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【発明の名称】 分割可能な衣服
【発明者】 【氏名】秋山 清英

【要約】 【課題】体格の良い遺体に対しても死装束を容易に着付けることができると共に、その見栄えが良く、また手足の不自由な患者であっても、無理なく簡単にかつ容易に寝間着やパジャマを着替えさせる。

【解決手段】後衿2を設けた後身頃3と、前衿4及び前立5を設けた前身頃6と、左右の袖部7,8とから成る衣服1であって、後衿2から後身頃3にかけて縦方向に左側部Aと右側部Bとに二分割し、後衿2と後身頃3の接合部9,10で着脱自在に係着するように構成したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 後衿(2)を設けた後身頃(3)と、前衿(4)及び前立(5)を設けた前身頃(6)と、左右の袖部(7,8)とから成る衣服(1)であって、前記後衿(2)から前記後身頃(3)にかけて縦方向に左側部(A)と右側部(B)とに二分割し、前記後衿(2)と前記後身頃(3)の接合部(9,10)で着脱自在に係着するように構成したこと、を特徴とする分割可能な衣服。
【請求項2】 前記接合部(9,10)の後衿(2)の位置、前記後身頃(3)の中間位置(3a)及び裾位置(3b)それぞれに係着具(11)を設けたこと、を特徴とする請求項1の分割可能な衣服。
【請求項3】 前記衣服(1)が、死装束であること、を特徴とする請求項1又は2の分割可能な衣服。
【請求項4】 後衿(22)を設けた後身頃(23)と、前衿(24)及び前立(25)を設けた前身頃(26)と、左右の袖部(27,28)とから成る上衣(21)と、股の分かれ目部分を介して、股上及び股下と腰まわりからなる下衣とによって構成されたパジャマであって、前記上衣(21)における、前記後衿(22)から前記後身頃(23)にかけて縦方向に左側部(C)と右側部(D)とに二分割し、前記後衿(22)及び前記後身頃(23)の接合部(29 ,30)で着脱自在に係着するように構成したこと、を特徴とする分割可能な衣服。
【請求項5】 前記接合部(29 ,30)に、ファスナー(31)を設けたこと、を特徴とする請求項4の分割可能な衣服。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術の分野】本発明は、死装束又は介護用衣服に係り、特に遺体に死装束を着付けたり、又は療養中に介護を必要とする患者、特に手足の不自由な患者、怪我等で一時的に手足を動かすことができない患者、更には自分の意思で手足を動かすことができない寝たきりの患者などに対して、介護者が容易に衣服を着替えさせることができる分割可能な衣服に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、葬儀において弔問客の目の前にも遺体の姿が見苦しくなく、最後の姿が少しでも美しく見えるようにするために、遺体の清めが終了したら、その遺体の姿を整えるのが一般的である。例えば、仏教の死装束では、遺体に僧尼の旅立ちの姿に似せるようにしている。この死装束は、経かたびらと称される白い木綿の着物を着せ、手足に手甲と脚絆を付け、白足袋にわらじを履かせていた。また、形式的に紙製の経かたびらをかけることもある。このときは、遺体に清潔な浴衣や故人が生前愛用した服を着せていた。
【0003】一方、療養生活をしている患者、例えば手足の不自由な患者、怪我等で一時的に手足を動かすことができない患者又は自分の意思で手足を動かすことができない寝たきりの患者を介護するに当たっては、患者の身辺を清潔に保つため、下着や浴衣やパジャマなどの着衣を頻繁に着替えさせる必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したように、遺体に対して着物の形をした死装束を着付けることは、遺体が硬直しているために、手や腕に着物の袖を通すことは大変な作業であるという問題を有していた。特に、遺体の重量が重いときは、数人がかりで死装束を着付ける必要があった。また、前合わせ部分が見苦しいときも、それを直すのに手間がかかるという問題を有していた。
【0005】また、同様に手足の不自由な患者でも、その手足の自由な患者が着用している浴衣やパジャマと同じ衣服を着用しているので、これらの衣服の着替えが容易でないという問題を有していた。例えば、従来の寝間着は、いずれも袖に腕を通したり、身ごろに胴体を通す形であるため、着たり脱いだりする場合に、無理な体勢を強いることになり、病人や老人などの体の不自由な者が一人で行うことができず、介護者が付いても寝たままの状態で着替え等を行うのは容易でなかった。また、体を拭くなど介護に不便が伴うという問題を有していた。
【0006】本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、体格の良い遺体に対しても死装束を容易に着付けることができると共に、その見栄えが良く、また手足の不自由な患者であっても、無理なく簡単にかつ容易に寝間着やパジャマを着替えさせることができる分割可能な衣服を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、後衿(2)を設けた後身頃(3)と、前衿(4)及び前立(5)を設けた前身頃(6)と、左右の袖部(7,8)とから成る衣服(1)であって、前記後衿(2)から前記後身頃(3)にかけて縦方向に左側部(A)と右側部(B)とに二分割し、前記後衿(2)と前記後身頃(3)の接合部(9,10)で着脱自在に係着するように構成したこと、を特徴とする分割可能な衣服が提供される。前記接合部(9,10)の後衿(2)の位置、前記後身頃(3)の中間位置(3a)及び裾位置(3b)それぞれに係着具(11)を設けることができる。
【0008】上記発明の構成では、衣服(1)が後衿(2)から後身頃(3)にかけて縦方向に左側部(A)と右側部(B)とに二分割し得るので、先ず、左側部(A)の左袖部(A)に手足が不自由で起き上がれない患者の手や腕を通し、次にその患者の左側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃(3)の中間位置(3a)から裾位置(3b)を挟み込み、同時に肩部分から後衿(2)を挟み込む。同様に、右側部(B)の右袖部(8)を患者の手や腕を通し、次にその患者の右側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃(3)と後衿(2)を挟み込み、最後に左側部(A)の係着具(11)に右側部(B)の係着具(11)を係着させて、着替えを完了させることができる。このように、患者は起き上がる必要がなく、また介護者は患者を持ち上げる必要がなく、無理な体勢をとらずに着替えさせることができる。
【0009】前記衣服(1)は、死装束として用いることができる。
【0010】本発明の分割可能な衣服(1)は、患者用の寝間着や浴衣に代えて葬式における、いわゆる死装束として用いることができる。死装束として、本発明を用いるときは、患者のときとは異なり、二分割した後身頃(3)の接合部(9,10)を特に止める必要はないが、見栄えの点から後衿(2)は必ず係着させる必要がある。
【0011】また、本発明の分割可能な衣服は、後衿(22)を設けた後身頃(23)と、前衿(24)及び前立(25)を設けた前身頃(26)と、左右の袖部(27,28)とから成る上衣(21)と、股の分かれ目部分を介して、股上及び股下と腰まわりからなる下衣とによって構成されたパジャマであって、前記上衣(21)における、前記後衿(22)から前記後身頃(23)にかけて縦方向に左側部(C)と右側部(D)とに二分割し、前記後衿(22)及び前記後身頃(23)の接合部(29 ,30)で着脱自在に係着するように構成したものである。前記接合部(29 ,30)に、ファスナー(31)を設けることが好ましい。
【0012】上記発明の構成では、本発明の分割可能な衣服は、上述した着物形状に限定されず、パジャマ形式に構成することができる。特に、パジャマの上衣(21)における後衿(22)から後身頃(23)にかけて縦方向に左側部(C)と右側部(D)とに二分割するので、例えば左側部(C)の左袖部(27)に患者の手や腕を通し、次にその患者の左側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃(23)を挟み込み、同時に肩部分から後衿(22)を挟み込む。同様に、右側部(D)の右袖部(28)も患者の手や腕を通し、次にその患者の右側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃(23)を挟み込み、肩部分から後衿(22)を挟み込み、最後に左側部(C)の接合部(29)に右側部(D)の接合部(30)のファスナー(31)で止めて、着替えを完了させることができる。なお、パジャマの下衣は、患者の足を持ち上げて 股下から及び股上と腰まわりにかえて穿かせるように着替えさせることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、図において共通の部材には同一の符号を付し重複した説明を省略する。図1は本発明の寝間着、浴衣又は死装束に係る分割可能な衣服の第一の発明の実施の形態を示す正面図である。図2は第一の発明の実施の形態における分割可能な衣服を患者に着替えさせた状態を示すものであり、正面図(a)と背面図(b)である。第一の発明の実施の形態に係る分割可能な衣服1は、寝間着、浴衣又は死装束であり、後衿2を設けた後身頃3と、前衿4及び前立5を設けた前身頃6と、左右の袖部7,8とから成るものである。
【0014】本発明の分割可能な衣服1は、後衿2から後身頃3にかけて縦方向に左側部Aと右側部Bとに二分割したものである。この後衿2と後身頃3の接合部9,10で着脱自在に係着し得るようになっている。
【0015】図示例における、寝間着、浴衣又は死装束に係る衣服1の接合部9,10に設ける係着具11としては、マジックテープ(登録商標)を所要間隔をあけて縫着したものがある。また、この係着具11は、対応位置に係脱自在の面ファスナー(図示していない)を間隔あけて複数貼着したもの、更に後衿2に相当する部分には一対のホック(図示していない)を設けたものである。
【0016】このように構成した衣服1を、患者に着替えさせるときは、先ず、例えば左側部Aの左袖部7に、手足が不自由で起き上がれない患者の手や腕を通し、次にその患者の左側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃3の中間位置3aから裾位置3bを挟み込む。このとき同時に患者の肩部分から後衿2を挟み込む。
【0017】次に、衣服1の右側部Bを患者に着せるときも、左側部Aと同様に、右袖部8に患者の手や腕を通し、次にその患者の右側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃3と後衿2を挟み込む。このように、本発明の分割可能な衣服1は、手や腕を一切曲げなくても各袖部7,8を通すことができるので、手足の不自由な患者、怪我等で一時的に手足を動かすことができない患者又は自分の意思で手足を動かすことができない寝たきりの患者に対して容易に着替えさせることが可能である。
【0018】最後に左側部Aの係着具11に、右側部Bの係着具11を係着させて、着替えを完了させることができる。このように、患者は起き上がる必要がなく、また介護者は患者を持ち上げる必要がなく、無理な体勢をとらずに着替えさせることができる。
【0019】更に、本発明の分割可能な衣服1は、手や腕を一切曲げなくても各袖部7,8に通すことができるので、硬直した遺体における死装束として用いることも可能である。本発明の分割可能な衣服1をこのような死装束として用いるときは、介護用の患者のときとは異なり、二分割した後身頃3の接合部9,10を特に止める必要はないので、係着具11を設けないものでもよい。但し、見栄えの点から後衿2にはフック等の係着具11を設けて、必ず両後衿2を係着させる必要がある。
【0020】図3は本発明のパジャマの上衣に係る分割可能な衣服の第二の発明の実施の形態を示す正面図である。図4は第二の発明の実施の形態における分割可能な衣服を患者に着替えさせた状態を示すものであり、正面図(a)と背面図(b)である。第二の発明の実施の形態における分割可能な衣服21は、後衿22を設けた後身頃23と、前衿24及び前立25を設けた前身頃26と、左右の袖部27,28とから成る上衣21と、股の分かれ目部分を介して、股上及び股下と腰まわりからなる下衣とによって構成されたパジャマである。このパジャマの上衣21における、後衿22から後身頃23にかけて縦方向に左側部Cと右側部Dとに二分割し、後衿22及び後身頃23の接合部29,30で着脱自在に係着するように構成したものである。
【0021】このパジャマの上衣21の接合部29 ,30には、図示するようなファスナー31を設ける。このファスナー31は、患者の背中で違和感が生じないように、極めて細かい目のファスナーが望ましい。なお、第一の発明の実施の形態と同様に、マジックテープの縫着又はホックを設けることも可能である。
【0022】図5は第二の発明の実施の形態における分割可能な衣服の係着部分にファスナーを用いた実施の形態を示すものであり、後身頃の部分斜視図(a)とファスナー部分の拡大斜視図(b)である。図示するように、後身頃23の接合部29,30をファスナー31で係着するときは、患者の背中で違和感が生じないように、片方の接合部30にファスナー31を覆うように折返し32を設けることができる。
【0023】図6は第二の発明の実施の形態における分割可能な衣服の左側部を患者に着付ける状態を示す斜視図である。第二の発明の実施の形態における分割可能な衣服21を、患者に着替えさせるときは、先ず、左側部Cの左袖部27に手足が不自由で起き上がれない患者の手や腕を通し、次にその患者の左側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃3と後衿2を挟み込む。
【0024】次に、右側部Dの右袖部28も患者の手や腕を通し、次にその患者の右側をやや傾けるように持ち上げ、その背中との隙間に後身頃23を挟み込み、肩部分から後衿22を挟み込み、最後に左側部Cの接合部29に右側部Dの接合部30のファスナー31で止めて、着替えを完了させることができる。なお、下衣(図示していない))は、患者の足を持ち上げて 股下から及び股上と腰まわりにかえて穿かせるように着替えさせることができる。
【0025】なお、本発明は上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、後衿2,22を設けた後身頃3,23を分割して、左側部Aと右側部Bとを設けた衣服1,21を接合部9,10,29,30で接合させる実施の形態について説明してあるが、死装束であれば、後衿2は接合させるが、後見頃3部分は背中で隠れるので、湾曲に切り欠いて接合させないように構成することも可能であり、そのため本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0026】
【発明の効果】上述したように、本発明の分割可能な衣服は、後衿から後身頃にかけて縦方向に左側部と右側部とに二分割し得るので、例えば左右側部の袖部を別々に手足が不自由で起き上がれない患者の手や腕を通し、体の不自由な者が無理なく簡単に自ら着用しあるいは脱ぐことができ、床に伏した状態でも着脱できるので、介護者による着替えや、体を拭くなどの介護に便利である。このように、患者は起き上がる必要がなく、また介護者は患者を持ち上げる必要がなく、無理な体勢をとらずに着替えさせることができる。
【0027】また、体格の良い遺体に対しても死装束を容易に着付けることができると共に、その見栄えが良い、等の優れた効果がある。
【出願人】 【識別番号】500254631
【氏名又は名称】有限会社日清
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】 【識別番号】100099667
【弁理士】
【氏名又は名称】武政 善昭
【公開番号】 特開2001−348706(P2001−348706A)
【公開日】 平成13年12月21日(2001.12.21)
【出願番号】 特願2000−164626(P2000−164626)