| 【発明の名称】 |
ルウ製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】南 俊哉
【氏名】河原 瑞穂
|
| 【要約】 |
【課題】合成乳化剤を使用することなく、ダマに起因する問題を生じさせないルウ製造方法を提供すること。
【解決手段】油脂及び澱粉原料を加熱攪拌し、これにペースト材料を加えて、天然乳化剤の存在下で、攪拌し、次いで、粉体材料を加えて加熱攪拌して溶融状態のルウを製造し、該溶融状態のルウを、ふるいを備えたストレーナ装置に通し、該溶融状態のルウを冷却固化させることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】油脂及び澱粉原料を加熱攪拌し、これにペースト材料を加えて、天然乳化剤の存在下で、攪拌し、次いで、粉体材料を加えて加熱攪拌して溶融状態のルウを製造し、該溶融状態のルウを、ふるいを備えたストレーナ装置に通し、該溶融状態のルウを冷却固化させることを特徴とするルウ製造方法。 【請求項2】前記天然乳化剤が、レシチンである請求項1に記載のルウ製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ルウ製造方法に関連し、詳細には、カレー、シチューなどの調理に使用する固形ルウの製造方法に関連する。 【0002】 【従来の技術】カレー、シチューなどの調理に使用する固形ルウの製造工程を概略的に説明すると、まず、小麦粉などの澱粉系原料と油脂系原料とを加熱・攪拌して所謂小麦粉ルウを製造する。次いで、この小麦粉ルウに、食塩、砂糖、香辛料等の粉体原料と、肉汁、野菜エキス、乳製品などのペースト原料とを加えて、さらに加熱・攪拌し、溶融状態のルウを得る。そして、この溶融状態のルウを、充填装置によって、出荷用の個別パッケージに充填し、冷却・固化させ、包装し最終製品としている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記溶融状態のルウは、加熱・攪拌の時などに気泡を含みやすい。溶融状態のルウが気泡を含んでいると、個別パッケージに充填され冷却固化されている間に、これらの気泡がルウ表面に浮き出して、冷却固化されたルウの外観を悪化させたり、または、冷却固化された固形ルウの内部に残存した気泡がルウの品質を悪化させてしまうおそれもある。充填装置による個別パッケージへの充填に先立って、溶融状態のルウを、ふるいを備えたストレーナ装置(脱泡装置)に通すと、気泡を排除することができる。 【0004】しかしながら、溶融状態のルウの中には、”ままこ”状の塊状物である所謂「ダマ」が生じていることがある。このような場合、上述した製造工程で発生した「ダマ」は、ストレーナ装置のふるいの孔を通過できずに、ふるい上に残ってしまう。この結果、ルウを構成する粉体材料の一部がふるい上に残ってしまい、ふるいを通過したルウの中での材料の配合割合が、当所意図していた割合と異なってしまうという問題が生じる。また、ダマにより、最終製品のルウが不均一なものとなるという問題が生じる。このようなダマの発生は、合成乳化剤を添加することによって抑制できるが、合成乳化剤の添加が望ましくないルウもある。 【0005】また、ダマの発生は、ペースト状材料を使用する際、特に顕著である。 【0006】本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、合成乳化剤を使用することなく、ダマに起因する問題を生じさせないルウ製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明によれば、油脂及び澱粉原料を加熱攪拌し、これにペースト材料を加え、天然乳化剤の存在下で、攪拌し、次いで、粉体材料を加えて加熱攪拌して溶融状態のルウを製造し、該溶融状態のルウを、ふるいを備えたストレーナ装置に通し、該溶融状態のルウを冷却固化させることを特徴とするルウ製造方法が提供される。 【0008】このような構成を有する本発明の製造方法は、粉体材料に先だって、ペースト材料が油脂及び澱粉原料の混合物、例えば小麦粉ルウ、に加えられて天然乳化剤の存在下で攪拌されるものである。この結果、溶融状態のルウ中で発生しているダマが微粒化する。このため、溶融状態のルウをストレーナ装置に通したとき、ダマはふるいの孔を通過するので、ふるいを使用することによって、ルウの材料の配合比率が変化することがない。また、たとえダマが存在していても、製品の固形ルウの内容物は、均一なものとなる。 【0009】ここで、「ダマ」が微粒化するメカニズムは定かではないが、次のように推測される。即ち、ルウの製造工程で発生する「ダマ」には、粉体材料とペースト材料由来の成分とが結合して形成される比較的大きな「ダマ」と、ペースト材料そのものによって形成される比較的小さな「ダマ」とが存在する。本発明では、粉体材料の添加に先立って、天然乳化剤の存在下でペースト材料が、油脂及び澱粉原料の混合物、例えば小麦粉ルウ、に加えられて攪拌された結果、上記「ダマ」のうち、特に、粉体材料とペースト材料由来の成分とが結合して形成される、比較的大きな「ダマ」の発生が防止された結果、ダマが微粒化されると考えられる。 【0010】本発明で用いるペースト材料としては、水系のペースト材料又は油系のペースト材料のいずれであってもよいが、本発明は、水系のペースト材料を用いる場合に特に有効である。水系のペースト材料としては、例えば、チーズペーストなどの乳製品、肉類・魚介類・野菜・果実類などの磨砕物、汁液、エキス、ブイヨン等が挙げられる。また、油系のペーストとしては、例えば、前記の食用油脂、香味油、香辛料抽出液、食用油脂と共に炒めた肉類の磨砕物等が挙げられる本発明の好ましい態様によれば、天然乳化剤はレシチンである。天然乳化剤であるレシチンの使用量としては、例えば、全ての材料の0.1〜1質量%、より好ましくは、0.2〜0.8質量%である。 【0011】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態を説明する。 【0012】カレールウによる具体的な実施例を示す。まず、小麦粉と、食用油脂とを、攪拌装置を備えた調理釜(クッカー)に投入し、この調理釜内で、通常100〜70℃で加熱攪拌を行い、油脂と澱粉原料の混合物である小麦粉ルウを得る。ここで、食用油脂としては、例えば、豚脂、牛脂、またはこれらの混合脂があげられる。食用油脂の使用量は、原料全体に対して、25〜55質量%(以下、本明細書では単に「%」という。)が好ましく、30〜50%が特に好ましい。また、小麦粉の使用量は、原料全体に対して、3〜40%が好ましく、特に、5〜30%が特に好ましい。ここで用いる調理釜は、例えば、内部に投入された材料を攪拌できる攪拌羽根を備え、さらに、壁内に形成されウォータジャケット内に温水又は蒸気などを導入することにより、投入された材料を加熱できる公知の調理釜である。 【0013】次いで、この小麦粉ルウを、必要により、別の調理釜(仕上げクッカー)に移し、小麦粉ルウと、チーズペースト、野菜ペースト等のペースト材料とを、天然乳化剤であるレシチンの存在下で攪拌する。 【0014】上記攪拌は、攪拌される材料を好ましくは、60〜90℃、更に好ましくは、70〜85℃に加熱して、好ましくは2分間以上、更に好ましくは、5〜10分間程度行われる。これにより、小麦粉ルウ中に、ペースト材料を均一に混合させることができる。尚、上記ペースト材料を加えての攪拌は、小麦粉ルウを調理した調理釜と同じ調理釜で行ってもよい。しかしながら、高温での加熱攪拌によって得た小麦粉ルウを別の調理釜に移し換えることによって、小麦粉ルウの温度をペースト材料を加えての攪拌に適した温度まで、速やかに下げることができるので、ペースト材料を加えての攪拌は、別の調理釜で行った方がよい。 【0015】本実施形態で用いるペースト材料としては、水系のペースト材料又は油系のペースト材料のいずれであってもよいが、本実施形態は、水系のペースト材料を用いる場合に特に有効である。水系のペースト材料としては、例えば、チーズペーストなどの乳製品、肉類・魚介類・野菜・果実類などの磨砕物、汁液、エキス、ブイヨン等が挙げられる。また、油系のペーストとしては、例えば、前記の食用油脂、香味油、香辛料抽出液、食用油脂と共に炒めた肉類の磨砕物等が挙げられる。上記ペースト材料の使用量は、任意であるが、最終製品のルウの水分が7%以下、好ましくは、1〜5%程度になるようにされるのがよい。本実施形態で用いる天然乳化剤であるレシチンの使用量としては、例えば、全ての材料の0.1〜1%、より好ましくは、0.2〜0.8%である。天然乳化剤(レシチン)使用量が少ない場合には、粒度の大きなダマの発生を抑え難くなり、反対に、使用量が多い場合には、得られたルウの風味に影響を及ぼすおそれがある。 【0016】天然乳化剤の添加方法としては、天然乳化剤を油系のペースト材料に予め加えて混合しておくか、または、小麦粉ルウに予め加えて混合しておくのがよい。また、天然乳化剤を油系のペースト材料に加えて混合しておく場合には、マイクロスピードミキサなどの高速攪拌装置を用いて、例えば、60〜90℃に加熱しながら、毎分300〜500回転で、30秒から3分間程度攪拌するのが好ましい。 【0017】次いで、コーンスターチ、カレーパウダー、食塩、砂糖、粉乳、グルタミン酸ナトリウム等の粉体材料を投入して、この後、80〜120℃に加熱しながら、30〜80分程度攪拌して流動状の溶融カレールウを得る。粉体材料(澱粉原料を除く)の使用量は任意であるが、例えば、全ての材料に対して20〜60%、更に好ましくは、30〜50%とするのがよい。 【0018】このとき、粉体材料の投入に先立って、天然乳化剤であるレシチンの存在下でペースト材料が小麦粉ルウと混ぜ合わされているので、粉体材料を中心とした大きな径のダマができることがない。即ち、形成されるダマが微粒化されている。 【0019】次いで、この溶融カレールウを、必要により、貯蔵容器に移し、60〜70℃の品温まで冷却し、その温度維持しつつ、必要により、所定時間熟成させ、その後、この溶融カレールウを、一段のふるいを有するストレーナを通過させて気泡を除去し、ストックタンクに一時的に保管した後、充填装置によって出荷用の個別パッケージに充填し、冷却固化させて最終製品とする。 【0020】尚、ストレーナのふるいの孔は、例えば、その径が0.5〜4mmであるのが好ましい。これにより、溶融ルウ中に含まれる気泡を効果的に除去することができ、且つ、ふるい上に溶融ルウが残ることを防止できる。ふるいの孔が大きすぎると、溶融ルウ中の気泡を効果的に除去することが難しくなる。一方、ふるいの孔が小さすぎると、ふるい上に溶融ルウが残り易くなる。 【0021】上記実施形態では、一段のふるいを備えたストレーナ装置を使用したが、上下方向に複数段、例えば3段のふるいが配置されたストレーナ装置を使用してもよい。この場合、溶融ルウ中に含まれる気泡を更に効果的に除去することができる。 【0022】上述したように、この製造方法では、粉体材料を中心とした大きな径のダマができることがなく、形成されるダマが微粒化されている。従って、気泡を除去するために、溶融状態にあるカレールウをストレーナのふるいに通しても、微粒化されたダマは、ふるいの孔を通過し、ふるい上に残ることはない。この結果、粉体材料の一部がダマとなってふるい上に残ることによって、ふるいを通過したルウの材料の配合割合が、所望の割合ではなくなってしまうといった問題が回避される。 【0023】尚、上記実施態様で使用される、調理釜、貯蔵容器、ストレーナ、ストックタンク、充填装置は、公知の装置を適宜使用するものである。 【0024】又、上記実施態様は、カレールウを製造する工程であったが、本発明はカレールウに限定されるものではなく、カレールウと同様の材料、製法による他のルウ、例えば、シチューなどのルウの製造方法にも適用される。 【0025】 【実施例】(実施例1)カレールウによる具体的な実施例を示す。まず、小麦粉10部と食用油脂(豚脂と牛脂の混合脂(上昇融点45℃))15部とを、第1の容器(小麦粉ルウクッカー)内で、攪拌しながら120℃で30分間、加熱調理し、小麦粉ルウ25部を得た。一方、別途、食用油脂(豚脂と牛脂の混合脂(上昇融点45℃)29.5部とレシチン0.5部とを、マイクロスピードミキサを用いて、60℃に加熱しながら、毎分400回転で、1分間攪拌して、レシチンを含むペースト状の食用油脂を得た。 【0026】次いで、上記25部の小麦粉ルウを第2の容器(仕上げクッカー)に移し、その温度を一旦70℃に下げた後、上記レシチンを含むペースト状の食用油脂、さらに、チーズペースト2部、野菜ペースト1部、及び、ビーフエキス2部を加えて、70℃に加熱しながら、5分間、攪拌した。 【0027】次いで、コーンスターチ5部、カレーパウダー10部、食塩5部、砂糖10部、粉乳8部およびグルタミン酸ナトリウム2部を加えて攪拌し、110℃にまで加熱しながら45分間、加熱調理して流動状の溶融カレールウを得た。この溶融カレールウは、水分を約5%含む。 【0028】次に、この溶融カレールウを、第3の容器(冷却クッカー)に移し、品温62℃まで冷却し、その温度維持し、その後、この溶融カレールウを、上下方向に重なるように配置された3段のふるいを有するストレーナを通過させて、ストックタンクに一時的に保管した後、充填装置によって個別パッケージに充填し、冷却固化させ最終製品とした。 【0029】得られた固形ルウは、その表面に気泡が認められず良好な外観を有するものであった。また、上記固形ルウの製造に用いたストレーナのふるい上には、ルウおよびダマはほとんど残留していなかった。 (実施例2)実施例1と同様にして、小麦粉ルウを25部を調理し、これを第2の容器(仕上げクッカー)に移し、その温度を一旦70℃に下げた後、レシチン0.5部を加えて加熱しながら5分間攪拌し、次いで、食用油脂(豚脂と牛脂の混合脂(上昇融点45℃)29.5部と、チーズペースト2部、野菜ペースト1部、及び、ビーフエキス2部を加えて、70℃に加熱しながら、5分間、攪拌した。 その後、実施例1と同様の工程を経て、最終製品を得た。 【0030】得られた固形ルウは、実施例1と同様に、その表面に気泡が認められず良好な外観を有するものであった。また、上記固形ルウの製造に用いたストレーナのふるい上には、ルウおよびダマはほとんど残留していなかった。 【0031】 【発明の効果】以上のように、本発明によれば、合成乳化剤を使用することなく、ダマに起因する問題を生じさせないルウ製造方法が提供される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000111487 【氏名又は名称】ハウス食品株式会社
|
| 【出願日】 |
平成12年3月29日(2000.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100059959 【弁理士】 【氏名又は名称】中村 稔 (外10名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−275628(P2001−275628A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月9日(2001.10.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−90851(P2000−90851) |
|