トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 シロアリ駆除装置およびシロアリの駆除方法
【発明者】 【氏名】廣瀬 博宣

【氏名】皆川 文康

【氏名】内田 有紀

【要約】 【課題】毒餌剤が流失または散逸せず、餌剤やその近傍にカビが生え難い駆除装置とし、餌剤や毒餌剤の誘引性や駆除効率の高いシロアリ駆除装置およびシロアリの駆除方法とすることである。

【解決手段】シロアリ8に無害な嗜好性餌材1およびシロアリ用毒餌剤2からなる2種類の餌材を、それぞれ段ボールをロール形に丸めたものを素材として調製し、この2種類の餌材を隣接させて配置可能な容器3を設け、この容器3はシロアリ8の導入口4を要所に形成できる易切削性を有しかつ液密性の素材である発泡スチロール材で形成し、前記2種類の餌材を装入可能な開口部5およびその蓋を設けたシロアリ駆除装置とする。シロアリ8の導入口に挿入可能な太さに巻かれたロール状の段ボールからなる補助導入餌材7を備える。容器3内にシロアリ8に無害な嗜好性餌材1を装入してシロアリが誘引されるまで待機し、その後、容器内にシロアリ用毒餌剤2を前記嗜好性餌材1に隣接するように装入し、シロアリを後者の餌材に移乗するよう行動させて毒餌を効率よく摂取させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シロアリに無害な嗜好性餌材およびシロアリ用毒餌剤からなる2種類の餌材を調製し、この2種類の餌材を隣接させて配置可能な容器を設け、この容器はシロアリの導入口を要所に形成できる易切削性を有すると共に液密性の素材で形成し、前記容器に前記2種類の餌材を装入可能な開口部およびその蓋を設けてなるシロアリ駆除装置。
【請求項2】 シロアリの導入口を要所に形成できる易切削性を有すると共に液密性のある素材が、発泡スチロール材である請求項1記載のシロアリ駆除装置。
【請求項3】 請求項1記載の駆除装置にシロアリの導入口を形成した際、このシロアリの導入口に導入補助餌材を挿入して設けたシロアリ駆除装置。
【請求項4】 液密性のある素材からなる容器の要所にシロアリの導入口を形成し、前記容器内にシロアリに無害な嗜好性餌材を装入してシロアリが誘引されるまで待機し、その後、容器内にシロアリ用毒餌剤を前記嗜好性餌材に隣接するように装入することにより、シロアリを後者の餌材に移乗するよう行動させて毒餌を摂取させることからなるシロアリの駆除方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シロアリ駆除装置およびシロアリの駆除方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シロアリは、等翅目に属する昆虫の総称であり、わが国にはイエシロアリ、ヤマトシロアリ、サツマシロアリ、カタンシロアリ、オオシロアリなどが棲息している。このようなシロアリ類のうち、特に木質の建造物を食害することが多く、建造物の強度や耐久性を低下させたり、予想外の災害を招く害虫と認められる種類に対して駆除装置や駆除方法が種々開発されている。
【0003】例えば特許第3024651号公報に開示された方法によれば、シロアリは、土の表面下に広範囲の餌集坑道を作るので、建築前の土壌に殺虫剤を吹き付けて建物下に水平なバリアを作る方法があること、またシロアリにより食害を受けやすい棒状もしくはブロック状の木切れを利用し、シロアリ被害を受けた場所の近くにこれを置き、シロアリを誘い寄せて三酸化ヒ素などを注入する方法があること、またはシロアリを誘引する監視装置を土壌に埋めて設け、シロアリを検出した場合にはこれを捕獲し、次いで監視装置を毒物含有のマトリックスと置き換えて駆除する方法などが説明されている。
【0004】因みに、毒物含有のマトリックスは、例えば粉末または小粒子形状のおが屑等セルロース成分と、60〜80%程度の水分および保湿材からなる半固形ペースト状のものなどが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来のシロアリ駆除装置およびシロアリの駆除方法は、毒餌剤等の餌剤を土壌に触れるように設置するので、餌剤や毒餌剤が土壌内に分散しやすく、雨水で流出して地下水系に混入する危険性がある。
【0006】また、地上付近の土壌は、気象条件に応じて湿度が不安定になりやすいので、シロアリの摂食効率も不安定になりやすく、駆除効率が安定しない。
【0007】また、毒餌剤を土壌に触れるように設置すると、毒餌剤内またはその近くで死んだシロアリにカビが生えやすくなり、カビの生えたシロアリを忌避する習性によって他のシロアリが毒餌剤に寄り付かなくなるという問題点がある。
【0008】地上の蟻道に毒餌剤をセットする場合は、誘引物質で誘い寄せることのできる距離は、せいぜい10cm程度であり誘引可能な距離は比較的短かかった。
【0009】また、シロアリ誘引用の餌と毒餌剤とを所定時期に完全に置き換えて使用するので、誘引したシロアリの多くを後者の餌材に移乗するよう行動させて毒餌剤を摂食させうる確率が低くなり、駆除効率が充分でないという問題点もある。
【0010】そこで、この発明は上記した問題点を解決して、餌剤や毒餌剤の誘引性や駆除効率の高いシロアリ駆除装置およびシロアリの駆除方法とし、特に毒餌剤が流失または散逸せず、餌剤やその近傍にカビが生え難い駆除装置とし、またシロアリの誘引および毒餌剤摂食の効率を高めることができるシロアリ駆除装置およびシロアリの駆除方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、この発明は、シロアリに無害な嗜好性餌材およびシロアリ用毒餌剤からなる2種類の餌材を調製し、この2種類の餌材を隣接させて配置可能な容器を設け、この容器はシロアリの導入口を要所に形成できる易切削性を有すると共に液密性の素材で形成し、前記容器に前記2種類の餌材を装入可能な開口部およびその蓋を設けてなるシロアリ駆除装置としたのである。
【0012】上記したシロアリの導入口を要所に形成できる易切削性を有すると共に液密性のある素材としては、発泡スチロール材を採用することが、容器内温度を一定にし、容器内の気密性を高めてシロアリの好む棲息環境を整えるために好ましい。
【0013】上記したように構成されるこの発明のシロアリ駆除装置は、容器の要所を切削してシロアリの導入口を形成できるので、シロアリの駆除が要望される現場の状況に応じて、シロアリの蟻道や営巣に接近または接するように導入口を確実に配置することができ、これによって蟻道や巣に集まっているシロアリを直接に容器内に誘引することができるようになり、これによって駆除効率を充分に高めることができる。
【0014】また、液密性のある素材からなる容器を使用するので、土壌中に薬剤が流出することがなく、毒餌剤の有効成分の効力が低下しにくく、土壌環境の薬剤汚染を防止する。
【0015】このような容器には所定の開口部を形成しているので、2種類の所定餌材を隣接させてこれらを順次に装入可能であり、先ず容器内にシロアリに無害な嗜好性餌材を装入してシロアリが誘引されるまで待機し、その後、容器内にシロアリ用毒餌剤を前記嗜好性餌材に隣接する位置に装入し、後者の餌材にシロアリを移乗させて毒餌を高い確率で摂取させることができる。
【0016】また、発泡スチロールなどから形成された容器を使用すると、容器内を暖かくかつ多湿な環境に保つことができ、シロアリの摂食行動を活発にすることができる。なお、このような環境では、他のアリの容器内への侵入やカビの胞子の侵入も少なくなる。
【0017】また、本願のシロアリの駆除方法に係る発明では、液密性のある素材からなる容器の要所にシロアリの導入口を形成し、前記容器内にシロアリに無害な嗜好性餌材を装入してシロアリが誘引されるまで待機し、その後、容器内にシロアリ用毒餌剤を前記嗜好性餌材に隣接するように装入することにより、シロアリを後者の餌材に移乗するよう行動させて毒餌を摂取させることからなるシロアリの駆除方法としたのである。
【0018】上記の方法において、導入口をシロアリの巣または蟻道上に配置すると共に蟻道または巣と前記導入口を架け渡すように導入補助餌材を配置することが好ましい。導入補助餌材としては、シロアリの導入口を形成した際、これに挿入可能な直径に巻かれたロール状段ボールを採用し、これに湿り気を与えて使用することがシロアリを導入口から容器内に導入させる効率がよくて好ましい。
【0019】シロアリを容器内に誘引する際、容器内にシロアリに無害な嗜好性餌材を装入すると、シロアリの誘引効果が高い状態で長時間維持でき、そのためにシロアリのコロニーのうち、大多数を餌材に誘引することができる。そして、シロアリを容器内へ誘引した後に、嗜好性餌材に隣接する位置にシロアリ用毒餌剤を装入すると、後者の餌材に多数のシロアリを移乗させることができ、毒餌剤の摂取効率を著しく高めることができる。
【0020】因みに、本願の各請求項に係る発明において、移乗とは人為的な行為で嗜好性餌材から毒餌剤に強制的に移行させることではなく、餌の探索行動やその他の行動によってシロアリが嗜好性餌材から毒餌剤に乗り移ることをいう【0021】導入補助餌材を形成された導入口に配置する駆除方法では、容器に形成した導入口が蟻道または巣に接し難い場合にもシロアリを確実に容器内に導入することができるので、駆除効率をいっそう高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態を以下に添付図面に基づいて説明する。
【0023】図1に示すように、実施形態のシロアリ駆除装置は、シロアリに無害な嗜好性餌材1およびシロアリ用毒餌剤2からなる2種類の餌材を、それぞれ段ボールをロール形に丸めたものを素材として調製し、この2種類の餌材を隣接させて配置可能な大きさの容器3を設け、この容器3はシロアリの導入口4を要所に形成できる易切削性を有しかつ液密性の素材である発泡スチロール材で形成し、前記2種類の餌材を装入可能な開口部5およびその蓋6を設けたシロアリ駆除装置である。
【0024】また、このシロアリ駆除装置は、シロアリの導入口に挿入可能な太さに巻かれたロール状の段ボールなどのシロアリに無害な嗜好性餌材からなる補助導入餌材7を備えている。
【0025】この発明に用いる容器3の材質は、前記した発泡スチロール材の他に、適当なものとしてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの周知のプラスチック、またはポリ乳酸系樹脂などからなる生分解性樹脂、木材、紙材または紙材とプラスチックフィルムまたはシートを積層した複合材料などが挙げられる。なお、必要に応じてコンクリートを一部または全体に用いた容器を採用することもできる。
【0026】容器3は、シロアリの好む環境を人為的に創作するために設計されたものであり、空気の流れが少なく、水分の蒸発量を少なくし、かつ照度を低く保つように、ある程度の密閉性をもたせている。
【0027】この発明に用いる2種類の餌材のうち、シロアリに無害な嗜好性餌材の具体例としては、段ボールその他の紙、パルプ、おが屑、木片、酢酸繊維素プラスチック(セルロースアセテート)などからなるセルロース基材が挙げられる。これらは、成形体であっても繊維状などの不定形の形態であってもよく、繊維形態の場合は、編織布または脱脂綿のような不織布のいずれであってもよい。特に、補助導入餌材7の好ましい形態としては、棒状にカットしたセルロースアセテート製の繊維または綿花、木片、不織布などである【0028】因みに、段ボールは、1枚以上のボール紙に波板(長溝の並行連結体)状のボール紙を重ねて一体に接着したものであり、長溝の開口が閉じられたことによって長孔(筒体)が多数並列に形成され、これが内部空隙層を形成している。各長孔は、シロアリの通過する坑道として適当なものであり、ロール状に巻かれたものの内部までシロアリは容易に侵入することができ、そのためにロールの長手方向をシロアリの好む通路として利用できる。
【0029】上記の嗜好性餌材1および前記した補助導入餌材7は、適当に湿らせて軟らかにして、シロアリの摂食し易さを高めて用いることが好ましいが、そのためには用いる液体としては、水、砂糖水、パインオイル、カンファー、ツェン、リナロール、カジネン、テレピン油、ボルネオール、メチルアニソール、シンナミルアルコール、イソサフロール、β−カロチン、バニリン酸、パラオキシ安息香酸、パラクマソン酸、プロトカテキュー酸、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。
【0030】また、この発明に用いるシロアリ用毒餌剤は、周知の遅効性のシロアリ用毒餌剤であってよく、通常、7日〜15日程度の有効期間のある非吸湿性の遅効性殺シロアリ剤を用いる。
【0031】遅効性殺シロアリ剤の有効成分の例としては、オキサゾリン系化合物、ヒドラメチルノン、スルフルアミド、アバメクチン、フェニルピラゾール化合物、ホウ酸、ホウ酸塩またはそのエステル、ミレックスおよびクロロフェナピールなどがあり、特に昆虫成長抑制剤としてフルフェノクスロン、テフルベンズロン、ジフルベンズロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ピリプロキシフェン、ヒドロフェン、メトプレン、フェノキシカルブなど、またはプラレトリンMC(以下、マイクロカプセルのことをMCと略記する)、フェノブカルブMC、シフェノトリンMC、フェニトロチオンMC、クロルピリホスMC、ダイアジノンMCなど、またはニコチノイド化合物として、イミダクロプリド、アセタミプリド、ニテンピラム、シアクロプリド、シアメトキサムなどを使用してもよい。
【0032】上記したような有効成分のうち、固体のものは溶剤に溶解した後、前記同様の嗜好性餌材に含浸して使用するか、または粉状のものを打錠するか、おが屑などの餌材に混ぜて成形し、例えばパーティクルボードなどのように圧縮成形してもよい。
【0033】以上述べたシロアリ駆除装置は、以下のように使用することが好ましい。
【0034】すなわち、容器3の要所にシロアリの導入口4を形成し、ロール状の段ボールからなる補助導入餌材7を導入口4に挿入し、容器内にはシロアリに無害な嗜好性餌材1を装入する(図2)。
【0035】そして、図3に示すように、多数のシロアリ8が誘引されるまで待ち、その後、図4に示すように、容器3内にシロアリ用毒餌剤2を嗜好性餌材1に隣接する位置に装入する。
【0036】図5に示すように、このようにするとシロアリ用毒餌剤2に多数のシロアリ8が自然な摂食行動によって移乗し、効率よく毒餌を摂取させることができるようになる。
【0037】そして、種々のシロアリ駆除試験を重ねた結果からも、餌剤や毒餌剤の誘引性や駆除効率の高いシロアリ駆除装置であることが判明し、毒餌剤の近傍にカビが生え難い駆除装置であり、シロアリの誘引効率および毒餌剤の摂食効率が高く、しかも毒餌剤が流失または散逸しないシロアリ駆除装置であり、優れたシロアリ駆除方法を提供できた。
【0038】
【発明の効果】以上のように、この発明のシロアリ駆除装置は、シロアリの蟻道や営巣に接近するように導入口を適所に配置して、シロアリを容器内に誘引し駆除する効率を高め、液密性のある素材からなる容器の使用により、土壌中に薬剤が流出することがなく、毒餌剤の有効成分の効力低下が起こり難く、しかも土壌環境の薬剤汚染を防止する。
【0039】そして、この発明のシロアリ駆除装置は、容器内にシロアリに無害な嗜好性餌材を装入してシロアリを誘引し、その後、容器内にシロアリ用毒餌剤を前記嗜好性餌材に隣接する位置に装入するように使用できるので、毒餌剤に多数のシロアリを効率よく移乗させて毒餌を高い確率で摂取させ、誘引性や駆除効率に優れたシロアリ駆除装置である。
【0040】また、当初にシロアリに無害な嗜好性餌材を装入してシロアリが誘引されるまで待機し、その後、容器内にシロアリ用毒餌剤を前記嗜好性餌材に隣接する位置に装入する駆除方法に係る発明は、毒餌剤に多数のシロアリを移乗させて毒餌を高い確率で摂取させることができるため、誘引性や駆除効率の高いシロアリの駆除方法であるといえる。
【出願人】 【識別番号】000250018
【氏名又は名称】有恒薬品工業株式会社
【出願日】 平成12年5月9日(2000.5.9)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−314145(P2001−314145A)
【公開日】 平成13年11月13日(2001.11.13)
【出願番号】 特願2000−135908(P2000−135908)