| 【発明の名称】 |
飲食品の食感改良法 |
| 【発明者】 |
【氏名】野村 悟郎
【氏名】三吉 新介
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| 【要約】 |
【課題】飲食品の優れた食感改良法を提供すること。
【解決手段】マンノースを有効成分とする飲食品の食感改良剤。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マンノースを有効成分とする飲食品の食感改良剤。 【請求項2】 食感改良作用が澱粉の老化防止作用に基づくものである請求項1記載の食感改良剤。 【請求項3】 飲食品が澱粉含有食品である請求項1又は2記載の食感改良剤。 【請求項4】 マンノースを含有することを特徴とする食感改良された飲食品。 【請求項5】 マンノースを含有させることを特徴とする食感改良された飲食品の製造方法。 【請求項6】 飲食品が澱粉含有食品である請求項4又は5記載の食感改良された飲食品又は該食品の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、飲食品の食感改良法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来から、飲食品の品質改良としては、食感、色調、風味、呈味などの点で種々の試みがなされており、特に食感に関する改良法は数多く開発されている。 【0003】食感は、食品の構成成分、即ち、水分、油分、澱粉質、蛋白質、繊維質等が複雑に絡み合って影響するもので、特に水分とその他の食品成分との相互作用が大きく影響する。 【0004】例えば、澱粉の場合は、加熱すると水を吸収して膨潤し、70〜75℃で糊化する。この糊化をα化、糊化澱粉をα−澱粉といい、これに対して、生の澱粉をβ−澱粉という。 【0005】食品を加工する場合、このα化の段階における温度条件や各種添加物等の違いによって、水分の吸収の仕方に違いが生じ、その結果、食感等に影響を与えることとなる。 【0006】更に、α−澱粉を常温に放置すると、水分を放出し、β−澱粉に戻る現象が見られる。この現象を澱粉の老化(β化)というが、この澱粉の老化は、温度(2〜5℃)、水分(30〜60%)、pH(酸性側)等によって促進される。 【0007】その結果、例えば、餅、パン、麺類等の澱粉含有食品は、低温で保存すると、弾力が失われたり、表面が硬くなったりする。 【0008】従って、澱粉を含む食品は、加工時や保存時に水分の移動を伴った老化等の変化を起こし、離水したり、硬化したりすることで、特に食感上好ましくない状態になることが多い。 【0009】また、蛋白質の場合は、その機能に立体構造が重要な役割をしており、その立体構造が何らかの原因で崩れたり、歪んだりすれば性質が変わってくる。これを蛋白質の変性といい、温度(加熱、冷凍)、pH(酸性、アルカリ性)、塩類、アルコール、物理的処理(泡立て、混捏)の影響等で起こる。この現象は、食品の調理そのものに利用されるが、一方で、調理中や保存中に蛋白質が好ましくない変性をすると、水を保持しなくなり形成していたゲルが壊れたり、溶解していた蛋白質が不溶化したりする。 【0010】従って、このような変性蛋白と水との相互作用に変化を与えることで、食感の改良が可能となり得る。 【0011】従来、食品の食感を改良する方法は、澱粉の老化防止に関するものとして、β−アミラーゼ、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、還元澱粉加水分解物、澱粉加水分解物、トレハロース等の添加、また、トレハロースと前記の化合物を併用する方法(特開平7−79689号)等、種々の方法が試みられている。また、蛋白質の変性防止に関するものとしては、シュクロースやソルビトールを添加する方法、トレハロースを添加する冷凍変性防止方法(特開平7−135927号)、マルトースとマルトトリオースを一定の割合で添加する方法(特開平11−276114号)等が知られている。 【0012】しかしながら、これらの方法は、一応の成果を上げているが、未だ十分ではなく、更に効果のある飲食品の食感改良法の開発が待たれているのが現状である。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的とするところは、飲食品の優れた食感改良法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、各種糖類の中で六炭糖であるマンノースには、特異的で顕著な飲食品の食感改良作用、特に、澱粉の老化防止作用があることを見出し、更に研究を続けた結果、本発明を完成したものである。 【0015】即ち、本発明は、以下のような構成からなるものである。 【0016】1.マンノースを有効成分とする飲食品の食感改良剤。 【0017】2.食感改良が澱粉の老化防止作用に基づくものである上記1記載の食感改良剤。 【0018】3.飲食品が澱粉含有食品である上記1又は2記載の食感改良剤。 【0019】4.マンノースを含有することを特徴とする食感改良された飲食品。 【0020】5.マンノースを含有させることを特徴とする食感改良された飲食品の製造方法。 【0021】6.飲食品が澱粉含有食品である上記4又は5記載の食感改良された飲食品又は該食品の製造方法。 【0022】なお、本発明でいう、食感改良とは、飲食品の硬さ、ソフト感、しっとり感、弾力、粘り気、水の分散状態、油の分散状態等を、食した時、より好ましい状態にすることを意味する。すなわち、ここで言う、食感とは、飲食品の品質特性を口当たり、歯ごたえ、舌触り等の触覚でとらえたものであり、味覚や臭覚でとらえる風味とは異なるものである。 【0023】そして、後述するように、加工時や保存時の水分や澱粉、蛋白質等の食品成分の変化に起因するところの食感劣化を防止することを目的とするものであるので、このような劣化防止の目的に該当しない、風味改良を目的とするものではない。 【0024】従来から、マンノースは天然には遊離の形で存在していないためか、マンノースを飲食品の品質改良に使用するという技術は少なく、本出願人の知るところ、食品の風味改良剤とするものが挙げられるのみである(特開平6−30721号)。 【0025】ところが、このような状況下、本発明者らは、マンノースを種々の飲食品に添加し、その作用を調べたところ、意外にも、マンノースには飲食品の食感改良作用があることを発見した。 【0026】また、本発明者らは、このようなマンノースの飲食品の食感改良作用について探求したところ、マンノースには、澱粉の老化防止作用があること、また、その作用は、従来、優れた老化防止作用が有るとされているトレハロースよりも強いという意外な事実を知った。 【0027】ところで、前述したように、飲食品の食感には、水分含量や澱粉・蛋白質の状態等、飲食品を構成する成分が大きな影響を及ぼしており、マンノースが食感改良作用を呈するのは、マンノースが、澱粉や蛋白質等と水との相互作用に何らかな影響を及ぼし、澱粉の老化や離水等、水分の移動を伴った変化を抑制したためと考えられる。 【0028】このように、マンノースには、水分の移動を抑制する働きがあると考えられ、澱粉老化防止作用や離水防止作用によって保存時の硬化を抑制する等、飲食品の食感を好ましい状態にするので、マンノースから優れた飲食品の食感改良剤を得ることができる。 【0029】また、本発明の食感改良成分であるマンノースは、食品として従来から食されているグルコマンナン等の多糖類の構成糖であり、安全性が高い食感改良剤を得ることができる点においても、本発明は優れている。 【0030】以上、本発明は、上記のような優れた飲食品の食感改良剤を提供するものであるが、該改良剤が、今までほとんど、飲食品の原料として使用されることがなかったところの、マンノースから得られたということは、全く意外なことであり、この点からみても、本発明には、特異性があることは明かである。 【0031】以下、本発明について、更に詳述する。 【0032】本発明の食感改良剤成分のマンノースは、天然には遊離の形では存在していないが、以下のような方法により製造することができる。 【0033】■ マンノースを含有する多糖類(グルコマンナンやガラクトマンナンなど)を酸分解又は酵素分解する。 【0034】■ グルコースをモリブデン酸塩触媒の存在下に高温処理する。 【0035】■ フラクトースにマンノースイソメラーゼを作用させる。 【0036】本出願人は、先に、新規なマンノースイソメラーゼをある微生物から見出しているが、本酵素は、耐熱性が高く、工業的に利用が可能である点において有利である(特願平11−158911号)。 【0037】本発明で使用するマンノースは、上記のいずれの方法によって得られるものでよいが、飲食品に適用することが出来る程度に精製するのがよい。 【0038】本発明の食感改良剤の利用形態は、液状、粉末状、顆粒状等何れの形態でもよい。 【0039】食感改良剤の飲食品への添加方法は、特に制限はなく、例えば、混和、混捏、溶解、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入、晶出、固化など公知の方法を適宜選択して行うことができる。 【0040】但し、添加時期については、水分の移動等により好ましくない食感上の変化が生じる前が好ましい。 【0041】食感改良剤の飲食品への添加量は、通常、0.01〜20重量%で十分である。 【0042】また、本発明の食感改良剤を飲食品に添加する場合、必要に応じて、他の材料、例えば、他の劣化防止剤、甘味料、旨味料、香料、着色料、乳化剤、強化剤、酸化防止剤、増量剤などの適宜の素材や添加物などを適宜含有せしめることもできる。 【0043】本発明が適用できる飲食品は、農産食品、畜産食品、水産食品、嗜好品等何れでもよく、澱粉含有食品、蛋白質含有食品に特に効果があるが、それらの含量や水分、油分の含量に特に制限はない。 【0044】このような飲食品としては、例えば、米飯類、パン類、うどん、そば、ラーメン等の麺類、大福、団子、饅頭、おかき、せんべい、おこし、ケーキ、カステラ、ドーナツ、ワッフル、クッキー、ビスケット、クラッカー、パイ、ババロア、プリン、ゼリー等の菓子類等、ちくわ、蒲鉾等の水産練り製品、厚焼き卵や茶碗蒸等の総菜類、クリーム、ヨーグルト、チーズ、バター等の乳製品、フラワーペースト、マーマレード、ジャム等のペースト類、即席カレー、レトルトカレー等のカレー類、ケチャップ、マヨネーズ等の調味料、各種冷凍チルド食品等が挙げられる。 【0045】なお、前述したように、本発明のマンノースの食感改良作用は、マンノースが、食品成分と水との相互作用に何らかの影響を及ぼすことに起因するものと考えられるので、本発明は、飲食品の食感改良等だけではなく、類似の成分を含有する接着剤等の工業品や医薬品の品質の改良にも当然適用することができる。 【0046】 【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0047】以下の実施例において「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り「重量部」、「重量%」を意味する。 【0048】〔澱粉の老化防止試験〕以下のような試験方法により、マンノース等の各糖質の澱粉の老化防止作用を測定した。 【0049】(イ) 試験方法終濃度1%の馬鈴薯澱粉湖化液(pH5.5)中に、マンノース等の各糖質を終濃度6%となるように溶解し、4℃で、48時間保存し、保存前後の濁度を、720nmの吸光度でもって測定した。尚、試験に供した各糖質は純度99%以上の市販試薬を用いた。 【0050】老化度は、無添加の場合の濁度の増加を基準(100%)とし、各糖質を添加した試験区の濁度増加を相対的に示したものであり、以下の式により求めた。 【0051】老化度(%)={各試験区の濁度の増加(保存後濁度−保存前濁度)/無添加試験区の濁度の増加(保存後濁度−保存前濁度)}×100(ロ) 試験結果試験結果は、図1に示す。 【0052】図1の結果から、マンノースは、トレハロース等の他の糖質に比し、澱粉の老化防止作用において、格別に優れた効果があることが分かる。 【0053】〔各種飲食品の調製と食感〕 【実施例1】(杵餅)餅米1000gを水2000gに一晩侵漬して水切後、蒸した。マンノース20gを振り掛け、臼に移し、杵で約15分間、米粒がなくなるまで搗いた。2cmの厚さに成形してラップで包装後、室温で保存した。 【0054】 【比較例1】マンノース無添加の他は、実施例1と同様に製造した。 【0055】(結果)比較例1のものは、数日後には硬くなったが、実施例1のものは、長期間硬化が抑えられ、好ましい食感を維持した。 【0056】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0057】 【実施例2】(草餅)上新粉500gを水400g乾よもぎ10gと混ぜ合わせ蒸練機で蒸した。上白糖100g、水飴55g、マンノース25gを加えて良く練り、成形して4℃で保存した。 【0058】 【比較例2】マンノースの代わりに、水飴を加え、水分量を調整した以外は、実施例2と同様に製造した。 【0059】(結果)実施例2のものは、製造直後及び4℃、5日保存後とも、比較例2のものより柔らかく、好ましい食感であった。 【0060】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0061】 【実施例3】(卵焼き)全卵200g、だし液(食塩1.5部、醤油2.7部、みりん1.5部、水100部)70g、上白糖12g、マンノース3g、小麦粉6gを混合し、焼成した。冷却後−20℃で保存した。 【0062】 【比較例3】マンノースの代わりに、全量上白糖を使用した以外は、実施例3と同様にして製造した。 【0063】(結果)1週間保存後室温で解凍したところ、実施例3のものは、比較例3のものに比べ、離水が抑えられ、ばさつき感が小さかった。 【0064】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0065】 【実施例4】(蒲鉾)スケトウダラ冷凍すり身1000g、食塩25g、本みりん30g、グルタミン酸ソーダ10g、馬鈴薯澱粉130g、砂糖10g、マンノース10g、氷水200gを混合し、擂り上げた後、径48mmの塩化ビニリデン製ケーシングチューブに充填し、両端を結び、90℃、30分間加熱した。冷却後4℃および−20℃で保存した。 【0066】 【比較例4】マンノースの代わりに、全量砂糖を使用した以外は、実施例4と同様にして製造した。 【0067】(結果)4℃、12日間保存した場合も、−20℃、1ケ月保存し室温で解凍した場合も、実施例4のものは、比較例4のものに比べ、コシが強く、好ましい食感であった。 【0068】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0069】 【実施例5】(パン)小麦粉1000g、イースト20g、イーストフード1g、砂糖30g、マンノース20g、食塩20g、ショートニング20g、水690gを混合し捏ね上げ、常法に従い、分割、成形し、ワンローフ型に入れ発酵、焼成した。 【0070】 【比較例5】マンノースの代わりに、全量砂糖を使用した以外は、実施例5と同様にして製造した。 【0071】(結果)室温24時間放置後の食感を調べたところ、実施例5のものは、比較例5のものに比べて、ソフト感に優れていた。 【0072】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0073】 【実施例6】(中華麺)強力粉500g、食塩5g、かん粉5g、アルコール10g、水160g、マンノース15gを混合し捏ね、1.35mm厚の麺を調製し、3.5分茹で、水洗冷却した。 【0074】 【比較例6】マンノースの代わりに、全量ソルビトールを使用した以外は、実施例6と同様にして製造した。 【0075】(結果)製造直後の食感を調べたところ、実施例6のものは、比較例6のものに比べて、麺がツルツルとしており、のど越しの良い食感であった。 【0076】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0077】 【実施例7】(スポンジケーキ)薄力粉600g、全卵900g、上白糖540g、マンノース60gで生地を調製し、レヤー型に200g分注し、160℃、30分間焼成した。 【0078】 【比較例7】マンノースの代わりに、全量上白糖を使用した以外は、実施例7と同様にして製造した。 【0079】(結果)製造直後の食感を調べたところ、実施例7のものは、比較例7のものに比べ、ソフトさが向上した。 【0080】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0081】 【実施例8】(ババロア)ゼラチン18gを水80gで膨潤させ、牛乳300gを混合し加熱溶解、沸騰させた。これを卵黄40g、上白糖72g、マンノース8gを加えて擦り混ぜたものに加えて、良く混合した。氷水で冷やしながら40℃に成った時点で生クリーム100gを混合し、カップに分注し、4℃の冷蔵庫で凝固させた後、−20℃で保存した。 【0082】 【比較例8】マンノースの代わりに、全量上白糖を使用した以外は、実施例8と同様にして製造した。 【0083】(結果)14日間保存し、室温解凍したところ、実施例8のものは、比較例8のものと比べて、離水が抑えられ、口当たりの良い滑らかなゲルであった。 【0084】この結果から、マンノースには、飲食品の食感改良作用があることが分かる。 【0085】以上の実施例及び比較例の結果から、本発明で使用するマンノースは、格別に優れた飲食品の食感改良作用を有することは明かである。 【0086】 【発明の効果】(1)本発明によれば、澱粉の老化や飲食品の離水等の品質の劣化が防止され、食感のよい飲食品を得ることができる。 【0087】(2)本発明は、飲食品、特に澱粉含有食品の老化防止の点において、特段の効果を奏する。 【0088】(3)また、本発明の食感改良剤の有効成分であるマンノースは、多糖の構成糖として食経験があるので、安全性の高い食感改良剤として利用することができる。 【0089】
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| 【出願人】 |
【識別番号】000187079 【氏名又は名称】昭和産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月31日(2000.3.31) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105359 【弁理士】 【氏名又は名称】長沼 要
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| 【公開番号】 |
特開2001−275583(P2001−275583A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月9日(2001.10.9) |
| 【出願番号】 |
特願2000−96468(P2000−96468) |
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