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【発明の名称】 ストッキング
【発明者】 【氏名】北畠 さつき

【氏名】森谷 明

【氏名】河合 貴美子

【要約】 【課題】ファッション性を損なうことなく「薄くてあたたかい」という、外観・保温性、さらには風合にも優れたストッキング及びタイツを提供すること。

【解決手段】着用時の伸長厚みが0.80cm以下のストッキングで、5℃環境下での該ストッキングの平均表面温度が0.50〜0.80cmの厚みで28.5℃以下、0.50cm未満の厚みで29℃以下である芯糸となる弾性糸に中空フィラメントのカバリング糸(A)及びカバリング糸(B)を同一撚方向に巻付けてなるダブルカバリング糸を用いて編成してなるストッキング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 着用時の伸長厚みが0.80cm以下のストッキングであって、5℃環境下での該ストッキングの平均表面温度が0.50〜0.80cmの厚みで28.5℃以下、0.50cm未満の厚みで29℃以下であることを特徴とするストッキング。
【請求項2】 芯糸となる弾性糸にカバリング糸(A)及びカバリング糸(B)を同一撚方向に巻付けてなるダブルカバリング糸をレッグ部及び/又はパンティ部に用いて編成してなることを特徴とする請求項1記載のストッキング。
【請求項3】 カバリング糸(A)はポリアミド系合成繊維中空フィラメントであって、且つカバリング糸(B)はポリアミド系合成繊維フィラメントからなることを特徴とする請求項1又は2記載のストッキング。
【請求項4】 カバリング糸(A)は単糸繊度が3.4dtex以下であって、カバリング糸(B)は単糸繊度が1.2dtex以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のストッキング。
【請求項5】カバリング糸(A)の中空率が10〜30%であることを特徴とする請求項3又は4記載のストッキング。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パンティストッキングやソックス型ストッキング及びタイツといったストッキングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ストッキング及びタイツの保温性を高める手段としては、糸条繊度を上げ、布帛の厚みを持たせるか、或いは、ウール・アクリル等の保温性効果の高いポリアミド系合成繊維以外の繊維素材を使用するなどの方法がとられてきた。
【0003】しかしがなら、これらの方法では、保温性が上がっても、外観上厚ぼったい感じになりファッション性を損なったり、糸条繊度を大きくする事により、風合いが硬くストレッチ性が低下する問題が生じる。他方、他繊維素材を使用することにより、染色加工性の違い等も生じ、外観のみならず、生産性も悪くなる問題もある。
【0004】本発明は、以上のような問題に鑑みてなされたものであり、ストッキング及びタイツとして従来の製品では実現できなかった保温性があり、ファッション性を損なうこともなく、さらに、通常の加工工程で生産性もかわらず、「薄くてあたたかい」という、外観・保温性ともに優れ、さらに、風合いもソフトでストレッチ性もある高機能のストッキング及びタイツを得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決する手段】即ち本発明は、着用時の伸長厚みが0.80cm以下のストッキングであって、5℃環境下での該ストッキングの平均表面温度が0.50〜0.80cmの厚みで28.5℃以下、0.50cm未満の厚みで29℃以下であることを特徴とするストッキングである。そして具体的には芯糸となる弾性糸にカバリング糸(A)及びカバリング糸(B)を同一撚方向に巻付けてなるダブルカバリング糸をレッグ部及び/又はパンティ部に用いて編成してなることを特徴とする上記記載のストッキング、カバリング糸(A)はポリアミド系合成繊維中空フィラメントであって、且つカバリング糸(B)はポリアミド系合成繊維フィラメントからなることを特徴とする上記記載のストッキング、カバリング糸(A)は単糸繊度が3.4dtex以下であって、カバリング糸(B)は単糸繊度が1.2dtex以下であることを特徴とする上記記載のストッキング、及びカバリング糸(A)の中空率が10〜30%であることを特徴とする上記記載のストッキングである。以下、本発明を詳述する。
【0006】まず、本発明の保温性は、ストッキング及びタイツを着用した時、肌側の体温を逃がさないことにより保温性が保たれる点に着目したもので、その評価として寒冷環境下での保温性として、ストッキングの表面温度を一つの評価対象とし、恒温恒湿室にて、5℃×50%RHにおいてのストッキングの平均表面温度を測定し、また、該ストッキングの厚みとの対応を測ったものである。
【0007】すなわち、着用時を想定して、伸長した厚みが0.80cm以下のストッキング及びタイツにおいて、5℃環境下での該ストッキングの平均表面温度が0.50〜0.80cmの厚みで28.5℃以下であり、また0.50cm未満の厚みでは29℃以下であるストッキングが好ましい。更に好ましくは、0.7cm以下のストッキングで28.5℃以下であることが好ましい。
【000.80】上記の平均表面温度及び厚みによる保温性評価法は以下のとおりである。
<保温性評価法>■サンプリング方法 : ストッキングを下記*1人体足型に着用させた状態と同伸長となるよう、サンプルのふくらはぎ部を下記*2のサンプル枠に張り、枠淵を接着剤で固定する。
*1人体足型;日本人の標準容積を有する実物大の足型に模して製造されており、土踏まず部、足首部、ふくらはぎ部、大腿部の各部周囲長がそれぞれ24cm、21.5cm、34cm、47cmとなるよう構成されている。
*2サンプル枠サイズ;外側タテ15cm×ヨコ15cm,サンプル枠淵巾(接着部)2.5cm,内側タテ10cm×ヨコ10cm■環境条件 :5℃×50%RH(無風)の恒温恒湿室にて測定。
■測定方法(1) ストッキングの平均表面温度 : 一定温度36℃の熱板(ASTM保温性試験機)上に上記■のサンプル添付したサンプル枠を置き、5分後のサンプルの表面温度を、サーモトレーサー にて測定。
*平均表面温度=5分経過時のサンプル表面部分9点の平均表面温度。
(2)ストッキングの厚み : 上記■のサンプル枠に貼られた伸長状態で、1gf/cm2荷重により測定。
■保温性評価法:評価サンプルの厚みと表面温度を測定し、厚みごとの表面温度により保温性を評価する。つまり、表面温度から、サンプルの熱遮断性を見る事によって、保温効果を確認する方法であり、表面温度が低い方が、熱遮断性が大きく、熱板の熱を逃さず、保温効果があり、保温性が高いと評価する。(よって、熱板の温度に近いほど保温性は低くなる。)
【0008】また、上記において、伸長時厚み0.80cm以下のストッキングとしたのは、0.80以上さらに生地が厚くなると、保温性は大きくなっても厚ぼったい感じがし、外観的にもファッション性にも欠け、また風合いも硬くゴアゴアしたものとなり本発明の目的とするところのストッキングから逸脱したものとなるからである。
【0009】次に、本発明における弾性糸はスパンデックス繊維と言われるポリウレタン弾性繊維が好適であるが多種類の弾性繊維を用いても構わない。上記カバリング糸(A),(B)としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等が好ましい。
【0010】さらに、本発明は糸条繊度を単に大きくし生地を厚くすることにより保温性を向上させるのではなく、カバリング糸(A)として中空糸を内側に巻き付け、外側にカバリング糸(B)として単糸繊度の小さいマルチフィラメント(仮撚加工糸、フラットヤーンのどちらでも構わない。)を同方向に弾性糸に巻付けることによりエアー層を多く持ち肌側の熱を外に逃がさず保温性に優れたものとすることにも特徴がある。
【0011】本発明は、望ましくは内側にカバリング糸(A)として3.4dtex以下の単糸からなるポリアミド系合成繊維中空フィラメントを用いることで中空フィラメントによるエアー層ができ、また外側のカバリング糸(B)は単糸繊度1.2dtex以下のマルチフィラメントを用いているので繊維間のエアー層も保持しやすくなり、本発明の目的を達する保温性に優れたストッキングとなる。さらに、外側に単糸繊度1.2dtex以下のマルチフィラメントを配することにより、なめらかで柔らかく肌触りにも優れたものにすることができる。
【0012】尚、上記カバリング糸(A)の中空率は、本発明の効果を発揮するためには10%〜30%の範囲が好ましく、10%未満であるとエアー層が少なくなり、また30%以上であると中空糸の破裂が発生し、エアー層が保持できなくなり保温性を高めることができない。さらに、製造時の破裂は工業的に生産を困難にし実用化に乏しい。本発明の上記中空率とは、繊維断面の最外周長部の面積に対し中空部面積比率を求めたものである。
【実施例】
【0013】次に本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に限るものではなく種々の変更が可能である。芯糸としての弾性糸には、33dtexのスパンデックス繊維を用いた。内側のカバリング糸(A)には、ナイロン6中空フィラメント糸条をそのままフラットヤーンとして用い、外側のカバリング糸(B)には、ナイロン6マルチフィラメント糸条を仮撚加工糸にして用いた。
【0014】編糸の製造方法としては、上記弾性糸を3.1倍に伸張しつつ、下記表1に示したカバリング糸(A)・(B)の糸条繊度、単糸繊度を種々に調整し、通常のカバリング機を用いて、カバリング糸(A)・(B)を順次に同一方向に巻き付け、ダブルカバリング糸を得た。
【0015】次に、得られたダブルカバリング糸を用い、4口靴下編機で編成した。こうして、編成した編地に染色、仕上げ加工を施して、ストッキングを得た。これらの得られたストッキングについて、下記に示す保温性評価及び官能評価を実施した。官能評価では、着用時の保温性、外観、風合についての評価結果を、5段階示した。
(良い) ◎ > ○ > △ > × > ×× (悪い)
【0016】<保温性評価法>■サンプリング方法 : ストッキングを下記*1人体足型に着用させた状態と同伸長となるよう、サンプルのふくらはぎ部を下記*2のサンプル枠に張り、枠淵を接着剤で固定する。
*1人体足型;日本人の標準容積を有する実物大の足型に模して製造されており、土踏まず部、足首部、ふくらはぎ部、大腿部の各部周囲長がそれぞれ24cm、21.5cm、34cm、47cmとなるよう構成されている。
*2サンプル枠サイズ;外側タテ15cm×ヨコ15cm,サンプル枠淵巾(接着部)2.5cm,内側タテ10cm×ヨコ10cm■環境条件 :5℃×50%RH(無風)の恒温恒湿室にて測定。
■測定方法(1) ストッキングの平均表面温度 : 一定温度36℃の熱板(ASTM保温性試験機)上に上記■のサンプル添付したサンプル枠を置き、5分後のサンプルの表面温度を、サーモトレーサーにて測定。
*平均表面温度=5分経過時のサンプル表面部分9点の平均表面温度。
(2) ストッキングの厚み : 上記■のサンプル枠に貼られた伸長状態で、1gf/cm2荷重により測定。
■保温性評価法:評価サンプルの厚みと表面温度を測定し、厚みごとの表面温度により保温性を評 価する。つまり、表面温度から、サンプルの熱遮断性を見る事によって、保温効果を確認する方 法であり、表面温度が低い方が、熱遮断性が大きく、熱板の熱を逃さず、保温効果があり、保温 性が高いと評価する。(よって、熱板の温度に近いほど保温性は低くなる。)
【0017】<官能評価>女性モニター10名により、保温性:あたたかさ、外観:見た目の美しさ(編目が整っている等)、風合:肌触りの良さ(柔らかい・なめらかである等)の項目について、官能評価を行ない、下記の◎〜××で評価した。
(非常に良い)◎ > ○ > △ > × > ×× (非常に悪い)
【0018】下記、ストッキング及びタイツのタイプは、実施例1〜4は、本発明品の上記記載のとおり、中空糸を内側に配したダブルカバリング糸(同方向巻き)のゾッキである。比較例1〜4は、一般的なシングルカバリング糸のゾッキである。比較例5は、通常のダブルカバリング糸(異方向巻)のゾッキである。
【0019】
【表1】

【0020】上記の保温性評価における厚みと平均表面温度の関係と、各ストッキング及びタイツの位置付けを図1に示す。
【0021】上記結果から、実施例について述べると、実施例1は、着用時厚み(伸長厚み)が0.50cm以下でタイツとしては薄手であるにもかかわらず平均表面温度が29℃以下で熱遮断性があり、あたたかく、外観も美しく、柔らかで、非常になめらかな肌触りで風合いも非常に良くなっている。また、実施例2〜4は、平均表面温度が28.5℃以下で熱遮断性・保温性が高く、また着用時厚み(伸長厚み)が0.50cm〜0.80cmの厚みであるため厚ぼったさがなくファッション性も損なわず、外観・風合いも良く、保温性・外観・風合いともにバランスのとれた高いレベルの評価になっている。
【0022】次に比較例について、述べると、 比較例1は、着用時厚み(伸長厚み)が0.50cm未満とタイツとしては、薄手であるため一般的なタイツより保温性はかなり低くなっている。外観・風合いについては一般的なタイツ並み〜やや良い程度である。比較例2は、保温性・外観・風合とも一般的なタイツ並み程度である。比較例3は、糸条繊度は太いが度目が大きく編地が粗いため保温性も特に良いとはいえず、外観・風合も悪い。比較例4は、比較例3以上に糸条繊度が太く着用時厚み(伸長厚み)が0.80cmよりと厚く、保温性は良いが外観は厚ぼったくファッション性に欠け、また度目が大きく編地が粗いため、硬くゴアゴアした感じがあり、風合いが非常に悪い。比較例5は、通常のダブルカバリング糸(上・下撚=異方向巻)のゾッキで、外観、風合はかなり良いが薄く冷たい感じで保温性が悪い。
【0023】また、保温性に関して、さらに詳しく述べると図1からもわかるように、実施例、比較例それぞれに保温性は厚みの依存性が見られ、厚いものほど平均表面温度が低く、熱板(着用時の肌・体温)の熱を遮断する効果があり保温性効果が高くなるといえるが、本発明品である実施例は、比較例と同じ厚さであれば比較例より保温性は高く、また比較例より薄くても、実施例より生地の厚い比較例と同等の保温性があり、保温性に優れたものといえる。
【0024】
【発明の効果】本発明の係るストッキングでは、保温性があり、ファッション性を損なうこともなく、「薄くてあたたかい」という、外観・保温性、さらに、風合にも優れたストッキング及びタイツを得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000003160
【氏名又は名称】東洋紡績株式会社
【出願日】 平成12年5月8日(2000.5.8)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−316902(P2001−316902A)
【公開日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【出願番号】 特願2000−134975(P2000−134975)