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【発明の名称】 竿体の嵌合構造
【発明者】 【氏名】原田 孝文

【要約】 【課題】簡易な構造で竿体の周方向回転によって尻栓が緩んでしまうのを防止可能な竿体の嵌合構造を提供する。

【解決手段】尻栓10の尻栓本体12の穂先側に開口した窪み内には穂先側に向かってクラッチ溝12aが4カ所形成されている。ストッパー20は、穂先側が開口し竿元側が閉塞され穂先側より内部に元上竿2を挿入し嵌合可能な蓋付き筒状の本体部22と、本体部22の竿元側端面に配置され竿元側に突出して配置されたクラッチピン24と、クラッチピン24を竿元側に付勢するコイルバネ23と、本体部22の穂先側に開口した窪み部内に配置される固定板21と、本体部22の径方向中心に配置される回転軸25とを有している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】振出形式で連結される筒状の竿体の嵌合構造であって、大径竿体と、前記大径竿体の穂先側に振出形式で連結された小径竿体と、前記大径竿体の竿元側端部に脱着自在に螺合して連結される尻栓と、前記大径竿体の内部に前記尻栓の穂先側に隣接して連結された略筒状のストッパーとを備え、前記ストッパーは、内部に前記小径竿体が挿入され嵌合自在であり、かつ前記尻栓の前記大径竿体に対する螺合を解除する周回転方向には前記尻栓に対して相対回転可能であり、その逆周回転方向には前記尻栓に対して相対回転不能なように前記尻栓に連結されている、竿体の嵌合構造。
【請求項2】前記ストッパーは、内部に小径竿体を嵌合可能な筒状の本体部と、前記本体部より竿元側に突出して配置されたクラッチピンと、前記クラッチピンを竿元側に付勢する付勢バネと、前記本体部の径方向中心に配置される固定軸とを有し、前記尻栓は前記クラッチピンが係止されるワンウェイクラッチ溝を有し、前記尻栓と前記ストッパーとは回転軸により連結されている、請求項1に記載の竿体の嵌合構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、振出形式で連結される2つの竿体を嵌合固定するための嵌合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の振出形式の釣竿は、複数の筒状の竿体が穂先側の竿体から順次竿元側の竿体内に挿入可能になっている。釣りを行う際には各竿体を順次穂先側に引き出して嵌合固定して一本の竿体として用いる。一方、収納時には穂先側の竿体を順次竿元側の竿体内に収納してコンパクトな状態とする。
【0003】また、従来の振出形式の釣竿には竿全体の長さを変化させて釣りを行えるように工夫したものがある。このように工夫された釣竿の元竿は、穂先側端部内周面に他の部分よりやや小径に形成され元上竿の竿元側端部を嵌合固定可能な第1嵌合部を有すると共に、竿元側端部内に雌ねじ部材を配置しこの雌ねじ部材に螺合した尻栓とを有する。そして、この尻栓が第2嵌合部を有している。
【0004】この釣竿では、元竿の穂先側に連結される元上竿が穂先側に引き出された状態(以下「延伸状態」という)では元上竿の竿元外周面が第1嵌合部に嵌合固定され、元上竿が元竿内に挿入された状態(以下「収納状態」という)では元上竿の竿元外周面が尻栓の第2嵌合固定部に嵌合固定される。こうして、元竿と元上竿とは「延伸状態」,「収納状態」のいずれの状態においても互いに嵌合固定可能であり、状況に応じて竿全体の長さを変化させて釣りを行える。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の竿全体の長さを変化させて釣りを行えるように工夫した釣竿では、収納状態において元上竿が尻栓に嵌合固定されているため、尻栓に嵌合固定されている元上竿が周方向に回転すると尻栓も周方向に回転し、尻栓の元竿に対する螺合が緩まってしまう恐れがある。この結果、元上竿と元竿との嵌合を上手く解除できない場合が考えられる。
【0006】即ち、元上竿と元竿との嵌合を解除する際に、釣人は元竿と元上竿とを互いに逆周方向にねじり、相互の嵌合を解除して元上竿を元竿より引き出すのが一般的である。この周方向へのねじりを入れる際に元上竿と共に尻栓が回転して、尻栓の元竿に対する螺合が緩まってしまい、言い換えれば元上竿の元竿に対する回転が滑ってしまい、上手く元上竿と元竿との嵌合を解除できない場合が考えられるのである。
【0007】このため、元上竿の周方向回転によって尻栓の周方向回転が生じないように尻栓の周方向回転を規制する必要がある。一方で、尻栓の元竿に対する螺合を可能とするためには尻栓の周方向回転を担保する必要がある。本発明の課題は、簡易な構造で竿体の周方向回転によって尻栓が緩んでしまうのを防止可能な竿体の嵌合構造を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明1にかかる竿体の嵌合構造は、振出形式で連結される筒状の竿体の嵌合構造であって、大径竿体と、大径竿体の穂先側に振出形式で連結された小径竿体と、大径竿体の竿元側端部に脱着自在に螺合して連結される尻栓と、大径竿体の内部に尻栓の穂先側に隣接して連結された略筒状のストッパーとを備えている。そして、このストッパーは、内部に小径竿体が挿入され嵌合自在であり、かつ尻栓の大径竿体に対する螺合を解除する周回転方向には尻栓に対して相対回転可能であり、その逆周回転方向には尻栓に対して相対回転不能なように尻栓に連結されている。
【0009】この構造では、小径竿体を大径竿体の穂先側に引き出した延伸状態においては、通常の振出形式の釣竿のように、小径竿体の竿元側外周面を大径竿体の穂先側内周面に嵌合させて固定する。そして、小径竿体を大径竿体内に挿入した収納状態においては、小径竿体の竿元端部をストッパー内に挿入し嵌合させて固定する。
【0010】このストッパーは尻栓に対して一方向(尻栓の螺合を解除する周回転方向)にのみ相対回転可能に連結されており、ストッパー内に挿入された小径竿体はストッパーと共に尻栓に対して一方向にのみ相対回転する。この結果、収納状態における大径竿体と小径竿体との嵌合を解除する際に、釣人が小径竿体と大径竿体とを互いに周方向にねじり、仮に小径竿体を一方向へ回転させてしまっても、小径竿体と共にストッパーは尻栓に対して相対回転する。即ち、小径竿体とストッパーとは尻栓に対し一方向へ空回りすることになるので、小径竿体及びストッパーの周方向回転が尻栓の元竿に対する螺合を緩めてしまうことはない。一方向と逆方向に小径竿体及びストッパーを回転させた場合には、ストッパーは尻栓に対して相対回転が規制されるが尻栓の大径竿体への螺合を緩めてしまうことない。そして、ストッパーに対して小径竿体を周方向へ回転させることが可能となり、容易に小径竿体のストッパーに対する嵌合を解除できる。
【0011】発明2にかかる竿体の嵌合構造は、発明1の構造であって、ストッパーは、内部に小径竿体を嵌合可能な筒状の本体部と、本体部より竿元側に突出して配置されたクラッチピンと、クラッチピンを竿元側に付勢する付勢バネと、本体部の径方向中心に配置される回転軸とを有し、尻栓は係止ピンが係止されるワンウェイクラッチ溝を有し、尻栓とストッパーとは回転軸により連結されている。
【0012】この場合には、収納状態においては元竿内に挿入される元上竿の竿元側端部がストッパーの本体部内に挿入され嵌合固定される。この尻栓とストッパーと回転軸により相対回転自在に連結されている。そして、付勢バネがストッパーのクラッチピンを竿元側に付勢し、このクラッチピンが尻栓のワンウェイクラッチ溝に係止されることで、ストッパーが尻栓に対して一周方向にのみ回動自在となっている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の一実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、元竿1と、元竿1の穂先側に連結された元上竿2と、元上竿2の穂先側に連結された第1中竿3,第2中竿4,第3中竿5と、第3中竿5の穂先側に連結された穂先竿6とを有している。これら元竿1〜穂先竿6は炭素繊維またはガラス繊維等に合成樹脂を含浸させたプリプレグから形成される先細り筒状部材である。そして、元上竿2〜穂先竿6は穂先側から順次竿元側の竿体の内部に挿入され出し入れ自在になっており、いわゆる振出形式で連結されている。また、穂先竿6の穂先側先端には釣糸を係止するための釣糸係止部7が連結されている。さらに、元竿1の竿元側端部には尻栓10が脱着自在に螺合しており、尻栓10の穂先側に隣接して元竿1の内部にはストッパー20が配置される(図2参照)。
【0014】元竿1は、やや先細りのテーパが形成された筒状部材であり、竿元側端部内周面はねじ山が直接形成されて雌ねじ部となっている。そして、この雌ねじ部に後述の尻栓10が螺合する。また、元竿1の穂先側端部内周面は他の部分より小径化し嵌合雌部となっている(図示せず)。この嵌合雌部には元上竿2を元竿1の穂先側に引き出した延伸状態において元上竿2の竿元側端部が嵌合する。
【0015】図2及び図3に示すように、尻栓10は、元竿1の雌ねじ部に脱着自在に螺合され装着された栓部材であって、合成樹脂製の略筒状部材である尻栓本体12と、尻栓本体12の竿元側に配置される尻栓ゴム11とを有している。尻栓本体12は穂先側端面が開口し穂先側外周面にねじ山が形成されている。このねじ山が雄ねじ部として元竿1の雌ねじ部に螺合する。また、尻栓本体12の穂先側に開口した窪み内には穂先側に向かってワンウェイクラッチ溝12aが4カ所形成されている。このワンウェイクラッチ溝12aは周方向に形成され、かつ尻栓10の元竿1に対する螺合を解除する周回転方向にかけてその深さが順次浅くなるように構成されている。この尻栓本体12の径方向中心には軸方向に回動孔が貫通しており、後述の回転軸25が貫通する。また、尻栓本体12の竿元側端面には係止フランジが設けられ、この係止フランジに尻栓ゴム11がはめ込まれ貫通軸25の竿元側を内包するように固定されている。
【0016】ストッパー20は、穂先側が開口し竿元側が閉塞され穂先側より内部に元上竿2を挿入し嵌合可能な蓋付き筒状の本体部22と、本体部22の竿元側端面に配置され竿元側に突出して配置されたクラッチピン24と、クラッチピン24を竿元側に付勢するコイルバネ23と、本体部22の穂先側に開口した窪み部内に配置される固定板21と、本体部22の径方向中心に配置される回転軸25とを有している。
【0017】本体部22は、およそ軸方向中心付近まで穂先側から開口し中空が構成された蓋付き円筒部材である。この中空内に元上竿2の竿元側端部が穂先側より挿入される。本体部22は径方向中心に軸方向に回動孔が貫通しており、本体部22及び尻栓本体12の回動孔を連続して回転軸25が貫通し、本体部22と尻栓本体12とは互いに周方向に相対回転可能に連結される。また、回動孔の周辺にはピン穴22aが周方向に間隔を隔てて複数箇所に軸方向に向けて形成されている。このピン穴22aは竿元側端部においてややその内径がやや小径化して軸方向に貫通している。このピン穴22aにはそれぞれ穂先側にフランジを有するクラッチピン24がコイルバネ23と共に配置される。クラッチピン24はピン穴22aから竿元側に突出しつつ、そのフランジにより竿元側に抜け出ないようになっており、コイルバネ23によって竿元側に常時付勢されている。さらに、本体部22の穂先側開口よりその中空内には円盤型の固定板21が配置され、この固定板21が回転軸25の穂先側部分と固定される。
【0018】このように構成された釣竿では、穂先竿6〜元上竿2が順次振出形式に竿元側の竿体へ収納されると共に(収納状態)、使用時には順次穂先側に引き出されて嵌合固定され一本の釣竿として用いられる(延伸状態)。この延伸状態においては、通常の振出形式の釣竿のように、各竿体の竿元側外周面を他の竿体の穂先側内周面に嵌合させて固定する。さらにまた元上竿2においては、収納状態においても元竿1の竿元側内に配置されるストッパー20の本体部21に嵌合固定できる(図2参照)。即ち、元上竿2のみを元竿1内に収納し他の竿体を穂先側に引き出した状態として釣竿全体の長さを調整しつつ釣りをおこなうことが可能である。
【0019】ここで、このストッパー20は尻栓10に対して一方向(尻栓10の元竿1に対する螺合を解除する周回転方向)にのみ相対回転可能に連結されている。具体的には、コイルバネ23がストッパー20のクラッチピン24を竿元側に付勢し、このクラッチピン24が尻栓本体12のワンウェイクラッチ溝12aに係止されることで、ストッパー20が尻栓10に対して一方向にのみ回動自在となっている。このため、ストッパー20内に挿入された元上竿2はストッパー20と共に尻栓10に対して一方向(尻栓10の元竿1に対する螺合を解除する周回転)にのみ相対回転する。この結果、収納状態における元竿1と元上竿2との嵌合を解除する際に、釣人が元竿1と元上竿2とを互いに逆周方向にねじっても、元上竿2及びストッパー20の周方向回転が尻栓10の元竿1に対する螺合を緩めてしまうことはない。即ち、元上竿2とストッパー20とは尻栓10に対し一方向へ空回りすることになるので、元上竿2及びストッパー20の周方向回転が尻栓10の元竿1に対する螺合を緩めてしまうことはない。一方向と逆方向に元上竿2及びストッパー20を回転させた場合には、ストッパー20は尻栓10に対して相対回転が規制されるが尻栓10の元竿1への螺合を緩めてしまうことない。そして、ストッパー20に対して元上竿2を周方向へ回転させることが可能となり、容易に元上竿2のストッパー20に対する嵌合を解除できる。
【0020】[他の実施形態]
(a)尻栓とストッパーとの一方向への回転を担保するためには、上記実施形態の他に周知のワンウェイクラッチ機構を用いることが可能である。
【0021】
【発明の効果】本発明に係る嵌合構造によれば穂先側に位置する小径竿体を収納状態において大径元竿の尻栓で嵌合固定した際の尻栓の緩みを防止できる。この結果、小径竿体と大径竿体との嵌合を容易に解除できる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成12年4月5日(2000.4.5)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−286241(P2001−286241A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2000−103077(P2000−103077)