| 【発明の名称】 |
農薬の散布方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】田口 義広
【氏名】渡辺 秀樹
【氏名】川根 太
【氏名】千田 茂樹
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| 【要約】 |
【課題】効率よく、かつ、安全に、好ましくは施設内の湿度を高めることなく農薬、特に微生物製剤を散布する方法を提供する。
【解決手段】作物の病害又は害虫の防除に用いられる粉末状又は顆粒状の微生物製剤を、温室等の作物を栽培する施設に設けられた送風装置の送風口付近に設置し、送風装置から送風される空気によって前記微生物製剤を施設内の作物に散布する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作物を栽培又は貯蔵する施設内に農薬を散布する方法であって、前記農薬を風力によって前記施設内に拡散させることを特徴とする農薬の散布方法。 【請求項2】 前記農薬を、施設内に送風する送風装置の送風口付近に設置し、送風口から送出される空気とともに農薬を散布する請求項1記載の方法。 【請求項3】 前記送風装置が、前記施設内の冷暖房又は空気交換に用いられる装置である請求項1記載の方法。 【請求項4】 前記送風口付近には、農薬を収容する収容部を設置し、同収容部に農薬を収容し、農薬を徐々に放出させる請求項2記載の方法。 【請求項5】 農薬を、網目状構造を有する素材から構成される袋状又は箱状容器内に充填し、同容器とともに農薬を前記収容部に収容する請求項4記載の方法。 【請求項6】 前記農薬は、粉末状又は顆粒状である請求項1記載の方法。 【請求項7】 前記農薬は、微生物を有効成分とする微生物製剤である請求項1記載の方法。 【請求項8】 前記微生物製剤は、細菌または糸状菌を含む請求項7記載の方法。 【請求項9】 前記細菌がバチルス属細菌である請求項7記載の方法。 【請求項10】 前記糸状菌が、グリオクラディウム属、タラロマイセス属又はケトミウム属に属する糸状菌から選ばれる請求項8記載の方法。 【請求項11】 前記バチルス属細菌が、バチルス ズブチリス又はバチルス チューリンゲンシスである請求項9記載の方法。 【請求項12】 前記グリオクラディウム属に属する糸状菌がグリオクラディウム ヴィレンスである請求項10記載の方法。 【請求項13】 前記タラロマイセス属に属する糸状菌がタラロマイセスフラバスである請求項10記載の方法。 【請求項14】 前記ケトミウム属に属する糸状菌がケトミウムオーレウムである請求項10記載の方法。 【請求項15】 収穫後又は出荷後の作物への病害の発生を防除するために、作物の収穫前に農薬を散布する請求項1記載の方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、作物を栽培又は貯蔵する施設内に農薬、特に微生物製剤を散布する方法に関する。本発明は、農業、流通分野において有用である。 【0002】 【従来の技術】農作物の栽培過程において、当該作物に被害を与えてその生産性を著しく低下させる原因の一つとして、農作物を食害する害虫や、農作物に発生する病害などがある。これらを防除する手段としては、市販されている農薬や、これらを防除する能力を持った有用微生物を散布する手段がある。従来の農薬や有用微生物の散布方法は、これらを水などに溶解して薬液を調製し、専用の噴霧器等を用いて目的とする作物に直接散布する。 【0003】しかし、上記のような従来の方法では、薬液を調製するための大量の水と、作物に散布するために専用の散布器具が必要である。さらに、薬液の調製から散布までの工程が煩雑で手間がかかり、農業の省力化を大きく妨げる要因でもある。 【0004】また、通常の農薬散布では、防除対象物である植物にのみ薬剤を散布するため、温室など施設内全体の病原菌や害虫密度を低下させる効果が完全とは言えない。さらに、化学農薬であれば施設内に放出されても分解されその効力を失うため、繰り返し上記作業を行う必要があり労力がかかる。その上、化学農薬を用いる場合には、作業者が農薬に暴露されることとなり安全性に問題がある。 【0005】上記方法に対し、化学農薬を粉状のままハウス内に、動力噴霧器を用いて散布する方法が提案されている(特公平7−39323号)。しかし、この場合にも、例えば粉末を直接散布する場合には、環境中に高濃度の農薬が放出されるため、作業者の安全性はさらに改悪される。また、散布するという作業が必要であり、手間がかかる点においては何等の改善とはなっていない。 【0006】一方、微生物製剤を病害や害虫の防御に用いる場合であっても、温室など施設内においては、製剤を水に溶解して散布すれば、水分が施設内に放出されるため、施設内の湿度が上昇して病害の発生や助長を促すという問題が残る。また、収穫後に保管中の収穫物も、水に懸濁した形で農薬を散布すると、保管室内の湿度が上昇して病害の発生を助長するおそれがある。さらに、化学農薬を散布することは作物の安全性の面から問題がある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、効率よく、かつ、安全に、好ましくは施設内の湿度を高めることなく農薬、特に微生物製剤を散布する方法を提供することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、微生物製剤を、送風装置等を利用した風力によって拡散させることにより、効率よく、しかもまんべんなく微生物製剤を散布することに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は次のとおりである。 【0009】(1)作物を栽培又は貯蔵する施設内に農薬を散布する方法であって、前記農薬を風力によって前記施設内に拡散させることを特徴とする農薬の散布方法。 (2)前記農薬を、施設内に送風する送風装置の送風口付近に設置し、送風口から送出される空気とともに農薬を散布する(1)記載の方法。 (3)前記送風装置が、前記施設内の冷暖房又は空気交換に用いられる装置である(1)記載の方法。 (4)前記送風口付近には、農薬を収容する収容部を設置し、同収容部に農薬を収容し、農薬を徐々に放出させる(2)記載の方法。 (5)農薬を、網目状構造を有する素材から構成される袋状又は箱状容器内に充填し、同容器とともに農薬を前記収容部に収容する(4)記載の方法。 (6)前記農薬は、粉末状又は顆粒状である(1)記載の方法。 (7)前記農薬は、微生物を有効成分とする微生物製剤である(1)記載の方法。 (8)前記微生物製剤は、細菌または糸状菌を含む(7)記載の方法。 (9)前記細菌がバチルス属細菌である(7)記載の方法。 (10)前記糸状菌が、グリオクラディウム属、タラロマイセス属又はケトミウム属に属する糸状菌から選ばれる(8)記載の方法。 (11)前記バチルス属細菌が、バチルス ズブチリス又はバチルス チューリンゲンシスである(9)記載の方法。 (12)前記グリオクラディウム属に属する糸状菌がグリオクラディウム ヴィレンスである(10)記載の方法。 (13)前記タラロマイセス属に属する糸状菌がタラロマイセス フラバスである(10)記載の方法。 (14)前記ケトミウム属に属する糸状菌がケトミウムオーレウムである(10)記載の方法。 (15)収穫後又は出荷後の作物への病害の発生を防除するために、作物の収穫前に農薬を散布する(1)記載の方法。 本発明によれば、無人で農薬を散布でき、さらに施設全体にくまなく農薬を散布できるため効率的であり、農作業の省力化に貢献できる。 【0010】また、水を用いることなく、温室など施設全体に農薬を散布できるため、病害の発生を助長しない。特に、微生物製剤を用いる場合は、人体や環境に安全な有用微生物を選択することができるため、作業者の安全性が完全に確保される。また環境中に生存、増殖可能な微生物を用いることにより、施設内を長期間、病原菌や害虫から保護する効果が期待できる。 【0011】さらに、本発明の方法を収穫直前の作物に実施することにより、収穫、出荷後にも収穫物を病害から保護することができる。また、本発明の方法は、収穫後の収穫物に対しても適用することができる。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、作物を栽培又は貯蔵する施設内に、作物を病害又は害虫から防除するための農薬を散布する方法に関する。本発明においては、農薬を風力によって施設内に拡散させる。 【0013】農薬を風力によって施設内に拡散させる具体的な方法としては、農薬が施設内に、好ましくは均一に、かつより好ましくは長期間にわたって拡散することができれば特に制限されないが、施設内に送風する送風装置の送風口付近に農薬を設置し、送風口から送出される空気とともに農薬を散布する方法が挙げられる。送風装置としては、農薬散布専用の送風装置を設置してもよいが、通常、施設内の冷暖房又は空気交換に用いられる冷暖房機や送風機等の装置を、農薬散布に兼用することが、経済的観点からは好ましい。 【0014】上記のような送風装置の送風口付近に、農薬を収容する収容部を設置し、同収容部に農薬を収容すると、農薬を徐々に放出させることができる。収容部は、送風装置の内部又は吸気口付近に設置することも可能であるが、送風装置への影響を考慮すると、送風口付近が好ましい。また、収容部は、農薬が送風口から送出される空気によって拡散させることが可能な限り、送風口から離れていても差し支えない。本発明において、送風口「付近」とは、このように送風口から送出される空気が農薬を拡散させる作用を及ぼすことができる位置をいう。 【0015】また、送風装置に複数のダクトが設置されている場合には、2又は3以上のダクト毎に収容部を設けることが好ましい。収容部は、農薬、通常は粉末状又は顆粒状の農薬を収容し、風を受けたときに農薬を徐々に拡散させることができるものであれば、形状、素材等は特に制限されないが、具体的にはメッシュ状の容器が挙げられる。農薬は、収容部にそのまま収容してもよいが、有用微生物又は有用微生物含有組成物をそのまま上記場所に設置する。例えば、農薬を、網目状構造を有する素材から構成される袋状又は箱状容器内に充填し、同容器を送風口付近に設置する。この場合、前記袋状容器は、送風口付近に懸架させる等して直接設置してもよく、別途設けた収容部内に収容させてもよい。前記袋状容器の表面に、任意の大きさで着脱可能であり、かつ、風を通さない素材、例えばシールを貼り付け、農薬をリリースする量に応じて任意の面積のシールをはがすことにより、拡散量を調整することができる。 【0016】袋状容器の素材は、拡散量を調整する目的で、その材質、網目の大きさを決定することが好ましい。具体的には、例えば、ゴース布、ガーゼやパンティストッキング等が挙げられる。これらの素材は、2重やそれ以上に重ねて用いると効果的な場合がある。 【0017】農薬の飛散量は、風速、収容部のメッシュの大きさ、袋状容器の網目の大きさ、農薬粉末の粒径等によって調整することができる。収容部の具体例を、図1に示す。断面が長方形であり、両端に開口部(4)を有するトレーを収容部本体(1)とし、一方の開口部(4)をメッシュ(3)で覆う。トレー内部に農薬(3)を収容し、メッシュ(3)で覆った開口部(4)を送風機のダクトに連設する。 【0018】本発明を適用する施設としては、温室等の作物を栽培する施設が挙げられるが、ポストハーベスト農薬を用いる場合は、収穫後の作物を貯蔵する施設にも適用することができる。本発明の方法の好ましい態様によれば、農薬を長期間にわたって散布することができるので、特に作物の栽培施設が好ましい。 【0019】本発明を適用する作物は、温室や何らかの施設内で栽培される作物であれ特に制限されない。具体的には、キュウリ、トマト、イチゴ、スイカ等が挙げられる。また、本発明において農薬散布の対象となる病害又は害虫も、特に制限されないが、植物の主に地上部に発生する病害や、地上部を食害する害虫に対して、好適に適用される。 【0020】本発明に用いる農薬は、粉末状又は顆粒状であることが好ましい。特に、実質的に液体を含まない農薬を用いると、農薬の散布に伴う湿度の上昇を回避することができる。 【0021】農薬散布の目的は、作物の病害又は害虫からの防除が挙げられる。具体的には、栽培施設内における栽培中の作物、又は収穫後もしくは出荷後の貯蔵施設内における作物への病害の発生の防除が挙げられる。また、作物の育成促進等を目的として本発明を適用することもできる。 【0022】本発明の方法に用いる農薬としては、微生物を有効成分とする微生物製剤が特に好適である。微生物製剤の有効成分としての微生物は、特に制限されず、細菌、又は、糸状菌、酵母などの真菌が、単独又は複数組み合わせて用いられる。 【0023】細菌としては、アルカリゲネス属(Alcaligenes)、アゾトバクター属(Azotobacter)、バチルス属(Bacillus)、エルヴィニア属(Erwinia)、バークホルデリア属(Burkholderia)、シュードモナス属(Pseudomonas)、セラチア属(Serratia)、ロドコッカス属(Rhodococcus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、クロストリディウム属(Clostridium)、マイクロコッカス属(Microchoccus)、マイコバクテリウム属(Mycobacterium)、ザントモナス属(Xanthomonas)、リゾビウム属(Rhizobium)、パエニバチルス属(Paenibacillus)、チオバチルス属(Tiobacillus)等に属する細菌、及び、ストレプトマイセス属(Streptomyces)等に属する放線菌等が挙げられる。 【0024】より具体的には、アルカリゲネスオドランス(Alcaligenes odorans)、バチルスズブチリス(Bacillus subtilis)、バチルスメガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルスセレウス(Bacillus cereus)、バチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、バチルス ポリミキサ(Bacillus polymyxa)、バチルス サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス コーギュランス(Bacillus coagulans)、バチルス ラルバー(Bacillus larvae)、バチルス レンタス(Bacillus lemtus)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス プミルス(Bacillus pumils)、エルヴィニア カロトボーラ(Erwinia carotovora)、シュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorecsens)、ザントモナス キャンペストリス(Xanthomonas campestris)、パエニバチルスマセランス(Paenibacillus macerans)、ストレプトマイセスグリセウス(Streptomyces griseus)等が挙げられる。 【0025】また、糸状菌及び酵母としては、グリオクラディウム属(Gliocladium)、トリコデルマ属(Trichoderma)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム属(Penicillium)、アルタナリア属(Alternaria)、ヘルミンソスポリウム属(Herminthosporium)、タラロマイセス(Talaromyces)、ケトミウム属(Chaetomium)、リゾクトニア属(Rhizoctonia)、ボーベリア属(Bauverria)、メタリジウム属(Metarhizium)、バーティシリウム属(Verticillium)等に属する糸状菌、及び、サッカロマイセス属(Saccharomyces)等に属する酵母が挙げられる。 【0026】より具体的には、グリオクラディウム ヴィレンス(Gliocladium virens)、トリコデルマハルジアナム(Trichoderma harzianum)、タラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)、ケトミウムオーレウム(Chaetomium aureum)、ボーベリアバシアナ(Bauverria bassiana)、メタリジウムアニソプリー(Metarhizium anisopliae)、バーティシリウムレカニー(Verticillium lecanii)等が挙げられる。 【0027】本発明に用いる微生物製剤の剤型は、風力によって散布できるものであれば特に制限されず、通常の微生物製剤の製造方法によって製造したものを用いることができる。また、微生物の形態は、用いる微生物によって適宜設定すればよく、目的とする効果が最大限に得られる形態であれば、菌糸、胞子、芽胞等何でもよい(微生物製剤については、特開平8−40815号、特開平8−109109号、特開平8−175919号、特開平8−175920号、特開平8−175921号等参照)。 【0028】本発明においては、微生物製剤は、実質的に液体を含まない粉末状又は顆粒状であることが好ましい。具体的には、微生物を乾燥した粉末(水分含量は概ね20重量%以下、粒径は概ね500μm以下)をそのまま用いてもよく、微生物の効果を高めるために、適当な物質を添加した組成物として用いてもよい。そのような物質としては、カオリンクレー、パイロフェライトクレー、ベントナイト、モンモリトナイト、珪藻土、合成含水酸化ケイ素、酸性白土、タルク類、粘土、セラミック、石英、セリサイト、バーミキュライト、パーライト、大谷石、アンスラ石、石灰岩、石炭灰、ゼオライトなどの鉱物質微粉末や、籾殻、フスマ、カニ殻、エビ殻、オキアミ微粉末、米糠、小麦粉、トウモロコシ穂軸、落花生殻、骨粉、魚粉、粕粉、鋸屑、木粉、炭、くん炭、バーク炭、籾殻くん炭、草木灰、ピートモス、アタパルジャイト、草炭、乾燥畜糞、活性炭、油粕、脱脂大豆粉などの有機物微粉末等の、増量材又は微生物の栄養源、農薬用各種界面活性剤、でんぷん、アラビアゴム、デキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、メチルセルロースなどのセルロース誘導体等の、植物への付着性向上材、等が挙げられる。 【0029】本発明により散布する微生物製剤の施用量は、施用形態によって適宜設定する。例えば、製剤の散布量としては、概ね10〜1,000g/10a(アール)程度が挙げられる。また、製剤中の有効微生物の濃度は、微生物によっても異なるが、概ね1×104〜1×1017有効微生物/g程度、好ましくは1×105〜1×1016有効微生物/g、より好ましくは1×106〜1×1015有効微生物/g程度が挙げられる。 【0030】散布は、作物の栽培前、栽培開始後〜栽培終了時の適当な時期に行う。作物の収穫時又は出荷後の作物への病害の発生を防除するためには、作物の収穫前に散布を行う。 【0031】 【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。 【0032】 【製剤例1】バチルス ズブチリス菌を用いた製剤の製造YPS(Yeast Peptone Sucrose)培地10mlが入った試験管に、凍結保存されたバチルスズブチルスNCIB12376株を植菌し、30℃で1日間振とう培養した。培養物を0.1重量%になるよう、同じくYPS培地が15L入った30L容ジャーファメンターに植菌した。30℃で2日間培養後、遠心分離機を用いて菌体を回収し、これを噴霧乾燥機を用いて乾燥した。 【0033】上記のようにして得たバチルス ズブチリスNCIB12376株の乾燥粉末10重量部に、タルク60重量部、栄養源として脱脂大豆粉を15重量部、付着剤として界面活性剤を15重量部を加え、ジェット粉砕機を用いて微粉砕した後に、リボンブレンダーにてよく攪拌混合し、製剤(1)を得た。 【0034】 【製剤例2】グリオクラディウムヴィレンスを用いた製剤の製造ポテトデキストロース培地中に、凍結乾燥保存されたグリオクラディウムヴィレンスATCC42955株の種菌を植菌し、28℃で24時間、振とう培養した。培養担体である押麦500gに、培養液と滅菌水を合わせたものを350ml添加し、縦36cm、横22cm、深さ6cmのトレー中に、厚さ5cm程度になるように入れた。トレーの上から通気孔がある蓋をして、28℃で10日間静置培養した。培養期間中は光が当るような条件で培養し、培養3日目に担体全体がよく混ざるように攪拌した。培養終了後、培養物を乾燥トレーに全て移して、厚さ1cm程度に薄く広げ、表面をろ紙で覆って30〜35℃の乾燥機で24時間乾燥した。この時の水分は5重量%であった。この乾燥物を粉砕してグリオクラディウムヴィレンスATCC42955株の乾燥胞子粉末を得た。これを製剤(2)とした。 【0035】 【製造例3】タラロマイセスフラバスを用いた製剤の製造ポテトデキストロース寒天培地上に、斜面培養物として保存されたタラロマイセス フラバス菌(土壌から分離した)から菌糸を取得し、静置した。25℃で5日間培養した後、菌が生育した寒天培地に滅菌水を添加した後に、コンラージ棒を用いて胞子を回収し、室温にて風乾し、タラロマイセスフラバス菌の乾燥粉末を得た。タラロマイセスフラバス菌の乾燥粉末50重量部に、栄養源としてふすま微粉砕物を40重量部、付着剤として農薬用界面活性剤を10重量部加えてよく攪拌混合し、製剤(3)を得た。 【0036】 【製造例4】ケトミウムオーレウムを用いた製剤の製造抗生物質ストレプトマイシンを最終濃度で100ppm含有するポテトデキストロース培地上に、斜面培養物として保存されたケトミウムオーレウムIFO30916株の斜面培養物から取得した菌叢を静置した。28℃で7日間培養した後、菌が生育した寒天培地に0.5重量%のTween20を加えた滅菌水を添加し、ガラス棒を用いて菌叢表面を掻き取るようにして、胞子及び菌糸類の含有物を得た。これを37℃の恒温槽内にて12時間乾燥し、ケトミウム オーレウムIFO30916株の乾燥粉末を得た。ケトミウム オーレウムIFO30916の菌乾燥粉末70重量部に、栄養源としてもみがら微粉砕物を30重量部加えてよく攪拌混合し、製剤(4)を得た。 【0037】 【製造例5】バチルスチューリンゲンシスを用いた製剤の製造YPS培地に、凍結保存されたバチルスチューリンゲンシスATCC33679株を植菌し、35℃で5日間振とう培養した。培養後、培養物全てを凍結乾燥器を用いて乾燥した。乾燥物を粉砕し、バチルスチューリンゲンシスの乾燥粉末を得た。バチルスチューリンゲンシスATCC33679株の乾燥粉末10重量部に、タルク50重量部、付着剤として農薬用界面活性剤を40重量部加えてよく攪拌混合し、製剤(5)を得た。以上の製造例で得た製剤の組成を、表1に示す。 【0038】 【表1】 表1(製剤例) ────────────────────────────────── 成 分 製剤(1) 製剤(2) 製剤(3) 製剤(4) 製剤(5)────────────────────────────────── 微生物乾燥物 10 100 50 70 10 タルク 60 − 0 0 50 栄養源 15 − 40 30 − 付着剤 15 − 10 0 40────────────────────────────────── 計 100 100 100 100 100──────────────────────────────────【0039】 【実施例1】植物病虫害防除試験(1) バチルスズブチリスを用いた製剤(1)のキュウリ灰色かび病防除試験を行った。 【0040】(1)試験設計試験設計を以下に示す。対照として、製剤を散布したハウスに隣接するハウスを無処理区とした。 作物:キュウリ(品種:台木ニュースーパー雲竜、穂木シャープ1) 面積:3a期間:11〜12月暖房機:竹沢温風暖房機 F OH403型設定温度:最低11月12℃、12月13℃【0041】(2)微生物製剤の散布キュウリを栽培しているハウスに設けられた暖房機の主ダクト、導風ダクトである子ダクトの出口、計6ヶ所のすぐ上流に、ガーゼで2重にくるんだ製剤(1)を充填した。充填量は、計6ヶ所の充填量の合計が300g/10aの散布量になるように設定した。 【0042】(3)微生物拡散の評価製剤(1)の処理区の任意の4点に、バチルス ズブチリスNCIB12376株を捕捉するための寒天培地をおき、16時間暴露した後に、25℃で4日間インキュベートし、形成されたコロニー数を計測した。捕捉用寒天培地は地上部から2mの位置になるよう設置した区(上部)と、地上に直接置いた区(下部)を設けた。結果を表2に示す。 【0043】 【表2】 表2捕捉用寒天培地に形成されたコロニー数───────────────────────────────── 菌 数 測 定 日 区分 ───────────────────────────── 12/9 12/11 12/13 12/15 12/17 12/20 12/22───────────────────────────────── 1上 3,390 506 271 543 - 1,256 832 1下 3,154 664 912 458 295 - 131───────────────────────────────── 2上 2,222 320 291 439 176 826 716 2下 2,594 660 370 492 257 - 656───────────────────────────────── 3上 3,444 998 234 625 408 1,102 1,052 3下 3,284 394 556 650 395 1,126 267───────────────────────────────── 4上 2,642 532 269 478 - 656 960 4下 2,936 1,316 581 967 - 788 -─────────────────────────────────【0044】表2に示すように、ハウス内の上部、下部ともに十分な量のバチルス属菌が捕捉され、また上部と下部との差もほとんどなかった。このことから、施設内の水平位置、垂直位置に関わらず、まんべんなくバチルス属菌が拡散されていた。 【0045】(4)防除効果の評価処理区及び無処理区(対照区)の果実をそれぞれ調査して、その中での発病果実率を算出し、下の式に従って防除価を求めて病害防除効果を確認した。全果実の防除価を表3に示した。 【0046】 【数1】
【0047】 【表3】 表3────────────────────────────── 全調査果実数 発病果実数 発病果率 防除価 (個) (個) (%) (%) ──────────────────────────────製剤(1) 109 2 1.83 96対照区 92 42 45.65 −──────────────────────────────【0048】また、処理区のキュウリの花弁を採取し、定着したバチルス菌の菌数を測定した結果を表4に示した。 【0049】 【表4】
【0050】その結果、処理区のキュウリの花弁には、バチルス菌が良好に定着しており、病害防除効果が発揮されていた。 【0051】 【実施例2】植物病虫害防除試験(2) グリオクラディウムヴィレンスを用いた製剤(2)のトマト灰色かび病防除試験を行った。 【0052】(1)試験設計試験設計を以下に示す。対照として、同じ型のハウスを無処理区とした。 作物:トマト(品種:ハウス桃太郎) 暖房機:ネポンハウス加温機 HK−4020【0053】(2)微生物製剤の散布製剤(2)を、図1で例示するような設置器具に設置し、設置器具をトマトを栽培している2棟のハウス(A施設及びB施設)の暖房機の送風ダクトの左右の親ダクト計2個所に設置した。親ダクトからはA施設では左側で3本、右側で4本、左右計7本の子ダクトである導風ダクトに分かれている。また、B施設では左右各2本の子ダクトである導風ダクトに分かれている。各送風ダクトには任意の計5ヶ所、上部に穴(7.5cm×7.5cm)をあけ、またダクト先端の下部は半分程度閉じた。処理量は、50g/10aになるよう処理した。 【0054】(3)微生物拡散の評価図2に示すような位置の地上部分に、グリオクラディウム属菌捕捉用寒天培地を設置し、グリオクラディウム属菌が確実に拡散されていることを確認した。これは無処理区でも同様に設置した。暖房機運転開始1日後、菌捕捉用シャーレを8時間ハウス内に静置したときの捕捉菌数を表5に示す。 【0055】 【表5】
【0056】捕捉地点に関わらず、効果を発揮するのに十分な量の有用微生物が拡散していた。 【0057】(4)防除効果の評価処理区及び無処理区(対照区)のトマト果実をそれぞれ調査して、その中での発病果実率を算出し、前記式に従って防除価を算出して病害防除効果を確認した。全果実の防除価を表6に示した。 【0058】 【表6】 表6────────────────────────────── 全調査果実数 発病果実数 発病果率 防除価 (個) (個) (%) (%) ──────────────────────────────製剤(2) 212 2 0.9 94対照区 233 35 15.0 −──────────────────────────────【0059】処理区では、対照区である無処理区と比較して高い病害防除効果が得られた。 【0060】 【実施例3】植物病虫害防除試験(3)タラロマイセスフラバスを用いた製剤(3)のイチゴうどんこ病防除試験を行った。 【0061】(1)試験設計試験設計を以下に示す。対照として、処理区と同面積の区画を無処理区とした。 作物:イチゴ(品種:女峰) 栽培方法:1a当り870株になるよう栽植した。 【0062】面積:3.5m2の面積を1試験区とし、それぞれ処理区と無処理区をそれぞれ2反復実施した。 【0063】(2)微生物製剤の散布図1に示すような器具を、2ヶ所ある送風機の親ダクトの出口に1個ずつ設置した。風入り口には150メッシュのメッシュを設置した。処理量は、500g/10aとなるよう製剤(3)を設置した。 【0064】(3)防除効果の評価各区中央15株の上位3複葉(9小葉)について、発病状況を下のように程度別に調査し、発病小葉率及び発病度を各区の平均として算出した。 【0065】 【数2】発病度=Σ(程度別発病小葉数×指数)×100÷(調査小葉数×4) (但し、指数は、以下に示すとおりである。) 【0066】 0:発病を認めない1:病斑面積が25%未満2:病斑面積が25%以上50%未満3:病斑面積が50%以上75%未満4:病斑面積が75%以上発病度より、処理区の防除価を下記式に従って算出した。結果を表7に示す。 【0067】 【数3】
【0068】 【表7】 表7────────────────────────────── 調査小葉数 発病小葉率 発病度 防除価 (枚) (%) (%) ──────────────────────────────製剤(3) 270 11.1 2.8 90.4対照区 135 65.9 29.1 −──────────────────────────────【0069】表7に示すように、処理区では、無処理区と比較して著しく発病度が低く、高い病害防除効果が得られた。 【0070】 【実施例4】植物病虫害防除試験(4)ケトミウムオーレウムを用いた製剤(4)のイチゴ灰色かび病の防除試験を行った。 【0071】(1)試験設計試験設計を以下に示す。対照として、処理区と隣接するハウス内に上記と同様の条件で栽培したものを無処理区とした。 作物:イチゴ(品種「とちおとめ」) 定植:9月9日面積:1区2.75m2、20株/区、3区制(2)微生物製剤の散布図1に示すような器具内に製剤(4)を充填し、暖房機の親ダクトから伸びる計8本の各導風ダクトの分岐部分に配置した。処理量は計8ヶ所の設置で900g/10aの割合になるよう設置した。 【0072】(3)防除効果の評価4月12日、4月19日、4月26日に各区の熟果について発病の有無を調査し、発病果実率を算出した。発病果実率の割合を基に前記化1式にて防除価を算出した。結果を表8に示す。 【0073】 【表8】
【0074】表8に示すように、試験区では、無処理区と比較して高い病害防除効果が得られた。 【実施例5】植物病虫害防除試験(5) バチルスチューリンゲンシスを用いた製剤(5)のメロンに発生したウリノメイガの防除試験を行った。 【0075】(1)試験設計試験設計を以下に示す。対照として、製剤を散布したハウスに隣接するハウスを無処理区とした。 作物:メロン(品種「アールス」) 面積:230m2/区定植:3月25日【0076】(2)微生物製剤の散布図1に例示されるような器具内に製剤(5)を充填し、暖房機を利用して送風した。親ダクトから各導風ダクトに分岐される1ヶ所に設置した。定植後10日と20日後に処理した。処理量は300g/10aとなるよう設置した。処理は夕方行い、ハウスは朝まで閉じた。 【0077】(3)防除効果の評価2回目処理日、及び10日後ウリノメイガの被害葉、食害痕を調査した。結果を表9に示す。 【表9】
【0078】表9に示すように、処理区では、無処理区と比較して高い害虫防除効果が示された。 【実施例6】植物病虫害防除試験(6) 製剤(1)を用いて、収穫後の果実の灰色かび病防除効果を調べた。 (1)試験設計試験設計を以下に示す。対照として、隣接するハウスを無処理区とした。 作物:イチゴ(品種「濃姫」) 面積:550m2/区【0079】(2)微生物製剤の散布製剤(1)の組成物を、図1に例示されるような器具内に、300g/10aとなるよう充填し、暖房機の親ダクトから計6本に分岐される各導風ダクトの入り口部分にそれぞれ設置し、栽培期間中2週間に1回の割合で充填された製剤(1)を交換又は再充填した。 【0080】(3)防除効果の評価試験開始1ヶ月後に、各区から果実を収穫し、発病果実率を算出した。結果を表10に示す。また、別に収穫した果実を通常出荷する方法に従って梱包し、7〜23℃程度の温度条件下にて5日間保管した後に、任意に選抜された果実計300個について灰色かび病の発病の有無を判定して発病果実率を算出し、防除価を算出した。結果を表11に示す。 【0081】 【表10】 表10──────────────────────────────── 調査果実数(個)発病果実数(個) 発病果実率(%) ──────────────────────────────── 製剤(1) 125 0 0.0 対照区 116 3 2.6────────────────────────────────【表11】 表11──────────────────────────────── 発病果実数(個)発病果実率(%) 防除価(%) ──────────────────────────────── 製剤(1) 2 0.7 95.6 対照区 48 16.0 −────────────────────────────────【0082】表10、11に示すように、作物の栽培期間中はもちろん、さらに収穫後の作物についても病害防除効果が発揮されていた。 【0083】 【発明の効果】本発明により、温室などの栽培施設内の作物に、効率よく、かつ、安全に微生物製剤等の農薬を散布することができる。また、粉末又は顆粒状の農薬を用いることにより、施設内の湿度を高めることなく、農薬を散布することができる。さらに、好適な実施態様においては、農薬を長期間にわたって散布することができうる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000183646 【氏名又は名称】出光興産株式会社 【識別番号】391016842 【氏名又は名称】岐阜県
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| 【出願日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089244 【弁理士】 【氏名又は名称】遠山 勉 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−302407(P2001−302407A) |
| 【公開日】 |
平成13年10月31日(2001.10.31) |
| 【出願番号】 |
特願2000−130818(P2000−130818) |
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