| 【発明の名称】 |
酸性電解水と界面活性剤を含むイネ病害防除剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】大森 敏弘
【氏名】岡 工
【氏名】狗田 徹
【氏名】石郷岡 博
【氏名】荒田 洋治
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| 【要約】 |
【課題】酸性電解水の殺菌対象物への浸透性を高め、酸性電解水の殺菌消毒効果をより向上させるイネ病害防除剤の提供。
【解決手段】酸性電解水と界面活性剤を含有することを特徴とするイネ病害防除剤の提供。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】酸性電解水と界面活性剤を含有することを特徴とするイネ病害防除剤。 【請求項2】酸性電解水と有効塩素を消費しない界面活性剤を含有することを特徴とするイネ病害防除剤。 【請求項3】イネ病害がもみ枯細菌病またはいもち病である請求項1または2記載のイネ病害防除剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、イネ病害の防除剤に関する。 【0002】 【従来の技術】希薄食塩水等を電気分解して陽極側に得られる酸性電解水は主要殺菌成分として次亜塩素酸を含むので、食品衛生や医療方面での即効的な殺菌水として注目されている。近年、酸性電解水は農業分野へ応用されつつあり、種子消毒、作物への散布、土壌への灌注などが試みられている。酸性電解水の殺菌力を活かすことにより、農薬への過度の依存を軽減できるならば、環境への負荷低減を通じて環境保全ひいては人体への健康不安の解消に貢献できると期待される。 【0003】酸性電解水による植物病害の防除については細菌性病害と糸状菌性病害のそれぞれについて報告がある。まず、細菌性病害の防除については、イネもみ枯細菌病苗腐敗症(以下、もみ枯細菌病と略す)および苗立枯細菌病の防除例がある(高橋義行ら、関東東山病害虫研究会年報、第43集、41〜43頁、1996年)が、単一pHの酸性電解水のみを用いた処理方法であり、pH2.3の酸性電解水を用いた時は効果が高いが、pH5.0〜5.5の酸性電解水を用いた場合は効果が劣る(本例の記載では電解酸化水あるいは単に酸化水と記載されているが、それらが酸性電解水と同義であることは当業者には周知のことである。)。 【0004】次に植物病原性の糸状菌の防除については、特願平5−348730(特開平5−163101)に酸性電解水による果実、野菜等に対するうどんこ病予防の記載がある。特願平5−330854(特開平7−187931)に酸性電解水に農薬等を混ぜて芝草を殺菌することにより糸状菌性病害を防除する方法が開示されている。 【0005】本出願人による、酸性電解水を用いる病害防除に関連する出願として特願平10−125227、同−125228、同−336671、同−338243および同−338244がある。 【0006】酸性電解水の殺菌活性は強力なものであるが、例えば種子消毒などに応用する場合において、種子の菌数を減らす効果はそれほど高くない。この原因として酸性電解水の殺菌成分である有効塩素が種子という有機物により消費されてしまうこと以外に、複雑な種子組織の奥に潜む病原菌に酸性電解水が到達できない可能性が挙げられる。殺菌対象物が複雑な組織を有する場合において、酸性電解水の殺菌対象物への浸透性を高めることが課題として残されていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】そこで、酸性電解水の殺菌対象物への浸透性を高め、酸性電解水の殺菌消毒効果をより向上させる方法を鋭意探索したところ、イネの種子消毒において酸性電解水に界面活性剤を添加することにより消毒効果が著しく向上することを見いだし、本発明を完成させるにいたった。すなわち本発明の目的は、酸性電解水と界面活性剤を含有することを特徴とするイネ病害防除剤を提供することである。 【0008】 【課題を解決するための手段】酸性電解水とは塩素を含む水溶液を電気分解して陽極側に生成する水溶液のことである。電解質の種類や電解条件を適宜選択することによりpH1.5ぐらいからpH7.0未満の範囲の酸性電解水を調製することができ。酸性電解水中の有効塩素濃度(以下、単に塩素濃度と略す)は特に規定されるべきものではないが、好適には10ppm以上、更に好適には25ppm以上、特に好適には100ppm以上が望ましい。本発明において使用される界面活性剤は、特に規定されるものではなく、非イオン系、陽イオン系、陰イオン系などいずれのタイプのものでもよいが、酸性電解水中の塩素を消費しないものが好ましい。 【0009】酸性電解水と界面活性剤を含有することを特徴とする、本発明のイネ病害防除剤の適用対象であるイネ科植物は単子葉植物の一科で、イネ、ムギ、トウモロコシ、アワ、ヒエ、サトウキビ、タケなどを含むものである。 【0010】本発明の防除剤の適用対象となる植物病害は特に規定されるものではないが、酸性電解水の主要殺菌成分である次亜塩素酸の殺菌特性を鑑みるならば、好適には糸状菌性病害よりはむしろ細菌性病害である。酸性電解水処理の適性という点では、好適には種子伝染性の植物病害である。本発明の防除方法は、農業用殺菌剤に感受性の病原菌のみならず、同耐性な病原菌による病害をも対象とするものである。 【0011】ここで細菌性植物害としては、もみ枯細菌病、内穎褐変病、苗立枯細菌病、褐条病、葉しょう褐変病、白葉枯病、株腐病などが挙げられる。 【0012】糸状菌性病害としては、いもち病、ばか苗病などが挙げられる。いもち病は、糸状菌の一種で、不完全菌類に属する Pyricularia 属菌の寄生により苗や葉、穂などに褐色紡錘型の病班を形成する病害であり、イネいもち病、トウモロコシいもち病、シコクビエいもち病などが知られる。ばか苗病は、糸状菌の一種で、子嚢菌類に属する Gibberella 属の寄生によりイネ等が黄化・徒長する病害である。 【0013】本発明の防除剤が使用される局面としては種子消毒、土壌消毒、散布消毒のいずれでもよいが、好適には種子消毒が挙げられる。特に好適な例としては、イネの育苗過程における浸種前処理あるいは浸種または催芽過程において本発明の防除剤に浸漬することにより種もみを消毒する例が挙げられる。 【0014】 【作用】酸性電解水は、その主要殺菌成分である次亜塩素酸が殺菌作用を発揮する上で無数の作用点を有するので、殺菌力が強く、また、酸性電解水に対する耐性菌は出現しにくい。また、次亜塩素酸は塩素ガスとして蒸散しやすく残留性がないので、環境汚染の恐れがなく酸性電解水は環境保全性の点でもすぐれている。 【0015】酸性電解水に界面活性剤を添加することにより、イネ種子の殻組織などの複雑に入り組んだ組織への浸透性が高まり、該組織中に潜む病原菌塊への酸性電解水の到達が可能となるので、酸性電解水の殺菌消毒効果が向上すると考えられる。 【0016】 【発明の実施の形態】酸性電解水と界面活性剤を含有することを特徴とするイネ病害防除剤を種子消毒に用いることにより、いもち病菌胞子形成の阻害効果およびもみ枯細菌病苗腐敗症の防除効果がより向上した。 【0017】実施例1.いもち病菌の胞子形成阻害試験酸性電解水は、0.1%塩化ナトリウム溶液を電解原水として15V/40Aの電解条件によりバッチ式の電解水製造装置を用いてpH2.0、塩素濃度200ppmのものを調製した。水としてはミリQ水レベルの純水を用いた。 【0018】いもち病菌自然感染もみ(長野ほまれ、平成9年度産)を用い、上記酸性電解水にローパス洗剤を1%添加したものに感染もみを室温で24時間、浸種前に漬けた後、純水に20℃、5日間浸種して、いもち病菌の胞子形成率(%)を求めた。ローパス洗剤は大阪市東住吉区のサラヤ株式会社製で塩素との反応性がない衣類用洗剤である。もみと漬ける液の容積比は浸種前処理時1:1、浸種時1:2であった。 【0019】胞子形成率はブロッター法により、下記のようにして求めた。 1)浸種後のもみを風乾。 2)滅菌水で湿らせたろ紙を敷いた直径9cmのシャーレにもみを25粒ずつ計100粒のせる。 3)25℃、3日間放置。 4)もみを一粒ずつ寒天培地にこすりつけて、寒天上の胞子の有無を顕微鏡下、判定。 胞子形成率(%)=(胞子が観察されたもみ数/100粒)×100【0020】 【表1】表1に示すようにいもち病菌の胞子形成阻害効果は酸性電解水のみの浸種前処理では胞子形成率が26%あったのに対し、酸性電解水に1%のローパス洗剤を添加することにより同4%へと低下し、いもち病防除効果が実用的レベルにまで高まった。 【0021】実施例2.もみ枯細菌病苗腐敗症防除試験供試したもみはコシヒカリで、平成10年開花期にイネもみ枯細菌病菌を噴霧接種したものである。水選した後、用いた。もみ枯細菌病苗腐敗症とは、苗が淡褐色ないし褐色になり腐敗・枯死する病害である。1処理区あたり7g乾重量のもみを用いて3連で行った。 【0022】浸種(20℃、5日)→催芽(32℃、1日)→播種→出芽→緑化→硬化 からなる育苗過程のうちの浸種および催芽過程において、pH5.0、塩素濃度200ppmの酸性電解水に1% tween20を添加したものを10時間に一回の頻度で液が入れ替るようにかけ流した。浴比は1:2である。tween系界面活性剤はポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類の商品名である。 【0023】酸性電解水は、0.1%塩化カリウム溶液を電解原水として実施例1と同様にして、pH2.0、塩素濃度200ppmのものを調製し、pH5.0の酸性電解水はこれのpHを水酸化ナトリウム溶液により調整して得た。 【0024】対照区においては、もみを純水30mlに漬けて浸種・催芽を行った。農薬処理区においては、浸種前にオキソリニック酸・プロクロラズ水和剤の20倍希釈液15mlに10分間室温でもみを浸漬した後、十分に風乾させた。浸種以降の処理は対照区と同じである。 【0025】播種16日後に苗立数、発病苗数、発病度の調査を行った、発芽率(%)は「(苗立数/播種粒数)×100」で算出し、発病度は調査苗に下記指数を与え、下記計算式により算出し、発病度に基づいて防除価を算出した。 1:軽症苗、3:重傷苗、5:枯死苗軽症苗:病状が肉眼で確認され、草丈が無処理区で良好な生育を示した苗の1/2以上の苗。 重症苗:病状が肉眼で確認され、草丈が無処理区で良好な生育を示した苗の1/2以下の苗。 発病度={(1N1+3N3+5N5)/5N}×100N:調査総苗数、N1:軽症苗数、N3:重傷苗数、N5:枯死苗数防除価={1−(処理区の発病度)/(無処理区の発病度)}×100【0026】 【表2】表2に示すように酸性電解水のみの処理では防除価77とやや防除効果が弱いが、これに1% tween20を添加したもで処理することにより防除価100に増強された。 【0027】 【発明の効果】本発明により、殺菌対象物への浸透性に優れた、酸性電解水からなる病害防除剤が提供されることにより、酸性電解水の防除効果がより増強された。このことにより、酸性電解水を用いる無農薬の環境保全型持続的農業をより行いやすくなった。 整理番号30化学式等を記載した書面明細書【表1】いもち病菌胞子形成阻害試験結果----------------------------------------------浸種前処理 胞子形成率(%) ----------------------------------------------酸性電解水+1%ローパス洗剤 4酸性電解水のみ 26無処理(対照) 74----------------------------------------------【表2】 もみ枯細菌病苗腐敗症防除試験結果---------------------------------------------------- 処理方法 発芽率 防除価 (%) ---------------------------------------------------酸性電解水+tween 20 100 100酸性電解水のみ 100 77農薬処理 100 94対照 100 − --------------------------------------------------- |
| 【出願人】 |
【識別番号】395010303 【氏名又は名称】株式会社機能水研究所
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| 【出願日】 |
平成12年3月21日(2000.3.21) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2001−261501(P2001−261501A) |
| 【公開日】 |
平成13年9月26日(2001.9.26) |
| 【出願番号】 |
特願2000−78629(P2000−78629) |
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