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【発明の名称】 着脱容易なワンピースタイプの衣服
【発明者】 【氏名】石川 恵美子

【氏名】松本 真吾

【要約】 【課題】着脱しやすく、かつ着用時の審美性を損なわないワンピースタイプの高齢者向き衣服。

【解決手段】前身頃1の衿ぐり2から胸部又は腹部にかけての中心部分3が、上開き開閉可能に中心線4の両側において切り込まれ、かつ、前記切込み5,5’が、係止具6によって接合、解離自在に縫製されている。係止具として、ファスナー、面ファスナー又はホックが好適である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】前身頃(1)の衿ぐり(2)から胸部又は腹部にかけての中心部分(3)が、上開き開閉可能に中心線(4)の両側において切り込まれ、かつ、前記切込み(5,5’)が、係止具(6、6’)によって接合、解離自在に縫製されていることを特徴とする、着脱容易なワンピースタイプの衣服。
【請求項2】係止具として、ファスナー、面ファスナー又はホックが用いられていることを特徴とする、請求項1記載の着脱容易なワンピースタイプの衣服。
【請求項3】前記の開閉可能な前身頃中央部分の長さが、衿ぐりから約50〜80cmであることを特徴とする、請求項1または2記載の着脱容易なワンピースタイプの衣服。
【請求項4】前記の開閉可能な前身頃中央部分の幅が、約14〜40cmであることを特徴とする、請求項1、2または3記載の着脱容易なワンピースタイプの衣服。
【請求項5】係止具部分に前立て(7)を被せたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の着脱容易なワンピースタイプの衣服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、着脱性、着用快適性に優れたワンピースタイプの衣服に関し、とくに婦人、高齢者用ワンピースタイプの衣服として好適である。本発明におけるワンピースタイプの衣服としては、オフィスウエア、作業服、食品白衣、看護白衣、患者衣、介護衣、パジャマ、寝間着、スポーツウエア、厨房衣、ホームウエア、肌着、ブラックフォーマル等が含まれる。
【0002】
【従来の技術】若年期や壮年期には自由に着脱できた衣服であっても、高齢になるにつれ、身体機能が低下して腕のあがる範囲が小さくなるなどのために、誰しも衣服の着脱に不自由を感じるようになる。このような高齢者向けの衣服として、最近では着やすいパジャマや下着類が介護用品店等において見られるようになり、また、これに類する衣料としても、例えば、特許公報第2978492号に記載の被介護者用の着脱容易なパジャマ等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来、高齢者あるいは被介護者等を対象に着やすい衣服として提案され、あるいは販売されている衣服の多くはパジャマや下着類である。一方、上着類については、好みや体型が多様過ぎる理由からか、市中において着やすいように工夫したものが殆ど見られず、各人が必要にせまられてオーダーメードにより縫製し、あるいは既製服のサイズ直し・リフォームなどを行って着用するのが一般的であった。各人が勘や不正確な情報をもとに依頼する結果、出来上がった衣服が必ずしも要望した機能を充足しておらず、またデザイン的にも満足できないことが少なくなかった。なかでもワンピースタイプの衣服は高齢者等にとって着用感にすぐれてはいるが、着脱し辛いものであった。本発明では、主に婦人高齢者を対象にした上着類、すなわち着脱しやすく、かつ着用時の審美性を損なわないワンピースタイプの衣服を検討し、広く一般に提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の目的を達成するために、前身頃1の衿ぐり2から胸部又は腹部にかけての中心部分3が、上開き開閉可能に中心線4の両側において切り込まれ、かつ、前記切込み5,5’が、係止具6によって接合、解離自在に縫製されていることを特徴とする、着脱容易なワンピースタイプの衣服を提供する。本発明では、係止具として、ファスナー、面ファスナー又はホックが好適である。そして、前記の開閉可能な前身頃中央部分の長さは衿ぐりから約50〜80cmが好ましく、また、その幅は約14〜40cmが好ましい。さらに、デザイン上の問題があれば、切込みおよび係止具部分に前立て7を被せて問題をカバーすることができる。なお、本発明において、中心は前身頃の幅方向における中央を意味する。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明にかかる着脱容易なワンピースタイプの衣服について、実施形態例を示す図面を参照しつつ具体的に説明する。図1には、本発明に係るワンピースタイプの衣服(ワンピ−ス)を例示した。
【0006】図示した本発明にかかるワンピースでは、前身頃1の衿ぐり2から胸部又は腹部にかけての、すなわち前身頃上部の中心部分3が、上開きに開閉可能となるように前身頃中心線4の両側においてそれぞれ1条ずつ線状に切り込まれている。この切込み5,5’(図中、位置を示す。前立て7のために正面からは見えない。)は、係止具6(切込みに同じ)によって適宜、容易に接合(「閉じる」ともいう)、解離(「開く」ともいう)できるように縫製されている。したがって、切込み5,5’を開くと前身頃の中心部分3が上開きになって実質的に衿回り、肩回りが広がり、閉じれば上開きになった中心部分3が閉まって衿ぐり2は、通常の着用状態になる。
【0007】さて、高齢者等が、本発明ワンピースを着用する際には、前胸部両側の切込み5,5’を開き、裾から頭部を挿入し、頭部を衿ぐり2に、両腕を袖に通して、衣服を引き下げ、両側の切込み5,5’を閉じればよい。あるいは、両側の切込み5,5’を開き衣服の上端部から両足を挿入し、衣服を引き上げ、両腕を袖に頭部を衿ぐり2に通し、切込み5,5’を閉じて着用する。切込み5,5’が左右に1条ずつ設けられているので、前述したように首回り、肩回りが無理なく広がり、高齢者にとっても袖への腕通しが非常に楽になって容易にワンピースを着脱できるようになった。
【0008】また、後述の実施例、比較例に示すように実際に確認してみると、切込みが左、右又は中心のいずれかに1条しかないワンピースタイプの衣服では、腕を上に上げにくい、曲げにくいという支障の程度が比較的小さい高齢者の場合でも、両腕を袖に通す際にワンピースが突っ張って、一人では着用しにくい。また、着脱時に開閉する切込みが3カ所以上になると、着脱の動作が煩雑になり、時間がかかるので好ましくない。ただし、着脱時の開閉には無関係の、例えば単にデザイン上の理由で設けられる切込みは除外する。一方、前身頃の中心部とワンピースとが分離するようにすれば衣服の着脱自体は容易になるが、前身頃の中心部分が衣服から分離してしまうので着用時に接合部分を判別しにくく、結果的に容易に着用できる状態ではなかった。
【0009】また、本発明に係るワンピースタイプの衣服では、着用者の体形、衣服の大きさ等にもよるが、総じて開閉可能な前身頃中心部分の長さが、衿ぐりから約50〜80cmの範囲が好ましい。一般的に50cmより短くなると着脱に際して身体周長の一番大きな臀部を通すのが窮屈になる。逆に80cmよりも長くすると、開いた前身頃中心部分が床方向に下がりすぎて、着用後、前屈みにならないと開いた中心部分の上端を引き上げられないという欠点がある。
【0010】さらに、開閉可能な前身頃中心部分の幅は、脇下近辺の位置で約14〜40cmの範囲、すなわち前身頃中心線から左右に各々7〜20cm離れたところに切込みを設けるとよい。中心線からの距離が7cmより小さいと、開くことのできる前身頃の幅が狭くなり、両腕の出し入れが不自由になる。逆に20cmより大きくなると、腕の出し入れはしやすいが切込みが両脇に寄りすぎて係止具を操作し辛くなり、デザイン上にも難しい点がある。より好ましくは、前身頃中心線から左右に各々10〜15cm程度離れたところに切込みを設けることによってデザイン上の問題を解決しつつ、着脱性の向上効果を発揮することができる。なお、切込みは直線に限られず、また、左右の切込みの位置は対象あるいは平行でなくともよい。
【0011】また、切込みの開閉に用いる係止具にとくに制限はないが、ファスナー、面ファスナー、紐、ベルト、ホック、ボタン、ドットボタン等を用いることができる。着脱の容易さにおいてはファスナー、面ファスナーあるいはホックを使用することが好ましい。そして、デザイン的には、その自由度を増すために切込部分や係止具が正面から見えないように、これらの部分を前立て等で覆うとよい。
【0012】
【実施例】以下、図1に示されるのと同じタイプのワンピースを本発明を利用して、あるいは本発明と比較するために試作し、評価を行ったので、実施例および比較例として説明する。なお、実施例及び比較例の評価は、着脱性、着用感、審美性(外観)について行い、とくに優れるものを◎、かなり良好なものを〇、良好なものを△、従来の通常レベルもしくはそれ以下のレベルにとどまるものを×として、その結果を表1に示した。
【0013】実施例1〜5評価に使用した本発明ワンピースの仕様とその評価結果を表1に示した。
【0014】比較例1実施例と同じタイプの、ただし前身頃には切込みがなく、後身頃衿ぐりの中心にファスナーを係止具とする切込みのある一般的なワンピースを試作し、実施例と同様に評価したので、その仕様と評価結果を表1に示す。
【0015】比較例2〜4実施例に試作したのと同じタイプの、ただし表1に示す仕様のワンピースを試作し、実施例と同様に評価したので、その評価結果を表1に示す。
【0016】比較例5実施例に試作したのと同じタイプの、ただし、前身頃には中心の1ヶ所に切込みを入れたにワンピースを試作し、実施例と同様に評価したので、その仕様と評価結果とを表1に示す。
【0017】比較例6実施例に試作したのと同じタイプの、ただし、前身頃中心線の両側に加えて中心線上にも切込みを入れたにワンピースを試作し、実施例と同様に評価したので、その仕様と評価結果とを表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
【発明の効果】本発明に係る着脱容易なワンピースタイプの衣服は、前身頃の切込みの数、長さ、位置を実地に検討した結果を採用しているに工夫をこらしているので、腕や肩を動かすのが不自由な高齢者等にも楽に着脱することができる。そして、これまで着用を敬遠していたワンピースタイプの衣服を気軽に着用できるようになる。また、前立てによってこの切込部分や係止具が外から見えなくすることができるので、従来のワンピースタイプの衣服と同様にデザインし着用することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】 【識別番号】100090505
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 充
【公開番号】 特開2001−348711(P2001−348711A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−164020(P2000−164020)