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【発明の名称】
【発明者】 【氏名】大西 勇

【要約】 【課題】外観上は二重太鼓のように重厚感があり、装飾性が高いという特長を備え、使用性という点では一人でも締めることのできる簡便さを有する帯を提供する。

【解決手段】A、B、C、Dの4種の経糸を交互に並べて整経し、4種の経糸それぞれに対して別個に緯糸を縫い込むことにより独立の4面の織面を形成し、これら4面の織面をからみ糸で接結することにより、垂れ部イ、ホと太鼓部ハを2枚構成とし、その他の部分ロ、ニを1枚構成とする。表地と裏地とを別個の色とすることができ、2枚部分太鼓部では4面に異なった絵柄を付することができるため、2種の全く異なる色及び柄の帯として用いることができるとともに、重厚感のある二重太鼓とすることができる。太鼓部以外の部分では1枚となっているため、帯を締めるに際しての取り扱いが楽であり、特に後ろ手で複雑な作業をしなければならないお太鼓作りにおいて、着付けが非常に簡単になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 A、B、C、Dの4種の経糸を交互に並べて整経し、4種の経糸それぞれに対して別個に緯糸を縫い込むことにより独立の4面の織面を形成し、これら4面の織面をからみ糸で接結することにより適宜1枚部分と2枚部分とを形成したことを特徴とする帯。
【請求項2】 太鼓部及び垂れ部を2枚部分とし、垂れ部は更に側縁を接結して袋状としたことを特徴とする請求項1記載の帯。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、きもの用の帯に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、和装用の帯として用いられるものは、製品の名称としては袋帯、丸帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯などがある。それらは縫製後、実際に帯を締めた状態では、二重太鼓になるか、一重太鼓になるかで大きく分けられる。袋帯、丸帯などは二重太鼓となり(図3(A))、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯などは一重太鼓となる(図3(C))。
【0003】二重太鼓にするためには、帯は、太鼓部分を二重に折り返すに足りる長さが必要となる。また、一重太鼓では仕立ての段階で腹の部分を半幅に縫製するのに対し、二重太鼓では帯幅のまま仕立てるため、裏生地に相当する部分が必要となる(袋帯では裏地を縫いつけて袋状にし、丸帯では倍の幅に製織し、半分を表面、半分を裏地として使用する)。
【0004】二重太鼓と一重太鼓は、締めたときの外観(特に斜め後方からの外観)が異なることから、その用途も一般的に異なる。すなわち、二重太鼓は、太鼓の部分が二重に形成されることからくる重厚感、及び、二重になった太鼓の内部が側面から露出するという装飾性の高さより、フォーマルな用途に用いられることが多い。しかし、そのような二重太鼓を背中で後ろ手で形成するには、かなりの熟練を要する。それに対し、一重太鼓は一人でも比較的容易に締めることができるという簡便さと、その軽快な外観より、カジュアルな用途に多く用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、外観上は二重太鼓のように重厚感があり、且つ、装飾性が高いという特長を備えつつ、使用性という点では一人でも締めることのできる簡便さを有する帯を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために成された本発明に係る帯は、A、B、C、Dの4種の経糸を交互に並べて整経し、4種の経糸それぞれに対して別個に緯糸を縫い込むことにより独立の4面の織面を形成し、これら4面の織面をからみ糸で接結することにより適宜1枚部分と2枚部分とを形成したことを特徴とする。
【0007】ここにおいて、2枚部分とする箇所は帯の使い方や締め方に応じて任意に決めることができるが、前記のようなフォーマルな帯の締め方を目的とする場合には、太鼓部及び垂れ部(端部)を2枚部分とし、垂れ部は更に側縁を接結して袋状とすることが望ましい。
【0008】
【発明の実施の形態及び効果】本発明に係る帯の一つの実施形態を図1により説明する。この帯では、両端部(イ、ホ)と太鼓部(ハ)を2枚部分とし、両端部(イ、ホ)では更に両側縁を接結することにより、袋状としている。その他の部分(ロ、ニ)は1枚部分である。
【0009】各部分の詳細な構造を図4に示す。両端部(イ、ホ)では4面の織面が2面毎に接結され、A面とB面とで1枚部分を、C面とD面とで1枚部分を構成している。両側縁は左下の拡大図に示すように接結されている。
【0010】太鼓部(ハ)においても同様に、4面の織面が2面毎に接結され、A面とB面とで1枚部分を、C面とD面とで1枚部分を構成している。ただし、この部分では両側縁は接結されておらず、A+B部分とC+D部分は完全に分離して2枚となっている。
【0011】その他の部分(ロ、ニ)では、図に示すようにA・B・Cの3面が接結され、且つ、CとDとが接結されているため、全体として1枚となっている。なお、この組み合わせは[A+B/B+C+D]でももちろん構わない。
【0012】本発明に係る帯の詳しい織成方法の例を図5〜図8により説明する。これらの図はA、B、C、Dの各面を織る時の綜絖の位置を示すもので、いずれの図においても左側がその面での絵柄部分、右側が絵柄の無い部分での綜絖の位置を示す。なお、図中、AはA面を構成する経糸を上下させるための綜絖を示し、B、C、DはそれぞれB面、C面、D面用の綜絖を示す。また、a、b、c、dは各面のからみ経糸を上下させるための綜絖を示す。図5〜図8の例では、これらの経糸用綜絖(すなわち経糸。なお、以下の説明において、綜絖を経糸と同一視する。)はAaBbCcDdと1本ずつ並んでいるが、AaAaBbBbCcCcDdDdのように適宜変化させてもよい。
【0013】図5はA面を織る時の状態を示すものである。A面は図1に示すようにB面、C面、D面よりも上に位置するため、B、C、Dの経糸は常に下に位置する。また、図1に示すようにA面では上に絵柄を現わさねばならないことから、絵柄部分では絵緯糸を上に出すために経糸Aは下に位置し、その他の部分では絵緯糸を覆うために経糸Aは上に位置する。からみ経糸aは絵緯糸を縫い込むために適宜上下し、その他のからみ緯糸b、c、dは前記の通りB面等との接結のために適宜上下する。
【0014】図6はB面を織る時の状態を示すものである。A面はB面よりも上にあるため、経糸Aは常に上に位置し、C面、D面はB面よりも下にあるため、経糸C、Dは常に下に位置する。そして、B面では図1に示すように下側に絵柄が現れるため、絵柄部分では経糸Bは上に位置し、その他の部分では下に位置する。からみ経糸a、b、c、dについては上記同様である。
【0015】図7はC面を織る時の状態を示すものである。綜絖A、Bは常に上に位置し、綜絖Dは常に下に位置する。そして、C面では上側に絵柄が現れるため、絵柄部分では経糸Cは下に位置し、その他の部分では上に位置する。
【0016】図8はD面を織る時の状態を示すものであり、綜絖A、B、Cは常に上に位置する。D面では下側に絵柄が現れるため、絵柄部分では経糸Dは上に位置し、その他の部分では下に位置する。
【0017】このように、本発明に係る帯では、4枚の別個の織物を縫製や接着等で重ねるのではなく、4面の織面を上記のような織成技術で織り上げる点に大きな特徴を有する。
【0018】本発明に係る帯は上記のような構成となっているため、図1に示すように、(1)表地と裏地とを別個の色とすることができる(2)2枚部分(太鼓部)では、4面に異なった絵柄を付することができるという特長を有する。これにより、本発明に係る帯は、2種の全く異なる色及び柄の帯として用いることができるとともに、図3(B)に示すように、重厚感のある二重太鼓とすることができる。そして、太鼓部において横からのぞく内部の模様は表地とは異なるものであるため、華麗な外観を呈する。しかも、2枚となっているのは太鼓部だけであり、その他の部分では1枚となっているため、帯を締めるに際しての取り扱いが楽であり、特に後ろ手で複雑な作業をしなければならないお太鼓作りにおいて、着付けが非常に簡単になる。
【0019】なお、図3(B)のように二重太鼓に見せるには、横から見て二重となっておれば良いため、図2(A)や(B)に示すように、2枚部分の構成は種々に変化させることができる。これらは、帯を締める際の扱い易さの点で利点がある。
【出願人】 【識別番号】395008414
【氏名又は名称】株式会社大西織物
【出願日】 平成12年3月16日(2000.3.16)
【代理人】 【識別番号】100095670
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 良平
【公開番号】 特開2001−262414(P2001−262414A)
【公開日】 平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願番号】 特願2000−74854(P2000−74854)