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【発明の名称】 生麩、およびその製造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 恒太郎

【要約】 【課題】古くから精進料理等の分野で用いられてきた生麩に関するものであり、特に製造後において固化し難く、また解凍後においても粘弾性を失わせないようにすると共に、予め所望する味付けがし易くなるようにする新規な生麩、およびその製造方法を提供する。

【解決手段】グルテンおよび糯粉に対して所定の割合でドレッシングを加えて作り上げられたドウを、茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化したものとしてなる生麩である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 グルテンおよび糯粉に対して所定の割合でドレッシングを加えて作り上げられたドウを、茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化したものとしてなることを特徴とする生麩。
【請求項2】 グルテンおよび糯粉に対して所定の割合でドレッシングを加えて作り上げられたドウを、茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化した上、冷却、冷凍してなるものとしたことを特徴とする生麩。
【請求項3】 ドレッシングは、耐熱、耐冷用に製造された公知のマヨネーズによるものとし、グルテン約50重量部と糯粉約30ないし35重量部に対する割合が約10ないし20重量部程度に調整されてなるものとした、請求項1または2何れか記載の生麩。
【請求項4】 ドウは、予め適量の調味料を加えて味付けされてなるものとした、請求項1ないし3何れか記載の生麩。
【請求項5】 グルテンおよび糯粉に対し、所定の割合でドレッシングを混入し、十分混練してドウとした後、所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって製造するようにした、請求項1記載の生麩を製造する生麩の製造方法。
【請求項6】 グルテン約50重量部と糯粉約30ないし35重量部に対し、約10ないし20重量部程度の割合でマヨネーズを混入し、十分混練してドウとした後、所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって製造するようにした、請求項5記載の生麩の製造方法。
【請求項7】 グルテンおよび糯粉に対し、所定の割合でドレッシングを混入し、十分混練してドウとした後、所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化した上、冷水で冷却し、そのまま冷凍して製造するようにした、請求項2記載の生麩を製造する生麩の製造方法。
【請求項8】 グルテン約50重量部と糯粉約30ないし35重量部に対し、約10ないし20重量部程度の割合でマヨネーズを混入し、十分混練してドウとした後、所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化した上、冷水で冷却し、そのまま冷凍して製造するようにした、請求項7記載の生麩の製造方法。
【請求項9】 グルテン約50重量部と糯粉約30ないし35重量部に対し、約10ないし20重量部程度の割合でマヨネーズを混入し、十分混練してドウとした後、包餡してから所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化した上、冷水で冷却し、そのまま冷凍して製造するようにした、請求項7記載の生麩の製造方法。
【請求項10】 ドウは、予め適量の調味料を加え、味付けされてなるものに作り上げるようにした、請求項5ないし8何れか記載の生麩の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の目的】この発明は、古くから精進料理や高級料理、高級和菓子等の分野で用いられてきた生麩に関するものであり、特に製造後において固化し難く、また長期保存用として冷凍したものの、解凍後においても粘弾性を失わせないようにすると共に、予め所望する味付けがし易くなるようにする新規な生麩、およびその製造方法を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】稲、トウモロコシと共に世界の三大穀物の一つといわれている小麦は、最も広範な地域で栽培されて最大の生産高を上げ、人類の主食を賄う重要な作物となっており、その起源は太古にまで遡り(紀元前8000年頃の遺跡から出土しており)、我が国おいても縄文時代晩期に既に栽培されていたという証拠が出始めている程に極めて古い稲科の作物であって、多くの種類から成り立っていたものが、長い歴史の中で交雑と品種改良とが進み、現在では、「小麦」といえばフツウコムギ(パンコムギ)とマカロニコムギ(デュラムコムギ)といわれるように、主流はこの二種類の栽培に限定されていて、通常は製粉されて小麦粉として殆どが食用にされ、その他僅かな部分が飼料や加工用として利用されているに過ぎないものである。
【0003】我が国における小麦栽培の普及は奈良時代以降とされていて、当初は調味料としての醤(ひしお)や菓子原料とされていたが、8ないし12世紀には救荒作物として奨励され、以降は米麦二毛作として米作の裏作作物となり、そうめんやまんじゅう等の小麦粉加工品に盛んに使用されると共に、鎌倉時代には、仏教の交流のために訪れていた中国の学僧達により、修行僧達の重要な蛋白源としての「麩」が伝えられ、それ以来専ら精進料理や高級料理のための一つの食材として、小麦粉から取り出したグルテンを、熟練した職人達の手作業によって一つ一つ丁寧に作り上げた生麩が、芸術品と見紛う程の雅風豊かな美しさと愛らしさ、美味しさとを兼ね備えていることから、永年に渡って珍重されてきており、主に小麦の澱粉質の性質を上手に引き出して利用する麺類とは一線を画し、小麦固有のグルテンを活かした伝統ある小麦粉加工品となっている。
【0004】この生麩の主成分であるグルテン(麩質)は、小麦成分の約15%程度を占めるアルブミン、グロブミン、プロテオーズを除いた、約85%前後にも及ぶ部分の、小麦にしか存在しない植物蛋白質であって、シロップのような流動性がある粘着性のある物質のグリアジンと、ゴム状で弾力性に富む物質のグルテニンという相反した性質の単純蛋白質が絡み合った混合物であり、この蛋白質の特性から、水を加えて練ると特別な粘弾性をもったドウ(dough)を作ることができ、このドウを使うことによってこれまでにもパンや各種麺類、そして麩製品に加工することができるものであり、他の穀粉には見られない特徴ある小麦粉中の成分を構成している。
【0005】なお、グルテンは、小麦粒中に一様に分布する訳ではなく、外側に多く存在していることから、生産地が寒冷地であり、雨量が少ない所で生産されたものであること、早刈り(未熟である→皮部が多い)したものであること、細身(未熟である→皮部が多い)であること、窒素施肥を適期適量なされたものであること等の条件により、同じ小麦でもその含有量にかなりの差を生じてしまうことが知られ、そのため、良質のグルテンを得るためには、外国産の小麦よりも国内産のものの方が遥かに秀れており、また、同じドウから作る麩製品でも、グルテンに小麦粉を練り合わせ、焼成して作る焼き麩とことなり、生麩あるいは麩菓子の場合には、糯粉(もちごめこ)を練り合わせ、茹でたり蒸したりして作られるものである。
【0006】この我が国の伝統ある小麦粉食品である麩製品が、良質の蛋白源であって低カロリー食品であり、しかも素朴な味わいの自然食品であるという理由からか、茲にきて一躍脚光を浴びることとなり、全国各地にある古くからの麩製造メーカーでは、特に芸術的な薫を漂わせ、独特の歯触りのある生麩を、その土地の名産品にすべく、そのままでは日持ちのしない生麩を一旦冷凍させ、冷凍製品にして遠方からの注文にも応じることができるようにしたり、あるいは、この冷凍製品とした生麩も、従来から温めて食する食材であって、鍋物やお吸い物、煮物等の食材として定着化してしまっていて、その需要期が冬期間に限定されるきらいがあることから、苺あんや柚子あん、蓬あん、栗あん、こしあん等をくるみ、その外側を笹で巻く等の趣向を凝らして包装を施した上で冷凍し、冷凍麩まんじゅう等のような麩菓子に作り上げ、季節に係わらず年間を通じて麩製品の供給が可能になるようにする等といった改良を加え、その要請に応えようとする試みも始まっている。
【0007】ところが、そうした努力にも拘わらず、この生麩の場合には、グルテンの特性から、一旦煮込んで柔らかくなったものも、暫く置いて冷えてしまうと固くなると共に、美味感が損なわれてしまうという欠点を有する上、その弊害を無くすためと、日持ち改善のために冷凍生麩としたものでは、解凍後に水分が遊離して粘弾性が損なわれ、独特の食感に支障を来してしまうという別の課題を残す上、ドウを作り上げる際に、他の調味料を混練したくてもなかなか均質に混入することが難しく、したがって若者向けの麩菓子とするために独特のグルテン臭を取り除こうとして何か調味料を添加しても味ムラや色ムラ等を生じ、品質を落としてしまうという事実があることや、それ自体味が染み難い性状を有しているため、鍋物やお吸い物等用として生麩を採用したくても味付けに手間取ることとなり、最近のように効率的な調理が求められる料理店向きの食材になり難いといった事実もあり、これらの問題は、和食以外の中華料理や洋食用等のような新たな分野への展開の可能性にも影響し、生麩の一層の普及を試みる上で大きな障害となっている。
【0008】この発明は、以上のような状況に鑑み、従前からの生麩が有してきた欠点をできるだけ払拭し、独特の食味と食感とに影響を与えることのない冷凍生麩の製造が可能であって、しかも、鍋物やお吸い物等の和食用食材としては勿論のこと、中華料理や洋食用の食材としても活用可能となるよう、調理段階での味付けもし易くなるようにする新たな性状の生麩の開発、研究に取り組み、永年に渡る試作実験と幾多の試行錯誤とを繰り返す中、遂に茲にきて、期待どおりの改善された生麩の実現化に成功したものであり、以下では、その構成について詳細な説明を加えていくことにする。
【0009】
【発明の構成】この発明の生麩は、基本的に次のとおりの構成を要旨としている。即ち、グルテンおよび糯粉に対して所定の割合でドレッシングを加えて作り上げられたドウを、茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化なる生麩である。
【0010】この基本的な構成からなる生麩を、より具体的な構成のものとして示せば、グルテンおよび糯粉に対して所定の割合でドレッシングを加えて作り上げられたドウを、茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化した上、冷却、冷凍してなるようにした構成を要旨とする生麩ということができる。
【0011】ドウ(dough)は、従前からの練り混ぜ液であった水に替え、グルテンおよび糯粉に対し、所定量、即ち種類によって最適となる割合のドレッシングを加え、全体を十分に混練して形成されるものであり、従前からの水を加えてなるものに勝るとも劣ることのないグルテン固有の粘弾性のあるドウを実現できるものであり、例えば、ドレッシングとして市販のマヨネーズを採用するとすれば、例えば、グルテン約50重量部で糯粉約30ないし35重量部とした場合、それらに対し、該マヨネーズが、約10ないし20%程度の割合、望ましくは15ないし17%程度の割合となるようにするとよい。
【0012】なお、このドレッシングは、日本農林規格(JAS)で定められた「食用植物油脂と醸造酢または柑橘類の果汁を主原料とし、食塩、糖類、香辛料等を加えて調整し、水中油滴型に乳化するか、または分離した状態の調味料」であって、半固体状ドレッシング(粘度30,000cP以上、クリームタイプのもの)、乳化液状ドレッシング(粘度30,000cP未満、乳化タイプのもの)、あるいは分離液状ドレッシングで、既に公知のもの、あるいは今後提供されるであろう新規なもののの採用が可能であり、その中でも、半固体状ドレッシング、特にサラダ油、鶏卵、醸造酢または柑橘類の果汁に、食塩や糖類、香辛料等を加えて乳化したマヨネーズであって、製造工程中の加熱および冷却、冷凍処理工程によっても変性の少ない耐熱、耐冷性のあるものとするのが望ましい。
【0013】こうして形成されるドウは、従前までの水によって混練されたものと違い、各種の調味料、例えば醤油や味噌、塩、胡椒、唐辛子、柚子、青ノリ、生姜等々液体、粉体を問わず、殆どあらゆる形態の調味料の混入が円滑に実施可能になるものであり、したがって、生麩の用途、例えばそれが和風料理用の食材となるのか、中華や洋食用の食材とするのか、将又麩菓子としての生地とするのか等といった条件に応じて決定される適量の調味料を、該ドウ形成段階で予め混練、均質化したものとすることができることから、それらの目的・用途に応じ、ドウ自体を味付けしてなるものとすることも可能となる。
【0014】
【関連する発明】以上のとおりの構成からなるこの発明の生麩に関連し、この発明には、次のような基本的な構成からなる生麩の製造方法を包含している。即ち、グルテンおよび糯粉に対し、所定の割合でドレッシングを混入し、十分混練してドウとした後、所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって製造するようにした構成を要旨とする生麩の製造方法がそれである。
【0015】この基本的な構成からなるこの発明の生麩の製造方法を、より具体的なものとして示せば、グルテンおよび糯粉に対し、所定の割合でドレッシングを混入し、十分混練してドウとした後、所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化した上、冷水で冷却し、そのまま冷凍して製造するようにした生麩の製造方法ということになる。
【0016】ドウを作るには、グルテンおよび糯粉に対し、所定量、即ち種類によって最適となる割合のドレッシングを加えてから、全体を十分に混練してグルテン固有の粘弾性のあるものに製造することでき、例えば、ドレッシングとして市販のマヨネーズを採用するとすれば、例えば、グルテン約50重量部で糯粉約30ないし35重量部、望ましくは約38重量部とした場合であれば、それらに対し、該マヨネーズが、約10ないし20%程度の割合、望ましくは15ないし17%程度の割合となるようにすると極めて理想的なドウとすることができる。
【0017】なお、上記基本的な構成のこの発明の生麩の製造方法において、生麩饅頭の製造方法として望ましい構成のものとしては、例えば、ドレッシングをマヨネーズとした場合によれば、グルテン約50重量部と糯粉約30ないし35重量部に対し、約10ないし20重量部程度の割合でマヨネーズを混入し、十分混練してドウとした後、包餡してから所定時間茹でるか蒸すか、あるいは茹でてから蒸すかすることによって半固形状化した上、冷水で冷却し、そのまま冷凍して製造するようにした構成を要旨とする生麩の製造方法が、この発明に包含されるものであり、この構成によって実現されるドウを基準として、各種ドレッシングに最適な混入割合が割り出されるようにするとよい。
【0018】従前までの水に代え、ドレッシングを加えて混練する工程によって形成されるドウは、各種の調味料、例えば醤油や味噌、塩、胡椒、唐辛子、柚子、青ノリ、生姜等々液体、粉体を問わず、殆どあらゆる形態の調味料の混入が円滑に実施可能になることが確認されたことから、生麩の用途、例えばそれが和風料理用食材か、中華料理や洋食用食材なのか、あるいは麩菓子生地とするのか等といった用途に応じて選択された最適な調味料の適量を、該ドウ形成段階、即ち、初期のミキシング段階か、あるいは、ミキシングを終えてからより良いドウ形成のために実施する練り合せ段階に加えて混練することにより、全体を均質に味付けするようにした製造が可能になる。
【0019】なお、この発明の製造方法における煮沸あるいは蒸す工程、および、冷却工程は、従前からの生麩製造工程のそれと特に変わるところはなく、従前どおりの工程に従って実施されれば足り、また、冷凍工程についても、一般食品の冷凍工程に習って実施されればよい。以下、これまでに詳述したこの発明の生麩、およびその製造方法の構成が更に明確化されるように、代表的な実施例を取り上げ、具体的な説明を加えることとする。
【0020】
【実施例】図1の工程図には、この発明の生麩の製造方法を代表する実施例の一つが示されており、その工程図からも明確になるとおり、ここに取り上げた製造方法は、例えば料理店等のように、消費者に手際よく味の染み込んだ生麩料理の提供ができるようにするため、予め調味料として薄く醤油味を付けてなる生麩を製造したものとし、鍋料理やお吸い物等の具の一つとして生麩を使う場合でも、消費者に提供する前に、少なくとも表面だけにでもある程度味を染み込ませていた従前までのような工程が一切省略でき、他の具等と同様に扱って食卓上において煮込むだけで、十分に味わいのある生麩料理となるようにする具体的な実施例である。
【0021】先ず、グルテン6kg、糯粉約3.8kgに対し、ドレッシングとして市販のマヨネーズ約2.2kgを加えると共に、味付け用の醤油約50ccが同時に混入されるようにした上、公知のミキシング装置によって約30分間程度に渡って撹拌、混練し、各素材が十分に均質に混ぜ切られるようにする。
【0022】混ぜ切りを終えた生地は、ドウとするための練る工程に入る前の段階に、生地を構成する各素材相互の馴染みが良くなるように適宜時間(室内の温度・湿度等の条件で必ずしも一定しない。)寝かし置く工程を取り入れる。この寝かす工程が経過した直後に、粘弾性に秀れた良好なドウが形成されるよう、練り機または手練りで十分に捏ね回す工程を実施する。
【0023】十分に粘弾性のあるドウを形成し終えたところで、所定量毎、用途に応じた適宜塊状に整形した上、比較的短い時間の煮沸工程を経過させ、予め生地全体を温めて型入れし易くしてから、生麩製品に応じた形状、例えば羊羹状、厚板状、団子状等となるように型入れする工程をできるだけ円滑に実施する。
【0024】こうして型入れされたドウは、型毎あるいは型から外して蒸し器に入れられ、その形状や厚み、あるいは蒸し器の性能等に応じて調整された最適な時間、例えば約5分から20分間程度の範囲内で、製造すべき生麩の出来具合いに都合の良い時間分だけ蒸す工程に移り、加熱されて熱い状態の生麩が製造されることになる。
【0025】その後、できるだけ穏やかに冷えるよう、冷水によって比較的長い時間を掛けて冷却する冷却工程を経れば、最終的な生麩製品となる。この段階で提供すれば、できたての生麩製品となるが、一般にはそのまま生麩製品として提供されることは少なく、一旦包装して生麩製品とした上で料理店まで急送するか、あるいは、全てを冷凍してしまい、需要に応じた数量分だけ冷凍のまま供給し、需要者側において必要量だけ調理に先立って解凍処理して生麩料理に使用するようにする。
【0026】なお、この実施例では、ミキシング前に味付け用の調味料である醤油所定量を混入する工程を採用している事例としたが、必ずしもこの段階に限るものではないこと、既に説示したとおりであって、素材によってはドウを形成するための練る工程の際に混入した方がいい調味料、例えば香り付けとする柚子粉やスパイス類等、芳香保持を優先すべき調味料等については、ドウ形成のための練り工程段階の方が都合が良く、この段階においても、ドレッシングを用いてグルテンと糯粉とを混練した特異性からか、極めて円滑且つ均質化した混入が可能であることも確認済みとなっている。
【0027】また、生麩饅頭のような生麩菓子を製造する場合であれば、上記した実施例の製造工程において、ドウを形成する練り工程を終えた後の段階で、包餡機に掛けて餡を詰める工程に移り、ドウ内に苺餡や柚子餡、蓬餡、栗餡、漉し餡等伝統的な餡の外、季節の応じた新素材による餡や若者向けの現代風味付けの餡等、変わり餡を詰め終えてから、次の煮沸工程以降に移るようにする。
【0028】
【作用効果】以上のとおりの構成からなるこの発明の生麩は、伝統ある我が国古来からの生麩製造において全く採用されたこともなければ、そのような試みすらも成されたことのない独創的な発想に基づき、永年に渡って試作実験を繰り返してきた結果、それまでの生麩では、冬期間等に需要の多い鍋物や煮込み料理の具等として使用したときに、何かの都合で冷えてしまうと固くなってしまうと共に、折角の美味感までも失われてしまうという欠点や、煮込んでいってもなかなか味が染み込んでいかず、効率的な回転を必要とする料理店等の食材に適していなかった等という課題を抱えてきていたのに対し、ドウを作るための練り混ぜ溶液として、それまで変わることのなかった水に代え、ドレッシングという主原料に食用植物油脂と醸造酢または柑橘類の果汁を有する素材を採用することにより、それまでの欠点を完全に解消して、冷えても固くなることがないことから、生麩の刺身やサラダ用の具等、生麩としては新たな領域に入る料理用の食材としての展開を可能にするという非常に大きな特徴が得られるものになっている。
【0029】しかも、ドレッシングを練り混ぜ溶液としていて、生麩全体に油成分を含有する素材構造となっていることから、放置しても簡単に表面だけが固くなるようなこともなければ、冷凍した後の解凍状態においても、ドウの構造に変化が少なく、独特の食感を失うこともなく、単に調理用食材としてだけではなく、生麩菓子としても、冷凍食品として十分にその食味、食感を味わうことができるものとすることができる上、予め好みの調味料も均質に混入することも容易になって、和風料理用に止まることなく、中華料理や洋風料理用の食材にも適したものとすることができ、更には、ドレッシングの成分が幸いし、一部の人たちからは敬遠されがちであったグルテン臭もかなりの割合で解消され、加えて酸による殺菌、保存効果も得られるという利点もあって、万人向けの食材として販路拡大に大いに寄与することになるという秀れた特徴を発揮するものとなる。
【0030】こうした従前のものには全く期待のできなかった新たな性状の生麩の製造も、従前からの練り混ぜ液を水とした製造方法と何等変わるところはなく、逆に食用植物油脂という極めて潤滑性に富んだ性質によって非常に円滑且つ安定して実施することが可能になり、それだけ品質にばらつきがなく、食感の点では遥かに秀れたものに製造できる上、何よりも冷凍食品化してもその解凍後において殆ど品質低下を招くことのない生麩の製造が可能になることから、生麩製造効率を飛躍的に高めることができるという実用的な効果も得られることになり、特に実施例に取り上げたこの発明を代表する製造方法は、その特徴を如何なく発揮し得るものとなっている。
【0031】叙述の如く、この発明の生麩、およびその製造方法は、その特徴ある新規な構成によって所期の目的を普く達成可能とするものであり、これまで我が国の伝統的な食品として認められてはきたものの、その製造の煩雑さと日持ちの悪さや扱いの難しさ等とから、どうしても高級食材として限定されてしまいがちであったものを、極めて一般的な食材とすることを可能にし、良質の蛋白源であって低カロリーである上、癖がなく上品な味わいの新たな食材として認知され、最近の食べ物志向に合致する秀れた健康食品として、各方面から高い評価が得られ、大いに普及していくものになると予想されるものである。
【出願人】 【識別番号】500081347
【氏名又は名称】株式会社 鈴木製麩所
【出願日】 平成12年4月4日(2000.4.4)
【代理人】 【識別番号】100083437
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 實
【公開番号】 特開2001−275593(P2001−275593A)
【公開日】 平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願番号】 特願2000−102326(P2000−102326)