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【発明の名称】 カビ取り剤組成物
【発明者】 【氏名】藤津 雅子

【氏名】岸 実

【氏名】乗竹 史智

【氏名】久保園 隆康

【要約】 【課題】

【解決手段】(1)次亜塩素酸アルカリ金属塩;0.1〜10質量%、(2)アルカリ剤;0.1〜5質量%、(3)界面活性剤;0.1〜5質量%、(4)窒素原子を1個以上有し、それらのうち1個以上の窒素原子が3級化され、且つβ炭素を有する塩素系触媒を含有することを特徴とするカビ取り剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (1)次亜塩素酸アルカリ金属塩;0.1〜10質量%、(2)アルカリ剤;0.1〜5質量%、(3)界面活性剤;0.1〜5質量%、(4)窒素原子を1個以上有し、それらのうち1個以上の窒素原子が3級化され、且つβ炭素を有する塩素系触媒を含有することを特徴とするカビ取り剤組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カビ取り効果に優れ、しかも経時による保存安定性に優れた塩素系のカビ取り剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来、住居廻りにおける浴室、浴槽、台所等のタイル、目地、プラスチックス、陶器、排水管等の水を頻繁に使用する箇所の汚れは、カビに起因する有機物によるものが多く、界面活性剤を主成分とする通常の洗浄剤ではなかなか除去することが出来ないため、これらの汚れを除去するには、次亜塩素酸アルカリ金属塩を主基剤とする塩素系のカビ取り剤が多用されている。
【0003】しかし、塩素系のカビ取り剤を直接汚れ対象物へ塗布または噴霧する場合のカビ取り効果は、空気中の炭酸ガス吸収によるpH低下に伴う次亜塩素酸の濃度に依存するため、カビ取り速度的には決して十分とはいえないレベルにある。
【0004】次亜塩素酸アルカリ金属塩のカビ取り効果を活性化する触媒として、米国特許5853428号公報に遷移金属錯体を使用した例が開示されているが、カビ取り速度の向上、次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性等の点で満足いくレベルではなかった。
【0005】従って、本発明の目的は、汚れ対象物へカビ取り剤を塗布または噴霧した際のカビ取り効果、特にカビ取り速度に優れると共に、経時による次亜塩素酸アルカリ金属塩の安定性に優れたカビ取り剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、次亜塩素酸アルカリ金属塩、アルカリ剤、界面活性剤、及び特定の塩素系触媒を特定量配合した場合に、優れたカビ取り効果を示すと共に、経時による保存安定性が良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明によれば、(1)次亜塩素酸アルカリ金属塩;0.1〜10質量%、(2)アルカリ剤;0.1〜5質量%、(3)界面活性剤;0.1〜5質量%、(4)窒素原子を1個以上有し、それらのうち1個以上の窒素原子が3級化され、かつβ炭素を有する塩素系触媒を含有することを特徴とするカビ取り剤組成物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明に使用される(1)成分の次亜塩素酸アルカリ金属塩としては、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム等が挙げられ、特に次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。本発明のカビ取り剤組成物中における(1)成分の含有量は、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%の範囲である。(1)成分の含有量が0.1質量%未満になるとカビ取り効果が不足し、また、10質量%を越えてもカビ取り効果は特に向上しない。
【0009】本発明に使用される(2)成分のアルカリ剤としては、特に限定されないが、苛性アルカリや珪酸塩等が挙げられる。苛性アルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、珪酸塩としてはメタ珪酸ナトリウム等が使用される。これらのうち水酸化ナトリウムが好ましい。本発明のカビ取り剤組成物中における(2)成分の含有量は、通常0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。(2)成分の含有量が0.1質量%未満になると経時による安定性が劣化し、5質量%を越えると皮膚や眼の粘膜に対する影響が考えられ、配合による効果が発揮できない。
【0010】本発明に使用される(3)成分の界面活性剤としては、特に限定されないが、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤等の一般に用いられる界面活性剤を用いれば良く、例えば、アルカンスルホン酸塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩等の陰イオン界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル等の非イオン界面活性剤;スルホベタイン、カルボキシベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド等の両性界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤などが挙げられ、これらの1種または2種以上を適宜配合することができる。
【0011】これらの界面活性剤の中で特に好ましいのは、(a)炭素数8〜20の脂肪酸のアルカリ金属塩、(b)一般式RO(CHCHO)mSOM(Rは直鎖または分岐鎖の炭素数8〜20のアルキル基を示し、mはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す1〜10の数であり、Mは陽イオン基である)で表されるポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、(c)一般式RO(CHCHO)nH(Rは炭素数8〜20の直鎖型または分岐型のアルキル基であり、nはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示す3〜20の数である)で表されるポリオキシエチレンアルキルエーテル、(d)一般式RN→O(Rは炭素数8〜20の直鎖型または分岐型のアルキル基であり、R、R5は炭素数1〜3の直鎖型または分岐型のアルキル基である)で表される第三級アミンオキサイドである。
【0012】本発明のカビ取り剤組成物中における(3)成分の含有量は、通常0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。(3)成分の含有量が0.1質量%未満になると汚れ対象物への浸透性が悪くなり、5重量%を越えると次亜塩素酸アルカリ金属塩の分解が促進されるので好ましくない。
【0013】本発明に用いられる(4)成分である塩素系触媒としては、窒素原子を1個以上有し、それらのうち1個以上の窒素原子が3級化され、かつβ炭素を有する触媒であり、具体的に次の化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】

【0015】

【0016】

【0017】

【0018】本発明のカビ取り剤組成物中における(4)成分の含有量は、好ましくは0.001〜200ppm、より好ましくは0.1〜100ppm、更に好ましくは1〜50ppmである。また、(4)成分の含有量は、次亜塩素酸アルカリ金属塩に対して0.001〜10質量%とするのが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%である。本発明の触媒は、1種又は2種以上の混合物として使用することができる。
【0019】本発明の組成物には、その他、洗浄性能を向上させるビルダーとして、トルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩等の芳香族スルホン酸塩、溶剤、色素、香料等の成分を配合することも可能である。また、本発明のカビ取り剤組成物は、上記の必須成分及びそれ以外の上記任意成分にバランス量の水を加えて調整される。
【0020】本発明のカビ取り剤組成物は、容器より直接用いたり、ハケ等を用いて塗布することもできるが、トリガー式スプレーヤー等の吐出装置を備えた吐出容器を用いることが簡便性の点で好ましく、このような吐出容器としては、上記の組成物を吐出する吐出装置を備えたものであって、該吐出装置にピストン・シリンダー等の摺動部あるいはポンプハウジングに対する通液体等の嵌合部を有するものであれば特に制限なく使用される。
【0021】具体的な例としては、図1に示したような上記容器本体2内に収納された組成物を、トリガー3を引いてピストン4・シリンダー5を作動させて吐出するトリガー式スプレーヤー6を備えた吐出容器1、及びポンプヘッドを上下動させて容器本体内に収納された組成物をディップチューブより吐出するポンプスプレイヤー等を吐出装置として備えた吐出容器が使用される。
【0022】
【発明の効果】本発明によれば、次亜塩素酸アルカリ金属塩を含有する塩素系のカビ取り剤に、さらに効果を活性化させる特定の塩素系触媒を配合することにより、非常に良好なカビ取り効果、特にカビ取り速度が得られることから、短時間で掃除が終了すると共に、何度も同じ場所に製剤を塗布または噴霧する必要がなくなる。従って、浴槽やキッチン廻りにおけるカビ取り剤、更に、配水管などのカビ、ヌメリ取り剤として好適に使用される。
【0023】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。なお、化合物についてのカッコ内の番号は前出の化合物の番号に対応する。
【0024】合成例1イオン交換水200mL中にジエチレントリアミン8gを溶解し、続いて35%ホルムアルデヒド溶液21.27g、90%ギ酸溶液21.27gを順次添加した後、この反応溶液を18時間還流した。反応溶液を冷却後、濃水酸化ナトリウム水溶液を添加し、遊離したオイル状黄色物質を分離、収集した。オイル状物質の減圧蒸留により、目的の化合物N,N’,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン(50)の透明液体を得た。
【0025】合成例2イオン交換水200mL中にトリス(2−アミノエチル)アミン8gを溶解し、続いて35%ホルムアルデヒド溶液21.27g、90%ギ酸溶液21.27gを順次添加した後、この反応溶液を18時間還流した。反応溶液を冷却後、濃水酸化ナトリウム水溶液を添加し、遊離したオイル状黄色物質を分離、収集した。オイル状物質の減圧蒸留により、目的の化合物トリス(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)アミン(51)の透明液体を得た。
【0026】合成例3イオン交換水200mL中にトリエチレンテトラミン10gを溶解し、続いて35%ホルムアルデヒド溶液35.21g、90%ギ酸溶液35.21gを順次添加した後、この反応溶液を18時間還流した。反応溶液を冷却後、濃水酸化ナトリウム水溶液を添加し、遊離したオイル状黄色物質を分離、収集した。オイル状物質の減圧蒸留により、目的の化合物N,N,N’,N”,N”’,N”’−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(44)の透明液体を得た。
【0027】合成例4イオン交換水200mL中にテトラエチレンペンタミン10gを溶解し、続いて35%ホルムアルデヒド溶液35.33g、90%ギ酸溶液35.33gを順次添加した後、この反応溶液を18時間還流した。反応溶液を冷却後、濃水酸化ナトリウム水溶液を添加し、遊離したオイル状黄色物質を分離、収集した。オイル状物質の減圧蒸留により、目的の化合物N,N,N’,N”,N”’,N””,N””−ヘプタメチルテトラエチレンペンタミン(45)の透明液体を得た。
【0028】合成例5エタノール100mL中にn−ノニルアミン10gを溶解し、続いて35%ホルムアルデヒド溶液18.96g、90%ギ酸溶液18.96gを順次添加した後、この反応溶液を18時間還流した。反応溶液を冷却後、エバポレーターで溶媒を除去し、黄色液体残留物を得た。この液体残留物の減圧蒸留により、目的の化合物N,N−ジメチル−n−ノニルアミン(10)を得た。
【0029】合成例6メタノール100mL中にn−ノニルアミン10gとn−ノニルアルデヒド11.91gを添加し、20分間室温で攪拌した後、テトラヒドロホウ素化ナトリウム1.32gを添加し、更に室温で5時間攪拌した。溶媒をエバポレーターにより留去した後、濃水酸化ナトリウム水溶液を添加し、遊離したオイル状黄色物質を分離、収拾した。次に収拾した黄色物質をエタノール100mL中に溶解し、続いて35%ホルムアルデヒド溶液5.26g、90%ギ酸溶液5.26gを順次添加した後、この反応溶液を18時間還流した。反応溶液を冷却後、濃水酸化ナトリウム水溶液を添加し、遊離したオイル状黄色物質を分離、収集した。オイル状物質をシリカゲルカラムで分離、精製することにより、目的の化合物ジ−n−ノニルメチルアミン(9)を得た。
【0030】
【実施例1〜12及び比較例1〜3】表1〜表3に示す組成の各種カビ取り剤組成物を調整し、カビ取り効果及び経時安定性を下記の基準に基づいて評価した。得られた結果を表1〜表3に示した。なお、各アミンの配合量はモル濃度で等しくなるように調整している。また、比較例1として触媒を添加しなかった場合の結果、比較例2として本発明の触媒の代わりにβ炭素を構造中に持つものの窒素が3級化されていないエチレンジアミン;触媒Aを用いた場合の結果、比較例3として本発明の触媒の代わりに窒素が3級化されているがβ炭素を構造中に持たないN,N,N’,N’−テトラメチルジアミノメタン;触媒Bを用いた場合の結果を示した。
【0031】〈カビ取り効果の評価法〉黒カビ(Cladosporium cladosporioides)を培養し、被着させた滅菌済の素焼きタイル(INAX製:SPKC−1060)をモデルプレートとして用いた。このモデルカビプレートを二枚ずつ水平に置き、各種カビ取り剤組成物を0.5mL滴下して5分、及び15分間放置し、水洗、風乾(2時間)した。このタイルにフードスタンプ(真菌用:サブロー寒天)を30分密着させ、25℃のインキュベーター中による経時(48時間)変化を観察し、下記の評価基準に従って判定した。
評価基準;
4(点):コロニーの発生無し3 :コロニーの発生1〜102 :コロニーの発生10〜1001 :コロニーの発生100以上【0032】〈経時安定性の評価法〉各種カビ取り剤組成物90gをポリエチレンテレフタレート製の透明容器(竹本容器製:JOY−120)に充填し蓋をして、40℃の恒温槽(タバイ エスペック製:プラチナスPU−4SP)に1ヵ月入れた後、次亜塩素酸アルカリ金属塩の濃度を全自動滴定装置(平沼産業社製:TS−980)を用い、ヨウ化カリウム及び酢酸と反応させたサンプルをチオ硫酸ナトリウム溶液にて滴定した。この濃度を初発濃度に対する次亜塩素酸アルカリ金属塩の残存率とし、下記の評価基準に従って判定した。
評価基準;
○:次亜塩素酸アルカリ金属塩の残存率60〜100%△:次亜塩素酸アルカリ金属塩の残存率30〜 60%×:次亜塩素酸アルカリ金属塩の残存率 0〜 30%【0033】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【出願日】 平成12年4月18日(2000.4.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−302424(P2001−302424A)
【公開日】 平成13年10月31日(2001.10.31)
【出願番号】 特願2000−155457(P2000−155457)