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【発明の名称】 前掛け
【発明者】 【氏名】山口 和子

【要約】 【課題】飲食事時にこぼれた食べこぼしを収納する食べこぼし受け部を組立自在に設けた前掛けを提供すること。

【解決手段】基布1の下端部に裏片5を縫い合わせた縫合部9を形成して、上部に開口部7を有するポケット状の折り返し部30を形成する。該ポケット状の折り返し部30を、該開口部7通じて裏返し該基布1の反対面に反転して食こぼし受け部50を形成する。食いこぼし受け部50には、剛性のある縫合部9を有しているので形状が変形することがなく、口部8を開口状態に維持できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基布1と、該基布1の裏面下部に重合されると共に、上部に開口部7を残して周縁が取付けられた裏片5とからなり、該裏片5の一部分が該開口部7に対向する周縁部の上部で該基布に取り付けられたことを特徴とする前掛け。
【請求項2】 該基布1の裏面に幅方向の縫合部9によって覆い片40を取付け、該覆い片40は該縫合部9を折り曲げ線として、該基布1の裏面下端部より下方に引き出し可能であることを特徴とする請求項1に記載の前掛け。
【請求項3】 該裏片5と該基布1との間に該覆い片40の一部が介在されたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の前掛け。
【請求項4】 引き出し可能な該覆い片40と該基布1とにそれぞれ係合可能な係合手段13、14を設けたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の前掛け。
【請求項5】 該裏片5の内面と、該内面に対応する該覆い片40の外面とに互いに係合可能な係合手段11、12を設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の前掛け。
【請求項6】 該覆い片40の外面に、該裏片5の内面に設けた該係合手段12と係合可能な係合手段15を設けたことを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の前掛け。
【請求項7】 該基布1の上縁部2に心材4を設けてなる請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の前掛け。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家庭、養老院、保育園などで、飲食事者の前面に配置して使用する前掛けに関する。更に、詳細に言えば、飲食事時にこぼれた食べこぼしを収納する食べこぼし受け部を組立自在に設けた前掛けに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、飲食事のご飯やおかず、みそ汁等の食べこぼしが、衣類、床、寝具などに落ちてこれらが汚れるのを防止するため、すそ部分に食べこぼし受け部を設けた前掛けや、食べこぼし受け部を開口状態に維持するため、受け部の周縁に該開口部を広げる空気室を形成した前掛けが開発されている(特開平8−92802号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前者の構成に係る前掛では、すそ部に形成した食べこぼし受け部は、単に前掛けのすそ部を折り返しているだけであるため、折り返し部分の口部が狭く、またこの口部の開口状態を維持する手段がないため、飲食事者が動くと該口部が閉じてしまい食べこぼしを確実に受けることができないと言う問題があった。また後者の構成に係る前掛けでは、使用の度に空気を注入し、使用が終わると空気を排出しなくてはならないため使い勝手が複雑であり、更に空気注入の空気室が飲食事者の前面に突出するため、飲食時にこの空気室が食卓テーブルの縁などに接触し飲食事者が自由に飲食をできない問題があった。
【0004】また、従来の前掛けは、飲食事者に結び紐などで装着する形態であるため、介護人の助力を要する養老院、保育園などにあっては、飲食時に一人ずつ結び紐を縛って装着し、飲食が終わるとこれを解き取り外さなくてはならないため、その装着は大変負担のかかる煩雑な作業であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記のような従来の前掛けが有する問題を解決するために開発されたものであり、操作が簡単で確実に食べこぼしを収納できる食べこぼし受け部を作成できる前掛けを提供することにある。具体的には、本発明は、基布と、該基布の裏面下部に重合されると共に、上部に開口部を残してその周縁を取付けられた裏片とからなり、該裏片の一部分が該開口部に対向する周縁部の上部で該基布に取り付けられ、該基布に対して該裏片を裏返して口部を確実に形成し、該基布の表面に食べこぼし受け部を形成できることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施に形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1は、本発明の前掛けの表面を示す平面図であり、図2は裏面を示す平面図である。また図3は図2のA−Aの断面図を示している。本発明の前掛け10は、撥水性のある繊維性素材で作成された幅広長尺な矩形状の基布1と、該基布1の上端部に形成された段ボール、木片、合成樹脂などからなる心材4を収納する折り曲げ部20と、該基布1の裏面の下端部に形成されたポケット状の折り返し部30と、該基布1の裏面から、該基布1の下端部より下方に引き出し可能な覆い片40とで構成されている。
【0007】該折り曲げ部20は、該基布1の上縁部2を裏面側に折り曲げ、折り曲げられた該上縁部2の端縁部を縫合部3により該基布1に取り付けて構成されている。従って、該折り曲げ部20は、両側が開口した空洞状の構造であるため、板状の心材4を該折り曲げ部20側方の開口部から挿入できる。
【0008】該ポケット状の折り返し部30は、該基布1と同じ素材からなる裏片5とで形成される。該裏片5は、該基布1の下部の形状とほぼ同一の大きさに形成された矩形状の布片であって、該基布1の裏面において、該裏片5の両側縁、及び下縁を縫合部6により該基布1に重合して取付けることにより、該裏片5の上縁部が、該基布1の幅方向に開口した開口部7を有するポケット状に構成されている。また、該裏片5の一部分は、該開口部7に対向する該縫合部6の上方において、小幅の縫い合わせ部16によって該基布1に取り付けられている(図1)。
【0009】該ポケット状の折り返し部30は、開口部7を有しているので、該ポケット状の折り返し部30の内側面を該開口部7から裏返した状態で引き上げてげ該基布1の表面側に反転することにより食べこぼし受け部50を作成することができる(図3,4)。また、裏片5は、小幅の縫い合わせ部16によって基布1に取り付けられているため、反転された裏片5を基布1から弛むことなく基布1に固定できるので、食べこぼし受け部50の剛性を強めることができる。
【0010】該覆い片40は、該基布1と同じ素材からなる布片で形成され、該基布1の幅とほぼ同じ幅の上縁部と下縁部とを有する矩形状であって、該覆い片40の中間部を該ポケット状の折り返し部30の開口部7の上方において、縫合部9により該基布1の裏面に取付けて構成され、その下端部分は基布1と裏片5との間に介在され、基布1に対して裏片5と共に縫合部6によって取付けられている。
【0011】該覆い片40の長は、覆い片40を該縫合部9を折り曲げ線として該基布1の下端部方向に折り曲げたとき、該覆い片40の折り曲がった端縁を、該基布1の下端部より下方に引き出せる長さに形成されている。
【0012】該ポケット状の折り返し部30の開口部7には、該開口部7を閉塞しうる1対の面状のファスナー11,12が、該覆い片40の外面と該面に対向する裏片5の内面にそれぞれ設けられている。また、同様に該覆い片40が該縫合部9から、常時下方に折れ曲がるのを防止するため、該覆い片40を該基布1に係合状態で保持しうる1対の面状ファスナー13,14が、該基布1の両側縁部と該両側縁部に対向する該覆い片40の内面にそれそれ設けられている。
【0013】また、覆い片40の外面には、面状ファスナー15が設けられており、該覆い片40を該縫合部9に沿って折り曲げた時に、該面状ファスナー15が、ポケット状の折り返し部30の裏片5の内面に設けた面状ファスナー12と係合可能に構成されている。このため、裏片5を基布1の下方に折り曲げ場合、折り曲げられた裏片5は、面状ファスナー12,15により覆い片40の外面に固定される。このため、食べこぼし受け部50の剛性を補強することができる(図5)。なお、1対の面状のファスナー11、12、又は15、及び13,14は、一方のファスナーにループ状等の受け部が、他方のファスナーに該受け部に係合可能な突起部を有するものである。
【0014】次に、本発明の前掛けの使用法を説明する。図4はポケット状の折り返し部30を基布1の裏面から表面に折り返して食べこぼし受け部50を作成する状態を示す断面図であり、図5は覆い片40を縫合部9で折り曲げて該基布1の下端部より下方に引き出した状態を示す状態図である。また、図6は前掛けの使用状態を示す状態図である。
【0015】先ず、食べこぼし受け部50を作成するには、前掛け10の裏面(図1)を表面とした状態で、該ポケット状の折り返し部30の開口部7を開口した後、開口部7の両端より両指を挿入して底部の内側の両隅部をそれぞれ把持し、該ポケット状の折り返し部30を裏返した状態で該開口部から引き出すと共に、前掛け10の表面方向に裏返し反転させる。(図4の矢印方向)
【0016】この操作により、ポケット状の折り返し部30の内側面が裏返されて、前掛けの表面に反転し、該ポケット状の折り返し部30の内側面を外側面とする開口された口部8を有する食べこぼし受け部50が形成される(図4の2点鎖線)。
【0017】該縫合部6は、該裏片5と覆い片40と該基布1とが重なり合った状態で縫い合わされた剛性のある部分であり、また裏片5と覆い片40と該基布1とは、該縫合部6で裏返った状態で食べこぼし受け部50の内部方向に突出するため、該裏片5は、該基布1と接することなく起立状態に保持できる。このため、該食べこぼし受け部50の口部8を、開口した状態に維持することができる。
【0018】本前掛け10は、飲食事者の前部のテーブルクロスや炬燵掛け布団などに沿わせ、前掛けの表面を飲食事者の前面に配置して使用する。例えば、炬燵で食事する場合、炬燵掛け布団aの表面に沿って前掛け10の表面が垂れ下がるように、前掛け10の基布1の折り曲げ部20を、炬燵掛け布団aと天板bとの間に挿入して使用する。この場合、基布1の下端部が炬燵掛け布団の端まで達しない時などの前掛け10の長さが短い場合には、覆い片40を折り曲げ基布1の下端部より下方に引き出して使用すことができる。
【0019】飲食事者から食べこぼしが生じると、こぼれた食事は基布1の面に沿って落下するが、基布1の下端部に食べこぼし受け部50が形成されてあるのでこぼれた食事は、該口部8から該こぼれ受け部50に案内され収納されるため、食べこぼしが炬燵掛け布団aや床などに落ちてこれらを汚すことがない。また飲食が終了すると、前掛け10を炬燵掛け布団から取り外し、食べこぼし受け部50に収納された食べこぼしを除去した後、食べこぼし受け部50を基布1の裏面に裏返してポケット状の折り返し部30に復元した後、必要に応じて面状ファスナー11,12を係合して開口部7を閉塞する。
【0020】また、覆い片40を引き出して使用した場合は、該覆い片40を基布1の裏面方向に折り返し、面状ファスナー13,14を係合させる。折り曲げ部20に心材4が挿入されている場合は、前掛け10を該折り曲げ部20の周りに巻き付けると、型くずれすることなくコンパクトに収納できる。
【0021】
【発明の効果】請求項1に係る発明によると、食べこぼし受け部50には、裏片5と基布1とが重ね合った状態で縫い合わされた剛性のある部分が設けられており、また裏片5と基布1とは縫合部9で裏返った状態で食べこぼし受け部50の内部方向に突出すると共に、反転された裏片5が縫い合わせ部16で弛むことなく基布1に取り付けられてるため、食べこぼし受け部50は外圧が加わても変形されにくく、口部8を開口状態に維持できる。このため、食べこぼしを確実に食べこぼし受け部50に収納できる。
【0022】請求項2に係る発明によると、覆い片40を基布1の下方に適宜長さで折り曲げて引き出せるため、使用場所や食事内容によって前掛けの長さを適宜調整でき、寝具や床などが汚れるのを防止できる。請求項3に係る発明によると、食べこぼし受け部50を構成する基布1の部分は、覆い片40によって二重構造の剛性部になっているので、基布1,裏片5及び覆い片40を同一の素材で形成しても裏片5の取付部が覆い片40,基布1の二層構造であるため、その剛性が強化され、外圧により食べこぼし受け部50が変形しにくい。
【0023】請求項4に係る発明よると、係合手段により覆い片40を基布1に係合させることができるので、前掛け10を収納する時に覆い片40が位置ずれすることなくコンパクトに収納できる。請求項5に係る発明によると、ポケット状の折り返し部30の開口部7は、係合手段により閉塞できるため、前掛けの不使用時や収納時に該開口部を構成する裏片5の周縁部の一部分などが内側や外側に折れ曲がり折れ癖が付くことがないので、食べこぼし受け部50を組み立てたときに、該食べこぼし受け部50を構成する口部8の周縁部を起立した状態に保持できる。
【0024】請求項6に係る発明によると、、覆い片40を基布1の下方に折り曲げ場合、該裏片5を折り曲げられた覆い片40の外面に固定できるため、食べこぼし受け部50を構成する基布1の部分の剛性が補強され、前掛けの使用中に基布1に背面から何らかの力が加わっても食べこぼし受け部50が変形しないため、口部8が閉塞されにくい。
【0025】請求項7に係る発明によると、前掛け10の上端部に心材4を設けてあるので、前掛け10を収納する場合、該心材4の周りに巻き付けて収納できるので型くずれしない。また使用時には、前掛け10の設置位置を容易に設定できる。
【出願人】 【識別番号】599074394
【氏名又は名称】山口 和子
【出願日】 平成11年11月12日(1999.11.12)
【代理人】 【識別番号】100082304
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 松司 (外5名)
【公開番号】 特開2001−146611(P2001−146611A)
【公開日】 平成13年5月29日(2001.5.29)
【出願番号】 特願平11−323409