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【発明の名称】 身体保護用衣服
【発明者】 【氏名】酒井 健一郎

【氏名】笹目 淳

【要約】 【課題】自動車の衝突による衝撃を吸収して、着用者の身体に与えるダメージを少なくする。

【解決手段】本発明の身体保護用衣服は、肩部において、身頃2,3を形成する布地と、補強用ベルト部5を構成する肩ベルト51とが共に折り重ねられていると共に、その折り重ね部位Aに、縫製糸6aを用いてミシンにより縫い合わされることにより複数の縫合線61〜64が形成されている。自動車が衝突した場合には、折り重ね部位Aが荷重を受けて縫製糸6aが次々に破断し、これにより形成される縫合線61〜64が順次解れていくことで衝撃を吸収し、着用者の身体に与える衝撃を緩和することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 身頃と、この身頃に取り付けられる補強用ベルト部材と、自動車に装備されたシートベルトに接続される接続部とを備えた身体保護用衣服であって、肩部において、前記身頃を形成する布地と前記補強用ベルト部材の少なくとも一方が、折り重ねられていると共に、その折り重ね部位が、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされていることを特徴とする身体保護用衣服。
【請求項2】 請求項1記載の身体保護用衣服であって、前記身頃を形成する布地と、前記補強用ベルト部材を構成する肩ベルトとが重なり合うように固着されており、前記肩部において、当該布地と肩ベルトとが共に折り重ねられ、その折り重ね部位が、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされていることを特徴とする身体保護用衣服。
【請求項3】 請求項1又は2記載の身体保護用衣服であって、前記折り重ね部位に、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされることにより複数の縫合線が形成されていることを特徴とする身体保護用衣服。
【請求項4】 請求項3記載の身体保護用衣服であって、前記複数の縫合線が、前記折り重ね部位の襟ぐりと袖ぐりとの間で上下方向に並列に形成されていることを特徴とする身体保護用衣服。
【請求項5】 身頃と、この身頃に取り付けられる補強用ベルト部材と、自動車に装備されたシートベルトに接続される接続部とを備えた身体保護用衣服であって、前記身頃又は補強用ベルト部材との間に、前記接続部として機能する隙間が形成されるように両端が固着されるベルト通し部に、固着部位である両端にそれぞれ隣接して、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされることにより複数の縫合線を形成したことを特徴とする身体保護用衣服。
【請求項6】 請求項5記載の身体保護用衣服であって、前記複数の縫合線が、前記ベルト通し部の上下方向に並列に形成されていることを特徴とする身体保護用衣服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車事故などから乗車している者の身体を保護する身体保護用衣服に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車事故から子供を保護するため、チャイルドシートが普及している。しかし、自動車用のチャイルドシートは、通常、バケット型で、自動車に装着した場合にはスペースをとられるし、重量が重いため、持ち運びに不便で脱着も面倒であるという欠点を有する。もちろん、一旦装着した後、外すことがなければさほど問題とならないが、大人だけで乗車する場合や、他人の自動車に子供を乗せてもらう場合など、チャイルドシートの装着、脱着を行わなければならない機会も多い。このような問題を解消するため、このチャイルドシートに代わるものとして、近年、シートベルトとの接続部を備えたベスト型、半袖の洋服等の布地からなる身体保護用衣服が開発されている。
【0003】この身体保護用衣服は、着衣、脱衣が容易であると共に、布地からなるため軽量で持ち運びも容易であるという利点を有する。かかる身体保護用衣服は、万一の事故に備え、相当の荷重がかかった場合でも身頃が破損等したりすることがないように、また、着用者の身体を保持することができるように作られている必要があり、身頃には、その肩、胸、腰等の部位に補強用ベルト部材が付設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の身体保護用衣服では、自動車のシートに着用者の身体をある程度の自由度を持って固定することはできるが、着用者の身体を補強用ベルト部材が付設された身頃により包み込むようにして保持する構造であるため、自動車が衝突した際には、着用者の身体に直接その衝撃が加わるという欠点がある。
【0005】本発明は上記した点に鑑みなされたものであり、自動車が衝突した際の衝撃を吸収して、着用者の身体に与えるダメージを少なくすることができる身体保護用衣服を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決するため、請求項1記載の本発明の身体保護用衣服は、身頃と、この身頃に取り付けられる補強用ベルト部材と、自動車に装備されたシートベルトに接続される接続部とを備えた身体保護用衣服であって、肩部において、前記身頃を形成する布地と前記補強用ベルト部材の少なくとも一方が、折り重ねられていると共に、その折り重ね部位が、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされていることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の本発明の身体保護用衣服は、請求項1記載の身体保護用衣服であって、前記身頃を形成する布地と、前記補強用ベルト部材を構成する肩ベルトとが重なり合うように固着されており、前記肩部において、当該布地と肩ベルトとが共に折り重ねられ、その折り重ね部位が、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされていることを特徴とする。
【0008】請求項3記載の本発明の身体保護用衣服は、請求項1又は2記載の身体保護用衣服であって、前記折り重ね部位に、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされることにより複数の縫合線が形成されていることを特徴とする。
【0009】請求項4記載の本発明の身体保護用衣服は、請求項3記載の身体保護用衣服であって、前記複数の縫合線が、前記折り重ね部位の襟ぐりと袖ぐりとの間で上下方向に並列に形成されていることを特徴とする。
【0010】請求項5記載の本発明の身体保護用衣服は、身頃と、この身頃に取り付けられる補強用ベルト部材と、自動車に装備されたシートベルトに接続される接続部とを備えた身体保護用衣服であって、前記身頃又は補強用ベルト部材との間に、前記接続部として機能する隙間が形成されるように両端が固着されるベルト通し部に、固着部位である両端にそれぞれ隣接して、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされることにより複数の縫合線を形成したことを特徴とする。
【0011】請求項6記載の本発明の身体保護用衣服は、請求項5記載の身体保護用衣服であって、前記複数の縫合線が、前記ベルト通し部の上下方向に並列に形成されていることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。図1は本発明の一の実施の形態にかかる身体保護用衣服1を正面側からみた斜視図であり、図2はこの身体保護用衣服1を背面側からみた斜視図である。この身体保護用衣服1は、前身頃2及び後身頃3を構成する布地を、所定部位を縫製することにより袖なしのベスト型に形成されている。
【0013】前身頃2の略中央には、襟ぐり1aから裾1bにかけて着衣又は脱衣のための開閉部21が設けられ、この開閉部21はファスナにより開閉するようになっている。後身頃3には、その両端が後身頃3を形成する布地に強固に縫合されたベルト通し部4が設けられており、後身頃3とベルト通し部4との間に形成される隙間に、自動車に装着されているシートベルト7を挿通する構成となっている。すなわち、この後身頃3とベルト通し部4との隙間がシートベルト7との接続部として機能する。
【0014】図2は身体保護用衣服1の内部に付設された補強用ベルト部材5を正面側からみた斜視図である。この補強用ベルト部材5は、前身頃2の裏面側と後身頃3の裏面側に縫製されており、両側の肩部に位置する肩ベルト51と、胸部に位置する胸ベルト52と、裾部に位置する裾ベルト53とを有して構成されている。かかる補強用ベルト部材5は、前身頃2及び後身頃3を構成する布地のみで構成した場合よりも、耐荷重強度を大きくするために設けられるものである。また、胸ベルト52及び裾ベルト53は正面の中途で分断され、それぞれ、その端部にバックル52a,53aが設けられており、これらのバックル52a,53aによって胸ベルト52又は裾ベルト53を締めると、着用者の身体にフィットさせることができる。
【0015】上記した身体保護用衣服1は、自動車が衝突した際の衝撃を吸収するため、両側の肩部及びベルト通し部4に衝撃吸収手段が施されている。すなわち、第1の衝撃吸収手段として、図3(a)及び(b)に示したように、両側の肩部において、前身頃2及び後身頃3を構成する布地と、補強用ベルト部材5を構成する肩ベルト51とが共に折り重ねられていると共に、その折り重ね部位Aが、当該部位Aの襟ぐり1aと袖ぐり1cとの間で上下方向に並列に4本の縫合線61〜64が形成されるように、縫製糸6aを用いてミシンにより縫い合わされている。
【0016】また、第2の衝撃吸収手段として、図4(a)及び(b)に示したように、ベルト通し部4が、後身頃3を形成する布地に対し、その両端が強固に縫合されていると共に、その強固の縫合部位(固着部位)B,Bにそれぞれ隣接して、上下方向に並列に3本の縫合線65〜67が形成されるように、縫製糸6aを用いてミシンにより縫い合わされている。
【0017】なお、第1及び第2の衝撃吸収手段において、縫合線の形成本数は、適宜変更可能であり、その本数が多いほど衝撃吸収力が高められる。縫合線を形成する縫製糸6aの素材は限定されず、天然繊維や合成繊維からなるものを用いることができる。また、縫製糸6aは、衝撃吸収のため、所定以上の衝撃により解ける必要があり、補強用ベルト部材5を身頃2,3に取り付ける際の縫合強度より小さな縫合強度となる縫製手段により、身頃2,3や補強用ベルト部材5に縫い込まれる。
【0018】上記のように縫製された身体保護用衣服1は、自動車に乗車する者が着用し、後身頃3を形成する布地とベルト通し部4との間に形成される隙間(接続部)に、自動車に装着されたシートベルト7を挿通して接続し、使用される。
【0019】通常の使用時において、着用者の上半身は、着用者の腰部付近に位置して配置される身体保護用衣服1の接続部がシートベルトに接続されているのみであるため、ある程度の自由度を有する。従って、自動車やチャイルドシートのシートベルトにより上半身を拘束する場合のような身体的束縛感を与えることがない。
【0020】そして、自動車が衝突した場合には、第1及び第2の衝撃吸収手段により、その衝撃を緩和すると共に、着用者の上半身が前方へ飛び出さないように保持することができる。すなわち、自動車の衝突により、シートに着座している着用者は、その上半身が前傾姿勢となって前方へ飛び出そうとする。この際、ベルト通し部4が、着用者の上半身が前方へ飛び出そうとすることで、自動車のシートベルト7によって後方へ引っ張られる(図5(a)参照)。そして、この際に生ずる荷重によって、ベルト通し部4の、強固の縫合部位B,Bにそれぞれ隣接して、上下方向に並列に配設された3本の縫合線65〜67を形成する縫製糸6aが次々に破断していき、前記縫合線65〜67が、その内側に位置するものから順に解れていく(図5(b)参照)ことで衝撃を吸収し、着用者の身体に与える衝撃を緩和することができる。
【0021】また、この第2の衝撃吸収手段が働くのと同時に、あるいはそれに前後して、第1の衝撃吸収手段が働く。すなわち、両側の肩部に位置する折り重ね部位Aが、着用者の上半身が前方へ飛び出そうとすることで荷重を受け、これにより、当該部位Aに、並列に配設された4本の縫合線61〜64を形成する縫製糸6aが次々に破断していき、前記縫合線61〜64が、後身頃3側に位置するものから順に解れていく(図6(a)参照)。そして、最終的に、折り重ね部位Aの折り返しが解かれる(図6(b)参照)。かかる作用によっても衝撃が吸収されるため、上記した第2の衝撃吸収手段との相互の作用により、着用者の身体に与える衝撃をさらに緩和することができる。
【0022】なお、上記した説明では、補強用ベルト部材5を前身頃2及び後身頃3の裏面側に固着しているが、それらの表面側に固着することもできることはもちろんである。また、補強用ベルト部材5の構成は何ら限定されるものではない。また、前身頃2や後身頃3の適宜位置に通気用のメッシュ部を形成することもできる。さらに、ベルト通し部4は、その両端が必ずしも後身頃3を形成する布地に固着されていなくてもよく、例えば、補強用ベルト部材5を構成する胸ベルト52と裾ベルト53が前身頃2及び後身頃3の表面側に固着されている場合に、ベルト通し部4の両端を、それぞれ、その胸ベルト52と裾ベルト53に固着することもできる。
【0023】また、ベルト通し部4の他の縫合方法としては、例えば、補強用ベルト部材5を構成する胸ベルト52や裾ベルトに、ベルト通し部4の両端を共に内側に折り返して、その両端を強固に縫合し(図7(a)参照)、次に、その強固の縫合部位(固着部位)B,Bに対し、ベルト通し部4の両端に隣接した重なり部位を、縫製糸6aを用いてミシンにより縫い合わせ、上下方向に並列に3本の縫合線65〜67を形成するようにしてもよい(図7(b)参照)。上記実施形態のように、単にその両端を後身頃3に強固に縫合しただけでは、自動車の衝突時において、シートベルト7がベルト通し部4の両端のうちのいずれか一方に偏った場合に、その一方の端部に大きな負荷が集中するため、縫合線65〜67を形成する縫製糸6aのみならず、固着部位Bまでも破断するおそれがあるが、このように両端を共に内側に折り返して後身頃3に強固に縫合しておくことで、固着部位Bの破断を防止することができる。また、縫合線65〜67を胸ベルト52や裾ベルト53に縫い合わせて形成することにより、衝突時において、各ベルトは着用者の身体に密着した状態にあるため、縫合線のみが確実に破断して衝撃を吸収することができる。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の身体保護用衣服は、身頃と、この身頃に取り付けられる補強用ベルト部材と、自動車に装備されたシートベルトに接続される接続部とを備え、肩部において、前記身頃を形成する布地と前記補強用ベルト部材の少なくとも一方が、折り重ねられていると共に、その折り重ね部位が、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされている。これにより、自動車が衝突した場合には、前記折り重ね部位が荷重を受けて縫製糸が破断し、これにより形成される縫合線が解れていくことで衝撃を吸収し、着用者の身体に与える衝撃を緩和することができ、着用者の身体に与えるダメージを少なくすることができる。
【0025】また、前記身頃又は補強用ベルト部材との間に、前記接続部として機能する隙間が形成されるように両端が固着されるベルト通し部に、固着部位である両端にそれぞれ隣接して、縫製糸を用いてミシンにより縫い合わされることにより複数の縫合線が形成されることによっても、自動車が衝突した際に生ずる荷重を受けて縫製糸が破断し、これにより形成される縫合線が解れていくことで衝撃を吸収するため、着用者の身体に与える衝撃を緩和することができ、着用者の身体に与えるダメージを少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000236735
【氏名又は名称】不二精器株式会社
【識別番号】500094691
【氏名又は名称】有限会社笹目
【識別番号】000198271
【氏名又は名称】株式会社ソミック石川
【出願日】 平成13年3月28日(2001.3.28)
【代理人】 【識別番号】100073139
【弁理士】
【氏名又は名称】千田 稔 (外1名)
【公開番号】 特開2001−348709(P2001−348709A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2001−94115(P2001−94115)