| 【発明の名称】 |
運動を阻害しない衣類のための特殊パターン及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 徹
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| 【要約】 |
【課題】素材自体の伸縮性に依拠することなく、あらゆる種類の素材に対応可能であり、運動を阻害することがない衣類を製作することができるパターン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】既存の型紙の関節の中心部分を縦方向に貫通する線により左右に分割された各々の型紙の関節中心部分から脇線に至る水平な直線上における脇線に接する側には接続部を有し、一方該水平な直線上の関節中心側は複数の隙間により分割された複数の開口部を有していることを特徴とする運動を阻害しない衣類のための特殊パターンである。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 既存の型紙の関節の中心部分を縦方向に貫通する線により左右に分割された各々の型紙の関節中心部分から脇線に至る水平な直線上における脇線に接する側には接続部を有し、一方該水平な直線上の関節中心側は複数の隙間により分割された複数の開口部を有していることを特徴とする運動を阻害しない衣類のための特殊パターン。 【請求項2】 複数の隙間の開口部は、関節中心部分においてその幅が広く、漸次中心部分から遠ざかる程その幅が狭くなることを特徴とする請求項1記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターン。 【請求項3】 隙間の幅の集積量は、関節表面の伸縮量に対応していることを特徴とする請求項1又は2記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターン。 【請求項4】 既存の型紙の関節中心部分を縦方向に貫通する線をひき、これにより型紙を左右に分割し、各々の型紙の関節中心部分から脇線に至る水平な直線をひき、該水平直線上の脇線に接する部分を接続したまま、一方の関節中心側に複数の隙間を設けて各隙間を開口させることを特徴とする請求項1〜3いずれかの項記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、運動を阻害しない衣類用の特殊パターン及びその製造方法に関し、詳しくは、着用者に拘束感を与えることがほとんどなく、また、その運動、主として関節部の屈伸運動を阻害することがないように開発された衣類を製作する上で有効なパターン(型紙)及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】人体関節部の運動を検討すると、その屈伸の都度に、関節部表面の皮膚が伸縮し(■→■,■→■′)、この皮膚表面の伸縮があることにより、関節部の円滑な運動が保証されている(図1)。 【0003】一方、着衣の表面には通常そのような伸縮性は無く、そのために、時として着用者の運動を阻害し、またそれが、背中が露出したり、裾が上がってくる等の着くずれの原因となる。この運動に伴う皮膚表面の伸縮量は各関節部によって異なり、例えば正座時における膝関節部分では最大で8〜12センチメートル程度であることが観察される。 【0004】伸縮性を有するべく開発された製品の一例として、素材自体に伸縮性を持たせたもの、例えばストレッチ素材による衣料が挙げられるが、これらは、関節の部分が伸び切ってしまったり、形態の保持が不安定である等、強度、耐久性ともに問題が多く、広範な支持を得られるに至っていなのが現状である。 【0005】軍用や作業用の衣服においては、十分な運動量を確保するために身頃の幅はかなり太目に設定されているが、それでも、関節の屈伸に伴う縦方向の伸長に対応するには不十分であり、そのために、タブリ分(丈を実際に必要な長さよりもかなり長い目に設定してゆとり分としたもの)を設定することが一般的に行われている。しかし、この太目で、かつタブリ分の加えられた衣服というものは、実際の作業現場では引っ掛かりや巻き込みの原因となって極めて危険である。また汚れを拾い勝ちで、それが着用者に不快感を与えている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、素材自体の伸縮性に依拠することなく、あらゆる種類の素材に対応可能であり、運動を阻害することがない衣類を製作することができるパターン及びその製造方法を提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、関節の伸縮部分を予めパターンに組み込み、その設計と構造を工夫することで着衣の運動性を向上させることができ、上記目的が達成することを見い出し、本発明に到達した。 【0008】請求項1記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンは、既存の型紙の関節の中心部分を縦方向に貫通する線により左右に分割された各々の型紙の関節中心部分から脇線に至る水平な直線上における脇線に接する側には接続部を有し、一方該水平な直線上の関節中心側は複数の隙間により分割された複数の開口部を有していることを特徴とするものである。 【0009】請求項2記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンは、請求項1記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンにおいて、複数の隙間は、関節中心部分においてその幅が広く、漸次、中心部分から遠ざかる程その幅が狭くなることを特徴とするものである。 【0010】請求項3記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンは、請求項1又は2記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンにおいて、隙間の幅の集積量が、関節表面の伸縮量に対応していることを特徴とする。 【0011】請求項4記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンの製造方法は、請求項1〜3いずれかの項記載の運動を阻害しない衣類のための特殊パターンを製造するにあたり、既存の型紙の関節中心部分を縦方向に貫通する線をひき、これにより型紙を左右に分割し、各々の型紙の関節中心部分から脇線に至る水平な直線をひき、該水平直線上の脇線に接する部分を接続したまま、一方の関節中心側に複数の隙間を設けて各隙間を開口させることを特徴とするものである。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明を以下の好適例に基づき説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。 【0013】先ず、例えば人体各部の運動に伴う関節周辺の皮膚表面の伸縮率を求める。首周辺から始まって肩関節、肘関節、手頚周辺と各指関節、背骨周辺と腰部関節、股関節、膝関節、足首周辺に至るまで膨大な数の可動部が人体にはあり、関節部の太さ(周囲長)と、その関節の最大屈曲時の皮膚表面の伸長量の間には、概ね以下のような相関関係が観察される。 【0014】関節部の周囲長(A)の25%を挟んでプラス・マイナス各15%(周囲長の10〜40%)程度の伸長率を設定すれば、それがその関節部の運動を阻害しない、必要にして十分な伸長量となる(図2)。それ未満では運動量に対しての伸び分が不足する可能性があり、一方超過すると過剰になりすぎ好ましくない。ただしデザインの必要によっては、上記適正範囲を外れる伸長率の設定も可能である。 【0015】好適例として最も運動量の大きい関節部の一つである膝周辺を例に、皮膚表面の伸長量をあらかじめ包含した、本発明のパターンを説明する。膝関節部分の運動に伴う皮膚表面の伸縮量は、一般に最大で8〜12センチメートル程度である。この伸縮量に対応するだけの自由度を衣服に持たせるために、既存のパターン(型紙)を設計変更する。その方法を以下に示す。先ず、図3に示すように、既存の型紙を置き、膝関節の中心部分を上下方向に貫通する直線(1)、デザインに応じては曲線を引き、その線で型紙を左右に分割する(2,3)。続いて各型紙(2,3)の膝中心部分から始まって脇線に至る、水平な直線(4)を左右ともに引く。 【0016】当該水平直線(4)で型紙を上下に分割する(図4)。この時点で型紙は一部、接続部(5)を残したまま四分割されたことになる。この分割の際に、脇線に接する部分には例えば1ミリメートル程度の接続部(5)を残し、上下が一点で繋がった状態が作られる。 【0017】一方、膝中心側は、例えば1.3センチメートル程度の幅を有する隙間を作った状態で上下が分割される(6)。この段階で型紙の上には、例えば底辺を1.3センチメートルとした細長い二等辺三角形(くさび形)の隙間が生じる。ここでは隙間の形はくさび形であるが、特に限定されない。 【0018】次に、型紙上の膝中心の位置から、例えば3センチ程度垂直方向に移動した位置(上下ともに)に、隙間を作成する作業を繰り返す(図5)。 【0019】隙間を設ける間隔(C)は、特に限定されず、また、例えば関節中心部分には密に、また中心から離れる程、漸次的に広くなるような異なった間隔でも、同間隔でもよく、好適には、関節の周囲の長さを(A)とすると、以下の式; (A)×(0.1±0.05)=(C) で表される間隔が好ましい。これは、皮膚表面の伸長量が関節中心部で最大値を示し、そこを離れるにつれて暫減する性質に合わせるためであり、また滑らかな曲線を形成するためでもある。 【0020】即ち、最初のくさび形は関節部中央に形成するのが望ましく、例えば次のくさび形を形成する位置は該当型紙の幅の広さより異なる(デザインにより型紙の幅は様々に設定される)が、関節部中央から、その関節の周囲長の10%を挟んでプラス・マイナス5%(周囲長の5%〜15%)程度離れたあたりに位置するのが望ましく、以下、同様の方法で必要な数だけ位置の設定をする。但し、デザイン上の要請によっては、機能上必要にして十分な位置と数を越えてこの作業を繰り返す場合もある。(図5)。 【0021】このようにして膝関節部の場合には、例えばくさびの数を10本程度にまで増加させるが、この段階で、膝中心側に発生した隙間の幅の集積は約10センチ程度となる。この10センチが、既述した膝関節部分の運動に伴う皮膚表面の伸縮量(8〜12センチ)に対応する。 【0022】隙間の開口部の幅は、各隙間が同じ幅であってもよく、また、関節中心部の隙間の開口部(D)を中心に上下方向に位置する隙間の開口部(E)に向かって漸次的に狭くなっていくパターンでもかまわない(図6)。この場合、好適には、関節中心部の隙間の開口部の幅を(D)とすると、(D)は以下の式; (A)×(0.04±0.03)=(D) で表され、また上下方向に設けた各最外部の隙間の幅を(E)とすると、(E)は以下の式(A)×(0.025±0.02)=(E) で表され、当該(D)〜(E)間を漸次的に(D)から(E)に向かって減少させて隙間の開口幅を設定することが好ましい。また、このくさび形の必要本数は、各関節部での皮膚表面伸長量と上記諸数値から自然に導き出される。 【0023】一方、型紙の脇線側は接合したままなので、このパターンは全体的に膝中心側に湾曲した弧状を呈する(図8a)。これを別紙に写し取れば、膝の運動に対応するだけの自由度を包含した本発明のパターンが得られる。 【0024】続いて本発明のパターンに基づく衣料品の具体的な製作方法を示す。このパターン型紙に基づき任意の素材を裁断する。最初に分割した線(膝関節の中心部分を上下方向に貫通する線、現在は弧状に突出している側の線)の位置で左右の部品(身頃)を縫い合わせる。この段階では膝の位置を中心に前方に膨らんだ形の身頃が出現する(図8b)が、これは膝関節を最大限屈曲した状態(例えば正座の状態)に対応している。しかし、膝関節の屈曲の無い状態(例えば直立時)には、この膨らみは無用であるばかりではなく視覚的に見苦しいものとなってしまう。そこで、膝関節の伸長時には無用のこの膨らみを何らかの形で収納する工夫が必要となり、例えばプリーツを畳み込む方法(蛇腹式)、スプリング様の物を仕込む方法、伸縮性のある素材との二重構造とするなど、幾つかの方法が考えられるが方法、製造上最も単純な方法であるゴムシャーリングの手法が好ましい。 【0025】ゴムシャーリング手法を例にとり、説明する。先ず設計変更前の既存パターンを置き、上記の同様に膝中心を上下に貫通する線を引く。次に膝中心位置からそれぞれ例えば15センチメートル程度、上下に垂直移動した当りに合い印Gをつける。この合い印の位置を求めるには以下のような方法が有効である。当該関節部周囲長の30%を挟んでプラス・マイナス20%(周囲長の10〜15%)程度の数値を、当該関節部中央を起点として、その上下に設定するもものであり、好適には図7を参照にして、以下の式(A)×(0.3±0.2)=(F) (F)×2=(B) で表される。 【0026】合い印を設定したら、その間(膝関節の場合で例えば上下に15センチ、合計30センチ)を計測し、それと同等の長さの平ゴムを用意する。このゴム紐は関節の部位や衣服の用途などの条件によって、太さ・強度など様々な物を使い分けることになる。この後、上記したようなパターンの設計変更をすれば、くさび形の集積分10センチがこれに加わり、合い印感の距離は合計40センチとなる。先ほど用意した全長30センチの平ゴムを上下の合い印に止め付け、40センチの長さになるまで延ばす(図8c)。この伸びた状態の平ゴムを身頃に縫い付けて伸び分を戻すと、それに引かれた身頃も40センチから30センチに縮小し、その部分には規則的な皴が入ることになる。これがゴムシャーリングである(図8−D、左図)。 【0027】このように各関節部の前後中心に、運動量としてのゆとり分を導入した上で、エラスティックコード(ゴムの紐)を縫着することで、本来の長さと形態を保持することができる。そして、このゴム紐が自在に伸縮することで、皮膚表面の伸縮と同様な効果を着衣に与えることが可能となる。このパターン製作とゴムシャーリングのテクニックは人体のあらゆる部分の可動部に応用が可能である。 【0028】他に、上記した方法と同様の方法で人体の様々な部位に対応するパターン製作法の例と、それに基づく衣料品の完成例を幾つか図示する。図9は、上肢および肩周辺のパターン図、図10は、上肢、体幹部、下肢の全てが関連するオーバーオール(つなぎ服)のパターン図、図11、グローブ(手袋)のパターン図である。 【0029】このように種々の関節部分に対応して本発明のパターンにより、衣類を作成することができ、周辺に危険が予想される現場や、急激で大きな身体の運動を伴う現場のみならず、長時間にかかる車両や航空機の運転・操縦やそのほかの軽作業の際の衣服を製作する上でも、本発明は有効である。 【0030】 【発明の効果】本発明のパターンは素材自体の伸縮性に依拠することなく、運動阻害せず、意匠的にも美感を有する、あらゆる種類の衣類を製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】398008457 【氏名又は名称】株式会社人
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| 【出願日】 |
平成11年9月6日(1999.9.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059258 【弁理士】 【氏名又は名称】杉村 暁秀 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−81621(P2001−81621A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月27日(2001.3.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−251887 |
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