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【発明の名称】 防寒ウェア
【発明者】 【氏名】横井 宏恵

【氏名】本田 秀信

【氏名】齋藤 公一

【要約】 【課題】本発明は、保温性と柔軟性に優れる上に、肌触りや、見た目の安らぎ性や、撥水性、制菌性および消臭性などの機能を併せ有する快適に着用でき、また、身体に優しい防寒ウェアを提供せんとするものである。

【解決手段】本発明の防寒ウェアは、電気絶縁性被覆物で被覆されている面状の発熱体が、更にその周囲を繊維布帛で被覆した状態で、ウェアの内部に備えられていることを特徴とするものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電気絶縁性被覆物で被覆されている面状の発熱体が、更にその周囲を繊維布帛で被覆した状態で、ウェアの内部に備えられていることを特徴とする防寒ウェア。
【請求項2】 該面状の発熱体が、正特性サーミスタからなり、かつ、該発熱体を構成する基板として、繊維布帛またはフイルムを用いるものである請求項1記載の防寒ウェア。
【請求項3】 該面状の発熱体が、目付150〜1000g/m2およびサイズ0.02〜1m2の少なくとも一方を満足するものである請求項1または2記載の防寒ウェア。
【請求項4】 最外層の該繊維布帛が、単繊維繊度0.01〜5デシテックスの範囲の合成繊維もしくは該合成繊維を含む糸で構成される織物、編物または不織布からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項5】 最外層の該繊維布帛が、立毛繊維からなる請求項1〜4のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項6】 最外層の該繊維布帛が、撥水性を有するものである請求項1〜5のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項7】 最外層の該繊維布帛が、マイナスイオンを発生するものである請求項1〜6のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項8】 最外層の該繊維布帛が、温度変化による変色機能を有するものである請求項1〜7のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項9】 最外層の該繊維布帛が、消臭性を有するものである請求項1〜8のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項10】 最外層の該繊維布帛が、防汚性を有するものである請求項1〜9のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項11】 該面状の発熱体が、着脱可能に取り付けられているものである請求項1〜10のいずれかに記載の防寒ウェア。
【請求項12】 該面状の発熱体の温度範囲が、摂氏40〜60度である請求項1〜11のいずれかに記載の防寒ウェア。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、暖房を有し、かつ、風合いが柔らかく快適な着用感のある防寒ウェアに関するものである。
【0002】
【従来の技術】保温を目的とした衣服には、羽毛、綿わたなど嵩高素材を用いて主に衣服内部に空気層を設けたものや、あるいはフリースやボアなどのように繊維布帛そのものが空気層を含む構造であるものなどがある。しかし、これらは体温を逃がしにくいだけであって、積極的に発熱するものではない。
【0003】一方、外部から強制的に暖める手段としては、湯たんぽ、あんか、こたつ、カイロ、電気毛布、電気敷き毛布などが用いられているが、硬い、重い、大きいなど着用上の快適性が得られないばかりでなく、さらには家庭用電源が必要であり、衣服内に設置して持ち運ぶには利便性に欠けるものであった。また、発熱体そのものが高温になる、あるいは50℃程度の温度に長時間触れているために、低温火傷の危険性もある。特に、病人や老人、乳幼児などの体の弱い人は、これらの暖房器具による事故の発生が多く見受けられる傾向がある。また、これらの器具は、体の保温が主目的で、触れた時の肌触りのよいものや、見た目の安らぎの得られるものや、撥水性および消臭性などの機能を併せて有するものは見受けられなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、暖房、つまり防寒性と柔軟性に優れる上に、肌触りや、見た目の安らぎ性や、撥水性および消臭性などの機能を併せ有する、身体に優しい防寒ウェアを提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の防寒ウェアは、電気絶縁性被覆物で被覆されている面状の発熱体が、更にその周囲を繊維布帛で被覆した状態で、ウェアの内部に備えられていることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題、つまり防寒性と柔軟性に優れる上に、肌触りや、見た目の美しさや、撥水性、制菌性および消臭性などの機能を併せ有する身体に優しい防寒ウェアについて鋭意検討し、電気絶縁性被覆物で被覆されている面状の発熱体を、さらに繊維布帛で被覆してなる特定な被覆構造体としてみたところ、使用者側からみて火傷による事故が起こりにくく安心して使えるだけでなく、繊維布帛の機能性付与加工により衛生面、精神面、安全面においても優れた効果を有する防寒ウェアを提供することができ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0007】本発明は、面状の発熱体を、まず、電気絶縁性被覆物で被覆し、さらに繊維布帛で被覆するという、特定な被覆構造体にして用いるところに特徴を有するものである。
【0008】すなわち、電気絶縁性被覆物だけで構成されている場合、発熱体に身体が直接接触する可能性があり、発熱体が高温になるために火傷の危険性がある。あるいは50℃程度の温度に長時間触れているために、低温火傷の危険性もある。特に、病人や老人、乳幼児などの体の弱い人は、これらの暖房器具による事故の発生が多く見受けられる傾向がある。しかし、電気絶縁性被覆物で被覆し、さらに繊維布帛で被覆することによって、この繊維布帛が間接的に発熱体の熱を身体に伝えるので、火傷による事故が起こりにくく、病人や老人、乳幼児などでも安心して使用することができる。
【0009】かかる電気絶縁性被覆物と成りうる素材は、主に空気や水を透さないものであり、繊維布帛で被覆せずに直接着用した場合には、蒸れ感を生じ着用時に不快感を覚えるものである。しかし、さらに繊維布帛で被覆することによって、この繊維布帛と発熱体との間に空隙ができ、空隙を空気が対流するので、蒸れることなく快適に着用することができる。また、この空隙が成す空気層は保温材の役目も果たしている。
【0010】また、電気絶縁性被覆物で被覆し、さらに繊維布帛で被覆することによって、この繊維布帛の外観や風合いや肌触りが、該防寒ウェアの着用感に生かされるので、防寒性、安全性に優れ、かつ、着用時の快適性、見た目の美しさなどの感性を兼ね備え、さらに衛生面、精神面、においても優れた効果を有する、人に優しい防寒ウェアとなるものである。
【0011】本発明の防寒ウェアは、図1に一例を示すように、あらゆる用途・形態に対応できるので、汎用性に優れたものを提供することができるものである。
【0012】かかる面状の発熱体の、発熱(ヒーター)部分の構造は、図2に示すように発熱部、温度制御部および安全装置部から構成されている。かかる面状の発熱体のヒーター部分を大別すると、次の8つに分類される。
(1)ポリエステル、ポリエチレン、ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂中に、カーボンブラック等の導電性粒子を均一に分散させたものを、シート状あるいは線状に成形したものである。
【0013】低温では、樹脂中のカーボン粒子が互いに物理的接触しているため抵抗値が小さく導通が得られる。導電性粒子であるカーボンと熱可塑性樹脂との熱膨張係数は、樹脂の方が極端に大きく、かつ、樹脂はガラス転移点以上の温度でさらに大きい熱膨張係数を示す。熱可塑性樹脂中に均一に分散された導電性カーボン粒子の間隔は、温度の上昇と共に広がり、ガラス転移点以上の温度ではその間隔が更に広がり、その間隔が広がると共に該面状の発熱体の電気抵抗値が無限大に大きくなり、最後には該面状の発熱体には電流が流れなくなり発熱が止まる。
【0014】該面状の発熱体は、このように顕著なPTC特性(正の抵抗−温度特性)を示し、自己温度制御特性を持つので、一定の温度を保ち続けられるだけでなく、異常昇温あるいは発火などを起こさず、快適かつ安全に使用することができる。
【0015】かかる面状の発熱体を活用したものには、電気毛布、ホットカーペットなどの商品がある。
(2)上記1項の熱可塑性樹脂中に、さらに特殊半導体微粒子とカーボン粒子を添加することにより、前述のカーボン粒子のみよりも高いPTC特性を持つ発熱体が得られ、低温域での自己温度制御特性を持つことが出来る。これを活用したものに床暖房、道路融雪ヒーター、タンク・配管等の凍結防止ヒーターなどがある。
(3)導電性粒子をシリコーン樹脂やフリットガラスと混合し、有機ビヒクルを混ぜ耐熱性絶縁性基材上に塗布し焼成したもの、例えば特公昭58−15913号公報に開示されているものがあり、その内容は、シリコーン樹脂ワニスにグラファイト粉末、有機溶剤、流動性調整剤等を混合し、耐熱性絶縁性基材上に塗布し、摂氏250〜450度で3時間焼成し製造する方法が記載され、表面温度が摂氏200〜360度までの面状発熱体が作成でき、また、抵抗値の安定性も良いと明記されている。
(4)焼成体自体が発熱体であり、かつ、PTC特性を持つチタン酸バリウム系素子などは、該素子のキューリー点以上の温度(抵抗急変温度)で抵抗値が極端に上昇する特異な温度抵抗値特性を有しており、かつ、そのキューリー点がチタン酸バリウム中のバリウムをストロンチウム、カルシウムあるいは鉛などで部分的に置換することにより、常温から摂氏300度位まで変化制御出来る。このため、洗濯乾燥機、布団乾燥機、温風ヒーターなどの各種熱源に広く用いられている。
(5)絶縁処理を施したアルミニウム板やホーロー基板などにステンレス薄膜やアルミニウム薄膜をエッチングする方法や、機械的プレス法で細い線幅のパターン状に成形したものを、シリコーン樹脂や無機接着剤で張り付けたものが、掘りこたつの補助ヒーターとして使用されている。
(6)ポリエステルフイルム等に、導電性カーボン粒子を添加したポリウレタン等の樹脂を面状にコーティングし、乾燥して得られたPTC特性を持たない面状ヒーターがあり、電気毛布等に使用されていた。
(7)従来から用いられているニクロム線を布帛に縫いつけた形のヒーターがある。
(8)芯糸がポリエステルの紡績糸からなり、鞘部が導電性カーボン粒子を含有した樹脂からなる、PTC特性を持たない糸状発熱体を緯糸に用いて織り上げた面状発熱体があり、電気毛布、健康保温マット、カーシート保温マット等に使用されていた。
【0016】このようにヒーターの機構について、8つの形のものに分類することができる。
【0017】かかる面状の発熱体の目付とサイズは、体に沿わせた状態で快適に着用するために、目付150〜1000g/m2およびサイズ0.02〜1m2の範囲のものが好ましい。形状としては面状であればいかなるものでも良く、小さな面積でウェアの構造内に挿入するものやあるいはウェアそのものが発熱体であってもよい。ここでいう目付とは、防寒ウェアの面状の発熱体の単位面積当たりの重量を意味し、サイズとは、防寒ウェアにおける面状の発熱体が占める総面積を意味するものである。
【0018】かかる面状の発熱体の芯部に基板を用いる場合、その素材としては、柔軟性のある織編物、不織布などの繊維布帛、または、同様の性質を有するフィルムからなるものが好ましく使用される。
【0019】発熱体を構成する基板として、不織布、織物、編物などの繊維布帛を用いるときには、該繊維布帛に、発熱体となる物質を含浸あるいは片面または両面コーティングすることによって、本発明に使用する発熱体を得ることができる。一例として、図3に、織物に発熱体となる物質を含浸した概略横方向断面図を示す。
【0020】また、発熱体を構成する基板として、フイルムを用いるときには、該フィルムに発熱体となる物質を片面コーティングすることによって、本発明に使用する発熱体を得ることができる。一例として、図4に、その概略横方向断面図を示す。
【0021】このように含浸やコーティングで得られた面状の発熱体は、ニクロム線などのような線状の発熱体を並べて構成される面状の発熱体に比較して、交流通電時に渦電流が発生しないため、電磁波の発生がほとんどなく、人の身体に対する電磁波の悪影響を妨げることができる。この点は、特に身体の弱い人に対して好都合である。
【0022】面状の発熱体を被覆する電気絶縁性被覆物は、塩化ビニル、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルなどから成り、絶縁抵抗値0.1メガオーム以上を満たすものが使用される。該電気絶縁性被覆物と発熱体は、接着あるいはコーティングなどで一体になっていてもよく、また、分離していてもかまわない。
【0023】本発明に用いる繊維布帛としては、通常の天然繊維、半合成繊維ならびに合成繊維のいずれも使用することができ、また、これらの混合物でも良い。なかでも特に、単繊維繊度が0.01〜5デシテックスの範囲の合成繊維もしくは該合成繊維を含む糸で構成される織編物または不織布が好ましく使用される。中でも、ポリエステル系繊維およびポリアミド系繊維から選ばれた少なくとも1種で構成されている繊維布帛がより好ましく使用される。
【0024】かかるポリエステル系繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレートなどが好ましく使用されるが、第3成分として、イソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、メトオキシポリオキシエチレングリコールなどを共重合させたものを使用することもできる。また、ポリアミド系繊維としては、6−ナイロン、6、6−ナイロン、6、10−ナイロン、12−ナイロンなどが好ましく使用される。
【0025】本発明で使用される繊維布帛は、立毛を有する布帛が好ましく使用される。ここで言う立毛布帛とは、織物、編物または不織布からなる基布に立毛を付与した物を言う。かかる立毛は、素材、形態、構造、長さなど各種のものが存在するが、本発明においては、これらの1種類でも2種以上の混用であっても差し支えない。また、該立毛部分としては、カット状でも、またパイル状でも、いずれでもよく、また、針布やサンドペーパーなどで布帛表面を起毛して毛羽立たせたものでもよい。具体的には、編物では、シンカー編機を使用して編成するシンカーパイル編物や、経編物を使用したパイル編物、またそれらの表面を毛羽立たせたものなどがある。織物では、パイル織機で製織されるパイル織物があり、カットパイル、モケット、ベロア、ベルベット等がある。通常の織機で製織された平織物、綾織物、朱子織物などの表面を、サンドペーパーなどで毛羽立たせたものでもよい。 かかる繊維布帛に使用される単繊維としては、その繊度が細ければ細いほど、立毛部の風合いがソフトになり、肌に優しく快適な着心地のものを得ることができる。不織布としては、表面をサンドペーパ等で毛羽立たせたスエード調人工皮革等が該当する。一方静電気を利用した電気植毛加工(フロック加工)により布帛表面に繊維を植毛したものも立毛繊維に該当し、立毛部分が繊維であれば、基布部分は特に限定しないが、柔軟性の点で、繊維あるいはフイルムが最適である。
【0026】一般に、繊維布帛は、水が浸透しやすいので、水系の汚れの浸透防止や、漏電防止の点からも撥水性を有するものが好ましい。繊維布帛が撥水性を有するとは、JIS L−1092に基づいて測定される撥水度が、好ましくは70点以上、さらに好ましくは90点以上の性能を有するものをいう。かかる撥水性を付与するための撥水加工としては、公知の加工を用いればよい。耐久性のある撥水性をもたせるには、フッ素系撥水剤とメラミン化合物、イソシアネート化合物等を併用した加工が好ましく採用される。
【0027】また、本発明の繊維布帛は、マイナスイオンを発生する機能を有する布帛が好ましく使用される。ここで繊維布帛がマイナスイオンを発生するとは、マイナスイオン発生物質を付与することで可能となる。マイナスイオンとは、空気中に、放電、磁力線、電磁波、放射線、熱輻射などのエネルギーが放射されると、その周囲に気体イオンが発生することを意味するものである。かかる気体イオンはプラスイオンとマイナスイオンがあるが、このうちマイナスイオンはその雰囲気中にいる人の気を静め、人に好影響を及ぼすと言われており、身体の新陳代謝や血行の促進、疲労回復の促進などに利用する研究がなされている。マイナスイオンが多く存在する場所として、森林や滝壺、海岸などの自然地帯で水分が多い場所である。人為的には高電圧印加によりマイナス空気イオンを発生するイオン式空気清浄器も開発されている。マイナスイオンの発生物質としてラドン、ラジウム、ウラニウム等の天然放射性物質や、電気石に代表されるトルマリンがある。トルマリンは永久自発電気分極をしている物質といわれ、空気中の水分に接すると、ヒドロキシイオンを生成し空気がマイナス空気イオンとなる。トルマリンは外部電界の影響で分極のベクトルを変えず、また鉱物の中で最も強い永久分極特性を示すと共に、遠赤外線の放射も認められている。現時点ではマイナスイオン発生物質として本発明に展開する場合、安全性、性能の面からトルマリンがより好ましい。
【0028】また、さらに本発明の繊維布帛は、温度変化による変色機能を有する布帛が好ましく使用される。繊維布帛が温度変化による変色機能を有するとは、温度によって可逆的に色が変化する布帛である。
【0029】本発明の防寒ウェアにかかる布帛を使用すると、保温による温度の変化が手で触れることなく、目で見て判断できる利点がある。かかる変色機能の一例として、電子供与性発色剤と電子受容性顕色剤との組み合わせによる可逆性変色材料である熱変色性顔料がある。これらの熱変色性顔料は、おおよそ摂氏−30〜+100度の間の温度において、赤、青、黄、緑、橙、紫、茶、黒、その他配合により微妙な色まで有色から無色に、無色から有色へと可逆的に変化させることができ、蛍光増白剤を添加し、白の鮮やかさを強調し、コントラストを強くすることもできる。さらに色の変化も染料、顔料、蓄光剤等の有色化合物を併用する事により有色から異なった有色へ変化させることもできる。熱変色性顔料はマイクロカプセル化、粒子化したものをバインダーと共に繊維布帛に付与すればよい。
【0030】また、本発明の繊維布帛として、消臭性を有する布帛が好ましく使用される。繊維布帛が消臭性を有するということは、消臭未加工品に対して消臭効果のある加工布帛をいい、消臭とは臭いが布帛自体に着きにくい(着臭防止効果)状態や、または雰囲気の臭いが減少することである。
【0031】かかる消臭加工としては、具体的には、たとえば消臭剤を原糸への練り込み、紡績工程における付与、染色時および染色後の付与が行われている。消臭剤としては、活性炭、シリカ、ゼオライト、リン酸カルウムなどの無機系消臭剤、アミン系化合物、カルボン酸基や、スルホン酸基を有する有機系消臭剤、光触媒機能を有するアナターゼ型酸化チタンなどがある。
【0032】また、本発明の繊維布帛としては、防汚性を有する布帛が好ましく使用される。ここで繊維布帛が防汚性を有するとは、防汚未加工品に対して汚れが付着しにくく、また洗濯時汚れが落ちやすい加工布帛をいう。具体的な防汚加工方法としては、たとえば繊維布帛にフッ素系化合物、シリコーン系化合物からなる撥水撥油剤で処理する方法や、ポリエチレングリコールなどの親水性樹脂で処理する方法がある。大気中の黒ずみ汚れに対しては変性オルガノシリケートなどの無機性の強い加工剤で処理する方法がある。汚れの種類により最適な加工剤と加工方法を選んで使用することができる。
【0033】また、本発明の繊維布帛が、着脱可能に取り付けられているものであるのが好ましい。ここで繊維布帛が着脱可能に取り付けられるとは、発熱体と簡単に分離が可能であることを意味するものである。具体的には、解放部をファスナー、面ファスナー、ボタン、フック等で開閉自在に設けたものである、これにより手で簡単に繊維布帛を取り外すことができ、洗濯が簡単にできるようにしたものである。
【0034】該面状の発熱体の温度範囲は、摂氏40〜60度に設定されていることが好ましい。さらに好ましくは、60度以上に昇温した場合には、通電が停止する機能を持つものが良い。
【0035】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。まず、実施例中での性能、品質評価は次の方法を用いた。
(検知管法による消臭性評価)試料を10g入れた500mlのポリエチレン製容器に初期濃度が200ppmになるようにアンモニアガスをいれて密閉し、1時間放置後、ガス検知管で残留アンモニア濃度を測定した。
【0036】同様な方法でアセトアルデヒド200ppm−1時間後。メチルメルカプタン60ppm−3時間後の残留ガス濃度を測定した。
(タバコ臭に対する消臭性の臭覚評価)500mlのガラス製三角フラスコを入り口を下にして、入り口の直下に発煙している紙巻きタバコを5秒間置いた後、すばやく三角フラスコを横にして試料3gを投入し、ガラス栓で密閉し立てた状態にした。1時間放置後、ガラス栓を開け、10人の人に残臭を嗅いで官能評価(雰囲気消臭評価)した。次に試料を机上に取り出し2時間放置後、試料の残臭を嗅いで官能評価(着臭評価)した。その時の臭気を下記評価点数で評価し、平均値を出した。
【0037】
5:強烈な臭い4:強い臭い3:楽に感知できる2:何の臭いかわかる弱い臭い1:やっと感知できる臭い0:無臭実施例1PTC特性のない面状発熱体として、絶縁体である厚さ70μmのポリエステルフイルムに、導電性カーボン粒子が練り込まれたポリウレタン樹脂の発熱体をコーティング、乾燥、熟成し、更に厚さ70μmのポリエステルフイルムでサンドウイッチをした、この時、両サイドには電極として銅を用いた。この発熱体の目付は270g/m2で、サイズを20×30cmにした。さらにサーモスタットとしてアルミ箔でサンドウイッチした6、12−ナイロンのコポリマーを用い、前述のポリエステルフイルムと貼り合わせた。この状態の横方向断面を図6に示した。電源は6Vの携帯バッテリーとした。被覆用繊維布帛として、110デシテックス、96フィラメントのポリエステル仮撚加工糸と、167デシテックス、72フィラメントのポリエステル仮撚加工糸と、167デシテックス、48フィラメントのポリエステル仮撚加工糸を用い、トリコット編地を製編し、次に常法により、精錬、乾燥、中間セットを行い、濃茶色に染めた後、サンドペーパーによって立毛処理した。出来上がった編地の目付は180g/m2であった。この編地を二重にし、インナーベストを縫製した。このインナーベストの概略図を図5に示した。この時、腰部に20cm×30cmのポケットを作成し、このポケットに該発熱体を挿入した。携帯バッテリーは、ホルダーを装着して、ズボンのベルトなどに掛けても良く、また、インナーベストの脇部にバッテリー挿入用のポケットを設置しても良い。このインナーベストをスポーツ観戦用オーバーコートの中に着用したところ、摂氏約5度の環境下で2時間安静にした後も、暖かく快適であった。また、電源の無いところで非常に役にたつものであった。
実施例2PTC特性のない面状発熱体として、芯糸にポリエステル紡績糸20番手双糸を用い、円周部(鞘部)に導電性カーボン粒子含有ウレタン樹脂を用いた糸状発熱体を作製した。経糸にポリエステル紡績糸10番手単糸を用い、緯糸にポリエステル紡績糸20番手双糸と前述の糸状発熱体を用いて、糸状発熱体を4mmピッチで織り込んだ平織物を製織した。耳部には、電極として銅線を同時に織り込んだ。この発熱体の目付は280g/m2で、サイズを40cm×60cmにした。その後、絶縁被覆物として、織物の両面に厚さ50μmのポリエステルフイルムを貼り合わせた。この状態の縦方向断面を図7に示した。次に通常のサーモスタットを2個所設け、温度コントロール用にコントローラを設置し、プラグはAC100V用とした。被覆用繊維布帛として、経糸に66デシテックス、144フィラメントのポリエステル仮撚加工糸、緯糸に110デシテックス、48フィラメントのポリエステル生糸を用いた高密度平織物を使用し、20デシテックスのポリエステルモノフィラメントからなる目付50g/m2の中綿用シートを挿入し、ガウンを縫製し、さらにガウン背部内側に、該面状発熱体が着脱可能なポケットを設置した。これを、摂氏5度の室内で5時間着用したが、身体が冷えることなく快適に過ごすことができた。
実施例3タテ糸、ヨコ糸共に110デシテックス、48フィラメントのポリエステル糸を用い、耳部に電極として銅線を同時に織り込んだ、幅40cmの平織物を製織した。この時の目付は150g/m2であった。次に面状発熱体樹脂としてエチレン酢酸ビニル共重合体に、平均粒径15μmの導電性カーボンブラックと、PTC特性をもつキュリー温度摂氏62度のチタン酸バリウム系素子を練り込み、前述の織物の両面にコーティングを行った。得られた発熱体の目付は260g/m2で、長さ60cmにカットした。その後、絶縁被覆物として厚み70μmのポリエチレンフイルムを袋状にして、完全に融着シールし、防水加工とした。この状態の横方向断面を図8に示した。次に温度コントロール用にコントローラを設置し、プラグは100V(AC)用とした。被覆用繊維布帛として、実施例2で使用した織物と中綿用シートを用いて、実施例2と同様の背部内側に面状発熱体の着脱可能なポケットを設置したガウンを縫製した。面状発熱体部の昇温テストをした結果、実施例1,2の約半分の速度(約3分)で適温まで昇温し安定した。また、完全断熱状態で昇温テストした結果、60℃以上温度が上がらず安定していて、PTC特性が確認された。このガウンを摂氏5度の環境下で2時間着用した結果、実施例1,2に比較して昇温速度が早いため、すぐに暖かく感じ、また遠赤外線効果が良く、ゴム製湯たんぽを使用したような体の芯から温まる感じであった。
実施例4実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛としては、表面が立毛繊維からなるものを用いた。製造方法として、パイル糸が110デシテックス、48フィラメントのポリエステル糸、地糸が84デシテックス、36フィラメントのポリエステル糸からなる立毛シングル編みを編成した。次に、シャーリングマシンにて、パイル長さを1.5mmにカットし、針布起毛を行い生機熱セットを実施した。次に、液流染色機にて、淡いブルーに染色後、レイジング機で立毛の毛さばきを実施した。得られたものは目付380g/m2のベロア調立毛布帛であった。この布帛を用い、実施例1と同じインナーベストを縫製した。このインナーベストは非常に柔軟な感触と、色に深み感があり心が安らぐものであった。
実施例5実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛として、単糸繊度0.04デシテックスのポリエステルフィラメント糸からなる、目付220g/m2のスウェード調不織布シートを用いた。この不織布シートを用いて、実施例3と同様のガウンを作成し、摂氏5度の環境下で2時間安静にしたところ、短時間で暖かく感じるだけでなく、遠赤外線効果により、身体の芯から暖まるとともに、柔軟なスウェードタッチの触感と深みのある色調によって、心が安らぐものであった。
実施例6実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛として、実施例3に用いた極細糸使い織物と中綿シートを使用し、該極細糸使い織物をフッ素系撥水剤であるアサヒガードAG−740(明成化学工業(株))によって撥水加工を施した。実施例3と同様のガウンを作成した結果、短時間で暖かくなり、かつ、遠赤外線効果により、身体の芯から暖まるとともに、撥水性が非常に良く、水気のものをこぼした場合、簡単に処置ができ便利であった。
実施例7実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛としては、実施例3に用いた極細糸使い織物に抗菌性加工を施したものを使用した。実施例3と同様のガウンを作成したところ、衛生的で、なおかつ、快適に着用できるものであった。
実施例8実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛として、実施例1で用いた編地にトルマリン粉末をアクリル樹脂で固着させたものを使用した。この布帛のマイナスイオンの発生量を、AIR ION COUNTER(USA製)を用いて測定した結果、明かにマイナスイオンが発生していることが確認された。この布帛を用いて、実施例1と同様のインナーベストを作成したところ、温度特性は非常に身体に心地よいものであり、またマイナスイオン効果と遠赤外線効果の相乗効果で、非常にリラックスできるものであった。
実施例9実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛としては、実施例3で用いた極細糸使い織物に、熱変色性組成物をマイクロカプセル化したものをウレタン樹脂によって固着させたものを使用した。これにより、該極細糸使い織物は、温度変化によって変色機能を有する。さらに実施例3同様に中綿素材を使用してガウンを作成した。このガウンはうすい青色を呈し、昇温により摂氏53度で無色に変化し、再び摂氏53度以下になればうすい青色に復色し、可逆的な熱変色性を示した。このことにより、ガウンの表面温度が摂氏53度以上になれば変色(無色化)するので、温度計などがなくても、肉眼で温度を確認することができ、安全性の面で優れている。このガウンの温度特性は、実施例3と同じく体に心地よいものであった。
実施例10実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛としては、実施例1の編地に消臭機能を付与したものを用いた。この布帛の消臭性能は、染色上がり生地(加工なし)で、アンモニア消臭率55%、アセトアルデヒド38%、メチルメルカプタン30%で、該光触媒加工した布帛のアンモニア消臭率100%、アセトアルデヒド82%、メチルメルカプタン85%であった。また、タバコ消臭性についても評価した結果、該消臭加工布帛の雰囲気消臭は未加工布帛の臭気が4であるのに対して1.8点、着臭は1.6点であり、明らかに消臭効果があることが判った。この消臭加工布帛を使用し、実施例3と同様のガウンを作成し、着用したところ、汗や体臭やタバコ臭が気になることなく、温度特性は実施例3と同じく体に心地よいものであった。
実施例11実施例3で用いた面状発熱体および絶縁被覆物を用い、更に被覆用繊維布帛としては、実施例3に使用した極細糸使い織物に防汚性を付与したものを用いた。この布帛を用い、実施例3と同じガウンを作成したところ、手垢や食品汚れなどを気にすることなく着用でき、かつ、心地よい暖かさが得られるものであった。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、防寒性、衛生面、精神面、安全面においても優れた効果を有する、衣服と暖房器具がひとつになった新しい防寒ウェアを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−200408(P2001−200408A)
【公開日】 平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願番号】 特願2000−4305(P2000−4305)