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【発明の名称】 競泳用水着
【発明者】 【氏名】辻中 克弥

【氏名】松崎 健

【要約】 【課題】競泳用水着において、競技者の姿勢を真っ直ぐに保持させる。また、運動機能をさらに増進させ、推進力を一層増加させる。

【解決手段】パターン上のウエスト寸法を水着着用者のウエストのヌード寸法の45〜55%にするとともに、第1の前身頃および後身頃を伸縮強度の高い素材で形成する。第1の後身頃のパターン上において、第1および第2の切替線のなす角度θを約105〜125度に設定して、着用者の体幹部の腰から上方の部分を後方に反身させるような形状にする。これにより、競技者の姿勢が真っ直ぐに保持されて、競技者の人体にかかる形態抵抗を軽減できるとともに、運動機能を増進でき、推進力を増加できる。さらに、切替線の広背筋付近、殿部上部付近および第2の前身頃の脇線にそれぞれ「ゆとり量」を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 競泳用水着において、パターン上のウエスト寸法を着用者のウエストのヌード寸法の45〜55%とした、ことを特徴とする競泳用水着。
【請求項2】 水着着用状態において、水着の前身頃のうち、着用者の頸窩点付近から胸骨下端を経て肋骨下辺を避けつつウエストライン側部下方まで延びかつ前記ウエストライン側部下方から鼠径部を経てクロッチに至る領域を被覆する第1の前身頃を、他の領域に比較して伸縮強度の高い素材で形成した、ことを特徴とする請求項1に記載の競泳用水着。
【請求項3】 水着着用状態において、水着の前身頃のうち、着用者の頸窩点付近から胸骨下端を経て肋骨下辺を避けつつウエストライン側部下方まで延びかつ前記ウエストライン側部下方から鼠径部を経てクロッチに至る領域を被覆する第1の前身頃を、他の領域と同等の伸縮強度を有する素材で形成した、ことを特徴とする請求項1に記載の競泳用水着。
【請求項4】 水着着用状態において、水着の後身頃のうち、着用者の頸椎点付近から胸椎を経て広背筋を横切りウエストライン側部まで延びかつ前記ウエストライン側部から殿部頂上近傍を経て仙骨に至る領域を被覆する第1の後身頃を、他の領域に比較して伸縮強度の高い素材で形成した、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の競泳用水着。
【請求項5】 水着着用状態において、水着の後身頃のうち、着用者の頸椎点付近から胸椎を経て広背筋を横切りウエストライン側部まで延びかつ前記ウエストライン側部から殿部頂上近傍を経て仙骨に至る領域を被覆する第1の後身頃を、他の領域と同等の伸縮強度を有する素材で形成した、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の競泳用水着。
【請求項6】 第1の後身頃のパターン上において、バックネックポイントから後中心のウエスト位置に至る第1の切替線と、前記ウエスト位置から後中心のヒップ位置に至る第2の切替線とのなす角度を約105〜125度にして、着用者の体幹部の腰から上方の部分を後方に反身させるような形状にした、ことを特徴とする競泳用水着。
【請求項7】 第1の後身頃のパターン上において、バックネックポイントから後中心のウエスト位置に至る第1の切替線と、前記ウエスト位置から後中心のヒップ位置に至る第2の切替線とのなす角度を約105〜125度にして、着用者の体幹部の腰から上方の部分を後方に反身させるような形状にした、ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の競泳用水着。
【請求項8】 パターン上において、バックネックポイント付近から広背筋を経てウエストライン側部に至る切替線の広背筋付近の位置に「ゆとり量」を設けた、ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の競泳用水着。
【請求項9】 パターン上において、ウエストライン側部から殿部上部を経て仙骨に至る切替線の殿部上部付近の位置に「ゆとり量」を設けた、ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の競泳用水着。
【請求項10】 第2の前身頃のパターン上において、フロントネックポイント付近から胸骨下端を経て肋骨下辺を避けつつウエストライン側部下方に至る切替線とウエストラインとの交点を基点とし、脇線とウエストラインとの交点をサイドウエスト点とし、第2の前身頃の下端を頂点としたとき、基点、サイドウエスト点および頂点からなる略三角形状の領域を、基点を中心に第1の前身頃側に回転させることにより、脇線に「ゆとり量」を設けるとともに、前記切替線が緩やかに蛇行するようにした、ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の競泳用水着。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水泳中の競技者の姿勢を安定させることによって、競技者の人体にかかる形態抵抗を軽減させるとともに、運動機能を増進させ、推進力を増加させる競泳用水着に関する。
【0002】
【従来の技術およびその課題】競泳競技において、水泳中の競技者は、流水抵抗を減らすために、身体の姿勢を真っ直ぐにして水面に対し姿勢を平行に保とうとする。この真っ直ぐな姿勢を保つためには腹筋および背筋の筋力を必要とするが、競技中これらの筋肉が疲労してくると、姿勢の保持が困難になってくる。その結果、腰部から脚部にかけての部分が水中に沈み込み、形態抵抗が増大するという問題があった。
【0003】また、従来の競泳用水着においては、競技者がいわゆるグライダーの原理(すなわち、泳ぐ時に重心が前にかかるようにして、推進力が加味される原理。クロールの場合、手を入水して伸ばす位置は水面近くではなく、斜め下に伸ばし、体重を手のひらにかけるようにする。)の泳法で泳いだ場合、手を入水後、斜め下に手を伸ばすため顔が沈み、その結果、人体の体幹部が前屈して背中が浮き、脚が沈み込んでしまう。そのことにより、競技者が水泳に必要な基本姿勢を保ちにくくなるという問題があった。
【0004】このような問題点を解消するために、本件出願に係る発明者は、競泳用水着について種々の実験および考察を行ってきた結果、競技者のウエスト周囲に一定圧以上の締付圧が作用すると、水泳中の競技者の姿勢が安定するという事実を突き止めた。
【0005】ところが、これまでの競泳用水着は、女性用水着の場合、ウエストをある程度締め付けるものはあっても、その締め付けは体型補正のためであって水泳中の競技者の姿勢保持のためではないため、その締め付け度合いが少なく、伸縮強度も低かった。また、背中が空いているものはウエスト後部の締め付けがほとんどなかった。一方、男性用水着の場合、パンツ状のものは人体のウエスト上部を締め付けることができず、またワンピース型のものは、人体のウエストの締め付け度合いが少なかった。
【0006】本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、水着着用時に人体のウエスト周囲に一定の締付圧を作用させることにより、水泳中の競技者の下半身の沈み込みを防止して競技者の姿勢を安定させることができる競泳用水着を提供することを主な目的とする。また、本発明の他の目的は、このような競泳用水着において、運動機能をさらに増進させ、推進力を一層増加させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明に係る競泳用水着は、請求項1の発明に記載されているように、水着着用者の人体のウエスト周囲の締付圧を高めるために、水着着用者のウエストを一定圧で締め付けるようにしており、具体的には、請求項1の発明に記載されているように、パターン上の(すなわち、水着着用者が水着を着用していない状態での)ウエスト寸法を着用者のウエストのヌード寸法の45〜55%にしている。これにより、相当圧の締付圧が水着着用者の人体に作用して、水泳時に競技者の姿勢が保持されるようになっている。
【0008】請求項2の発明では第1の前身頃を、また請求項4の発明では第1の後身頃を、それぞれ伸縮強度の高い素材で形成するようにしている。
【0009】請求項3の発明では第1の前身頃を、また請求項5の発明では第1の後身頃を、いずれも他の領域と同等の伸縮強度を有する素材で形成するようにしている。
【0010】第2の発明に係る競泳用水着は、請求項6および7の発明に記載されているように、バックネックポイントから後中心のウエスト位置に至る第1の切替線と、ウエスト位置から後中心のヒップ位置に至る第2の切替線とのなす角度を約105〜125度にすることにより、水着着用者の人体の体幹部の腰から上方の部分を後方に反身させ、これにより、背筋を補助して、後ろ腰上部を安定させようにしている。ここで、「バックネックポイント」とは、人体の頸椎点に対応する競泳用水着上の基準点をいう。
【0011】このように、第1および第2の発明によれば、水泳時に競技者の姿勢が水平に保持されることにより、競技者が水泳に必要な基本姿勢(頭から脚まで一本の釘が通っているような棒状の状態)をとりやすくなっている。これにより、競技者の人体にかかる形態抵抗が軽減し、さらに、腹部に力が入ることにより競技者の運動機能が増進して、推進力が増加する。
【0012】第3の発明に係る競泳用水着は、請求項8ないし10の発明に記載されているように、パターン上において、バックネックポイント付近から広背筋を経てウエストライン側部に至る切替線の広背筋付近に、またウエストライン側部から殿部上部を経てクロッチに至る切替線の殿部上部付近に、さらに第2の前身頃の脇線にそれぞれ「ゆとり量」を持たせている。なお、請求項10の発明に記載されている「フロントネックポイント」とは、人体の頸窩点に対応する競泳用水着上の基準点をいう。
【0013】また、ここでいう「ゆとり量」とは、人体の運動量を確保するためにとっておく緩み(弛み)のこといい、引き攣れ線に沿って延ばされた生地の長さのことを意味している。
【0014】このような「ゆとり量」を切替線の広背筋付近または殿部上部付近に設けることによって、競技者のウエスト周囲の締め付け状態を維持しつつ、水泳時に競技者の体幹部の回旋運動にともなう水着の引き攣れを防止して、競技者の回旋運動を促進させることができる。また、第2の前身頃の脇線に「ゆとり量」を設けることにより、競技者の呼吸時に脇線の伸縮に余裕が生じ、その結果、ウエスト周囲の締め付けにともなう肋骨への圧迫感が軽減されて、呼吸のしずらさを軽減できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施態様を添付図面に基づいて説明する。図1および図2は本発明の一実施態様による競泳用水着を示しており、図1(a),(b)はそれぞれ競泳用水着の正面図、側面図、図2(a),(b),(c)はそれぞれ競泳用水着の上面図、背面図、下面図、図3は競技者が競泳用水着を着用した場合の正面図、図4はその背面図、図5は縫製前の水着左半身部分のパーツ図、図6および図7はパターン上のゆとり量を説明するための図、図8は競技者の人体の回旋形態を説明するための図である。
【0016】パターン上の(すなわち、水着着用者が水着を着用していない状態(図1および図2参照)での)ウエスト寸法をWとし、着用者のウエストのヌード寸法をW0 とするとき、本発明に係る競泳用水着はW=(0.45〜0.55)×W0の関係を有しているのに対して、従来の競泳用水着では、一般にW=(0.80〜1.00)×W0となっている。
【0017】すなわち、着用者のウエストのヌード寸法に対してパターン上のウエスト寸法を、従来は約80〜100%に設定していたのに対して、本発明では、約45〜55%に設定している。
【0018】これにより、水着着用時に着用者のウエストが締め付けられて、相当圧の締付圧が水着着用者の人体に作用する。その結果、水泳時には、競技者の下半身の沈み込みが防止されて、競技者の姿勢が真っ直ぐに保持されるようになっている。
【0019】水着の前身頃のうち、図3に示すように、着用者の頸窩点付近から胸骨下端を経て肋骨下辺を避けつつウエストライン側部下方まで延びかつウエストライン側部下方から鼠径部を経てクロッチに至る領域を被覆する第1の前身頃(図1参照)を、他の領域に比較して伸縮強度の高い素材で形成している。なお、第1の前身頃の生地表面に、強撥水加工や表面平滑加工を施すようにしてもよい。また第1の前身頃は、他の領域と同等の伸縮強度を有する素材で形成するようにしてもよい。
【0020】水着の後身頃のうち、図4に示すように、着用者の頸椎点付近から胸椎を経て広背筋を横切りウエストライン側部まで延びかつウエストライン側部から殿部頂上近傍を経て仙骨に至る領域を被覆する第1の後身頃(図2参照)を、他の領域に比較して伸縮強度の高い素材で形成している。なお、第1の後身頃の生地表面に、強撥水加工や表面平滑加工を施すようにしてもよい。また第1の後身頃は、他の領域と同等の伸縮強度を有する素材で形成するようにしてもよい。
【0021】なお、本発明に係る競泳用水着は、着用者のウエストを締め付けるので、水着着脱時に人体のウエスト周囲よりも大きいヒップが水着のウエスト部分を通過できるように、バックネックポイントからまたはバックネックポイントと胸椎との間のいずれかの個所から、ウエストライン下方の仙骨上部までの間にファスナーが設けられている(図4参照)。なお、このファスナーは、フロントネックポイントからまたはフロントネックポイントと胸骨下端との間のいずれかの個所から、ウエストライン下方の下腹部までの間に設けられていてもよい。
【0022】また、本発明に係る競泳用水着においては、図5および図6に示すように、第1の後身頃6のパターン上において、バックネックポイントから後中心のウエスト位置に至る第1の切替線と、ウエスト位置から後中心のヒップ位置に至る第2の切替線とのなす角度θが約105〜125度に設計しているのに対し、従来の水着においては、角度θが約150〜180度になっている。
【0023】これにより、本発明では、水着着用時に、着用者の人体の体幹部における腰から上方の部分が後方に反身させられ、これにより、背筋が補助されて、後ろ腰上部が安定する。
【0024】このようにして、水泳時には、競技者の姿勢が真っ直ぐに保持されることにより、競技者が水泳に必要な基本姿勢(頭から脚まで一本の釘が通っているような棒状の状態)をとりやすくなっている。これにより、競技者の人体にかかる形態抵抗が軽減し、さらに、腹部に力が入ることにより運動機能が増進して、推進力が増加する。
【0025】ところで、競泳用水着において人体の体幹部の腰から上方の部分を単に後方に反身させるような形状にするだけでは、パターン上のバックネックポイントから後中心のウエスト位置を通り後中心のヒップ位置までの距離が、これに対応する人体の背面の頸椎点からウエストを通りヒップまでの距離に比べて短くなる。この場合には、水着の生地が人体の脊柱方向に上下に引っ張られ、人体の背面の脊柱の凹み部分において、人体から水着の生地を浮かせる。その結果、背面の脊柱の凹み部分と水着との間の空間に水が浸入して、競技者の泳ぎを妨げることになる。
【0026】ところが、本発明に係る競泳用水着では、パターン上のウエスト寸法を人体のウエストのヌード寸法よりも短く設定して人体のウエストを締め付けるようにしており、このため、人体のウエスト周囲方向に水着の生地が引っ張られて、人体の背面の脊柱凹み部分に水着の生地が密着しようとする。その結果、人体の背面の脊柱凹み部分に水着の生地が沿うようになって、背面の脊柱の凹み部分と水着との間の空間への水の浸入が防止されている。
【0027】また、本発明に係る競泳用水着では、図5および図6に示すように、第1および第2の後身頃6,7のパターン上において、バックネックポイント付近から広背筋を経てウエストライン側部に至る切替線61,71の広背筋付近の位置に「ゆとり量」が設けられている。なお、ここでいう「ゆとり量」とは、人体の運動量を確保するためにとっておく生地の緩み(弛み)のことをいい、引き攣れ線に沿って延ばされた生地の長さのことを意味している。
【0028】ところで、水泳時には、図8に示すように、人体の体幹部の回旋(内旋・外旋)運動すなわちローリング運動によって、上肢付け根付近(肩付近)から反対側の下肢付け根付近(腰外側部付近)との間に螺旋状の引き攣れが生じる。
【0029】しかしながら、本発明では、上記「ゆとり量」を設けたことによって、広背筋付近の切替線に対する直角方向の距離が長くなっている(図6参照)。この直角方向の距離としては、具体的には、第1および第2の後身頃のそれぞれについて、1〜2cm程度の長さが好ましい。このような「ゆとり量」により、上肢付け根方向とウエストの背中心の位置方向における水着生地の張力が和らげられる。その結果、体幹部の回旋運動により上肢付け根付近と反対側の下肢付け根付近との間で生じる螺旋状の引き攣れを緩和でき、体幹部のねじれ運動を促進できる。
【0030】このようにして、競技者は、ウエスト周囲への締め付けが維持された状態で、体幹部のねじれ運動および前屈後伸運動に手足の運動を加えることによって、体を推進させることができる。
【0031】また、本発明に係る競泳用水着では、図5および図6に示すように、後パンツ9のパターン上において、ウエストライン側部から殿部上部を経て仙骨に至る切替線91の殿部上部付近の位置にも「ゆとり量」が設けられている。
【0032】この「ゆとり量」は、殿部上部付近の切替線91に対する直角方向の距離を長くしている。この直角方向の距離としては、具体的には、1〜2cm程度の長さが好ましい。これにより、下肢付け根方向とウエストの背中心の位置方向における水着生地の張力が和らげられる。このような「ゆとり量」により、後身頃6,7の切替線61,71の広背筋付近に設けた「ゆとり量」と相俟って、体幹部の回旋運動の際に上肢付け根付近から反対側の下肢付け根付近にかけて生じる螺旋状の引き攣れが一層緩和され、体幹部のねじれ運動がさらに促進される。
【0033】なお、切替線61,71,91に設けた「ゆとり量」により、各々の切替線の直角方向において水着生地の張力が和らげられており、これにより、水着のウエストの背中心位置方向に向かって生地が押し込まれることにもなり、その結果、人体背面の脊柱の凹み部分に水着の生地が密着しやすくなる。
【0034】ところで、呼吸の吸息は、横隔膜の収縮、外肋間筋の収縮による胸郭の挙上、肋骨挙上による胸囲の拡大でおこなわれるが、人体のウエストをただ単に締め付けるだけでは、肋骨下部も同時に締め付け圧迫されるため、呼吸がしずらくなる。
【0035】ところが、本発明では、切替線61,71の広背筋付近の位置に「ゆとり量」を設けたことによって、広背筋付近を通る水着のウエスト周囲に平行な周径が長くなり、これにより、水着生地の張力を和らげ、広背筋付近を通る水着のウエスト周囲に平行な周囲において肋骨下部の締め付けを緩和する。このようにして、ウエスト部分の締め付けを保持しつつ、着用者が呼吸をしずらくならないようになっている。
【0036】さらに、本発明では、図5および図7に示すように、第2の前身頃2のパターン上において、フロントネックポイント付近から胸骨下端を経て肋骨下辺を避けつつウエストライン側部下方に至る切替線21とウエストラインとの交点を基点aとし、脇線22とウエストラインとの交点をサイドウエスト点bとし、第2の前身頃2の下端を頂点cとしたとき、基点a、サイドウエスト点bおよび頂点cからなる略三角形状の領域abcを、基点aを中心に第1の前身頃1側に回転させることにより、脇線22に「ゆとり量」dを設けている。この「ゆとり量」dとしては、たとえば約0.5cmに設定される。
【0037】このように、第2の前身頃2の脇線22に「ゆとり量」を設けることによって、競技者の呼吸時に、外肋間筋の収縮による胸郭の挙上運動に対して脇線の伸縮に余裕が生じ、その結果、本発明の競泳用水着における主要な特徴部分であるところの「ウエスト周囲の締め付け」に対して、肋骨への圧迫感が軽減され、呼吸のしずらさが緩和される。
【0038】また、略三角形状の領域abcの回転により、図7中の一点鎖線に示すように、フロントネックポイント付近から基点aを経て頂点c′に至る新たな切替線21が緩やかに蛇行するように形成されるので、第1の前身頃1のパターン上のウエストライン付近が、着用者の人体により密着して、ウエストをより効果的に締め付けることになる。
【0039】
【発明の効果】以上のように本発明に係る競泳用水着によれば、競技者の姿勢を真っ直ぐに保持して、人体の形態抵抗を軽減できるとともに、運動機能を増進でき、推進力を増加させることができる。その結果、タイムを向上できる。また、本発明によれば、「ゆとり量」を設けることによって、競技者のウエスト周囲の締め付け状態を維持しつつ、競技者の体幹部の回旋運動にともなう水着の引き攣れを防止して、競技者の回旋運動を促進できるとともに、ウエスト周囲の締め付けにともなう肋骨への圧迫感を軽減でき、呼吸動作を阻害することもなくなる。
【出願人】 【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
【出願日】 平成12年3月15日(2000.3.15)
【代理人】 【識別番号】100103241
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 健一
【公開番号】 特開2001−262409(P2001−262409A)
【公開日】 平成13年9月26日(2001.9.26)
【出願番号】 特願2000−72263(P2000−72263)