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【発明の名称】 養蜂方法と養蜂用の巣箱
【発明者】 【氏名】今里 岑生

【要約】 【課題】日本ミツバチを用いて養蜂を良好に行うことができる養蜂方法と養蜂用の巣箱を提供する。

【解決手段】養蜂方法は、日本ミツバチを使用し、巣箱内に日本ミツバチの巣を保持させた巣枠を挿入して行う養蜂方法である。分封した分封日本ミツバチ群を巣箱に導入して巣作りを行わせ、蜂の巣が巣箱1の複数段に渡って大きく営巣されたとき、上から第一段巣箱2と第二段巣箱3の間に細い針金または刃物を通して水平方向に動かすことにより、巣箱1内の蜂の巣の上部を分離させ、取り外した第一段巣箱2内から蜂の巣を取り出して蜂の巣から蜂蜜を採取し、その後、第二段巣箱3の開口した上面に、蓋板5を取り付けて、日本ミツバチに営巣を継続させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数段に分離可能に形成された縦長箱形の巣箱内で、日本ミツバチに営巣を行なわせて、養蜂を行なう養蜂方法であって、分封した分封日本ミツバチ群を該巣箱に導入して巣作りを行わせ、蜂の巣が該巣箱の複数段に渡って大きく営巣されたとき、上から第一段巣箱と第二段巣箱の間に細い針金または刃物を通して水平方向に動かすことにより、該巣箱内の蜂の巣の上部を切り離し、取り外した該第一段巣箱内から蜂の巣を取り出して該蜂の巣から蜂蜜を採取し、該第二段巣箱の開口した上面に、蓋板を取り付けて、日本ミツバチに営巣を継続させることを特徴とする養蜂方法。
【請求項2】 日本ミツバチに営巣を行なわせて養蜂を行なう養蜂用の巣箱であって、少なくとも上から第一段巣箱と第二段巣箱が分離可能に上下に組み付けられて縦長の箱形に該巣箱が形成され、該第一段巣箱と第二段巣箱の間が細い針金または刃物を挿通可能な平面を分離面として形成され、該第一段巣箱の上部に蓋板が着脱可能に被せられ、該蓋板の側面を含む該巣箱の側壁部に複数の通気孔が設けられ、該通気孔には金網が張設されていることを特徴とする養蜂用の巣箱。
【請求項3】 前記第一段巣箱の上部には、両側に隙間を形成した状態で内蓋板が取り付けられ、該内蓋板の上を空間を持って覆うように前記蓋板が該第一段巣箱の上部に被せられたことを特徴とする請求項2記載の養蜂用の巣箱。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蜂蜜を採取する養蜂方法とその方法に使用する巣箱に関し、特に日本ミツバチを使用して行う養蜂方法と養蜂用の巣箱に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に行われている養蜂は、西洋ミツバチを使用して行われ、西洋ミツバチを使用する養蜂では、内部に複数の巣板を挿入した巣箱が使用され、巣箱内の各巣板にミツバチの巣が形成される。特に、巣板には、ハニカム形状を持った板状の特殊な巣礎が設けられ、西洋ミツバチはその巣礎の両側に良好に巣を板状に作る性質があるため、そのような巣礎を張設した巣板を巣箱に挿入して、養蜂が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、日本には古くから野生の日本ミツバチが存在し、野山の木々の室などに多くの日本ミツバチが自然に営巣している。しかし、このような日本ミツバチは、従来、殆ど養蜂に使用されることはなかった。その理由として、西洋ミツバチは、巣礎を設けた巣板を巣箱に挿入しておけば、比較的容易に巣を作り、蜜を採取した後の巣の再生も早く、蜂蜜の収穫量も多い。しかし、日本ミツバチは、野生の性質が強いために、巣礎を設けた巣板に日本ミツバチの巣を付けて、営巣を行わせようとしても、蜂は巣礎を食い破ってしまい、西洋ミツバチのために作られた巣箱では、巣を大きくすることができず、蜂蜜の採取も良好に行えない。
【0004】このような理由から、日本ミツバチを使用しての養蜂は、西洋ミツバチを使用する養蜂に比べ、大幅に蜂蜜の収穫量が少ないために、殆ど行われていないのが現状であるが、日本ミツバチの蜂蜜は、密度が高く濃厚であることから、日本ミツバチを用いての養蜂の改善が要望されていた。
【0005】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、日本ミツバチを用いて養蜂を良好に行うことができる養蜂方法とその養蜂方法に使用する巣箱を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の養蜂方法は、複数段に分離可能に形成された縦長箱形の巣箱内で、日本ミツバチに営巣を行なわせて、養蜂を行なう養蜂方法であって、分封した分封日本ミツバチ群を該巣箱に導入して巣作りを行わせ、蜂の巣が該巣箱の複数段に渡って大きく営巣されたとき、上から第一段巣箱と第二段巣箱の間に細い針金または刃物を通して水平方向に動かすことにより、該巣箱内の蜂の巣の上部を切り離し、取り外した該第一段巣箱内から蜂の巣を取り出して該蜂の巣から蜂蜜を採取し、該第二段巣箱の開口した上面に、蓋板を取り付けて、日本ミツバチに営巣を継続させることを特徴とする。
【0007】
【作用】このような養蜂方法では、従来使用されていた巣礎を張設した巣板を使用せずに、箱形の巣箱内の空間に巣を作らせるようにするため、野生の性質が強い日本ミツバチであっても、巣を十分に大きくすることができ、日本ミツバチを利用して多くの蜂蜜を収穫することができる。
【0008】また、蜂蜜を収穫する際には、上から第一段巣箱と第二段巣箱の間に細い針金または刃物を通して水平方向に動かすことにより、巣箱内の蜂の巣の上部を切り離し、取り外した第一段巣箱内から蜂の巣を取り出してその蜂の巣から蜂蜜を採取する。その後、第二段巣箱の開口した上面に、蓋板を被せると共に、必要に応じて、巣箱の最下段に新たな最下段巣箱を取り付けて、日本ミツバチに営巣を継続させる。
【0009】これにより、蜂蜜を採取した後も、更に蜂の巣を大きして蜂蜜を採取することができ、野山に自然に生息する野生の日本ミツバチを利用して、良好に養蜂を行うことができ、日本ミツバチ特有の濃厚で美味しい蜂蜜を、より多く収穫することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。日本ミツバチを用いて養蜂を行う場合、図1に示すような巣箱1を使用する。この巣箱1は、第一段巣箱2、第二段巣箱3、及び第三段巣箱4を、重ねて上から下に縦に連結した、縦長の木箱から形成される。第一段巣箱2と第二段巣箱3には底板がなく、内部空間が連通し、最下段となる第三段巣箱4には底板4aが取付られる。また、第三段巣箱4の正面下部に、細い横長の入口開口部7がミツバチの出入りのために設けられる。
【0011】第一段巣箱2と第二段巣箱3の間、及び第二段巣箱3と第三段巣箱4の間は、側壁となる板の端部を突き合わせただけの形状に形成され、上下の巣箱の当接面は水平な一平面内に位置し、後述の日本ミツバチの営巣後、蜂の巣を切り出す際、その間から切断用の細い針金や刃物を差し入れて巣を切断可能としている。
【0012】このように、側壁の上端部と下端部を当接させただけの第一段巣箱2と第二段巣箱3の間、及び第二段巣箱3と第三段巣箱4の間の角部には、板を直角に曲折した形状のアングル材形の固定具15が、木ねじ等で取外し可能に固定され、第一段巣箱2と第二段巣箱3の間、及び第二段巣箱3と第三段巣箱4の間を連結している。最下段の第三段巣箱4の正面側には、小さい通気孔8が入口開口部7の両側に設けられ、その背面側には縦長の通気孔12が設けられると共に、その両側下部に小さい通気孔13が設けられる。それらの通気孔8、12、13には、全て金網14が張設され、スムシ(ガの幼虫等)の巣箱内への侵入を防いでいる。
【0013】図3の断面図に示すように、巣箱1の最上段の第一段巣箱2の上に、内蓋板6が取り付けられる。この内蓋板6は、巣箱1内で形成される蜂の巣の上部を付着・保持させるための天井板となるものであるが、その付近の通気性をよくするために、内蓋板6の両側に隙間6aを形成した状態で内蓋板6が取り付けられ、巣箱内の空気を上方に逃すように、内蓋板6の上側に空間を介して、蓋板5が第一段巣箱2の上を覆うように被せられる。
【0014】蓋板5は矩形板の周囲に、第一段巣箱2の上部を囲う枠板5aを取り付けて形成され、蓋板5を内蓋板6の上で第一段巣箱2の上部に被せた場合、蓋板5と内蓋板6との間に通気用の隙間ができるように、蓋板5は形成される。つまり、図3の断面図に示すように、第一段巣箱2の上部側壁の周囲に枠体が取り付けられ、その上に蓋板5が載ってその内側に空間を作るように、蓋板5が被せられる。なお、蓋板5の枠板の下部に段差部を設け、蓋板5が少し浮かせた状態で第一段巣箱2の上部に被せるようにしてもよく、また、第一段巣箱2の側壁の上端部に段差部を設けることによって、蓋板5を少し浮かせた状態で第一段巣箱2の上に嵌めることもできる。
【0015】蓋板5の側壁を形成する枠板5aの前面には、小さい通気孔9が両側に設けられ、その枠板5aの側面には、横長の通気孔10が両側に設けられ、さらにその背面に、横長の通気孔11が両側に設けられる。これらの通気孔9、10、11には、スムシの侵入を防止するための金網14が張設される。蓋板5は第一段巣箱2の上に着脱可能に被せられる。
【0016】日本ミツバチを用いて養蜂を行う場合、まず、春の繁殖期に、上記構成の巣箱1を森の中等の適当な場所に設置し、分封した日本ミツバチをその巣箱1に導き、巣箱1内で巣作りを開始させる。野山に自然に営巣している日本ミツバチは、春になって、一つの巣に複数の女王蜂が生まれた場合、女王蜂は一部の男蜂や働き蜂をつれてその巣を離れ、分封する。このように分封した女王蜂を持つ分封ミツバチ群を巣箱1に導き、その中で巣を作らせる。
【0017】日本ミツバチは巣箱1の中で、巣作りを始め、暫くして蜂の巣20を天井の内蓋板6から吊り下げるように作り、巣を大きくしていく。春から夏に近づくと、気温が上昇し、巣箱1内の温度や湿度も上昇するが、巣箱1の上の蓋板5の四方に通気孔9、10、11が開けられているから、通気を行なって、巣箱1内の温度や湿度を下げることができる。また、日本ミツバチは、スムシ(巣箱内に入り込むガ等の幼虫)に対し非常に弱く、スムシが巣箱1内に侵入すると、営巣を放棄してしまうが、通気孔には金網14が張設してあるから、スムシの侵入を防ぎ、営巣を継続させて、蜂の巣を充分に大きくすることができる。
【0018】このような状態で、春から夏になると、日本ミツバチは、その蜂の巣20を、第一段巣箱2から第二段巣箱3、第三段巣箱4にかけて大きくし、多数の幼虫を育てると共に、その上部つまり第一段巣箱2内の巣に、蜂蜜の貯蔵室を作り、蜜を貯蔵していく。
【0019】蜜の貯蔵室が大きくなったところで、第一段巣箱2と第二段巣箱3の間の固定具15を外し、第一段巣箱2と第二段巣箱3の間に細い針金または刃物を挿入して水平に動かすことにより、巣箱1内の蜂の巣20を第一段巣箱2と第二段巣箱3の間で切断する。そして、第一段巣箱2をその下の第二段巣箱3から分離させて、取り外す。このとき、第二段巣箱3内の蜂の巣20は、その側部が第二段巣箱3の側壁に付着・保持されているので、蜂の巣20の下の部分が落下することはない。このようにして、取り外した第一段巣箱2内の蜂の巣20がそこからから切り取られ、その蜂の巣から蜂蜜が採取される。
【0020】第一段巣箱2を分離した後の第二段巣箱3と第三段巣箱4は、その第一段巣箱2の上部から外した内蓋板6を、第二段巣箱3の上部に隙間6aを両側に設けた状態で固定し、さらにその上から蓋板5を被せる。そして、第三段巣箱4の底板4aを取り外し、第三段巣箱4の下部に、図示しない第四段巣箱を組み合わせて固定具15によって固定し、第四段巣箱の底部に底板4aを固定して、元の三段の巣箱を再構成する。この場合、蜂の巣を外した後の第一段巣箱2を第四段巣箱として用いることも勿論可能である。
【0021】また、第一段巣箱2を取り外した後の第二段巣箱3と第三段巣箱4内の蜂の巣がそれほど大きくなく、空間的に余裕がある場合には、第四段巣箱を取り付けずに、第二段巣箱3の上部に、内蓋板6と蓋板5を取り付けただけの二段巣箱の構成、つまり第二段巣箱3と第三段巣箱4だけの二段巣箱で、その後の日本ミツバチの営巣を継続させるようにしてもよい。
【0022】この後、巣箱1内では、働き蜂によって巣が修復されて、再び巣の上部に蜂蜜が貯蔵され、その蜜を同様に採取することができる。このようにして採取された日本ミツバチの蜂蜜は、西洋ミツバチの蜂蜜に比べ、密度が高く濃厚で美味しく、健康食品等として珍重され、各種の料理の材料としても良好に使用される。
【0023】蜂の巣20が巣箱1の略全体まで大きくなると、蜂の巣20の下部に王室が形成され、そこで女王蜂の幼虫が生まれる。女王蜂は通常、生まれて21日で成虫になるため、成虫になる3日前にその蜂の巣20の王室部分を抜き取り、それを別の新しい巣箱1に入れる。誕生した女王蜂の分封ミツバチ群はその巣箱1で分封し新たに巣作りを開始する。このため、以後は、巣箱1内で人工的に分封させ、日本ミツバチの巣の数を容易に増やし、蜂蜜の収穫量を増やしていくことができる。
【0024】このように養蜂を行うことにより、野生の性質の強い日本ミツバチを使用して、美味しく密度の高い蜂蜜を、効率よく採取することができ、日本ミツバチの蜂蜜の収穫量を従来に比べ、大幅に増大することができる。
【0025】なお、上記実施の形態では、巣箱1の構成を第一段巣箱2、第二段巣箱3、第三段巣箱4の三段構成としたが、二段構成、或は四段構成とすることもできる。
【出願人】 【識別番号】598018856
【氏名又は名称】今里 岑生
【出願日】 平成12年6月1日(2000.6.1)
【代理人】 【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫 (外1名)
【公開番号】 特開2001−340038(P2001−340038A)
【公開日】 平成13年12月11日(2001.12.11)
【出願番号】 特願2000−164022(P2000−164022)