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【発明の名称】 放出制御された農薬粒剤
【発明者】 【氏名】種 和彦

【氏名】遠山 明

【氏名】大淵 悟

【要約】 【課題】水田又は土壌に施用後、農薬活性成分の適当量が長期間にわたり溶出し、薬効が持続する機能を有する農薬粒剤の容易な製造方法を提供する事。

【解決手段】分散質が常温で固形の水不溶性樹脂エマルションを押し出し造粒における練り合わせ工程前に他の基材と混合する事により放出制御型農薬粒剤が得られる。この樹脂エマルションの配合量により農薬活性成分の溶出率を調整可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 農薬活性成分と分散質が常温で固形の水不溶性樹脂エマルションを必須成分とする、農薬活性成分が放出制御されることを特徴とする練り込み押し出し型農薬粒剤。
【請求項2】 常温で固形の水不溶性樹脂がエチレン・酢酸ビニル共重合体である請求項1の農薬粒剤【請求項3】 常温で固形の水不溶性樹脂がエチレン・アクリル酸共重合体である請求項1の農薬粒剤【請求項4】 常温で固形の水不溶性樹脂がパラフィンと石油樹脂である請求項1の農薬粒剤
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する分野】本発明は農薬活性成分が散布後に徐々に放出されるように制御された農薬粒剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と課題】近年の環境問題や安全性に対する社会的意識の高まりより、適当量の農薬活
するなどの重要な利点を有している。
【0003】従来の農薬粒剤に関わる放出制御研究の例を挙げると次のようなものがある。除草性化合物およびワックス状物質からなる粒子を内核粒とし、その表面に除草化合物を付着させる(特開平9−110605)、熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂被膜により農薬粒剤を被覆してなる被覆農薬粒剤(特開平11−5704)、水不溶性アルギン酸塩で被覆されてなる粒状農薬組成物(特開平7−101804)、粒状農薬組成物に疎水性物質を含浸させ更にまわりを疎水性の微粉で被覆したもの(特開平2−286602)、スルホニルウレア系除草活性成分と活性炭とパラフィンワックスと鉱物質担体とからなる(特開昭63−35504)等である。しかしながら、これらの技術は溶出制御の機能を付与する為に多段階の造粒工程を要したり、ワックスを高温で溶解する工程が必要など通常の造粒に比べ困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、農薬粒剤を育苗箱、水田及び畑地に散布したとき、放出制御されていない農薬粒剤と比較して農薬活性成分の放出速度を遅延し、長期間にわたって放出制御される農薬粒剤の開発を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の農薬粒剤は農薬粒剤の製造方法の中でも、多種な農薬活性成分に対応できる、製造が容易、大量生産に適している等の利点を持ち、最も主流な方法である練り込み押し出し造粒法にて製造することができる。すなわち、従来の技術のように放出制御の機能を付与する為に特別な工程や設備投資を必要としない為、コスト的にも製造工程の容易さにおいても優れ、実用性が高い。本発明の放出制御型農薬粒剤は、農薬活性成分と粘土鉱物質を混合し、水不溶性樹脂エマルション及び必要に応じて水を添加後、混練、押し出し機により造粒を行ない、乾燥、整粒を経てえられる。この際、必要に応じて造粒促進剤、結合剤として水溶性バインダー等を添加してもよい。この水不溶性樹脂エマルションを加えて造粒することで、粒剤の水中及び土壌中での膨潤や崩壊性を抑制し、農薬活性成分の水に対する接触を制限し、農薬活性成分を放出制御している。
【0006】本発明における農薬活性成分としては固体、液体に限らずさまざまな物について使用が可能であり、1種あるいは数種混合で使用することができる。農薬活性成分が液体であり、添加量が多い場合については高吸油性粉体を適当量配合すると良い。配合量については0.1〜90重量%であり、必要処理量を考慮に入れて決定すれば良い。
【0007】本発明における粘土鉱物質の例としてはロウ石、タルク、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、ベントナイト、珪石粉、珪藻土類粉末、石膏、軽石粉末等を挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、これらの粘土鉱物質は単独で使用されるのみならず混合して使用することもできる。配合量は0〜95重量%であり、農薬活性成分の配合量に応じて決定すれば良い。
【0008】本発明における樹脂エマルションとしてはエチレン・酢酸ビニル共重合体エマルション、エチレン・アクリル酸共重合体エマルション、エチレン・ベオバ共重合体エマルション、スチレン・アクリル酸共重合体エマルション、アクリル酸エステルエマルション、アクリル・シリコン共重合体エマルション、酸化ポリエチレンエマルション、固形パラフィン・石油樹脂エマルション等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの樹脂エマルションは単独で使用されるのみならず混合して使用することもできる。配合量については固形分で0.1〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0009】本発明における造粒促進剤としてはポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニル硫酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルケニルスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキルタウリン塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの造粒促進剤は単独で使用されるのみならず混合して使用することもできる。配合量については0〜10重量%、好ましくは0.1〜5重量%である。
【0010】本発明における水溶性バインダーとしてはポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、リグニンスルホン酸ナトリウム、デンプン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの水溶性バインダーは単独で使用されるのみならず混合して使用することもできる。配合量については0〜20重量%、好ましくは1〜10重量%である。
【0011】
【実施例】本発明について実施例により更に具体的に説明するが、その要旨を越えない限り、以下に限定されるものではない。
実施例1Ethyl 4−(4−chloro−o−tolyloxy)butyric acetate(以下MCPBエチルエステル)6重量部、クレー77重量部、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム2重量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム5重量部を混合した後、エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルション(固形分50%、商品名:SORPOL 7871(東邦化学工業(株)製品))を20重量部加え、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない農薬粒剤を得た。
【0012】実施例2MCPBエチルエステル6重量部、クレー77重量部、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム2重量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム10重量部を混合した後エチレン・酢酸ビニル共重合体エマルション(固形分50%、商品名:SORPOL 7871(東邦化学工業(株)製品))を10重量部加え、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない農薬粒剤を得た。
【0013】実施例3MCPBエチルエステル6重量部、クレー77重量部、オレフィンスルホン酸ナトリウム2重量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム5重量部を混合した後エチレン・アクリル酸共重合体エマルション(固形分35%、商品名:HYTECS−3127(東邦化学工業(株)製品))を28.6重量部加え、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない農薬粒剤を得た。
【0014】実施例4MCPBエチルエステル6重量部、クレー77重量部、オレフィンスルホン酸ナトリウム2重量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム10重量部を混合した後エチレン・アクリル共重合体エマルション(固形分35%、商品名:HYTECS−3127(東邦化学工業(株)製品))を14.3重量部加え、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない農薬粒剤を得た。
【0015】実施例5MCPBエチルエステル6重量部、クレー82.2重量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム5重量部を混合した後、固形パラフィンと石油樹脂を分散質とするエマルション(固形分30%、商品名:リパックス A−240(近代化学工業(株)製品)):ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム=20:3にて混合したものを23部加え、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない農薬粒剤を得た。
【0016】実施例6MCPBエチルエステル6重量部、クレー82.2重量部及びリグニンスルホン酸ナトリウム5重量部を混合した後、固形パラフィンと石油樹脂を分散質とするエマルション(固形分30%、商品名:リパックス A−240(近代化学工業(株)製品)):水:ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム=10:10:3にて混合したものを23部加え、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない粒剤を得た。
【0017】比較例1MCPBエチルエステル6重量部、クレー73重量部ベントナイト20重量部及びα−オレフィンスルホン酸ナトリウム1重量部を混合し、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない粒剤を得た。
【0018】比較例2MCPBエチルエステル6重量部、クレー85重量部、リグニンスルホン酸ナトリウム8重量部及びα−オレフィンスルホン酸ナトリウム1重量部を混合し、必要量加水し混練、押し出し機により造粒後、乾燥、整粒を行ない粒剤を得た。
【0019】溶出試験<試験方法>容量1000mlふた付き円柱状容器に水道水800ml(水深4cm)を入れる。そこに実施例1〜6及び比較例1,2にて調製した農薬粒剤を均一に散粒し、20℃で静置する。散布量については農薬活性成分の水飽和溶解度に対して90%に相当する量とする。一定期間毎に容器の中心部の水深2cmより採水し、その採取した水中の農薬活性成分濃度を液体クロマトグラフィーで測定し、水道水800ml中に溶出した農薬活性成分量を算出した。供試農薬粒剤中の農薬活性成分が完全に溶出した場合の濃度を溶出率100%として溶出率を算出した。
【0020】<試験結果>溶出試験により得られた結果を表1及び図1〜図3に示す。
【0021】

【0022】表1及び図1〜図3の結果から明らかなように実施例1〜6の農薬粒剤は比較例1、2の農薬粒剤と比較して明らかに農薬活性成分を放出制御していた。また、比較例1、2の農薬粒剤は、1週間で40%以上溶出しており、散粒初期の溶出速度がかなり速いのに対して、実施例1〜6の農薬粒剤では散粒初期の溶出速度を抑制していた。水不溶性樹脂エマルションの添加量による溶出率の差を比較すると(実施例1と2、3と4、5と6で比較)、水不溶性樹脂エマルション添加量の増加につれて溶出速度が遅くなるのが分かる。
【0023】
【発明の効果】本発明により水不溶性樹脂エマルションと他の基剤を混練し、通常の練り込み押し出し造粒法と同一のいたって簡便な方法により放出制御型農薬粒剤を得ることができる。しかも水不溶性樹脂エマルションの添加量を変えることにより溶出速度を調節できる。このようにして得られた放出制御型農薬粒剤は溶出速度を抑制することにより溶出期間が長くなるため、残効性が高くなり、散布後の長期間の防除が可能となることから散布回数を減らすことができ、省力化が可能となる、大雨や漏出による農薬活性成分の流亡を抑制する、農薬活性成分が散布直後に不必要に高濃度にならないため薬害の危険性を回避することができる等の多くの効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000221797
【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社
【出願日】 平成11年8月12日(1999.8.12)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−55303(P2001−55303A)
【公開日】 平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願番号】 特願平11−260865