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【発明の名称】 被服及び被服の製造方法
【発明者】 【氏名】市村 明彦

【要約】 【課題】綿の比率が高くて吸汗性に富み、かつプリーツの安定性も高い被服を開発する。

【解決手段】被服の生地2は、綿糸5とポリエステル糸6の交編であり、生地全体としての綿糸5とポリエステル糸6の混率は、50%づつである。生地2は、表面側に綿糸5が集中し、裏面側にポリエステル糸6が集中している。裏面の最も外側の平面は、100%ポリエステルである。また生地2は、生地の厚さ方向におけるポリエステル糸と綿糸の比率が不均等であり、ポリエステルが極端に表面側に濃厚に分布し、表面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステル糸の比率が80%を越える。そして生地を所定のパーツに裁断し、プリーツ処理を施し、水洗いして表面側の綿を膨潤させた後に縫製し、被服を完成させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が65%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが90%以上を占める生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服。
【請求項2】 ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が60%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが95%以上を占める生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服。
【請求項3】 ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が65%以下であり、且つ生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であり、一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が70%以上である生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服。
【請求項4】 ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が60%以下であり、且つ生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であり、一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が80%以上である生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服。
【請求項5】 ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が55%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが95%以上を占め、さらに生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であり、一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が80%以上である生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服。
【請求項6】 生地は、編生地であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の被服。
【請求項7】 生地は、交編の編生地であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の被服。
【請求項8】 ポリエステルの比率が高い方の面が肌側であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の被服。
【請求項9】 生地は、プリーツ加工後、縫製前に洗濯されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の被服。
【請求項10】 綿に代わって他の天然繊維を主原料とする糸によって構成された生地を素材とすることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の被服。
【請求項11】 綿とポリエステルの交編の編生地にプリーツ加工を施し、さらに洗濯の後に縫製したことを特徴とする被服の製造方法。
【請求項12】 綿とポリエステルの交編の編生地にプリーツ加工を施し、さらにこれを水に漬けた後に縫製したことを特徴とする被服の製造方法。
【請求項13】 編み生地は、生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であることを特徴とする請求項11又は12に記載の被服の製造方法。
【請求項14】 編み生地は、生地全体におけるポリエステルの比率が55%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが95%以上であり、さらに生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であって一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が80%以上であることを特徴とする請求項11又は12に記載の被服の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シャツ、ブラウス、スカート、パンツ等の被服に係るものであり、特にプリーツ加工が施された被服に関するものである。本発明は、特にポロシャツの構成として好適である。
【0002】
【従来の技術】プリーツは、布に人為的に設けた襞や皺であり、運動量を得るためや装飾目的から、スカートやブラウス等によく利用される。プリーツ加工は、プリーツ機等によって布に折り目等を付けた後、熱を加えて折り目等を定着化させて施される。そして従来技術においては、プリーツ加工を施した後、縫製されて所望の被服が作られていた。また被服の形に縫製された後、プリーツ加工が施される場合もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】プリーツ(襞や皺)は、布の素材に係わらず設けられるが、特にポリエステル製の布にプリーツを施した場合は、プリーツの形状を半永久的に保持することができる。ポリエステルの比率が100%でなくとも半永久的なプリーツを設けることは可能であるが、一般的にポリエステルの比率が低下するとプリーツ形状の安定性が損なわれる。特に編生地においては、ポリエステルの比率が低いとプリーツの形状安定性が悪い。編生地に対して半永久的なプリーツを設けることができるポリエステルの比率の限界は70%であり、ポリエステルの比率が70%未満の場合は、洗濯等によってプリーツが消失してしまう。
【0004】ところで、ポロシャツ等のスポーツウエア等の汗をかく状態で着用する被服は、吸汗性の良い点で綿が多用される。また綿と合成繊維が混じった生地を使用する場合であっても、より綿の比率が高い生地が重宝される。
【0005】そのためスポーツウエア等にプリーツを設ける場合は、吸汗性を犠牲にしてポリエステルの比率が高い生地を使用するか、またはプリーツの安定性を犠牲にしてポリエステルを減らすかの二者択一が必要であった。
【0006】またプリーツ加工を施した被服は、形態が経時的に変化しやすいという問題があった。特に綿糸とポリエステル糸によって構成された生地を使用する場合はこの傾向が顕著であった。この理由は、綿糸とポリエステル糸によって構成された生地はプリーツがかかりにくく、プリーツの皺が経時的に伸び、生地自体が大きくなってしまうからである。すなわち従来技術においては、被服の各パーツの形状自体が変化し、被服が型崩れしてしまう。
【0007】そこで本発明は、従来技術の被服の上記した問題点に注目し、綿の比率が高くて吸汗性に富み、かつプリーツの安定性も高い被服を開発することを課題とするものである。また併せて本発明は、プリーツ加工が施されているにもかかわらず、型崩れを起こしにくい被服の製造方法を開発することを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が65%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが90%以上を占める生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服である。
【0009】また請求項2に記載の発明は、ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が60%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが95%以上を占める生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服である。
【0010】また請求項3に記載の発明は、ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が65%以下であり、且つ生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であり、一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が70%以上である生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服である。
【0011】さらにまた請求項4に記載の発明は、ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が60%以下であり、且つ生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であり、一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が80%以上である生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服である。
【0012】また請求項5に記載の発明は、ポリエステルを主原料とした糸と、綿を主原料とした糸によって構成された生地であって、生地全体におけるポリエステルの比率が55%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが95%以上を占め、さらに生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であり、一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が80%以上である生地を素材とし、プリーツ加工が施されたことを特徴とする被服である。
【0013】これらの発明の被服を構成する生地は、ポリエステルを含むがその比率は比較的小さく、吸汗性に富む綿が多く含まれている。そのため本発明の被服は、汗を良く吸い、着心地がよい。またこれらの発明の被服を構成する生地では、ポリエステルの比率が低いが、ポリエステルが極端に一方の面側に集中して配されている。そのため本発明で採用する生地は、あたかも綿製の生地とポリエステル製の生地が積層された様な構成となっている。従って、本発明の被服では、ポリエステル側の部分が形状保持機能を発揮し、ポリエステルの比率が低いにも係わらずプリーツの形状が安定し、型崩れしない。前記した様に綿の比率が高くポリエステルの比率が低い場合は、汗を良く吸う反面、プリーツの形態安定性が劣る。そのためポリエステルの比率が低い場合は、ポリエステルの偏りがより顕著であることが望ましい。前記した請求項1乃至4は、このような観点から場合分けしたものであり、請求項1は、ポリエステルの比率が65%以下であり、ポリエステルの偏りの指標として一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率が、ポリエステルが90%以上と規定している。また請求項2は、ポリエステルの比率が60%以下であり、ポリエステルの偏りの指標として一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率が、ポリエステルが95%以上と規定している。請求項3,4は、ポリエステルの偏りの指標として、一方の面から厚さの30%以内の部位におけるポリエステルの比率を活用している。すなわち請求項3は、ポリエステルの比率が65%以下であり、一方の面から厚さの30%以内の部位におけるポリエステルの比率が70%以上である。さらに請求項4は、ポリエステルの比率が60%以下であり、一方の面から厚さの30%以内の部位におけるポリエステルの比率が80%以上である。請求項5は、最も望ましい構成を示したものであり、生地全体におけるポリエステルの比率が55%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが95%以上を占め、さらに生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であり、一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が80%以上である。
【0014】また請求項6に記載の発明は、生地は、編生地であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の被服である。
【0015】本発明では、生地に編み生地が採用されている。そのため伸縮性に富み、ポロシャツ等のスポーツウェアとして好適である。
【0016】さらに請求項7に記載の発明は、生地は、交編の編生地であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の被服である。
【0017】また請求項8に記載の発明は、ポリエステルの比率が高い方の面が肌側であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の被服である。
【0018】本発明の被服では、ポリエステルの比率が高い方の面が肌側である。ここでポリエステル糸は、比較的吸水性が低い。一方、本発明の被服では、表側により多くの綿糸が配されることとなる。ここで綿糸は、比較的吸水性が高い。そのため本発明の被服では、綿糸が汗等を吸収し、肌側は比較的乾燥した状態となる。従って本発明の被服は、着心地が爽やかである。
【0019】さらに請求項9に記載の発明は、生地は、プリーツ加工後、縫製前に洗濯されたものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の被服である。
【0020】上記した請求項1乃至8に記載の被服では、プリーツの形状保持性は、専らポリエステル糸の熱可塑性に依存している。しかしながらプリーツ加工を施した直後においては、綿についても皺形状が付与されている。前記した様に、被服が型崩れする原因は、主として綿糸のプリーツ形状が鈍るためである。そこで本発明の被服では、プリーツ加工後に一旦洗濯した生地を使用して縫製している。この様にプリーツ加工後に洗濯すると、綿繊維の側鎖結合としての水素結合が切れる。そのため洗濯によって綿の膨潤が最大限に発生し、これ以上、膨潤しない状態となる。従ってプリーツ加工後に一旦洗濯した生地を使用して縫製すると、縫製後の生地の経時変化が少なく、型崩れが起きにくい。
【0021】さらに請求項10に記載の発明は、綿に代わって他の天然繊維を主原料とする糸によって構成された生地を素材とすることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の被服である。
【0022】また請求項11に記載の発明は、綿とポリエステルの交編の編生地にプリーツ加工を施し、さらに洗濯の後に縫製したことを特徴とする被服の製造方法である。
【0023】また請求項12に記載の発明は、綿とポリエステルの交編の編生地にプリーツ加工を施し、さらにこれを水に漬けた後に縫製したことを特徴とする被服の製造方法である。
【0024】請求項11、12に記載の被服の製造方法では、プリーツ加工後に一旦洗濯又は水に漬けた生地を使用して縫製している。上記した様にプリーツ加工後に洗濯等をすると、綿繊維の側鎖結合としての水素結合が切れる。そのため洗濯等によって綿の膨潤が最大限に発生し、これ以上、膨潤しない状態となる。そのためプリーツ加工後に一旦洗濯したり水に漬けた生地を使用して縫製すると、縫製後の生地の経時変化が少なく、型崩れが起きにくい。
【0025】また請求項13に記載の発明は、編み生地は、生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であることを特徴とする請求項11又は12に記載の被服の製造方法である。
【0026】本発明の被服の製造方法では、編み生地は、生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であるから、ポリエステル側の部分が形状保持機能を発揮し、プリーツの形状が安定する。
【0027】さらに請求項14に記載の発明は、編み生地は、生地全体におけるポリエステルの比率が55%以下であり、且つ一方の面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが95%以上であり、さらに生地の厚さ方向におけるポリエステルと綿の比率が不均等であって一方の面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が80%以上であることを特徴とする請求項11又は12に記載の被服の製造方法である。
【0028】本発明の被服の製造方法では、ポリエステルの比率が低いが、ポリエステルが極端に一方の面側に集中して配されているので、ポリエステル側の部分が形状保持機能を発揮し、ポリエステルの比率が低いにも係わらずプリーツの形状が安定し、型崩れしない。
【0029】
【発明の実施の形態】以下さらに本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態の被服の正面図である。図2は、本発明の他の実施形態の被服の正面図である。図3は、図1の被服の生地の断面の概念図である。図4は、図1の被服の生地を拡大して表面側から観察したスケッチ図(a)及び図1の被服の生地を拡大して裏面側から観察したスケッチ図(b)図である。図5は、図1の被服の製造工程を示す説明図である。
【0030】図において、1は、本発明の実施形態の被服であり、具体的にはポロシャツである。被服1の生地2は、綿糸5とポリエステル糸6の交編であり、生地全体としての綿糸5とポリエステル糸6の混率は、50%づつである。綿糸5とポリエステル糸6の混率は前記した様に、綿が多い場合は吸汗性に富み、ポリエステルが多い場合はプリーツの安定性が高い。ただし、ポリエステルの比率が70%以上である場合は、通常の生地を使用しても実用上十分なプリーツの安定性が発揮されるので、本発明の効果が特に発揮されるのは、ポリエステルの比率が65%以下の場合であるといえる。またポリエステルの比率が60%以下の場合は、吸汗性が飛躍的に富むので、本発明の効果がより一層発揮される。
【0031】綿糸5の太さは40番手から20番手(132デニール〜266デニール)程度であり、より好ましくは30番手程度である。ポリエステル糸6の太さは100〜200デニール程度、より好ましくは150デニール程度である。また100〜200デニール程度のポリエステル糸と、それより細い、例えば50〜100デニール程度のポリエステル糸を併用してもよい。生地2は、上記した糸を使用して裏鹿の子編みに編まれたものであり、生地2の目付は340〜370g/全幅程度である。
【0032】生地2の断面は概ね3層構造であり、表面側は綿糸5の層であり、裏面側はポリエステル糸6の層であり、その中間部分で両者がからげられている。表面側の綿糸層と、裏面側のポリエステル層をからげるには、裏面側のポリエステル層を構成する糸とは別のポリエステル糸を使用してもよい。本実施形態で使用する生地2では、図4の様に表面側に綿糸5が集中し、裏面側にポリエステル糸6が集中している(図4bではポリエステル糸6を黒べたで表示し、綿糸は白抜きで表示している)。生地2の裏面側第一層目は図4(b)の様に全てがポリエステル糸6である。本実施例で採用する生地2では、裏面の最も外側の平面は、100%ポリエステルである。
【0033】表面の最も外側の平面におけるポリエステル糸の面積比率は、高いほど望ましく、これが95%を越えるとプリーツの形状安定性が極めて優れたものとなる。また表面の最も外側の平面におけるポリエステル糸の面積比率がこれが90%程度であっても相当の形状保持効果がある。
【0034】また生地の厚さ方向を見ると、本実施形態で採用する生地2は前記した様に概ね3層構造をしており、生地の厚さ方向におけるポリエステル糸と綿糸の比率が不均等であり、ポリエステルが極端に表面側に濃厚に分布している。すなわち本実施形態で採用する生地2は、表面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステル糸の比率が略100%に近く、少なくとも90%を越える。表面から厚さの30%以内におけるポリエステル糸の比率が80%を越えるとプリーツの形状安定性が極めて優れたものとなる。またこれが70パーセント程度であっても相当の形状保持効果がある。
【0035】生地2の具体例としては、東洋紡績株式会社製「ALTIMA」(登録商標)や「クールギア」(登録商標)が挙げられる。また生地は、ポリエステル100%の糸と、綿100%の糸によって編まれたものに限らず、混紡糸によって編まれたものであってもよい。さらには芯鞘構造の糸を使用したものであってもよい。例えば超長綿の周囲をポリエステルフィラメントで覆った糸を使用することもできる。この様な糸の例としては、東洋紡績株式会社製「フィラシス」(登録商標)が挙げられる。
【0036】そして本実施形態の被服1では、全体に縦皺状のプリーツが設けられている。プリーツの形状は任意であり、例えば図2の様なメロンの表面の様な形状のものであってもよい。またプリーツ処理は、縫製前に行ってもよく、逆に縫製後に形成させてもよい。しかしプリーツ処理を縫製前に行い、さらに生地を洗濯したのち縫製すると、型崩れの少ない被服を製造することができる。
【0037】最も望ましい被服の製造方法は、図5に示す通りである。すなわち図5に示すように、生地を所定のパーツに裁断し、プリーツ処理を施す。プリーツ処理の方法は、公知のそれと同様であり、図5(a)の様に生地を折り込んで形付けをし、さらに(b)の様に生地を折り込んだ状態で固定する。そしてオートクレーブと称される加圧釜の中で加熱する。この熱処理によって片面に集中したポリエステル糸6の形付けが定着化する。そして続いて生地を水洗いする。水洗いは、一回で良い。要するにプリーツ処理を施した後に、一定の時間、生地を水に漬け、表面側の綿を膨潤させる。そしてこの生地を縫製して被服が完成する。上記した工程の様に水洗いを経て縫製を行うと、綿が膨潤してこれ以上の形態変化が起きない状態で縫製されることとなり、完成された被服は経時的な形態変化が少ない。なお、縫製の際には、ポリエステル側が肌側となる様に縫製することが望ましい。
【0038】本発明の被服は、ポリエステル糸と綿糸によって構成された生地を使用する場合だけでなく、例えばポリエステル糸と麻によって構成された生地を使用する場合にも適用できる可能性がある。また生地の編み方は、鹿の子編みに限らず、他の公知の編み方であっても良く、さらには生地は織物であってもよい。
【0039】
【実施例】本発明の第1実施例として、東洋紡績株式会社製「ALTIMA」(登録商標)を使用し、プリーツ処理を行い、さらに洗濯した後に縫製してポロシャツを製造した。実施例で使用した生地(ALTIMA)は、生地全体における綿糸5とポリエステル糸6の比率は50%づつである。また綿糸5の太さは30番手であり、ポリエステル糸6の太さは150デニールである。さらに実施例で使用した生地(ALTIMA)は、鹿の子編によって作られたものであり、裏面の最も外側の平面には、全てポリエステルが現れている。すなわち表面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが100%を占める。また表面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が90%を越える。縫製においては、ポリエステル側が肌側になる様に配慮した。
【0040】また本発明の第2実施例として、東洋紡績株式会社製「ALTIMA」(登録商標)を使用し、プリーツ処理を行い、さらに洗濯した後に縫製してポロシャツを製造した。実施例で使用した生地(ALTIMA)は、ポリエステル糸6の比率が60%である。また綿糸5の太さは30番手であり、ポリエステル糸6の太さは150デニールである。さらに実施例で使用した生地(ALTIMA)は、鹿の子編によって作られたものであり、裏面の最も外側の平面には、全てポリエステルが現れている。すなわち表面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが100%を占める。また表面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率が90%を越える。縫製においては、ポリエステル側が肌側になる様に配慮した。
【0041】さらに本発明の第3実施例として、東洋紡績株式会社製「クールギア」(登録商標)を使用し、プリーツ処理を行い、さらに洗濯した後に縫製してポロシャツを製造した。実施例で使用した生地(クールギア)は、綿糸5とポリエステル糸6の比率が50%づつである。また綿糸5の太さは30番手である。ポリエステル糸6は、二種類のものが使用されており、一方の太さは150デニールであり、他方は75デニールである。さらに実施例で使用した生地(クールギア)は、鹿の子編によって作られたものであり、裏面の最も外側の平面には、全てポリエステルが現れている。すなわち表面の最も外側の平面におけるポリエステルと綿の面積比率は、ポリエステルが100%を占める。また表面から厚さの30%以内の部位においてはポリエステルの比率は90%を越える。縫製においては、ポリエステル側が肌側になる様に配慮した。
【0042】また第1比較例として綿糸5とポリエステル糸6の比率が50%づつであって鹿の子編によって作られた生地を使用したポロシャツを製造した。第1比較例で使用した生地は、両面に略均等にポリエステル糸6が存在する。第1比較例では生地にプリーツ処理を行い、さらに洗濯した後に縫製してポロシャツを製造した。
【0043】また第2比較例としてポリエステル糸6の比率が65%であって、鹿の子編によって作られたものであり、両面に略均等にポリエステル糸6が存在する生地を使用し、プリーツ処理を行い、さらに洗濯した後に縫製してポロシャツを製造した。
【0044】こうして作られた実施例1,2,3のポロシャツと、比較例1,2のポロシャツをそれぞれ10回洗濯し、プリーツの保持性と全体的な型崩れの有無を調べた。その結果、比較例1,2のポロシャツは、いずれもプリーツの鈍化と全体的な型崩れが見られた。また比較例1の被服は、プリーツの鈍化及び全体的な型崩れがより顕著であった。これに対して実施例1,2のポロシャツは、多少の型崩れがあるもののプリーツの鈍化は認められなかった。これらの結果から、ポリエステル繊維が極端に片側の面に寄った生地は、プリーツの保持性に優れることが理解できる。
【0045】また実施例1,2,3のポロシャツは、肌側にポリエステル糸が集中し、他方の面に綿糸が集中するので、比較例に比べて汗の吸汗性と拡散性に優れ、着心地が良いものであった。
【0046】さらに比較例3として、実施例3と同一の素材を使用し、同一の条件でプリーツ処理を施し、洗濯することなく被服を縫製した。そして10回洗濯し、プリーツの保持性と全体的な型崩れの有無を調べた。その結果、プリーツの鈍化は認められなかったが、前記した実施例3に比べて大きな型崩れがあった。この結果から、プリーツ処理と、縫製の間に洗濯工程を挟むことにより、型崩れ防止効果が発揮されることが分かる。
【0047】
【発明の効果】以上説明した様に、請求項1乃至10に記載の被服は、汗を良く吸い、着心地がよい上にプリーツの形状が安定し、型崩れしない効果がある。また特に請求項6,7に記載の発明は、編生地であって伸縮性に優れ、スポーツウェアとして特に好適である。また請求項9,及び11乃至14に記載の発明は、型崩れが起きにくいという効果がある。
【出願人】 【識別番号】591179189
【氏名又は名称】株式会社ワールド
【識別番号】591076671
【氏名又は名称】井上プリーツ株式会社
【出願日】 平成12年5月26日(2000.5.26)
【代理人】 【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
【公開番号】 特開2001−336014(P2001−336014A)
【公開日】 平成13年12月7日(2001.12.7)
【出願番号】 特願2000−157413(P2000−157413)