| 【発明の名称】 |
低Pb酸化マグネシウム |
| 【発明者】 |
【氏名】在田 洋
【氏名】吉田 彰
【氏名】渡辺 高行
|
| 【要約】 |
【課題】食品の添加剤として好適に用いることができる酸化マグネシウムを提供すること。
【解決手段】酸化マグネシウム1モル中のPb含有量が2×10-7モル以下であることを特徴とする食品添加用の低Pb酸化マグネシウム。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 酸化マグネシウム1モル中のPb含有量が2×10-7モル以下であることを特徴とする食品添加用の低Pb酸化マグネシウム。 【請求項2】 酸化マグネシウム1モル中のPb含有量が7.4×10-8モル以下であることを特徴とする請求項1に記載の食品添加用の低Pb酸化マグネシウム。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、食品の添加剤として有用な酸化マグネシウムに関する。 【0002】 【従来の技術】酸化マグネシウムの製造法には、炭酸マグネシウム(マグネサイトともいう)を焼成する方法と、海水あるいは塩化マグネシウム水溶液(苦汁またはかん水)に水酸化カルシウムを加えて水酸化マグネシウムを生成させ、これをろ過、乾燥した後、焼成する方法とがある。 【0003】上記の水酸化マグネシウムを焼成して製造される酸化マグネシウムは、その焼成温度でその性質や用途が異なる。水酸化マグネシウムを1500℃以上の高温で焼成したものは硬焼(重焼、死焼ともいう)マグネシアまたはマグネシアクリンカーと呼ばれる。本酸化マグネシウムは活性がほとんどなく、高温耐火性能を有し、耐火物材料として塩基性耐火れんがや不定形耐火物の原料などに利用されている。 【0004】また、水酸化マグネシウムを450〜1300℃で焼成して得られる酸化マグネシウム(軽焼または仮焼マグネシアともいう。以下、単に酸化マグネシウムという)は、活性が比較的大きく、マグネシアセメント材料、あるいはミネラルの供給源として肥料、食品等の添加剤、制酸剤や下剤などの医薬品の原料、化粧品原料などに利用されている。この酸化マグネシウムは肥料、食品等の添加剤、医薬品原料として、人体に直接あるいは間接的に摂取され、あるいは化粧品原料として人体に接触するものであるため、重金属の混入量がより少ないものが望まれている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】一般的に海水中には、重金属はほとんど存在しない(例えば、鉛については10-3〜10-6ppm程度)が、水酸化カルシウムの原料である石灰石(もしくは石灰岩)には、鉛または鉛化合物が鉛としておよそ0.2〜0.7ppm程度存在している。なお、鉛は、例えば酵素阻害剤として人体に有害な作用を示すことが知られている金属である。また、海水と水酸化カルシウムから生成される水酸化マグネシウムは、重金属の吸着剤としても知られている(例えば、特開昭60−22990号公報には水酸化マグネシウムを用いた鉱山排水の処理方法が提案されている)。 【0006】上記の理由により、海水と水酸化カルシウムから水酸化マグネシウムを生成させた場合、石灰石に含まれている鉛または鉛化合物が水酸化マグネシウムに吸着され、水酸化マグネシウムのPb含有量(鉛含有量)が1.5ppm以上になることがある。なお、水酸化マグネシウムに吸着された鉛も水酸化マグネシウムの乾燥、焼成に伴って、水酸化鉛あるいは酸化鉛等の鉛化合物となる。上述した酸化マグネシウムは水酸化マグネシウムを1300℃以下で焼成して製造されるので、沸点が1300℃以上の鉛化合物が一旦水酸化マグネシウムに混入すると、この鉛化合物を除去することが難しいという問題がある。 【0007】水酸化マグネシウムに混入する鉛または鉛化合物の量を低減させる方法として、水酸化マグネシウムに吸着された鉛または鉛化合物を洗浄除去することが考えられるが、水酸化マグネシウムは上述したように鉛または鉛化合物を吸着しやすく洗い流すことは難しい。また、水酸化マグネシウムに吸着される鉛または鉛化合物の量を低減させる方法としては、Pb含有量の少ない石灰石から生成された水酸化カルシウムを用いて、海水から水酸化マグネシウムを生成させる方法が考えられるが、石灰石の産出量や輸送コストなどから量産化は難しい。従って、本発明の目的は、食品の添加剤として好適に用いることができる酸化マグネシウムを提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、酸化マグネシウム1モル中のPb含有量が2×10-7モル以下であることを特徴とする食品添加用の低Pb酸化マグネシウムにある。 【0009】上記の低Pb酸化マグネシウムにおいて、酸化マグネシウム1モル中のPb含有量は、1×10-7モル以下であることが好ましく、7.4×10-8モル以下であることがより好ましく、5×10-8モル以下であることが特に好ましい。 【0010】 【発明の実施の形態】海水に水酸化カルシウムを加えて水酸化マグネシウムを生成させ、これをろ過、乾燥して、得られた水酸化マグネシウムには海水の主成分である塩化ナトリウムなどのハロゲン化物が存在する。一般的に、ハロゲン化物が存在する水酸化マグネシウムを焼成すると、焼成炉が劣化しやすくなり、さらには得られた酸化マグネシウムはその純度が低くなったり、塩分が多くなりやすくなる。従って、通常水酸化マグネシウムを焼成して酸化マグネシウムを製造する場合、水酸化マグネシウムは重金属を含まない水で洗浄し、ハロゲン化物の存在量を低減した後焼成する。 【0011】しかしながら、本発明者らは、水酸化マグネシウムを、ハロゲン化物もしくはハロゲンガスであるハロゲン源の存在下にて焼成することにより、酸化マグネシウムのPb含有量が低減することを見出した。酸化マグネシウムのPb含有量が低減する明確な理由は不明であるが、鉛化合物が沸点の低いハロゲン化鉛に変化して蒸発しやすくなる。あるいは、水酸化マグネシウムにハロゲン化物を存在させることにより鉛化合物自体の沸点が下がることなどが推定される。 【0012】本発明において、ハロゲン源は、ハロゲン化物である塩化物、臭化物が好ましく、その例としては、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、臭化ナトリウム、臭化マグネシウムなどが挙げられる。ハロゲン化物は有機物であっても良い。ハロゲン源は、ハロゲン化物の気体あるいはハロゲンガスであっても良く、ハロゲン化物の気体の例としては、塩化水素ガス、臭化水素ガスなどが挙げられる。また、ハロゲンガスの例としては、塩素ガス、臭素ガスが挙げられる。 【0013】ハロゲン源の存在量は、ハロゲン源としてハロゲン化物を用いた場合には、水酸化マグネシウム1モルに対して、2×10-4〜4×10-2モルの範囲内の量で存在させることが好ましく、より好ましくは、6×10-4〜2×10-2モルの範囲内の量である。ハロゲン源の量が少なすぎると、鉛または鉛化合物の除去が不十分になり、またハロゲン源の量が多すぎると、上述したように、焼成炉が劣化しやすくなり、さらには得られた酸化マグネシウムの純度が低くなったり、塩分が多くなる。 【0014】本発明において、水酸化マグネシウムにハロゲン源を存在させる方法は、ハロゲン源としてハロゲン化物を用いた場合には、水酸化マグネシウムにハロゲン化物の固体を混合しても、互いに相対する量のハロゲン化物を含有する水酸化マグネシウムを混合しても、あるいは水酸化マグネシウムにハロゲン化物を含む溶液を混合しても良い。ハロゲン化物を含む溶液として、海水あるいは水酸化マグネシウムを生成させ、ろ過したときに発生するろ液を使用しても良い。 【0015】また、ハロゲン源としてハロゲン化物の気体あるいはハロゲンガスを用いる場合には、焼成炉中にハロゲン化物の気体あるいはハロゲンガスを循環させても、加熱することによりハロゲン化物の気体あるいはハロゲンガスを発生する化合物の液体あるいは固体を焼成炉中に供給して、水酸化マグネシウムの焼成中に気化させても良い。加熱することによりハロゲン化物の気体を発生する化合物として、臭化エチレンなどを使用することができる。 【0016】 【実施例】(水酸化マグネシウムケ−クの製造)海水1m3に対し、水酸化カルシウムを3.5kg加えて、水酸化マグネシウムを生成させた後、これを水で洗浄した後、減圧ろ過して、含水率40%の水酸化マグネシウムケークを作成した。得られた水酸化マグネシウムケークに含まれているPb含有量を偏光ゼーマン型原子吸光分析法により定量したところ、Pb含有量は水酸化マグネシウム1モルに対して、2.8×10-7モルであった。なお、得られた水酸化マグネシウムケークに含まれているハロゲン化物の量は水酸化マグネシウム1モルに対して1.5×10-4モル以下であった。 【0017】(実施例1)上記の水酸化マグネシウムケークに粉末の塩化ナトリウムを、水酸化マグネシウム(固形分)1モルに対して、塩化ナトリウムが3.3×10-3モルになるように加えて、混合した後120℃で12時間乾燥して、次いで900℃で1時間焼成して、酸化マグネシウムを製造した。 【0018】(実施例2)実施例1において、塩化ナトリウムを水酸化マグネシウム1モルに対して、1.1×10-2モルになるようにを加えた以外は、実施例1と同一の条件で、酸化マグネシウムを製造した。 【0019】(比較例1)実施例1において、塩化ナトリウムを加えない以外は実施例1と同一の条件で、酸化マグネシウムを製造した。 【0020】(比較例2)実施例1において、焼成温度を550℃として以外は、実施例1と同一の条件で、酸化マグネシウムを製造した。 【0021】(評価)上記のようにして得た酸化マグネシウムのPb含有量を、偏光ゼーマン型原子吸光分析法により定量した。その結果を表1に示す。 【0022】 【表1】 表1 ──────────────────────────── 酸化マグネシウム1モル に対するPb含有量(モル) ──────────────────────────── 実施例1 7.4×10-8 実施例2 1.9×10-8 ──────────────────────────── 比較例1 2.8×10-7 比較例2 2.8×10-7 ────────────────────────────【0023】 【発明の効果】本発明の酸化マグネシウム1モル中のPb含有量が2×10-7モル以下である食品添加用の低Pb酸化マグネシウムは、人体に対して安全性が高い。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000119988 【氏名又は名称】宇部マテリアルズ株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年7月15日(1998.7.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074675 【弁理士】 【氏名又は名称】柳川 泰男
|
| 【公開番号】 |
特開2001−275618(P2001−275618A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月9日(2001.10.9) |
| 【出願番号】 |
特願2001−60457(P2001−60457) |
|