| 【発明の名称】 |
肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材およびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】太田 信一
【氏名】大村 昌哉
【氏名】日向 敏夫
|
| 【要約】 |
【課題】魚肉によるより畜肉のハンバーグなどの食感に近い不均一性食感の粒状魚肉加工素材の提供。
【解決手段】むらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材。魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐り工程を経ることによって得られた粒状魚肉加工素材。粒状魚肉加工素材を用いた魚肉加工食品。フレーク状にしたことを特徴とする魚肉加工品、ハンバーグ状に成形したことを特徴とする魚肉加工食品。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 むらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材。 【請求項2】 魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐り工程を経ることによって得られた請求項1の粒状魚肉加工素材。 【請求項3】 請求項1または2の粒状魚肉加工素材を用いた魚肉加工食品。 【請求項4】 フレーク状にしたことを特徴とする請求項3の魚肉加工品。 【請求項5】 ハンバーグ状に成形したことを特徴とする請求項3の魚肉加工食品。 【請求項6】 魚肉の冷凍落し身および/またはすり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐らせることを特徴とする粒状魚肉加工素材の製造方法。 【請求項7】 魚肉の冷凍落し身および/またはすり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、坐らせフレークにした粒状魚肉加工素材に、魚肉すりみおよび調味料を混合し、ハンバーグ状に成形した後加熱することを特徴とする魚肉加工品の製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、肉粒状の食感を有する魚肉の冷凍すり身および/または冷凍落し身からなる粒状魚肉加工食品素材とそれを利用した魚肉加工食品、ならびに、肉粒状の食感を有する魚肉の冷凍すり身および/または冷凍落し身からなる粒状魚肉加工食品素材の製造法方とそれを利用した魚肉加工食品の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】我が国は四方を海に囲まれているため、豊富な水産物に恵まれており、水産物は食生活の重要な部分を占め、欠かすことのできない食品となっている。特に古来から食されている魚肉練り製品は、その食感と味覚において他の食材では置き換えることができない独特の素材である。 【0003】特に魚肉練り製品の原料である魚肉冷凍すり身および/または冷凍落し身は普及が目覚ましく、魚肉練り製品は安価に入手できる食材の一つとして、多くの人々に支持されている。例えば、かまぼこ、竹輪、笹かま、揚げ物、魚肉ソーセージなどはいずれも、多くの場合冷凍すり身および/または冷凍落し身を主原料として製造され、魚肉練り製品独特の食感を有する。 【0004】これらの冷凍すり身および/または冷凍落し身を主原料とした魚肉練り製品は通常、冷凍すり身および/または冷凍落し身を粉砕し、加工可能の状態にする粗摺り、筋肉中の塩可溶性画分を溶出させる塩摺り、調味を混練する本練りの工程を経て均一のペースト状の肉を成形、加熱を経て、常温、冷蔵、或いは冷凍の温度帯で流通し、食卓に供される。 【0005】通常魚肉練り製品は、魚肉の冷凍すり身および/または冷凍落し身を主原料とするが、冷凍履歴のない魚肉のすり身および/または落し身を利用して製造されることもある。 【0006】通常これらの魚肉練り製品は、その工程よりなる性質上、均一で弾力がある、いわゆるかまぼこ状の食感になり易く、弾力が十分にない場合でも食感が均一であることは否めない。 【0007】 【本発明が解決しようとする課題】しかし、魚肉によるかまぼこ様の均一な食感は好まれる場合もあるが、近年の食生活の多様化に伴って、より畜肉のハンバーグなどの食感に近い不均一性を望まれる様にもなっている。そこで本発明は、これらの問題点の解決を課題とし、具体的には十分な弾力を有しつつ、不均一な食感を有する魚肉加工食品素材および、素材を利用した魚肉加工食品を提供することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、むらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材を要旨としている。魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐り工程を経ることによって得られたものであり、その場合、本発明は、魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐り工程を経ることによって得られたむらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材である。 【0009】また、本発明は、むらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材、より具体的には魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し、食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐り工程を経ることによって得られたむらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材を用いた魚肉加工食品を要旨としている。 【0010】フレーク状にしたことを特徴としており、その場合、本発明は、むらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材、より具体的には魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し、食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐り工程を経ることによって得られたむらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材を用いたフレーク状魚肉加工食品である。ハンバーグ状に成形したことを特徴としており、その場合、本発明は、むらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材、より具体的には魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し、食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐り工程を経ることによって得られたむらになった弾力感により肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材を用いハンバーグ状に成形したことを特徴とする魚肉加工食品である。 【0011】また、本発明は、魚肉の冷凍落し身および/またはすり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、成形しないで坐らせることを特徴とする粒状魚肉加工素材の製造方法を要旨としている。 【0012】さらにまた、本発明は、魚肉の冷凍落し身および/またはすり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を食塩または各種塩類を添加し均一にならない程度に混合した後、坐らせフレークにした粒状魚肉加工素材に、魚肉すりみおよび調味料を混合し、ハンバーグ状に成形した後加熱することを特徴とする魚肉加工品の製造方法を要旨としている。 【0013】 【発明の実施の形態】本発明は、魚肉の冷凍落し身および/またはすり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加し、均一にならない程度に混合した上で、低温坐りまたは高温坐りの工程を経ることによって、挽肉状の食感を有した魚肉加工食品素材であるところのフレークができる。また該食品素材を利用して、その他の食品と混合し、加熱することによって、不均一な食感を有する魚肉加工食品を得ることができる。 【0014】魚の種類は何でもよいが、坐りの強い魚種が好ましく、ミナミダラ、ホキ、スケソウ、グチ、ハモなどが例示される。坐りの弱い魚種の場合は、トランスグルタミナーゼなどの使用により補強することもできる。魚肉冷凍落とし身として、ミンチ状にした魚肉に、適宜、糖、リン酸塩などの添加物を加え、冷凍保存性を高めたものを用いる。魚肉冷凍すり身として、魚肉をミンチ状にし、水さらしして水溶性蛋白質を除いたものに、適宜、糖、リン酸塩などの添加物を加え、冷凍保存性を高めたものを用いる。坐り工程とは5〜40℃の温度に一定時間放置する工程をいい、これにより坐りが生じる。フレーク状とは、2mm〜1cmくらいで、不定形で肉粒の外観に近いものをいう。 【0015】本発明の肉粒状食感を有する粒状魚肉加工素材の用途は以下のものが例示される。本発明は独特な食感により、風味の味の付け方により、畜肉風、タコ・イカ風などいろいろに使用できる。練り肉に本物のタコやイカと本発明品を入れて揚げた揚げ物はタコやイカがたくさん入っているような食感となる。練り肉に野菜と本発明品を入れてバッターをつけて揚げるとナゲット風に仕上がる。コロッケの肉のかわりに使う。メンチカツの肉のかわりに使う。 【0016】 【作用】坐りの強い魚種の身肉をミンチ肉のように細断して塩をまぶし坐わらせることにより肉粒状食感を有するようになる。すなわち、魚肉冷凍落とし身および/または魚肉冷凍すり身を冷凍のまま粉砕し、食塩または各種塩類を添加・混合した後、坐り工程を経ることによってむらになった弾力感が付与され、それによって肉粒状食感を有するようになる。魚臭くないので使用範囲が広がる。 【0017】 【実施例】以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。 ■本発明の製法落し身→塩添加(塩3%)→坐り工程(10℃、18時間)→加熱(90℃、5分)■従来の練り製品の製法すり身→塩ずり(塩3%)→成形→坐り(30℃、2時間)→加熱(90℃、5分)上記の方法で作ったサンプルの電子顕微鏡写真は図1(本発明品)、図2(従来品)の通りであり、従来品の均一な組織に比べ、本発明品は凹凸が多く、不均一な組織であった。 【0018】実施例1魚肉の落し身を冷凍状態のままサイレントカッターで3mm角サイズのフレーク状にカットして、解凍する前に表1に示す割合で食塩を含む調味をカット落し身に対して完全に混合した後に、10〜25℃の雰囲気温度で0.5〜48.0時間放置し、いわゆる坐りを施すことによって、フレークの破断強度を増し、挽肉様の食感を有したすり身および/または落し身を得ることができた。なお、実施例1では食塩の添加量を落し身100.0重量部に対して1.0重量部にしたが、食塩の添加量は落し身100.0重量部に対して1.0〜5.0重量部の範囲で調節可能である。 【0019】 【表1】 ─────────────原料 重量部─────────────落し身 100.0食塩 1.0ホワイトペッパー 0.3ジンジャー 0.3─────────────【0020】前述のすり身フレークに食塩1.0%を混合し、雰囲気温度0〜30℃に放置し、経時的に、フレークの破断強度を測定した。破断強度の測定は、クリープメーターRE2−3305〔山電(株)〕で破断強度測定モードを使用して実施した。プランジャーは楔型を使用、プランジャーの降下速度は0.5mm/sec、破断時の応力とサンプルの破断までの歪み率をデータにした。テスト開始時に破断強度200、歪み率25%だったものが、5℃、10℃、25℃それぞれ、43時間後、19時間後、2時間後に、破断強度400、歪み率50%となり、物性が変化していることが確認できた。また、官能的にも、製造当初よりも、弾力が増していることが確認できた。表2に破断強度と放置時間、温度の関係を示した。表2にあるとおり、いずれの温度においても放置時間が長くなるほど、破断荷重が増加し、官能的にも弾力が増すことが確認された。食材としては適当な破断荷重300g、400gに達するのに必要な時間は表2に示したように、温度が低いほど長い時間を要した。 【0021】 【表2】
【0022】実施例2実施例1で得られた、落し身および/またはすり身フレークを表3に示す割合で副原料と共に混合し、ハンバーグ状に成形した後、加熱して惣菜品を得た。 【0023】 【表3】 ───────────────原 料 重量部───────────────落し身フレーク 450.0すりみ 600.0食塩 4.5砂糖 60.0澱粉 40.0醤油 12.0たまねぎ 300.0───────────────【0024】また対照区として、ハンバーグ様魚肉加工食品に混合した魚肉冷凍落し身および/または冷凍すり身を同重量だけ練り肉として混合し、ハンバーグ状に成形した後、加熱して惣菜品を得た。 【0025】実施例1の惣菜品(フレーク使用品)と対照区の惣菜品(練込み品)とを、練込み品を基準として、5点評価でパネルテスト(パネル12名)を実施し、官能評価したところ表4(ハンバーグ官能評価結果)に示す結果が得られ、実施例2のハンバーグの方が、対照区よりも不均一な食感が顕著であることことが確認できた。 【0026】 【表4】 ───────────────────────────── 練込み品 フレーク使用 ───────────────────────────── 表面の荒挽感 0.00±0.00 1.63±0.56 ** 表面の色 0.00±0.00 0.04±0.53 切り口の荒挽感 0.00±0.00 0.80±0.21 * 外観の好み -0.04±1.50 0.82±0.44 ** 全体の味の強さ 0.00±0.00 0.11±0.92 ジューシー感の強さ 0.00±0.00 0.26±1.16 * 味のバランスの好み 0.00±0.00 0.30±1.02 * 食感の硬さ 0.00±0.00 -0.26±0.67 * 弾力の強さ 0.00±0.00 -0.41±0.77 ** 不均一感の強さ 0.00±0.00 1.80±0.32 ** 食感の好み 0.56±0.80 1.97±0.66 ** 総合評価 0.04±0.73 1.62±0.18 ** ───────────────────────────── (**:危険率1%以下で有意 *:危険率5%以下で有意) 【0027】 【発明の効果】従来の練り製品とは異なる食感があり、ヘルシーで趣向の変わった魚肉加工食品の素材を提供することができ、しかも、その素材を用いることにより魚肉の持つ良さを損なうことなく、畜肉ハンバーグと同様の外観、テクスチュアーを有する魚肉加工製品を得ることができた。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000004189 【氏名又は名称】日本水産株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年8月16日(1999.8.16) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102314 【弁理士】 【氏名又は名称】須藤 阿佐子
|
| 【公開番号】 |
特開2001−54371(P2001−54371A) |
| 【公開日】 |
平成13年2月27日(2001.2.27) |
| 【出願番号】 |
特願平11−229915 |
|