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【発明の名称】 筒形のサポータとその製造方法
【発明者】 【氏名】林 正晃

【要約】 【課題】パッドが縫着してある筒形のサポータにおいて、筒形のサポータ本体に対するパッドの縫着を適正にしかも簡単に行えるようにし、サポータの製造に要する手間とコストを減少する。

【解決手段】丸編み機で筒形のサポータ本体1を形成する。このとき、第1編立部3と第2編立部4とを形成し、後者編立部4においてのみ弾性糸8を主編糸7と共に編む。第2編立部4を筒軸に沿って切断し、サポータ本体1を展開する。この展開生地14にパッド2を縫い止めることにより、縫着作業を簡単に行える。最後に第2編立部4の切断縁15・15どうしを縫着して、展開生地14を筒形に復元する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 丸編み機で筒形に編まれるサポータ本体1と、サポータ本体1に縫着されるパッド2とを備えているサポータであって、サポータ本体1は、弾性糸8が主編糸7に対して素通し状に組まれる第1編立部3と、弾性糸8が主編糸7と共に編まれて編目を形成する第2編立部4とを備えており、パッド2は、第2編立部4を筒軸に沿って切断して得られる展開生地14に縫着されており、第2編立部4の切断縁15・15どうしを縫着して、サポータ本体1を筒形に復元することを特徴とする筒形のサポータ。
【請求項2】 関節を抱持する環状のパッド2がサポータ本体1に縫着してある請求項1記載の筒形のサポータ。
【請求項3】 第1編立部3が弾力の異る複数種の編層で形成してある請求項1または2記載の筒形のサポータ。
【請求項4】 第2編立部4の周方向の幅寸法Wが、パッド2の伸び率に比例して大小に異ならせてある請求項1、2または3記載の筒形サポータ。
【請求項5】 パッド2が、発熱性繊維塊12を芯材とするキルティング生地で形成してある請求項1、2、3または4記載の筒形のサポータ。
【請求項6】 弾性糸8が主編糸7に対して素通し状に組まれる第1編立部3と、弾性糸8が主編糸7と共に組まれて編目を形成する第2編立部4とを備えた筒形のサポータ本体1を形成する編立工程と、第2編立部4を筒軸に沿って切断し、展開生地14を形成する切断工程と、展開生地14にパッド2を縫い止める第1縫着工程と、第2編立部4の切断縁15・15どうしを縫着して、サポータ本体1を筒形に復元する第2縫着工程を含む、筒形のサポータの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、関節部の保持や保温等のためにパッドが縫着してある筒形のサポータとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】サポータには、丸編み機で編立られる筒形のサポータと、展開生地を巻き付けて装着する巻付け型サポータとがある。いずれも、筋や腱あるいは関節を固縛保持して痛みを和らげ、強い外力や衝撃が患部に作用するのを防ぐ。このような患部保護をさらに効果的に行うために、サポータ本体にパッドが縫着してある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】巻付け型のサポータの場合には、展開状態の生地にパッドを縫着できるので、パッドの縫着位置や仕上り形状にばらつきを生じることはなく、パッドの縫着を適正に行える。しかし、筒形のサポータの場合には、筒状の生地にパッドを縫い止める必要があるので、縫着作業が困難であるうえ、パッドの縫着位置や仕上り形状がばらつきやすい。多くの場合、サポータ本体とパッドの伸び率は異なっているが、そのこともパッドの適正な縫着を阻害する一因になっている。
【0004】本発明者は、パッドの縫着作業を容易化するために、筒形に編立てられたサポータ本体を筒軸に沿って切断し、展開した状態の生地にパッドを縫着した後、切断縁を縫着して展開生地を筒状に復元することを考えた。しかし、この作業法によれば、パッドの縫着は問題なく行えるものの、サポータ本体を切断した時点でサポータ本体の縮み弾性が著しく損なわれることが判った。
【0005】サポータ本体は、1種または複数種の主編糸とは別に、弾性糸を素通し状に、つまりコイルばね形状のように編み込んで形成してあり、主編糸で形成される編目の弾性もさることながら、弾性糸の弾性によって筒形のサポータ本体に縮径方向の縮み弾性を付与している。そのため、先のようにサポータ本体を筒軸に沿って切断すると、コイルばね状に編み込まれた弾性糸の全てが切断されて自由状態へ戻ってしまい、縮み弾性を発揮できなくなるのである。こうして得られたサポータは、縮み弾性が不足するため、ずり落ちやすいうえ、パッドが患部からずれ動いてしまう。
【0006】弾性糸を主編糸と共に編み立てて、弾性糸を主編糸に絡ませると、先のように切断したとしても弾性糸の切断端が主編糸の編目に引っ掛るので、縮み弾性が損なわれることはない。問題は、弾性糸を主編糸と共に編み立てると、サポータ本体の縮み弾性が異常に大きくなり、筒形のサポータに特有の柔らかな装着感が得られず、長時間にわたってサポータを装着した場合に、血行が阻害されたり、装着部が痺れるなどの弊害を生じる。
【0007】この発明の目的は、パッドが縫着してあるサポータを、筒形のサポータの特長を損なうことなく簡単に形成できるようにすることにある。この発明の目的は、パッドの縫着を簡単にしかも適切に行え、しかも適度の縮み弾性を備えている筒形のサポータを少ない手間で製造でき、従ってパッドを備えている筒形のサポータをより低コスト化できる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明は、丸編み機で筒形に編まれるサポータ本体1と、サポータ本体1に縫着されるパッド2とを備えているサポータを対象とする。サポータ本体1は、弾性糸8が主編糸7に対して素通し状に組まれる第1編立部3と、弾性糸8が主編糸7と共に編まれて編目を形成する第2編立部4とを備えている。パッド2は、第2編立部4を筒軸に沿って切断して得られる展開生地14に縫着する。以って、第2編立部4の切断縁15・15どうしを縫着して、サポータ本体1を筒形に復元することを特徴とする。
【0009】具体的には、関節を抱持する環状のパッド2をサポータ本体1に縫着する。第1編立部3は弾力の異る複数種の編層で形成する。第2編立部4の周方向の幅寸法Wを、パッド2の伸び率に比例して大小に異ならせる。パッド2は、発熱性繊維塊12を芯材とするキルティング生地で形成する。
【0010】この発明のサポータの製造方法は、弾性糸8が主編糸7に対して素通し状に組まれる第1編立部3と、弾性糸8が主編糸7と共に組まれて編目を形成する第2編立部4とを備えた筒形のサポータ本体1を形成する編立工程と、第2編立部4を筒軸に沿って切断し、展開生地14を形成する切断工程と、展開生地14にパッド2を縫い止める第1縫着工程と、第2編立部4の切断縁15・15どうしを縫着して、サポータ本体1を筒形に復元する第2縫着工程を含む。
【0011】
【作用および発明の効果】サポータ本体1を、その殆どを占める第1編立部3と、弾性糸8が主編糸7と共に編立ててある第2編立部4とで構成し、第2編立部4を切断して得られる展開生地14にパッド2を縫着するので、パッド2の縫着作業を簡単にしかも適切に行える。第2編立部4において筒形のサポータ本体1を切断するので、第1編立部3に素通状に組んだ弾性糸8が自由状態に戻ってしまうのを防止できる。つまり、筒形のサポータ本体1を切断して展開生地化しても、その縮み弾性を維持し続けることができる。従って、パッド2を縫着した後、第2編立部4の切断縁15・15どうしを縫着して展開生地14を筒形に復元すると、切断前のサポータ本体1と同じ弾性状態に戻すことができる。これにより、適度の縮み弾性を備えていて、ソフトな装着感でありながらずり落ちやずれ動きがなく、しかもパッド2で患部の保持や保護を適確に行える筒形のサポータが得られる。
【0012】環形状のパッド2は、その内外縁を周回状に縫着してサポータ本体1に縫い止めるが、この作業は、サポータ本体1を筒形にしたままでは困難を極め、縫着位置や仕上り形状にばらつきを生じやすい。しかし、先のようにサポータ本体1を切断して展開し、展開生地14にパッド2を縫着する作業形態を採ると、縫着作業を迅速かつ正確に行える。
【0013】第1編立部3を形成する弾性の異なる複数種の編層16・17・18は、編糸の太さや弾性の違い、あるいは編目数や編目のパターンの違い等によって形成でき、サポータの装着部位の違いや、必要とする縮み弾性に応じて多様なサポータが用意される。
【0014】第2編立部4の周方向の幅寸法Wを、パッド2の伸び率に比例して大小に異ならせるのは、パッド2をサポータ本体1に縫着することによってサポータ本体1の伸縮特性が変化するのを、第2編立部4で補完するためである。例えば、パッド2の伸び率が小さい場合には、第2編立部4の幅寸法Wを大きくして、その全体の伸び変形量を増やし、第1編立部3が伸びにくくなったことを補完する。逆にパッド2の伸び率が大きい場合には、第2編立部4の幅寸法Wを小さくする。
【0015】発熱性繊維塊12を芯材とするキルティング生地でパッド2を形成すると、発熱性繊維の発熱作用によって患部の保温を行える。発熱性繊維は、体表面から蒸発する水分を吸収する際に熱を生じるとされており、例えばミズノ株式会社のブレスサーモ(商品名)はその一例である。
【0016】編立工程と、切断工程と、第1、第2の各縫着工程を含む製造方法に従ってパッド2を備えた筒形のサポータを形成すると、パッド2のサポータ本体1に対する縫着を簡単にしかも適切に行えるうえ、適度の縮み弾性を備えているパッド付きのサポータを、低コストで形成できる。パッド2のサポータ本体1に対する縫着位置や仕上形状のばらつきを解消して、品質のばらつきがないサポータを低コストで提供できる。
【0017】
【実施例】図1ないし図6はこの発明を膝用のサポータに適用した実施例を示す。サポータは、丸編み機で筒形に編まれるサポータ本体1と、サポータ本体1の前側内面に縫着されるパッド2とで形成する。
【0018】サポータ本体1は、その殆どを占める第1編立部3と、サポータ本体1の後側中央に設けられて、第1編立部3の端部どうしを繋ぐ第2編立部4とで形成し、上下両端のそれぞれを内側に折り返して縫着することにより、ずれ止め用の緊縛部5・6が形成してある。図5に示すように、第1編立部3は、1種または2種以上の主編糸7を例えば平編みし、弾性糸8を素通し状に組んで形成する。弾性糸8は、1個の編目あるいは2個以上の編目ごとに、主編糸7の表と裏とをくぐり抜けるように組む。第2編立部4においては、弾性糸8を主編糸7と共に編み上げて、両糸7・8で編目を形成する。
【0019】パッド2はキルティング生地を湾曲状に裁断し、その端部どうしを縫着してリング状に形成してあり、その中央の膝蓋骨と対向する部分に穴9を形成し、穴9の周方向両側に膝側面を覆う舌片10を膨出してなる。キルティング生地は、レース地に似た網目状の生地11・11の間に発熱性繊維塊12を縫い止めて形成してある(図4参照)。発熱性繊維は、皮ふ表面から蒸散する水分を吸収して発熱し、他の繊維に比べてパッド2の保温効果を高める作用を備えている。
【0020】次にサポータの製造方法を説明する。サポータは編立工程と、切断工程と、第1、第2の各縫着工程を経て形成する。図6(a)に示すように、編立工程では、先に説明した第1編立部3と第2編立部4とを周回状に連続形成して、筒形のサポータ本体1を形成する。切断工程では、図6(b)に示すように、第2編立部4をその幅方向中央において筒軸に沿って切断し、全体を展張して展開生地14を形成する。第1縫着工程では、図6(c)に示すように、展開生地14にパッド2の内外周縁を縫い止める。縫着時には、展開状態の生地14にパッド2を縫着するので、縫着作業を簡便に、しかも迅速に行えるうえ、パッド2を規定位置に適正な仕上り形状で縫い止めることができる。この後、緊縛部5・6も縫着しておく。第2縫着工程においては、第2編立部4の切断縁15どうしを内外に重ねた状態で縫着して、サポータ本体1を筒形に復元する(図6(d)参照)。
【0021】上記の実施例では、パッド2をキルティング生地で形成したがその必要はなく、例えばパイル生地やフェルト等の他の生地で形成することができる。第1編立部3は、弾力の異なる複数種の編層を組み合わせで形成することができる。第1、第2の両編立部3・4における編目パターンは平編みに限定するものではなく、リブ編み等の他の編目パターンであってもよい。パッド2はサポータ本体1の外面に配置することができる。サポータ本体1は筒形であればよく、その筒周面の一部に例えば膝蓋骨を露出させるための穴が開口してあってもよい。
【出願人】 【識別番号】593099768
【氏名又は名称】株式会社ハヤシ・ニット
【出願日】 平成12年6月9日(2000.6.9)
【代理人】 【識別番号】100080702
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 元
【公開番号】 特開2001−355109(P2001−355109A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−173705(P2000−173705)