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【発明の名称】 防暑具
【発明者】 【氏名】伊藤 教行

【要約】 【課題】例えば、無塵服の下に着用した場合には、この無塵服と人体の皮膚との間の雰囲気温度を身体にとって快適な温度である25℃前後に保ち、快適な作業環境を実現することができると共に、行動を阻害することのない防暑具を提供する。

【解決手段】冷却材30と、該冷却材30を取り出し自在に収納する保冷用具10と、該保冷用具10を着脱自在に装着する着衣本体50とを備える防暑具1において、前記保冷用具10に蓄熱材40が収容され、該蓄熱材40の片面が前記冷却材30と接触する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷却材と、該冷却材を取り出し自在に収納する保冷用具と、該保冷用具を着脱自在に装着する着衣本体とを備える防暑具において、前記保冷用具に蓄熱材が収容され、該蓄熱材の片面が前記冷却材と接触することを特徴とする防暑具。
【請求項2】 無塵服の下に着用され、前記保冷用具内の冷却材が該無塵服側に、蓄熱材が該冷却材に対し人体側に位置する請求項1記載の防暑具。
【請求項3】 前記着衣本体に吸水シートを備える請求項1または2記載の防暑具。
【請求項4】 前記着衣本体に身体への取付ベルトを有する請求項1〜3のうちいずれか一項記載の防暑具。
【請求項5】 冷却剤と蓄熱材の使用量が変動自在である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の防暑具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人体に着用されるもので、冷却材と、該冷却材を収納する保冷用具と、該保冷用具を着脱自在に装着する着衣本体とを備える防暑具に関し、詳しくは、作業用無塵服、消防士の防火服又はカーレーサーのレーシングスーツ等、密閉性の高い着衣の内側に着用される防暑具に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体工場等のクリーンルーム内において作業をする場合、無塵服を着用して作業を行うが、無塵服は人体及び着用している衣服等が発散する体液等を含む汚れ、チリ等をクリーンルーム内に拡散させない目的で着用するため、無塵服の材質が風や水分を通さず、作業中における体温上昇時の発汗時、汗が全く気化しない状況となる。製造ラインにおけるデータ観測等の着座状態での作業の場合を除き、機械設備等の保守整備、クリーンルーム内における機械設備等の組立て作業など身体の動的運動を伴う作業を行う場合、工場内の空調設備はあるものの、無塵服内は汗等体液が外部に拡散されないために湿度が急激に上昇し、熱が逃げない構造により、かなり蒸し暑い状態を強いられてきた。
【0003】一方、電算機室内あるいは通信機室内などの通常より高い温度環境下において、作業者が着用する冷却用着衣は知られており、例えば、特開平10−259513号公報には、人体に着用されるもので、前記人体を冷却する冷却材と、この冷却材を分離可能に包み少なくとも前記冷却材に接触する側の面が吸水性を有する断熱材と、この断熱材を出入自在に収納する収納部材と、この収納部材を着脱自在に装着し前記人体に着用される着衣本体と、を具備したことを特徴とする冷却用着衣が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】クリーンルーム内で着用する無塵服用の防暑具は、現在製品化されているものは存在しない。同製品に近い技術としては、レーシングドライバー等が使用する耐熱服を構成する素材の間にチューブ等を通し、チューブ内に冷却したクーラント等を注入することにより、身体の冷却を目的としたクールスーツが存在する。しかし、かかるクールスーツは、重量が重く肢体の自由な運動が制限される、注入されたクーラント自体が体温により温度上昇してしまうため長時間の冷却が難しい、無塵服の素材において体内から発生する水分の蒸発が期待できない、等の問題点がある。
【0005】また、前記特開平10−259513号公報に開示された冷却用着衣は、断熱シートに水分が吸収される構造ではあるが、吸収しきれない凝縮水が人体に付着し、冷却用着衣自体が肌着にまとわりつく等、着用者に対しかなりの不快感を与えると同時に、水分が吸収された断熱シートの重量が重くなり、着用者にとって労働上の負担がかかるという不都合があった。また、かかる冷却用着衣を肌着の上に着用するのでは、動きづらい上、実際上は冷却の効果を十分に発揮できないおそれがあった。
【0006】そこで本発明の目的は、上記問題点を解消し、例えば、無塵服の下に着用した場合には、この無塵服と人体の皮膚との間の雰囲気温度を身体にとって快適な温度である25℃前後に保ち、快適な作業環境を実現することができると共に、行動を阻害することのない防暑具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の防暑具は、冷却材と、該冷却材を取り出し自在に収納する保冷用具と、該保冷用具を着脱自在に装着する着衣本体とを備える防暑具において、前記保冷用具に蓄熱材が収容され、該蓄熱材の片面が前記冷却材と接触することを特徴とする。冷却材と蓄熱材からなる保冷用具を収容させた防暑具を着用することにより、例えば、密閉性の高い無塵服を着衣した場合、身体にとって快適な温度(25℃前後)を保持することができる。また、本発明の防暑具は、人体に直接着用可能であり、肌着の上に着用した時と比べ、十分な冷却保持効果が期待できる。
【0008】本発明の防暑具は、無塵服の下に着用され、前記保冷用具内の冷却材が該無塵服側に、蓄熱材が該冷却材に対し人体側に位置するようにする。これにより、冷却材の冷気が直接的に皮膚に伝わることを防ぐと共に、長時間の保冷効果を保持することができる。
【0009】また、本発明の防暑具は、前記着衣本体に吸水シートを備えることが好ましい。これにより、体内から発散される汗等の水分を除湿及び吸水し、快適な着用感を得ることができる。
【0010】さらに、本発明の防暑具は、前記着衣本体が身体への取付ベルトを有するものである。
【0011】さらにまた、本発明の防暑具は、冷却剤と蓄熱材の使用量が変動自在である。これにより、無塵服と皮膚との間の雰囲気温度のコントロールが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の防暑具の実施の形態について説明する。図1に示す本発明の防暑具1は、無塵服の下への着用に特に適しており、かかる無塵服内部を快適な温度に保つことができる。防暑具1は、蓄熱材40を収容する被覆シート20内に冷却材30を取出し自在に収納する保冷用具10と、保冷用具10を着脱自在に装着する着衣本体50と、この着衣本体50を身体へ着用させるための取付ベルト60とで構成されている。
【0013】冷却材30は、例えば、図2に示すように、0℃以下の温度で凍結させた高級アルコール系界面活性剤、例えば、ポリプレングリコール等からなる冷却剤31と、この冷却剤31を被覆するカバー32とで構成することができる。この冷却材30は、図3に示すように、被覆シート20の無塵服側Aに設けられた袋部22内に着脱自在に収納される。尚、冷却材30用の袋部22は、図中、保冷用具10内に2個設けられているが、これに限らず、1個でも3個以上設けてもよい。袋部22を複数設け、その中に収納させる冷却材30の数を変えることにより冷却剤31の量を変えることができる。
【0014】蓄熱材40は、人体側Bに配置されるように被覆シート20内に収容されている。蓄熱材40は、断熱、保温、クッション性を兼ね備えた素材、例えば、冷却剤31と同種の材料にて形成されており、冷却材30の冷気が直接的に皮膚や肌着に伝わることを防ぐ効果を奏する。
【0015】被覆シート20は防水性および耐久性に優れた素材であれば特に制限されるものではなく、内部に冷却材30と蓄熱材40とを収容可能な構造にて形成する。被覆シート20の人体接触側には断熱材21を設けることが好ましい。断熱材21は、冷却材30からの冷気を皮膚表面で25℃前後の温度に保持することができ、優れた断熱効果を有する素材、例えばポリ塩化ビニル(PVC)製ラミネートシートを使用することが好ましい。断熱材21は、無塵服の着用中における静電気の発生防止、冷却材30の温度が直接人体に触れることを防止する効果も有する。
【0016】着衣本体50は、好適には無塵服と同様の素材にて形成し、人体の胸部周辺に配置されるU字形状の前面部51と、人体の背中周辺に配置される後面部52とからなる。また、前面部51と後面部52とは、面ファスナー53等にて接合自在としておくことが好ましい。
【0017】図示する好適例においては、前面部51に、保冷用具10を収納させるための袋体54が設けられており、袋体54の開口部55には、保冷用具10を収納させた後固定させるための面ファスナー53が裁縫されている。また、前面部51の先端部分には、取付ベルト60に接合するための突片56が設けられており、突片56の先端には面ファスナー63が裁縫されている。袋体54の無塵服側には挿入用ガイド57が設けられている。挿入用ガイド57には、不織布等の吸水材からなる包装材の中にシリカゲル等を入れたもの(吸水シート)を挿入することが好ましい。吸水シートは身体と無塵服内部の雰囲気温度を一定にするための除湿効果を奏するものである。なお、挿入用ガイド57の数は限定されるものではない。
【0018】後面部52は、保冷用具10を収容する被覆材58からなり、一端は面ファスナー53を介在させて前面部51に接合されている。また、後面部52の他端には、吸水シートを装着させるための挿入用ガイド59が設けられている。さらに後面部52の人体接触面には、着衣本体50を腰周辺にて保持する取付ベルト60の通し穴が設けられている。
【0019】前記取付ベルト60の一端には、ベルト取付金具61が設置されており、略中央部分には、前記前面部51の突片56の面ファスナー63に係合される面ファスナー62が設けられている。
【0020】次に、本発明の防暑具の使用方法を説明する。先ず、予め0℃以下の温度で凍結させた冷却材30を被覆シート20の袋部22内に入れ、次いで、冷却材30が無塵服側に配置されるように、保冷用具10を前面部51と後面部52に収納する。
【0021】次に、保冷用具10の冷却材30が無塵服側に、蓄熱材40が人体側に配置され、前面部51の保冷用具10が人体の胸部周辺に、後面部52の保冷用具10が背中周辺に配置される状態に着衣本体50を配置する。その後、面ファスナー63と面ファスナー62を係合させてベルトの長さを調整し、取付ベルト60の先端をベルト取付金具61にて連結して身体に適するように防暑具1を保持する(図4)。身体に直接防暑具1を着用した後、その上に無塵服を着用する。
【0022】なお、本発明の防暑具1は、密閉性の高い着衣に好適であるため、クリーンルーム内で使用する無塵服に限らず、消防士が着用する防火服や、オートバイ乗車時に着用する革ジャンパー等の内部に着衣してもよいことは言うまでもない。この場合、保冷用具1の断熱構造と、冷却剤31及び蓄熱材40の分量比により雰囲気温度の設定を適材適所変更することが可能である。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の防暑具は、上述の構成とすることで以下に示す効果を奏するものである。
【0024】冷却材と蓄熱材を有する保冷用具を備える防暑具を着用することにより、密閉性の高い無塵服を着衣した場合でも、身体にとって快適な温度を保持することができる。また、無塵服側に冷却材を、被覆シートの人体接触側に断熱材を設置させることで冷却材の冷気が直接的に皮膚に伝わることを防ぐと共に、長時間の保冷効果を保持することができる。さらに、着衣本体に吸水シートを設けることにより、体内から発散される汗等の水分を吸水・除湿し、無塵服を人体の皮膚との間の雰囲気温度を身体にとって快適な温度である25℃前後に保ち、快適な装着感を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】500200650
【氏名又は名称】伊藤 教行
【出願日】 平成12年6月12日(2000.6.12)
【代理人】 【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
【公開番号】 特開2001−355107(P2001−355107A)
【公開日】 平成13年12月26日(2001.12.26)
【出願番号】 特願2000−174739(P2000−174739)