| 【発明の名称】 |
ネクタイ及びその製造方法並びに機械編みレース編物 |
| 【発明者】 |
【氏名】中西 則行
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| 【要約】 |
【課題】大剣部の表地としてレース地を用いてあるネクタイ及びその製造方法並びにそれに用いる機械編みレース編物を、美観に優れ、高級感を有するものとして、量産可能な形態で提供する。
【解決手段】織布からなる下地と、ネクタイ生地形状に編み上げた機械編みレース地からなる表地とを重ね合わせた状態でネクタイ形状に折り曲げ、両側縁部同士を折り曲げ側で共に縫い合わせ、或いは、織布からなる下地と、機械編みレース地からなる表地とを重ね合わせた裏側に裏地を配置し、前記重ね合わせた下地と表地との周縁部に前記裏地を縫いつけて形成してある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大剣部の表地としてレース地を用いてあるネクタイであって、織布からなる下地と、機械編みレース地からなる表地とを重ね合わせた状態でネクタイ形状に折り曲げ、両側縁部同士を折り曲げ側で共に縫い合わせて形成してあるネクタイ。 【請求項2】 前記下地の裏側に裏地を縫いつけてある請求項1記載のネクタイ。 【請求項3】 大剣部の表地としてレース地を用いてあるネクタイであって、織布からなる下地と、機械編みレース地からなる表地とを重ね合わせた裏側に裏地を配置し、前記重ね合わせた下地と表地との周縁部に前記裏地を縫いつけて形成してあるネクタイ。 【請求項4】 前記機械編みレース地と前記織布の何れか一方又は両者に形態記憶加工を施してある請求項1〜3の何れか1項に記載のネクタイ。 【請求項5】 前記機械編みレース地を、縦編みレース地で構成してある請求項1〜4の何れか1項に記載のネクタイ。 【請求項6】 前記機械編みレース地に、伸縮糸を編み込んである請求項5記載のネクタイ。 【請求項7】 前記伸縮糸として、捲縮加工を施して形成した捲縮糸を用いてある請求項6記載のネクタイ。 【請求項8】 前記伸縮糸を、経糸及び緯糸に編み込んである請求項6又は7に記載のネクタイ。 【請求項9】 前記機械編みレース地が、経糸の編み立て方向に長手方向を配して裁断したものである請求項5〜8の何れか1項に記載のネクタイ。 【請求項10】 前記織布が、織り糸の長さ方向に裁断したものである請求項9記載のネクタイ。 【請求項11】 前記機械編みレース地の柄部を、主として大検部の表に配置してある請求項9又は10に記載のネクタイ。 【請求項12】 大剣部の表地としてレース地を用いてあるネクタイの製造方法であって、織布からなる下地をネクタイ縫製形状に裁断し、機械編みレース地の経方向を前記裁断した下地の長さ方向に合わせて、これとほぼ同形状に前記機械編みレース地を表地として裁断し、前記裁断した下地に前記裁断した表地を重ねて、少なくとも前記大検部及び小剣部の端部夫々に裏地を周部で縫いつけ、その後、裏地側に向けてネクタイ形状に折り曲げ、両側縁部同士を折り曲げ側で共に縫い合わせるネクタイの製造方法。 【請求項13】 ネクタイの織布からなる下地に重ねて表地として使用する機械編みレース編物であって、縦編みレースの経糸の編み立て方向に、前記下地と同形状のレース組織部を編み幅方向に複数並列して、切除可能なネット部で連結して順次形成し、前記レース組織部におけるネクタイの大剣部に相当する位置に柄糸を配して、柄部を形成してある機械編みレース編物。 【請求項14】 前記編み幅方向に並列するレース組織部を、隣同士逆方向に形成してある請求項13記載の機械編みレース編物。 【請求項15】 前記レース組織部に伸縮糸を編み込んである請求項14又は15に記載の機械編みレース編物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、大剣部の表地として機械編みレース地を用いてあるネクタイ及びその製造方法並びにそれに用いる機械編みレース編物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、レースをネクタイに用いることは種々提案されている。例えば、袋編み地を形成したトーションレースの中に芯布を挿入して裏組織に接着したものが提案されている(特公昭49−13468号公報)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ネクタイは、トーションレースを用いているから、仮にこれを機械生産するにしても、大量に生産するには時間を要する。また、網目柄は容易に形成できるが、複雑なパターンの柄を形成するには、さらに手間と時間を要するようになるという問題を有している。 【0004】そこで、本発明に係るネクタイ及びその製造方法並びにそれに用いる機械編みレース編物は、従来の機械編みレースの手法を活用して、美観に優れ、高級感を有するネクタイ及びそのためのレース編物を量産可能な形態で提供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 【0006】〔本発明に係るネクタイの特徴構成〕本発明に係るネクタイは、大剣部の下地の上に機械編みレース地を表地として配してある点に特徴を有するものであり、夫々に以下のような特徴を備えるものである。 【0007】本発明に係るネクタイの第1特徴構成は、請求項1に記載のごとく、織布からなる下地と、機械編みレース地からなる表地とを重ね合わせた状態でネクタイ形状に折り曲げ、両側縁部同士を折り曲げ側で共に縫い合わせて形成してある点にある。 【0008】本発明に係るネクタイの第2特徴構成は、請求項2に記載のごとく、上記ネクタイの第2第1特徴構成における下地の裏側に裏地を縫いつけてある点にある。 【0009】本発明に係るネクタイの第3特徴構成は、請求項3に記載のごとく、織布からなる下地と、機械編みレース地からなる表地とを重ね合わせた裏側に裏地を配置し、前記重ね合わせた下地と表地との周縁部に前記裏地を縫いつけて形成してある点にある。 【0010】本発明に係るネクタイの第4特徴構成は、請求項4に記載のごとく、上記ネクタイの第2第1〜第3特徴構成の何れかにおいて、機械編みレース地と織布の何れか一方又は両者に形態記憶加工を施してある点にある。 【0011】本発明に係るネクタイの第5特徴構成は、請求項5に記載のごとく、上記ネクタイの第1〜第4特徴構成の何れかにおける機械編みレース地を、縦編みレース地で構成してある点にある。 【0012】本発明に係るネクタイの第6特徴構成は、請求項6に記載のごとく、上記ネクタイの第5特徴構成における機械編みレース地に、伸縮糸を編み込んである点にある。 【0013】本発明に係るネクタイの第7特徴構成は、請求項7に記載のごとく、上記ネクタイの第6特徴構成における伸縮糸として、捲縮加工を施して形成した捲縮糸を用いてある点にある。 【0014】本発明に係るネクタイの第8特徴構成は、請求項8に記載のごとく、上記ネクタイの第6特徴構成又は第7特徴構成における伸縮糸を、経糸及び緯糸に編み込んである点にある。 【0015】本発明に係るネクタイの第9特徴構成は、請求項9に記載のごとく、上記ネクタイの第5〜第8特徴構成の何れかにおいて、機械編みレース地が、経糸の編み立て方向に長手方向を配して裁断したものである点にある。 【0016】本発明に係るネクタイの第10特徴構成は、請求項10に記載のごとく、上記ネクタイの第9特徴構成において、織布が、織り糸の長さ方向に裁断したものである点にある。 【0017】本発明に係るネクタイの第11特徴構成は、請求項11に記載のごとく、上記ネクタイの第9特徴構成又は第10特徴構成において、機械編みレース地の柄部を、主として大検部の表に配置してある点にある。 【0018】〔ネクタイの特徴構成の作用及び効果〕上記本発明に係るネクタイによれば、大剣部の表面にレース柄を配した洒落たネクタイを、簡単に複数製造できるようになり、夫々に、以下のような独特の作用効果を奏する。 【0019】上記本発明に係るネクタイの第1特徴構成によれば、下地が織布であればネクタイの形態を安定して維持でき、その上に機械編みレース地を重ね合わせて縫い合わせてネクタイ形状とすることで、レース柄をネクタイ地の裁断形状に合わせてデザインすることにより、複数のネクタイにおける大剣部の外観を同様にすることができる。また、重ね合わせた上で折り曲げて、両側端縁部同士を縫い合わせれば、簡単にネクタイ形状と成すことができる。つまり、レース模様で装飾したネクタイを容易に量産することができる。 【0020】上記本発明に係るネクタイの第2特徴構成によれば、上記ネクタイの第1特徴構成における作用効果に加えて、大剣部及び小剣部の端部における表地を形成する機械編みレース地の端縁部の解れを防止するために纏り絎けを施したり、縢ったりしなくても、端仕舞いができ、同時に、前記端部の裏側にも高級感を付与できる。 【0021】上記本発明に係るネクタイの第3特徴構成によれば、ネクタイの裏側は裏地で形成するから、レース地の網が表面のみに形成され、ネクタイの外観を美麗にできながら、レースの網が他に引っ掛かることを極力防止できるようになる。また、裏側にレース地が浮き上がることがないから、ネクタイを締めやすくなる。 【0022】上記本発明に係るネクタイの第4特徴構成によれば、上記ネクタイに係る第1〜第3の何れかの特徴構成における作用効果を奏しながら、ネクタイの素地に形態記憶加工を施すことで、ネクタイを繰り返し締めたり外したりしても、しわが残ることを防止でき、美観上優れたネクタイとなる。 【0023】上記本発明に係るネクタイの第5特徴構成によれば、上記ネクタイに係る第1〜第4の何れかの特徴構成における作用効果を奏しながら、柄の変化を与えやすくなる。つまり、縦編みの機械編みレース地は、ジャガード機構を用いて柄出しできるから、ネクタイ柄を容易に形成でき、これを下地に重ねてネクタイとすれば、レース地の伸縮性を活かして美観に優れた高級感溢れるネクタイを量産できる。 【0024】上記本発明に係るネクタイの第6特徴構成によれば、上記ネクタイの第5特徴構成における作用効果を奏しながら、伸縮糸の張力を活かして、下地に対するレース地の緩みを防止でき、レース地が下地から不必要に浮き上がらないことで、レース地を用いた表地と下地の一体感を確保できる。 【0025】上記本発明に係るネクタイの第7特徴構成によれば、上記ネクタイの第6特徴構成における作用効果を奏しながら、伸縮糸がゴム糸のように弾力が強いものでないため、適度の張りをレース地からなる表地に付与でき、ネクタイの形態を安定して維持できるようになる。 【0026】上記本発明に係るネクタイの第8特徴構成によれば、上記ネクタイの第6特徴構成又は第7特徴構成における作用効果を奏する中で、レース地に縦横両方向に伸縮性を付与でき、表地とした地との一体感を強めることができる。 【0027】上記本発明に係るネクタイの第9特徴構成によれば、上記ネクタイに係る第5〜第8特徴構成の何れかの特徴構成における作用効果を奏しながら、予めネクタイ柄として編み上げたレース柄をなく体に付与でき、しかも、レース地の無駄を排除できる。つまり、経て編みレース地をネクタイの柄に合わせて編み立て、その柄に合わせて裁断すれば、通常行われるようなバイアス裁ちのように、縦方向に形成された柄の配置を無視した裁断をしなくてもよくなる。また、バイアス裁ちの場合のように、切り端の解れ止めをしなくてもよい。しかも、経て編みレース地を用いるから、縦方向に任意に柄を配することができ、ネクタイの大剣部にポイント柄を配することも容易である。その上、リボンレースを編み立てる場合と同様に、編み立て方向に長く地編み部を形成して、その間を切除可能なネットで接続しておけば、柄糸等挿入糸の無駄も省ける。さらに、レース地からなる表地を一枚で形成できるから、表地に継ぎ目のないネクタイを縫製でき、結び解きの容易なネクタイとすることができる。 【0028】上記本発明に係るネクタイの第10特徴構成によれば、上記ネクタイの第9特徴構成における作用効果を奏しながら、ネクタイの縫製が容易になる。つまり、下地をバイアス裁ちの織布とすれば、その端縁部がレース地と共に伸びやすく、縫製に際して形状維持が容易でなく、型紙を合わせて、或いは芯地に貼り付けて端縁部を縫う等の手間を要するが、織り糸の長さ方向に裁断することで形状の安定化を図り得るから、縫製の際にそのままレース地の形状を下地で維持しつつ縫い上げることができる。従って、芯地を用いることなく、下地に表地としてのレース地を重ねるだけの構成とすることも可能である。 【0029】上記本発明に係るネクタイの第11特徴構成によれば、上記ネクタイの第9特徴構成又は第10特徴構成における作用効果を奏する中で、不必要な部位にレース柄のない、扱いやすいネクタイとなる。レース地は柄部で必然的に厚みを持つから、余分な箇所に柄部を形成すれば、そこも厚みを持つようになるが、ネクタイの装飾に効果的な大剣部の表に柄部を配置することで、ネクタイに不必要な厚みを持たせなくて済み、しかもネクタイに高級感を付与できる。 【0030】その結果、美観的に優れ、高級感を付与したネクタイを容易に量産できるようになる。 【0031】〔本発明に係るネクタイの製造方法の特徴手段〕本発明に係るネクタイの製造方法の特徴手段は、請求項12に記載のごとく、大剣部の表地としてレース地を用いてあるネクタイを製造するに当たって、織布からなる下地をネクタイ縫製形状に裁断し、機械編みレース地の経方向を前記裁断した下地の長さ方向に合わせて、これとほぼ同形状に前記機械編みレース地を表地として裁断し、前記裁断した下地に前記裁断した表地を重ねて、少なくとも前記大検部及び小剣部の端部夫々に裏地を周部で縫いつけ、その後、裏地側に向けてネクタイ形状に折り曲げ、両側縁部同士を折り曲げ側で共に縫い合わせる点にある。 【0032】〔ネクタイの製造方法の特徴構成の作用及び効果〕上記本発明に係るネクタイの製造方法の特徴手段によれば、外観に優れたネクタイを量産的に容易に製造できる。つまり、レース地よりも形状の安定しやすい下地を先に裁断し、その下地に合わせてレース地を裁断することで、下地と表地としてのレース地との間の位置関係を所望の関係に維持できる。こうして重ね合わせた表地と下地に、少なくとも大剣部及び小剣部の下地の側から裏地を重ねて、その周部を縫いつければ、開いた状態のネクタイができる。これをネクタイ形状に折り曲げて、両側端部同士を折り曲げ側で縫い合わせれば、表側にレース編物を配置したネクタイとなる。その結果、レース編物と下地とが重なって形成されるから、網状のレース編物の影が模様に立体感を醸しだし、ネクタイの美観を向上する。従って、下地に重ね合わせるレース編物の所定の位置に柄を形成しておけば、その柄がネクタイの表を立体感をもって飾ることになる。また、レース編物の糸色と下地の柄若しくは色合いとを適切に選択することで、表地と下地とが協同して醸し出す高級感をネクタイに付与できる。 【0033】〔本発明に係る機械編みレース編物の特徴構成〕本発明に係る機械編みレース編物は、ネクタイの織布からなる下地に重ねて表地として使用する機械編みレース編物を、編み立て方向にネクタイの表地の形状にレース組織部を編成した点に特徴を有するものであり、夫々に以下のような特徴を備えるものである。 【0034】本発明に係る機械編みレース編物の第1特徴構成は、請求項13に記載のごとく、縦編みレースの経糸の編み立て方向に、下地と同形状のレース組織部を編み幅方向に複数並列して、切除可能なネット部で連結して順次形成し、前記レース組織部におけるネクタイの大剣部に相当する位置に柄糸を配して、柄部を形成してある点にある。 【0035】本発明に係る機械編みレース編物の第2特徴構成は、請求項14に記載のごとく、上記機械編みレース編物の第1特徴構成において、編み幅方向に並列するレース組織部を、隣同士逆方向に形成してある点にある。 【0036】本発明に係る機械編みレース編物の第3特徴構成は、請求項15に記載のごとく、上記機械編みレース編物の第1特徴構成又は第2特徴構成におけるレース組織部に伸縮糸を編み込んである点にある。 【0037】〔機械編みレース編物の特徴構成の作用及び効果〕上記本発明に係る機械編みレース編物によれば、レース組織部をネクタイの表地の形状に編成してあるから、レース編み物を無駄なく使用でき、夫々に、以下のような独特の作用効果を奏する。 【0038】上記本発明に係る機械編みレース編物の第1特徴構成によれば、極めて容易に、所望の位置に柄を配した表地を、レース地に無駄を生ずることなく裁断できるようになる。つまり、経て編みレースの編み立て方向に下地の形状でレース組織部を編成し、これを編み幅方向に複数並列してあるから、機械編みレース編物を編み幅方向にネット部で切り離せば、リボンレース状にネクタイの表地が連なった帯状レース地が得られる。そして、そのレース組織部における大剣部に相当する位置に柄部を形成してあるから、機械編みレース編物に形成された柄は無駄なく使用できる。従って、柄糸等の挿入糸を有効に用いることができる。さらに、表地の形状にレース組織部を形成するから、その周縁部は、表地の端縁部として縫製に適した、且つ、解れにくい地組織としておけば、表地として切り離しても周縁部の解れ止めの処理等が不要となる。しかも、レース地はそのレース組織部を切り取るだけでネクタイの表地として使用できるから、型裁断も容易になる。 【0039】上記本発明に係る機械編みレース編物の第2特徴構成によれば、上記機械編みレース編物の第1特徴構成の作用効果を奏しながら、レース地を一層有効に使用できるようになる。つまり、ネクタイの表地の形状は、一端側が幅広く、他端側が幅狭となるから、同一方向に配置すれば、他端側では間隔が広くなって無駄が生ずるが、編み幅方向に隣接するレース組織部を、交互に逆配置することで、レース組織部の側端縁同士が平行となり、間に介在させるべきネット部の幅を最小限に留めることが可能になる。 【0040】上記本発明に係る機械編みレース編物の第3特徴構成によれば、上記機械編みレース編物の第1特徴構成又は第2特徴構成の作用効果を奏しながら、表地を構成するレース地が下地から浮き上がらないネクタイを縫製することが可能となる。また、特に柄部で伸縮糸を強く働かせれば、柄に厚みを持たせることができ、柄を強調できる。つまり、レース組織部に伸縮糸を編み込むことで、表地を幾分伸張した状態でネクタイを縫製することができ、縫製後のネクタイの表地を、下地から必要以上に浮き上がること防止できる。さらに、柄糸と共に伸縮糸を編み込めば、柄糸を緩ませて浮き上がらせるようになるから、重厚感のある柄を備えるネクタイを縫製することが可能になる。尚、前記伸縮糸として捲縮加工を施した捲縮糸を用いれば、その伸縮力が適度であり、適度に表地を緊張させることができる。 【0041】 【発明の実施の形態】以下、本発明に係るネクタイ及びそれに用いる機械編みレースに関する実施の形態の一例ついて図面を参照しながら説明する。 【0042】本発明に係るネクタイは、例えば図1に示すような外観を有している。つまり、全体に機械編みレース編物の網状のレース組織部2を、表地7としてネクタイの下地8に被せてあり、その大剣部12に、ワンポイント柄5Aが配置されている。このネクタイは、例えば図2から図3に示すような手順で縫製される。先ず、織布からなる下地8が用意される。この下地8は、図2(イ)に示したように、ネクタイの生地原型の形状に裁断される。図中の符号11を付した二点鎖線は後に折り曲げられる折り目で、この折り目11に沿って折り畳めばネクタイの形状になる。また、前記下地8の生地原型に折り代を加えた表地原型と同一形状のレース組織部2を、機械編みレース地から前記レース組織部2の周囲に編成してあるネット部3で切り離して、図示のような表地7を作成する。このレース組織部2の縁部2aは、解れにくいように密に編成した端地組織6で形成してあれば、前記ネット部3を切除するだけで前記表地7を作成できる。この表地7の裏側に、前記下地8を重ね、前記表地7の周縁部7aを下地8の周囲に被せて裏側に折り返し(同図(ロ)参照)、前記下地8に前記周縁部7aを縫い付ける。この折り返した表地7の周縁部7aの外縁は、前記端地組織6であり、纏り絎け(まつりぐけ)や縢り(かがり)を施さなくても解れるおそれなく表地7を下地8に止め付けることができる。その後、図3に示すように、大剣部12及び小剣部13を形成する両端部に、前記下地8の上から裏地9を重ね、その周部9aを前記折り返した表地7の周縁部7a或いはそれと共に前記下地8にに縫いつける(同図(イ)参照)。こうして前記大剣部12及び小剣部13で下地8と表地7と裏地9を一体化した後、折り目11に沿って側部を裏側へ折り曲げ(同図(ロ)参照)、突き合わせて重なる両側縁部10同士を縫い合わせる(同図(ハ)参照)。尚、図3(ハ)は完成したネクタイの裏側である。 【0043】上記下地8としては、芯地を兼ねる比較的張りの強い素材からなる織布を用いて、表地7の柄5を配したレース組織部2とデザイン的に合う色合いのものを用いる。この下地8は、従来のネクタイとは異なり、バイアス裁ちせず、織り糸の方向を長手方向として裁断したものである。そして、上記表地7は、例えば図4に示すように、前記表地原型形状にレース組織部2を編み幅方向Wに並列して編み立て方向に繰り返し編み上げた縦編みの機械編みレース地1から前記レース組織部2を切り出したものである。この機械編みレース地1は、図示のように、前記表地原型の長さ方向を編み立て方向に向けて同一パターンのレース組織部2を編成し、隣接するレース組織部2同士を互いに逆方向に形成し、それらレース組織部2の間を切除可能なネット部3で連結したものである。これらのレース組織部2の縁部2aは、上述のように、解れにくいように密に編成した端地組織6で形成して、前記ネット部3を切除しても、その切り端が解れないようにしておく。 【0044】前記レース組織部2の中で、ネクタイの大剣部12表側に相当する領域(図2における折り目11の間で、左側端部)には、網状に編成した下地柄を形成した柄部4を配し、所要の位置に柄5を形成し、他の領域は、基本的な網目組織で編成すれば、ネクタイを締めた際に、その結び部が必要以上に大きくなることを防止できて好都合である。尚、前記機械編みレース地1の編み糸としてナイロン66を使用すれば、ヒートセットの温度を高くとれるので、形態安定性に優れた表地7を形成できる。因みに、ナイロン6のヒートセット温度は通常185℃とされ、ナイロン66のヒートセット温度は通常210℃とされる。さらに、前記機械編みレース地1を編み立てる編み糸にウレタンコーティングを施しておけば、編み糸に、耐熱性と共に、弾性を付与でき、形態安定効果も付与できるから、表地7のしわを防止できるようになる。このウレタンコーティングの処理剤としては、例えば「VONDIC1640」(大日本インキ化学工業(株)製)が挙げられる。この処理剤は、エステル型ポリウレタン水分散液であり、乳白色のエマルジョンとして提供され、黄変性がなく、被膜強度の高い被膜を形成でき、且つ、耐光性、耐溶剤性に優れているので、良好な機械編みレース地1を形成できる。さらに、ナイロン66繊維に捲縮加工を施した伸縮糸を編み込めば、表地7に適度の伸縮性を付与できて、使い易いネクタイを縫製できる。 【0045】〔別実施形態〕上記実施の形態において示さなかった本発明に係るネクタイ及びその製造方法並びにそれに用いる機械編みレース編物の他の実施の形態について以下に説明する。 【0046】〈1〉上記実施の形態に於いては、全体に機械編みレース編物の網状のレース組織部2が表地7として、下地8に被せて袋状に縫い合わせてあるネクタイの例について説明したが、例えば図5及び図6に示すように、前記レース組織部2をネクタイ形状の原型に対して折り代を加えた形態に編成し、表地7として前記レース組織部2を切り出す(図5(イ)参照)。図中点線は前記ネクタイ形状の原型である。これと共に、下地8を前記原型に合わせて切り出す。前記表地7に下地8を重ね、前記下地8の外側の表地7の周縁部7aで形成した折り代を、前記下地8の外縁部に被せて裏側(下地8の側)に折り返す(図5(ロ)参照)。次に、図6(イ)に示すように、前記下地8の裏側に表地7を折り返した上に被せる裏地9を用意し、その周部9aを、前記表地7を折り返した周縁部7aに、又はこれと共に下地8に縫いつけて(同図(ロ)参照)、ネクタイとしてもよい。つまり、図6(ロ)はネクタイの裏側を示しているが、このように、袋状に縫製しないネクタイとしてもよいのである。この場合も、前記レース組織部2の縁部2aは、端地組織6で形成してあることが望ましい。 【0047】〈2〉上記実施の形態に於いては、全体に機械編みレース地1の網状のレース組織部2を、表地7としてネクタイの下地8に被せて、その大剣部12に、ワンポイント柄5Aが配置されているネクタイの例について説明したが、前記大剣部12には、レース組織部2の網状に形成された地柄だけを配してあってもよく、複数の柄が配置されていてもよい。さらに、柄が全体に亘って配置されていてもよい。 【0048】〈3〉上記実施の形態に於いては、レース組織部2の縁部2aを、解れにくいように密に編成した端地組織6で形成した例について説明したが、前記縁部2aにまで網状組織を編成したレース組織部2をネット部3で直接接続してあってもよい。 【0049】〈4〉上記実施の形態に於いては、大剣部12及び小剣部13を形成する両端部に、下地8の上から裏地9を重ね、その周部9aを前記折り返した表地7の周縁部2a或いはそれと共に前記下地8にに縫いつける例について説明したが、前記下地8として裏地を形成しうる素材を用いて、前記裏地9を省略してもよい。この場合には、前記下地8にも縫い代を設けて、表地7の上に縫い付けるようにしてもよい。 【0050】〈5〉上記実施の形態に於いては、機械編みレース地1のための編み糸としてナイロン66を使用すればよいとして説明したが、編み糸の材料は、特に限定するものではなく、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、ポリアクリル繊維、ポリアミド繊維等の合成繊維の他、天然繊維も含めて任意の繊維を選択可能である。 【0051】〈6〉上記実施の形態に於いては、編み糸にウレタンコーティングを施しておけば、編み糸に、耐熱性と共に、弾性を付与でき、形態安定効果も付与できるから、表地7のしわを防止できるようになるとして説明したが、編み糸の処理は表面コーティングに限るものではなく、柔軟剤による処理を施してもよく、また、処理を施さない編み糸を用いてもよい。尚、柔軟剤としては、例えば「DIC SILICONE SOFTNER A−900」(大日本化学工業(株)製)を使用することができる。この処理剤は、短期間の効果しか有しないが、繊維表面が滑りやすくなって編み易くなり、糸切れ等の障害を防止できる。 【0052】〈7〉上記実施の形態に於いては、繊維に捲縮加工を施した伸縮糸を編み込めば、表地7に適度の伸縮性を付与できて、使い易いネクタイを縫製できるとして説明したが、前記伸縮糸としてラテックス糸等のゴム糸を用いてもよい。また、伸縮糸を編み込まないで機械編みレース地を編成してあってもよい。 【0053】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によって、ネクタイの製造工程を複雑化することなく、編み組織を工夫した縦編みの機械編みレース地を用いることで、美観に優れ、高級感のあるネクタイを製造することができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593108288 【氏名又は名称】栄レース株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年6月13日(2000.6.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107308 【弁理士】 【氏名又は名称】北村 修一郎
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| 【公開番号】 |
特開2001−355111(P2001−355111A) |
| 【公開日】 |
平成13年12月26日(2001.12.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−176486(P2000−176486) |
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