織布上に衣類を構成し、裁断して衣類とする場合についてまず説明する。図1で10は織布を示しており、図2に示すように上下の層10A, 10Bを備えた二重織又は多重織に形成されている。これらの層10A, 10Bの各々は各種の組織(柄組織)にて構成される。図1で12は上下の層10A, 10Bを一体化する接結線であり、衣類の輪郭の形態をなしており、図2で示すように接結線12において織布10の上下の層10A, 10Bは接結されている。即ち、接結線12に沿った組織は上下の層10A, 10Bが合体した1重組織となっており、上下の層10A, 10Bが簡単には分離されないように適当な幅を有している。図1に示すように接結線12により構成される衣類の外形線は織物10の全幅にわたっている一種の柄である。したがって、織物の実質的に全幅(図1のように幅方向に対称な場合は織物の半幅)における各経糸(数千本)は独立の開口運動が可能でなければならない。従って、図1の織布の織製に当たってはジャカードが必要となるであろう。衣類の外形線としての接結線12はパターンとして織布の長さ方向に繰り返されており、接結線12に沿って少なくとも接結部は一部残して織布10の裁断を行うことにより身頃がその外周部に沿って分離しないように接結された衣類を得ることができる。
【0017】図1において接結線12の内側における織布10の上下の層は接結線12に沿って裁断後は衣類の前身頃及び後身頃となる。そして、織布10の織製時ジャカードを使用していることから、前身頃及び後身頃となる織布10の部位においてもその織り幅の全体にわたって各経糸は独立に開口制御しうる。従って、身頃の部位に付与しうる織柄の自由度はすこぶる大きくなる。そして、経緯の糸使いも組み合わせれば、身頃の部位におけるデザインのバリエーションの範囲は殆ど無限ともいいうるものである。従って、接結線12が構成する衣類の外形線を変えなくても、多種多様なバリエーションの衣類を得ることが可能である。そこで、この発明ではこの思想に従って多種多様な衣類をデザインから織製を経て裁断に至るまで一貫的に効率的に製造しようとするものである。以下、このシステムについて更に詳細に説明する。
【0018】図3はこの発明における衣類の製造システムにおけるデザイン事務所14と織布メーカー16と裁断メーカー18との関係を示している。デザイン事務所14と織布メーカー16と裁断メーカー18とは専用回線や公衆回線などの通信回線19にて接続され相互にデータのやり取りが可能となっている。デザイン事務所14においては基本となる外形線(織布10上では接結線)のデザインが行われる。そして、外形線の内側における前身頃及び後身頃の部位における柄のデザイン及び地の部位、接結部及び身頃の部分の織組織の指定も行われる。前述のようにこの発明では織布の織製に当たってジャカードを使用するのが必須であり、経・緯の糸使いも組み合わせればほとんど無限ともいいうる多種多様なバリエーションのデザインが可能である。そこで、この発明では最も基本となる衣類外形線(=接結線12)についてはフレームデザインとして固定し(記憶しておき)、これに適当な修正追加を行うことで衣類のデザインを完成させている。このようなデザインの作成はデザイン事務所のデザイン作成作業の流れには叶ったものである。即ち、デザイン事務所では個性もったメインデザイナーがその大枠となるデザイン(フレームデザイン)を作成し、これを元にアシスタントデザイナーが細部を修正したデザインとして完成する。そこで、この発明においてはフレームデザイン(図1の接結線12の基礎となるデザイン)をオリジナルデザインとしてこれをコンピュータ画面上でCADを用いて修正しかつ柄などの追加を行わせる。CADにおいては描画はベクトルデータを使用して行われており、オリジナルパターンの拡大・縮小・変形が自在であり、オリジナルパターンを全然崩すことがない利点がある。オリジナルパターンの縮小・拡大はサイズによっても行われる。即ち、衣類は同一デザインで大、中、小などの複数のサイズを有するのが普通であり、オリジナルパターンをサイズに応じて縮小又は拡大することによりサイズのバリエーションを得ることは容易である。また、織製時の織り縮みにより織布から裁断した衣類の大きさが元のサイズとを相違し得るが予め織り縮みの大きさを予測してデザインの大きさを定めておくことで、織り縮みに関わらず所期のサイズとすることができる。また、オリジナルパターンに対して襟や袖やポケットの追加など幾分の修正が必要な場合もある。このように、この発明ではオリジナルパターンは記憶されており、CADを使用してパターンの拡大・縮小を行い必要あればパターンの細部に修正を加えると共に身頃の部分に任意の柄を追加することにより多様なバリエーションのデザインを容易に作成することができる。そして、このようにして完成された衣類のデザインより通常の手順では織布メーカーに対して指図書が作成される。この指図書では図面上に実物大の織製パターンが描かれ、地の部分、接結部、前身頃及び後身頃の各部分について織組織の指示(例えば、地の部分は平組織、接結部はベッドフォード、身頃は2/2の綾などの指示)が記載されている。織布メーカーではこの指示書の記載に基づいてジャカードの紋紙を作成し(最近の電子制御のジャカードでは紋紙の作成は自動化されている)、ジャカードによる織製を行い、織製された織布より裁断メーカーにおいて裁断が行われ衣類を切り出す。この発明の実施形態においてもこのような通常方式を採用することはもとより可能であるが、以下の例ではデザイン事務所においてコンピュータ上のデザインより直接ジャカード機構の操作用の2値データを作成しまた裁断機の駆動用の2値データが作成され、これらのデータを織布メーカー16及び裁断メーカー18へ送信し、織布メーカー16での織製作業、裁断メーカー18での裁断作業が行われ、衣類を製造するようにしている。
【0019】以下、この発明の実施形態におけるデザイン事務所14、織布メーカー16、裁断メーカー18での作業の流れを図4〜図6によってより具体的に説明すると、まず図4はデザイン事務所14において行われる処理を示している。処理20ではフレームデザインの表示がされる。図7は、コンピュータ画面上の衣類のオリジナルとなるフレームデザイン(図では襟無しシャツの例)の表示例を示す。このようなフレームデザインはデザイナーによって行われ、手書きで行うことも当然ありうるが、最終的にはコンピュータ画面上にCADなどの作図用ソフトウエアを利用することにより描画される。図7において実線50はコンピュータ画面上に描画された衣類のフレームデザインを示している。次は、フレームデザインよりその拡大・縮小・修正などの図4の処理22が行われる。フレームデザインに必要な修正を画面上で施すことはCADを利用することにより極めて容易に行いうる。CAD上でフレームデザインに拡大・縮小をかけることにより大中小等のサイズを創成することができる。また、織布の場合は織り縮みによりオリジナルよりサイズが小さくなるから、デザインの段階で織り縮みを見こんで大きさを設定しておくことにより、織り上がりの段階で最適サイズとすることもできる。次に、この発明では2重織組織の上下の層は衣類外形線に沿って接結されており、接結部は上下層=身頃が分離しないような幅とする必要がある。画面上では輪郭線に対して接結の幅だけオフセットさせるような処理で接結部の幅を決定することができる。また、身頃の部分については無地の場合と柄ものの場合とがありえるが、柄の場合にはその柄が画面上に表示されるこになろう。以下、この接結部の設計について更に詳細に説明すると、図7において2点鎖線52はフレーム50(シャツの輪郭)に対しオフセットされた接結部の幅を決めるラインの一例を示している。即ち、この発明において織布は上下2層により構成され、シャツの輪郭線に沿って上下2層を接結しているが、この例では線50と52との間の領域が上下2層の接結され、織布として1層に合体される領域となる。従って、織製後にこの接結部を残して織布の裁断を行うことにより上下層(前身頃及び後身頃)が接結された衣類を得ることができる。シャツの輪郭50における部分50Aは首、部分50Bは袖、部分50Cは裾の部分における開口部分となり、これらの部分では接結がないため外形線に沿った裁断後はそれぞれ着用者の首、手、胴体を通すための開口部となる。外形線の内側の部位が織布を外形線に沿って切断した後の衣類における前身頃、後身頃となるが、この部位においては織布における上下の層は独立であり、任意の柄を付すことができる。即ち、図1においても説明したように接結線パターンは織布の全幅に沿っており、ジャカードを使用して織製する必要があり、そのため、接結線の内側において身頃を構成する各経糸はジャカードの別のフックに接続されており、個々の開口運動が可能なため、身頃の全体にわたるまでの大きな柄でも織製は可能である。従って、コンピュータ画面を利用して前身頃及び後身頃のそれぞれについて任意の柄組織を入れることができる。例えば、身頃の全体にわたる54のような大柄を入れることもできるし、身頃の部分を2/2の綾といったプレーンな組織とすることもできる。以上において、前身頃及び後身頃のそれぞれについて画面上での必要な柄の追加が行われることはいうまでもない。
【0020】このようにして、接結模様、身頃のデザインが作成された後、このデザインの衣類を織布上に織り出すためのデータの作成が行われる。このデータの作成の前段階として接結部の外側の地の部分、接結部、接結部の内側の身頃の部分での組織の設定が行われる。通常は、地の部分と接結部は一様な組織で例えば、地の部分は2重織りで各層が平組織、接結部は1重織りでベッドフォード組織などに設定される。身頃の部分については2重織組織で各層について無地の場合は一様であってもよく例えば2/2の綾といった風に設定される。また、身頃の部分に54のような柄があったり又はポケットや襟や袖の部分だけ異なった組織にするような場合があればそれぞれについて組織の設定が行われる。また、地の部分にベルトやフードやハンカチのような小物や付属品を組織することも可能である。通常は前述のように各部の組織についての指図書を描き、これを織布メーカーに送り、織布メーカーがジャカードの紋紙を作成し、製織を行うが、この実施形態では地の部分、接結部の部分及び身頃の部分の各々について設定される織組織から画面より直接にジャカードの駆動データ(2値データ)に変換する例について説明する。即ち、CADにおいては各座標のデータは方向と大きさを持ったデータであるが、画面上においてはドットとして変換表示されている。画面上の表示はドットであるが本来的にはベクトルデータであるため前述したように輪郭の修正、追加更には拡大・縮小は図形本来の特性を何等喪失することがない。また、衣類の外形線の内側に任意の柄を入れることができる。図7の画面表示は輪郭の修正・追加、柄の追加を終了したものとする。外形線の図7においてW´はコンピュータ画面上の仮想的な織幅を示すが、この仮想的な織幅W´は図1に示すパターン(シャツの輪郭線12)の大きさに対する織機の織幅Wとの関係と相似となるように決定されている。従って、画面上に設定した耳位置からの織幅方向の座標(ドット)と織端からの経糸本数とを1対1で対応させることができる。ここに1対1の対応とは画素1ドットが1本の経糸に対応している場合は勿論、複数ドットが1本の経糸に対応している場合も含むし、逆に1ドットを複数本の経糸に対応させる場合も含む。一方、織布における地の部分の組織、衣類の外形線に沿った上下層の接結部分の組織、及び衣類の外形線の内側における身頃の組織は前述のように既に設定されている。そして、画面上のx座標と経糸1本1本とは対応がとれている。その縦糸位置においては繰り返しパターン内における各経糸はジャカードの別々のフックに接続され、独立の開口運動が可能である。従って、地の部分、接結部分、身頃部分において設定された組織が得られるように各経糸の開口運動(ジャカードのフックの運動)は決めうるものである。また、画面の縦方向は緯入れ方向に相当し、原点からの画面の縦方向のドット位置と緯入れ位置(緯糸打込位置)についても対応させることができる。このように画面の縦緯と織組織における縦緯の交錯とを1対1に対応させることが可能である。例えば、図7で織耳から画面上xの点(ドット位置)を織端からn本目の経糸に対応するとして、このn本目の経糸の運動を説明すると、Pの緯入れ部位では地の組織であり、織組織の設定は例えば平の2重織(経糸は交互に開口させる組織)となっており、地の部分でその設定組織が得られるように緯入れ位置Pでの経糸nの開口運動は決められる。また、Pの緯糸打ち込み部位ではnの経糸は接結部を織製しており、組織としては上下の層を接結したベッドフォード(表裏の経糸を同時開口させる組織)などの1重組織である。従って、この接結1重組織が得られるようにPの緯入れ位置での経糸xの開口が決められる。また、Pの緯入れ位置ではxの経糸は身頃(経糸が2重組織の上側層を構成するものとすれば前身頃、下側層を構成するものとすれば後身頃)を組織すべき経糸である。身頃の部位における組織は身頃に設定した織柄(織組織)により決められおり、この柄に応じた組織となるように経糸の開口か否かは決まる。そして、Pの緯入れ位置では再び地組織に戻る。織端からxの距離(ドット位置)にあるn番目の経糸においては緯入れ位置Pでは地組織、P,Pの緯入れ位置では身頃組織、Pの緯入れ位置では身頃における柄54の組織である。従って、この発明では衣類のデザインの画面表示(ドット表示)をジャカード織機における織幅と緯入れとの関係に直接変換することができる。そして、衣類のデザインの画面表示はCADにて作成されたベクトル表示されたデザインより一義的に得られるべきものであり、結果的にこの発明では衣類のデザインのベクトル表示より織機のジャカード機構を操作するための2値データに一義的に変換しうる。そのため、衣類のデザインと織機の制御とを直接的に連携させることができるため、衣類の製造の飛躍的効率化を図り、多品種少ロット生産を小ロット大量生産と殆ど代わらないコスト又はより低減されたコストで行うことができることができる効果がある。
【0021】図4において処理26は以上の処理において作成されたデータの送信を示す。この送信は専用回線や公衆回線のような通信回線を使用して織布メーカー16及び裁断メーカー18に対して行われる。送信すべきデータとしては織布メーカーへは処理24にて作成されたジャカード機構の2値操作データである。そのため、織布メーカーではこの2値データをジャカード機構に読み込ませるだけで、所期の製織作業を完了させることができる。また、裁断メーカーへは織布の裁断用のデータが送られる。この発明では織布の裁断は図7において衣類の外形線に沿ってしかし必要な接結部は残して行われる。即ち、首周り50Aや袖口50Bや裾50Cの部分では外形線の部位でそのまま裁断が行われるが、接結部52では接結部は少なくとも一部は残して裁断を行う必要がある。しかしながら、裁断は外形線50に沿って行われる。この実施形態ではデザイン事務所からは衣類の外形線50のデータが裁断メーカーに送られ、裁断メーカーはこれに従って裁断線を決定し、裁断機を駆動することにより織布から衣類の切り出しを行っている。
【0022】データの受け渡しは通信回線を利用することが迅速性から好都合であるが、フレキシブルディスクに落とし、これを織布メーカーや裁断メーカーに送るようにすることもこの発明に含まれる。
【0023】図5は織布メーカーによる製織工程を説明する流れ図である。処理28ではデザイン事務所からのデータ受信を示す。図4で説明したようにこの実施形態ではデザイン事務所からはジャカード機構の操作のための2値データが直接送られてくる。この2値データはジャカード機構のフックの運動を制御するデータである。即ち、ジャカード機構においてフックは経糸の個別的な開口運動を制御するために使用され、この実施形態では5,000口又は10,000口といった経糸の半幅又は全幅の経糸を個別的に制御可能なものを想定している。そして、図4に関連して説明したようにデザイン事務所ではデザイン段階において衣類の輪郭及びその内側の柄が得られるような経糸の開口運動(織布の地の部分、接結部分、身頃部分の組織)を直接決定し、それによりジャカード機構の作動用の2値信号を得ている。従って、基本的にはこのデザイン事務所から送られた2値信号をそのジャカード機構に入力させることによりデザイン通りの織布を得ることができるようになっている。図5の処理30はこれを示している。
【0024】尚、デザイン事務所での作業はベクトルデータによる(CADベースでの)デザイン作業にとどめ、このCADデータを通信回線又はフレキシブルディスクを介して織布メーカーに送り、織布メーカーがこのCADデザインをベースにジャカード操作用の2値データへの変換を行うようにしてもよいことはもとよりである。
【0025】図6は裁断メーカーにより行われる裁断プロセスを概略的に示している。裁断メーカーでは織布メーカーで織製が完了した織布について裁断を行い、衣類を切り出す作業を行う。処理の第1段階32ではデザイン事務所からのデータ受信が行われる。デザイン事務所から送られるデータとしては衣類の外形線のデータである。このデータとしてはCADデータでもよいし、2値データでもよい。CADデータの場合は拡大・縮小が任意であり、一方、織布メーカーから送られてくる織布は織り縮みなどによってサイズがオリジナルより変化していることがごく通常である。この場合、裁断線もそれに応じて変化するが、CADデータで送られていれば切断線を任意に変えることが自在であり好都合である。処理34ではこのようにして送られてきた外形線のデータより織布の裁断ラインを決定する処理を示す。即ち、図7で説明したように織布は衣類外形線50に沿って首、袖、裾等の開口部分を除いて接結されており、裁断に当たって接結部52は残るようにする必要がある。裁断線は輪郭線より適当な縮小率又は拡大率を以って決められ、このように決められた裁断線に沿って切断を行うことにより、外形線の部分では接結されることにより、首、袖、裾等の開口部では身頃が分かれた衣類を得ることができる。このような裁断データはレーザカッタなどの裁断機に送られ、織布が裁断を受け衣類となる。図6で処理36はこれを示している。
【0026】以上は織布に対するこの発明の応用例であるが、この発明のアイディアは編布においても同様に実現可能である。即ち、この発明は丸編(緯編)においても経編においても適用しうる。丸編の場合は編機としてはシリンダ針とダイヤル針とを備え、シリンダ針とダイヤル針の各々について独立的な選針動作が可能な丸編機により編製を行う。即ち、2重組織における筒状の内層をシリンダ針のみにより編製し、筒状の外層はダイヤル針のみにより編製する。衣類の外形線に応じた接結部についてはシリンダ針とダイヤル針との双方により編製を行う。これにより、衣類の輪郭に沿って内層と外層とが接結された編布が得られ、編製後に衣類の輪郭線に沿って編布を切断することにより衣類が無縫製にて得られる。この場合においても織布と同様にフレームデザイン(衣類の輪郭)は1つであり、コンピュータ画面上でこのフレームデザインの拡大や縮小や修正を加えることにより最終的な衣類のデザインとする。そして、接結部の外側の地の部分の組織、接結部の組織、接結部の内側の身頃の部分について組織の設定を行う。そして、地の部分、接結部分及び身頃部分の各部分で設定された組織が得られるように編機のジャカード機構の作動データを形成する。この編機においては各編針について独立的な選針動作が可能であり、この選針動作は選針するか否かの2値動作であり、織機の場合に図7で説明したと同様に画面上の各ドットと各編針の選針動作とを1対1で対応させることができるため、画面上のドットパターンをジャカードの選針用の2値データに直接対応させることができ、画面データよりジャカード操作データへの直接的な変換が可能である。編製された織布からの裁断による衣類の形成も織布から裁断による衣類の形成と相違するところはない。そのため、編製の場合についてもデザインから衣類までの一貫的な効率生産を実現することができる。
【0027】また、経編についてもこの発明の原理は実現可能である。即ち、経編においては2列のニードルベッドと2列の地筬を有した経編機により上下独立した2層よりなる組織の編製が可能である。そして、衣類の外形線に沿った接結は2列のジャカード筬によって上下の組織を編綴じることにより可能である。この場合もコンピュータ画面上のデザインよりジャカード機構の操作データを生成することによりデザインから衣類までの一貫的な生産を実現することができる。
【0028】以上の説明は衣類の製造についてのこの発明の応用に向けられているが、この発明は衣類以外の布製品、例えばバッグ類やカバー類(ふとんカバーなど)などにおいても実現可能である。即ち、バッグ類やカバー類の外形線に沿って2重組織の織布又は編布の上下層が接結され、外形線に沿って接結部を残して織布又は編布を裁断することによりバッグ類やカバー類を得ることができるが、このようなバッグ類やカバー類においてもフレームデザイン(製品の輪郭外形線のデザイン)に対して適宜の修正・追加を行ったうえ、地、接結部、接結部の内側のバッグ類やカバー類のそれぞれの側面についての組織を指定し、指定の組織が地、接結部、布製品側面のそれぞれの部分において得られるようにジャカードの操作データを得、このデータに基づいて織製又は編製を行い、その後布製品の外形線に沿って裁断を行うことによりフレームの共通なしかし柄や組織の異なる多種多様なバッグやカバーを迅速にかつ低コストで得ることができる。
【出願人】 【識別番号】390033891
【氏名又は名称】株式会社三宅デザイン事務所
【出願日】 平成12年6月5日(2000.6.5)
【代理人】 【識別番号】100060715
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 伸之 (外3名)
【公開番号】 特開2001−348718(P2001−348718A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−167214(P2000−167214)