| 【発明の名称】 |
クプアス種子由来の油脂及びその製造方法と用途 |
| 【発明者】 |
【氏名】長澤 誠
【氏名】沼田 弘幸
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】クプアス種子由来のクプアス油脂を含有する健康食品。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 クプアス種子由来のクプアス油脂を含有し、カフェインを実質的に含有しないことを特徴とする健康食品。 【請求項2】 チョコレート様菓子であることを特徴とする請求項1記載の健康食品。 【請求項3】 チョコレートの代替物として使用される請求項1記載の健康食品。 【請求項4】 さらに砂糖を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の健康食品。 【請求項5】 さらに粉乳を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の健康食品。 【請求項6】 さらにレシチンを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の健康食品。 【請求項7】 さらにパーム油、ココナツ油およびナタネ油からなる群から選ばれる1種または2種以上の植物油を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の健康食品。 【請求項8】 さらにカカオバターを含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の健康食品。 【請求項9】 クアプス油脂が重量比で0.8〜1.4飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との比率を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の健康食品。 【請求項10】 クアプス油脂が下記する代表的物理化学的性質を有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の健康食品。 外観 淡黄色融点、℃ 29〜33比重 0.91鹸化価 187〜192ヨウ素価 40〜45屈折率 1.456〜1.485脂肪酸組成、%パルミチン酸 6.5〜7.2ステアリン酸 32.0〜35.5オレイン酸 42.0〜44.0リノール酸 3.3〜5.5アラキドン酸 9.0〜11.0ベヘン酸 1.0〜1.8飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸比 1.0〜1.1【請求項11】 (1) クプアスの種子を醗酵処理し、乾燥した後、焙煎し、(2) 外殻を除去したのち破砕し、(3) 得られた胚乳を微細に磨砕して液状乃至ペースト状としさらに(4) このようにして得られた粗製クプアス油脂を加圧処理し、濾過して精製クプアス油脂を液状又は固状物として分離する工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法。 【請求項12】 (1) クプアスの種子を醗酵処理して乾燥し、(2) 外殻を除去することなくそのまま加圧処理によって微細に磨砕するとともに加圧濾過処理して精製クプアス油脂を得る工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法。 【請求項13】 (1) クプアスの種子を醗酵処理し、乾燥した後、(2) ボイルし、外殻を除去したのち胚乳を焙煎し、(3) 焙煎した胚乳を微細に磨砕して液状乃至ペースト状としさらに(4) このようにして得られた粗製クプアス油脂を加圧処理し、濾過して精製クプアス油脂を液状又は固状物として分離する工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法。 【請求項14】 精製クプアス油脂又は精製クプアス油脂と粗製クプアス油脂と含有することを特徴とするチョコレート様洋菓子。 【請求項15】 精製クプアス油脂又は精製クプアス油脂と粗製クプアス油脂を含有することを特徴とする加工食品、医薬品又は化粧品。 【請求項16】 油脂含有量が40〜65重量%である請求項1〜10のいずれかに記載の健康食品製造のためのクプアス油脂。 【請求項17】 請求項1〜10記載の健康食品製造用の(i)アプアス種子を処理して得られる胚乳(nib)、(ii)胚乳(nib)を破砕して得られる液状またはペースト状の粗製クプアスまたは(iii)粗製クプアスを加圧処理して得られる精製クプアス。 【請求項18】 粗製クプアス油脂の加圧処理によって精製クプアスから分離される繊維質を含有するケースまたはそれを粉砕して得られる粉状物。 【請求項19】 クプアス種子由来のクプアス油脂。 【請求項20】 油脂含量が40〜65重量%である請求項19記載のクプアス油脂。 【請求項21】 クプアス種子を処理して得られる胚乳。 【請求項22】 請求項21に記載の胚乳を破砕して得られる液状又はペースト状の粗製クプアス油脂。 【請求項23】 請求項22に記載の粗製クプアス油脂を加熱処理して得られる精製クプアス油脂。 【請求項24】 液状又は固状である請求項23記載の精製クプアス油脂。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、クプアス(Cupuacu - Theobroma grandfiflorum (Willderow ex Sprengel) Schumann)由来のクプアス油脂を含有する例えばチョコレート様菓子等健康食品などのクプアス油脂製品に係る。 【0002】 【従来の技術】クプアス(Cupuacu)は、Theobroma grandfiflorum (Willderow ex Sprengel) Schumann の俗称であり、Sterculiaceae科のTheobroma属に属する熱帯性植物である。この科は、ほぼ50の属と750種の樹木(喬木及び潅木を含む)を包含するが、その殆ど全ての樹種が熱帯性である。Theobroma属は、Androretalum、Glossoretalum、Oreanthes、Telmatocarpus、及びTheobromaの六つの亜属に大別され、更に22種に分類される。 【0003】クプアスは、Glossoretalum亜属の一品種であり、Theobroma類に属する樹種であって、現在では南米アマゾン河流域において自生しまたは極く小規模ながら栽培されており、主として果肉が現地住民の食用に供されているほか、小規模ながら果肉がジュース、ネクター、ゼリー、シャーベット、アイスクリーム、ヨーグルトなどにも加工されている。この樹木は常緑の低木性であり、日陰によく適応し、従って他の植物との共生に適しているとされている。年間を通して白または淡黄色の花を開き、その後1.2乃至1.3kgの実をつける。この果実の果肉は全重量のほぼ40%程度を占め、平均30乃至40個の種子を含む。種子は従来無用なものとして廃棄されるか、せいぜい家畜の飼料とされるのみであった。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、クプアス樹が、上述したようにアマゾン原産の日陰適応の高い低木であり、つまり熱帯雨林において他の樹種との共生能力が高く、例えば緑化に適したユーカリ、ヤシなど植樹する所謂"アグロフォレストリ"によって熱帯雨林の荒廃跡地の緑化回復のために植林するのに特に適し、熱帯雨林の保存・回復と地域産業の振興に多いに寄与し得ると考えた。 【0005】クプアス種子の果肉は小規模ながら原住民によって食用に利用されているが、クプアスの果実は既述したように大きくて多量の種子を有しており、種子の重量は果実のほぼ17〜18%にも達するものの、クプアス種子は、通常埋め立て処理によって廃棄されているのが現状である。このクプアス種子の価値ある有効利用が見出されれば、クプアス樹の価値が上がることによって、クプアス樹の栽培が盛んとなり、熱帯雨林の荒廃をも防ぐことが可能となる。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる状況に鑑みて現在殆ど無価値のクプアス種子の有効利用について鋭意検討を重ねた結果、クプアスの種子は、低融点の良質の油脂を多量に含んでいることを知見し、さらに、クプアスの種子を採集し、これを例えば洗浄、醗酵(醗酵前に洗浄を行ってもよい)、乾燥、焙煎、脱殻、粉砕および圧搾等の各工程に供することによって、または採集した生クプアス種子をそのまま脱殻することなく圧搾することによって、例えば、本発明の健康食品、医薬、化粧品の製造に有用な粗製又は精製クプアス油脂が製造出来ることを知見した。なお、本発明におけるクプアスは従来天然に存在するクプアスのみならず、その変種であってよい。すなわち、クプアスと他の植物との交配又はクプアスの遺伝子技術処理によって得られるクプアスの変種は下記する粗製クプアス又は精製クプアス油脂がそれから製造可能である限り、いずれも本発明におけるクプアスであり、このようなクプアス変種から得られる油脂は本発明におけるクプアス油脂である。 【0007】さらに本発明者らは、得られた精製クプアス油脂は、融点が29乃至32℃と体温に近く、また必須脂肪酸の一つであるアラキドン酸の含有量が10%程度もあってカカオ油脂と比較して10倍ほど高いうえ、オレイン酸やリノール酸などの一価不飽和脂肪酸の含有量が極めて高いという、独特の脂肪酸組成を有すること、精製クプアス油脂のこのような特徴を活かして、精製クプアス油脂に砂糖、粉乳等を配合混入することによって特異な風味と味覚を有するチョコレート様の菓子類が得られること、またマーガリン、ホイップクリーム等の加工食品に精製クプアス油脂を適量配合すればこれら加工食品の品質改良が可能であり、さらに精製クプアス油脂は皮膚保護効果の高いクリーム、リップスティック等の油性化粧品、例えば座薬、軟膏などの医薬の基剤としても有用であることを知見した。なお粗製クプアス油脂も精製クプアス製品と同様の有用性を有するので、粗製クプアス油脂は単独であるいは精製クプアス油脂と組合わせて、精製クプアスと同様に油脂原料として種々の分野で使用することができる。 【0008】さらに、本発明者らは下記する知見をも得た。精製クプアス油脂の第一の特徴は、カフェインやテオフィリンなど刺激性の強い覚醒作用を有する生理活性物質を全く含有しないこと及び融点が29〜33℃というヒト体温に近いことにあり、その融解特性は極めてシャープであり、スーパークーリング性を示し、固化時に体積収縮を伴い、また多結晶形を示す。またその代表的な物理化学的性状および脂肪酸組成が下記に示す通りであり、カカオバターと比較してアラキドン酸含有量がほぼ10倍以上またオレイン酸とリノール酸の含有量も1.5倍程度高く、従って飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸比率は1.0〜1.1であることが分かる。カカオバターよりも消化吸収性がよい。オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸やベヘン酸含量が有意に高いのであるが、特にオレイン酸とリノール酸等一価不飽和脂肪酸は、多価不飽和脂肪酸に比べて生体内で活性酸素による酸化を受けにくく而も血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させる活性は同等であるので、精製クプアス油脂は、生活習慣病などの予防や健康維持に資する健康食品として有用である。本発明に従えば、上記したようにクプアス油脂を使用してチョコレート様菓子が製造できる。クプアス油脂は、チョコレートの原料となるカカオバターとは異なり、例えばカフェインやテオフィリン等の覚醒物質を実質的に含まない、そしてクプアス油脂は有用な不飽和脂肪酸の含量がカカオバターより多いことが特記される。従って、クプアス油脂を使用してチョコレート様菓子等の食品はチョコレートよりも健康上より好ましい。 【0009】すなわち本発明は、(1)クプアス種子由来のクプアス油脂を含有し、カフェインを実質的に含有しないことを特徴とする健康食品、(2)チョコレート様菓子であることを特徴とする前記(1)記載の健康食品、(3)チョコレートの代替物として使用される前記(1)記載の健康食品、(4)さらに砂糖を含有することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の健康食品、(5)さらに粉乳を含有することを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の健康食品、(6)さらにレシチンを含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の健康食品、(7)さらにパーム油、ココナツ油およびナタネ油からなる群から選ばれる1種または2種以上の植物油を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の健康食品、(8)さらにカカオバターを含有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の健康食品、(9)クアプス油脂が重量比で0.8〜1.4飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との比率を有することを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の健康食品、(10)クアプス油脂が下記する代表的物理化学的性質を有することを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の健康食品、外観 淡黄色融点、℃ 29〜33比重 0.91鹸化価 187〜192ヨウ素価 40〜45屈折率 1.456〜1.485脂肪酸組成、%パルミチン酸 6.5〜7.2ステアリン酸 32.0〜35.5オレイン酸 42.0〜44.0リノール酸 3.3〜5.5アラキドン酸 9.0〜11.0ベヘン酸 1.0〜1.8飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸比 1.0〜1.1(11)■クプアスの種子を醗酵処理し、乾燥した後、焙煎し、■外殻を除去したのち破砕し、■得られた胚乳を微細に磨砕して液状乃至ペースト状としさらに■このようにして得られた粗製クプアス油脂を加圧処理し、濾過して精製クプアス油脂を液状又は固状物として分離する工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法、(12)■クプアスの種子を醗酵処理して乾燥し、■外殻を除去することなくそのまま加圧処理によって微細に磨砕するとともに加圧濾過処理して精製クプアス油脂を得る工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法、(13)■ クプアスの種子を醗酵処理し、乾燥した後、■ボイルし、外殻を除去したのち胚乳を焙煎し、■焙煎した胚乳を微細に磨砕して液状乃至ペースト状としさらに■このようにして得られた粗製クプアス油脂を加圧処理し、濾過して精製クプアス油脂を液状又は固状物として分離する工程を含んで成る精製クプアス油脂の製造方法、(14)精製クプアス油脂又は精製クプアス油脂と粗製クプアス油脂と含有することを特徴とするチョコレート様洋菓子、(15)精製クプアス油脂又は精製クプアス油脂と粗製クプアス油脂を含有することを特徴とする加工食品、医薬品又は化粧品、(16)油脂含有量が40〜65重量%である前記(1)〜(10)のいずれかに記載の健康食品製造のためのクプアス油脂、(17)前記(1)〜(10)に記載の健康食品製造用の(i)アプアス種子を処理して得られる胚乳(nib)、(ii)胚乳(nib)を破砕して得られる液状またはペースト状の粗製クプアスまたは(iii)粗製クプアスを加圧処理して得られる精製クプアス、および(18)粗製クプアス油脂の加圧処理によって精製クプアスから分離される繊維質を含有するケースまたはそれを粉砕して得られる粉状物、に関する。 【0010】さらに本発明は(19)クプアス種子由来のクプアス油脂、(20)油脂含量が40〜65重量%である上記(19)記載のクプアス油脂、(21)クプアス種子を処理して得られる胚乳、(22)上記(21)に記載の胚乳を破砕して得られる液状又はペースト状の粗製クプアス油脂、(23)上記(22)に記載の粗製クプアス油脂を加熱処理して得られる精製クプアス油脂、および(24)液状又は固状である上記(23)記載の精製クプアス油脂、にも関する。 【0011】 【発明の実施の形態】クプアス油脂の代表的製造工程図を下記する。
【0012】本発明の好ましい実施の態様を下記に詳述する。ただし以下の説明で「%」は「重量%」を表わす。クプアスの樹から採取された果実は核果であり、既述したように平均重量が1kg前後であり、そのうち果肉の占める割合はほぼ40%近くに達し、ペクチンとクエン酸の含有率が高く、美味であり、したがってそのまま生食に供されるほか、ジュース、アイスクリーム、ゼリー、ヨーグルトなどの加工食品の製造に原料として用いるのに適しており、このような加工食品の製造装置を設置することによって、副生する種子の採集・集荷は極めて容易かつ衛生的とすることができる。 【0013】かくして集荷選別したクプアス種子は、例えば下記する醗酵、乾燥から始まるクプアス製造プロセスに供することによって粗製クプアス油脂また更には精製クプアス油脂とすることができる。 【0014】即ち、クプアス種子を所望により水で濯いだ後、適宜の大きさの密閉可能な木製またはプラスチック製の箱に収納し、密閉すれば、付着している酵母が自然に増殖して醗酵が開始する。醗酵は5〜7日進行するが、クプアス種子のまわりについた繊維質のパルプに含まれた多糖類がアルコール醗酵によってアルコールに分解され、さらに酢酸醗酵によって酢酸が生じ、その結果腐敗しやすい、余分な繊維質が除去される。 【0015】醗酵工程を経たクプアス種子は、ついで適宜のマット上に広げて天日乾燥又は加温下の強制乾燥に供され、含水率が55%程度からほぼ6%以下になるまで乾燥され、かくして貯蔵保管が可能な状態となる。醗酵が終了したクプアス種子は、例えば乾燥中に付着したゴミ、埃などをふるい等で除去する。そしてジュートまたは麻製などの適宜の大きさの袋に充填し、クプアス油脂製造プロセスに供するまで貯蔵、輸送される。 【0016】清浄浄化工程においては、醗酵乾燥処理したクプアス種子の中に混入した小石、金属類、塵芥、粉塵などのほかフラット豆、ダブル豆などの挟雑物をフルイ装置、電磁石や圧縮空気また小型の除塵機などを適宜に組み合わせて利用して除去するのである。清浄浄化工程を終えたクプアス種子はクプアス豆とも称される。なお清浄浄化工程は醗酵工程前に行なってもよい。 【0017】清浄浄化処理されたクプアス種子(クプアス豆)は、焙煎工程において焙煎され、その結果クプアス種子の含水率はほぼ6%から2%にまで低下せしめられ、この後の工程である脱殻工程において繊維性の外殻シェルと胚乳の分離を容易にする。かかる焙煎は、通常コーヒー、ココアなどの焙煎で常用される熱風式あるいは直火式焙煎機を用いてクプアス種子の品温をほぼ130〜150℃の高温に20乃至30分間保持することによって行われる。 【0018】かくして焙煎処理されたクプアス種子は、クラッシャーにかけて粗砕し、ついでフルイ処理して繊維性のシェル(外皮)を剥離除去して胚乳を分別取得する。なお、クラッシャー処理とフルイ処理は、外皮が約5重量%程度以下になるまで適宜反復繰り返して行う。かくして得られたクプアス種子胚乳は、ミルの中に投じて通常は二段階の磨砕処理を行うことによって粗製クプアス油脂が得られる。すなわち、第一段階はブレードミルを通して平均粒計150ミクロン程度にまで磨砕し、次いで第二段階としてボールミルにより平均粒径75ミクロン程度にまで磨砕処理するのである。このような磨砕処理においては、摩擦熱によってクプアス胚乳中にほぼ54〜59%含まれる油脂が溶解して、ペースト状又は液状乃至油状を呈するに至る。得られる粗製クプアス油脂を、例えば油圧プレスを用いて圧搾処理すれば精製クプアス油脂が得られる。この工程によって、精製クプアス油脂が加圧下に濾過される。精製クプアス油脂は加圧下に液状で濾過され、常圧下約40℃以上では液状であるが、温度が冷えると固状となる。従って精製クプアス油脂は液状又は固状で分離取得される。さらに、粗製又は精製クプアス油脂はクプアス種子を醗酵処理して乾燥し、外殻(外皮)を除去することなく、そのまま加圧下に粉砕し、加圧濾過することによっても製造される。このようにして例えば上記二方法によって製造される。粗製又は精製クプアス油脂の油脂含量は約40〜65重量%程度である。 【0019】又さらに、上記の製造方法において、醗酵および乾燥して得られるクプアス豆を焙煎前にボイルすることにより外皮を柔らかく、剥ぎ易くした後にニブ(胚乳)を取り出し、ニブ(胚乳)を焙煎してもよい。すなわち下記する工程図に従って粗製クプアス油脂および精製クプアスを製造してもよい。この場合は、最初の工程図による場合に比して、クプアス油脂の収率が驚くべきことに約30%程度向上する。 【0020】
【0021】この場合の好ましい実施の態様を以下に記載する。ボイル処理は醗酵、乾燥したクプアス豆を約5〜30分程度、好ましくは約10〜20分程度、沸騰している水中でボイルする。好ましくはボイルした豆を例えばザル等にのせ水分を切る。表皮に切れ目を入れるのは、通常は表皮が柔らかいうちに例えばナイフ等で表皮に切れ目を入れる。人力又は機械で切れ目の部分から胚乳を取り出す。好ましくは取り出した胚乳を例えば乾燥機を使用して、通常は水分が約6重量%以下になるまで乾燥し、胚乳を上記工程と同様にして水分が約2重量%以下となるまで焙煎し、例えばグラインダーを用いて、胚乳を磨砕して、粗製クプアスを得て、これを圧搾することによって精製クプアスを製造する。 【0022】なお、粗製クプアス油脂を、圧搾処理工程に付すると粗製クプアス油脂は精製クプアス油脂と繊維質を含有するケーキに分離する。このケーキを磨砕して得られる粉状物は、ココアと同様にして香り高い飲み物として喫することができる。 【0023】クプアス油脂に粉乳および砂糖、さらに例えばレシチン等の界面活性剤、さらに所望により香料等を加え、よく混合した後、ロールの間を通して粒子を微細にし、さらに約40〜45℃で混練機にかけてよく練って混練物を得る。この場合のクプアス油脂は粗製クプアスまたは/および精製クプアス油脂であり、通常は精製クプアス油脂、又は粗製クプアス油脂と精製クプアス油脂の混合物である。この混練物を30℃まで冷却し、型の中に一定量づつ流し込み、振動機にかけて、型の隅々まで行きわたらせ、気泡を取り去る。次いで、7〜10℃の冷却トンネル内を約20分間通過させるとチョコレートによく似たクプアス油脂チョコレートが得られる。この製品はチョコレート代替品(Chocolate Alternative)又はChocolate−flavoured confectionaryあるいはクプレートとも称される。香料としては、例えばバニラエキス等が挙げられる。 【0024】さらに所望により、上記の混練物には、クプアス油脂、粉乳、砂糖、界面活性剤以外に植物油を配合してもよい。そのような植物油としては、パーム油、ココナツ油、ナタネ油等があげられる。配合割合については、上記混練物100重量部に対して、粗製クプアス:5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部、精製クプアス:10〜70重量部、より好ましくは20〜60重量部、砂糖:15〜80重量部、より好ましくは20〜70重量部、レシチン:0.01〜1重量部、より好ましくは0.2〜0.6重量部である。 【0025】クプアス油脂は、下記するようにチョコレートの製造に使用されるカカオバターよりも融点が低い精製クプアス油脂又は粗製クプアス油脂と精製クプアス油脂の混合物を使用してチョコレート様の菓子を製造する場合に、該チョコレート様菓子の軟化点を上げることを所望するときには、クプアス油脂の一部をカカオバターで置き換えてもよい。そのような場合の使用されるクプアス油脂とカカオバターの配合割合は、重量比で約97:3〜60:40程度である。カカオバターの配合により、カフェインやテオフィリンなどの覚醒作用を奏しない約97:3〜80:20程度が健康上より好ましい。又さらに、カカオバターからチョコレートを製造する場合に、カカオバターの一部をクプアス油脂によって置き換えてもよい。クプアス油脂をカカオバターの一部として使用すればチョコレートの軟化点を下げることができるし、有害なカフェイン、テオフィリン等の覚醒作用物質の含有量を減少させると共に健康に役立つ不飽和脂肪酸の含有量を増加させることができる。 【0026】上記の混練物とパフ類又はナッツ類とを混合し、型(モールド)に充填し、クプアスチョコレート菓子を製造してもよい。又、さらに冷却されたクプアス油脂チョコレートのシェルの中にクリーム、ナッツ、ビスケット、リキュール類などをシェルセンターに注入、充填し、ふたをすればシェルクプアス油脂チョコレートが得られる。又さらに、ビスケット、ナッツ、クリームなどの固体を網コンベアに乗せ、温めた上記混練物を滝のように流下させ、余分な混連物を風力で吹き落として、冷却することによってもシェルクプアス油脂チョコレートが製造できる。 【0027】 【表1】
上記の数値は、クプアス樹の産地、栽培条件等により変動しうるものである。例えば飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸との重量比率も約0.8〜1.4の範囲で変動しうる。屈折率も1.456〜1.458又は1.456〜1.485の範囲を超えて、1.3〜1.5の範囲内で変動しうる。 【0028】かくして得られた粗製クプアス油脂、精製クプアス油脂又はそれらを用い製造される菓子類はいずれも刺激性、覚醒性など不快な生理的副作用を有するカフェイン、テオフィリンなどを含有しない、特に乳幼児や高齢者にとっても健康的な食品又は嗜好品として有用である。また、精製クプアス油脂は、マーガリンなど油脂ベースの加工食品に配合すれば品質の改善、新しい健康食品類の開発が可能であり、油性化粧品に配合すれば皮膚保護効果を改善することが出来また融点がヒト体温に近接しているので、そのまま又は若干の水素添加還元処理を行って座薬又は軟膏の基剤として使用出来る。 【0029】 【実施例】以下に実施例を記載して、本発明をさらに詳細に説明する。 【0030】実施例1 精製クプアス油脂の製造:ブラジルアマゾン河流域の都市マナウスの近郊に位置するプランテーションで栽培したクプアスから種子を採取し、パルプ付着したまま醗酵釜の中で5〜7日間クプアス種子に付着したイースト菌によって醗酵させたところ、pHは5.0〜5.3と低下し、温度は42〜45℃に上昇した。その後トレイに移して7日間天日乾燥させ、長径が20乃至30mm、短径が16乃至20mmかつ平均重量が2.5g/種子、 含水率が6乃至7%であるクプアス種子を得た。醗酵乾燥させたクプアス種子は、電磁石で金属類異物をのぞきまた圧縮空気で塵芥を除去することによって清浄処理し、次いで連続焙煎装置に入れて130〜150℃の熱風でほぼ20〜30分間ローストした。これによって、クプアス種子は含水率はほぼ2%にまで低下すると同時に芳香フレーバーを有するものとなった。焙煎処理したクプアス種子を篩いかけして塵芥や割れ豆を除去し、次いで破砕機にかけて胚乳シエルを剥離し、次に80メッシュの篩で篩い掛けしてクプアス胚乳を得た。なお篩い残は第一の篩い工程に戻して再度破砕処理を行った。得られたクプアス胚乳は、ブレードミルによる一次粉砕処理の後次いでボールミルによる二次粉砕処理による二段階粉砕処理又は微粉砕機に供する一段階微粉砕処理を行うことによって平均粒径を75ミクロン以下にすることによって液状とし、かくして粗製クプアス油脂を得た。さらにこの粗製油脂を更に油圧式フィルタープレスにかけることによって精製クプアス油脂が得られた。得られた精製クプアス油脂の代表的物性値は、以下のようであった。 外観 淡黄色融点、℃ 31〜33比重 0.91鹸化価 190〜192ヨウ素価 40〜43屈折率 1.456脂肪酸組成、重量%パルミチン酸 6.8ステアリン酸 33.5オレイン酸 42.0リノール酸 5.2リノレイン酸 痕跡量アラキドン酸 10.5ベヘン酸 1.5なお、クプアス果実から採取した生のクプアス種子(平均含水率68%) 100kgから、ほぼ45kgの乾燥クプアス種子(平均含水率6%)が得られ、焙煎処理することによって43kgの焙煎処理クプアス種子とし、さらに破砕処理によって31kgのクプアス胚乳が得られ、引き続いて微粉砕処理とフィルタープレス処理によって約13.5kgの精製クプアス油脂を得た。 【0031】実施例2 精製クプアス油脂の製造:都市マナウスの近郊ではあるが実施例1とは異なる場所で採取したクプアスから採取したクプアス種子を使用する以外は実施例1と全く同様に処理して、精製クプアス油脂を製造し、これを財団法人環境検査協会神戸事業所が分析して下記の結果を得た。 【表2】
【0032】実施例3 砂糖菓子の製造:前記した実施例1において得られた粗製クプアス油脂及び精製クプアス油脂を用いて下記処方に従って三種類の洋菓子を製造した。 (1) ビタータイプ粗製クプアス油脂; 45 重量部精製クプアス油脂; 12 "粉乳 ; -砂糖 ; 43 "(2) ミルクタイプ粗製クプアス油脂; 30 重量部精製クプアス油脂; 16 "粉乳 ; 10 "砂糖 ; 44 "(3) ホワイトタイプ粗製クプアス油脂; 0 重量部精製クプアス油脂; 41 "粉乳 ; 18 "砂糖 ; 41 "上記した各原料成分の所定量を秤量してミキサーに投入し、温度40乃至45度において処方に従い10乃至20分間の異なる時間混合・微細化・混練処理し、次いでモールド内に注型し、その後10〜15℃に冷却して、それぞれのチョコレート様洋菓子製品が得られた。これらの製品は風味や呈味など品質面で従来のチョコレート系洋菓子類に遜色することはなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】595028421 【氏名又は名称】アサヒフーズ株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年4月6日(2000.4.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077012 【弁理士】 【氏名又は名称】岩谷 龍
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| 【公開番号】 |
特開2001−299278(P2001−299278A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月30日(2001.10.30) |
| 【出願番号】 |
特願2001−108367(P2001−108367) |
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