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【発明の名称】 魚釣用電動リール
【発明者】 【氏名】千葉 真

【要約】 【課題】船に備え付けられた電源(船電源)により従来の電動リールを駆動させた際に一時的な電源電圧低下により、モータが停止・駆動を繰り返したり、ICモジュールがリセットされることがあった。

【解決手段】本発明の電動リールは、釣り糸の巻き取りをデューティ制御されるモータを駆動させて行い、電力を供給する船用電源(又は携帯用バッテリ)の一時的な供給電圧低下を検出部で検出した場合には、モータを通常駆動させる駆動電圧(デューティ比100%)から駆動レベル(駆動トルクや回転数)を制限した駆動を行うためにデューティ比を小さくした制限駆動電圧に切り換えて印加することにより、供給電圧の低下を抑制しつつ、供給電圧遮断によるモータの駆動停止を防止して、実釣時における巻取り不能状態を回避し、供給電圧が回復した際には通常駆動に復帰させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 リール本体の両側板間に、釣糸を巻回保持するスプールを回転可能に支持すると共に、該スプールを駆動するスプールモータを備え、駆動用電源から供給された電力で該スプールモータを駆動して釣糸を巻き取る魚釣用電動リールにおいて、前記駆動用電源の電圧を検出する検出手段をリール本体に設け、該検出手段にて検出された電源の電圧低下を検知して、モータの出力を制限すると共に、電圧の復帰を検出した際にモータ出力を通常状態に復帰させる制御手段を備えたことを特徴とする魚釣用電動リール。
【請求項2】 釣糸をモータにより巻回する魚釣用電動リールにおいて、外部から供給される駆動用電源を入力する入力部と、前記入力部に入力した電源電圧値を検出する検出部と、前記モータへ通常駆動時にはデューティ比100%の駆動用パルス電圧を印加して駆動させるモータ駆動部と、前記電圧検出部による検出結果に基づき前記モータ駆動手段を制御する制御部と、を具備し、前記電圧検出部による供給電圧値が前記制御部をリセットさせないレベルとして設定した最低駆動電圧値に達したならば、前記駆動用パルス電圧のデューティ比を下げた制限駆動電圧に切り換えて前記モータに印加して該供給電圧の低下を抑制し、元の供給電圧に回復したならばデューティ比100%の駆動用パルス電圧に切り換えることを特徴とする魚釣用電動リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、駆動用電源から供給される電圧が低下しても対応可能な魚釣用電動リールに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に魚釣用電動リールは、リール本体の両側板間に、釣糸を巻回保持するスプールを回転可能に支持すると共に、該スプールを駆動するスプールモータを備え、駆動用電源から供給された電力でスプールモータを駆動して釣糸を巻き取る巻取り駆動機構を備えている。通常は、この駆動用電源として、携帯可能な小型バッテリーが用いられている。
【0003】また電動リールはICモジュール等により制御され、釣糸の繰出し及び巻取り量の計測する糸長計測装置が備え付けられている。このICモジュールは、5V前後の駆動電圧により動作させており、万一印加電圧が駆動電圧の下限(以下、最低駆動電圧と称する)を下回ると、動作がリセットされて初期状態に戻るように設定されている。
【0004】通常、バッテリーは使用時間の経過に伴い消耗して、供給電圧(電流)が徐々に低下し、いずれはICモジュールの最低駆動電圧をも下回ることとなる。このICモジュールのリセットが使用中に発生することを防止するために、電動リールには最低駆動電圧を下回る前にモータヘの電圧印加を遮断し、手巻きに切り換えさせて、実的に継続(データの表示)できるように、電圧検出部とモータヘの電圧印加を遮断する制御部が備えられている。この制御部は、消耗したバッテリーを充電したバッテリーに交換する等を行い、供給電圧が回復した場合には、モータヘ再び電圧印加を自動的に再開するように制御している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述した携帯用バッテリーは、充電容量に応じてそれなりの重量があり、長時間使用しようとして容量の大きなものを選択するほど、持ち運びに労力が必要となる。それに大容量のものを選択したとしても供給能力には限度があり、使用時間が長い場合には、モータの駆動量を減らす即ち、釣糸の巻取り回数を減らしたり、手巻きに切り換えて行うなど、釣自体に制限を与えかねない。
【0006】これらの理由から近年においては、この携帯用バッテリーに替わる駆動用電源として、船に備え付けられた電源(船電源)を利用する人々が増えてきている。この船用電源は、船に積載された発電機によって常時供給されているので安定した電力供給が可能となっており、また釣り人にとっては自分の電動リールにあった接続用の電源ケーブルを用意するだけでよく、これまでのバッテリーの持ち運びや充電作業が不要となり、便利さから急速に普及している。この船用電源を用いる場合、船用電源は24V仕様であることが多く、この場合にはレギュレータなどで電圧を降圧させて使用している。
【0007】実際のモータ駆動においては、巻き取るためのモータの駆動開始時が最大負荷となるため消費電流が大きくなり、その影響により供給電圧が急激に降下する現象が発生する。このため、レギュレータの容量が小さい場合には、船上にいる複数の人々がいっせいに電動リールを駆動させると、レギュレータの能力を超えてしまい、供給電圧が低下していき、モータ駆動停止電圧に達する(点A)と、制御部によりモータへの電圧印加が遮断され、モータ駆動が停止する。このモータ駆動停止により負荷が軽減されるため、その後から供給電圧が回復して、再びモータの駆動が開始されている。このため、モータの回転動作は、駆動・停止が繰り返し行われることとなり、不安定となる。これにより図6に示すように、供給電圧は、モータの駆動を停止させる電圧まで下がったり再び上昇したりする特性となっている。
【0008】さらに、このようなモータの駆動・停止が発生しているときに、さらに同じ船電源に接続する複数の竿に同時に魚が掛かり、一斉に巻き取りを開始するなど急激な大きい負荷が発生すると、駆動再開時のオーバーシュート(突入)電流が大きくなり、供給電圧が急峻に変動して、ICモジュールの最低駆動電圧をも下回ってしまうこと(点B)が起こり、ICモジュールは内部のメモリに現在の状況がリセットされてしまうため、再度駆動した時に表示しなければならないデータ(繰出し糸長、棚、こませタイマー等のデータ)が消失されてしまい、供給電圧が回復したとしても正確な表示ができなくなってしまう場合がある。
【0009】また、供給電圧が低下している状態において、外部からのノイズ等による急峻な電圧変化が生じた場合にもこのようなICモジュールのリセットは発生する可能性がある。また、このような現象は電源ケーブルが長く電圧降下がある場合やケーブル径が細く流れる電流が不足する場合にも発生することがある。この傾向は、高出力モータを搭載した電動リール程、顕著に現れている。
【0010】そこで本発明は、携帯用バッテリー又は船用電源を使用して駆動している際に、過負荷による供給電圧の一時的な低下が発生したとしても、モータへの印加を停止させること無く駆動状態を維持させ、現在の釣り状況に係るデータを保持しつつ、実釣時における巻取り不能状態を回避する魚釣用電動リールを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成するために、リール本体の両側板間に、釣糸を巻回保持するスプールを回転可能に支持すると共に、該スプールを駆動するスプールモータを備え、駆動用電源から供給された電力で該スプールモータを駆動して釣糸を巻き取る魚釣用電動リールにおいて、前記駆動用電源の電圧を検出する検出手段をリール本体に設け、該検出手段にて検出された電源の電圧低下を検知して、モータの出力を制限すると共に、電圧の復帰を検出した際にモータ出力を通常状態に復帰させる制御手段を備える魚釣用電動リールを提供する。
【0012】このように構成された釣用電動リールは、例えば、船用電源を使用した際に発生する一時的な電圧低下の状態では、モータ出力を下げた駆動電圧(制限駆動電圧)をモータに供給することにより、電源電圧低下を抑制してモータを停止させること無く、モータ駆動を維持させ、電源電圧が回復したならば、通常の駆動電圧に復帰させて、実釣時における巻取り不能状態を回避させる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0014】図1には、本発明の実施形態に係る魚釣用電動リールを正面から見た外観及び内部構成(破線)の一例を示し、図2には電気的なブロック構成の一例を示す。
【0015】この電動リール1は、図中向かって右側に手動ハンドル2が取り付けられたリール本体3の左右フレーム(図示しない)の間には、スプール軸4が軸受によって回転可能に支持されている。このスプール軸4を囲繞するようにスプール5が設けられている。また、スプール軸4の一方は、ギヤ列6を介してスプール駆動用のモータ7に連結されている。このギヤ列6内にモータ駆動と手動との切換機構が含まれている。
【0016】また図2に示すように、リール本体3内には、電源ターミナルからの電源ケーブル8に嵌合するコネクタ9を含む入力部10と、モータ7を駆動するモータ駆動部11と、入力部10に入力された供給電圧(電流)値を検出する検出部12と、検出部12による検出値に基づき供給電圧が低下した場合にモータ駆動部11へモータ7の駆動電圧を指示する制御部13と、制御部13の制御によりデータ(繰出し糸長、棚、こませタイマー等のデータ)表示を行うためのLCD等からなる表示部14とが設けられている。尚、制御部13は、ICモジュール等からなり、モータ駆動部11や表示部14の他にもリール本体3内の構成部位全体を制御しているものとする。
【0017】このように構成された電動リール1において、モータ7は、モータ駆動部11から出力されたパルス波形のデューティ比を変化させた駆動電圧により駆動されている。通常の駆動においては、モータ駆動部11により図3(a)に示すような一定な電圧値の駆動電圧(以下、通常駆動電圧と称する)がモータ7に印加されている。この通常駆動電圧によりモータ7が駆動する場合には、最大トルク及び最大回転数(Hiモード)により駆動しており、この時のギヤ列による最大速度は、例えば1〜31段階のうちの最速となる31速に達して駆動する。この速度調整は、図1に示すようにリール本体3の手動ハンドル2側の前方に取り付けたレバー15の操作により、1〜31速のリニアな調整を行うことができる。
【0018】しかし、このような通常駆動電圧によるHiモードのみで駆動させていると、負荷によりレギュレータの能力を超えて供給電圧の値が低下した場合には、前述した様な問題が発生してしまう。そこで本実施形態では、図3(b)に示すように、検出部12で検出された検出値に基づき、制御部13が供給電圧が低下したと判断した場合には、制御部13の制御により、モータ駆動部11からモータ7へ一定レベルの駆動電圧(即ちデューティ比100%)からデューティ制御されるパルス波形の駆動電圧(以下、制限駆動電圧と称する)を出力する。
【0019】この制限駆動電圧は、デューティ比によりパルス幅を制御したものであり、例えば、図3(b)には、30速に速度を落とした場合のデューティー比80%による制限駆動電圧を示している。このような制限駆動電圧に移行させることにより、従来の供給電圧の80%で駆動することとなる。このデューティ比は、制御部13により設定される。
【0020】本実施形態においては、制限駆動電圧によるモータ速度は、レバー15の操作による最高速を31速から30速に速度を落とすようにデューティ比を設定して駆動させるようにしている。勿論、この減速速度に限定されるものではなく、任意に種々の速度が設定できる。
【0021】また、図3(b)に示すように、パルス波形の立ち下がり部分(矢印C)においては、供給電圧が遮断された後もモータ7が慣性力に従い回転を継続するため、モータ7が発電機として機能し、わずかであるが電力が発生する。この発電作用により発生した電力を入力部10に設けたコンデンサ等に充電することにより蓄電し、図6で示した供給電圧の急峻が変化が発生して低下した場合には制御部13への駆動用電力として利用する。これにより供給電圧がICモジュールの最低駆動電圧に達したとしてもリセットを防止するように作用する。
【0022】次に図4に示すフローチャートを参照して、このように構成された電動リール1の動作において、モータ7が最も電力を必要とする巻き取り動作について説明する。また、図5には、制限駆動電圧によりモータ7を駆動させた場合の供給電圧の変化の一例を示す。
【0023】この図5に示すように、モータ駆動停止電圧よりも高い電圧レベルで制限駆動レベル(電圧レベル)を設定する。この設定により、供給電圧が電動リール1の負荷により降下して制限駆動レベルに達すると、制限駆動電圧によるモータ駆動に切り換わる。
【0024】まず、電動リール1の巻き取りスイッチ例えば、レバー15を操作して巻き取り開始を指示する(ステップS1)。ここで、巻き取り操作されたならば(YES)、制御部13は検出部12による検出値により供給電圧が制限駆動レベルに達したか否かを判定する(ステップS2)。この判定で、制限駆動レベル以上であった場合には(YES)、通常のHiモード駆動を行う(ステップS3)。
【0025】しかし、供給電圧が制限駆動レベル以下であった場合には(NO)、図3(b)に示したような制限駆動電圧による制限駆動を行う(ステップS4)。そして、通常駆動若しくは制限駆動による巻き取りを行い、次に巻き取りが終了したか否かを判定し(ステップS5)、巻き取りが終了したならば(YES)、この巻き取りルーチンを終了する。一方、巻き取りが終了していないならば(NO)、前記ステップS2に戻り、巻き取り動作を継続する。尚、レバー15の操作により、巻き取りを途中で中止させた場合は、巻き取り終了と同様にモータ7を停止させて、この巻き取りルーチンを終了させる。
【0026】以上説明したように、本実施形態の電動リールによれば、船用電源を使用した際に発生する一時的な供給電圧低下が発生した状態で、電動リールを駆動させた場合に、通常駆動状態から駆動レベル(駆動トルクや回転数)を制限した制限駆動に切り換えることにより、モータを停止させること無く、実釣時における巻取り不能状態を極力回避することができる。
【0027】また、モータヘの電力供給を遮断せずに、デューティ制御等で徐々に電力供給を減じるので、電圧の変動幅を小さくすることが可能となり、ICモジュールのリセットを回避することができる。また、バッテリーの電力低下によるモータ巻取り不能状態を極力回避できる。
【0028】さらに、モータをデューティ制御により駆動した場合には、デューティ比が小さくなると回転にムラが発生して異常音を発生する場合があるため、滑らかな連続運転ではなくなった場合には、モータ駆動回路の出力側に平滑回路等を備えておき、パルスの立ち上がりと立ち下がりの差を少なくしてもよい。但し、モータの回転による発電作用は少なくなる。
【0029】また、図5に示した供給電圧において、ノイズ等による急峻な変化を防止して、さらに平坦にするために、入力部に蓄電作用を行う構成部位(例えば、コンデンサ)や平滑回路等を設けてもよい。
【0030】尚、本実施形態では、船用電源を使用した例について説明したが、勿論、携帯用バッテリーに適用することもできる。つまり、バッテリーにおいても大きな負荷が継続してかかると、供給電圧(電流)が著しく低下するが、しばらくすると電圧が回復する特性を持っている。これに本実施形態を適用することにより、供給電圧の低下時に電動リールへの供給電圧の形態を切り換えて、見かけ上、最大負荷を小さくすることによりバッテリーの供給電圧の著しい低下を緩和させることができる。
【0031】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、携帯用バッテリー又は船用電源を使用して駆動している際に、過負荷による供給電圧の一時的な低下が発生したとしても、モータへの印加を停止させること無く駆動状態を維持させ、現在の釣り状況に係るデータを保持しつつ、実釣時における巻取り不能状態を回避する魚釣用電動リールを提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【出願日】 平成12年5月31日(2000.5.31)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開2001−340041(P2001−340041A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−162516(P2000−162516)