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【発明の名称】 ルウ製造装置およびルウ製造方法
【発明者】 【氏名】佐久間 淳

【氏名】▲すぎ▼本 隆幸

【氏名】黒川 通夫

【要約】 【課題】加熱調理されたルウを速やか且つ均一に冷却することができ、されに、熟成感のあるルウを製造することができる、ルウ製造装置及び製造方法を提供すること。

【解決手段】澱粉系原料、油脂系原料、調味料を含む原料を加熱・攪拌して調理する加熱クッカー10と、該加熱クッカーの下流に配置され、該加熱クッカーから調理済み原料を受けて冷却するバッチ式の冷却クッカー50であって、受け入れた原料を攪拌する攪拌手段70と、壁内に設けられたウォータジャケット60と、該ウォータジャケットに冷却用流体を供給する冷却用流体供給装置62、62a、62cと、前記ウォータジャケットに保温用流体を供給する保温用流体供給装置62、62b、62dと、を備えたルウ製造装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 澱粉系原料、油脂系原料、調味料を含む原料を加熱・攪拌して調理する加熱クッカーと、該加熱クッカーの下流に配置され、該加熱クッカーから調理済み原料を受けて冷却するバッチ式の冷却クッカーであって、受け入れた原料を攪拌する攪拌手段と、壁内に設けられたウォータジャケットと、該ウォータジャケットに冷却用流体を供給する冷却用流体供給装置と、前記ウォータジャケットに保温用流体を供給する保温用流体供給装置と、を備えたルウ製造装置。
【請求項2】 前記冷却クッカーが、前記加熱クッカーの数より多く設けられている、請求項1に記載のルウ製造装置。
【請求項3】 澱粉系原料、油脂系原料、調味料を含む原料を加熱クッカーで加熱・攪拌によって調理し、調理済み原料を、前記加熱クッカーからバッチ式の冷却クッカーに移動させ、前記調理済み原料を前記冷却クッカー内で攪拌しながら所定温度まで冷却し、前記調理済み原料を前記冷却クッカー内で攪拌し、且つ、前記所定温度を維持しながら、所定時間、熟成させ、前記調理済み原料を前記冷却クッカーから排出するルウ製造方法。
【請求項4】 前記冷却クッカーが、壁内に設けられたウォータジャケットを備え、前記冷却が、前記ウォータジャケット内に冷却用流体を導入することにより行われ、前記所定温度の維持が、前記ウォータジャケット内に保温用流体を導入することによって達成される、請求項3に記載のルウ製造方法。
【請求項5】 前記冷却クッカーが、前記加熱クッカーの数より多く設けられている、請求項3又は請求項4に記載のルウ製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ルウ製造装置およびルウ製造方法に関連し、詳細には、カレー、シチューなどの調理に使用するルウを製造するルウ製造装置およびルウ製造方法に関連する。
【0002】
【従来の技術】カレー、シチューなどの調理に使用するルウは、小麦粉などの澱粉系原料、油脂系原料、肉汁、野菜エキス、乳製品のペースト原料、調味料などを加熱・攪拌することによって製造される。このようなルウ製造工程では、加熱・攪拌完了後は、風味保持、色調の劣化防止などのため、製造されたルウを速やかに冷却する必要がある。
【0003】このようにルウを速やかに冷却する方法として、例えば、特許第2584669号公報に記載されているものがある。この方法は、加熱攪拌による調理が完了したルウを、二軸エクストルーダによって冷却するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】二軸エクストルーダは、モータなどによって駆動される2本のスクリューをバレル内に、冷却装置をバレルの外周に、それぞれ配置した押出機であり、バレル内に導入した処理物を冷却・混練する装置である。このような、二軸エクストルーダによれば、ルウの迅速な冷却を行うことができる。しかし、二軸エクストルーダには、加熱攪拌による調理が完了したルウを少量づつしか送り込めないため、加熱攪拌が完了した1バッチ分のルウを同時に冷却することができず、加熱処理完了後、すぐ二軸エクストルーダに送り込まれたルウと、暫くしてから二軸エクストルーダに送り込まれたルウとでは、余熱の影響で、加熱量が異なってしまう等の問題があった。
【0005】また、この方法では、特に、乳化剤を使用しないでルウを製造する場合に、二軸エクストルーダで冷却した材料を次の工程に送る前に一時的に貯蔵するストックタンク内、および、二軸エクストルーダ内で、原料の分離が生じるという問題もある。
【0006】また、家庭等でルウを使用してカレーなどの料理を作るときには、具材とルウとを煮込むが、煮込んだ後、一晩又は数日間ねかしておくと、ルウに含まれる油脂、香辛料などの風味が相互になじみ、これらが一体に調和した熟成感のある風味、香りが得られることが知られている。しかしながら、昨今の生活形態の中では、カレー等は、煮込んだ後に直ちに食卓の上ることが一般的であるので、このような場合でも熟成感のある風味、香りが得られるルウが求められている。
【0007】本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、加熱調理されたルウを速やか且つ均一に冷却することができ、されに、熟成感のあるルウを製造することができる、ルウ製造装置及び製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本件出願の第1発明によれば、澱粉系原料、油脂系原料、調味料を含む原料を加熱・攪拌して調理する加熱クッカーと、該加熱クッカーの下流に配置され、該加熱クッカーから調理済み原料を受けて冷却するバッチ式の冷却クッカーであって、受け入れた原料を攪拌する攪拌手段と、壁内に設けられたウォータジャケットと、該ウォータジャケットに冷却用流体を供給する冷却用流体供給装置と、前記ウォータジャケットに保温用流体を供給する保温用流体供給装置と、を備えたルウ製造装置が提供される。
【0009】このような構成によれば、加熱クッカーで調理されて、流動状のルウとなった原料は、バッチ式の冷却クッカー内で攪拌されながら、ウォータジャケットに供給(導入)された冷却用流体によって、所定温度まで冷却されるので、原料の分離を回避しながら均一な冷却が可能となる。また、冷却完了後に、ウォータジャケット内に保温用流体を供給(導入)しながら、流動状のルウとなった原料を、所定温度で保持して熟成させることができるので、家庭での調理後にすぐ食しても熟成感を楽しむことができるルウが製造される。さらに、冷却と熟成とが同一の容器(クッカー)で行われるので、装置及び工程の簡略化が達成され、加えて、容器への原料付着に起因する原料損失および容器洗浄などを回避できる。
【0010】好ましい態様では、冷却クッカーは、加熱クッカーの数より多く設けられている。即ち、冷却クッカーの台数の方が多くなっている。
【0011】ここで、家庭での調理後にすぐ食しても、熟成感を楽しめるルウを製造するためには、冷却クッカー内での熟成を、長時間、行うことが好ましい。このため、加熱・攪拌による調理に要する時間より、冷却および熟成に要する時間が長くなるのが一般的である。即ち、冷却クッカーでの処理(冷却・熟成)時間が、加熱クッカーでの処理(加熱・攪拌)時間より長くなっている。従って、加熱クッカーと冷却クッカーとを一対一に設けると、冷却クッカーでの冷却・熟成中に、加熱クッカーを作動させることができない時間が生じ、製造装置の効率を向上させることができなかった。しかしながら、上述した態様のように、冷却クッカーの数を、加熱クッカーの数より多くすることにより、第1の冷却クッカーで第1のバッチの調理済みルウを冷却・熟成している間に、加熱クッカーで第2のバッチの調理済みルウの加熱攪拌による調理が終了しても、これを第2の冷却クッカーに移動させることが可能となるため、加熱クッカーの連続運転が可能となる。
【0012】さらに、冷却クッカーでの冷却・熟成が完了したルウは、充填装置によって出荷用の個別パッケージに充填されるが、複数の冷却クッカーで、並列的に、冷却・熟成を行わせておくことにより、充填装置を1バッチ分ずつ間欠的に作動させるのではなく、連続的に作動させ、効率的に運転することが可能となる。
【0013】本件出願の第2の発明によれば、澱粉系原料、油脂系原料、調味料を含む原料を加熱クッカーで加熱・攪拌によって調理し、調理済み原料を、前記加熱クッカーから冷却クッカーに移動させ、前記調理済み原料を前記冷却クッカー内で攪拌しながら所定温度まで冷却し、前記調理済み原料を前記冷却クッカー内で攪拌し、且つ、前記所定温度を維持しながら、所定時間、熟成させ、前記調理済み原料を前記冷却クッカーから排出するルウ製造方法が提供される。
【0014】このような構成によれば、加熱クッカーで調理され、流動状のルウとなった原料は、バッチ式の冷却クッカー内で攪拌されながら、所定温度まで冷却されるので、原料の分離を回避しながら均一な冷却が可能となる。また、冷却完了後に、流動状のルウとなった原料を、所定温度で保持して熟成するので、家庭での調理後にすぐ食しても、熟成感を楽しむことができるルウが製造される。さらに、冷却と熟成とが同一の容器(クッカー)で行われるので、装置及び工程の簡略化が達成され、加えて、容器への原料付着に起因する原料損失および容器洗浄などを回避できる。
【0015】本発明の好ましい態様によれば、前記冷却クッカーが、壁内に設けられたウォータジャケットを備え、前記冷却が、前記ウォータジャケット内に冷却用流体を導入することにより行われ、前記所定温度の維持が、前記ウォータジャケット内に保温用流体を導入することによって達成される。
【0016】このような構成によれば、簡単な構成で同一容器で、ルウの冷却・熟成が達成される。
【0017】又、本発明の他の態様では、前記冷却クッカーが、前記加熱クッカーの数より多く設けられている。
【0018】このような構成によれば、上述したルウ製造装置の発明と同様に、加熱クッカーの連続運転が可能となり、更に、充填装置を1バッチ分ずつ間欠的に作動させるのではなく、連続的に作動させ、効率的に運転することも可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明する。まず、本発明の好ましい実施の形態のルウ製造装置100に使用される加熱クッカー10、及び、冷却クッカー50の構成を説明する。
【0020】図1は、この実施の形態で使用される加熱クッカー10の概略的な断面図である。加熱クッカー10は、カレーまたはシチューなどのルウを製造する工程で使用される加熱調理装置であり、前処理工程で動物性油脂などの油脂系原料と小麦粉などの澱粉系原料などから調理された小麦粉ルウに、調味料として、食塩、砂糖、香辛料等の粉体原料と、さらに、肉エキス、野菜エキス等の水分を多く含む水系原料を加え、加熱調理しながら混ぜ合わせるバッチ式の調理釜の形態の加熱容器である。
【0021】図1に示されているように、加熱クッカー10は、床面に配置された架台12上に設置された本体14を備えている。本体14は、上方に向かって開口する略円筒形状の金属製の有底筒体であり、その開口部は、金属製の蓋部材16によって開放可能に閉鎖されている。尚、蓋部材16は、ボルトなどの締結具によって、本体14に取付けられている。従って、本体14と蓋部材16とによって、加熱クッカー10内部の閉鎖空間18が形成されている。又、本体14の内面下部によって形成される閉鎖空間の底部は、略半球状の形状を有している。
【0022】本体14の側壁および底壁の内部には、ウォータージャケット20が形成されている。このウォータージャケット20には、このウォータージャケット20内に、水蒸気、温水、又は、冷水などの加熱又は冷却用流体を供給する流体供給パイプ22と、ウォータージャケット20から加熱又は冷却用流体を排出するドレンパイプ24とが接続されている。流体供給パイプ22には、加熱用流体である水蒸気を供給するパイプと、冷却用流体である35℃の水を供給するパイプとが、それぞれ、弁を介して接続されている。そして、加熱クッカー10は、ウォータージャケット20内に、加熱又は冷却用流体を、選択的に、注入又は排出することによって、閉鎖空間18内に投入された材料を、必要に応じて、加熱、保温又は冷却できるように構成されている。尚、加熱又は冷却用流体の供給又は排出は、オペレータによる手動操作、または、制御装置(図示せず)による自動操作等によって、ルウの製造条件に適合するように適宜行われる。
【0023】又、蓋部材16には、開閉可能な原料投入口26が設けられ、更に、加圧空気供給パイプ28が接続されている。そして、加熱クッカー10は、原料投入口26を介して、本体14内の閉鎖空間に原料を投入でき、且つ、加圧空気供給パイプ28によって閉鎖空間18内に加圧空気を供給して閉鎖空間18内を加圧できるように構成されている。
【0024】加熱クッカー10は、更に、投入された原料を攪拌混合する攪拌手段30を備えている。攪拌手段30は、蓋部材16の外側に配置された反転変速機能付きモータ32と、基端がモータ32に連結され鉛直線に対して約30°傾斜して配置された回転軸34と、回転軸34の先端にその上端部が連結された内側攪拌羽根36および外側攪拌羽根38とを有している。内側攪拌羽根36および外側攪拌羽根38の下端は、容器本体14に回転可能に連結されている。
【0025】内側攪拌羽根36は、長方形状に配置された棒状部材からなる基部36aと該基部36aから回転軸線Aに直交する方向に延びる複数の攪拌棒36bとを備えている。又、外側攪拌羽根38は環状部材であり、この外側攪拌羽根38には、閉鎖空間38の下部において本体14の内面と接触し、投入された原料を掻き取って攪拌を促進する、合成樹脂製の掻き取り羽根38aが複数取り付けられている。
【0026】加熱クッカー10は、内側攪拌羽根36および外側攪拌羽根38を、モータ32および回転軸34などの駆動機構によって、矢印Bで示すように、同一方向または互いに反転する方向に任意の速度で回転させ、閉鎖空間18に投入された材料を攪拌混合することができるように構成されている。
【0027】また、加熱クッカー10では、回転軸34の先端に、棒状のセンサ取付け部材40が取付けられ、このセンサ取付け部材40の先端に取付けられた温度センサ42によって、攪拌中の原料、すなわち、流動状のルウの温度を検出できるように構成されている。
【0028】本体14の底部には、加熱調理が完了した原料すなわちカレールウを加熱クッカー10の外部に排出するためのパイプ44が接続されている。パイプ44と容器本体14との接続部は、空気圧シリンダ46によって駆動される弁部材48によって開閉される。
【0029】次に、図2に沿って、本発明の好ましい実施の形態で使用される冷却クッカー50について説明する。図2は、冷却クッカー50の概略的な断面図である。冷却クッカー50は、カレー又はシチューなどのルウを製造する工程で使用される攪拌装置を備えたバッチ式の容器であり、加熱クッカーでの加熱調理が完了したルウを、出荷用個別パッケージへの充填に適した温度に冷却し、さらに、この温度で貯蔵するものである。この冷却クッカーでの貯蔵は、ルウの熟成、出荷用個別パッケージへの充填までの待機などを目的とする。
【0030】冷却クッカー50は、加熱クッカー10と類似した構造を備えている。すなわち、図2に示されているように、冷却クッカー50は、床面に配置された架台52上に設置された本体54を備えている。本体54は、上方に向かって開口する略円筒形状の金属製の有底筒体であり、その開口部は、金属製の蓋部材56によって開放可能に閉鎖されている。尚、蓋部材56は、ボルトなどの締結具によって、本体54に取付けられている。従って、本体54と蓋部材56とによって、冷却クッカー50の内部に閉鎖空間58が形成されている。又、本体54の内面下部によって形成される閉鎖空間の底部は、略半球状の形状を有している。
【0031】本体54の側壁および底壁の内部には、ウォータージャケット60が形成されている。このウォータージャケット60には、このウォータージャケット60内に、温水、又は、冷水などの冷却用または保温用流体を供給する流体供給パイプ62と、ウォータージャケット60から冷却用または保温用流体を排出するドレンパイプ64とが接続されている。図2に模式的に示すように、流体供給パイプ62には、冷却用流体である7℃の冷水を冷水供給源から供給するパイプ62aと、保温用流体である62℃の温水を温水供給源から供給するパイプ62bとが、それぞれ、弁62c、62dを介して接続されている。そして、冷却クッカー50は、ウォータージャケット60内に、冷却用及び保温用流体を、選択的に、注入又は排出することによって、閉鎖空間58内に投入されたルウを、必要に応じて、冷却又は保温できるように構成されている。この実施の形態では、流体供給パイプ62、冷水供給源、パイプ62a、62b、温水供給源、弁62c、62dなどによって、冷却用流体供給手段および保温用流体供給手段が構成されている。
【0032】尚、冷却用及び保温用流体の供給又は排出は、オペレータによる弁62c、62dおよび流体供給源(図示せず)の手動操作、または、制御装置(図示せず)による弁62c、62dおよび流体供給源(図示せず)の自動操作等によって、ルウの製造条件に適合するように適宜行われる。
【0033】又、蓋部材56には、開閉可能な原料投入口66が設けられ、更に、加圧空気供給パイプ68が接続されている。そして、冷却クッカー50は、原料投入口66を介して、本体54内の閉鎖空間58に原料を投入でき、且つ、加圧空気供給パイプ68によって閉鎖空間58内に加圧空気を供給して閉鎖空間58内を加圧できるように構成されている。
【0034】冷却クッカー50は、更に、投入されたルウを攪拌混合する攪拌手段70を備えている。攪拌手段70は、蓋部材56の外側に配置された反転変速機能付きモータ72と、基端がモータ72に連結され鉛直線に対して傾斜して配置された回転軸74と、回転軸74の先端に連結された攪拌羽根76とを有している。攪拌羽根76は、本体54の内面底部に沿って、円弧状に延びる形状を有している。攪拌羽根76には、攪拌を促進する合成樹脂製の掻き取り羽根76aが複数取り付けられている。攪拌手段70は、更に、パドル型攪拌羽根78を有している。パドル型攪拌羽根78は、蓋部材56に取付けらたパドル型攪拌羽根用モータ80によって正逆転可能な垂直軸82の下端に取付けられている。
【0035】冷却クッカー50は、更に、温度センサ84が先端に取付けられた垂直支持棒86を備えている。冷却クッカー50では、温度センサ84の位置は、閉鎖空間58に投入されたルウの中心付近となるように設定されている。
【0036】冷却クッカー50の底部には、熟成が完了したカレールウを冷却クッカー50から充填装置(図示せず)に排出するためのパイプ88が接続されている。パイプ88と容器50との接続部は、空気圧シリンダ90によって駆動される弁部材92によって開閉される。
【0037】図3は、ルウ製造装置100における、加熱クッカー10と冷却クッカー50との関係を模式的に示す図面である。この実施の形態では、加圧空気によりパイプ44を通して加熱クッカー10から排出された加熱調理済みのルウが、冷却クッカー50の材料投入口66を通して、冷却クッカー50内に投入されるように構成されている。
【0038】図面には示されいないが、この実施の形態では、1台の加熱クッカー10に対して、3台の冷却クッカー50が設けられている。3台の冷却クッカー50は、調理済みルウを受けることができるように、加熱クッカー10から調理済みルウを受け、冷却する受け取り位置、ルウの保温・熟成を行う待機位置、及び、熟成済のルウを充填装置に排出する排出位置の間を、搬送装置によってそれぞれ移動できるように配置されている。例えば、受け取り位置においては、冷水供給源または温水供給源からパイプ62aを介して7℃の冷水または62℃の温水が選択的にウォータジャケット60に供給されるように、待機位置においては、温水供給源からパイプ62bを介して62℃の温水がウォータジャケット60に供給されるように、排出位置においては、温水供給源からパイプ62bを介して62℃の温水がウォータジャケット60に供給されるように構成してもよい。尚、変形例として、3台の冷却クッカーが、それぞれ、調理済みルウを受けることができるように、加熱クッカー10とパイプによって接続されているような構成でもよい。
【0039】次に、本発明の好ましい実施の形態の作動を説明する。
【0040】上述したように、加熱クッカー10は、カレー又はシチューなどのルウを製造する工程で使用されるルウ製造用の加熱クッカーであり、前処理工程で動物性油脂などの油脂系原料と小麦粉などの澱粉系原料などから調理された小麦粉ルウに、食塩、砂糖、香辛料等の粉体原料と、更に、水分を多く含む肉エキス、野菜エキス等の水系原料とを加えて加熱調理する。原料の種類及び構成比は、製造する製品に合わせて適当に選択される。具体的には、例えば、カレー又はシチューなどのルウを製造する場合には、原料全体に対して、動物性油脂等の油脂系原料を20〜40質量%、小麦粉等の澱粉系原料を5〜30質量%の割合で使用するのが好ましい。また、本発明において、前記油脂系原料及び澱粉系原料を含むルウ材料に加えられる、水分を多く含む水系原料の例としては、乳製品、肉・魚介・野菜・果実等の汁液、エキス、ブイヨン等が挙げられる。これらの水系原料は、出荷される最終製品のルウ中の水分が、1〜5質量%程度になるように使用されるのが好ましい。
【0041】尚、この実施の形態は、合成乳化剤を添加しないカレールウの製造であり、小麦粉ルウと水系原料などを加熱クッカー10で、105℃ないし125℃程度で、加熱調理するものである。また、ここで「合成乳化剤を添加しない」とは、ルウ等を製造する際に、合成乳化剤を積極的に添加しないこと意味し、原料として使用する乳製品等に既に含まれていた結果カレールウに含まれることとなった極少量の合成乳化剤、例えば、カレールウの総量に対して約0.002質量%程度の合成乳化剤の存在を否定するものではない。
【0042】まず、材料投入口26から、小麦粉ルウ及び水系原料などを、加熱クッカー10の閉鎖空間18内に投入する。小麦粉ルウ及び水系原料などは、他のルート、例えば、容器本体14に接続されたパイプ等(図示せず)を通して、閉鎖空間18内に投入されてもよい。
【0043】加熱クッカー10内に、所定の原料を投入しながら、内側攪拌羽根36を毎分30回転で、外側攪拌羽根28を毎分15回転で同一方向に回転させ、投入された原料を攪拌する。さらに、温度センサ42の出力に基づく温度制御を行いながら、流体供給パイプ22を通してウォータージャケット20内に水蒸気を導入し、投入された原料を加熱する。
【0044】投入された原料の品温が、90℃に達すると、内側攪拌羽根36の回転方向を反転させ、外側攪拌羽根28の回転方向とは反対方向に、毎分30回転で回転させる。このような回転状態とすることにより、品温上昇に伴って、カレールウの物性が急激に硬くなって流動性が急激に低下しても、効率の良い攪拌が可能となる。
【0045】所定時間にわたる所定温度(105℃ないし125℃程度)での加熱調理が完了すると、ドレンパイプ24を通して、ウォータージャケット20内の水蒸気を排出するとともに、流体供給パイプ22を通して35℃の冷却水をウォータージャケット20内に導入し、閉鎖空間18内のカレールウを冷却する。冷却の開始時点では、カレールウの温度は、105℃ないし125℃程度であり、したがって、カレールウは、物性が硬く即ち流動性が低くなっている。
【0046】この加熱クッカー10での冷却中も、内側攪拌羽根36を毎分30回転で、外側攪拌羽根38は内側攪拌羽根36と反対方向に毎分15回転で回転させ続ける。これによって、冷却中に、カレールウが局所的冷却されて分離が起こることを防止しつつ、均一且つ迅速な冷却が達成される。
【0047】加熱クッカー10での冷却によって、温度が低下しカレールウが軟化し流動性が上昇してくると、内側攪拌羽根36の回転方向を反転させ、外側攪拌羽根38と同一方向に回転させる。
【0048】本実施の形態では、加熱クッカー10内のカレールウの品温が、約100℃になった段階で、加圧空気供給パイプ28を通して、加熱クッカー10の閉鎖空間18内に、加圧空気を導入し、閉鎖空間18内を加圧する。これと同時に、空気圧シリンダ46によって弁部材48を駆動させ、パイプ44を開く。上述したように、カレールウは、100℃の品温においては、加熱クッカー10から流出できる程度の流動性を有しているので、カレールウはパイプ44を通して加熱クッカー10から、流出して、搬送装置によって受け取り位置に搬送されていた第1の冷却クッカー50に移動する。
【0049】カレールウが移された冷却クッカー50では、冷水供給源からパイプ62cを介してウォータージャケット60に約7℃の冷却水を導入し、閉鎖空間内58内に移されたカレールウの温度を温度センサ84によって検出しながら、カレールウを約62℃まで冷却する。このとき、攪拌羽根74をモータ72によって、パドル型攪拌羽根78をモータ80によって、それぞれ、回転駆動させ、カレールウを攪拌し、均一且つ迅速な冷却を行う。
【0050】カレールウの品温が62°まで降下すると、7℃の冷却水に代えて、62℃の温水を温水供給源からパイプ62bを介してウォータージャケット60に導入し、冷却クッカー50内のカレールウを攪拌羽根74およびパドル型攪拌羽根78によって攪拌しながら、62℃に維持する。
【0051】次いで、冷却クッカー50を、搬送装置によって、待機位置に搬送し、62℃の温水を温水供給源からパイプ62bを介してウォータジャケット60に導入し、冷却クッカー50内のカレールウを、攪拌羽根74およびパドル型羽根78によって攪拌しながら、62℃に維持して、例えば、0.5〜10時間貯蔵して、ルウの熟成を行う。
【0052】一方、調理済みのカレールウを排出した加熱クッカー10では、次のバッチの調理が開始され、次のバッチで調理されたルウは、搬送装置によって受け取り位置に搬送されてきた第2の冷却クッカーに移動することになる。本実施の形態では、さらにもう1台の冷却クッカーが設けられているので、上述した工程と同様の工程を繰り返すことにより、加熱クッカーで3バッチ分のルウを連続的に製造し、これを3台の冷却クッカーで冷却、熟成させることができる。
【0053】熟成が完了し、且つ、出荷用の個別パッケージへの充填を行う充填装置の準備が整うと、冷却クッカー50は搬送装置で排出位置に搬送される。次いで、加圧空気供給パイプ68を通して、冷却クッカー50の閉鎖空間58内に、加圧空気を導入し、閉鎖空間58内を加圧する。これと同時に、空気圧シリンダ90によって弁部材92を駆動させ、パイプ88の入口を開き、カレールウを充填装置に向けて、冷却クッカー50から流出させる。上述したように、この実施形態の製造装置100には、3台の冷却クッカーが備えられており、順次、加熱クッカーから調理済みルウを受ける用に構成されている。熟成に要する時間は、加熱クッカー10での調理時間よりかなり長いので、第1の冷却クッカーから充填装置へのルウの流出が開始される時点では、他の2つの冷却クッカーにも、調理済みルウが移され、かつ、これらの冷却クッカーでの熟成もほぼ完了している。したがって、第1の冷却クッカーからのルウ流出が完了すると、第2の冷却クッカー、次いで、第3の冷却クッカーからのルウ流出が、同様に行われる。充填装置は、少なくとも、3バッチ分のルウの充填を連続的に行う。
【0054】このように上記実施の形態によれば、原料の分離を回避しながら均一な冷却が可能であり、且つ、所定温度で保持して熟成するので、家庭での調理後にすぐ食しても熟成感を楽しむことができるルウが製造される。また、冷却と熟成とが同一の冷却クッカーで行われるので、装置及び工程の簡略化が達成され、加えて、クッカーへの原料付着に起因する原料損失および容器洗浄などを回避できる。
【0055】さらに、冷却クッカーの数を、加熱クッカーの数より多く、3台としているので、第1の冷却クッカーで第1のバッチの調理済みルウを冷却・熟成している間に、加熱クッカーで第2のバッチの調理済みルウの加熱攪拌による調理が了しても、これを第2の冷却クッカーに移動させることが可能となり、加熱クッカーの連続運転が可能となる。さらに、充填装置による個別パッケージへの充填にあたっては、複数の冷却クッカーで、並列的に、冷却・熟成を行わせておくことにより、充填装置を1バッチ分ずつ間欠的に作動させるのではなく、少なくとも3バッチ分連続的に作動させることができ、効率的な運転が可能となる。
【0056】本発明において、加熱、冷却など温度条件は、使用する原料の種類、比率などにより変更されるものであり、上記実施の形態で挙げた条件に限定されるものではない。また、冷却クッカーの台数も、3台に限定されるものではない。
【0057】さらに、上記実施の形態は、カレールウを製造するものであったが、本発明は、これに限定されるものではなく、シチューのルウなどの他のルウの製造にも適用される。
【0058】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、加熱調理されたルウを速やか且つ均一に冷却することができ、されに、熟成感のあるルウを製造することができる、ルウ製造装置及び製造方法が提供される。
【出願人】 【識別番号】000111487
【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
【出願日】 平成12年3月29日(2000.3.29)
【代理人】 【識別番号】100059959
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 稔 (外10名)
【公開番号】 特開2001−275630(P2001−275630A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−91323(P2000−91323)