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【発明の名称】 擬似毛髪
【発明者】 【氏名】森田 健一

【氏名】伊藤 隆司

【氏名】久保 和昭

【氏名】谷 智江

【要約】 【課題】人の頭部毛髪に対する調和性に優れ、頭部の薄毛部分を自然に隠蔽し得る擬似毛髪を提供する。

【解決手段】色相の異なる二種以上の着色繊維を混合して得られる擬似毛髪。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 色相の異なる二種以上の着色繊維を混合して得られる擬似毛髪。
【請求項2】 上記着色繊維が、繊維長0.1〜5mm、繊維径0.5〜30デニールのセルロース系繊維である請求項1記載の擬似毛髪。
【請求項3】 上記着色繊維が、黒系、赤系、橙系、茶系、黄系、青系及びゴールド系の反応性染料、直接染料、建染染料及び硫化染料の中から選択される一種以上の染料で着色された着色繊維である請求項1又は2記載の擬似毛髪。
【請求項4】 黒系の反応性染料で染色したレーヨン繊維からなる黒系着色繊維と、赤系又は橙系の反応性染料で染色したレーヨン繊維からなる赤系着色繊維とを混合してなる請求項1〜3の何れかに記載の擬似毛髪。
【請求項5】 茶系の反応性染料で染色したレーヨン繊維からなる茶系着色繊維と、黄系又はゴールド系の反応性染料で染色したレーヨン繊維からなる黄系着色繊維とを混合してなる請求項1〜3の何れかに記載の擬似毛髪。
【請求項6】 噴射器により、人の頭部における薄毛部分等の所望の部位に噴射剤と共に噴射され、該部位に被着される請求項1〜5の何れかに記載の擬似毛髪。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人の頭部毛髪に対する調和性に優れ、頭部の薄毛部分を自然に隠蔽し得る擬似毛髪に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】局所的に頭部毛髪の薄くなった部分を隠す方法として、頭部毛髪と同じ色の粉状物や繊維状物を、その薄毛部分に被着させる方法が知られている。しかし、色彩を頭部毛髪に似せて製造した擬似毛髪であっても、実際に頭部に被着させると周囲の毛髪と調和しない場合が多い。また、頭髪の色彩等には微妙な個人差があるため、ある特定人の頭部毛髪と調和する擬似毛髪であっても、他の人の頭髪とは調和しない場合が多い。
【0003】従って、本発明の目的は、人の頭部毛髪に対する調和性に優れ、頭部の薄毛部分を自然に隠蔽し得る擬似毛髪を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、色相の異なる二種以上の着色繊維を混合して得られる擬似毛髪を提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を擬似毛髪について詳細に説明する。本発明の擬似毛髪は、色相の異なる二種以上の着色繊維を混合して得られる。各着色繊維の原料繊維としては、天然繊維、合成繊維、再生繊維の何れでも良く、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維であっても良い。これらの中でも、特に人の頭髪に似た色、艶や質感等を得る観点から、綿やレーヨン、ポリノジック等のセルロース系繊維が好ましく、特に銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン等のレーヨン繊維が好ましい。
【0006】原料繊維を染色する染料は、その原料繊維の種類に応じて、従来用いられている各種の染料を特に制限なく用いることができるが、反応性染料、直接染料、建染染料及び硫化染料の中から選択される一種以上の染料を用いて染色したものが好ましい。特に、褪色や色移りの生じ難い反応性染料が好ましい。ここで、反応性染料とは、繊維と化学的に結合して堅牢な染色を与える染料をいう。
【0007】反応性染料としては、従来公知の各種の反応性染料を一種単独又は複数組み合わせて用いることができるが、ビニルスルフォニル系又はトリアジン系の染料が好ましく用いられ、特にビニルスルフォニル系の染料が好ましい。他にもキノキザリン系、ピリミジン系の染料等を用いることができる。ビニルスルフォニル系又はトリアジン系の染料を用いると、特に色彩及び艶が人の頭髪に似た擬似毛髪を得ることができ、褪色や色移りも生じ難い。
【0008】以下に、反応性染料の例を示す。
・レマゾール ブラック B(Remazol Black B,黒系染料)
・シバクロン レッド G−E(Cibacron Red G-E ,赤系染料)
・スミフィックス オレンジ(Sumifix Orange,橙系染料)
・シバクロン ブラウン 5R−E(Cibacron Brown 5R-E,茶系染料)
・シバクロン イエロー R−A(Cibacron Yellow R-A,黄系染料)・シバクロン ブルー TGR−E(Cibacron Blue TGR-E,青系染料)【0009】直接染料としては、従来公知の直接染料を一種単独又は複数を組み合わせて用いることができ、例えば以下の染料を用いることができる。
・シリウス ブラック G(Sirius Black G ,黒系染料)
・カヤルス レッド F5B(Kayarus Red F5B,赤系染料)
・カヤセロン ブラウン 3B−FS(Kayacelon Brown 3B-FS,茶系染料)・カヤセロン イエロー C−2RL(Kayacelon Yellow C-2RL ,黄系染料)・カヤルス スープラ ブルーBCL(Kayarus Supra Blue BCL ,青系染料)
【0010】建染染料〔インダンスレン(Indanthren)系染料を含む〕としては、従来公知の建染染料を一種単独又は複数を組み合わせて用いることができ、例えば以下の染料を用いることができる。
・ミケスレン オレンジ RRTS(Mikethren Orenge RRTS,橙系染料)・ニホンスレン ブルー BC(Nihonthren Blue BC ,青系染料)・インダンスレン イエロー 4GF(Indenthren Yellow 4GF,黄系染料)【0011】硫化染料としては、従来公知の硫化染料を一種単独又は複数を組み合わせて用いることができ、例えば以下の染料を用いることができる。
・カヤク サルファー ブラック B(Kayaku Sulphur Black B,黒系染料)
・アサチオ イエロー GG(Asathio Yellow GG,黄系染料)・アサチオ オレンジ OA(Asathio Orange OA,赤系染料)【0012】原料繊維の染色は、上述した各種の染料の一種又は二種以上を溶媒(通常水)に溶解し、所望により他の成分を配合して得られる染料組成物に、原料繊維を浸漬処理して行うことできる。尚、染料以外に配合する成分としては、反応促進剤、均染剤等の各種公知の添加剤を挙げることができる。また、染料組成物は、特に人の頭髪に調和する擬似毛髪を、経済的且つ効率的に製造する観点から、染料(好ましくはビニルスルフォニル系染料)を繊維100重量部に対して0.01〜40重量部含むものを用いることが好ましい。また、このような染料組成物を用いた染色処理は、40〜90℃下に10〜100分間処理して行うのが好ましい。
【0013】色相の異なる二種以上の着色繊維を混合する際の混合比は、各着色繊維の色彩や擬似毛髪の使用対象に応じて適宜に決定すれば良いが、二種の着色繊維を混合して擬似毛髪とする場合、黒系の染料で染色した黒系着色繊維1〜99重量部と、赤系又は橙系の染料で染色した赤系着色繊維99〜1重量部とを混合して擬似毛髪とするか、茶系の染料で染色した茶系着色繊維1〜99重量部と、黄系又はゴールド系の染料で染色した黄系着色繊維99〜1重量部とを混合して擬似毛髪とすることが好ましい。
【0014】黒系着色繊維と赤系着色繊維とを混合してなる擬似毛髪は、多くの黒髪の人の頭髪に良好に調和し、黒髪の薄毛部分の隠蔽に適している。茶系着色繊維と黄系着色繊維とを混合させてなる擬似毛髪は、多くのブロンド又はブラウンの髪の人の頭髪に良好に調和し、かかるブロンド又はブラウンの髪における薄毛部分の隠蔽に適している。
【0015】茶系着色繊維と黄系着色繊維とを混合させる場合、例えば黄系着色繊維と茶系着色繊維との比(黄/茶)を、75/25としたものは、ブロンドの髪に対し優れた調和性を有し、前記比(黄/茶)を、90/10としたものは、ブラウンの髪に対し優れた調和性を有する。
【0016】また、本発明の擬似毛髪は、それぞれ、その繊維長が0.1〜5mm(特に0.1〜1mm)、その繊維径が0.5〜30デニール(特に1.5〜4デニール)である二種以上の着色繊維を混合してなることが好ましい。このような繊維長及び繊維径の着色繊維を用いると、光の反射具合や質感が特に頭髪に近い擬似毛髪を得ることができる。尚、色相の異なる二種以上の着色繊維を混合する方法は特に制限されず、従来公知の装置を用いて従来公知の方法により混合することができる。また、混合された着色繊維の色相が異なるか否かは、例えば、目視、拡大鏡等で容易に鑑別すること(判別すること)ができる。
【0017】本発明の擬似毛髪は、従来公知の各種の方法によって頭部の所望の部位に被着させて使用することができる。被着させる方法としては、擬似毛髪を頭部に振りかけても良いが、噴射器により噴射剤と共に噴射させ、薄毛部位等の所望の部位に吹き付けるようにすることが好ましい。擬似毛髪の吹き付け用の噴射器としては、例えば、特開平10−249249号公報に記載された吹き付け装置を好ましく用いることができる。この吹き付け装置は、擬似毛髪等を格納した容器内に、液化石油ガス、ジメチルエーテル等の噴射用ガス(噴射剤)を噴射することによって、該容器内に該容器を水平方向に略直線状に横切るようなガス流を形成し、該ガス流にのせて擬似毛髪を外部に噴射するようにしたものである。本発明の擬似毛髪は、噴射器により噴射させる際に、良好に噴射させ得るという点においても優れたものとなっている。
【0018】このように、本発明の擬似毛髪は、人の頭部毛髪に対する調和性に優れ、つむじ部や脱毛部等の薄毛部分に被着させることにより、該薄毛部分を自然に隠蔽することができる。また、本発明の擬似毛髪は、対象とする人の頭髪の色や質に応じて最適なものを、簡易且つ効率的に製造可能である。また、本発明の擬似毛髪は、噴射器により噴射させる際に、良好に噴射させ得るという点においても優れている。
【0019】
【実施例】(実施例1、2)着色された着色繊維を、表1に示す割合で混合して擬似毛髪を得た。得られた各擬似毛髪について、人の頭髪に対する自然な隠蔽力(頭髪との調和性)を下記の基準で調べ、その結果を表1に示した。
【0020】
【表1】

【0021】<自然な隠蔽力(頭髪との調和性)>実施例1については、頭部に薄毛部分を有する黒髪の被験者5名の頭部に擬似毛髪を吹き付け、周囲の頭髪との調和性を目視観察した。実施例2については、頭部に薄毛部分を有するブロンド髪の被験者5名の頭部に擬似毛髪を吹き付け、同様に周囲の頭髪との調和性を目視観察した。各実施例それぞれについて、周囲の頭髪と擬似毛髪とが色、艶及び質感の点において良好に調和している者が5名全員である場合を◎、4名〜3名の場合を○、3名未満の場合を△とした。
【0022】(比較例1,2)表1に示す着色繊維を、それぞれ、他の着色繊維と混合せずに単独で吹き付けた以外は、実施例1と同様にして、それらの人の頭髪に対する隠蔽力(頭髪との調和性)を調べた。その結果を、表1に示した。
(比較例3)表1に示す着色繊維を、他の着色繊維と混合せずに単独で吹き付けた以外は、実施例2と同様にして、それらの人の頭髪に対する隠蔽力(頭髪との調和性)を調べた。その結果を、表1に示した。
【0023】尚、表1における各着色繊維は、それぞれ以下に示す繊維である。
・着色繊維(黒) ;レマゾール ブラックで染色した黒系レーヨン繊維・着色繊維(赤) ;レマゾール ブリリアントレッドBBで染色した赤系レーヨン繊維・着色繊維(黒赤);レマゾール ブラックとレマゾール ゴールデン イエローとの混合液にて染色した黒赤色のレーヨン繊維・着色繊維(茶) ;シバクロン イエローF3R/シバクロン レッドFB/シバクロン ブルーFRの混合の混合液にて染色した茶系レーヨン繊維・着色繊維(黄) ;シバクロン イエローF3Rで染色した黄系レーヨン繊維・着色繊維(ゴールド);シバクロン イエローF3R/シバクロン ブルーFR/シバクロン レッドFBレマゾールの混合液にて染色したブロンド色のレーヨン繊維【0024】表1に示す結果から、本発明の擬似毛髪(実施例)は、人の頭部毛髪に対し優れた調和性を有しており、頭部の薄毛部分の隠蔽用に適していることが判る。これに対して、比較例の擬似毛髪は、頭部毛髪への調和性に劣り、頭部の薄毛部分の隠蔽性に劣ることが判る。尚、実施例においては、色相の異なる二種類の着色繊維を混合して擬似毛髪としたが、本発明においては三種以上の着色繊維を混合して擬似毛髪としても良い。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、人の頭部毛髪に対する調和性に優れ、頭部の薄毛部分を自然に隠蔽し得る擬似毛髪を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【識別番号】591096026
【氏名又は名称】京都パイル繊維工業株式会社
【出願日】 平成12年1月14日(2000.1.14)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修 (外2名)
【公開番号】 特開2001−200415(P2001−200415A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−7088(P2000−7088)