| 【発明の名称】 |
餅又は団子及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】白川 真由美
【氏名】山田 裕之
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| 【要約】 |
【課題】レトルト耐性を有し、経時的に安定な餅及び団子を提供する。
【解決手段】澱粉質原料に、ガラクトキシログルカンの側鎖ガラクトースを部分分解して製造される可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンを添加することにより、レトルト殺菌(高温加熱)しても、冷蔵保存後加熱しても煮崩れや溶けだしがなく、又、長期保存時の食感の変化が少ない餅及び団子を製造することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 餅又は団子の原料澱粉質に、側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンを加えることを特徴とする餅又は団子の製造方法。 【請求項2】 側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンを加えた食材で皮膜を作ることを特徴とする餅又は団子の製造方法。 【請求項3】 側鎖ガラクトースの除去率が30−65%の可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンである請求項1又は2記載の製造方法。 【請求項4】 ガラクトキシログルカンがタマリンド種子ガム由来である請求項1−3のいずれか一項記載の製造方法。 【請求項5】 請求項1−4のいずれか一項記載の製造方法によって製造される餅又は団子。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はレトルト耐性を有し、冷蔵保存が可能な餅又は団子及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術および発明が解決しようとする課題】餅及び団子又はそれらを使用した、しるこ、ぜんざい、雑煮等は、古くから日本人に親しまれてきた食品である。最近のインスタント指向から、しるこやぜんざいに餅または団子を入れたレトルト食品が開発され、商品化されている。しかしながら、餅や団子は水分の多い調味液中でレトルト殺菌すると煮崩れしてしまうことから、レトルト処理する食品には向かないものとされてきた。又、餅や団子は主成分が澱粉であるため、長期保存により、ふやけたり、老化したりして、食感が変化するので、長期間流通させることが難しい。又、これらの餅または団子は冷蔵保存すると老化し固くなるため、長期冷蔵保存する食品や、冷やして食する食品には向いていなかった。 【0003】そこで、レトルト処理を可能にする方法として、従来多くの試みがなされ提案されている。例えば代表的な方法としては、タンパク質やカードランを添加し熱変性により耐熱性を付与する方法(特開平3−87146号公報)や、餅にジェランガムとカルシウム塩を添加し耐熱性を付与する方法(特開平5−236892号公報)がある。しかしながら、これらの澱粉質以外の添加物を餅に含ませると、餅本来の粘りや弾力といった好ましい物性や、味の面において、餅とはかなり異質なものになってしまうという問題があった。 【0004】又、澱粉の老化を防止する方法についても、多くの試みがなされ提案されており、例えば糖質、乳化剤、あるいは酵素を添加する方法が挙げられる。これらの方法は一応の効果は得られるものの、十分とは言えず、さらに効果の大きい添加物の出現が要望されている。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明の目的は澱粉質を原料とした、レトルト耐性を有し、長期保存が可能な餅又は団子を製造し、提供することにある。 【0006】本発明者らは、鋭意検討の結果、側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンを餅又は団子の原料澱粉質に添加することにより、又は、餅又は団子の表面に側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンの皮膜を作ることにより、レトルト耐性を有し、長期保存が可能な餅又は団子を製造することができることを見いだした。 【0007】すなわち、本発明の第1は、側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカン、好ましくは側鎖ガラクトースの除去率が30−65%の、さらに好ましくはタマリンド種子ガム由来の可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンを餅又は団子の原料澱粉質に添加して製造される餅又は団子及びその製造方法を提供するものである。 【0008】又、本発明の第2は、側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカン、好ましくは側鎖ガラクトースの除去率が30−65%の、さらに好ましくはタマリンド種子ガム由来の可逆的熱応答性ガラクトキシログルカン又はそれを含む食材を塗布、浸漬、スプレー等の方法で餅又は団子の表面に皮膜を形成させて製造される餅又は団子及びその製造方法を提供するものである。 【0009】本発明によれば、餅又は団子を製造する際に、粉末又は水溶液の側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカンを使用することにより、弾力や粘りといった餅又は団子特有の物性を失うことなく、レトルト耐性を有し、冷蔵保存が可能な餅又は団子を製造することができる。 【0010】本明細書中では、上記「側鎖ガラクトースを部分的に除去した可逆的熱応答性ガラクトキシログルカン」は以下、単に「ガラクトース除去キシログルカン」と略称することもある。ここに「可逆的熱応答性」とは、熱により可逆的にゾル−ゲル転移を起こす性質を意味する。 【0011】本発明に用いるガラクトース除去キシログルカンは特開平8−283305号公報記載の本発明者らの製造方法に従って製造することができる。すなわち、ガラクトキシログルカンを用いて、その側鎖ガラクトースを酵素的にもしくは化学的に、好ましくは酵素的に部分分解して製造することができる。より詳しくは、市販もしくは精製β−ガラクトシダーゼを使用し、至適の反応温度、pH、濃度などの条件下で基質のガラクトキシログルカン水溶液を反応させ、反応時間に応じて側鎖ガラクトースを一定の割合で除去して製造することができる。反応時間は基質の濃度、酵素濃度、殊にpHに依存するので、反応時間を適宜調整することができる。 【0012】ガラクトキシログルカンは双子葉,単子葉植物など高等植物の細胞壁(一次壁)に存在する天然多糖である。ガラクトキシログルカンはグルコース,キシロースおよびガラクトースを構成糖とし、主鎖はグルコースがβ−1,4結合し、側鎖にキシロース、そのキシロースにさらにガラクトースが結合している。ガラクトキシログルカンは、タマリンドをはじめ、大豆、緑豆、インゲンマメ、イネ、オオムギ、リンゴなどから抽出される。 【0013】本発明に用いるガラクトース除去キシログルカンの原料ガラクトキシログルカンとしては、いかなるガラクトキシログルカンでもよいが、ガラクトキシログルカンの含有率が高く、入手も容易なタマリンド種子由来のガラクトキシログルカンが好ましい。 【0014】ガラクトキシログルカンは単独ではゲル化しないが、糖あるいはアルコールの共存下ではゲル化することが知られている。ところが、側鎖ガラクトースを部分的に除去したガラクトキシログルカンは可逆的熱応答性ゲルの挙動を示す。すなわち、熱によるゾル−ゲル相転移を低温側と高温側の2箇所に有し、低温側の転移温度以下及び高温側の転移温度以上ではゾル化し、両転移温度間ではゲル化するという性質を有する。例えば、基質のガラクトキシログルカンの2%水溶液を酵素反応して製造される、側鎖ガラクトースの除去率が40%のガラクトース除去キシログルカンの2%水溶液は、30℃と90℃でゾル−ゲル相転移が起こり、30℃以下及び90℃以上ではゾルであり、30−90℃の範囲ではゲルである。また、側鎖ガラクトースの除去率が44%のガラクトース除去キシログルカンの2%水溶液は20−100℃の範囲でゲルである。 【0015】ゾル−ゲル相転移温度は、側鎖ガラクトースの除去率及び得られたガラクトース除去キシログルカンの水溶液の濃度によって変化する。ガラクトース除去率が高くなるにつれて、又、ガラクトース除去キシログルカンの水溶液の濃度が高くなるにつれて、相転移温度は低温側ではより低下し、高温側ではより高くなり、ゲル化の温度領域が拡大する。また、かかるゾル−ゲル相転移温度は塩,糖の添加によってもその影響を受け、例えば食塩の添加では上昇傾向、砂糖の添加では低温側の転移温度の下降傾向が認められる。したがって、塩、糖を添加することにより転移温度を制御することもできる。 【0016】このように、本発明に用いられる側鎖ガラクトースを部分的に除去したガラクトキシログルカンは可逆的熱応答性ゲルの挙動を示すが、この熱挙動は寒天、ゼラチンなどのゲル化剤とは逆の性状である。また、ガラクトース除去キシログルカンは酸性域でも安定であり、酸を添加してもそのゲル強度は変化(低下)しないという性質を有する。 【0017】本発明はこのような特性を有するガラクトース除去キシログルカンの使用であるが、好ましくは側鎖ガラクトースの除去率が30−65%であり、より好ましくは35−55%のガラクトース除去キシログルカンが使用される。 【0018】本発明に用いられるガラクトース除去キシログルカンは無味で臭いがほとんどなく、食品に加えても、色、臭い、香などほとんど影響を与えないし、食感も損なわれない。 【0019】ガラクトース除去キシログルカンの使用量は対象とする食品によって変化するが、通常食品全量に対し0.01−5重量%であり、好ましくは0.1−3重量%である。その使用量は使用する食品の澱粉含量や食感によって適宜調整することができる。 【0020】使用されるガラクトース除去キシログルカンは粉末として又は水溶液として製造されるが、いずれの形態でも使用できる。又、粉末にせず反応物そのものを用いることもできる。粉末として製造されたときは、粉末をそのまま使用することもできるが、予めその粉末を水に溶解させ水溶液として用いる方がより均一にすることができるので好ましい。 【0021】本発明に用いられるガラクトース除去キシログルカンは通常それ自体単独で使用されるが、食品に汎用される他の天然多糖、例えばキサンタンガム、タマリンドガム、グアーガム、ジェランガム、カラギーナン及びローカストビーンガムの1種以上と併用することもできる。 【0022】本発明の餅または団子に用いられる原料の澱粉質としては、禾穀類の澱粉(米、餅米、小麦、コーンスターチ等)、根茎澱粉(ジャガイモ、片栗等芋類)、根塊澱粉(サツマイモ、タピオカ等)、種実澱粉(栗等)、果菜澱粉(カボチャ等)、化工澱粉等を使用することができる。米澱粉の具体例としては、上新粉、白玉粉、求肥粉等が挙げられる。 【0023】 【発明の効果】餅又は団子の原料澱粉質に、ガラクトース除去キシログルカンを添加することにより、弾力や粘りといった餅又は団子特有の物性を失わず、レトルト殺菌(高温加熱)しても、冷蔵保存後加熱した後も煮崩れや溶けだしもなく、又、長期保存時でも食感の変化が少ない餅又は団子を製造することができる。 【0024】 【実施例】以下に参考例及び実施例を挙げ、本発明をより詳細に説明するが、本願発明は以下の実施例にのみ限定されるものではなく、本願発明の技術分野における通常の技術を用いる改変が可能である。又、参考例及び実施例で使用したガラクトキシログルカンはタマリンド種子ガム由来のものであり、市販品として入手することができる〔商品名「グリロイド3S」大日本製薬(株)製〕。又、実施例表中の単位「%」は特に断らないかぎり「重量%」を意味する。 【0025】参考例1 ガラクトース除去キシログルカンの粉末又はその水溶液の調製【0026】(1) 特開平8−283305号公報記載の方法に準じて、ガラクトース除去キシログルカンを製造した。すなわち、市販のβ−ガラクトシダーゼ「ラクターゼY−AO」〔(株)ヤクルト本社製:Aspergillus oryzae由来〕を精製して得た精製酵素β−ガラクトシダーゼを用い、基質のガラクトキシログルカンの1%水溶液を、酵素濃度2.4×10-5重量%,pH5.6、50℃で約20時間酵素反応させた後、100℃、20分間加熱して酵素を失活させた後、室温に戻し、等容量のエタノールを加え、1時間放置した。沈殿物を吸引濾過により回収し、乾燥した後粉砕、篩過して粉末のガラクトース除去キシログルカン(ガラクトースの除去率約44%)を得た。 【0027】(2) 上記の方法で製造される粉末のガラクトース除去キシログルカン(3g)を攪拌下、水(97g)に分散させ、氷冷しながら3時間攪拌、溶解してガラクトース除去キシログルカンの3重量%水溶液(100g)を調製した。以下、ガラクトース除去キシログルカンの3重量%水溶液を単に「参考例1の3%水溶液」と略称する。 【0028】実施例1 ガラクトース除去キシログルカン粉末の添加による澱粉老化抑制効果評価【0029】表1の処方で澱粉糊液を調製した。すなわち、全原料を水に分散させた後、ブラベンダーを用いて95℃で10分間加熱攪拌した。これらの澱粉糊液をゼリーカップに充填した後、2℃の冷蔵庫に保存し、澱粉の老化に伴う離水量の経時変化を測定した。本発明品は試験1及び試験2、対照品は対照1としてそれぞれ示す。結果を図1に示した。 【0030】 【表1】
【0031】対照品では冷蔵後3日目から離水が始まったが、本発明品では1週間後も離水していなかった。又、図1から明らかなように、ガラクトース除去キシログルカンを添加することにより、長期間澱粉の老化に伴う離水が抑制された。キサンタンガムを併用添加することによって、さらに離水が抑制された。 【0032】実施例2 団子の調製(1) 【0033】表2の処方で本発明品(試験3)及び対照品(対照2)の団子をそれぞれ調製した。すなわち、原料を水に分散させ、沸騰させながら10分間加熱攪拌し、澱粉を糊化させた。この澱粉糊液を球型の流し型に流し込み冷却して、団子を成形した。これらの団子をそれぞれ容器に入れ、さらにシロップ(Brix.30)を充填し、115℃で30分間レトルト殺菌を行った。その結果、対照2は煮崩れてしまったが、試験3は煮崩れせず、殺菌前の形状を保っていた。 【0034】 【表2】
註)ゲルメイトKA(商品名)(内容成分:ジェランガム、クエン酸三ナトリウムおよび食品素材) 【0035】実施例3 団子の調製(2) 【0036】実施例2に従い、対照2の団子を調製し、団子の表面に参考例1の3%水溶液を塗布し、ガラクトース除去キシログルカンの皮膜を形成した。この団子を容器に入れ、さらにシロップ(Brix.30)を充填し、115℃で30分間レトルト殺菌を行ったところ、煮崩れが起こらなかった。 【0037】実施例4 白玉団子の調製【0038】表3に示した処方で本発明品(試験4)及び対照品(対照3及び対照4)の白玉団子をそれぞれ調製した。すなわち、試験4と対照3は全原料を均一になるまで混合後、それぞれ球型に流し込み60℃で10分間静置しゲル化させ、型から取り出した。一方、対照4は全原料を均一に混合した後、約10gずつに丸めた。続いて、これらを加熱し澱粉を糊化させた。すなわち、沸騰水浴での加熱(煮沸5分間)、又は、容器に団子及び浸漬液を充填し、115℃で30分レトルト殺菌を行い、白玉団子を調製した。ここで、浸漬液として、水、シロップ(Brix.30)又は食塩水(0.8重量%)を使用した。結果を表4に示した。 【0039】 【表3】
【0040】 【表4】
【0041】試験4では原料混合時は流動性があるが、60℃で加熱することによりゲル化し、保型性が付与された。この性質を利用して、流し型に流し入れて成形するだけでなく、抜き型を併用することによって、思い通りの形に成形することができる。しかしながら、対照3では白玉粉と水が分離し成形することができなかった。 【0042】又、試験4の白玉団子は、沸騰水浴中での加熱だけでなく、水、シロップ、食塩水のいずれのレトルト殺菌条件でも煮崩れなく成形することができた。一方、対照4では沸騰水浴中での加熱で煮崩れせず、成形することができたが、レトルト殺菌のため浸漬液を充填するとき、団子が溶け、浸漬液が混濁した。又、試験4では白玉粉の量が少なく、加水量が多いにも関わらず、対照4に近い弾力や粘りのある餅様の食感を有していた。 【0043】又、50℃で1週間放置したところ、試験4は、対照4と比べて餅特有の粘りや弾力に優れ、表面の“ぬめり”も少なかった。 【0044】さらに又、試験4では、冷蔵保存後2ヶ月経過しても固くならず、餅特有の粘りや弾力のあるものであったが、対照4は一晩以上冷蔵保存すると澱粉が老化し、固く、ぼそぼそした食感になった。さらに、試験4では、冷蔵保存後加熱しても、煮崩れや溶けだしがなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002912 【氏名又は名称】大日本製薬株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年3月14日(2000.3.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100099221 【弁理士】 【氏名又は名称】吉岡 拓之
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| 【公開番号】 |
特開2001−252032(P2001−252032A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月18日(2001.9.18) |
| 【出願番号】 |
特願2000−69953(P2000−69953) |
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