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【発明の名称】 釣竿及びその製造方法
【発明者】 【氏名】細谷 靖典

【氏名】橋本 浩志

【要約】 【課題】低コストで生産性も高くかつ高級感にあふれる表面の模様・絵柄を有する釣竿を提供する。

【解決手段】元竿1は、長手方向中央付近において元竿1の周面に配置された刺繍布10と、刺繍布10上に塗布されるクリア層11とを有している。刺繍布10はナイロン繊維,レーヨン繊維等の合成繊維等によって織り込まれた布状部材である。この刺繍布10には、合成樹脂の表面にアルミニウムやチタン等の金属を蒸着させ糸状に裁断した金属蒸着樹脂糸10aによって模様や文字が刺繍されている。また、クリア層11はエポキシ樹脂等の透明な合成樹脂から構成される。刺繍布10と共に元竿1の周面をコーティングしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】魚釣りに用いる釣竿であって、竿体と、前記竿体の周面に配置された刺繍布層と、前記刺繍布層上に塗布されるクリア層とを備えた釣竿。
【請求項2】前記刺繍布層は布地に金属蒸着樹脂糸で刺繍が施された布状部材からなる、請求項1に記載の釣竿。
【請求項3】前記刺繍布層は布地に金属蒸着樹脂糸で刺繍が施された刺繍リボンを前記竿体周面に螺旋状に巻回して形成されている、請求項1の記載の釣竿。
【請求項4】魚釣りに用いる釣竿の製造方法であって、芯材に繊維強化樹脂からなるプリプレグシートを巻回し焼成して竿体を得る工程と、布地に刺繍を施して刺繍布を形成する工程と、前記竿体周面に前記刺繍布を配置する工程と、前記刺繍布上にクリア樹脂をコーティングする工程とを含む釣竿の製造方法。
【請求項5】魚釣りに用いる釣竿の製造方法であって、芯材に繊維強化樹脂からなるプリプレグシートを巻回する工程と前記プリプレグの外周に、繊維強化樹脂からなり刺繍が施された刺繍プリプレグシートを巻回する工程と、これらを焼成して竿体を得る工程と、前記竿体周面ににクリア樹脂をコーティングし表面加工を施す工程とを含む釣竿の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、魚釣りに用いる釣竿及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】釣竿は嗜好性の高い商品であり、その竿体の表面には様々な模様・絵柄が描かれることが多い。このような模様・絵柄を竿体の表面に描いた釣竿としては、以下のようなものが知られている。あるタイプの釣竿は、竿体表面に模様・絵柄をプリントしたものである。このような釣竿は、加工という観点においては比較的簡易であるが、模様・絵柄が平面的であり高級感に乏しい。
【0003】別のタイプの釣竿は、竿体の表面に人手にて直接手芸を施したものである。即ち、種々の模様糸を竿体周面に巻回しつつ編み込んで様々な模様や絵柄を竿体周面に描き出すものである。このような釣竿は確かに高級感に富むが、加工者の高度な能力が必要とされコストの上昇及び生産性という点から問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、低コストで生産性も高くかつ高級感にあふれる表面の模様・絵柄を有する釣竿を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】発明1にかかる釣竿は、魚釣りに用いる釣竿であって、竿体と、竿体の周面に配置された刺繍布層と、刺繍布層上に塗布されるクリア層とを備えている。この釣竿では、刺繍布層で竿体周面に模様や絵柄を構成する。この刺繍布層は予め別途作成されたものであり、例えば、既存の刺繍機械や織機を用いて作成できる。このような刺繍布層を竿体上に配置しクリア層でコーティングすることにより、立体的で高級感に富む絵柄や模様を容易に竿体上に配置可能である。
【0006】発明2にかかる釣竿は、発明1の釣竿であって、刺繍布層は布地に金属蒸着樹脂糸で刺繍が施された布状部材からなる。この刺繍布層は金属蒸着樹脂糸で刺繍が施されており、この金属蒸着樹脂糸が刺繍布層を竿体周面に配置後クリア樹脂でコーティングする際に、刺繍柄が変色したりするのを抑えている。また、メタリック調の良好な模様・絵柄を演出し得る。
【0007】ここで用いている金属蒸着樹脂糸とは、合成樹脂の表面にアルミニウムやチタン等の金属を蒸着させ糸状に裁断したものである。この金属蒸着樹脂糸の他には、色糸にワックスコーティングを施したもの等も用いることができる。発明3にかかる釣竿は、発明1の釣竿であって、刺繍布層は布地に金属蒸着樹脂糸で刺繍が施された刺繍リボンを竿体周面に螺旋状に巻回して形成されている。
【0008】この場合には、予め別途用意した刺繍リボンを竿体の周面に螺旋状に巻回することで竿体周面に容易に模様・絵柄を構成することができ、作業性がさらに向上する。この刺繍リボンとは、リボン状の布材表面に刺繍を施したものである。発明4にかかる方法は、魚釣りに用いる釣竿の製造方法であって、芯材に繊維強化樹脂からなるプリプレグシートを巻回し焼成して竿体を得る工程と、布地に刺繍を施して刺繍布を形成する工程と、竿体周面に刺繍布を配置する工程と、刺繍布上にクリア樹脂をコーティングする工程とを含む。
【0009】この方法によれば、予め別途作成された刺繍布を竿体周面に配置して竿体周面に模様・絵柄を構成し、クリア層でコーティングすることにより、立体的で高級感に富む絵柄や模様を有する釣竿を容易に製造できる。発明5にかかる方法は、魚釣りに用いる釣竿の製造方法であって、芯材に繊維強化樹脂からなるプリプレグシートを巻回する工程と、プリプレグの外周に繊維強化樹脂からなり刺繍が施された刺繍プリプレグシートを巻回する工程と、これらを焼成して竿体を得る工程と、竿体周面ににクリア樹脂をコーティングし表面加工を施す工程とを含む。
【0010】この方法では、竿体自体を構成する繊維強化樹脂からなるプリプレグシートであって最外層に位置するものとして直接刺繍を施したもの(刺繍プリプレグシート)を用いることで、竿体に一体的に模様・絵柄を容易に施すことが可能である。
【0011】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。本発明の第1実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、元竿1と、元竿1の穂先側に順次連結される元上竿2,第1中竿3,第2中竿4、第3中竿5及び穂先竿6とを有している。この元竿1〜穂先竿6は後述のようにプリプレグシートから構成される先細り筒状部材である。穂先竿6から竿元側に位置する竿体内へ順次挿入され収納可能であり、いわゆる振出形式で連結されている。また、穂先竿6の穂先側先端には釣糸を結び付けて係止可能な毛糸状部材である釣糸係止部7が連結されており、元竿1の竿元側端部には尻栓8が脱着自在に装着されている。
【0012】図2及び図3に詳しく示すように、この元竿1は、長手方向中央付近において元竿1の周面に配置された刺繍布10と、刺繍布10上に塗布されるクリア層11とを有している。刺繍布10はナイロン繊維,レーヨン繊維等の合成繊維等によって織り込まれた布状部材である。この刺繍布10自体の色彩は別段限定されるものではないが、元竿1の周面塗装色と同色または黒色が好ましい。この刺繍布10には、合成樹脂の表面にアルミニウムやチタン等の金属を蒸着させ糸状に裁断した金属蒸着樹脂糸10aによって模様や文字が刺繍されている。金属蒸着樹脂糸10aとしては様々な色彩の複数の糸が用いられ、例えば魚の図柄や商品名等がこの刺繍布10に刺繍される。この刺繍方法としては周知の方法を用いることが可能であり、例えばコンピューター制御された刺繍機や織機等により刺繍できる。また、クリア層11はエポキシ樹脂等の透明な合成樹脂から構成される。刺繍布10と共に元竿1の周面をコーティングしている。
【0013】この元竿1は以下のようにして製造される。まず、所定のテーパが施されたマンドレルの周面に離型材等を必要に応じて塗布し、この周面に炭素繊維やガラス繊維に熱硬化性樹脂を願浸させたプリプレグをシート状に加工したプリプレグシートを巻回する。このプリプレグシートの外周に圧をかけて保護用テープを巻回した後、炉内において焼成する。その後、マンドレルを引き抜き保護用テープ等を剥離し表面を研磨して元竿1を構成する。
【0014】その後、図2(a)に示すように、元竿1の所定の位置に予め刺繍機等によって刺繍を施した刺繍布10を配置し、接着剤等によりまたは刺繍布10の長さ方向両端を留糸で巻回して、刺繍布10を元竿1に仮止めする。その後、刺繍布10の表面から透明なエポキシ樹脂等を塗布してコーティングし、さらに表面加工を施して、図2(b)に示すように、表面に絵柄・模様を施した元竿1を製造する。
【0015】このように構成された釣竿では、刺繍布10を元竿1上に配置することで、容易に立体的で高級感に富む絵柄や模様を容易に竿体上に配置可能である。特に、この刺繍布10は金属蒸着樹脂糸10aで刺繍が施されており、この金属蒸着樹脂糸10aが刺繍布10を竿体周面に配置後クリア樹脂でコーティングする際に、刺繍柄が変色したりするのを抑えることができる。また、メタリック調の良好な模様・絵柄を演出し得る。
【0016】[第2実施形態]以下、本発明の第2実施形態を採用した釣竿を説明する。図4に示すように、本発明の第2実施形態を採用した釣竿の元竿1は、長手方向中央付近において元竿1の周面に配置された刺繍リボン20と、刺繍リボン20上に塗布されるクリア層21とを有している。
【0017】刺繍リボン20はナイロン繊維,レーヨン繊維等の合成繊維等によって織り込まれた布材を裁断しリボン状に形成したものである。この刺繍リボン20には、合成樹脂の表面にアルミニウムやチタン等の金属を蒸着させ糸状に裁断した金属蒸着樹脂糸20aによって模様が刺繍されている。そして、元竿1の周面に螺旋状に順次巻回されている。この刺繍方法としては、第1実施形態と同様に周知の方法を用いることが可能であり、例えばコンピューター制御された刺繍機や織機等により刺繍できる。また、クリア層21はエポキシ樹脂等の透明な合成樹脂から構成される。
【0018】この元竿1は以下のようにして製造される。まず、第1実施形態と同様にして、所定のプリプレグシートから元竿1を構成する。その後、図4(a)に示すように、元竿1の所定の位置に予め刺繍機等によって刺繍を施した刺繍リボン20を順次巻回し、接着剤等によりまたは刺繍リボン20の長さ方向両端を留糸で巻回して、刺繍リボン20を元竿1に仮止めする。その後、刺繍リボン20の表面から透明なエポキシ樹脂等を塗布してコーティングし、さらに表面加工を施して、図4(b)に示すように、表面に絵柄・模様を施した元竿1を製造する。
【0019】このように構成された釣竿では、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。特に、刺繍リボン20を元竿1上に巻回することで、容易に立体的で高級感に富む絵柄や模様を容易に竿体上に配置可能である。
[他の実施形態]
(a)刺繍を施したプリプレグシートによって竿体を構成し、これを焼成して元竿1を製造してもよい。即ち、マンドレルに繊維強化樹脂からなるプリプレグシートを巻回し、さらにその外周に、繊維強化樹脂からなり刺繍が施された刺繍プリプレグシートを巻回し、保護テープを巻回してこれらを焼成する。その後、マンドレルを引き抜いて保護テープを剥離し、表面にクリア樹脂をコーティングし表面加工を施して元竿を製造するのである。このようにして、元竿に一体的に模様が施されることになる。
(b)上記各実施形態は、元竿1に於いて模様を施したが他の竿体に同様に刺繍布等を同様に加工してもよい。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、低コストで生産性も高くかつ高級感にあふれる表面の模様・絵柄を有する釣竿を提供できる。
【出願人】 【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
【出願日】 平成12年4月5日(2000.4.5)
【代理人】 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−286239(P2001−286239A)
【公開日】 平成13年10月16日(2001.10.16)
【出願番号】 特願2000−103079(P2000−103079)