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【発明の名称】 二重くつ下とその製造方法
【発明者】 【氏名】巽 俊夫

【要約】 【課題】全面二重地として保温性を高めると共に、内面パイル等の存在するニット裏目が足本体に直接接触しないようにして運動中足に力を入れやすくし、外筒体の中への内筒体の挿入を自動化して省力化を図り、かつ口ゴム部の伸縮性を増すことができる二重くつ下とその製造方法を提供することである。

【解決手段】口ゴム部で連らなる筒形編地から内筒体と外筒体とを形成し、重なり合う前記両筒体をつま先部で縫合一体化した二重くつ下を編成するため、シリンダ10とダイヤル11とを備える丸編くつ下編機を用い、前記ダイヤル11の所要ジャック15に編糸17を保持せしめて筒形編地Aの内筒体2の一端部を固定し、内筒体2のつま先部4aから編み始め吸引力で内筒体2と編成された部分を順次重ね合せながら外筒体のつま先部まで編成することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 口ゴム部で連らなる筒形編地から内筒体と外筒体とを形成し、重なり合う前記両筒体をつま先部で縫合一体化したことを特徴とする二重くつ下。
【請求項2】 内筒体と外筒体から成る二重くつ下の製造方法において、シリンダとダイヤルとを備えた丸編くつ下編機を用い、前記ダイヤルの所要ジャックに編糸を保持せしめて筒形編地の内筒体の一端部を固定し、内筒体のつま先部から編み始め、吸引力で内筒体と編成された部分を順次重ね合せながら外筒体のつま先部まで編成することを特徴とする二重くつ下の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、口ゴム部からつま先部まで全体を二重地にした二重くつ下とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、防寒用、スポーツ用、作業用等としてかなり厚手のくつ下が普及している。
【0003】従来、この種のくつ下として、図7に示すように、つま先部31、足底面32、かかと部33及び脚部後半部34に内面パイル35を密生させた厚手のくつ下がある。
【0004】ところが、このくつ下は、内面パイル35が任意な方向に倒れ、足本体が力のかかる方向に移動しやすく、激しい運動中足に力を入れにくい欠点があり、また、ニット裏目の内面パイルは柔軟で損傷しやすく耐久性が劣り、さらに、全面が一重地であるため部分的に厚手でも保温性が低い等の欠点がある。
【0005】また、図8に示すように、別々に編成した外筒体36の中に内筒体37を重ね合せて全面二重地とし、口ゴム部38の周縁の縫合線39及びつま先部40の縫合線41で両筒体を連結し一体化したものがある。ところが、このくつ下は、縫製時に外筒体36の中へ内筒体37を一々挿入しなければならず、かなり手間がかかりコスト高となり、口ゴム部38が三重地でかつ縫合線39が存在するため伸縮性が減少して足の出し入れがしにくく、また足首を強く圧迫し過ぎる等の欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】そこで、この発明の課題は、全面二重地として保温性を高めると共に、内面パイル等の存在するニット裏目が足本体に直接接触しないようにして、運動中足に力を入れやすくし、外筒体の中への内筒体の挿入を自動化して省力化を図り、かつ口ゴム部の伸縮性を増すことができる二重くつ下とその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、第1の発明は、口ゴム部で連らなる筒形編地から内筒体と外筒体とを形成し、重なり合う前記両筒体をつま先部で縫合一体化して二重くつ下を構成したのである。
【0008】また、第2の発明は、内筒体と外筒体から成る二重くつ下の製造方法において、シリンダとダイヤルとを備えた丸編くつ下編機を用い、前記ダイヤルの所要ジャックに編糸を保持せしめて筒形編地の内筒体の一端部を固定し、前記内筒体のつま先部から編み始め、吸引力で内筒体と編成された部分を順次重ね合せながら外筒体のつま先まで編成することを特徴とする。
【0009】
【作用】第1の発明に係る二重くつ下は、はき口となる口ゴム部が単なる二重地であり縫合線が無いためはきやすく、足本体に接触する内筒体の足底面はニット表目になっているため、肌触りがよく足底にフィットしやすく激しい運動時に力を入れやすい。また全面二重地で薄地であっても保温性が高く、内面パイルが起立するニット裏目が両二重地の間に対面封入されているため、耐久性があってはき心地がよい。
【0010】また、第2の発明に係る二重くつ下の製造方法においては、内筒体と外筒体とが連結した筒形編地から形成されかつ機台内装置の吸引力によって自動的に二重筒体となるため人手が省け生産性が高い。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】図1及び図2に示すように、この発明の二重くつ下は、綿糸を主体とし、ナイロン等の合成繊維糸及びスパンデックス等の弾性糸を合せた編糸を用い、所望の編目組織・柄模様を自由に編成することができるエレクトロニクス制御の丸編くつ下編機から編み立てられ(詳細後述)、口ゴム部1a、1bで連らなる一個の筒形編地Aから内筒体2と外筒体3とが形成され、重なり合う前記内筒体2及び外筒体3がつま先部4a、4bの横一文字状縫合線5で縫合一体化されたものである。
【0013】前記内筒体2には、つま先部4a、足底面6a及びかかと部7aのニット裏目に所要高さの内面パイル8が密生されており、この内面パイル8は、重なり合った両筒体の間に封入された状態になる。このため、着用時にはこの内面パイル8は足本体に直接接触するようなことがなく、激しい運動時にも足裏への密着性がよく、かつ所要のクッション性を備え、足に力を入れやすく迅速な行動が可能となり、また足裏に直接接触する内筒体2の足底面は編目の混んだ平滑なニット表目であるため、肌触りがよく大きな耐久性を備えている。
【0014】この二重くつ下は、激しい運動をするサッカー用ソックス等として特に有用である。
【0015】さらに、前記二重くつ下は、連らなる対の口ゴム部1a、1bの中央の折目線9で折返されており、二重地の口ゴム部には縫合線が全く無く、伸びやすく適宜な伸縮弾性を備えている。
【0016】なお、前記二重くつ下は、内筒体2をやや厚地とし外筒体3を多少薄地として伸縮性を付与したものに編成すると、両筒体がぴったり重なり合い着用時にもずれ動きにくく好ましく、さらに、外筒体3に色柄模様を設けるとファッション性の富んだものとなる。
【0017】前記二重くつ下は、特にスポーツ用として吸湿性と強靱性を備えた羊毛・ストレッチナイロンの混紡糸を用いる等用途に対応して編糸の素材、糸の太さ等を適宜選択することができ、また内面パイルの有無、パイルを設ける場合の部位、広さ、パイル長、内筒体及び外筒体の編目組織等も用途に対応して適宜選択することができる。
【0018】前記二重くつ下は、図3及び図4に示すように、筒形下釜即ちシリンダ10と、円盤形上釜即ちダイヤル11とを備え、中央のファブリックチューブ12に編地を下方へ(矢印方向)吸引するブロア装置を備えたエレクトロニクス制御の丸編くつ下編機から編み立てられる。
【0019】前記シリンダ10の針床表面の縦溝には、高低2種のニードル13が上下動自在に収められ、ダイヤル11の放射線状水平溝には、先端にニードル13が進入できる隙間と編糸を保持するフック14とを備えた対の薄鋼片のジャック15が出没自在に収められており、シリンダのニードル13と、これと直交するダイヤルのジャック15は、カム群によって所要の編立運動を行なう。
【0020】前記ダイヤルのジャック15は、糸パッケージ16から引出された編糸17を保持してダイヤル内に後退してここを固定し、筒形編地Aの編成終了までこの保持状態を続ける。
【0021】編み立ては、図2に示すように、内筒体2のつま先部4aから始められ、足部18a、かかと部7a、脚部19a、口ゴム部1aと順次編成し、引続いて内筒体2と同サイズの外筒体3の口ゴム部1b、脚部19b、かかと部7b、足部18b、つま先部4bと両筒体が対称図形的に連らなる一個の筒形編地Aに編成される。
【0022】編成中、筒形編地Aは、ファブリックチューブ12の内部に自重で落下しながら下方のブロア装置によって吸引され、自動的に内筒体2と外筒体3とが重なり合うようになる。
【0023】つぎに、図5及び図6に示すように、筒形編地は、編み立て当初、つま先部4aの端を円盤形ダイヤルのジャック15に保持されて半円形状に開口しており、編成終了時において、最初のつま先部4aの端と最後のつま先部4bの端の開口とがかがり目20で連結され、次に横一文字状縫合線5(図1参照)で縫合し開口一体化されて所要の二重くつ下と成る。
【0024】上述の二重くつ下の編立方法によれば、口ゴム部から編み始める従来品とは逆に、つま先部から編み始め連続編成容易な口ゴム部で内外筒体を連結された対称図形状筒形編地を編成し、ブロア装置で吸引誘導することにより自動的に二重としたことを特徴としており、従来の二重くつ下生産時のように人手で重ね合せる手間が省ける利点があると共に内外筒体が連続一体品となっているため工程管理も容易となる。
【0025】なお、前記丸編くつ下編機としては、上述のようなシングルシリンダ編機のほか、ダブルシリンダ編機等他の各種形式のくつ下編機を用いることができる。
【0026】
【発明の効果】第1の発明の二重くつ下においては、全面二重地で比較的薄地であって保温性が高く、また内面パイルが起立するニット裏目が内外両筒体の重合する間に対面封入されており、はき心地がよく、運動中足に力が入れやすく、耐久性が大きい等の利点があり、スポーツ用ソックス等として最適である。また、はき口となる口ゴム部が単純な二重地で縫合線が無いので伸縮性が大きく足の出し入れも容易である。
【0027】第2の発明の二重くつ下の製造方法においては、対称図形的に内外両筒体を連続編成しながら編機台内において自動的に重なり合うようにしたので、生産性が高く従来のように外筒体の中へ内筒体を挿入するような手間を省くことができる利点がある。
【出願人】 【識別番号】596060859
【氏名又は名称】有限会社巽繊維工業所
【出願日】 平成11年8月9日(1999.8.9)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−55605(P2001−55605A)
【公開日】 平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願番号】 特願平11−225038