| 【発明の名称】 |
水生生物付着防止用導電性組成物、水生生物付着防止用導電性塗膜および水生生物の付着防止方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】坪 井 誠
【氏名】山 下 和 春
【氏名】田 口 朋 之
【氏名】松 永 是
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| 【要約】 |
【課題】水生生物の付着を有効に防止でき、長期耐久性を有し、安全性に優れるような水生生物付着防止用導電性組成物、およびこのような特性を有する塗膜を提供する。また、効率よく長期間にわたり水生生物の付着を防止しうるような水生生物の付着防止方法を提供する。
【解決手段】(a)酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫および酸化インジウム・酸化錫複合化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の導電性微粒子と、(b)縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物とを、含有する水生生物付着防止用導電性組成物。さらに(c)硬化触媒を含む水生生物付着防止用導電性組成物。(c)硬化触媒は、遷移金属の塩化物が好適であり、この水生生物付着防止用導電性組成物が常温で硬化可能である。船舶または水中構造物の基材表面に、上記水生生物付着防止用導電性組成物から水生生物付着防止用導電性塗膜を形成し、該水生生物付着防止用導電性塗膜に電位を印加する水生生物の付着防止方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】(a)酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫および酸化インジウム・酸化錫複合化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の導電性微粒子と、(b)縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物とを、含有することを特徴とする水生生物付着防止用導電性組成物。 【請求項2】さらに(c)硬化触媒を含むことを特徴とする請求項1に記載の水生生物付着防止用導電性組成物。 【請求項3】(c)硬化触媒が、遷移金属の塩化物であることを特徴とする請求項2に記載の水生生物付着防止用導電性組成物。 【請求項4】上記組成物が常温で硬化可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水生生物付着防止用導電性組成物。 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の水生生物付着防止用導電性組成物から形成された水生生物付着防止用導電性塗膜。 【請求項6】表面にさらに電位印加用の電極が配設されてなることを特徴とする請求項5に記載の水生生物付着防止用導電性塗膜。 【請求項7】船舶または水中構造物の基材表面に、請求項1〜4のいずれかに記載の水生生物付着防止用導電性組成物からなる水生生物付着防止用導電性塗膜を形成し、該水生生物付着防止用導電性塗膜に電位を印加することを特徴とする水生生物の付着防止方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は水生生物付着防止用導電性組成物、その塗膜および水生生物の付着防止方法に関する。さらに詳しくは、水中構造物、船舶、発電所、プラントの冷却水取水・排水路等の接水部表面を導電性塗膜で覆い、該導電性塗膜に電位を印加することによって、効率よく長期間にわたり水生生物の付着を防止しうる導電性塗膜形成用の導電性組成物、該導電性組成物から得られた塗膜および水生生物の付着防止方法に関する。 【0002】 【発明の技術的背景】従来、水中構造物などへの水生生物の付着防止法としては、有機錫系化合物等の防汚剤を含有する防汚塗料を被塗物表面にコーティングし、得られた防汚塗膜から徐々に防汚剤を溶出させる方法などが採用されていた。しかしこの方法では、溶出する防汚剤による環境汚染が問題となっている。 【0003】このような状況から安全・無公害の水中防汚技術が検討されており、その一つに導電性塗膜による水中防汚方法がある。この防汚方法では、水中構造物等の表面に塗布形成された導電性塗膜に低電位を印加して微弱電流を流して付着しようとする水生生物を殺傷または忌避させて水生生物の付着・養生を防止している。導電性塗膜は、主として導電性充填剤とマトリックス樹脂より構成されるが、この導電性充填剤には、カーボン系導電性充填剤(カーボンブラック、グラファイト)、金属充填剤などが挙げられる。 【0004】これらのうちで、上記カーボン系導電性充填剤とマトリックス樹脂とからなる導電性塗膜は、金属充填剤とマトリックス樹脂からなる導電性塗膜に比較して電気抵抗が大きく、特に塗膜厚さ方向の電気抵抗が大きく、防汚効果を発揮させるに必要な印加電位が高くなる。このように高い電圧を印加すると、膜表面で水中イオンが反応して有害物質(海水中では塩素)が発生する。また、塗膜厚さのバラツキにより、塗膜表面での電流分布が不均一となり、防汚性能が膜表面全体に有効に発現しないという問題点がある。 【0005】一方、銀、銅等の金属や各種金属酸化物を導電性充填剤として使用する場合には、カーボン系導電性充填剤を用いる場合に比して得られる塗膜の電気抵抗が低く、導電性に優れるものの、導電性充填剤として塗膜中に含有される金属の耐水・耐酸化性が乏しく、塗膜表面からの溶出量が大きいため、防汚塗膜の耐久性は極めて低くなるか、あるいは生理活性(抗菌、殺菌性)が高いため安全性に劣るという問題点がある。 【0006】このような問題点を解決すべく鋭意研究した結果、本発明者らは、従来のカーボン系導電性充填剤を含有する防汚塗膜では、含有されているカーボンが膜面に平行に配向しており、膜の厚さ方向の電気抵抗が膜に平行な方向のそれに比べて大きく(異方導電性)、このため、塗膜表面に電流を流し防汚性を発揮させるに必要な印加電圧が大きくなり、また塗膜厚さのバラツキにより電流分布が不均一となり、防汚効果も膜面の部位により不均一となっていることを見出した。そして、導電性カーボンと金属酸化物と酸化剤とを特定の方法で処理して得られる導電性カーボン・金属酸化物接触体を配合してなる防汚塗料では、得られる塗膜は、等方高導電性(何れの方向にも同等の高い導電性を有すること)を有することとなり、水生生物の付着を有効に防止できることを見出し、本願出願人は、これを特許出願している(特開平10−245506号公報参照)。 【0007】また、特開平8−302247号公報には、バインダー樹脂と導電性充填剤と抗菌性物質とからなる水生生物付着防止用導電性組成物、および該水生生物付着防止用導電性組成物を用いた水生生物の付着防止方法(防汚方法)が記載されている。上記バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が挙げられ、導電性充填剤としては、炭素材料(カーボンブラック、グラファイト等)、金、銀等の金属などが挙げられ、抗菌性物質としては、銀、銅、ニッケル、亜鉛等の金属が挙げられ、これらは酸化物等であってもよい旨記載されている。 【0008】しかしながら、これらの公報に開示された発明では、塗膜または導電性樹脂層に、水中で長期間、電位を印加すると、電解作用により塗膜または導電性樹脂層中の有機バインダー樹脂、炭素または金属等の導電材が酸化・劣化されて、防汚効果および塗膜の寿命が、必ずしも充分ではないという問題があった。このような情況のもと、本発明者らは、上記問題点を解決すべく、さらに研究した結果、(a)酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫および酸化インジウム・酸化錫複合化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の導電性微粒子と、(b)縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物とを、含有する水生生物付着防止用導電性組成物を用いて、導電性塗膜を形成すれば、得られた導電性塗膜は、水中で長期間にわたって電位印加を行っても、塗膜が変性することがなく、また、塗膜成分が溶出することもないことを見出し、さらに、このような組成物から形成された導電性塗膜は、従来の導電性塗膜よりも低電位を印加するだけで、従来の導電性塗膜同様の水性生物付着防止効果が得られることを見出して、本発明を完成するに至った。 【0009】なお、特許第2638911号公報には、炭素含有シランカップリング剤で表面処理された導電性微粒子と下記一般式(B)で表される有機珪素化合物および/またはその加水分解物の硬化物を含むビヒクルとを主成分としてなる透明導電性被膜が開示されている。 R4cR5dSi(X)4-c-d …(B) 式中R4、R5は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、および、ハロゲン、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基およびシアノ基から選ばれる置換基を有する炭化水素基、からなる群から選ばれる1種以上の置換基であり、Xは加水分解性基であり、cおよびdは0または1である。この特許公報には、導電性微粒子として、酸化スズ(アンチモンドーピング物を含む)、酸化インジウム/酸化スズ混合物などが例示されている。 【0010】また、特開平7−242842号公報には、錫ドープ酸化インジウム粉末(導電性微粒子)と、結合剤(バインダー)として金属アルコキシドおよび/もしくはその部分加水分解物を溶媒中に含有する透明導電膜形成用組成物が開示され、金属アルコキシドとして、シリコンテトラエトキシド(エチルシリケート)などの珪素系アルコキシドが例示されている。 【0011】このように特許第2638911号公報および特開平7−242842号公報には、導電性酸化物粒子と、珪素系アルコキシド(加水分解物を含む)とを含む、導電性膜形成用組成物が記載されている。しかしながら、特許第2638911号公報および特開平7−242842号公報に記載された導電性組成物は、いずれも、各種半導体デバイスの包装材、クリーンルーム内装材、ブラウン管、電子機器などの帯電を防止することを目的として形成される導電性被膜(帯電防止膜)に関するものであり、本発明のような水生生物の付着を防止する用途について、全く開示されていない。さらには、本発明のような導電性組成物を塗布硬化して得られる塗膜が、従来より使用されてきた水性生物付着防止用導電性膜に比べて、水生生物の付着を長期間、極めて有効に防止できることなどは示唆すらもされていない。 【0012】 【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、水生生物の付着を有効に防止でき、長期耐久性を有し、安全性に優れるような水生生物付着防止用導電性組成物を提供することを目的としている。また、本発明は、上記特性を有する塗膜を提供することを目的としている。さらにまた、本発明は、効率よく長期間にわたり水生生物の付着を防止しうるような水生生物の付着防止方法を提供することを目的としている。 【0013】 【発明の概要】本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物は、(a)酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫および酸化インジウム・酸化錫複合化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の導電性微粒子と、(b)縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物とを、含有することを特徴としている。 【0014】この水性生物付着防止用導電性組成物は、さらに(c)硬化触媒を含んでいることが好ましく、このような硬化触媒としては、遷移金属の塩化物が好ましい。このように遷移金属の塩化物などの硬化触媒を含む水生生物付着防止用導電性組成物は常温で硬化可能である。常温硬化可能である水生生物付着防止用導電性組成物は、公知の方法で塗装したのち、常温で硬化塗膜を形成できるので、塗膜硬化のために加熱処理を必要とせずに、生産性に優れている。また、加熱処理によって、たとえば、プラスチックなどのように基材自体が変性しやすい用途であっても、常温硬化可能である水生生物付着防止用導電性組成物は、好適に使用できる。 【0015】本発明に係る導電性塗膜は、上記の水生生物付着防止用導電性組成物を塗布硬化して形成されている。この導電性塗膜表面には、表面にさらに電位印加用の電極が配設されていることが好ましい。本発明に係る水生生物の付着防止方法では、上記の導電性樹脂塗膜に電位(電圧)を印加することを特徴としている。 【0016】本発明に係る上記組成物を塗布硬化して、水中構造物、船舶、発電所、プラントの冷却水取水・排水路等の接水部表面を被覆して、得られた塗膜に電位を印加すれば、効率よく長期間にわたり水生生物の付着を防止でき、しかもこのような塗膜は、環境への安全性にも優れている。 【0017】 【発明の具体的説明】以下、本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物、その製造方法、水生生物付着防止用導電性塗膜および水生生物の付着防止方法について具体的に説明する。 [水生生物付着防止用導電性組成物]本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物は、(a)導電性酸化物微粒子と、(b)縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物とを含有している。 <導電性酸化物微粒子(a)>導電性微粒子としては、酸化インジウム、酸化錫、アンチモンドープ酸化錫および酸化インジウム・酸化錫複合化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種の導電性酸化物微粒子が使用される。これらの導電性酸化物微粒子は2種以上併用してもよい。 【0018】このような導電性酸化物微粒子の平均粒子径は、0.1〜100μm、好ましくは0.1〜50μm、さらに好ましくは0.1〜10μmのものが望ましい。また、導電性酸化物微粒子の50 kg/cm2 圧粉体での粉末比抵抗は、100Ω・cm以下、好ましくは50Ω・cm以下、さらに好ましくは25Ω・cm以下の範囲にあることが好ましい。このような範囲の粉末比抵抗を有していると、導電性塗膜を形成したときの表面抵抗値が低くなり、高い導電性の塗膜を得ることができる。 【0019】このような導電性酸化物微粒子は、公知の方法で調製することができる。たとえば、導電性微粒子を構成する金属の塩化物、硝酸塩、硫酸塩などの水溶液に、アルカリ水溶液を添加したのち、生成した析出物を濾別し、乾燥・焼成することによって、導電性酸化物微粒子を調製することができる。なお、使用する導電性酸化物微粒子が、アンチモンドープ酸化錫または酸化インジウム・酸化錫複合化合物の場合、Sb/(Sb+Sn)またはSn/(Sn+In)の原子比が0.001〜0.3、好ましくは0.01〜0.15の範囲内にあることが望ましい。Sb/(Sb+Sn)またはSn/(Sn+In)の原子比がこの範囲内にあれば、高い導電性を有する導電性酸化物微粒子を得ることができる。 【0020】本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物中に、導電性酸化物微粒子は、10〜50重量%、好ましくは10〜40重量%、さらに好ましくは15〜40重量%の量で含まれていることが望ましい。また水生生物付着防止用導電性組成物中の導電性酸化物微粒子(a)は、後述する縮合性有機珪素化合物およびその部分加水分解物(b)と導電性酸化物微粒子(a)との合計100重量%に対し、60〜98重量%、好ましくは70〜96重量%、さらに好ましくは75〜95重量%の量で含まれていることが望ましい。なお、縮合性有機珪素化合物およびその部分加水分解物の量はSiO2に換算したものである。 【0021】以上のような量で導電性酸化物微粒子が含まれていると、得られる水生生物付着防止用導電性塗膜の表面抵抗が小さくなるため、殺菌性が高くなり、しかも導電性酸化物粒子が溶出することもなく、さらには塗膜の耐久性にも優れている。このような導電性酸化物微粒子は、シラン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、チタン系カップリング剤で表面処理されていてもよい。これらのカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシランなどのシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ-n-ドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジ-トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(オクチルピロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネートなどのチタン系カップリング剤、エチルアセトアセタトアルミニウムジイソプロピレートなどのアルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。 【0022】このようなカップリング剤で、導電性酸化物微粒子表面が処理されていると、後述する縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物(b)と、導電性酸化物微粒子との親和性が高くなり、導電性組成物中に均一に導電性酸化物微粒子を分散させることが可能となる。カップリング剤の量は、導電性酸化物微粒子100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲にあればよく、さらには0.05〜3重量部の範囲にあればよい。<(b)縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物>(b)縮合性有機珪素化合物としては、縮合性を有する有機珪素化合物であれば特に限定されるものではないが、通常、下記一般式[I]で表される有機珪素化合物が用いられる。 【0023】R1cR2dSi(X)4-c-d …[I] 式中R1、R2は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数4〜13のアルケニル基、炭素数6〜12のアリール基(アルキルアリール基を含む)、および、ハロゲン、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基、メタクリルオキシ基およびシアノ基から選ばれる1種以上の置換基を有する炭素数1〜10の炭化水素基からなる群から選ばれる1種以上の置換基である。 【0024】Xは加水分解性基であり、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、またはハロゲン原子を表す。cおよびdは、0または1である。このような一般式[I]で示される有機珪素化合物として、具体的には、メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、i−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケートおよびt−ブチルシリケートなどのテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン、トリアシルオキシシラン、またはトリフェノキシシラン類、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシランまたはジアシルオキシシシラン類などが挙げられる。これらの縮合性有機珪素化合物は1種または2種以上併用することも可能である。 【0025】このような一般式[I]で示される有機珪素化合物の中でも、とくに基材との接着性、表面硬度向上、耐熱性、耐候性などの点からR1、R2が炭素数1〜4のアルキル基、アルケニル基、あるいはフェニル基、さらにはエポキシ基、グリシドキシ基を有する炭化水素基である有機珪素化合物が好ましい。本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物では、縮合性有機珪素化合物が部分的に加水分解された部分加水分解物であってもよい。また、縮合性有機珪素化合物と部分加水分解物との混合物であってもよい。なお、部分加水分解物とは、縮合性有機珪素化合物が部分的に加水分解・縮合された重縮合体であり、加水分解性(縮合性)の基(Si−X)を有するものである。 【0026】本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物では、縮合性有機珪素化合物の部分水分分解物を使用することが望ましい。部分加水分解物を使用すると導電性塗膜を形成する際の加熱硬化温度を下げることができる。縮合性有機珪素化合物の加水分解・縮合は、一般式[I]中の加水分解性基(Si−X、Xは式[I]と同じ)1モルに対して、0.2モル以上の水の存在下に行われる。この際、触媒として、塩酸、酢酸あるいは硫酸などを酸性水溶液として添加してもよい。触媒は、加水分解性基(Si−X)1モルに対して、0.01〜1.0モル、好ましくは0.08〜0.2モルの量で使用されることが望ましい。また、水、触媒である酸性水溶液の添加量を調節することによって加水分解の度合を容易にコントロールすることも可能である。 【0027】なお、縮合性有機珪素化合物を加水分解する際には、副生物としてアルコール等が生成するため、必要に応じて、発生したアルコール等を加熱および/または減圧下に除去してもよい。さらに、触媒(酸性水溶液)を使用した場合、必要に応じて触媒を除去する処理を行ってもよく、触媒の除去方法としては、溶媒置換、イオン交換処理などが挙げられる。 【0028】反応後、適当な溶媒を添加して、部分加水分解物の濃度を調製することも可能である。溶媒としては、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、ハロゲン化炭化水素あるいはトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素などの溶媒が挙げられる。また溶媒は必要に応じて2種以上の混合溶媒として使用することも可能である。 【0029】本発明で使用される縮合性有機珪素化合物の部分加水分解物の分子量は、ポリスチレン換算の数平均分子量で2500〜10000の範囲にあることが好ましく、特に好ましい範囲は3000〜5000である。本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物中に、縮合性有機珪素化合物およびその部分加水分解物(b)は、1.0〜10重量%、好ましくは2.0〜10重量%、さらに好ましくは2.0〜5重量%の量で含まれていることが望ましい。 【0030】また水生生物付着防止用導電性組成物中の導電性酸化物微粒子(a)と縮合性有機珪素化合物およびその部分加水分解物(b)との合計100重量%に対し、縮合性有機珪素化合物およびその部分加水分解物(b)は、2〜40重量%、好ましくは4〜30重量%、さらに好ましくは5〜25重量%の量で含まれていることが望ましい。なお、縮合性有機珪素化合物およびその部分加水分解物の量はSiO2に換算したものである。 【0031】以上のような量で縮合性有機珪素化合物またはその部分加水分解物(b)が含まれていると、得られる水生生物付着防止用導電性塗膜の殺菌性が高くなり、しかも導電性酸化物粒子が溶出することもなく、さらには塗膜の耐久性にも優れている。 <硬化触媒(c)>本発明に係る水生生物付着防止用導電性組成物には、さらに(c)硬化触媒が含まれていることが好ましい。 【0032】この硬化触媒としては、前記した縮合性有機珪素化合物またはその部分加水分解物(b)を硬化させる触媒作用を有するものであれば特に制限されるものではないが、特に、遷移金属の塩化物が好適に用いられる。このような遷移金属の塩化物としては、塩化第二鉄、塩化亜鉛、塩化銅、塩化コバルト、塩化銀などが挙げられる。 【0033】この硬化触媒は、前記した縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物(b)100重量部対し、0〜20重量部、好ましくは0.3〜15重量部の量で、水生生物付着防止用導電性組成物中に添加されることが望ましい。このような量で硬化触媒が存在していると、縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物(b)が、常温で硬化可能となるため、加熱処理をすることなく常温で導電性塗膜を形成することができる。しかも常温で硬化させた導電性塗膜は緻密である。 【0034】硬化触媒(c)は、縮合性有機珪素化合物の部分加水分解物(b)を調製する際に、予め縮合性有機珪素化合物中に添加されていてもよい。なお、硬化触媒が添加されていない場合、80℃程度の温度以上で加熱すれば、縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物(b)を硬化させることはできるが、得られた水生生物付着防止用導電性塗膜が多孔質となることがある。 【0035】<その他の成分>本発明においてはこの水生生物付着防止用導電性組成物には、上記成分以外に通常、塗料に配合されるような「その他の成分」が含まれていてもよい。このようなその他の成分としては、たとえば、溶剤(例:キシレン、トルエン)、防汚剤、可塑剤、加水分解調整剤、顔料、溶剤、粘度調整剤、その他の添加剤[例:イオン交換能や吸着性を有するアルミナ、ゼオライトなどの無機物;水生生物と電極との電子移動を促進するフェロセン等の電子メディエーター]等が挙げられる。さらに沈降防止、ケーキング防止、タレ止めを目的として有機ベントナイトが含まれていてもよい。なお、有機ベントナイトとは、結晶層間に交換性カチオンおよび水和水などを有するベントナイトにおいて、交換性カチオンおよび水和水を、有機性カチオン(第4級アンモニウムイオンなど)および極性有機化合物で置換したものをいう。 [水生生物付着防止用導電性組成物の調製]次に、上記水生生物付着防止用導電性組成物(「導電性組成物」とも言う。)の調製方法について説明する。 【0036】本発明に係る導電性組成物は、上記した成分を混合することによって調製されるが、通常、導電性酸化物微粒子(a)と溶剤と必要に応じて顔料および溶媒などを含む導電性ペーストと、縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物(b)と必要に応じて(c)硬化触媒を含む溶液(分散液)とを、予め調製しておき、両者を混合することによって、調製される。縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物(b)と必要に応じて(c)硬化触媒を含む溶液(分散液)は、必要に応じてアルコールなどの溶媒で濃度を調製してもよい。 【0037】[水生生物付着防止用導電性塗膜]本発明に係る水生生物付着防止用導電性塗膜は、上記した水生生物付着防止用導電性組成物から形成される。この水生生物付着防止用導電性塗膜は、上記水生生物付着防止用導電性組成物を、被塗物である水中構造物、船舶、発電所、プラントの冷却水取水・排水路等の接水部表面に塗布硬化することによって形成される。 【0038】前記した水生生物付着防止用導電性組成物を塗布する方法としては、公知の方法が採用され、たとえば、エアレススプレー、エアースプレー、ディッピング、刷毛塗り、ローラー塗りなどが挙げられる。塗膜を形成したのち、乾燥して溶媒を揮散させたのち、さらに硬化処理を行う。硬化処理は、使用される水生生物付着防止用導電性組成物の組成、および被塗物の性状により異なるものの、通常、常温〜300℃、好ましくは常温〜60℃の温度で行われる。 【0039】なお、水生生物付着防止用導電性組成物中に硬化触媒(c)が含まれている場合、必ずしも加熱による硬化処理を必要とせず、塗膜形成後、常温で溶剤を揮散させれば硬化した水生生物付着防止用導電性塗膜を形成することができる。また、上記塗装に先立ち、必要によりプライマー処理等を行ってもよく、またこのプライマー処理に先だって、錆、油脂、水分、塵埃、スライム、塩分、などの船舶外板表面付着物を清掃・除去してもよい。上記水生生物付着防止用導電性組成物(塗料)は、シンナー等で適宜濃度に希釈して用いてもよい。 【0040】またこのような導電性組成物の塗布量は、たとえば、被塗物のうちの1種である船舶を例に採ると、この船舶の種類、塗り重ねられる塗料の種類・組合わせなどにもより異なり一概に決定されないが、船舶の外板表面全体に塗布される導電性組成物は、たとえば250〜750g/m2の量で、200〜650μm厚程度に塗布され、その乾燥膜厚は、100〜300μm厚程度である。 【0041】なお、エアレススプレー時には、たとえば、1次(空気)圧:4〜8kgf/cm2程度、2次(塗料)圧:100〜180kgf/cm2程度、ガン移動速度50〜120cm/秒程度に塗装条件を設定すればよい。また上記各塗料の塗装回数は、特に限定されず、塗料濃度、求められる膜厚等に応じて適宜設定可能であり、それぞれ1回ずつでもよく、複数回でもよい。このように各塗料が上記膜厚となるように塗装・硬化して得られた被塗物のうち、たとえば、船舶(塗装船舶)には、タンカー、貨物船、客船、漁船、艀、浮きドックなどの金属製船舶、ガラス繊維強化プラスチック船、などが挙げられる。 【0042】本発明に係る水生生物付着防止用導電性塗膜の表面抵抗は、用いる導電性酸化物微粒子の種類、およびその量にもよるが、通常1×100〜1×106Ω/□、好ましくは1×100〜5×104Ω/□の範囲にあることが望ましい。このような範囲の表面抵抗を有していると、表面電位を高く維持することができるので、殺菌性に優れた導電性塗膜を得ることができる。 【0043】また、表面電位は膜表面の何れの部位でも均一で、これら膜電位は経時的にも安定しており、この膜面に低電位(微弱電流)を印加(+0.8V〜+1.2V)するだけで、水生生物付着防止効果(防汚性)が発現する。こうして形成された水生生物付着防止用導電性塗膜には、表面にさらに電位印加用の電極が配設されていてもよい。表面に電位印加用の電極を形成しておくと、導電性を有していないプラスチック表面に本発明に係る水生生物付着防止用導電性塗膜を形成しても、好適に電位を印加することができる。また、被塗材に予め電位印加用の電極および配線を形成する必要もないので、製造工程が簡略化できる。 【0044】電位印加用の電極形成方法としては、蒸着、メッキなど公知の方法が挙げられる。また、電極は、水生生物付着防止用導電性塗膜全面に設ける必要はなく、端部に形成しておけばよい。この本発明に係る導電性塗膜中に、導電性酸化物微粒子(a)は、10〜98重量%、好ましくは20〜95重量%、さらに好ましくは55〜95重量%の量で含まれていることが望ましい。また、本発明に係る導電性塗膜中に、縮合性有機珪素化合物またはその部分加水分解物(b)は、SiO2換算で、1〜80重量%、好ましくは2〜60重量%、さらに好ましくは3〜35重量%の量で含まれていることが望ましい。 【0045】また本発明に係る導電性塗膜中における導電性酸化物微粒子(a)と縮合性有機珪素化合物またはその部分加水分解物(b)との合計量は、60〜100重量%、好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは80〜100重量%の範囲にあることが望ましい。 [水生生物の付着防止方法]本発明に係る水生生物の付着防止方法では、上記の導電性組成物から形成された導電性塗膜に電位(電圧)を印加して、水生生物の長期付着防止を図る。 【0046】本発明においては、このように導電性塗膜を作用電極とし、該作用電極に対して導電性を有する材料からなる対電極を設置し、作用電極と対電極との間に直流電源(整流器)を用いて電位を印加すればよく、また参照電極を用いて電位を印加してもよく、さらに表面に電位印加用の電極が形成されている場合、それを用いて電位を印加してもよい。 【0047】導電性塗膜からなる作用電極への印加電圧は、正、負何れであってもよく、たとえば、正電位の場合には、0〜+5Vvs.SCE(SCEは飽和甘コウ電極、参照電極)、負電位の場合には、0〜−5Vvs.SCEであればよく、また正電位と負電位とを交互に印加する場合には、上記範囲で正−負電位を印加すればよい。 【0048】たとえば、水生生物が含まれた水中において、上記導電性塗膜に0〜+5Vvs.SCEの正電位を印加すると、塗膜表面全体に均一に微弱電流が流れ、該導電性塗膜表面に付着した水生生物を殺菌でき、スライム層、生物層の形成が阻止でき、大型水中生物の付着が防止できる。また、該導電性塗膜に0〜−5Vvs.SCEの負電位を印加すると、導電性塗膜に接近する水生生物は、電気的な反発により付着困難となり、仮に水生生物が付着したとしてもこの負電位により付着水生生物は塗膜表面から脱離される。なお、該導電性塗膜中に、防汚剤(毒物、抗菌剤)などが含まれていると、上記正電位を印加した場合と同様にスライム層、生物層の形成が阻止され、いっそう顕著な防汚効果が期待できる。 【0049】 【発明の効果】本発明に係る上記水生生物付着防止用導電性組成物からなる塗膜で、水中構造物、船舶、発電所、プラントの冷却水取水・排水路等の接水部表面を覆って、電位を印加すれば、効率よく長期間にわたり水生生物の付着を防止できる。しかも形成された塗膜は、水中での長期間にわたって電位印加を行っても、変性することがなく耐久性に優れており、また塗膜成分が溶出することもないので、環境への安全性にも優れている。本発明に係る組成物から形成された導電性塗膜に、低電位を印加するだけで、優れた水性生物付着防止効果が得られる。さらに、水生生物付着防止用導電性組成物のうち、硬化触媒を含んでいるものは、常温でも硬化しうるので、簡易な塗装で塗膜を形成することが可能であり、生産性に優れている。 【0050】 【実施例】以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等制限されるものではない。なお、以下の実施例、比較例等において、「部」は「重量部」の意味である。また、表中の各成分量は、特に断らない限りいずれも「重量部」表示で示す。 <導電性塗膜の物性評価、防汚性評価試験装置>以下の本発明に係る導電性塗膜の物性評価、防汚性評価試験に用いた装置について、図1に基づいて説明する。 【0051】図1において、試験槽10には、導電性塗膜からなる作用電極11が配置され、該作用電極11は、ポテンシオスタット17と電気的に接続している。このポテンシオスタット17は、試験槽10内に配置されている参照電極12、対電極13とも電気的に接続されている。またポテンシオスタット17は、ポテンシャルスイーパー16、レコーダー18とも接続されている。また試験槽10内には滅菌海水等が入れられている。該試験槽10内底部には撹拌棒14が配置され、試験槽10外底部にはスターラー15が配置されている。なお、参照電極12としては、飽和甘コウ電極(SCE)が用いられ、対電極13には白金板が用いられている。 【0052】 【実験例1〜8】<水生生物付着防止用導電性組成物の調製>1)縮合性有機珪素化合物の部分素加水分解物の調製50重量%エチルシリケート溶液(溶媒エチルアルコール)52.0gに塩化第二鉄を0.6g加え、50〜55℃に加熱し、撹拌下で0.01規定塩酸水溶液4.9gを徐々に滴下し、3時間攪拌して、エチルシリケートの加水分解・縮合を行った。得られた有機珪素部分加水分解物反応液を、エチルアルコール12.1gとイソプロピルアルコール31.0gで希釈して有機珪素部分加水分解物溶液(A)を得た(SiO2換算で有機珪素部分加水分解物を7.46重量%含む)。得られた部分加水分解物の数平均分子量は3500であった。 2)導電性ペーストの調製酸化錫(SnO2)微粒子(0.5μm)または酸化インジウム・酸化錫複合酸化物(ITOと称す)微粒子(1.70μm)に、膨潤有機ベントナイト(有機ベントナイト20部をイソプロピルアルコール80部に分散)とn-ブチルアルコール、イソプロピルアルコールおよびキシレンを、表1に示す割合で混合し、ディスパーで分散して表1に示す導電性ペーストを得た。 【0053】 【表1】
【0054】3)水生生物付着防止用導電性組成物の調製上記で得られて有機珪素化合物部分加水分解物溶液(A)と、酸化錫導電性ペーストまたはITO導電性ペーストとを、表2に示す割合で混合・攪拌して、導電性塗料を調製した。たとえば、実施例1では、有機珪素化合物部分加水分解物溶液(A)20重量部と酸化錫導電性ペースト80重量部とを混合・撹拌した【0055】 【表2】
【0056】<水生生物付着防止用導電性塗膜の形成>得られた水生生物付着防止用導電性組成物を、チタンプレート表面にディッピング法により塗布し、室温で乾燥硬化させて、10μmの厚さの水生生物付着防止用導電性塗膜を作製した。 【0057】 【比較例1〜3】<水生生物付着防止用導電性組成物の調製>アクリル樹脂(不揮発分40重量%)と、前記した酸化錫(SnO2)微粒子、酸化インジウム・酸化錫複合酸化物(ITOと称す)微粒子に、または人造グラファイト(平均粒径3μm)と、酸化ポリエチレンワックスと、脂肪酸アマイドワックスと、キシレンとを表3に示す割合で混合し、ペイントシェーカーで分散して水生生物付着防止用導電性組成物を調製した。 【0058】 【表3】
【0059】<水生生物付着防止用導電性塗膜の形成>得られた水生生物付着防止用導電性組成物を、チタンプレート表面にディッピング法により塗布し、室温で乾燥硬化させて、50μmの厚さの水生生物付着防止用導電性塗膜を作製した。 【0060】 【試験例1】<導電性塗膜の抵抗および電位>実施例1〜8および比較例1〜3で作製した水生生物付着防止用導電性塗膜を充分に乾燥させた後に、エレクトロメータを用いて表面抵抗を測定した。表面抵抗値は、三菱油化(株)製、ローレスタAP MCP-T 400を使用して、4つの端子を、形成した導電性塗膜上に接触させて単位面積当たりの抵抗値を測定することによって行った。 【0061】また、図1に示す装置で、人工海水中で+1.0V vs.SCEの電位を、導電性塗膜に印加し、表面電位を計測した。結果を表4に示す。 【0062】 【表4】
【0063】 【試験例2】<殺菌効果の評価試験>供試株として海洋付着細菌V.alginolyticusを用いて殺菌効果の評価実験を行った。V.alginolyticusは、marine broth培地を用いて12時間振とう培養した。培養後、遠心集菌(3500rpm,10分)し、人工海水を用いて2回洗浄した。これを人工海水に再懸濁し1.0×106 cells/mlの菌体懸濁液を調製した。 【0064】この菌体懸濁液に実施例1〜8および比較例1〜3で作製した水生生物付着防止用導電性塗膜付きチタンプレートを90分間浸漬し、導電性塗膜表面上に菌体を付着させた。その後、図1に示す装置で、人工海水中において+1.0V vs.SCEの電位を導電性塗膜に30分間印加することにより殺菌実験を行った。電位印加後、導電性塗膜表面上からピペッティングにより付着菌体を回収し、marine brothの寒天培地を用いたコロニー形成法で殺菌効果を評価した。 【0065】このときの生菌数の結果を表3に示す(生菌率は、参考例(BPG(Basal-PlanePyrolytic Graphite)電極の「電圧印加なし」を100とした相対値)。 【0066】 【表5】
【0067】表5より、実施例1〜8の水生生物付着防止用導電性組成物を用いて形成された導電性塗膜は、グラファイトを含む導電性塗膜(比較例3)よりも、殺菌効果に優れている。特に、導電性酸化物微粒子(a)と縮合性有機珪素化合物(b)との合計100重量%に対して、縮合性有機珪素化合物(b)を5〜25重量%の量で含むもの(実施例2および3、実施例6および7)は殺菌性に優れている。 【0068】 【試験例4】<金属酸化物の溶出速度測定>実施例1〜8および比較例1〜3で作製した水生生物付着防止用導電性塗膜付きチタンプレートを図1に示す装置にセットし、人工海水中で+1.0V vs.SCEの電位を導電性塗膜に1週間印加して、塗膜成分(導電性物質)の海水中への溶出を原子吸光法により測定した。 【0069】また、電位印可しない場合についても同様に測定した。結果を表6に示す。(なお、ND:検出限界以下。溶出速度:μg/cm2/week。) 【0070】 【表6】
【0071】表6より、実施例1〜8の水生生物付着防止用導電性組成物を用いて形成された導電性塗膜は、比較例1および2の導電性塗膜に比べて、導電性物質の溶出が少ない。すなわち、本発明のように縮合性有機珪素化合物および/またはその部分加水分解物を含む導電性塗膜は、アクリル樹脂を含む導電性塗膜に比べて、塗膜成分(導電性成分)の溶出が抑制されている。 【0072】 【試験例5】<塗膜の耐久性>実施例1〜8および比較例1〜3で作製した水生生物付着防止用導電性塗膜付きチタンプレートを図1に示す装置にセットし、ポテンシオスタットとポテンシャルスイーパーを用いて、人工海水中で+1.2〜−1.0V vs.SCE交互印加し、60日後の導電性塗膜の表面状態を外観観察により調べ、耐久性を評価した。 【0073】結果を表7に示す。 【0074】 【表7】
【0075】表7より、実施例1〜8の水生生物付着防止用導電性組成物を用いて形成された導電性塗膜は、比較例1〜3の導電性塗膜に比べて、導電性塗膜の表面状態の変化が少ない。すなわち、本発明に係る導電性塗膜は、水中での長期間にわたって電位印加を行っても、変性することが少なく耐久性に優れている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390033628 【氏名又は名称】中国塗料株式会社 【識別番号】591033744 【氏名又は名称】松永 是
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| 【出願日】 |
平成12年3月17日(2000.3.17) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081994 【弁理士】 【氏名又は名称】鈴木 俊一郎 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−261514(P2001−261514A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月26日(2001.9.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−77020(P2000−77020) |
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